結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024005861 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和2年6月23日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 7月26日付け:拒絶理由通知書
同年10月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和6年 1月 9日 :原査定の謄本の送達)
同年 4月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
[補正の却下の決定の結論]
令和6年4月8日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
令和6年4月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年10月6日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
車両の車外側に設けられた室外通信部と端末の間、及び前記車両の車内側に設けられた室内通信部と前記端末との間の各々で、電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら前記受信信号強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部と、
前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの大小比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車内のどちらに位置するかを判定する位置判定部と、を備え、
前記室外通信部は、前記車両の後輪の周囲に存在するボディ部品の内部に配置されており、
前記室外通信部は、第1室外通信部と第2室外通信部とを有し、
前記第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がる位置に配置されており、
前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がる位置に配置されている位置判定システム。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
車両の車外側に設けられた室外通信部と端末の間、及び前記車両の車内側に設けられた室内通信部と前記端末との間の各々で、電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら前記受信信号強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部と、
前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの大小比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車内のどちらに位置するかを判定する位置判定部と、を備え、
前記室外通信部は、前記車両の後輪の周囲に存在するボディ部品の内部に配置されており、
前記室外通信部は、第1室外通信部と第2室外通信部とを有し、
前記第1室外通信部は、前記車両の右側に配置されており、
前記第2室外通信部は、前記車両の左側に配置されており、
前記第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がる
とともに前記第2室外通信部に届く
位置に配置されており、
前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がる
とともに前記第1室外通信部に届く
位置に配置されており、
前記ボディ部品は、前記車両の樹脂製のリアバンパであり、
前記第1室外通信部及び前記第2室外通信部は、前記リアバンパの内部に配置されている位置判定システム。
」
(1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のアからウの限定をするものである。
ア 本件補正前の請求項1に記載された「第1室外通信部」について、「車両の右側に配置されており」、前記「第1室外通信部」から送信される電波が「第2室外通信部に届く位置に配置されて」いるものに限定すること。
イ 本件補正前の請求項1に記載された「第2室外通信部」について、「車両の左側に配置されており」、前記「第2室外通信部」から送信される電波が「第1室外通信部に届く位置に配置されて」いるものに限定すること。
ウ 本件補正前の請求項1に記載された「ボディ部品」について、「車両の樹脂製のリアバンパ」であって、当該「リアバンパの内部」に「第1室外通信部」及び「第2室外通信部」が配置されているものに限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正のうち請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
本件補正のうち請求項1についてする補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成D2までに分説する。また、参考図として、本願の【図1】及び【図3】に部材名を記入したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
構成A 車両の車外側に設けられた室外通信部と端末の間、及び前記車両の車内側に設けられた室内通信部と前記端末との間の各々で、電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら前記受信信号強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部と、
構成B 前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの大小比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車内のどちらに位置するかを判定する位置判定部と、を備え、
構成C1 前記室外通信部は、前記車両の後輪の周囲に存在するボディ部品の内部に配置されており、
構成C2 前記室外通信部は、第1室外通信部と第2室外通信部とを有し、
構成C3 前記第1室外通信部は、前記車両の右側に配置されており、
構成C4 前記第2室外通信部は、前記車両の左側に配置されており、
構成D1 前記第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がるとともに前記第2室外通信部に届く位置に配置されており、
構成D2 前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がるとともに前記第1室外通信部に届く位置に配置されており、
構成C5 前記ボディ部品は、前記車両の樹脂製のリアバンパであり、
構成C6 前記第1室外通信部及び前記第2室外通信部は、前記リアバンパの内部に配置されている
構成X 位置判定システム。
<参考図>
参考図1(【図1】を元に作成)
126
146
0001430593000001.jpg
参考図2(【図3】を元に作成)
142
147
0001430593000002.jpg
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、端末が車両と通信する際に、車両に対する端末の位置を判定する位置判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両において、ユーザに所持される端末と車両に搭載される車載機とが無線により通信接続して両者の間の無線通信が実行され、車両の制御を行う通信システムが知られている。通信システムとしては、車載機からの送信電波に端末が自動で応答して無線通信によりID認証を行うスマート照合システムが周知である。
【0003】
特許文献1には、車両に対する端末の位置を判定する位置判定システムを備えたスマート照合システムが開示されている。この位置判定システムでは、車載機と端末とが通信接続した場合、車両に搭載された通信部から送信された電波を端末が受信したときの受信信号強度を測定し、この受信信号強度が整合する位置を、端末の位置として判定する。スマート照合システムでは、位置判定システムによって端末が車両の近傍に位置するか否かが判定される。
...(中略)...
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信部は、車両外部に露出しないように、車両の内部に収納される。そのため、通信部から送信された電波が車両の外郭を形成する金属製のボディ部品に遮蔽されて、車両外部に位置する端末が受信する電波の受信信号強度が低下することがあった。これにより、端末の位置を正しく判定できないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、端末の位置を正しく判定可能にした位置判定システムを提供することにある。
...(中略)...
【発明の効果】
【0008】
本発明の位置判定システムは、端末の位置を正しく判定可能にする。
...(中略)...
【0047】
図8に示す通り、各室外通信部16は、車両1において後輪の後方、且つ車幅方向の側面側に設けられている。第1室外通信部16aから送信される電波Sdは、車両1の後方側と、車両1の右側へ拡がる領域G1において、他の領域に比べて高い受信信号強度で受信される。また、第2室外通信部16bから送信される電波Sdは、車両1の後方側と、車両1の左側へ拡がる領域G2において、他の領域に比べて高い受信信号強度で受信される。領域G1及び領域G2は、車両1の後方において、領域G3で互いに重なっている。すなわち、領域G3は、データDa及びデータDbの両方が大きくなる領域である。従って、データDa及びデータDbが所定の閾値以上となることに基づいて、領域G3を検出、すなわち車両後方のエリアを検出できることがわかる。本実施形態の場合、この領域G3内に、エリアEdが形成される。」
「【図8】
174
147
0001430593000003.jpg
」
「 【0051】
ところで、電波Sdは、金属材料によって遮蔽され易い。また、室外通信部16は、雨や日光など、外環境による劣化などを避けるため、車両1の外部に露出しないように設けられる。仮に、室外通信部16が金属材料によって囲われるように配置される場合、室外通信部16から車両1の外部へと伝搬する電波Sdが金属材料により遮蔽されてしまう。その結果、端末2が室外に位置する場合でも、室外通信部16からの電波Sdの受信信号強度が低下してしまい、端末2が室外に位置するという判定ができなくなる虞があった。
【0052】
本実施形態の場合、室外通信部16は、樹脂材料からなるリアバンパ41の内部に設けられている。室外通信部16から送信される電波Sdは、リアバンパ41を通過して車両1の外部へ伝搬する。また、室外通信部16から送信される電波Sdは、後輪の周囲において、樹脂材料からなるタイヤハウスカバー43を通って外部へと伝搬することができる。そのため、室外通信部16からの電波Sdの受信信号強度の低下が抑制できる。
...(中略)...
【0054】
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)車両1には、車両1の室外に設けられた室外通信部16と、室内に設けられた室内通信部17と、が設けられている。位置判定システム30は、室外通信部16と端末2との間、及び室内通信部17と端末2との間で、それぞれ電波Sdが通信されて測定された受信信号強度A,B,CのデータDa,Db,Dcを取得するデータ取得部33を備えている。また、位置判定システム30は、室外通信部16及び端末2の通信、及び室内通信部17及び端末2の通信の各々で得たデータ同士の大小比較の結果から、端末2が、車両1の室外及び室内のどちらに位置するかを判定する位置判定部31と、を備えている。さらに、室外通信部16は、車両1の後輪の周囲に存在するボディ部品40の内部に配置されている。この構成によれば、電波は、室外通信部16と端末2との間において、後輪の周囲に設けられた樹脂材料を通過して伝搬できる。従って、車両1の外部に端末2が位置する場合に、室外通信部16と端末2の間で、車両1の金属材料によって電波Sdが遮蔽されて受信信号強度A,Bが低下するという事象が発生しにくくなる。これにより、正しく位置判定できる。
【0055】
(2)ボディ部品40は、車両1の樹脂製のリアバンパ41を含む。室外通信部16は、室外通信部16は、リアバンパ41の内部に配置されている。この構成によれば、室外通信部16は、樹脂製のリアバンパ41を介して、端末2との間で電波を通信できる。
【0056】
(3)室外通信部は、ボディ部品40において車幅方向の端部41aに配置されている。この構成によれば、室外通信部16を、車両1の車幅方向の側面側に近い位置に設けることができる。そのため、室外において車両1の車幅方向側に位置する端末2と、室外通信部16との間で通信される受信信号強度を向上できる。
【0057】
(4)室外通信部16は、車両1における車幅方向の両側に、それぞれ設けられた第1室外通信部16a及び第2室外通信部16bを含んでいる。データ取得部33は、第1室外通信部16aと端末2との通信で得たデータDaと、第2室外通信部16bと端末2との通信で得たデータDbと、室内通信部17と端末2との通信で得たデータDcとを取得する。位置判定部31は、データDa、データDb、及びデータDcの大小比較により、車両1の室外において車幅方向一方側のエリアEa、室外において車幅方向他方側のエリアEb、及び車両1の室内のエリアEcのうちいずれのエリアに端末2が位置するかを判定する。この構成によれば、端末2が、車両1の室外及び室内のどちらに位置するかを判定するとともに、さらに室外において、エリアEa及びエリアEbのいずれに位置するかを判定できる。これは、ユーザにとっての利便性の向上に寄与できる。
【0058】
(5)位置判定部31は、車両1の室外に端末2が位置すると判定し、且つデータDa及びデータDbが所定の閾値以上であった場合、端末2が、室外において車両後方のエリアEdに位置すると判定する。この構成によれば、端末2が、車両後方のエリアEdに位置するか否かを判定することができる。これは、ユーザにとっての利便性の向上に寄与できる。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2018-141771号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(ウ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 特許請求の範囲
「【請求項1】
車両に搭載された車載器(10)と、前記車両のユーザによって携帯される通信端末であって、送信元情報を含む無線信号を所定時間内に少なくとも一回は送信するように設定されている携帯端末(20)と、を備え
、
前記車載器は、
前記車両に設置されたアンテナを介して、前記携帯端末から送信される前記無線信号を受信するとともに、受信した前記無線信号の受信強度を検出する受信部(140、150、160)と、
前記受信部が検出した前記無線信号の受信強度に基づいて、前記アンテナの設置位置を基準として予め設定されている対象エリア内に前記携帯端末が存在するか否かを判定する位置判定部(F6)と、を備え、
前記位置判定部が前記受信部によって検出されている前記無線信号の受信強度に基づいて前記携帯端末が前記対象エリア内に存在するか否かを判定するための判定用閾値として、ハイレベル閾値と、前記ハイレベル閾値よりも小さいローレベル閾値の2つのパラメータが設定されており、
前記位置判定部は、
前記携帯端末は前記対象エリア外に存在すると判定している状態において、前記受信部によって検出されている前記無線信号の受信強度が前記ハイレベル閾値以上となった場合には前記携帯端末は前記対象エリア内に存在すると判定し、
前記携帯端末は前記対象エリア内に存在すると判定している状態において、前記受信部によって検出されている前記無線信号の受信強度が前記ローレベル閾値以下となった場合には前記携帯端末は前記対象エリア外に存在すると判定する
位置判定システム
。」
(イ) 【0001】~【0008】
「【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されている車載器が、車両を利用するユーザによって携帯される携帯端末の位置を推定する位置判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された車載器と車両のユーザによって携帯される携帯端末とが無線通信を実施することで、車両に対する携帯端末の位置を推定するシステム(以降、位置推定システム)が開示されている。具体的には、特許文献1に開示の携帯端末は、車載器から応答信号の返送を要求するリクエスト信号を受信した場合、当該リクエスト信号のRSSI(Received Signal Strength Indication)を含む応答信号を返送する。車載器は、携帯端末から返送されてくる応答信号に含まれているRSSIをメモリに保存していく。そして、車載器は、メモリに保存されている直近5回分のRSSIの平均値が所定の閾値を超過している場合に、携帯端末は車室内に存在すると判定する。一方、直近5回分のRSSIの平均値が閾値以下である場合には車室外に存在すると判定する。
【0003】
なお、上述の携帯端末とは、Bluetooth(登録商標)による通信機能を備える通信端末であり、特許文献1においては携帯端末として、スマートフォンや携帯電話機などが想定されている。これに伴い、車載器は、Bluetooth(登録商標)に準拠した無線通信を実施するものである。便宜上、以降ではBluetoothなどの、通信エリアが例えば最大でも数十メートル程度となる所定の無線通信規格に準拠した通信を近距離通信と称する。
...(中略)...
【0005】
発明者らは、近距離通信用のアンテナを車室内に配置した構成において、携帯端末から送信された信号の車載器での受信強度と、携帯端末の位置との関係性について試験したところ、次のような知見が得られた。
【0006】
携帯端末が車室内に存在する場合、車室内の多くの領域では、携帯端末が車室外に存在する場合よりも十分に大きい受信強度が得られる。しかしながら、携帯端末が車室内に存在する場合であっても、マルチパスによって生じた複数の電波が互い弱め合うように作用し、受信強度が車室内の他の領域よりも相対的に大きく低下しまう位置(以降、ヌルポイント)が存在しうる。
【0007】
そして、車載器が携帯端末から送信される信号の受信強度と所定の閾値との比較に基づいて携帯端末の位置を推定する構成では、携帯端末が者室内のヌルポイントに存在している場合、携帯端末からの受信強度が閾値を上回ることができず、携帯端末は車室外に存在すると誤判定してしまう場合があった。
【0008】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、より精度良く携帯端末が所定の対象エリア内に存在するのか否かを判定することができる位置判定システムを提供することにある。」
(ウ) 【0014】~【0051】、【図2】、【図3】、【図5】
「【0014】
[第1実施形態]
以下、本開示の実施の形態の一例である第1実施形態について図を用いて説明する。...(中略)...
【0020】
< 車載システム10の構成について>
次に、車載システム10の構成及び作動について述べる。
車載システム10は
、図2に示すように、
認証ECU100
、近距離通信モジュール140、タッチセンサ110、始動ボタン120、施錠ボタン130、エンジンECU200、ボディECU300
を備え
る。なお、部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。」
「【図2】
148
147
0001430593000004.jpg
」
「【0021】
近距離通信モジュール140は、認証ECU100と相互通信可能に接続されている。タッチセンサ110、始動ボタン120、及び施錠ボタン130のそれぞれは認証ECU100と電気的に接続されている。認証ECU100は、エンジンECU200及びボディECU300のそれぞれと、車両内に構築された通信ネットワーク(以降、LAN:Local Area Network)400を介して相互通信可能に接続されている。
...(中略)...
【0030】
近距離通信モジュール140は、近距離通信を実施するための通信モジュールである。近距離通信モジュール140が受信部に相当する。
近距離通信モジュール140は
、より細かい構成要素として図3に示すように、
アンテナ141、送受信部142、及び通信マイコン143を備え
る。」
「【図3】
67
120
0001430593000005.jpg
」
「【0033】
また、
送受信部142は、アンテナ141で受信した信号の強度
(以降、
RSSI
:Received Signal Strength Indication)
を逐次検出するRSSI検出部1421を備える。RSSI検出部1421が検出したRSSIは、受信データに含まれる端末IDと対応付けられて通信マイコン143に逐次提供される
。なお、RSSIは、例えば電力の単位[dBm]で表現されればよい。便宜上、
RSSIと端末IDとを対応づけたデータをRSSIデータと称する
。
【0034】
通信マイコン143は、認証ECU100とのデータの受け渡しを制御するマイクロコンピュータであり、MPUやRAM等を用いて実現されている。通信マイコンは、送受信部142から入力された受信データを順次又は認証ECU100からの要求に基づいて認証ECU100に提供する。つまり、
送受信部142が受信したデータは、通信マイコン143を介して認証ECU100に提供され
る。
...(中略)...
【0043】
<認証ECU100の機能について>
認証ECU100は
、上述した位置判定プログラムを実行することで、図5に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、認証ECU100は機能ブロックとして、車両情報取得部F1、送信処理部F2、受信処理部F3、
RSSI取得部F4
、認証処理部F5、
位置判定部F6
、及び車両制御部F7
を備えている
。」
「【図5】
72
148
0001430593000006.jpg
」
「【0050】
RSSI取得部F4は、近距離通信モジュール140からRSSIデータを取得する構成である。本実施形態のRSSI取得部F4は、近距離通信モジュール140に対して所定のサンプリング間隔でRSSIデータの提供を要求することにより、RSSIデータを取得する。
【0051】
そして、近距離通信モジュール140から取得したRSSIデータの中に、携帯端末20から送信された信号のRSSIが含まれている場合には、そのRSSIをRSSI記憶部M1に保存する。つまり、RSSI取得部F4は、携帯端末20から送信されてくる信号のRSSIを収集する。なお、携帯端末20から送信された信号のRSSIとは、携帯端末20の端末IDと対応付けられているRSSIである。以降では、携帯端末20から送信された信号のRSSIのことを、携帯端末20のRSSIと略して記載する。」
(エ) 【0092】~【0094】
「【0092】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態に係る位置判定システム1について、図を用いて説明する。本実施形態と第1実施形態との主たる相違点は、車室内に設置された近距離通信モジュールでのRSSIと、車室外の所定領域が見通し内領域となるように設置された近距離通信モジュールでのRSSIとの差を用いて携帯端末20の位置を推定する点にある。
【0093】
以降では、第2実施形態における位置判定システム1のうち、主として車載システム10の構成及び作動について説明する。なお、前述の第1実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。車載システム10が備える種々の近距離通信モジュールを区別しない場合には、符号を付けずに単に近距離通信モジュールとも記載する。
【0094】
本実施形態における車載システム10は、図12に示すように、近距離通信モジュールとして、車室内用モジュール150と、車室外用モジュール160と、を備える。図12においてエンジンECU200等の図示は省略している。」
(オ) 【0132】~【0163】、【図3】、【図16】~【図19】
「【0132】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態に係る位置判定システム1について、図を用いて説明する。先に説明した第2実施形態と本実施形態との主たる相違点は、車載システム10が車室内用モジュール150及び車室外用モジュール160をそれぞれ複数備えている点である。以降では、第3実施形態における位置判定システム1のうち、主として車載システム10の構成及び作動について説明する。なお、前述の第1実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した種々の実施形態の構成を適用することができる。
【0133】
本実施形態における車載システム10は、図16に示すように、複数の車室内用モジュール150と、複数の車室外用モジュール160とを備える。図12においてエンジンECU200等の図示は省略している。各近距離通信モジュールは、基本的には、同じ構成、機能を有するものを採用することができる。ここでは一例として各近距離通信モジュールは、図3に示す構成を有しているものとする。」
「【図16】
111
139
0001430593000007.jpg
」
「【図3】(再掲)
88
147
0001430593000008.jpg
」
「【0134】
本実施形態では一例として、
車載システム10は、車室内用モジュール150として
、図17に示すように、
前部座席用モジュール150A、及び、後部座席用モジュール150Bを備え
る。前部座席用モジュール150Aは、主として前部座席空間を通信エリアにするための車室内用モジュール150である。前部座席用モジュール150Aは、例えば第1実施形態の車室内用モジュール150と同様に、センターコンソール2付近に配置されている。」
「【図17】
79
136
0001430593000009.jpg
」
「【0135】
後部座席用モジュール150Bは、主として後部座席周辺の車室内空間(以降、後部座席空間)を通信エリアにするための車室内用モジュール150である。後部座席用モジュール150Bは、例えば後部座席の車幅方向中央部において着座面に埋設されている。もちろん、前部座席用モジュール150Aや後部座席用モジュール150Bの設置位置は、適宜設計されればよく、上述した態様に限らない。また、車載システム10は、車室内用モジュール150を3つ以上備えていても良い。各車室内用モジュール150は、認証ECU100と相互通信可能に接続されている。
【0136】
また、
車載システム10は、車室外用モジュール160として
図17及び図18に示すように、
右側第1モジュール160A、右側第2モジュール160B、右側第3モジュール160C、左側第1モジュール160D、左側第2モジュール160E、左側第3モジュール160F、及び、後端部用モジュール160Gとを備え
る。」
「【図18】
55
118
0001430593000010.jpg
」
「【0137】
右側第1モジュール160Aは、車両右側の側面部のうち、前部座席用のドアよりも前端部側に配置されている車室外用モジュール160である。本実施形態では一例として右側第1モジュール160Aは、右側前輪付近に配置されているものとする。
【0138】
右側第2モジュール160Bは、車両右側の側面部のうち、車両前後方向中央部付近に配置されている車室外用モジュール160である。本実施形態では一例として前部座席用のドアの外側側面部に配置されているものとする。なお、他の態様として右側第2モジュール160Bは、右側前部座席用のドアハンドル内部や、後部座席用のドアの外側の側面部、右側後部座席用のドアハンドル内部に配置されていてもよい。また、ドア下のロッカー部分や、屋根部の右側縁部に配置されていてもよい。
【0139】
右側第3モジュール160Cは、車両右側の側面部のうち、後部座席用のドアよりも後端部側に配置されている車室外用モジュール160である。本実施形態では一例として
右側第3モジュール160Cは、右側後輪付近に配置されて
いるものとする。車両Vの右側面に配置されている複数の車室外用モジュールのうち、最も前側に位置するものと、最も後ろ側に位置するものとは、車両前後方向において1m以上離れた位置に配置されていることが好ましい。なお、本実施形態において、車両Vの右側面に配置されている複数の車室外用モジュールのうち、最も前側に位置するものとは右側第1モジュール160Aであり、最も後ろ側に位置するものとは右側第3モジュール160Cである。ここでは一例として右側第1モジュール160Aと右側第3モジュール160Cとの距離Dは3m程度に設定されている。距離Dは2mや1.5mなどであってもよい。
【0140】
左側第1モジュール160D、左側第2モジュール160E、及び左側第3モジュール160Fは、既に説明した右側第1モジュール160A、右側第2モジュール160B、及び右側第3モジュール160Cのそれぞれと対をなす車室外用モジュール160である。左側第1モジュール160Dは、車両V の左側の側面部において、右側第1モジュール160Aと反対側となる位置に配置されている。左側第2モジュール160E及び
左側第3モジュール160Fについても
同様に、
車両Vの左側の側面部において
、右側第2モジュール160B、
右側第3モジュール160Cと反対側となる位置に配置され
ていれば良い。例えば左側第2モジュール160Eは、左側前部座席用のドアハンドル内部や、右側後部座席用のドアハンドル内部、ドア下のロッカー部分、屋根部の右側縁部など、右側第2モジュール160Bの搭載位置に対応する場所に配置される。後端部用モジュール160Gは、車両後端部の車幅方向中央部付近に配置されている車室外用モジュール160である。例えば後端部用モジュール160Gは、トランク用のドアハンドル付近に配置されていればよい。
【0141】
もちろん、
各車室外用モジュールの設置位置は、適宜設計されればよく、上述した態様に限らない
。また、
車載システム10が備える車室外用モジュール160の数は、5個以下であっても良い
し、8個以上であってもよい。各車室外用モジュール160は、認証ECU100と相互通信可能に接続されている。
【0142】
本実施形態における
RSSI取得部F4は、複数の近距離通信モジュールのそれぞれからRSSIデータを取得するとともに、取得したRSSIデータを、取得元毎に区別してRSSI記憶部M1に保存
する。
【0143】
また、
位置判定部F6は、各近距離通信モジュールで取得されているRSSIに基づいて、近距離通信モジュール毎のRSSIの移動平均値(つまり平均強度)を算出し、近距離通信モジュール毎の平均強度に基づいて、携帯端末20の位置を判定する
。この位置判定部F6の作動の詳細については別途後述する。
【0144】
次に、図19に示すフローチャートを用いて、第3実施形態の
認証ECU100が実施する位置判定処理
について説明する。図19に示すフローチャートは、図8に示すフローチャート同様に、所定のサンプリング間隔で実施されれば良い。」
「【図19】
192
139
0001430593000011.jpg
」
「【0145】
まず、
ステップS301ではRSSI取得部F4が、複数の近距離通信モジュールのそれぞれからRSSIデータを取得し
てステップS302に移る。ステップS302ではRSSI取得部F4が、ステップS312での処理の結果、登録IDと対応付けられているRSSIデータを取得できたか否かを判定する。
【0146】
ステップS301の処理の結果、複数の近距離通信モジュールの少なくとも何れか1つで、
登録IDと対応付けられているRSSI(つまり携帯端末20のRSSI)を取得できている場合には、ステップS302が肯定判定されてステップS303に移る
。一方、何れの近距離通信モジュールにおいても、登録IDと対応付けられているRSSIを取得できなかった場合には、ステップS302が否定判定されて本フローを終了する。
【0147】
なお、本実施形態では一例として、複数の近距離通信モジュールの少なくとも何れか1つで携帯端末20からの信号を受信できている場合には、ステップS303等の後続する処理を実施するものとするが、これに限らない。車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の両方で携帯端末20のRSSIを取得できていない場合には、ステップS302が否定判定されて本フローを終了させても良い。
【0148】
ステップS303ではRSSI取得部F4が、
ステップS301で
取得した携帯端末20のRSSIをRSSI記憶部M1に保存し
てステップS304に移る。なお、携帯端末20からの信号を受信できていない近距離通信モジュールでの最新のRSSIについては、実際の観測値の代わりに、RSSI検出部1421が出力可能なRSSIの範囲の下限値(換言すれば最小値)を登録するものとする。このような構成によれば、複数の近距離通信モジュールの少なくとも何れか1つが携帯端末20からの信号を受信できている場合には、携帯端末20の位置を判定することができる。
【0149】
ステップS304では位置判定部F6が、RSSI記憶部M1に保存されている各近距離通信モジュールと対応付けられているRSSIに基づいて、各近距離通信モジュールでの平均強度を算出する。近距離通信モジュール毎の平均強度の算出方法は前述の通りである。ステップS304での算出処理が完了するとステップS305に移る。
【0150】
ステップS305では
位置判定部F6が、車室内用モジュール150毎の平均強度に基づいて、車室内用モジュール150に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値(以降、車室内強度代表値)を算出
する。具体的には、
前部座席用モジュール150Aでの平均強度と、後部座席用モジュール150Bでの平均強度とを比較して高い方の平均強度を車室内強度代表値として採用する
。なお、他の態様として、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の平均値であってもよい。また、車載システム10が3つ以上の車室内用モジュール150を備えている場合、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の中央値であってもよい。その他、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の最小値であってもよい。
【0151】
また、ステップS305において
位置判定部F6は、車室外用モジュール160毎の平均強度に基づいて、車室外用モジュール160に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値(以降、車室外強度代表値)を算出
する。ここでは一例として、
車室外用モジュール160毎の平均強度の中で最も大きい値
(つまり最大値)
を、車室外強度代表値として採用する
。
【0152】
なお、他の態様として、車室外強度代表値は、車室外用モジュール160毎の平均強度の平均値であってもよい。また、本実施形態のように車載システム10が3つ以上の車室外用モジュール160を備えている場合、車室外強度代表値は、車室外用モジュール160毎の平均強度の中央値であってもよい。その他、車室外強度代表値は、車室外用モジュール160毎の平均強度の最小値であってもよい。
【0153】
なお、車室内強度代表値と車室外強度代表値とは、同じ基本統計量を用いて決定されるものとする。例えば、車室内強度代表値を車室内用モジュール150毎の平均強度の平均値とする場合には、それに合わせて、車室外強度代表値は車室外用モジュール160毎の平均強度の平均値とするものとする。車室内強度代表値及び車室外強度代表値の算出処理が完了するとステップS306に移る。
【0154】
ステップS306では
位置判定部F6が、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値を算出し
てステップS307に移る。なお、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値は、車室内用モジュール150での受信強度と、車室外用モジュール160での受信強度の差を表すパラメータとして機能する。そのため、
車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値のことを
以降では、
強度差ΔRSSI
と記載する。
【0155】
ステップS307では
位置判定部F6が、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出す
。
前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合
、ステップS308が肯定判定されてステップS309に移る。一方、
前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合
、ステップS308は否定判定されてステップS313に移る。
【0156】
ステップS309では位置判定部F6が、ステップS306で算出されている
強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定する
。ここで用いられるハイレベル閾値は第2実施形態で用いられるハイレベル閾値と同様の技術的思想に基づいて設定されている。
【0157】
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合には
ステップS309が肯定判定されてステップS310に移り、
携帯端末20は車室内に存在すると判定する
。そして、
携帯端末20の位置は車室内であるという判定結果を位置記憶部M2に保存
してステップS311に移る。ステップS311では
次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定
して本フローを終了する。
【0158】
一方、ステップS309において、
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合には
ステップS312に移る。ステップS312では
携帯端末20は車室外に存在すると判定
して本フローを終了する。この場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更されない。
【0159】
ステップS313では
位置判定部F6が、
ステップS306で算出されている
強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定
する。ここで用いられるローレベル閾値は第2実施形態で用いられるローレベル閾値と同様の技術的思想に基づいて設定されている。
【0160】
強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合
にはステップS313が肯定判定されてステップS314に移り、
携帯端末20は車室外に存在すると判定する
。そして、
携帯端末20の位置は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存
してステップS315に移る。
【0161】
一方、ステップS313において、
強度差ΔRSSIがローレベル閾値を超過している場合
にはステップS316に移る。ステップS316では、
携帯端末20は車室内に存在すると判定
して本フローを終了する。この場合次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更されず、ローレベル閾値に設定されたままとなる。なお、図19では省略しているが、ステップS311や、ステップS312、ステップS315、ステップS316の後続処理として、前述の第1実施形態と同様に、認証処理等を実施してもよい。
【0162】
<第3実施形態の効果>
上述した構成によっても第2実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態によれば、第2実施形態が奏する効果に加えて下記の効果も奏する。
【0163】
上述した第3実施形態では、車室内に設けられた近距離通信モジュールでの受信強度の代表値(つまり車室内強度代表値)と、車室外に設けられた近距離通信モジュールでの受信強度の代表値(つまり車室外強度代表値)との差を強度差ΔRSSIとして採用する。このような構成によれば、ユーザの携帯端末20の所持形態によって誤判定が生じる恐れを低減することができる。」
イ 引用文献1の記載から認定できる事項
引用文献1の第3実施形態を説明する段落【0132】には「先に説明した第2実施形態と本実施形態との主たる相違点は、車載システム10が車室内用モジュール150及び車室外用モジュール160をそれぞれ複数備えている点である。」(すなわち、「車載システム10が車室内用モジュール150及び車室外用モジュール160をそれぞれ複数備えている」との相違点以外は、第3実施形態と第2実施形態は概略共通する構成を備えている。)と記載され、第2実施形態を説明する段落【0094】には「本実施形態における車載システム10は、...(中略)...近距離通信モジュールとして、車室内用モジュール150と、車室外用モジュール160と、を備える」と記載されることから、第3実施形態の「室内用モジュール150」及び「車室外用モジュール160」はいずれも「近距離通信モジュール」であることが理解できる。
したがって、引用文献1には、第3実施形態に係る構成として、次の事項が記載されていると認められる。
[認定事項1]
「車載システム10は、近距離通信モジュールとして車室内用モジュール150及び車室外用モジュール160をそれぞれ複数備えること。」
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、第3実施形態に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、引用文献1の特許請求の範囲に記載された「車載器(10)」は、段落【0253】に記載の符号の説明における「10 車載システム(車載器)」との記載等からみて「車載システム10」同じものを示すことが明らかであるから、「車載システム10」に記載を統一した。
また、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「車両に搭載された車載システム10と、前記車両のユーザによって携帯される通信端末であって、送信元情報を含む無線信号を所定時間内に少なくとも一回は送信するように設定されている携帯端末20と、を備えた位置判定システムであって、(【請求項1】)
車載システム10は、認証ECU100を備え、(【0020】)
認証ECU100は、RSSI取得部F4、位置判定部F6を備え、(【0043】)
車載システム10は、近距離通信モジュールとして車室内用モジュール150及び車室外用モジュール160をそれぞれ複数備え、(認定事項1)
近距離通信モジュール140は、アンテナ141、送受信部142及び通信マイコン143を備え、(【0030】)
送受信部142は、アンテナ141で受信した信号の強度(以降、RSSI)を逐次検出するRSSI検出部1421を備え、RSSI検出部1421が検出したRSSIは、受信データに含まれる端末IDと対応付けられて、RSSIデータとして通信マイコン143に逐次提供され、(【0033】)
送受信部142が受信したデータは、通信マイコン143を介して認証ECU100に提供されるものであり、(【0034】)
車載システム10は、車室内用モジュール150として、前部座席用モジュール150A、及び、後部座席用モジュール150Bを備え、(【0134】)
車載システム10は、車室外用モジュール160として、右側第1モジュール160A、右側第2モジュール160B、右側第3モジュール160C、左側第1モジュール160D、左側第2モジュール160E、左側第3モジュール160F、及び、後端部用モジュール160Gとを備え、(【0136】)
右側第3モジュール160Cは、右側後輪付近に配置され、(【0139】)
左側第3モジュール160Fについても、車両Vの左側の側面部において右側第3モジュール160Cと反対側となる位置に配置され、(【0140】)
各車室外用モジュールの設置位置は、適宜設計されればよく、車載システム10が備える車室外用モジュール160の数は、5個以下であっても良いものであり、(【0141】)
認証ECU100が実施する位置判定処理として、(【0144】)
ステップS301ではRSSI取得部F4は、複数の近距離通信モジュールのそれぞれからRSSIデータを取得し、(【0145】)
携帯端末20のRSSIを取得できている場合には、ステップS302が肯定判定されてステップS303に移り、(【0145】)
ステップS303ではRSSI取得部F4が、ステップS301で取得した携帯端末20のRSSIをRSSI記憶部M1に保存し、(【0148】)
位置判定部F6は、車室内用モジュール150ごとの平均強度に基づいて、前部座席用モジュール150Aでの平均強度と、後部座席用モジュール150Bでの平均強度とを比較して高い方の平均強度を、車室内用モジュール150に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値である車室内強度代表値として算出し、(【0150】)
位置判定部F6は、車室外用モジュール160ごとの平均強度に基づいて、車室外用モジュール160ごとの平均強度の中で最も大きい値を、車室外用モジュール160に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値である車室外強度代表値として算出し、(【0151】)
位置判定部F6が、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値であるΔRSSIを算出し、(【0154】)
位置判定部F6が、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出し、(【0155】)
前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合には、(【0155】)、
強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定し、(【0156】)
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合には、携帯端末20は車室内に存在すると判定し、携帯端末20の位置は車室内であるという判定結果を位置記憶部M2に保存し、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定し、(【0157】)
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合には携帯端末20は車室外に存在すると判定し、(【0158】)
前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合には(【0155】)、
位置判定部F6が、強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定し、(【0159】)
強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合には、携帯端末20は車室外に存在すると判定し、携帯端末20の位置は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存し、(【0160】)
強度差ΔRSSIがローレベル閾値を超過している場合携帯端末20は車室内に存在すると判定する【0161】、
位置判定システム。」
(3) 引用文献2~5の記載事項及び技術常識の認定
ア 引用文献2、3に記載された事項及び技術常識1の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特表2007-528948号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【0001】
本発明は、車両固有の識別コードを割り当てられた無線端末を含む携帯機を認証することで車両を制御する車両用遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キーをドアに挿入することなく、車両のドアロックを開閉することができる車両用遠隔操作装置の開発が急速に進められている。図6は従来の車両用遠隔操作システムの構成図、図7は図6における車両用遠隔操作装置の動作シーケンス図である。...(後略)...」
「【図6】
120
117
0001430593000012.jpg
」
「【図7】
83
148
0001430593000013.jpg
」
「【0003】
車両の運転席ドア近傍、助手席ドア近傍に認証信号を送信するアンテナ11,12がそれぞれ設置されている。また、
後部運転席側バンパー内
またはバンパー近傍、
後部助手席側バンパー内
またはバンパー近傍に、
アンテナ13,14がそれぞれ設置されている。アンテナ11,13はそれぞれ範囲11A、13Aにおいて通信可能である
。」
(イ) 引用文献3に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2018-178506号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本開示は、車両用ドア制御システムに関する。
...(中略)...
【0006】
1つの側面では、
車両の左右の少なくとも運転席側における前後方向の異なる位置に設けられる複数のアンテナであって、車両の樹脂製の外板部材に設けられ、携帯型のユーザ端末又は携帯キーからの電波を受信する複数のアンテナ
と、
前記複数のアンテナを介して受信する前記電波に基づいて、前記複数のアンテナのそれぞれと前記ユーザ端末又は前記携帯キーとの距離に応じた指標値を算出する指標値算出部と、
前記指標値に基づいて、前記ユーザ端末又は前記携帯キーが、車両の周囲における所定範囲に存在するか否かを判定する判定部と、
少なくとも2時点での前記指標値に基づいて、前記ユーザ端末又は前記携帯キーの移動方向を算出する移動方向算出部と、
前記ユーザ端末又は前記携帯キーが前記所定範囲に存在し、かつ、前記移動方向が制御対象のドアに近づく成分を有する場合に、制御対象のドアを解錠するドアロック制御部とを含む、車両用ドア制御システムが提供される。
...(中略)...
【0017】
図3は、BLE車載機11の概略構成を示す図である。ここでは、BLE車載機11について説明するが、他のBLE車載機12~14についても実質的に同一である。」
「【図3】
85
147
0001430593000014.jpg
」
「【0024】
図4は、BLE車載機11~14のアンテナ111~141の配置の例とユーザ検知範囲の例を示す図であり、車両の上面視を示す図である。アンテナ121~114は、BLE車載機12~14のアンテナであり、図3のアンテナ111と同様である。」
「【図4】
154
147
0001430593000015.jpg
」
「【0025】
図4に示す例では、
アンテナ111(図4では、"ANT1"と表記)は、車両後部右側に配置され
、アンテナ121(図4では、"ANT2"と表記)は、車両前部右側に配置され、
アンテナ131(図4では、"ANT3"と表記)は、車両後部左側に配置され
、アンテナ141(図4では、"ANT4"と表記)は、車両前部左側に配置される。
【0026】
アンテナ111~141は、
車両の樹脂製の外板部材に設けられ(内蔵される形態を含む)、例えばタイヤハウスを形成する部材や、
バンパ等の樹脂部材内に設けられてよい
。尚、アンテナ111~141が樹脂製の外板部材に内蔵される形態は、インサート成形等により実現されてもよい。
【0027】
ここで、電波は、周波数が高いほど、電波特性のうちの特に損失が大きくなりかつ電波直進性が強くなるという性質がある。従って、例えば2.4GHzが使用周波数である場合、損失が大きくなりかつ電波直進性が強くなる。損失が大きくなることは、通信距離が短くなることを意味する。このため、車室内にアンテナを配置すると、周波数の比較的高い電波は車両外に伝播し難くなる。この点、本実施例では、アンテナ111~141は、樹脂製の外板部材に設けられるので、使用周波数が高い場合でも、車両外に電波を確実に伝播させることができる。」
(ウ) 技術常識1の認定
前記(ア)に摘記した引用文献2の記載事項及び前記(イ)に摘記した引用文献3の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」という。)
なお、引用文献2のバンパは樹脂製であることは記載されていないが、バンパを樹脂製とすることは一般に慣用されていることであり、引用文献2に記載されているに等しいものといえる。
<技術常識1>
「車両後部に設けられ端末と車両との通信を行うための通信部を、樹脂製のリアバンパの内部に設けること。」
イ 引用文献4、5に記載された事項及び技術常識2の認定
(ア) 引用文献4に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2019-158765号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本開示は、車両に搭載されている車載器が、車両を利用するユーザによって携帯される携帯端末の位置を推定する位置判定システムに関する。
...(中略)...
【0034】
データ通信機12、車室内通信機13、及び車室外通信機14は何れも、近距離通信を実施するための通信モジュール(以降、近距離通信機)である。データ通信機12は、認証ECU11が携帯端末2とデータを送受信する役割を担う。車室内通信機13及び車室外通信機14は、携帯端末2から送信された信号の受信強度を認証ECU11に提供する役割を担う。
【0035】
データ通信機12、車室内通信機13、及び車室外通信機14はそれぞれ、担当する役務が異なるだけであり、同一の構成を有する近距離通信機3を用いて実現することができる。以降では、データ通信機12、車室内通信機13、及び車室外通信機14を区別しない場合には、近距離通信機3と記載する。各近距離通信機3は専用の通信線又は車両内ネットワークを介して認証ECU11と相互通信可能に接続されている。
...(中略)...
【0053】
車室内通信機13は、車室内に少なくとも1つ設けられている。図2では便宜上、車室内通信機13を1つしか図示していないが、車載システム1は車室内通信機13を複数備えうる。本実施形態の車載システム1は図4に示すように、車室内通信機13として、フロントエリア通信機13A、トランクエリア通信機13B、リアエリア第1通信機13C、及びリアエリア第2通信機13Dを備える。なお、図4は車両Hvの概念的な上面図であって、種々の車室内通信機13、及び種々の車室外通信機14の設置位置を説明するために屋根部を透過させて示している。」
「【図2】
122
148
0001430593000016.jpg
」
「【図4】
191
148
0001430593000017.jpg
」
「【0062】
以上の車室内通信機13の配置態様によれば、図5に示すように車室内全域が強電界エリアとなる。つまり、車室内全域が強電界閾値以上の電波で充填される。図5は図4に示す構成において、各近距離通信機3が提供する強電界エリアを概念的に示したものである。図5における実線の円は、車室内通信機13が提供する強電界エリアを表している。また、
破線の円弧は、次に説明する車室外通信機14が提供する強電界エリアを表している
。図5では図面の視認性確保のために種々の車室内通信機13及び車室外通信機14についての符号及び引出線の記載は省略している。」
「【図5】
180
147
0001430593000018.jpg
」
「【0063】
図5に於いてドットパターンのハッチングを施している領域は、車室内通信機13が形成する漏れ領域を概念的に表している。車室内通信機13が形成する漏れ領域とは、車室内通信機13が提供する強電界エリアが車室外にはみ出ている領域である。換言すれば、車室内通信機13が送信した信号が所定の強電界閾値以上の強度を保って車室外に到達する領域である。
【0064】
なお、各車室内通信機13の設置位置は、適宜変更可能である。また、車載システム1が備える車室内通信機13の数は、1個や2個、3個など、4個以下であっても良い。車室内通信機13の数は5個以上であってもよい。
...(中略)...
【0066】
車室外通信機14は、車室外の所定範囲が強電界エリアとなるように、例えば、運転席用ドアの外側面や、車両Hvの屋根部、ボンネット、ピラー等に少なくとも1つ配置されている。図2では便宜上、車室外通信機14を1つしか図示していないが、車載システム1は車室外通信機14を複数備えうる。本実施形態の車載システム1は図4に示すように、
車室外通信機14として
、右側面第1通信機14A、右側面第2通信機14B、左側面第1通信機14C、左側面第2通信機14D、
背面第1通信機14E、及び背面第2通信機14Fを備える
。
...(中略)...
【0070】
背面第1通信機14Eは、車両後端部の右コーナー付近に配置されている車室外通信機14である。背面第2通信機14Fは、車両後端部の左コーナー付近に配置されている車室外通信機14である。背面第1通信機14E及び背面第2通信機14Fは車両後方に強電界エリアを形成するための(つまり車両後方用の)車室外通信機14である
。なお、ここでは車両後方用の車室外通信機14を2つ備える構成を開示しているが、これに限らない。車両後方用の車室外通信機14は1つであってもよい。その場合、車両後方用の車室外通信機14は、トランクドアやリアバンパなどにおける車幅方向の中央部に配置されていることが好ましい。車両後方用の車室外通信機14は、トランクドアのドアハンドルや、ナンバープレート付近に設けられていても良い。
...(中略)...
【0076】
また、車載システム1が備える車室外通信機14の数は、2個や3個、4個など、6個以下であっても良いし、8個以上であってもよい。各車室外通信機14は何れも、専用の通信線又は車両内ネットワークを介して認証ECU11と相互通信可能に接続されている。
【0077】
車室内通信機13、及び、車室外通信機14は何れも主として携帯端末2からの信号の受信強度を認証ECU11に報告するための構成である。故に、以降では種々の車室内通信機13及び車室外通信機14のことを、強度観測機とも記載する。各強度観測機は、携帯端末2から送信された信号の受信強度を認証ECU11に提供する。なお、前述の通り、強度観測機の一部又は全部はデータ通信機12としての役割を担っていても良い。」
(イ) 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特表2019-537016号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本開示は、1つ以上の空間的に相関するアンテナを備える、1つ以上の送信機および1つ以上の受信機のシステムを使用して仮想境界を画定することによって、マイクロロケーションゾーンを作成するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアや車両などの機器デバイスにアクセスしたり、その動作を指令したりするための鍵としてのスマートフォンの利用を可能にするために多大な努力が払われてきた。従来のシステムは、送信機と受信機との間の相対的な距離および/または位置を決定するために、通信の信号強度に依存する場合がある。例えば、多くの従来のシステムは、送信機と受信機との間の相対距離および/または位置を決定するために、指向性アンテナを用いて信号強度を測定する。この従来の構成はいくつかの制約を有するが、主な制約は位置精度である。いくつかの要因が位置精度に影響を与える可能性がある。そのような要因の例には、物理的境界、外部物体、および移動物体、ならびに機器デバイスの移動態様が含まれる。従来のシステムは、これらのまたは他の要因の観点から位置精度を達成または維持することができない可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、1つ以上の空間的に相関するアンテナを備える、1つ以上の送信機および1つ以上の受信機のシステムを使用して仮想境界を画定することによって、マイクロロケーションゾーンを作成する方法およびシステムに関する。
...(中略)...
【0259】
例えば図48に示される車両マイクロロケーションシステム100の一実施形態では、システム100は、到着角度(AOA)と、
12個のアンテナを使用することができる
。
1.運転席側をカバーする室外運転席側フロントコーナーの近く、その上、または内部(例えば、運転席側ヘッドライトアッセンブリの運転席側、運転席側フロントクォータパネルトリムの運転席側、運転席側フロントホイールウェル、フロントフェイシャ/バンパーの運転席側、運転席サイドミラー、など)のアンテナ312-1。
2.前側をカバーする室外運転席側フロントコーナーの近く、その上、または内部(例えば、運転席側ヘッドライトアッセンブリの前側、前側の運転席側クォータパネルトリム、フロントフェイシャ/バンパーの運転席の前側、フロントグリルの運転席側、など)のアンテナ312-2。
3.前側をカバーする室外助手席側フロントコーナーの近く、その上、または内部(例えば、助手席側ヘッドライトアッセンブリの前側、前側の助手席側クォータパネルトリム、フロントフェイシャ/バンパーの助手席の前側、フロントグリルの助手席側、など)のアンテナ312-3。
4.助手席側をカバーする室外助手席側フロントコーナーの近く、その上、または内部(例えば、助手席側ヘッドライトアッセンブリの助手席側、助手席側フロントクォータパネルトリムの助手席側、助手席側フロントホイールウェル、フロントフェイシャ/バンパーの助手席側、助手席サイドミラー、など)のアンテナ312-4。
5.助手席側をカバーする室外助手席側リヤコーナーの近く、その上、または内部(例えば、助手席側テールライトアッセンブリの助手席側、助手席側リヤクォータパネルトリムの助手席側、助手席側リヤホイールウェル、リヤフェイシャ/バンパーの助手席側、助手席側後部ドアハンドル、助手席側ガソリンタンクカバー、など)のアンテナ312-5。
6.後側をカバーする室外助手席側リヤコーナーの近く、その上、または内部
(例えば、助手席側テールライトアッセンブリの後側、後側の助手席側クォータパネルトリム、リヤフェイシャ/
バンパーの助手席の後側
、など)のアンテナ312-6。
7.後側をカバーする室外運転席側リヤコーナーの近く、その上、または内部
(例えば、助手席側テールライトアッセンブリの後側、後側の運転席側クォータパネルトリム、リヤフェイシャ/
バンパーの運転席の後側
、など)のアンテナ312-7。
8.運転席側をカバーする室外運転席側リヤコーナーの近く、その上、または内部(例えば、運転席側テールライトアッセンブリの運転席側、運転席側リヤクォータパネルトリムの運転席側、運転席側リヤホイールウェル、リヤフェイシャ/バンパーの運転席側、運転席側後部ドアハンドル、運転席側ガソリンタンクカバー、など)のアンテナ312-8。9.室内をカバーする室内前部中央の近く、その上、または内部(例えば、ダッシュボードの中央、センタースタック、アームレスト、カップホルダー、バックミラー、ヘッドライナーまたはフロントガラスの近くの屋根に取り付けられた眼鏡保管容器の中央、など)のアンテナ312-9。
10.室内をカバーする室内助手席側中央の近く、その上、または内部(例えば、助手席Bピラー、助手席Cピラー、助手席B/Cピラーに近いヘッドライナー、助手席B/Cピラーに近いフロア、助手席前方ドア142、助手席後方ドア142、前方/後方助手席シートの背もたれ/ヘッドレスト、など)のアンテナ312-10。
11.室内をカバーする室内後部中央の近く、その上、または内部(例えば、テールゲート/トランクまたはリヤウィンドウ近くのヘッドライナーの中央、テールゲート/トランクまたはリヤウィンドウ近くのフロアの中央、スペアタイヤウェル、テールゲート/トランク、バンパー、など)のアンテナ312-11.
12.室内をカバーする室内運転席側中央の近く、その上、または内部(例えば、運転席Bピラー、運転席Cピラー、運転席B/Cピラーに近いヘッドライナー、運転席B/Cピラーに近いフロア、運転席前方ドア142、運転席後方ドア142、前方/後方運転席シートの背もたれ/ヘッドレスト、など)のアンテナ312-12。」
「【図48】
159
122
0001430593000019.jpg
」
「【0260】
このシステム100では、携帯デバイス110は、上述の12個のアンテナ312とは別の、車両500の内部に配置されたマスタデバイス120と通信する。
【0261】
このシステム100では、開示されるように、
アンテナ312は
、(例えば、アンテナ312の一方の側が意図的に遮断され、アンテナ312のその側からアンテナ312に信号が届かないようにされるので[すなわち、アンテナアレイが配置される面と反対側のプリント回路基板の面]、または、車両の金属がアンテナ312の一部への信号をブロックするので、など)
180°の視野に制限されるものと仮定される。しかしながら、より広い視野(最大360°)を有するアンテナ312が使用される代替の実施形態が存在する
。図48の図示された実施形態では、前部/後部および側部アンテナ312の視野は互いに垂直である(理想的である)ように示されているが、実装位置および/または実際のアンテナ視野は、様々なアンテナ312の視野が互いに対してわずかな角度となることをもたらたす場合があり、ギャップまたはオーバーラップのいずれかを生じる。」
(ウ) 技術常識2の認定
前記(ア)に摘記した引用文献4の記載事項、前記(イ)に摘記した引用文献5の記載事項、及び前記ア(ア)に摘記した引用文献2の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識2」という。)
<技術常識2>
「携帯端末と通信を行う車両の室外通信部を車両後方の左右に配置することや、そのように配置すれば、送信される電波が車両の後方側と車両の側面側に広がること。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Aの観点(データ取得部)
a 構成Aは、「車両の車外側に設けられた室外通信部と端末の間、及び前記車両の車内側に設けられた室内通信部と前記端末との間の各々で、電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら前記受信信号強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部」を備えることである。
b 引用発明における「車両」及び「通信端末」はそれぞれ、本件補正発明における「車両」及び「端末」に相当する。また、引用発明における「アンテナで受信した信号の強度」すなわち「RSSI」は、本件補正発明の「信号受信強度」に相当する。
c 引用発明における「車室内用モジュール150」、「前部座席用モジュール150A」及び「後部座席用モジュール150B」は、その機能からみて、いずれも本件補正発明における「室内通信部」に相当する。同様に、引用発明における「車室外用モジュール160」、「右側第1モジュール160A」、「右側第2モジュール160B」、「右側第3モジュール160C」、「左側第1モジュール160D」、「左側第2モジュール160E」、「左側第3モジュール160F」及び「後端部用モジュール160G」はいずれも本件補正発明における「室外通信部」に相当する。
d 引用発明の「近距離通信モジュール」は、「アンテナ141で受信した信号の強度(以降、RSSI)を逐次検出するRSSI検出部1421を備え、RSSI検出部1421が検出したRSSIは、受信データに含まれる端末IDと対応付けられて、RSSIデータとして通信マイコン143に逐次提供され[る]」のであるから、引用発明の「近距離通信モジュール」である「車室内用モジュール150」と「車室外用モジュール160」はいずれも「携帯端末20」との間で電波が通信され、受信信号強度が測定されることは明らかである。
e また、引用発明の「ECU100」に含まれる「RSSI取得部F4は、複数の近距離通信モジュールのそれぞれからRSSIデータを取得し」、「携帯端末20のRSSIを取得できている場合には」「携帯端末20のRSSIをRSSI記憶部M1に保存」するのであるから、引用発明の「RSSI取得部F4」及び「RSSI記憶部M1」は、本件補正発明における「電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら受信強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部」に相当するものと認められる。
f したがって、本件補正発明と引用発明とは、「車両の車外側に設けられた室外通信部と端末の間、及び前記車両の車内側に設けられた室内通信部と前記端末との間の各々で、電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら前記受信信号強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部」を備える点で一致する。
(イ) 構成Bの観点(位置判定部)
a 構成Bは、「前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの大小比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車内のどちらに位置するかを判定する位置判定部」を備えることである。
b 引用発明における「位置判定部F6は、車室内用モジュール150ごとの平均強度に基づいて、前部座席用モジュール150Aでの平均強度と、後部座席用モジュール150Bでの平均強度とを比較して高い方の平均強度を、車室内用モジュール150に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値である車室内強度代表値として算出」するものであるところ、前記「車室内強度代表値」は本件補正発明の「前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データ」に相当する。同様に、「車室外強度代表値」は、本件補正発明の「前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データ」に相当する。
c 引用発明の「位置判定部F6」は、「位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出し、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合には、強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定し、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合には、携帯端末20は車室内に存在すると判定、携帯端末20の位置は車室内であるという判定結果を位置記憶部M2に保存し、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定し、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合には携帯端末20は車室外に存在すると判定し、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合には、位置判定部F6が、強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定し、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合には、携帯端末20は車室外に存在すると判定、携帯端末20の位置は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存し、強度差ΔRSSIがローレベル閾値を超過している場合携帯端末20は車室内に存在すると判定する」ものである。すなわち、引用発明では、前回の位置判定結果が車室外であれば「ハイレベル閾値」を用いた判定を、車室内であれば「ローレベル閾値」を用いた判定を行うものであって、要するに「位置判定部F6」は「車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値であるΔRSSIを算出」し、この値を「ローレベル閾値」又は「ハイレベル閾値」と比較して携帯端末が車室内または車室外に存在すると判定するものである、ということができる。
d そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの」「比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車外のどちらに位置するかを判定する位置判定部」を備える点で一致するものといえるが、その「比較」の方法について、本件補正発明では「大小比較」行うのに対し、引用発明では、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値であるΔRSSIをローレベル閾値又はハイレベル閾値と比較する点で相違している。
e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び一応の相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Bの観点における一致点
「前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車内のどちらに位置するかを判定する位置判定部」を備える点
(b) 構成Bの観点における相違点
「前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの比較」の方法が、
本件補正発明では「大小比較」であるのに対し、
引用発明では、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値であるΔRSSIをローレベル閾値又はハイレベル閾値と比較する点。
(ウ) 構成C1~C6の観点(室外通信部の配置)
a 構成C1は、「前記室外通信部は、前記車両の後輪の周囲に存在するボディ部品の内部に配置されて[いる]」ことである。
構成C2は、「前記室外通信部は、第1室外通信部と第2室外通信部とを有[する]」ことである。
構成C3は、「前記第1室外通信部は、前記車両の右側に配置されて[いる]」ことであり、構成C4は「前記第2室外通信部は、前記車両の左側に配置されて[いる]」ことである。
構成C5は、「前記ボディ部品は、前記車両の樹脂製のリアバンパであ[る]」ことである。
構成C6は「前記第1室外通信部及び前記第2室外通信部は、前記リアバンパの内部に配置されている」ことである。
b 引用発明の「右側第3モジュール160C」及び「左側第3モジュール160F」はそれぞれ、本件補正発明の「第1室外通信部」及び「第2室外通信部」に相当する。
c 引用発明の「右側第3モジュール160Cは、右側後輪付近に配置」され、「左側第3モジュール160F」は「車両Vの左側の側面部において右側第3モジュール160Cと反対側となる位置に配置」されるのであるから、引用発明の「車室外用モジュール160」は、本件補正発明の「室外通信部」と同様に「車輪の後輪の周囲に存在するボディ部品」に「配置されて[いる]」ものといえる。また、「右側第3モジュール160C」は車両の右側に配置され、「左側第3モジュール160F」は車両の左側に配置されるものであることもまた、明らかである。
d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成C1~C6の観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成C1~C6の観点における一致点
「前記室外通信部は、前記車両の後輪の周囲に存在するボディ部品に配置され、前記室外通信部は、第1室外通信部と第2室外通信部とを有し、前記第1室外通信部は、前記車両の右側に配置され、前記第2室外通信部は、前記車両の左側に配置される」点
(b) 構成C1~C6の観点における相違点
「ボディ部品」が、
本件補正発明では「樹脂製のリアバンパであり、前記第1室外通信部及び前記室外通信部は、前記リアバンパの内部に配置されている」のに対し、
引用発明では具体的な「ボディ部品」が明らかでなく、また「ボディ部品」の「内部」に「車室外用モジュール」が配置されるものであるのか不明である点。
(エ) 構成D1~D2の観点(室外通信部の電波の範囲)
a 構成D1は、「前記第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がるとともに前記第2室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」ことである。
構成D2は、「前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がるとともに前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」ことである。
b 引用発明の「右側第3モジュール160C」及び「左側第3モジュール160F」から送信される電波の範囲は、明らかでない。したがって、引用発明は、本件補正発明の構成D1及びD2に相当する構成を備えているか不明であるから、本件補正発明と引用発明は、次の点において一応相違する。
本件補正発明は「前記第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がるとともに前記第2室外通信部に届く位置に配置され」、「前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がるとともに前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」のに対し、引用発明はそのような配置であるのか不明である点。
ここで、検討の便宜上、前記相違点を以下のように整理する。
[相違点D1]
本件補正発明では、「第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がり、前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がる」のに対し、引用発明ではそのような構成を有するのか不明である点。
[相違点D2]
本件補正発明では、「第1室外通信部は、送信される前記電波が前記第2室外通信部に届く位置に配置され、第2室外通信部は、送信される前記電波が前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」のに対し、引用発明ではそのような構成を有するのか不明である点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点、相違点及び一応の相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。
(ア) 一致点
「 車両の車外側に設けられた室外通信部と端末の間、及び前記車両の車内側に設けられた室内通信部と前記端末との間の各々で、電波が通信されて受信信号強度が測定された場合に、これら前記受信信号強度の受信信号強度データを取得するデータ取得部と、
前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの比較の結果から、前記端末が、前記車両の車外及び車内のどちらに位置するかを判定する位置判定部と、を備え、
前記室外通信部は、前記車両の後輪の周囲に存在するボディ部品に配置されており、
前記室外通信部は、第1室外通信部と第2室外通信部とを有し、
前記第1室外通信部は、前記車両の右側に配置されており、
前記第2室外通信部は、前記車両の左側に配置されている位置判定システム。」である点。
(イ) 相違点
a 一応の相違点1
「前記室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データと、前記室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データとの比較」の方法が、
本件補正発明では「大小比較」であるのに対し、
引用発明では、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値であるΔRSSIをローレベル閾値又はハイレベル閾値と比較する点。
b 相違点2
「ボディ部品」が、
本件補正発明では「樹脂製のリアバンパであり、前記第1室外通信部及び前記室外通信部は、前記リアバンパの内部に配置されている」のに対し、
引用発明では具体的な「ボディ部品」が明らかでなく、また「ボディ部品」の「内部」に「車室外用モジュール」が配置されるものであるのか不明である点。
c 一応の相違点3
本件補正発明は「第1室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がり、前記第2室外通信部は、送信される前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がる」のに対し、引用発明はそのような構成を有するのか不明である点。
d 相違点4
本件補正発明は「第1室外通信部は、送信される前記電波が前記第2室外通信部に届く位置に配置され、第2室外通信部は、送信される前記電波が前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」のに対し、引用発明はそのような構成を有するのか不明である点。
(5) 判断
ア 一応の相違点1について
(ア) 本件補正発明における「大小比較」
本件補正発明における「大小比較」との語句の意味内容について検討すると、本願明細書の段落【0030】には「データ取得部33は、受信信号強度Aの平均値を計算し、その計算結果を第1室外通信部16aと端末2との通信で得た受信信号強度データDa(以降、データDa)とする。また、データ取得部33は、受信信号強度Bの平均値を計算し、その計算結果を第2室外通信部16bと端末2との通信で得た受信信号強度データDb(以降、データDb)とする。データ取得部33は、受信信号強度Cの平均値を計算し、その計算結果を室内通信部17と端末2との通信で得た受信信号強度データDc(以降、データDc)とする。データDa及びデータDbが「第1受信信号強度データ」に該当する。データDcが「第2信号強度データ」に該当する」と記載され、段落【0031】には「位置判定部311は、データDa,Db、及びデータDcの大小を比較することにより、端末2が車両1の室内及び室外のどちらに位置するかを判定する」と記載されている。ここで、大小比較を行うにあたり、段落【0033】には「
第1受信信号強度データとしてのデータDa,Dbと、第2受信信号強度データとしてのデータDcとの少なくとも一方を補正する補正部34を備えている
。本実施形態の補正部34は、
予め設定された補正量Fによって補正を行う
。位置判定部31は、
補正部34によって補正された後のデータDa、データDb、及びデータDcを用いての大小比較を行う
」とも記載されている。そうすると、例えば第2受信信号強度データとしてのデータDcに補正量Fが加わる場合には、データDaとデータDcとの大小関係は、データDaとデータDc+Fとの大小関係を比較することになる。換言すれば、データDcとデータDaとの差を閾値Fと比較していることと、数学的にみて同値である。
(イ) 引用発明との対比
引用発明は、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値であるΔRSSIと閾値とを比較して、携帯端末20が車室内又は車室外のいずれであるかを判別するものである。そして、前記(ア)で検討したように、本件補正発明における「大小比較」は、実質的には「室内通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データ」と「室外通信部及び前記端末の通信で得た前記受信信号強度データ」との差を閾値Fと比較することを含むのであるから、一応の相違点1は、実質的にみて相違点ではない。
イ 相違点2について
前記(3)ア(ウ)で検討したように、「車両後部に設けられ端末と車両との通信を行うための通信部を、樹脂製のリアバンパの内部に設けること」(技術常識1)は技術常識であるところ、技術常識1の構成が、通信部を電磁遮蔽されない位置に配置するためのものであることは、当業者にとって自明といえる。してみれば、引用発明における「右側第3モジュール160C」及び「左側第3モジュールF」についても、電磁遮蔽されない位置に配置するとの観点から、車両に設けられた樹脂製のリアバンパの内部に設置することとして、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
ウ 一応の相違点3について
一般に、アンテナから送信される電波は、アンテナを中心に、相当な範囲の空間に広がることから(前記(3)イ(ウ)で認定した技術常識2「携帯端末と通信を行う車両の室外通信部を、車両後方の左右に分けて配置することや、そのように配置すれば、送信される電波が車両の後方側と車両の側面側に広がること。」)も参照されたい。)、引用発明における「右側第3モジュール160C」から送信される前記電波もまた「前記車両の後方側と前記車両の右側とに拡がり」、「左側第3モジュール160F」から送信される電波もまた「前記電波が前記車両の後方側と前記車両の左側とに拡がる」ものと認められる。
してみれば、この点は実質的にみて相違点ではない。また仮にこの点が相違点であるとしても、そのような配置とすることは、当業者が適宜なし得た設計的な事項にすぎないものと認められる。
エ 相違点4について
(ア) 本件補正発明における「前記第1室外通信部は、送信される前記電波が」「前記第2室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」ことや「前記第2室外通信部は、送信される前記電波が」「前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」ことについては、本願明細書のどこにも明示的な記載がなく、また図面からも直ちに明らかとはいえない(審判請求書では段落【0028】、【0047】及び図8を補正の根拠と説明しているが、これら記載のどこから前記構成が読み取れるのかは明らかではない。)。
しかし、本件補正発明における「室外通信部」は「樹脂製」の「リアバンパの内部」に設けられており(すなわち、電磁遮蔽されておらず)、また一般に電波は、相当な範囲の空間に広がることが技術常識であることを考慮すると、前記の「前記第1室外通信部は、送信される前記電波が」「前記第2室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」ことや「前記第2室外通信部は、送信される前記電波が」「前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」ことは、「室外通信部」を「樹脂製」の「リアバンパの内部」に設けたことから、当然に生じる作用効果を記載したものと考えられる。換言すれば、本願明細書に直接の記載はなくとも、技術常識を考慮すれば本願明細書に記載されていたに等しい事項を請求項1に記載したものと考えられる。
(イ) そうすると、前記イにおいて検討したとおり、引用発明において「右側第3モジュール160C」及び「左側第3モジュール160F」を車両に設けられた樹脂製のリアバンパの内部に設けることは当業者が容易に想到できたのであるから、当該容易に想到できた構成もまた当然に、本件補正発明の「前記第1室外通信部は、送信される前記電波」が「前記第2室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」、及び「前記第2室外通信部は、送信される前記電波が」「前記第1室外通信部に届く位置に配置されて[いる]」との要件を満たすこととなる。
(ウ) また仮にそのように認められないとしても、「右側第3モジュール160C」や「左側第3モジュール160F」の位置をどのようにするかは当業者が適宜設計できたものと認められるから、「右側第3モジュール160C」を、通信される電波が「左側第3モジュール160F」に届く位置に配置し、「左側第3モジュール160F」を、通信される電波が「右側第3モジュール160C」に届く位置に配置することは、当業者が容易に想到できたことである。
(エ) 前記(ア)~(ウ)で検討したことから、相違点4に係る本件補正発明の構成は、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。
オ 総合評価
前記ア~エにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~4を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、概略、次のとおりの主張をしている。
引用発明では、車室外用モジュール160Cは、右側後輪付近に設置されていると記載されているに留まり、取り付けられる箇所の材質に関する記載がない。図18の開示内容から、車室外用モジュール160Cの取り付け位置はボディであり、ボディの材質は金属であって、金属は電波を遮蔽するので、車室外用モジュール160Cが送信する電波が、金属を介して反対側にある車室外用モジュール160Fの位置まで届くことは難しい。
(イ) 請求人の主張についての検討
車室外用モジュール(右側第3モジュール)160Cを樹脂製のリアバンパの内部に設けることは、前記イで検討したとおり、当業者が容易に想到できたものと認められる。そのように構成した場合には、車室外用モジュール160Cが送信する電波が車室外用モジュール160Fの位置まで到達することもまた、前記エで検討したとおりである。またそもそも、車室外用モジュール160Cが送信する電波が車室外用モジュール160Fの位置まで到達することの技術上の意義も不明である(前記エ(ア)も参照されたい。)。
してみれば、前記請求人の主張によって、本件補正発明の進歩性を肯定することができない。
キ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
前記3(5)キのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2018-141771号公報(主たる引用文献)
引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びウにおいて示したとおりである。
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のアからウに示した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明、技術常識1及び技術常識2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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