結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2023007823 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、平成31年4月19日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年12月13日付け:拒絶理由通知書(最初)
令和5年 2月 3日受付:意見書の提出
同年 2月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 3月 7日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月15日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和6年 5月13日付け:拒絶理由通知書(最初)
同年 5月23日 :意見書の提出
令和7年 2月28日付け:拒絶理由通知書(最初)
同年 4月15日受付:意見書の提出
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和5年5月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
空撮画像、衛星画像等の画像からGISを利用して作成されたマップデータおよびGNSS受信機を有する自動化システムにおいて、
前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点で取得された、前記GNSS受信機が出力するGNSS座標に合わせて、前記マップデータに含まれる座標データをキャリブレーションする手段を有する自動化システム。」
当審において通知した拒絶の理由である、令和7年2月28日付けで通知した拒絶の理由のうち、本願の請求項1に係る発明に対する理由の概略は、次のとおりである。
(進歩性) 本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたもであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献一覧>
(1) 引用文献4の記載事項
当審において新たに引用した引用文献4(特開2004-170646号公報)には、次の事項が記載されている。
ア 段落【0001】~【0011】
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置における電子地図情報を補正する電子地図情報の補正方法、及び無線通信ネットワークシステムを用いて移動局の位置を監視する移動局位置監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
測位手段(GPS測位装置)と無線通信ネットワークシステムとを用いて、上記測位手段を備えた移動局の位置を監視する移動局位置監視システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この移動局位置監視システムは、システム全体を制御する管制局制御装置、移動局の情報を格納するファイルサーバ、移動局の情報を表示する管制局表示装置及び複数のユーザー局、移動局と無線通信を行う複数の基地局、監視対象となる移動局を有して構成される。管制局制御装置、ファイルサーバ、管制局表示装置、ユーザー局及び基地局は有線LANによって接続されており、また、基地局と移動局間は無線データリンクにより接続されている。
【0004】
移動局は、GPS(Global Positioning System)測位装置による測位情報を、当該移動局が所属している通信エリアを管理する基地局に無線データリンクを用いて送信する。各基地局は、無線データリンクによって送信された移動局の測位情報を、ファイルサーバのデータベースに保存する。管制局表示装置及びユーザー局の表示装置は、このファイルサーバのデータベースに保存された移動局の位置情報を用いて、これらの表示装置の電子地図上に、対応する移動局の位置を表示して移動局を監視する。
【0005】
【特許文献1】
特開平11-355315号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
管理局表示装置及びユーザー局の表示装置に表示される電子地図は、一般に、日本測地系で作成された地図を、GPS測位装置で使用されるWGS84座標系に変換して作成される。この座標系変換時に、座標変換誤差が必然的に発生してしまう。また、電子地図作成後に、地殻変動等により測量の基準点が移動して、電子地図の誤差が拡大してしまう場合がある。これらの誤差の結果、相互の電子地図の誤差が約1m程度になってしまうことがある。
【0007】
通常、GPS測位装置の測位精度は1m以下であるが、電子地図に上述のような大きな誤差が生じていると、GPS測位した移動局の位置が、表示装置の電子地図上に正確に表示できないおそれがある。
【0008】
この不具合に対し、従来、地図の電子化時にシステムを運用して、この運用時の測位結果を電子地図に反映させることで、電子地図の精度を確保する案が提案されている。
【0009】
しかし、地図の電子化時には未だシステムが充分に運用されていないので、必要なデータが得られないことが多い。このため、電子化された地図に上述の座標系変換時の誤差が残ってしまう場合がある。しかも、電子地図の作成時には、その後の地殻変動等に伴って発生する誤差を解消させることができない。
【0010】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、表示装置の電子地図上に目標物を正確に表示できるものを提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、表示手段若しくは表示装置の電子地図上に移動局を正確に表示できる移動局位置監視システムを提供することにある。」
イ 段落【0025】~【0042】
「【0025】
電子地図上に移動局の位置を表示する際に、電子地図上の基準点の位置を移動局の測位手段により測位し、この測位された上記基準点の座標と電子地図上の上記基準点の座標との差分を電子地図の誤差量とし、この誤差量を補正値として電子地図情報を補正、即ち表示手段若しくは表示装置に表示される電子地図を上記補正値分だけ平行移動し、または電子地図に表示される移動局の位置を上記補正値分だけずらして表示させることから、電子地図の誤差量を検出してこの電子地図情報を補正するので、表示手段若しくは表示装置にて正確な電子地図情報を提供でき、この電子地図上に移動局を常に正確に表示できる。
・・・(略)・・・
【0027】
図1は、本発明に係る移動局位置監視システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【0028】
この図1に示す
移動局位置監視システム9
は、
無線通信ネットワークシステム10と、測位手段としてのGPS(Global Positioning System)測位手段とを利用して、このGPS測位装置を搭載した、目標物としての移動局12の位置を監視する
ものである。
・・・(略)・・・
【0032】
管制局表示装置17における移動局12の位置の表示によって、管制局表示装置17が移動局12を監視し、管制局制御装置16を操作する管理者に移動局12の位置情報が提供される。また、ユーザー局15の表示装置21における移動局12の位置の表示によって、ユーザー局15が移動局12を監視し、ユーザー局15を使用するユーザーに移動局12の位置情報が提供される。なお、上記管制局制御装置16は、移動局12、基地局11、ファイルサーバ14、ユーザー局15及び管制局表示装置17を総括的に制御する。
・・・(略)・・・
【0034】
さて、上述のような管制局表示装置17、ユーザー局15の表示装置21、及び移動局12の表示装置22に表示される電子地図情報は誤差を伴う。この誤差の1つは、日本測地系で作成された地図を、GPS測位装置で使用されるWGS84座標系に座標変換する際に必然的に発生する電子地図作成時の座標変換誤差である。他の誤差は、電子地図作成後に発生した地殻変動等によって、電子地図の基準点が移動することにより生ずる誤差である。
【0035】
管制局制御装置16は、電子地図作成後に、この電子地図に発生した誤差を定期的に、リアルタイムで補正する。
【0036】
つまり、管制局制御装置16は、図3に示すように、管制局表示装置17、ユーザー局15の表示装置21、移動局12の表示装置22の少なくとも1つの電子地図上に移動局12の位置を表示する際に、
電子地図上の任意の基準点の位置を、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位
させる(S1)。
【0037】
次に、
管制局制御装置16は
、上述のようにして
GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出し、この差分を電子地図の誤差量
とする(S2)。
【0038】
管制局制御装置16は、図2にも示すように、ステップS2にて
算出した電子地図の誤差量を、補正量としてファイルサーバ14のメインデータベース13に格納して保存し登録
する(S3)。
【0039】
その後、管制局制御装置16は、このメインデータベース13に登録された電子地図の補正量を、管制局表示装置17及びユーザー局15の表示装置21へ有線LAN19を経由して通知し(S4)、有線LAN19を経て基地局11へ通知した後(S5)、無線データリンク20を経由して移動局12の表示装置22へ通知する(S6)。
【0040】
管制局制御装置16は、管制局表示装置17及びユーザー局15の
表示装置21に表示される電子地図情報を上記補正値に基づいて補正
し(S7)、この電子地図上に全ての移動局12の位置を表示させる(S8)。
【0041】
ほぼ同時に、管制局制御装置16は、移動局12の表示装置22に表示される電子地図情報を上記補正値に基づいて補正し(S9)、各移動局12の表示装置22に自局の位置を表示させる(S10)。
【0042】
上述の
電子地図情報の補正は、管制局表示装置17、ユーザー局15の表示装置21、移動局12の表示装置22のそれぞれに表示される電子地図を上記補正値分だけ平行移動し、または上記電子地図に表示される移動局12の位置を、上記補正値分だけずらして表示させることにより実施
される。」
(2) 引用発明について
引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。なお、前記(1)イの段落【0038】及び【0039】に「補正量」とあるのは、前記(1)イを含む引用文献4の記載全体からみて、「補正値」の誤記と解した。
<引用発明>
「無線通信ネットワークシステム10と、測位手段としてのGPS(Global Positioning System)測位手段とを利用して、このGPS測位装置を搭載した、目標物としての移動局12の位置を監視する、移動局位置監視システム9において、(段落【0028】)
電子地図上の任意の基準点の位置を、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位し、管制局制御装置16が、GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出し、この差分を電子地図の誤差量とし、算出した電子地図の誤差量を、補正値としてファイルサーバ14のメインデータベース13に格納して保存し登録し、表示装置21に表示される電子地図情報を上記補正値に基づいて補正し、(段落【0036】~【0038】、【0040】)
電子地図情報の補正を、管制局表示装置17、ユーザー局15の表示装置21、移動局12の表示装置22のそれぞれに表示される電子地図を上記補正値分だけ平行移動し、または上記電子地図に表示される移動局12の位置を、上記補正値分だけずらして表示させる、(段落【0042】)
移動局位置監視システム。」
(1) 引用文献3の記載事項
引用文献3(特開2016-189791号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、原文に付されていたものに加え、当審合議体が付与した。以下同様。)。
ア 段落【0068】~【0071】
「【0068】
第1.システム構成と基本的な動作
図1には、本実施の形態のガイダンスシステムの構成の概要を示す説明図が示されている。この図に示すように、本
ガイダンスシステム
は、
(1)
圃場データを定義する定義パート10
と、
(2)
定義された圃場データを用いて、農作業のガイダンスを行うガイダンスパート20
と
の2種のパート
から構成される
。そして、上記の定義パート10で、圃場データを定義し、定義された圃場データを用いて、ガイダンスパート20が農作業のガイダンスを行うのである。
【0069】
第1-1定義パート
定義パート10は、圃場データの定義をアシストする所定のマネージャーソフトウェア10aがインストールされたコンピュータ10bである。操作者は、この定義パート10を用いて、圃場データの定義を行う。すなわち、実際の農作業を行う前に、事前に圃場形状を登録し、作業経路、作業に関わる属性情報などを定義しておくのである。
【0070】
なお、このマネージャーソフトウェア10aは、所定の記憶媒体、例えばDVDやUSBメモリなどの記憶媒体で利用者に提供される。また、場合によっては、インターネットなどの通信媒体を介してダウンロードによって利用者に提供される場合もある。このマネージャーソフトウェア10aは、請求の範囲のソフトウェアの一例に相当する。
【0071】
(1)GISのシェープファイル
まず、定義パート10は、操作者の操作によって、地理情報システム(GIS)で用いられるシェープファイルを取り込む。定義パート10は、このシェープファイルを背景図として利用する。このシェープファイルは、種々のレイヤに分割された構造を有しており、圃場のレイヤの他に、道路、建物、側溝、障害物等のレイヤを備えている。このシェープファイルは、操作者が圃場の形状の定義の操作を行う際に、背景として描画面に表示され、操作者は、この背景の画像に基づき、圃場の形状を描画ソフトウェア的な操作によって入力していく。例えば、圃場となる領域を囲むように直線(線分)の辺を複数個入力していくこと等である。この場合、圃場は複数の辺によって囲まれる多角形として定義・入力される。なお、側溝や障害物に関しては、まとめて進入禁止レイヤ(進入禁止となるレイヤ)とする場合もある。」
イ 段落【0097】~【0099】
「【0097】
(4)属性情報の登録
これまで述べてきた操作によって、その圃場に対する作業方向と実際に作業する範囲(圃場そのもの)や枕地に関する定義が完了する。次に、
その圃場に付随する作物や作業者などの属性情報
を登録する。この処理を説明する画面の説明図が図7に示されている。図7では、作付け種別の「いも」「たまねぎ」「にんじん」等が属性情報として登録される例が示されている。これらも圃場データの一部に含まれる。
【0098】
なお、図示されてはいないが、属性情報としては、他の種々の情報を登録可能である。本実施の形態では、その圃場にて農作業を行うトラクタ20aの旋回半径等を登録することが好ましい。このようなトラクタ20aの走行能力に関する情報も登録しておけば、ガイダンスをより正確なものとすることができるからである。
なお、本実施の形態のガイダンスシステムでは、トラクタを複数台登録する機能が備えられており、そこにトラクタ毎に旋回半径も設定できるように構成している。また、本実施の形態では、後述するが、上記旋回半径等に基づき、枕地における連結路を自動的に求めること等を提案している。このような属性情報の登録は、図8のステップS8-2に相当する。
【0099】
圃場データ
には、その他種々の情報を含ませておくことも好適である。本実施の形態では、上述した
GISから取り込んだ地図情報を含め
ている。この地図情報はレイヤ毎に種々の情報を含んでいる情報であり、ガイダンスパート20において、ガイダンスラインの背景図、その他の情報を表示する際に有用な情報である。
【0100】
(5)データのエクスポート
このようにして、
圃場形状、枕地、作業情報、属性情報、地図情報を含む圃場データ
が定義されると、この圃場データを、USBメモリなどの媒体にエクスポートする。このUSBメモリを、ガイダンスパート20に提供し、ガイダンスパート20は、このUSBメモリ中の圃場データに基づき、ガイダンスを行う。
・・・(略)・・・
【0102】
第1-2ガイダンスパート
ガイダンスパート20は、トラクタ20aに設置された専用端末20bと、トラクタ20aに設置されたGNSS受信機20cと、ジャイロセンサー20dと、から構成され
る(図1参照)。ここで、専用端末20bには、ガイダンスソフトウェア20eがインストールされており、農作業のガイダンスを行う(図1参照)。
【0103】
GNSS受信機は、よく知られているように、いわゆるGPSを利用した受信機であって、自分の位置を検出することができる。なお、このGNSSは、以前はもっぱらGPSと呼ばれていたが、現在は米国のGPSの他、ロシアのGLONASSや、EUのGalileoなど複数の全地球航法衛生システムを併用できるようになり、総括してGNSSと呼ばれる。」
ウ 段落【0117】~【0120】
「【0117】
初期化
さて、ガイダンスがスタートすれば、操作者はディスプレイに表示されたガイダンスを参照しながら、作業を開始するが、作業を開始(トラクタ20aを発進)する前に、最初に
圃場の座標に対して、その時のGNSS受信機20cが持つ誤差を排除するため、初期化操作を行
う(図10参照)。
【0118】
この初期化は、トラクタ20aがいる位置の近傍で、圃場の外周上の既知点を初期位置として認識し、その既知点までの距離と方向をナビゲーションすることによって実行され
る。この初期化の際の画面上の様子が図10に示されている。このナビゲーションにより、圃場外からスタートした場合でも、圃場までたどり着く事ができ、また背景図(定義パート10で取り込まれた背景図)も合わせて表示されるため、自分(のトラクタ20a)がどこにいるのかを容易に把握し、GNSS受信機の位置を補正する事ができる。
【0119】
ここで、初期化の処理とは、具体的には、以下のようにして実行される。すなわち、
初期化位置でGNSS受信機20dから得られる位置情報と圃場の既知の位置情報を照らし合わせ、その誤差分をこれ以降の作業で差し引く処理
が行われるのである。
【0120】
すなわち、
この差し引く処理が
、請求の範囲の、0セットの好適な一例に相当し、また、
いわゆるオフセット補正の好適な一例に相当するもの
である。
この補正は、トラクタ20aを既知点に移動させることに行うことができる
し、また、既知点と現在のトラクタ20aとの位置関係が正確に判明していればその数値分だけ修正してオフセット補正、0セットを行う場合もある。また、GNSS受信機そのものを既知点に移動させる場合もある。」
エ 段落【0151】~【0153】
「【0151】
(4)走行結果における重複部分の表示
また、本実施の形態にかかるガイダンスパート20は、走行した箇所(作業した領域)を画面上で表示し、操作者が視認可能にしている。具体的には、そのトラクタ20aに取り付けられているトラクタの幅が、作業の幅であると認定し、トラクタ20aが走行したラインの両側のこの作業幅の領域の部分が、作業をした領域(作業済み領域)であると認定している。そして、この作業済み領域について所定の色彩を付した表示を画面上で行い、操作者に、これまで作業をした作業済み領域を画像的に知らせることが可能である。
【0152】
この際、既に走行した箇所(作業済み領域)と、新たに走行した箇所(新たに作業した領域)とが重複する場合は、別の色彩をその重複した領域に付して表示を行うことが好適である。これは、要するに、走行した領域(作業した領域)が、過去において走行した領域(作業した領域)と重なってしまった部分である。
【0153】
一般に、ガイダンスライン自体は、重複が原則として「0」となるように設定される。これは、例えば
農薬散布
等において、重複して農薬を散布することが好ましくない場合も想定されるからである。また、
肥料等の散布
においても、与えすぎが返って好ましくない結果となる場合も想定されるからである。したがって、圃場内のガイダンスラインの間隔は、一般にはトラクタとの幅と一致するように、ガイダンスラインが設定される。」
(2) 引用文献3に記載された技術について
引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用発明3記載技術」という。)が記載されている。
<引用文献3記載技術>
「圃場データを定義する定義パート10と、定義された圃場データを用いて、農作業のガイダンスを行うガイダンスパート20から構成されるガイダンスシステムにおいて、(段落【0068】)
ガイダンスパート20は、農薬散布や肥料等の散布を行うトラクタ20aに設置された専用端末20bと、トラクタ20aに設置されたGNSS受信機20cと、ジャイロセンサー20dと、から構成され、(段落【0102】、【0153】)
圃場データは、GISから取り込んだ地図情報や圃場形状、枕地、作業情報、属性情報を含み、(段落【0099】、【0100】)
圃場の座標に対して、その時のGNSS受信機20cが持つ誤差を排除するため、初期化操作を行い、この初期化は、トラクタ20aがいる位置の近傍で、圃場の外周上の既知点を初期位置として認識し、その既知点までの距離と方向をナビゲーションすることによって実行され、(段落【0118】、【0119】)
初期化位置でGNSS受信機20dから得られる位置情報と圃場の既知の位置情報を照らし合わせ、その誤差分をこれ以降の作業で差し引く処理を行い、(段落【0119】)
この差し引く処理が、いわゆるオフセット補正の好適な一例に相当するものであり、この補正は、トラクタ20aを既知点に移動させることに行うことができること。」
(1) 引用文献2の記載事項
引用文献2(特開2011-254711号公報)には、次の事項が記載されている。
ア 段落【0001】
「【0001】
本発明は、リモートセンシング技術を活用して、作物に対する施肥を行なうための施肥マップ生成システム,その方法,産業用ヘリコプタ,サーバ,可変施肥機に関するものである。」
イ 段落【0027】~【0029】
「【0027】
<主題図作成のシステム構成> 次に、
ヘリコプタ100によるセンシングによって得られたリモートセンシングデータ
と、土壌分析によって得られた土壌サンプリングデータ
に基づいて、
主題図A(熱水抽出性窒素マップ)と主題図B(
可変施肥マップ
)
を作成するためのシステム
構成について、図3を参照しながら説明する。同図に全体構成を示すように、インターネット300には、多数の営農者端末PC302と、主題図Bである可変施肥マップを作成するためのGIS(Geographic Information System)サーバ320が接続されている。また、上述したヘリコプタ100によるセンシングによって得られたリモートセンシングデータDRと、土壌分析によって得られた土壌サンプリングデータDSは、開発者端末PC(サービスを提供する会社のPC)310に入力されており、この開発者端末PC310が前記GISサーバ320に接続されている。なお、図示の例では、開発者端末PC310は、GISサーバ320に直接接続しているが、インターネット300を介して接続するようにしてもよい。
【0028】
開発者端末PC310には、前記リモートセンシングデータDRと、前記土壌サンプリングデータDSを解析して、主題図Aである熱水抽出性窒素マップを作成するためのプログラム312が用意されている。
【0029】
GISサーバ320は、主題図Bである可変施肥マップを作成するための可変施肥マップ生成プログラム322が用意されており、主題図Bを得るために必要なデータを格納したデータベース330が接続されている。データベース330には、施肥区分332,作物の標準施肥量334,肥料成分比336などのデータが予め格納されている。」
ウ 段落【0045】~【0054】
「【0045】
<可変施肥マップの作成> 次に、営農者端末PC302及びGISサーバ320による可変施肥マップの生成について説明する。
GISサーバ320では、可変施肥マップ生成プログラム322が実行され
、これによって、図10に示す手順で
可変施肥マップが作成される
。なお、図10は、後述する施肥機に、メインタンクとサブタンクがある場合の例で、メインタンクのみの場合は、サブタンク用の手順は不要である。
・・・(略)・・・
【0051】
以上のようにして得られた可変施肥マップは、インターネット300を介してGISサーバ320から営農者端末PC302にダウンロードされる。CD-ROMなどの記録媒体を利用して、各営農者に可変施肥マップを提供するようにしてもよい。
【0052】
このように、サブタンクを設けることで、メインタンク肥料とサブタンクの肥料を混合して使用することができるようになり、土壌の状態に応じた多様な施肥が可能となる。また、メインタンクで窒素,リン,カリウムの混合肥料を使用する場合、窒素を適正値としたために、リンやカリウムが不足することが考えられるが、サブタンクでそれらを補うようにすることができる。
【0053】
<GPS搭載自動可変施肥機による施肥> 図12(A)には、本実施例で使用する自動可変施肥機400の構成が示されており、GPS測定装置402,可変施肥用PC404,施肥量制御用マイコン406,施肥器408を備えている。
なお、図示の例は、
トラクター搭載型の施肥機
であるが、各種タイプの施肥機に適用可能である。
【0054】
上述した営農者端末PC302に提供された
可変施肥マップは、自動可変施肥機400の可変施肥用PC404に入力され
る。可変施肥用PC404では、図12(B)に示すように、
GPS測定装置402から自動可変施肥機400の現在位置情報が入力されており、当該位置に対応する施肥量データが可変施肥用PC404により可変施肥マップから抽出され
る。
抽出された施肥量データは、可変施肥用PC404により制御用データに変換されて、施肥量制御用マイコン406に供給される。施肥量制御用マイコン406は、入力された施肥量に基づいて施肥器408を駆動し、メインタンク及びサブタンクから該当する量の肥料を繰り出して施肥を行なう
。」
(2) 引用文献2記載技術について
引用文献2には、次の2つの技術的事項(以下、各々を「引用文献2記載技術1」及び「引用文献2記載技術2」という。)が記載されている。
<引用文献2記載技術1>
「ヘリコプタ100によるセンシングによって得られたリモートセンシングデータに基づいて、GISサーバ320では、可変施肥マップ生成プログラム322が実行され、可変施肥マップが作成されること。(段落【0027】、【0045】)」
<引用文献2記載技術2>
「トラクター搭載型の施肥機において、可変施肥マップは、自動可変施肥機400の可変施肥用PC404に入力され、GPS測定装置402から自動可変施肥機400の現在位置情報が入力されており、当該位置に対応する施肥量データが可変施肥用PC404により可変施肥マップから抽出され、抽出された施肥量データは、可変施肥用PC404により制御用データに変換されて、施肥量制御用マイコン406に供給され、施肥量制御用マイコン406は、入力された施肥量に基づいて施肥器408を駆動し、メインタンク及びサブタンクから該当する量の肥料を繰り出して施肥を行なうこと。(段落【0053】、【0054】)」
本願発明と引用発明を対比する。
(1) 引用発明の「電子地図」が地図情報を有するデータから構成されることは明らかであるから、本願発明の「空撮画像、衛星画像等の画像からGISを利用して作成されたマップデータ」と引用発明の「電子地図」は、「マップデータ」である点で一致する。
(2) 引用発明の「GPS測位装置」は、本願発明の「GNSS受信機」に相当する。
(3) 本願発明の「自動化システム」と引用発明の「移動局位置監視システム9」は、「システム」という点で一致する。
(4) 本願発明の「キャリブレーション」について、本願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0018】に「キャリブレーション点48におけるGPS座標(GNSS座標)は、本来マップデータ45における座標と一致すべきであるが、前記[発明が解決しようとする課題]で述べたように、マップデータ45にズレが生じている場合は、GPS座標(GNSS座標)とマップデータ45の座標の差を、マップズレ量として、自動化コントローラ1にあるファイルに記憶される。」、段落【0019】に「当該マップズレ量に基づき、マップデータ45の少なくとも農作業を行うべき圃場領域の全座標が、GPS座標(GNSS座標)と一致するようにキャリブレーション(較正)される。」と記載されている。
引用発明の「電子地図上の任意の基準点」は、実質的に、電子地図の任意の基準点に対応するデータ上の点を表すことは明らかであり、「電子地図上の任意の基準点の位置を、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位し、管制局制御装置16が、GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出し、この差分を電子地図の誤差量とし、算出した電子地図の誤差量を、補正値としてファイルサーバ14のメインデータベース13に格納して保存し登録し、表示装置21に表示される電子地図情報を上記補正値に基づいて補正」(以下「補正構成」という。)するもの、すなわち「基準点」とは、「GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差」を用いて、「GPS測位装置により測位された上記基準点の座標」に合わせて「電子地図情報を補正」することで「キャリブレーション」するための点であるから、本願発明の「前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点」を表す。
(5) 前記(3)及び(4)を踏まえると、引用発明の「補正構成」は、演算手段等の所定の手段で行われることは明らかであるから、本願発明の「前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点で取得された、前記GNSS受信機が出力するGNSS座標に合わせて、前記マップデータに含まれる座標データをキャリブレーションする手段」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、次の一致点で相違し、相違点1において相違する。
<一致点>
「マップデータおよびGNSS受信機を有するシステムにおいて、
前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点で取得された、前記GNSS受信機が出力するGNSS座標に合わせて、前記マップデータに含まれる座標データをキャリブレーションする手段を有するシステム。」
<相違点1>
本願発明は、「空撮画像、衛星画像等の画像からGISを利用して作成されたマップデータ」であって、それを有する「自動化システム」であるのに対し、引用発明は、「電子地図」を有する「移動局位置監視システム9」である点。
相違点1について検討する。
(1) 引用発明の「補正構成」の技術的意味及び技術の拡張性について
引用発明は、前記第4の1(1)イの段落【0025】に示したとおり、「電子地図上に移動局の位置を表示する際に、電子地図上の基準点の位置を移動局の測位手段により測位し、この測位された上記基準点の座標と電子地図上の上記基準点の座標との差分を電子地図の誤差量とし、この誤差量を補正値として電子地図情報を補正、即ち表示手段若しくは表示装置に表示される電子地図を上記補正値分だけ平行移動し、または電子地図に表示される移動局の位置を上記補正値分だけずらして表示させることから、電子地図の誤差量を検出してこの電子地図情報を補正するので、表示手段若しくは表示装置にて正確な電子地図情報を提供でき、この電子地図上に移動局を常に正確に表示できる」という、本願発明の課題を解決する手段に相当する構成を有するものである。
また、引用発明の「補正構成」は、「移動局位置監視システム9」のみに依存する特有の構成を含むものとはいえない。
そうすると、出願時において、地図情報を用いて各種制御等に用いたシステムが広く知られており、これらの「システム」においても「表示手段若しくは表示装置にて正確な電子地図情報を提供する」課題も広く認知されていることは明らかであることから、引用発明の用途として、これらの「システム」に拡張することは、当業者であれば想到し得ることである。
(2) 本願発明の「自動化システム」について
本願発明の「自動化システム」について、本願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】に「本発明によれば、GISを利用して作成されたマップデータをキャリブレーションすることができる。特に、農作業機の自動化用のマップデータは、農作業機の走行の自動化に使用され、例えば、施肥量を所定の座標位置で変えるなどの制御に使用される。正しい、マップデータがないと自動化ができないところ、マップデータをキャリブレーションすることで自動化が支障なくできるようになる。また、マップデータをキャリブレーションすることで、農作業機の走行や施肥量等の農作業ログを、年度ごとに比較することが容易になる。」、及び、段落【0012】に「本実施例は、農作業機が施肥機である実施例である。
(自動化システムの構造)
図1は、本発明の自動化システムの全体構成を示す概念図である。自動化コントローラ1(自動化システム)は、非常にコンパクトに構成されており、タブレットPCより小さい。農作業機の運転席に付属品(図示していない)を介して設置できるようになっている。
また、中央には、各種設定や作業状況等の各種情報が表示されるディスプレイ11を備えている。」と記載されていることからみて、本願発明の「自動化システム」は、農作業機等において、走行などの各種作業の自動化のためのシステムであることが理解できる。
(3) 引用文献3記載技術について
ア 引用文献3記載技術は、「圃場データを定義する定義パート10と、定義された圃場データを用いて、農作業のガイダンスを行うガイダンスパート20から構成されるガイダンスシステムを搭載したガイダンスシステム」を示すものであって、「圃場データは、GISから取り込んだ地図情報や圃場形状、枕地、作業情報、属性情報を含む」ものであり、GISを利用して地図データを作成する際に、空撮画像、衛星画像等の画像を用いることは、技術常識である(一例として、引用文献2記載技術1を参照。)。
イ 引用文献3記載技術は、「初期化位置でGNSS受信機20dから得られる位置情報と圃場の既知の位置情報を照らし合わせ、その誤差分をこれ以降の作業で差し引く処理を行い、この差し引く処理が、いわゆるオフセット補正の好適な一例に相当するものであり、この補正は、トラクタ20aを既知点に移動させることに行うことができる」構成を有するから、「初期化位置でGNSS受信機20dから得られる位置情報と圃場の既知の位置情報を照らし合わせ」てキャリブレーションを行うものである。
ウ 本願の出願時において、農作業機器の技術分野において、可変施肥マップを用いて自動的に施肥を行うこと(引用文献2記載技術2を参照。)や、トラクタなどを地図情報を用いて自動走行を行う(例示するまでもない周知の技術である。)等の自動化技術は、周知技術(以下、「周知技術」という。)である。
そして、引用文献3記載技術は、農薬散布や肥料等の散布を行うトラクタ20aに用いるシステムであり、圃場データは、GISから取り込んだ地図情報や圃場形状、枕地、作業情報、属性情報を含むものであり、作業情報には、農薬散布や施肥の作業も含むものであるから、周知技術のような自動化技術を付加したものにも及ぶ技術といえる。
エ そして、引用文献3記載技術は、前記ウを踏まえ、周知技術を加味すると、自動システムに含まれる技術を示すものといえ、引用発明とは、「GPS測位装置(GNSS)により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出」してキャリブレーションを行う技術として共通するものであり、引用文献3記載技術においても引用発明のように「表示手段若しくは表示装置にて正確な電子地図情報を提供する」共通の課題を有することは明らかである。
オ そうすると、引用発明において、「補正構成」を備えるシステムとして、引用文献3記載技術及び周知技術のようなGISを利用する農業分野の自動システムを適用して、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、容易に想到し得たことである。
そして、本願発明が奏する効果は、引用発明、引用文献3記載技術、周知技術及び技術常識において奏する効果からみて、これらを組み合わせことにより格別の効果を発現したものとはいえない。
(1) 請求の主張の概要
請求人は、令和7年4月15日受付の意見書の「第2」において、次の主張を行っている。
「1 引用発明認定の誤り
引用文献4の特許請求の範囲には、独立した請求項である請求項1、請求項3及び請求項5には次のように記載されています
「[請求項1]・・・上記電子地図上に上記目標物の位置を表示する際に、この電子地図上の基準点の位置を実測し、」
「[請求項3]・・・上記電子地図上に移動局の位置を表示する際に、この電子地図上の基準点の位置を上記測位手段により測位し、」
「[請求項5]・・・上記表示装置の上記電子地図上に上記移動局の位置を表示する際に、この電子地図上の基準点の位置を上記測位手段に測位させ、」
つまり、移動局または目標物の位置を表示する際に、基準点の位置を測定させています。
この基準点とは「移動局または目標物の位置を表示した」ときの移動局の位置が「基準点」となります。
引用文献4において、この事項は特許請求の範囲の構成要件となっており、引用文献の認定から捨象することはできません。
正しい引用発明は、
「無線通信ネットワークシステム10と、測位手段としてのGPS(Global Positioning System)測位手段とを利用して、このGPS測位装置を搭載した、目標物としての移動局12の位置を監視する、移動局位置監視システム9において、(段落【0028】)
電子地図上に上記目標物又は上記移動局の位置を表示する際に、その位置を基準点として、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位し、管制局制御装置16が、GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出し、この差分を電子地図の誤差量とし、算出した電子地図の誤差量を、補正値としてファイルサーバ14のメインデータベース13に格納して保存し登録し、表示装置21に表示される電子地図情報を上記補正値に基づいて補正し、(段落【0036】~【0038】、【0040】」
電子地図情報の補正を、管制局表示装置17、ユーザー局15の表示装置21、移動局12の表示装置22のそれぞれに表示される電子地図を上記補正値分だけ平行移動し、または上記電子地図に表示される移動局12の位置を、上記補正値分だけずらして表示させる、(段落【0042】)移動局位置監視システム。」
本願発明1は「マップデータ上に定められたキャリブレーション点」であるのに対して引用発明は「上記電子地図上に上記目標物又は上記移動局の位置を表示する際に、その位置を基準点として」いる点で相違します。
引用文献2~4のいずれにも、新たな相違点は記載されていません。本願発明1では、「マップデータ上に定められたキャリブレーション点」に行かなくてはならないのに対して、引用発明では、「電子地図上に上記目標物又は上記移動局の位置を表示する際に、その位置を基準点」にすればよく、実際に本願発明1のように「マップデータ上に定められたキャリブレーション点」に行く動機付けがありません。
仮想の点を基準点とする引用発明に対して、本願の実施例は、「[0017]・・・キャリブレーション点48としては、図2で示したような道路に面した作業開始点や圃場の隅の角部など、作業者が現地でキャリブレーション点48を発見しやすい場所が好ましいが、キャリブレーション点48であることが作業者に分かるのであればどこでも構わないし、作業する圃場から離れた場所であってもよい。」としています。
指定された分かりやすい目標(キャリブレーション点)、たとえば、立木や圃場の角部や作業開始点に行き、そこでキャリブレーションがなされるという点で、本願発明1と引用発明は大きく相違します。
よって、本願発明1は進歩性を有します。」
(2) 主張に対する見解
ア 引用発明の認定及び新たな相違点について
請求人は、引用発明が、「電子地図上に上記目標物又は上記移動局の位置を表示する際に、その位置を基準点として、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位し」との構成要素を含むとした上で、本願発明1は「マップデータ上に定められたキャリブレーション点」であるのに対して引用発明は「上記電子地図上に上記目標物又は上記移動局の位置を表示する際に、その位置を基準点として」いる点で相違する旨主張している。
しかしながら、本願発明は、第2に示したとおり「前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点で取得された、前記GNSS受信機が出力するGNSS座標に合わせて、前記マップデータに含まれる座標データをキャリブレーションする手段を有する」ものであり、表示にかかる構成要素を有するものではない。
そして、引用発明は、「
電子地図上の任意の基準点の位置を、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位
し、管制局制御装置16が、GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出し、この差分を電子地図の誤差量」(下線は、合議体が付与した。)とするものであるから、前記1(4)及び(5)に示したとおり、引用発明の「電子地図上の任意の基準点」は、本願発明の「前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点」を表すものであり、本願発明の構成要素に照らしても、請求人が示す新たな相違点を有するものではないことから、請求人が主張する新たな相違点を有する旨の主張は、本願発明の構成要素に基づく主張とはいえず、採用できない。
イ 進歩性について
(ア) 新たな相違点について、前記アに示したとおり、本願発明の構成要素に基づく主張ではないが、進歩性について、「引用発明では、「電子地図上に上記目標物又は上記移動局の位置を表示する際に、その位置を基準点」にすればよく、実際に本願発明1のように「マップデータ上に定められたキャリブレーション点」に行く動機付けがありません。」と主張しているが、引用発明は「電子地図上の任意の基準点の位置を、移動局12のGPS測位装置を用いて、キネマティック測量によるGPS測量によって測位し、管制局制御装置16が、GPS測位装置により測位された上記基準点の座標と、電子地図上の上記基準点の座標との差を算出」するものであるから、引用発明は「本願発明1のように「マップデータ上に定められたキャリブレーション点」に行く」点において相違するものではない。
(イ) また、「指定された分かりやすい目標(キャリブレーション点)、たとえば、立木や圃場の角部や作業開始点に行き、そこでキャリブレーションがなされるという点で、本願発明1と引用発明は大きく相違します。」と主張する点について、本願発明において「キャリブレーション点」について「前記マップデータ上に定められたキャリブレーション点」と特定するのみであることから、引用発明との間で請求人が主張するような新たな相違点を示す構成要素を見いだすことはできない。
(ウ) よって、前記(ア)及び(イ)に示したとおり、請求人の主張は、前記2に示した検討・判断を左右するものではなく、採用できない。
前記3に示したとおり、本願発明は、引用発明、引用文献3記載技術、周知技術及び技術常識に基づいて、当業者であれば容易に想到し得たことである。
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用発明、引用文献3記載技術、周知技術及び技術常識に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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