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Trademark Appeal Case

特許訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024700867
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7447520号の明細書、特許請求の範囲を令和7年7月23日付け訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、8について訂正することを認める。
特許第7447520号の請求項1~5、8に係る特許を維持する。
特許第7447520号の請求項6、7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7447520号(以下「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和2年2月6日に出願され、令和6年3月4日にその特許権の設定登録がされ、同年3月12日に特許掲載公報が発行された。

その後、同年9月11日に特許異議申立人林尚子(以下「申立人」という。)により本件特許の全請求項(請求項1~8)に対して特許異議の申立てがされた。

さらにその後の経緯は次のとおりである。

令和6年12月20日付け 取消理由通知書

令和7年 2月21日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)

同年 4月16日 意見書の提出(申立人)

同年 5月23日付け 取消理由通知書(決定の予告)

同年 7月23日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)

同年 9月 2日 意見書の提出(申立人)

第2 訂正の適否についての判断

1 請求の趣旨、訂正の内容

(1)請求の趣旨

令和7年7月23日に特許権者により行われた、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許第7447520号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7,8について訂正することを求める、というものである。

(2)訂正の内容

本件訂正の内容(以下「訂正事項」という。)は次のとおりである。なお、下線部は訂正箇所である。

ア 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「

鍵盤

楽器」という事項、「

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部」という事項、「

複数の

発光部」という事項、「

各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が前記第1の態様に切り替わり、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに、

」という事項、及び、「

前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる

」という事項を追加し、

「【請求項1】

鍵盤

楽器の外観を構成する外装部材に隣接して配置されるタッチパネルと、

前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替える切替部とを備え、

前記タッチパネルは、

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部と、

前記

複数の

発光部の上部に配置されるフィルムと、

を有し、

前記フィルムは前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、

各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が第1の態様に切り替わり、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに

、前記

複数の

発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わ

り、前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる、鍵盤

楽器用表示装置。」に訂正する。

イ 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項6を削除する。

ウ 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項7を削除する。

エ 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項8に「

鍵盤

楽器」という事項、「

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部」という事項、「

複数の

発光部」という事項、「

各発光部を発光させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様に切り替えて、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに、

」、及び、「

前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる

」という事項を追加し、

「【請求項8】

鍵盤

楽器の外観を構成する外装部材に隣接してタッチパネルを配置し、

前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替え、

前記タッチパネルは、

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部と、前記

複数の

発光部の上部に配置されるフィルムとを有し、前記フィルムは前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、

前記切り替えることは、

各発光部を発光させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様に切り替えて、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに、

前記

複数の

発光部の発光を停止させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第2の態様に切り替え

、前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる、鍵盤

楽器用表示装置の表示切替方法。」に訂正する。

オ 訂正事項5

明細書の【発明の名称】における「楽器用表示装置および楽器用表示装置の表示切替方法」を「

鍵盤

楽器用表示装置および

鍵盤

楽器用表示装置の表示切替方法」に訂正する。

2 訂正の適否について

(1)訂正事項1について

訂正事項1は、訂正前の請求項1における「楽器」及び「発光部」を、それぞれ「

鍵盤

楽器」及び「

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部」に限定するとともに、訂正前の請求項1における「前記発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わる」という特定事項を「

各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が第1の態様に切り替わり、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに

、前記

複数の

発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わ

り、前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる

」ことに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

訂正事項1のうち「

鍵盤

楽器」については、願書に添付した明細書の【0025】に「電子楽器1は、図4に示すように、鍵盤10・・・を備える。」と記載されている。

訂正事項1のうち「

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部」については、願書に添付した明細書の【0022】に「LCD・ガラス積層体21の下部には、複数のリブ23が設けられ、リブ23によって区切られた空間にバックライト用のLED24が配置されている。」と記載され、【0023】に「一部のLED24を点灯させたとき、隣接する開放部22Aによって形成された文字、記号などにLED24の光が漏れないため、点灯させたLED24に対応する文字、記号だけを鮮明に表示させることができる。」と記載されている。

訂正事項1のうち「

各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が第1の態様に切り替わり、

」「

前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示する

」ことについては、【0019】に「タッチパネル20は、電子楽器1に対する各種の設定操作を行うための操作ボタンを表示する。タッチパネル20は、また、電子楽器1で動作中の機能やモードなどの情報を表示する。・・・タッチパネル20が点灯し、タッチパネル20が各種の情報を表示している図1の状態を第1の態様とする。」と記載され、【0023】に「LED24を点灯させることによって、開放部22Aによって形成された文字、記号などを情報として提示可能である。また、開放部22Aによって形成される文字、記号などは、リブ23によって仕切られている。」と記載され、【0043】に「電子楽器1のタッチパネル20は、第1の態様において、情報提示対象者に対して情報を視認可能に表示する。」と記載されている。

さらに、前記鍵盤楽器の機能または設定が「

鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む

」ことについては、【0026】に「操作入力部102は、例えば、演奏音の調整、自動伴奏音の選択・・・の操作を入力する。」と記載されている。

また、訂正事項1のうち「

前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる

」ことについては、【0032】に「所定機能とは、常時タッチパネル20を点灯させた状態で実行する機能である。」と記載され、【0034】~【0035】に「・・・パネル操作がされた場合であって、タッチパネル20が消灯していれば、タッチパネル20が点灯される。そして、切替部110は、タイマー109を起動させる(ステップS305)。・・・ステップS305・・・の後、CPU106は、ステップSA1~SA3の処理を実行する。まず、CPU106は、タッチパネル20に対する操作位置を検出する(ステップSA1)。続いて、CPU106は、操作位置に応じた機能あるいは設定を特定する(ステップSA2)。そして、CPU106は、特定した機能を実行可能である場合は、特定した機能を実行し、あるいは、特定した設定が設定可能であれば、特定した設定を行う(ステップSA3)。」と記載されている。

以上から、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

上記のとおり、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張や変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について

訂正事項2は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3について

訂正事項3は、訂正前の請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(4)一群の請求項について

訂正前の請求項2~7は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用し、請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

そして、訂正事項1~3は、一群の請求項〔1~7〕についてされたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項4について

訂正事項4は、訂正前の請求項8における「楽器」及び「発光部」を、それぞれ「

鍵盤

楽器」及び「

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部」に限定するとともに、訂正前の請求項8における「前記発光部の発光を停止させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第2の態様に切り替える」という特定事項を「

各発光部を発光させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様に切り替えて、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに、

前記

複数の

発光部の発光を停止させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第2の態様に切り替え

、前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる

」ことに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

訂正事項1のうち「

鍵盤

楽器」については、願書に添付した明細書の【0025】に「電子楽器1は、図4に示すように、鍵盤10、・・・を備える。」と記載されている。

訂正事項4のうち「

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の

発光部」については、願書に添付した明細書の【0022】に「LCD・ガラス積層体21の下部には、複数のリブ23が設けられ、リブ23によって区切られた空間にバックライト用のLED24が配置されている。」と記載され、【0023】に「一部のLED24を点灯させたとき、隣接する開放部22Aによって形成された文字、記号などにLED24の光が漏れないため、点灯させたLED24に対応する文字、記号だけを鮮明に表示させることができる。」と記載されている。

訂正事項4のうち「

各発光部を発光させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様に切り替えて、前記楽器の機能又は設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示する

」ことについては、【0019】に「タッチパネル20は、電子楽器1に対する各種の設定操作を行うための操作ボタンを表示する。タッチパネル20は、また、電子楽器1で動作中の機能やモードなどの情報を表示する。・・・タッチパネル20が点灯し、タッチパネル20が各種の情報を表示している図1の状態を第1の態様とする。」と記載され、【0023】に「LED24を点灯させることによって、開放部22Aによって形成された文字、記号などを情報として提示可能である。また、開放部22Aによって形成される文字、記号などは、リブ23によって仕切られている。」と記載され、【0043】に「電子楽器1のタッチパネル20は、第1の態様において、情報提示対象者に対して情報を視認可能に表示する。」と記載されている。

さらに、前記鍵盤楽器の機能または設定が「

鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む

」ことについては、【0026】に「操作入力部102は、例えば、演奏音の調整、自動伴奏音の選択・・・の操作を入力する。」と記載されている。

また、訂正事項1のうち「

前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる

」ことについては、【0032】に「所定機能とは、常時タッチパネル20を点灯させた状態で実行する機能である。」と記載され、【0034】~【0035】に「・・・パネル操作がされた場合であって、タッチパネル20が消灯していれば、タッチパネル20が点灯される。そして、切替部110は、タイマー109を起動させる(ステップS305)。・・・ステップS305・・・の後、CPU106は、ステップSA1~SA3の処理を実行する。まず、CPU106は、タッチパネル20に対する操作位置を検出する(ステップSA1)。続いて、CPU106は、操作位置に応じた機能あるいは設定を特定する(ステップSA2)。そして、CPU106は、特定した機能を実行可能である場合は、特定した機能を実行し、あるいは、特定した設定が設定可能であれば、特定した設定を行う(ステップSA3)。」と記載されている。

以上から、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

上記のとおり、訂正事項4は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張や変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(6)訂正事項5について

訂正事項5は、明細書の【発明の名称】の欄の記載を訂正するものであって、請求項1が「

鍵盤

楽器」へと訂正されたのに合わせて、発明の名称の記載を特許請求の範囲の記載と整合させる訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

訂正事項5の「

鍵盤

楽器」については、願書に添付した明細書の【0025】に「電子楽器1は、図4に示すように、鍵盤10、・・・を備える。」と記載されているから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

上記のとおり、訂正事項5は、発明の名称を訂正するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張や変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

そして、発明の名称は全ての請求項に関係するものであり、本件訂正の請求は全ての請求項に対してなされている。よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第4項に適合するものである。

3 訂正の適否についてのまとめ

以上のとおり、訂正事項1~5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項で準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するものである。

したがって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、8について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の発明

本件訂正請求により訂正された請求項1~8に係る発明(以下「本件訂正発明1」~「本件訂正発明8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

〔本件訂正発明1〕【請求項1】

鍵盤楽器の外観を構成する外装部材に隣接して配置されるタッチパネルと、

前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替える切替部とを備え、

前記タッチパネルは、

複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の発光部と、

前記複数の発光部の上部に配置されるフィルムと、

を有し、

前記フィルムは前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が第1の態様に切り替わり、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに、前記複数の発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わり、前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる、鍵盤楽器用表示装置。

〔本件訂正発明2〕【請求項2】

前記切替部は、第1の条件が成立したとき、前記タッチパネルを前記第2の態様から前記第1の態様に切り替え、前記第1の条件は、前記タッチパネルに対する操作の検出を含む、請求項1に記載の楽器用表示装置。

〔本件訂正発明3〕【請求項3】

前記第1の条件は、前記楽器における所定機能の実行を含む、請求項2に記載の楽器用表示装置。

〔本件訂正発明4〕【請求項4】

前記切替部は、前記第1の条件が成立しない状態が所定時間継続したとき、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様から前記第2の態様に切り替える、請求項2または請求項3に記載の楽器用表示装置。

〔本件訂正発明5〕【請求項5】

前記切替部は、前記楽器において演奏音が出力される間、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様から前記第2の態様に切り替える、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の楽器用表示装置。

〔本件訂正発明6〕【請求項6】(削除)

〔本件訂正発明7〕【請求項7】(削除)

〔本件訂正発明8〕【請求項8】

鍵盤楽器の外観を構成する外装部材に隣接してタッチパネルを配置し、

前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替え、

前記タッチパネルは、複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される複数の発光部と、前記複数の発光部の上部に配置されるフィルムとを有し、前記フィルムは前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、

前記切り替えることは、各発光部を発光させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第1の態様に切り替えて、鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む前記鍵盤楽器の機能または設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた複数の情報を視認可能に表示するとともに、前記複数の発光部の発光を停止させることにより、前記タッチパネルの外観を前記第2の態様に切り替え、前記機能または設定には前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる、鍵盤楽器用表示装置の表示切替方法。

第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について

令和7年5月23日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨及び申立人により提出された証拠は次のとおりである。

なお、以下、甲第1号証~甲第15号証をまとめて「甲号証」という。

理由1(進歩性)

令和7年2月21日にされた訂正請求により訂正された請求項1~5、8に係る発明は、甲第7号証に記載された発明、甲第6、8号証に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5、8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

理由2(実施可能要件)

本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が令和7年2月21日にされた訂正請求により訂正された請求項6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、請求項6に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

甲第1号証:特開2008-53050号公報

甲第2号証:特開2010-120487号公報

甲第3号証:特開2017-78947号公報

甲第4号証:特開2018-97202号公報

甲第5号証:特開2020-3569号公報

甲第6号証:特開2002-221963号公報

甲第7号証:特開2016-54167号公報

甲第8号証:特開2017-181651号公報

甲第9号証:特開2009-76293号公報

甲第10号証:特開2019-66657号公報

甲第11号証:特開2013-228713号公報

甲第12号証:特開2014-142637号公報

甲第13号証:特開2005-284075号公報

甲第14号証:特開2007-248741号公報

甲第15号証:特開2006-259610号公報

第5 甲号証について

1 甲第7号証について

(1)記載事項

甲第7号証には次の記載がある。なお、以降の下線は当審において付されたものである。

「【0001】

本発明は、

鍵盤楽器その他の機器を操作するためのスイッチ

及びこのスイッチを用いた鍵盤楽器に関する。」

「【0015】

次に、請求項4に記載したように、請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチであって、タッチセンサを、透光性表面板に触れていない距離であって、タッチセンサから予め定められた位置に操作者の手がかざされた第1検出、及び、透光性表面板へのタッチ操作を検出する第2検出が可能なセンサとして構成し、制御手段には、タッチセンサにより第1検出がなされると、発光手段に第1の発光を行わせ、第2検出がなされると第2の発光を行わせるようにしてもよい。

【0016】

このようにすると、

スイッチに手を近づけるまでは、透光性表面板が周りの筐体の色と同じ色で着色され、かつ筐体の表面と面一に構成されているので筐体上で目立たないが、スイッチに手を近づけると第1の発光がなされるのでスイッチの位置を操作者にわかりやすく表示することができ、さらにタッチ操作が行われると第2の発光がなされるのでスイッチが操作されたことを操作者にわかりやすく表示することができる。

「【0024】

以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。

尚、本実施形態の鍵盤楽器は、演奏者側を前方とするものであるので、以下では、演奏者側を前方または正面として説明する。

[全体構造]

本実施形態の鍵盤楽器1は、図1に示すように、88本の鍵を有する鍵盤2を備える電子ピアノであり、鍵盤2の左方に配置される拍子木3は、この鍵盤楽器1を操作するための操作パネルとして用いられている。

【0025】

この拍子木3は複数のスイッチを備えており、これら各スイッチは、表面が拍子木3の表面と同じ色に着色され、かつ拍子木3と面一に構成されている。そのため、本実施形態の鍵盤楽器1では、通常時、各スイッチが拍子木3のいずれの場所にあるのか分からない。

[スイッチの構造]

次に、拍子木3に備えられた各スイッチについて説明する。

【0026】

本実施形態の

拍子木3に備えられた各スイッチ30は、図2に示すように、操作をすると、A~I、I~III、1~3、〒、※、〆をそれぞれの数字や記号などの模様と、それを囲う枠が光るようにされている。

【0027】

また、

拍子木3の裏面側には、各スイッチ30の操作により、操作パネルとしての拍子木3を制御する制御装置7を備えている。

次に、スイッチ30の構造を説明する。

【0028】

スイッチ30は、図3に示すように、基板31と、この基板31上に実装され、操作者のタッチ操作を検出するタッチセンサ32と、このタッチセンタ32上に積層された導光板33とを備えている。

【0029】

また、スイッチ30は、基板31上に実装されるとともに導光板33の左右の周囲側面に対向する位置にそれぞれ配置されるLED34a、34bと、導光板33の上面に対向する位置に配置されるとともに拍子木3の表面に対し面一に配置され、拍子木3と同色のスモークアクリル35とを備えている。

【0030】

さらに、スイッチ30は、導光板33の上面に対向する部分を除く、スモークアクリル35と拍子木3の表面を形成する部分の裏面には、LED34a、34bから発される光を遮光するシート36が積層されている。このシート36によりLED34a、34bから発される光が、スモークアクリル35を介して直接外部に出光することが防止される。

【0031】

このように構成されたスイッチ30のうち、導光板33の周囲側面33aは、図3(a)に示すように、導光板33の底面の縁部33bが導光板33の上面の縁部33cの内側に配置され、かつ、同心状に配置される形状に直線状に斜めに面取りされている。また、導光板33の裏面には、各スイッチに割り当てられた模様(図3(a)では「A」)を象って削られた削部33dが形成されている。

【0032】

また、LED34aとLED34bは、点灯すると、それぞれ黄色と赤色の光を発光するものが用いられている。

また、タッチセンサ32は、操作者がスモークアクリル35に触れていない距離であって、このタッチセンサ32から予め定められた位置(本実施形態では拍子木3の表面から2cm上方)に操作者の手がかざされたたことと(以下「第1検出」という)、操作者がスモークアクリル35にタッチし、その触れた圧力が導光板33を介して伝達されたことと(以下「第2検出」という)を検出可能なセンサが用いられている

(アトメル社製、製品名「QTouch」)。

【0033】

このように構成されたスイッチ30において、タッチセンサ32で第1検出又は第2検出がなされて、LED34a、34bのいずれかが点灯すると、面取りされた導光板33の周囲側面でLED34a又はLED34bから照射された光が散乱しながら導光板33内に取り込まれて導光板33全体に拡散し、その拡散した光が、導光板33の内部で導光板33の周囲側面33aに当たって反射及び散乱を繰り替えすため、導光板33に設けられた削部33dに光が均等に当たって、その光りが削部33dで乱反射する。

【0034】

そのため、本実施形態では

LED34a又はLED34bを点灯させると、

削部33dが設けられた部分をその周囲よりも明るく照らすことができ、また、

スイッチ30に対応する模様(図3では「A」)を均一に光らせることができる。

「【0041】

・・・

[発光制御]

次に、

制御装置7で行われる発光制御について説明する。

【0042】

この発光制御は、本実施形態の鍵盤楽器1の図示しない電源スイッチがオンされると開始され、その電源スイッチがオフされるまで繰り返し実行される。

この発光制御が開始されると、図5に示すように、S10において、拍子木3上に操作者の手がかざされたか否かが判定される。

【0043】

この判定(S10)は、拍子木3の上方約2cmのところに操作者の手がかざされると、いずれかのスイッチ30のタッチセンサ32から制御装置7にその旨を示す第1信号が送られてくるので、いずれかのタッチセンサ32から第1信号が制御装置7に入力されるか否かによって判定される。

【0044】

この判定(S10)で、

拍子木3上に操作者の手がかざされたと判定されていない場合は(S10:NO)待機する処理が実行され、手がかざされたと判定されると(S10:YES)、S11において、LED34aを点灯する処理が実行される。

【0045】

このS11は、具体的には、制御装置7がスリーステートバッファ52の入力端子に、その出力端子の電位を接地電位にするよう指示する信号を出力する処理が行われる。この処理が行われると、本実施形態では、電圧印加点にはいずれかのLED34a、34bを点灯することができる電圧しか印加されていないが、出力端子側の電位が接地電位になるので、LED34aに印加される電圧が点灯可能な電圧となり、スイッチ30が黄色の光りで点灯する。尚、このS11では、全てのスイッチ30のLED34aを点灯する作業が実行される。

【0046】

次に、S12の処理が実行される。このS12では、いずれかのスイッチ30のスモークアクリル35に操作者の指が触れたか否かが判定される。

この判定(S12)は、操作者の指がいずれかのスイッチ30のスモークアクリル35に触れると、その触れられたスイッチ30のタッチセンサ32から制御装置7にその旨を示す第2信号が送られてくるので、いずれかのタッチセンサ32から第2信号が制御装置7に入力されるか否かによって判定される。

【0047】

この判定(S12)で、いずれのスイッチ30のスモークアクリル35にも操作者の指が触れていないと判定されていない場合は(S12:NO)、後述するS16が実行され、

いずれかのスイッチ30に指が触れたと判定されると(S12:YES)、S13において、タッチされたスイッチ30に対応するLED34bを点灯する処理が実行される。

【0048】

このS13は、具体的には、制御装置7が、スモークアクリル35に指が触れたことを示す第2信号を送ってきたスイッチ30のスリーステートバッファ52の入力端子に、その出力端子の電位を電圧印加点と同電位にするよう指示する信号を出力する処理が行われる。

【0049】

このような処理が行われると、本実施形態では、タッチされたスイッチ30のLED34aの入出力端子間には電位差が生じないので消灯し、一方、LED34bには、出力端子側の電位が電圧印加点と同電位になるので、LED34bに印加される電圧が点灯可能な電圧となり、タッチ操作されたスイッチ30が赤色の光りで点灯する。

【0050】

このS13によりLED34bが点灯されると、次にS14の処理が実行され、LED34bの点灯が開始されてから第1の一定時間(本実施形態では0.5秒)が経過したか否かが判定される。

【0051】

この判定(S14)により、第1の一定時間が経過していないと判定された場合は、LED34bの点灯を継続するようS13以下の処理が繰り返される。

一方、この判定(S14)により、第1の一定時間が経過したと判定された場合は、LED34bを消灯し、このLED34bを点灯していたスイッチ30に対応するLED34aを点灯する処理が実行され(S15)、

その後、再びS12の処理が実行される。

【0052】

次に、S12において、いずれのスイッチ30のスモークアクリル35にも操作者の指が触れていないと判定されていない場合は(S12:NO)、S16の処理が実行されるが、このS16では、いずれかのスイッチ30の操作が最後になされたとき、あるいはスイッチ30の操作がなされずにS11によりLED34aが点灯されてから、第2の一定時間が経過したか否かが判定される。

【0053】

この判定(S16)において、

第2の一定時間が経過したと判定されると、LED34aを消灯する処理が実行される(S17)。

このS17では、具体的には、制御装置7がスリーステートバッファ52にイネーブル信号を出力してスリーステートバッファ52の出力端子をハイインピーダンスにする処理が実行される。

【0054】

このようにすると、スリーステートバッファ52の出力端子の電位は、LED34aとLED34bとの間の中間電位になるので、LED34bを点灯することなく、LED34aを消灯することができる。

【0055】

そして、このS17の処理が終了すると、再びS10以下の処理が繰り返し実行される。

[本実施形態の特徴的な作用効果]

以上説明した鍵盤楽器1においては、拍子木3に手をかざすと、この拍子木3に組み込まれたスイッチ30の全てのLED34aが点灯して、各スイッチ30の位置が明示される。

【0056】

また、このとき各スイッチ30は黄色に点灯するとともに、各スイッチ30に割り当てられた入力文字を示す模様と、その模様を囲む枠が拍子木3上に浮かぶように表示される。

【0057】

そして、いずれかのスイッチ30にタッチすると、そのスイッチ30の模様や枠の発光色が赤に変化する。そのため、いずれのスイッチ30が操作されたかが一目で分かる。

また、拍子木3に手をかざす又はスイッチ30を最後に操作してから一定時間経過すると、LED34a,34bは消灯され、しかも、各スイッチ30を構成するスモークアクリル35は拍子木3の表面色と同じ色に着色されているので、スイッチ30が拍子木3上で目立たなくなり、鍵盤楽器全体としての美しさを保つことができる。

「【図1】

57

89

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「【図2】

84

64

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「【図3】

113

79

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「【図5】

121

82

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(2)甲7発明

上記(1)から、甲第7号証には、次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されている。なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。

〔甲7発明〕

電子ピアノである鍵盤楽器1の鍵盤2の左方に配置され、この鍵盤楽器1を操作するための操作パネルとして用いられる拍子木3、(【0024】)及び

操作パネルとしての拍子木3を制御する制御装置7(【0027】)

であって、

この拍子木3は鍵盤楽器を操作するための複数のスイッチを備えており、これら各スイッチは、表面が拍子木3の表面と同じ色に着色され、かつ拍子木3と面一に構成されており、そのため、通常時、各スイッチが拍子木3のいずれの場所にあるのか分からないものであり、(【0001】、【0025】)

拍子木3に備えられた各スイッチ30は、操作をすると、A~I、I~III、1~3、〒、※、〆をそれぞれの数字や記号などの模様と、それを囲う枠が光るようにされており、(【0026】)

スイッチ30は、基板31と、この基板31上に実装され、操作者のタッチ操作を検出するタッチセンサ32と、このタッチセンタ32上に積層された導光板33とを備えており、(【0028】)

また、スイッチ30は、基板31上に実装されるとともに導光板33の左右の周囲側面に対向する位置にそれぞれ配置されるLED34a,34bと、導光板33の上面に対向する位置に配置されるとともに拍子木3の表面に対し面一に配置され、拍子木3と同色のスモークアクリル35とを備えており、(【0029】)

タッチセンサ32は、操作者がスモークアクリル35に触れていない距離であって、このタッチセンサ32から予め定められた位置(本実施形態では拍子木3の表面から2cm上方)に操作者の手がかざされたたことと(以下「第1検出」という)、操作者がスモークアクリル35にタッチし、その触れた圧力が導光板33を介して伝達されたことと(以下「第2検出」という)を検出可能なセンサが用いられており、(【0032】)

LED34a(黄色)又はLED34b(赤色)を点灯させると、スイッチ30に対応する模様を均一に光らせることができ、(【0034】、【0032】)

制御装置7で行われる発光制御は、(【0041】)

拍子木3上に操作者の手がかざされたと判定されると、LED34a(黄色)を点灯する処理が実行され、(【0044】)

いずれかのスイッチ30に指が触れたと判定されると、タッチされたスイッチ30に対応するLED34b(赤色)を点灯する処理が実行され、(【0047】)

LED34b(赤色)の点灯が開始されてから第1の一定時間が経過したと判定された場合は、LED34b(赤色)を消灯し、このLED34b(赤色)を点灯していたスイッチ30に対応するLED34a(黄色)を点灯する処理が実行され、(【0050】、【0051】)

LED34a(黄色)が点灯されてから、第2の一定時間が経過したと判定されると、LED34a(黄色)を消灯する処理が実行される(【0052】、【0053】)

というものであり、

スイッチに手を近づけるまでは、透光性表面板が周りの筐体の色と同じ色で着色され、かつ筐体の表面と面一に構成されているので筐体上で目立たないが、スイッチに手を近づけると第1の発光がなされるのでスイッチの位置を操作者にわかりやすく表示することができ、さらにタッチ操作が行われると第2の発光がなされるのでスイッチが操作されたことを操作者にわかりやすく表示することができ、(【0016】)

拍子木3に手をかざす又はスイッチ30を最後に操作してから一定時間経過すると、LED34a(黄色),34b(赤色)は消灯され、しかも、各スイッチ30を構成するスモークアクリル35は拍子木3の表面色と同じ色に着色されているので、スイッチ30が拍子木3上で目立たなくなり、鍵盤楽器全体としての美しさを保つことができる(【0057】)

拍子木3及び制御装置7。

2 甲第2号証について

甲第2号証には、次の記載がある。

「【0023】

図1は、乗用車の前席ドアに設けられる車室内スイッチ装置20の様子を示す図である。ここでは、乗用車の左側前席のドア10に、加飾パネル22が設けられ、必要なときに、例えば、適当な点灯スイッチを操作することで、加飾パネル22にスイッチの操作のための操作表示である図柄30を浮き出させる様子が示されている。図1の上段の図が点灯スイッチをONとして図柄30を浮き出させた場合、下段の図が点灯スイッチをOFFとして図柄30を消失させ、本来の加飾パネル22の木目模様が視認されるようにした場合を示す。

【0024】

図2は、車室内スイッチ装置20の構造を説明するための分解斜視図である。図3は組み立てた状態の断面図である。車室内スイッチ装置20は、加飾パネル22、マスク層24、電極基板32、ホルダ36、ゼブラゴム42、制御基板46を備えて構成される。図2、図3に矢印で示すように、加飾パネル22側が図1で説明した車室内側となる。

【0025】

加飾パネル22は、車室内の装飾を兼ね、必要なときに後述するマスク層24に設けられた操作表示を浮かび上がらせるスクリーン層としての機能を有するパネルである。加飾パネル22は、全体の形状を保持する適当な透光性基材に装飾性の模様を印刷したフィルムを貼付して構成される。

【0026】

透光性基板としては、適当なプラスチック材料を成形したものを用いることができる。その上に貼付されるフィルムとしては、図1の例では

木目模様を印刷した透光性のプラスチックフィルムを用いる

ことができる。勿論、木目模様以外のものでもよく、金属光沢等のものであってもよい。なお、フィルムの上面、つまり車室内側の面に、適当な保護層を設けることが好ましい。保護層は無色透明あるいは適当な着色を施したものを用いることができる。

【0027】

マスク層24は、加飾パネル22と共に、ユーザが車搭載機器を動作させるための指示を行なうときに、例えば指を触れて指示できるようにする操作表示26を作り出す基板である。操作表示26は、後述するタッチパネルの複数のセンサ電極であるセンサ電極34の位置に対応して配置されるので、いわば、センサ電極34の位置にユーザの指を誘導する機能を有する。マスク層24は、加飾パネル22の裏面の形状に沿うように配置されるので、例えば、適当な可撓性を有する基板が好ましい。もっとも、加飾パネル22が平板状であるときには、マスク層24も適当に硬い平板基板であってもよい。

【0028】

マスク層24は、ベースシートにパターン化した遮光層を印刷あるいは貼付することで形成される。ベースシートは透明あるいは透光性の高いプラスチックフィルムを用いることができる。例えば、PETフィルム等を用いることができる。遮光層は、操作表示を切り抜くようにしてパターン化される。パターン化された操作表示26は、図1に示されるように、加飾パネル22に浮かび上がるとき、図柄30として、ユーザに視認される。」

「【0043】

ホルダ36は、電極基板32等を保持する機能と共に、電極基板32を介してマスク層24に光を導く機能を有する部材である。ホルダ36には、全体の強度保持のためと、光の横漏れを防ぐために、格子状の隔壁38が設けられる。この隔壁38で囲まれた貫通空洞が光通路40となる。

「【0046】

制御基板46には、1つ目として、タッチセンサにおいてセンサ電極34に接続される各電子部品が搭載される。2つ目として、ホルダ36の光通路40を通り、電極基板32を介してマスク層24に光を照射するための光源としてのLED(Light Emission Device)48が搭載される。LED48は、ホルダ36の光通路40のそれぞれに対応して配置される。

LED48に代えて小型ランプを搭載するものとしてもよい。」

「【図2】

77

73

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3 甲第4号証について

甲第4号証には、次の記載がある。

「【0001】

本発明は、認証機能付き什器に関する。

「【0027】

次に、タッチパネル20の構成の詳細について説明する。

図2に示すように、タッチパネル20は、開閉体3の前方に露出する表面シート30と、表面シート30の後面側(什器1の内側)に重ねられた電極シート31と、を備えている。

表面シート30は、平面視矩形状をなし、透光性及び導電性を有している。表面シート30の前面(入力部の表面)30aは、開閉体3の前面3dと隣り合うように配置される。表面シート30の前面30a(パスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24の前方の部分以外であることが好ましい)と開閉体3の前面3dとは、互いに同色又は近似色である。なお、ここで言う近似色とは、日本工業規格JIS Z 8730:2009で規定される色差が10以内の関係にあるものを意味することが好ましく、色差が6以内の関係にあるものを意味することがより好ましい。色差を規定する表示系としては、L*u*v*表示系を用いることが好ましい。

表面シート30の前面30aと開閉体3の前面3dとは、面一である。すなわち、表面シート30の前面30aと開閉体3の前面3dとは、略同一面上に配置されている。

【0028】

LED13bが消灯したときのパスワード入力文字22と表面シート30の前面30aとは、互いに同色又は近似色であることが好ましい。

【0029】

表面シート30の後面には、図2中には図示はしないが、パスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24が印刷されている。パスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24は、LEDが発する光により文字やマーク自体を発光させる形態か、あるいは文字やマークを個々に囲う領域を発光させる形態とされている。

【0030】

電極シート31は、表面シート30と重なる平面視矩形状をなし、透光性及び導電性を有している。電極シート31は、静電容量方式の検出シートであり、図3に示す複数の電極部31a(図3には電極部31aを1つのみ示す)を備えている。各電極部31aにより、パスワード入力キー21が構成されている。

複数の電極部31aは、パスワード入力文字22の個々の位置に対向している。各電極部31aは、表面シート30のパスワード入力文字22が配置された位置に利用者の指先等が触れると、静電容量を変化させる。この静電容量の変化を検出することで、何れのパスワード入力キー21に利用者が触れたかを検出可能である。各電極部31aは、LED13bの光を透過可能とされている。

【0031】

なお、複数の電極部31aを有して、利用者がパスワード入力キー21に触れることにより入力を与えるパスワード入力部11が構成される。パスワード入力部11の表面は、表面シート30の前面30aに含まれる。利用者は、タッチパネル20の前面30a側からパスワード入力キー21に触れる入力を与える。

前述のモード切替えスイッチ21c1は、パスワード入力部11に設けられた1つのスイッチである。

【0032】

図2に示すように、表面シート30及び電極シート31は、互いに一体的に重合した状態で、ガイド部材32の前面に取付けられている。ガイド部材32は、例えば半透明のアクリル板からなる。

ガイド部材32の後面には、パスワード入力キー21の個々の位置に対向するように、有底円筒状の凹部33が複数形成されている。各凹部33は、例えば座刳り加工により互いに独立して形成されている。各凹部33は、ガイド部材32の前面側に円形の薄板部33aを形成している。各凹部33の薄板部33aは、各凹部33内に臨んだLED13bの光を拡散させて円形に発光するとともに、隣接する凹部33への光の漏れを制限している。

【0033】

また、ガイド部材32の後面には、カード読み取りマーク24の位置に対向するように、平面視矩形状の中央凹部34が形成されている。中央凹部34は、各凹部33よりも大形をなし、各凹部33から独立して、例えば座刳り加工により形成されている。中央凹部34は、ガイド部材32の前面側に矩形の薄板部34aを形成している。中央凹部34の薄板部34aは、中央凹部34内に臨んだ例えば複数(4つ)のLED14bの光を拡散させて矩形に発光するとともに、周囲の凹部33への光の漏れを制限している。

【0034】

ガイド部材32の後面には、複数のLED13b、14bが実装された基板36が取付けられている。複数のLED13b、14bは、基板36の前面に実装され、この基板36の前面がガイド部材32の後面に重なる。

複数のLED13bは、ガイド部材32の複数の凹部33にそれぞれ対向する位置に設けられ、

複数のLED14bは、ガイド部材32の中央凹部34に対向する位置に設けられている。

ガイド部材32の各凹部33は、表面シート30の各パスワード入力文字22、及び電極シート31の各電極部31aに対向して設けられている。中央凹部34は、表面シート30のカード読み取りマーク24に対向して設けられている。カード読み取りマーク24は、個々のパスワード入力文字22よりも大形である。

【0035】

表面シート30のパスワード入力文字22に対向するLED13b及びカード読み取りマーク24に対向するLED14bが発光すると、ガイド部材32の各凹部33、34の薄板部33a、34aがそれぞれ発光する。すると、表面シート30のパスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24が適宜発光し、パスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24が外部から視認可能となる。

パスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24に対向するLED13b、14bの発光が無くなると、表面シート30のパスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24の発光が消えて、パスワード入力文字22及びカード読み取りマーク24を外部から視認不能となる。」

「【図2】

85

58

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4 甲第5号証について

甲第5号証には、次の記載がある。

「【0001】

本発明は、突板を用いたライティングによる加飾技術を有する表示装置に関するものである。」

「【0060】

(実施の形態3)

図3A及び図3Bは本発明の実施の形態3の樹脂部品31を使用した表示装置83を示す。

【0061】

なお、実施の形態3において、実施の形態1と実施の形態2と同様の作用を成す構成要素には同一の符号を付けて説明する。

【0062】

この実施の形態3は、実施の形態1と実施の形態2との構成に加えて、

光源14a、14b、14cと補強層9との間に導光体19を設置し、光源14a、14b、14cと導光体19との周囲を遮光材20で囲んだ表示装置83として構成されている。

【0063】

これらの構成により、光源14a、14b、14cからの光を樹脂部品31へと効率的に透過させることができるため、各部材を透過した際の光の輝度低下を低減することができる。つまり、光源14a、14b、14cの寿命拡大又は消費電力の減少、さらに発熱量を低下させることができる。

【0064】

図3A及び図3Bにおいて、導光体19は、光源14a、14b、14cと補強層9との間に設置され、その周りすべてを遮光材20が囲っている。」

「【図3B】

51

87

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5 甲第6号証について

(1)記載事項

甲第6号証には、次の記載がある。

「【0012】

【発明の実施の形態】

本発明による自動演奏装置は、周知の電子楽器の他、パーソナルコンピュータを用いたDTM(デスク・トップ・ミュージック)等に適用され得る。

以下では、本発明の実施の形態である自動演奏装置を実施例とし、これについて図面を参照して説明する。

【0013】A.構成

図1は、本発明による実施例の構成を示すブロック図である。この図において、1は装置パネルに配設されるパネルスイッチ群であり、各スイッチ操作に対応するスイッチイベントを発生する。ここで、図2を参照してパネルスイッチ群1に配設される主要なスイッチについて説明しておく。

図2において、10はオールエレメントシリアルスイッチ(以下、AESスイッチと記す)である。このAESスイッチ10がオン操作された場合、イントロパターンからエンディングパターンまでの一連の伴奏エレメントの録音(記憶)あるいは再生が指示される。AESスイッチ10近傍には、LED10aが配設されており、AESスイッチ10のオン操作に応じて点灯される。

【0014】

11はスタート/ストップスイッチであり、ソングデータ/パターンデータの再生開始および再生停止を指示する。このスタート/ストップスイッチ11は、押下操作される毎にオン状態/オフ状態が交互に設定される所謂トグルスイッチとして機能し、再生開始を指示するオン状態にあると、当該スイッチ11近傍に配設されるLED11aが点灯駆動される。

「【図2】

60

92

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(2)甲6技術

上記(1)から、甲第6号証には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されている。

〔甲6技術〕

電子楽器に適用される自動演奏装置の装置パネルに配設され、ソングデータ/パターンデータの再生開始および再生停止を指示するスタート/ストップスイッチ11が、押下操作される毎にオン状態/オフ状態が交互に設定される所謂トグルスイッチとして機能し、再生開始を指示するオン状態にあると、当該スイッチ11近傍に配設されるLED11aが点灯駆動される技術。

6 甲第8号証について

甲第8号証には、次の記載がある。

「【0001】

本発明は、タッチパネルディスプレイを備えた電子鍵盤楽器に係り、特に、電子鍵盤楽器の特徴である多機能性を損なうことなく、アコースティック楽器に固有の優美で華やかな美観を備え、演奏者が演奏に集中し易い電子鍵盤楽器に関する。」

「【0002】

電子楽器たとえば電子ピアノ等の電子鍵盤楽器では、音質、音量、譜面表示、譜面送りの等の諸機能が取り込まれ、これらの機能を選択、操作するための操作子が鍵盤の主に左側の拍子木部分に集中配置されていた。

「【0007】

さらに、演奏中もタッチパネルディスプレイにUIが表示されていると、演奏者がUIに気を取られてしまい、演奏に集中しにくいという問題を指摘されていた。」

「【0010】

本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、電子鍵盤楽器の多機能性を損なうことなく、多機能化に伴うメカニカル感を排除し、楽器としての美観に優れ、演奏者が演奏に集中し易い電子鍵盤楽器を提供することにある。」

「【0029】

パネルセンサ116は、電子ピアノ1の演奏者がタッチパネルディスプレイ15を操作する予兆を検知するセンサであり、撮像素子、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信モジュールあるいは透過型のタッチパネル105で構成できる。

【0030】

ここで、演奏者がタッチパネルディスプレイ15を操作する予兆とは、タッチパネルディスプレイ15が操作されていない状態において、演奏者の手が、離れていた位置からタッチパネルディスプレイ15に近付く動作、あるいはタッチパネルディスプレイ15の近くに留まる動作を意味している。つまり、パネルセンサ116は演奏者の手がタッチパネルディスプレイ15に近い位置にあることを検出すればよい。」

「【0039】

本実施形態では、前記予兆が検知された際に

鍵盤スイッチがオフであると、演奏者が各種の機能設定を行うためにタッチパネルディスプレイ15の操作に集中している判断し、図8に一例を示したように標準UIを表示する。

【0040】

また、前記予兆が検知された際に、右手鍵域の鍵盤スイッチのみがオンで左鍵域の鍵盤スイッチが全てオフであると、右手で演奏しながら左手でUIを操作しようとしていると判断して左手用UIを表示する。左手用UIでは、設定可能な機能を制限することでソフトキー数が制限され、その分、各ソフトキーが拡大表示される。

【0041】

さらに、前記予兆が検知されず、かつ

左右の各鍵域の鍵盤スイッチがいずれもオンであると両手での演奏中と判断される。そして、演奏者がタッチパネルディスプレイ15の存在を意識することなく演奏に集中できるようにするために、図9に一例を示したように、その表示色を電子ピアノ1の本体色と同一色に設定する。

「【図8】

41

82

0001431117000009.jpg

「【図9】

41

82

0001431117000010.jpg

7 甲第13号証について

甲第13号証には、次の記載がある。

「【0014】

図2に示すように、本実施形態の操作パネル7には、自動伴奏スイッチ(STYLE)21、音色(SOUND)スイッチ22、自動伴奏開始(START)スイッチ23、入力(ENTER)スイッチ24、及び表示項目選択(VALUE)スイッチ25が配設されている。

【0015】

自動伴奏スイッチ21は、所望の自動伴奏を選択する際に演奏者により操作される操作子である。本実施形態では、6つの自動伴奏スイッチ21a~21fが配設されている。また、これら6つの自動伴奏スイッチ21a~21fのそれぞれには、LED(Light Emitting Diode)31a~31fが内蔵されている。

「【図2】

53

118

0001431117000011.jpg

8 甲第14号証について

(1)記載事項

甲第14号証には、次の記載がある。

「【0031】

以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。

(1)全体構成

操作装置1は、電子機器のコントロールパネルの一部としてその電子機器に備えられるものである。なお、本実施形態においては、本操作装置1が、開閉自在の蓋部材(鍵盤蓋)を開くことで演奏可能な状態となる電子楽器(具体的な例として、電子ピアノ,電子オルガンなど)に備えられる場合を例示する。

【0032】

この操作装置1は、図1に示すように、可視光を透過可能な透過領域12が形成されてなる板状の透過パネル10、透過パネル10における裏(図1(b)における下)側の領域に設けられた複数の接近センサ20、透過パネル10における裏側の領域に設けられた複数の発光部30、電子楽器の備える蓋部材の開閉状態を検出する開閉検出センサ60などを備えている。

【0033】

そして、この操作装置1は、表面(図1(b)における上面)側から透過領域12にユーザ(の手)が接近してきたことを、接近センサ20により検出し、これをユーザにより操作が行われたこととして検出するように構成されている。また、

この操作装置1は、図2に示すように、各接近センサ20,各発光部30,開閉検出センサ60が制御部40に接続され、この制御部40によって操作装置1全体としての動作が制御されるように構成されている

。なお、

透過パネル10における裏面の領域には、隣接する発光部30間の領域を区切るように遮光部材50が設けられている

【0034】

この操作装置1における透過パネル10は、板状の部材表面における複数の領域それぞれが、裏面まで可視光を透過可能な透過領域12として形成されている。この透過パネル10における透過領域12は、可視光が透過可能とはいえ、裏側から可視光に照らされない限り、表側から裏側の領域を視認できない程度の透過率を有する部材で形成されたものである。

なお、本実施形態において、この透過領域12は、それぞれが透過パネル10を上からみた場合において四角形となるように形成されており、これらが同一方向(図1における左右方向)に隙間を空けることなく並べられている。つまり、この透過パネル10には、同一方向に延びる帯状の透過領域が形成されていることになる。

【0035】

また、

透過パネル10の裏面には、透過領域12に対応する領域(透過パネル10を上から投影した面において透過領域12と重なる領域;以下、同様)それぞれに、その透過領域12に対応付けられた文字情報14が、透過パネル10の表側からみて正しく読みとれるような位置関係で記載されている。

ここでいう「透過領域12に対応付けられた情報」とは、その透過領域12へのユーザの接近が接近センサ20に検出された際、その接近が、どのような操作を示すものとして検出されるか、といった具体的な操作内容を意味するものである。

【0036】

また、接近センサ20は、透過パネル10の裏面に配置された基板22の上面のうち、透過領域12に対応する領域それぞれに実装された電界センサであって、透過パネル10を挟んで透過領域12にユーザが接近してきたことを検出し、その検出結果を制御部40に通知する。なお、この接近センサ20は、基板22上面の透過領域12に対応する領域の中心を取り囲むように配置された配線パターンとして実装されており、この基板22のうち、配線パターンで取り囲まれた内側の領域には、上下方向に貫通する貫通孔22aが形成されている。

【0037】

また、発光部30は、透過パネル10における裏側の領域に配置された基板32の上面のうち、透過領域12に対応する領域それぞれに実装された発光ダイオードである。そして、この発光部30は、制御部40からの指令(つまり駆動信号)を受けて発光することにより、基板22の貫通孔22aおよび透過領域12を介して可視光を透過パネル10の表面に向けて出力する。なお、この発光部30は、本発明における発光手段に相当する。

【0038】

また、開閉検出センサ60は、近接スイッチにより構成されており、電子楽器の蓋部材が閉じていること、または、開いていることを検出し、その検出結果を制御部40に通知する。なお、この開閉検出センサ60は、本発明における開閉検出手段に相当する。

(2)制御部40による操作受付処理

以下に、

制御部40により行われる操作受付処理の処理手順を、図3に基づいて説明する。

この操作受付処理は、以下に示すように、電子楽器の蓋部材が開いた状態になることで起動する処理である。

【0039】

この操作受付処理では、まず、

開閉検出センサ60により蓋部材が開いた状態になったことが検出されるまでの待機が行われる

(s102:NO)。

このs102にて

蓋部材が開いた状態になったことが検出されたら(s102:YES)、電子楽器および操作装置1が起動する

(s104)。

【0040】

次に、複数の発光部30のうち、所定の発光部30のみが発光する(s110)。

ここでは、制御部40から、所定の発光部30のみに対して、発光すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた発光部30が発光する。

この「所定の発光部30」とは、複数の透過領域12のうち、いずれかの透過領域12に電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が割り当てられている場合において、その透過領域12(以降、「特定透過領域」という)に対応する発光部30のことである。

【0041】

次に、電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が行われるまでの待機が行われる(s120:NO)。ここでは、特定透過領域に対応する接近センサ20によりユーザの接近が検出された際に、電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が行われたと判定される。

なお、このs120の時点においては、接近センサ20によりユーザの接近が検出されたとしても、その接近センサ20が、特定透過領域に対応する接近センサ20でなければ、何らかの操作が行われたものとしては判定されないように構成されている。

【0042】

こうして、電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が行われたと判定された場合(s120:YES)、全ての発光部30が発光する(s130)。

ここでは、制御部40から、全ての発光部30のみに対して発光すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた発光部30がそれぞれ発光する。

【0043】

次に、透過領域12に割り当てられている操作のうち、いずれかの操作が行われたか否かがチェックされる(s140)。ここでは、いずれかの接近センサ20によりユーザの接近が検出された際に、その接近センサ20に対応する透過領域12について、その透過領域12に割り当てられている操作が行われたと判定する。また、この時点において、特定透過領域に対応する接近センサ20によりユーザの接近が検出された場合には、電子楽器の使用を終了すべき旨の操作が行われたものと判定される。

【0044】

このs140で、いずれかの操作も行われていないと判定された場合(s140:NO)、開閉検出センサ60により蓋部材が閉じた状態になったことが検出されたか否かがチェックされる(s142)。

【0045】

このs142で、蓋部材が閉じた状態になったことが検出されていない場合(s142:NO)、プロセスがs140へ戻る一方、蓋部材が閉じた状態になったことが検出された場合(s142:YES)、s110にて発光した発光部30を含めて全ての発光部30が発光を終了し(s144)、電子楽器および操作装置1が停止した後(s146)、本操作受付処理が終了する。このs144では、制御部40から、s110にて発光した発光部30を含む全ての発光部30に対して、発光を終了すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた発光部30が発光を終了する。

【0046】

また、s140で、いずれかの操作が行われたと判定された場合(s140:YES)、その操作が、電子楽器の使用を終了すべき旨の操作でなければ(s150:NO)、その操作に対応する処理が行われた後(s160)、プロセスがs142へ移行する。このs160では、その操作内容に応じて電子楽器の設定を変更するなどといった処理が行われる。なお、こうして電子楽器の設定が変更された際には、その設定された内容に応じて、上述した各発光部30による発光の状態(明るさや明滅状態)が変更される。

具体的な例としては、特定の音色による演奏を行うための設定がなされた場合であれば、その設定に際して操作された透過領域12に対応する発光部30をより強く光らせる、などといったことである。

【0047】

また、s140で行われたと判定された操作が、電子楽器の使用を終了すべき旨の操作であれば(s150:YES)、s110にて発光した発光部30を除く全ての発光部30が発光を終了する(s170)。

ここでは、制御部40から、s110にて発光した発光部30を除く全ての発光部30に対して、発光を終了すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた発光部30が発光を終了する。

【0048】

次に、開閉検出センサ60により蓋部材が閉じた状態になったことが検出されたか否かがチェックされる(s172)。

このs172で、蓋部材が閉じた状態になったことが検出されていない場合(s172:NO)、プロセスがs120へ戻る一方、蓋部材が閉じた状態になったことが検出された場合(s172:YES)、プロセスがs144へ移行する。」

「【0054】

また、上記実施形態においては、透過パネル10における裏側の領域のうち、複数の発光部30それぞれの間となる領域に設けられた遮光部材50が備えられている。そのため、隣接する透過領域12を、その透過領域12に対応する発光部30ではなく、隣接する他の発光部30が照らしてしまうということを、効果的に防止することができる。」

「【図1】

86

79

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「【図3】

133

85

0001431117000013.jpg

(2)甲14技術

上記(1)から、甲第14号証には、次の技術(以下、「甲14技術」という。)が記載されている。なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。

〔甲14技術〕

電子ピアノ等の電子楽器のコントロールパネルの一部としてその電子楽器に備えられる操作装置1であって、(【0031】)

この操作装置1は、可視光を透過可能な透過領域12が形成されてなる板状の透過パネル10、透過パネル10における裏側の領域に設けられた複数の接近センサ20、透過パネル10における裏側の領域に設けられた複数の発光部30、電子楽器の備える蓋部材の開閉状態を検出する開閉検出センサ60などを備えており、(【0032】)

各接近センサ20,各発光部30,開閉検出センサ60が制御部40に接続され、この制御部40によって操作装置1全体としての動作が制御されるように構成されており、(【0033】)

透過パネル10における裏面の領域には、隣接する発光部30間の領域を区切るように遮光部材50が設けられており、(【0033】)

この操作装置1における透過パネル10は、板状の部材表面における複数の領域それぞれが、裏面まで可視光を透過可能な透過領域12として形成されており、この透過パネル10における透過領域12は、裏側から可視光に照らされない限り、表側から裏側の領域を視認できない程度の透過率を有する部材で形成されたものであり、(【0034】)

透過パネル10の裏面には、透過領域12に対応する領域それぞれに、その透過領域12に対応付けられた文字情報14が、透過パネル10の表側からみて正しく読みとれるような位置関係で記載されており、(【0035】)

制御部40により行われる操作受付処理の処理手順は、(【0038】)

開閉検出センサ60により蓋部材が開いた状態になったことが検出されたら、電子楽器および操作装置1が起動し、(【0039】)

次に、複数の発光部30のうち、所定の発光部30のみが発光し、この「所定の発光部30」とは、複数の透過領域12のうち、いずれかの透過領域12に電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が割り当てられている場合において、その透過領域12(以降、「特定透過領域」という)に対応する発光部30のことであり、(【0040】)

次に、電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が行われるまでの待機が行われ、特定透過領域に対応する接近センサ20によりユーザの接近が検出された際に、電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が行われたと判定され、(【0041】)

こうして、電子楽器の使用を開始すべき旨の操作が行われたと判定された場合、全ての発光部30が発光し、(【0042】)

次に、透過領域12に割り当てられている操作のうち、いずれかの操作が行われたか否かがチェックされ、いずれかの接近センサ20によりユーザの接近が検出された際に、その接近センサ20に対応する透過領域12について、その透過領域12に割り当てられている操作が行われたと判定し、(【0043】)

また、この時点において、特定透過領域に対応する接近センサ20によりユーザの接近が検出された場合には、電子楽器の使用を終了すべき旨の操作が行われたものと判定され、(【0043】)

いずれかの操作が行われたと判定された場合、その操作内容に応じて電子楽器の設定を変更するなどといった処理が行われ、電子楽器の設定が変更された際には、その設定された内容に応じて、上述した各発光部30による発光の状態(明るさや明滅状態)が変更され、(【0046】)

また、行われたと判定された操作が、電子楽器の使用を終了すべき旨の操作であれば、上記所定の発光部30を除く全ての発光部30が発光を終了する(【0047】、【0040】)

というものである、

操作装置1。

9 甲第15号証について

(1)記載事項

甲第15号証には、次の記載がある。

「【0027】

以下、電子楽器10の動作について、この機能を実現するための動作を中心に説明する。以下の説明において言及しない部分については、従来のハードディスクレコーダ(HDR)機能付の電子楽器の動作を適宜採用することができる。

まず、図2に、電子楽器10のコンソールのうち、自動演奏及び波形データの記録(録音)に係る操作に使用する部分の構成を示す。

この図に示すように、

電子楽器10のコンソール40には、液晶パネルにタッチパネルを積層した操作パネル41と、レコーダの録音・再生の開始・停止等を指示するためのボタン51~55とを設けている。

なお、コンソール40には、それ以外の、自動演奏の録音・再生の開始・停止等を制御するためのボタン等の図示しない操作子も設けられている。

【0028】

そして、自動演奏の楽曲選択を受け付ける楽曲選択画面においては、楽曲一覧部42内に楽曲データ名表示部43を設けてHDD25に記憶している楽曲データの名前(楽曲データに係る楽曲の名前でもよい)の一覧を表示している。もちろん、複数ページに分けて表示するようにしてもよい。また、楽曲データの利用を制限する楽曲については、名称の脇に「^」マークをつけてその旨を示し、利用を制限しない楽曲と区別できるようにしている。

そして、楽曲一覧部42の脇には楽曲選択ボタン44を表示し、ユーザがこのボタンにタッチすることにより、対応する楽曲データ名表示部43に表示されている楽曲データを、自動演奏に使用する楽曲データとして選択することができるようにしている。

【0029】

また、電子楽器10のレコーダに関しても、ステレオトラックの選択を受け付ける同様のステレオトラック選択画面が設けられており、複数のステレオトラックのうちの任意のステレオトラックを、レコーダで録音・再生を行うステレオトラックとして選択することができる。このレコーダは、ここでは少なくとも停止状態、再生状態、録音状態及び録音待機状態のいずれかの状態になることができるが、

操作パネル41の手前側に設けたボタン51~55のうち、録音ボタン51は、このうち停止状態と録音待機状態とを切り替えるボタンである。そして、レコーダが停止状態の時にこのボタンを押下すると、レコーダが録音待機状態に移行し、録音待機状態の時に押下すると、停止状態に移行する。また、図示は省略したが、録音ボタン51にはLED(発光ダイオード)等によるランプを設け、停止状態ではこれを消灯、録音待機状態では点滅、録音状態では常時点灯させ、レコーダの状態を示すようにしている。

これらの動作は、自動演奏が実行中か否かには関係なく行うことができる。

【0030】

そして、録音待機状態で開始ボタン53を押下すると、レコーダは録音待機状態から録音状態に移行し、録音動作を開始する。

また、操作パネル41において、レコーダの録音と自動演奏との連動機能が有効に設定されている場合には、電子楽器10に、開始ボタン53の押下に応じて、楽曲データに基づく自動演奏とステレオトラックの録音動作とを同時に開始させることができる。

開始ボタン53にもLED等によるランプを設け、レコーダが録音状態及び再生状態にある場合には常時点灯、それ以外の状態にある場合には消灯させるようにしている。

【0031】

また、録音状態で停止ボタン52を押下すると、レコーダは録音動作を停止し、停止状態に移行する。

上記の連動機能が有効の場合は、自動演奏を実行中であれば、これも停止する。

巻き戻しボタン54と早送りボタン55は、レコーダの巻き戻しと早送りを指示するためのボタンであり、それが操作されている間、選択されているステレオトラック上の再生位置を示す再生ポインタを時間軸上の前方ないし後方に録音・再生時より速い速度で移動させる。

また、停止状態で開始ボタン53を押下すると、レコーダは再生状態に移行し、再生状態で停止ボタン52を押下すると、レコーダは停止状態に移行する。

「【図2】

69

95

0001431117000014.jpg

(2)甲15技術

上記(1)から、甲第15号証には、次の技術(以下、「甲15技術」という。)が記載されている。なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。

〔甲15技術〕

電子楽器10のコンソール40に、液晶パネルにタッチパネルを積層した操作パネル41と、レコーダの録音・再生の開始・停止等を指示するためのボタン51~55とを設け、(【0027】)

レコーダが停止状態の時に録音ボタン51を押下すると、レコーダが録音待機状態に移行し、録音待機状態の時に押下すると、停止状態に移行し、(【0029】)

そして、録音待機状態で開始ボタン53を押下すると、レコーダは録音待機状態から録音状態に移行し、録音動作を開始し、(【0030】)

また、録音状態で停止ボタン52を押下すると、レコーダは録音動作を停止し、停止状態に移行し、(【0031】)

また、停止状態で開始ボタン53を押下すると、レコーダは再生状態に移行し、再生状態で停止ボタン52を押下すると、レコーダは停止状態に移行し、(【0031】)

録音ボタン51にはLED(発光ダイオード)等によるランプを設け、停止状態ではこれを消灯、録音待機状態では点滅、録音状態では常時点灯させ、レコーダの状態を示すようにしており、(【0028】)

開始ボタン53にもLED等によるランプを設け、レコーダが録音状態及び再生状態にある場合には常時点灯、それ以外の状態にある場合には消灯させるようにしている(【0030】)

技術。

10 甲第1号証について

(1)記載事項

甲第1号証には次の記載がある。

「【0001】

本発明は、光源から照射される可視光の透過により、タッチスイッチの動作内容等を示す識別マークが可視可能に設けられた操作パネルに関する。」

「【0007】

本発明の課題は、識別マークを目立たないようにした操作パネルを提供することにある。」

「【0017】

以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。

図1は、本実施形態の

操作パネル1を用いたグランドピアノタイプの電子鍵盤楽器2

の斜視図である。図1に示すように、電子鍵盤楽器2は、楽器本体4、楽器本体4を支持する3本の脚6(左右一対の脚部のみ図示し、後方の脚部は図示せず)、楽器本体4から下方へ延びるペダルユニット8等を備えている。楽器本体4は、左右一対の側板10、上前板12、大屋根14、鍵盤蓋16、鍵盤18等を備えている。

【0018】

本実施形態の

操作パネル1は、鍵盤蓋16の裏面に設けられており、

鍵盤蓋16を開いた状態としたときに、操作パネル1が演奏者の正面となるように配置され、鍵盤蓋16の左右方向の全幅にわたって、細長く形成されて配置されている。

【0019】

図2は、本実施形態の操作パネル1の要部を背面側から見た分解斜視図であり、

図3は本実施形態のフレーム24を除いた操作パネル1の要部を正面側から見た分解斜視図である。操作パネル1は、図2に示すように、アクリル板等により形成された表面板22を備え、表面板22はスチール製のフレーム24に取り付けられている。

表面板22は操作パネル1の全面にわたって設けられ、表面板22が演奏者の正面に、フレーム24が表面板22の裏側となるように配置されて、演奏者からは表面板22のみが見えるように、それぞれの大きさが決められている。

【0020】

フレーム24には、スイッチ穴24aや表示窓24b等の穴や窓等が形成されている。

表面板22には、文字や記号等の識別マーク26が設けられており、

識別マーク26はスイッチ穴24aの位置に対応して設けられると共に、スイッチ穴24a内に収まるようにスイッチ穴24aよりも少し小さく形成されて、表面板22をフレーム24に取り付けた際に、スイッチ穴24aと識別マーク26とが重なるように設けられている。

【0021】

識別マーク26は、後述するタッチスイッチ44a,44b,44cの動作内容等を文字あるいは記号等で表示して演奏者に報知する情報であり、本実施形態では、3つのタッチスイッチ44a,44b,44cに対応した3つの識別マーク26が、「A」「B」「C」として表示されている場合を例に説明する。

【0022】

また、

識別マーク26は、周囲の色彩と同系統の色彩の表示色で表示、例えば、電子鍵盤楽器2の鍵盤蓋16の色彩が黒色である場合には、識別マーク26の表示色は黒色とする。あるいは、電子鍵盤楽器2の鍵盤蓋16の色彩が白色である場合には、識別マーク26の表示色は白色とする。

【0023】

本実施形態では、

識別マーク26は、図2、図3に示すように、表面板22の裏面側に抜き文字印刷により形成されている。

これにより、表面板22の裏面が黒色に印刷され、識別マーク26の箇所が「A」「B」「C」の形状に抜かれて、表面板22の裏面に識別マーク26が表示される。この場合、表面板22の裏面全面を識別マーク26を除いて黒色で印刷してもよく、あるいは、スイッチ穴24aが隠れる程度に表面板22の裏面を黒色で印刷し、フレーム24の表面を黒色に塗装してもよい。

【0024】

抜き文字印刷の場合は、周囲の色が、本実施形態では黒色が識別マーク26の表示色となる。識別マーク26は抜き文字印刷される場合に限らず、識別マーク26の「A」「B」「C」を黒色により印刷して形成してもよい。この場合、識別マーク26の表示色は黒色になる。また、

識別マーク26は表面板22に印刷する場合に限らず、識別マーク26を形成した薄いシールを表面板22に貼り付けてもよい。

【0025】

表面板22は、可視光が透過可能なアクリル板で形成されており、透過する可視光により識別マーク26が可視可能に形成されている。本実施形態では、識別マーク26が黒色で抜き文字印刷されており、鍵盤蓋16が黒色であるので、表面板22は黒色の半透明なアクリル板、いわゆるスモーク性のアクリル板で形成されている。

【0026】

尚、表面板22は透明なアクリル板により形成しても実施可能である。識別マーク26の「A」「B」「C」を黒色により印刷した場合などでは、表面板22を通してフレーム24が見えるので、フレーム24の表面を黒色塗装すればよい。

【0027】

フレーム24には、表面板22が取れ付けられた反対側の裏面側に、回路基板27が取り付けられている。

回路基板27は、フレーム24に設けられた一対のボス部28a,28bに、回路基板27を貫通する一対のビス30a,30bが螺入されて固定されている。

回路基板27には、発光ダイオードを用いた光源32a,32b、32cが設けられている。

【0028】

光源32a,32b、32cは回路基板27のフレーム24側に、スイッチ穴24aに対向すると共に、識別マーク26に対向して配置されている。

光源32a,32b、32cの数は、識別マーク26の「A」「B」「C」に対応しており、識別マーク26が「A」の一つであるときには、一つの光源32aのみでよい。光源32a,32b、32cと識別マーク26との間の距離を適当に確保するために、ボス部28a,28bが適当な高さに形成されている。

【0029】

表面板22と光源32a,32b、32cとの間には、背面板34が設けられている。

背面板34は可視光の透過性を有すると共に、可視光の拡散性をも有し、かつ、識別マーク26の表示色と同系色の半透明である。本実施形態では、識別マーク26の表示色が黒色であるので、背面板34は黒色の半透明な樹脂シート、いわゆるスモーク性の樹脂シートで形成されている。

【0030】

光源32a,32b、32cが点灯していない状態で、演奏者が表面板22を見たときに、例えば、識別マーク26の抜き文字を通して背面板34が見えるが、背面板34が黒色半透明であるので、演奏者から識別マーク26が目立たないように、背面板34の半透明の程度(透過できる光量)を決定する。同時に、光源32a,32b、32cが点灯した状態では、光源32a,32b、32cからの可視光が背面板34を透過すると共に、可視光を拡散させて、識別マーク26を裏側から照らす。その際には、演奏者が識別マーク26を認識できるように、背面板34の半透明の程度(透過できる光量)を決定する。

【0031】

また、

背面板34には、例えば、黒色半透明のポリカーボネート等の樹脂シートの表面に小さな凹凸を多数形成して可視光の拡散性を持たせたもの、あるいは、炭酸カルシウム等の光拡散性微粒子を分散させたもの等が用いられる。

尚、識別マーク26の表示色が白色である場合には、背面板34には白色半透明で、可視光の拡散性を有するものが用いられる。

【0032】

背面板34が光拡散性を有すると、光源32a,32b、32cがいわゆる点光源であっても、識別マーク26が全体にわたって均一に照らされるが、その必要がない場合には、背面板34は光拡散性を有する必要はない。また、光源32a,32b、32cがいわゆる面光源である場合にも背面板34が光拡散性を有する必要はなく、光拡散板を背面板34と別に設けた場合にも同様である。

【0033】

回路基板27と背面板34との間には、検出基板36が配置されており、検出基板36には可視光が透過可能な透過孔40a,40b,40cが形成されている。透過孔40a,40b,40cは識別マーク26に対向して形成されており、3つの透過孔40a,40b,40cは識別マーク26の「A」「B」「C」に対向して、識別マーク26の「A」「B」「C」の大きさとほぼ同じ程度の大きさの孔に形成されている。検出基板36には、各透過孔40a,40b,40cの周囲に沿って、それぞれループ状のアンテナ42a,42b,42cが表面板22側の表面に形成されている。

【0034】

図4は本実施形態の操作パネル1の電気系統を示すブロック図である。検出基板36は回路基板27に接続部材46を介して接続されており、図4に示すように、各アンテナ42a,42b,42cは、発振回路43a,43b,43cが設けられた回路基板27に接続されて、3つのタッチスイッチ44a,44b,44cが形成されている。

【0035】

本実施形態のタッチスイッチ44a,44b,44cは静電容量形のもので、アンテナ42a,42b,42cに誘電体が接近することによりアンテナ42a,42b,42cと大地間の静電容量が変化し、発振回路43a,43b,43cの出力が変化して、動作する周知のものである。

【0036】

回路基板27には、タッチスイッチ44a,44b,44cとは別の点灯スイッチ48も接続されると共に、回路基板27は図示しない電源に接続されている。点灯スイッチ48が操作されたときには、回路基板27上の各光源32a,32b,32cを点灯させるように構成されている。点灯スイッチ48は、例えば、図1に示すように、操作パネル1の隅に配置され、点灯スイッチ48もタッチスイッチが好ましい

が、押釦スイッチでもよい。例えば、点灯スイッチ48は容易に認識できるように、点灯スイッチ48が照光式スイッチである場合には、鍵盤蓋16を開いた際に、点灯するように構成してもよい。」

「【0040】

次に本実施形態の操作パネル1の作動について説明する。まず、演奏者が鍵盤蓋16を開くと、鍵盤蓋16の裏側に設けられた操作パネル1の点灯スイッチ48が点灯して、点灯スイッチ48の位置を容易に視認できる。この状態では、操作パネル1では、光源32a,32b、32cが点灯していないので、識別マーク26は目立たない。

【0041】

図6(a)に示すように、

光源32a,32b、32cが点灯していないと、識別マーク26が抜き文字印刷されていても、表面板22や背面板34が黒色の半透明、いわゆるスモークであるので、抜き文字印刷の識別マーク26もほぼ黒色となる。従って、演奏者は、操作パネル1を見ても識別マーク26は目立たず、何も表示されていないように見える。

【0042】

演奏者が必要に応じて点灯スイッチ48を操作すると、光源32a,32b、32cが点灯する。

これにより、光源32a,32b、32cから発せられた可視光は、検出基板36の透過孔40a,40b,40c及び

両面接着テープ50

の透過孔52a,52b,52cを透過し、背面板34に達する

背面板34では、可視光を拡散すると共に、黒色の半透明であるので、一部の可視光を吸収すると共に、他の可視光は背面板34を透過して、

両面接着テープ54

の透過孔56a,56b,56cから表面板22の裏側を照らす。

【0043】

これにより、図6(b)に示すように、抜き文字印刷の識別マーク26を裏側から照らし、識別マーク26の抜き文字を可視光が透過して、演奏者は識別マーク26を明確に認識できるようになる。

【0044】

演奏者は、その識別マーク26に応じた動作をさせたいときには、識別マーク26の「A」「B」「C」を選択して、図5に示すように、指を近接させ、表面板22に接触させる。

これにより、タッチスイッチ44a,44b,44cは指の近接を検出して、タッチスイッチ44a,44b,44cが動作する。」

「【図2】

64

88

0001431117000015.jpg

「【図3】

60

87

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「【図4】

57

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「【図6】

64

49

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(2)甲1発明

【0019】の「図3は本実施形態のフレーム24を除いた操作パネル1の要部を正面側から見た分解斜視図である。」との記載、及び図3、【0019】、【0027】、【0029】、【0033】、【0042】の記載から、操作パネル1は、正面側から、表面板22、両面接着テープ54、背面板34、両面接着テープ50、検出基板36、回路基板27の順に構成されるものである。

上記(1)から、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。

〔甲1発明〕

電子鍵盤楽器2に設けられた操作パネル1であって、(【0017】、【0018】)

操作パネル1は、正面側から、表面板22、両面接着テープ54、背面板34、両面接着テープ50、検出基板36、回路基板27の順に構成されるものであり、(【0019】、【0027】、【0029】、【0033】、【0042】、図3)

表面板22は、アクリル板等により形成され、フレーム24に取り付けられており、(【0019】)

識別マーク26は、タッチスイッチ44a,44b,44cの動作内容等を文字あるいは記号等で表示して演奏者に報知する情報であり、タッチスイッチ44a,44b,44cに対応して表示されており、(【0021】)

識別マーク26は、周囲の色彩と同系統の色彩の表示色で表示されており、(【0022】)

識別マーク26は、表面板22の裏面側に抜き文字印刷により形成されており、(【0023】)

識別マーク26は表面板22に印刷する場合に限らず、識別マーク26を形成した薄いシールを表面板22に貼り付けてもよく、(【0024】)

フレーム24には、表面板22が取り付けられた反対側の裏面側に、回路基板27が取り付けられており、(【0027】)

回路基板27には、発光ダイオードを用いた光源32a,32b,32cが設けられており、(【0027】)

光源32a,32b,32cは、識別マーク26に対向して配置されており、(【0028】)

表面板22と光源32a,32b,32cとの間には、背面板34が設けられており、(【0029】)

光源32a,32b,32cが点灯していない状態で、演奏者が表面板22を見たときに、例えば、識別マーク26の抜き文字を通して背面板34が見えるが、背面板34が黒色半透明であるので、演奏者から識別マーク26が目立たないように、背面板34の半透明の程度(透過できる光量)が決定され、同時に、光源32a,32b,32cが点灯した状態では、光源32a,32b,32cからの可視光が背面板34を透過すると共に、可視光を拡散させて、識別マーク26を裏側から照らす際には、演奏者が識別マーク26を認識できるように、背面板34の半透明の程度(透過できる光量)が決定され、(【0030】)

背面板34には、例えば、黒色半透明のポリカーボネート等の樹脂シートの表面に小さな凹凸を多数形成して可視光の拡散性を持たせたもの等が用いられ、(【0031】)

回路基板27と背面板34との間には、検出基板36が配置されており、検出基板36には可視光が透過可能な透過孔40a,40b,40cが形成されており、透過孔40a,40b,40cは識別マーク26に対向して形成されており、検出基板36には、各透過孔40a,40b,40cの周囲に沿って、それぞれループ状のアンテナ42a,42b,42cが表面板22側の表面に形成されており、(【0033】)

検出基板36は回路基板27に接続部材46を介して接続されており、各アンテナ42a,42b,42cは、発振回路43a,43b,43cが設けられた回路基板27に接続されて、タッチスイッチ44a,44b,44cが形成されており、(【0034】)

回路基板27には、タッチスイッチ44a,44b,44cとは別の、操作パネル1の隅に配置されたタッチスイッチである点灯スイッチ48も接続されると共に、回路基板27は電源に接続されており、点灯スイッチ48が操作されたときには、回路基板27上の各光源32a,32b,32cを点灯させるように構成されており、(【0036】)

光源32a,32b,32cが点灯していないと、識別マーク26が抜き文字印刷されていても、表面板22や背面板34が黒色の半透明、いわゆるスモークであるので、抜き文字印刷の識別マーク26もほぼ黒色となり、従って、演奏者は、操作パネル1を見ても識別マーク26は目立たず、何も表示されていないように見え、(【0041】)

点灯スイッチ48を操作すると、光源32a,32b,32cが点灯し、これにより、抜き文字印刷の識別マーク26を裏側から照らし、識別マーク26の抜き文字を可視光が透過して、演奏者は識別マーク26を明確に認識できるようになり、(【0042】、【0043】)

演奏者は、その識別マーク26に応じた動作をさせたいときには、識別マーク26を選択して、指を近接させ、表面板22に接触させる(【0044】)

操作パネル1。

11 甲第3号証について

甲第3号証には、画像形成装置等の電子機器における発明が記載されている。

12 甲第9号証~甲第12号証について

甲第9号証~甲第12号証には、偏光板や視野角の制限に係る技術が記載されている。

第6 当審の判断

1 理由1(進歩性)について

(1)本件訂正発明1について

本件訂正発明1と甲7発明を対比する。

ア 甲7発明の「電子ピアノである鍵盤楽器1の鍵盤2の左方に配置され、この鍵盤楽器1を操作するための操作パネルとして用いられる拍子木3」は、各スイッチ30が操作者のタッチ操作を検出するタッチセンサ32と、LED34a,34bとを備える複数のスイッチを備えるものであり、本件訂正発明1の「鍵盤楽器の外観を構成する外装部材に隣接して配置されるタッチパネル」に相当するものといえる。

イ 甲7発明の制御装置7は、LEDを点灯及び消灯する処理を実行するものであり、LEDを点灯させると、スイッチ30に対応する模様を均一に光らせることができ、LEDが消灯することでスイッチ30が拍子木3上で目立たなくなるから、当該制御装置7は、本件訂正発明1の「前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替える切替部」に相当する。

ウ 甲7発明の前記拍子木3(本件訂正発明1の「タッチパネル」。以下同様。)の複数のスイッチの各々に備えられた「LED34a,34b」は、「複数の発光部」である点で、本件訂正発明1の「発光部」と共通する。

しかしながら、前記複数の発光部が、本件訂正発明1では「複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される」ものであるのに対し甲7発明では当該構成について特定されていない点で、両者は相違する。

エ 甲7発明の複数のスイッチは、鍵盤楽器(電子ピアノ)を操作するためのものであり、各スイッチ30は、A~I、I~III、1~3、〒、※、〆をそれぞれの数字や記号などの模様と、それを囲う枠が光るものである。

ここで、例えば甲第8号証の【0002】に記載されているように、一般に、電子ピアノには、複数のスイッチにより楽器の演奏に係る機能の選択操作や各種設定操作を行う構成が備わっているから、甲7発明の各スイッチ30における、数字や記号などの模様が、鍵盤楽器の機能又は設定を示す複数の情報を含むことは明らかである。

そして、甲7発明の「スモークアクリル35」は、LED34a,34b間の導光板33の上面に対向する位置に配置され、かつ、拍子木3と同色のものであって、LED34a又(黄色)はLED34b(赤色)を点灯させると、スイッチ30に対応する模様を均一に光らせることができ、LED34a(黄色),34b(赤色)が消灯することでスイッチ30が拍子木3上で目立たなくなるから、本件訂正発明1と甲7発明は、前記タッチパネルが、前記発光部の上部に配置される層を有し、前記層は前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が前記第1の態様に切り替わり、前記楽器の機能又は設定を示す複数の情報を視認可能に表示するとともに、前記複数の発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わるものである点で、共通する。

しかしながら、前記鍵盤楽器の機能又は設定が、本件訂正発明1では「鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む」ものであるのに対し、甲7発明では具体的に特定されていない点で、両者は相違する。

また、前記発光部の上部に配置される層が、本件訂正発明1では「フィルム」であるのに対し、甲7発明では「アクリル」とされている点で、両者は相違する。

さらに、前記複数の情報が、本件訂正発明1では「それぞれ前記複数のリブによって仕切られた」ものであるのに対し、甲7発明では当該構成について特定されていない点で、両者は相違する。

加えて、前記鍵盤楽器の機能または設定が、本件訂正発明1では「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる」ものであるのに対し、甲7発明では当該構成を備えるものではない点で、両者は相違する。

なお、申立人は、令和7年9月2日付け意見書において「甲7発明の「この判定(S10)で、拍子木3上に操作者の・・・手がかざされたと判定されると(S10:YES)、S11において、LED34aを点灯する・・・次に、S12の処理が実行される。このS12では、いずれかのスイッチ30のスモークアクリル35に操作者の指が触れたか否かが判定される(段落0044~0046)」との処理は、本件訂正発明1,8の「タッチパネルに対する操作があったことに応じてタッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるもの」に相当する。」と主張している。

しかしながら、本件訂正発明1における前記鍵盤楽器の機能または設定は、タッチパネルにそれぞれ前記複数のリブによって仕切られて視認可能に表示される複数の情報に対応付けられているものであり、甲7発明における、LED34a(黄色)を点灯する(タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替える)操作である、拍子木3上に操作者の手がかざされたこと(タッチパネルに対する操作があったこと)に応じた状態(全てのスイッチ30へのタッチ操作の待機)は、特定のスイッチ30における数字や記号などの模様により示される複数の情報に対応付けられている機能または設定に関するものではないから、本件訂正発明1における前記鍵盤楽器の機能または設定に含まれる「タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるもの」に相当するものではない。

よって、申立人による上記主張は採用することができない。

オ 甲7発明の「拍子木3」及び「制御装置7」からなる構成は、本件訂正発明1の、タッチパネルと切替部とを備える「鍵盤楽器用表示装置」に相当する。

以上から、本件訂正発明1と甲7発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

〔一致点〕

鍵盤楽器の外観を構成する外装部材に隣接して配置されるタッチパネルと、

前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替える切替部とを備え 、

前記タッチパネルは、

複数の発光部と、

前記複数の発光部の上部に配置される層と、

を有し、

前記層は前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が前記第1の態様に切り替わり、前記鍵盤楽器の機能又は設定を示す複数の情報を視認可能に表示するとともに、前記発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わる、鍵盤楽器用表示装置。

〔相違点1〕

前記複数の発光部が、本件訂正発明1では「複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される」ものであるのに対し甲7発明では当該構成について特定されていない点。

〔相違点2〕

前記鍵盤楽器の機能又は設定が、本件訂正発明1では「鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む」ものであるのに対し、甲7発明では具体的に特定されていない点。

〔相違点3〕

前記発光部の上部に配置される層が、本件訂正発明1では「フィルム」であるのに対し、甲7発明では「アクリル」とされている点。

〔相違点4〕

前記複数の情報が、本件訂正発明1では「それぞれ前記複数のリブによって仕切られた」ものであるのに対し、甲7発明では当該構成について特定されていない点。

〔相違点5〕

前記鍵盤楽器の機能または設定(タッチパネルにそれぞれ前記複数のリブによって仕切られて視認可能に表示される複数の情報に対応付けられているもの)が、本件訂正発明1では「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる」ものであるのに対し、甲7発明では、当該構成を備えるものではない点。

上記相違点1~5について検討する。

(相違点1について)

複数の光源から発せられた光を相互に遮断するためのリブを設けることは、甲第2号証(【0043】、【0046】、図2等における隔壁38)、甲第4号証(【0032】~【0035】、図2等における凹部33)、甲第5号証(【0062】、【0064】、図3B等における遮光材20)及び甲第14号証(【0033】、図1等における遮光部材50)にも記載されているように周知技術である。

そして、甲7発明は、複数のスイッチのうちタッチされたスイッチに対応するLEDを点灯するものであり、各スイッチに対応する模様を相互に区別して光らせるから、LED(発光部)から発せられた光を相互に遮断するためのリブを設けること、すなわち上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到しうることである。

(相違点2について)

電子鍵盤楽器における一般的な機能である「鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整」を鍵盤楽器の操作パネルで行うことは、甲第8号証の【0002】に記載されているように周知技術であり、また、同様に一般的機能である「自動伴奏音の選択」を鍵盤楽器の操作パネルで行うことも、甲第13号証の【0014】、【0015】に記載されているように周知技術である。

甲7発明の鍵盤楽器として上記機能を備えて、拍子木3(タッチパネル)において「鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整」を行うスイッチや、「自動伴奏音の選択」を行うスイッチを設けることは、上記周知技術に基づいて当業者が適宜なしうることである。

(相違点3について)

透光性の層としてプラスチックフィルムを用いることは、甲第2号証(【0026】等)にも記載されているように周知技術であり、甲7発明のスモークアクリル35について、フィルム状のものを用いることや、別材料のプラスチックフィルムを用いることは、当業者が適宜なしうることである。

(相違点4について)

上記(相違点1について)で示したとおり、LED(発光部)を複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置することは、当業者が容易に想到しうることである。そして、甲7発明に当該構成が備わることに伴い、数字や記号などの模様(複数の情報)がそれぞれ前記複数のリブによって仕切られたものとなることは明らかである。

(相違点5について)

相違点5に係る本件訂正発明1の構成のうち、少なくとも、前記鍵盤楽器の機能または設定(タッチパネルにそれぞれ前記複数のリブによって仕切られて視認可能に表示される複数の情報に対応付けられているもの)が「前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる」ものである点は、甲号証のいずれにも記載されておらず、甲7発明及び甲号証に記載された技術から当業者が容易に想到しうるものではない。

なお、申立人は、本件訂正発明1の「前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるもの」について、令和7年9月2日付け意見書において、

「甲第14号証の「接近センサ20によってユーザの接近が検出された場合に、全ての発光部30を発光させて(消灯状態だった発光部30を発光させて)、透過領域12への操作内容に応じて電子楽器の設定を変更する機能」は、本件訂正発明1,8の「タッチパネルに対する操作があったことに応じてタッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるもの」に相当する。」

と主張している。

しかしながら、甲14技術は、全ての発光部30が発光した態様(本件訂正発明の「第1の態様」に相当する。)に切り替わる前に、複数の発光部30のうちの所定の発光部30が発光しているから、本件訂正発明1のタッチパネルの外観を第2の態様から切り替えたものに相当する構成を備えるものではない。

よって、申立人による上記主張は採用することができない。

以上から、相違点5に係る構成を備える本件訂正発明1は、甲7発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件訂正発明2~5について

本件訂正発明2~5は、本件訂正発明1の構成を含むものであり、上記(1)と同様の理由により、甲7発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件訂正発明8について

本件訂正発明8は、本件訂正発明1と同様の構成を備えるものであり、上記(1)と同様の理由により、甲7発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 理由2(実施可能要件)について

取消理由の対象とされていた請求項6、及び請求項6を引用する請求項7は、本件訂正により削除された。

第7 令和7年9月2日付け意見書で主張された取消理由について

1 取消理由

令和7年7月23日にされた訂正請求に対して、同年9月2日付け意見書で新たに主張された取消理由は、次のとおりである。

(1)理由3:特許法第36条第6項第2号(明確性)

ア 請求項1に記載の「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」に関し、本件特許明細書の段落0032には、「・・・所定機能とは、常時タッチパネル20を点灯させた状態で実行する機能である。例えば、所定機能として、デモ演奏の再生、録音などが設定される・・・」と記載され、この「所定機能」以外に「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」についての記載はない。

一方、請求項1及び請求項2を引用する(請求項1を限定する)請求項3には、「所定機能」に関する特定事項が記載されているが、請求項1に記載の「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」とは、請求項3に記載の「所定機能」を指しているのか、それとも「所定機能以外の機能」を指しているのか(或いは、それらの両方を含むのか)が不明確である。

仮に、「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」に「所定機能以外の機能」が含まれるとした場合、本件特許明細書には「所定機能以外の機能」に関して何ら記載されていないため、「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」にどのような機能が含まれるかを当業者が理解することができない。

従って、本件訂正発明1は不明確であり、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5や、本件訂正発明8の「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」についても同様である。

イ 本件訂正発明1が「鍵盤楽器用表示装置」に係る発明である一方、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5が「楽器用表示装置」に係る発明であり、本件訂正発明2~5は不明確である。

ウ 請求項3,5には「前記楽器」と記載されているが、その記載よりも前に「楽器」に関する記載が無いため、「前記楽器」が何を指しているのかが不明確である。

よって、本件訂正発明3,5は不明確であり、本件訂正発明3を引用する本件訂正発明4についても同様である。

(2)理由4:特許法第36条第6項第1号(サポート要件)

上記の通り、本件訂正発明1の「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」には、本件特許明細書の段落0032に記載の「所定機能」が含まれると解される。そして、本件訂正発明5は、「楽器において演奏音が出力される間、タッチパネルの外観を第1の態様から第2の態様に切り替える」ものであるから、本件訂正発明5には、「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能(所定機能)の実行中に演奏音が出力された場合に、タッチパネルの外観を第1の態様から第2の態様に切り替える」という形態も含まれると解される。

一方、本件特許明細書の段落0029~0036(図5~8)には、所定機能の実行中に演奏音が出力された場合(S401:Yes)、所定機能の実行フラグがONであるので(S402:No)、タッチパネルの消灯(S404)を行わないことが記載されている。

即ち、「タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能(所定機能)の実行中に演奏音が出力された場合に、タッチパネルの外観を第1の態様から第2の態様に切り替える」という構成は、本件特許明細書に何ら記載されていない。

よって、本件訂正発明5は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであり、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定される要件を満たしていない。

2 判断

上記主張された取消理由について検討する。

(1)理由3(明確性)について

ア 理由アについて

請求項1では、タッチパネルに情報が視認可能に表示される鍵盤楽器の機能または設定には「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」が含まれることが特定されている。

また、請求項3が引用する請求項2によれば、「前記第1の条件」とは、「条件が成立したとき、前記タッチパネルを前記第2の態様から前記第1の態様に切り替え」るものであるから、請求項3では、「前記楽器における所定機能の実行」がなされたとき、前記タッチパネルを前記第2の態様から前記第1の態様に切り替えることが特定されている。

すなわち、請求項3における「前記楽器における所定機能」とは、実行時に前記タッチパネルを前記第2の態様から前記第1の態様に切り替える機能のことである。

請求項1及び3は、いずれも楽器の機能について特定するものであるが、請求項1における楽器の機能は「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」のみに限定されるものではないし、請求項3において追加的に特定される楽器の機能も所定のものに限定されないから、両者の異同が特定されないことは、本件訂正発明1が不明確であるとする理由にならない。

イ 理由イについて

発明の名称は「鍵盤楽器用表示装置および鍵盤楽器用表示装置の表示切替方法」とされており、かつ、請求項2~5が引用する請求項1は「鍵盤楽器用表示装置」とされているから、「楽器用表示装置」とされている本件訂正発明2~5は、「鍵盤楽器用表示装置」として理解することが相当である。

ウ 理由ウについて

請求項3、5における「前記楽器」が、その記載より前の「鍵盤楽器」を意味していることは、文脈から明らかである。

エ 明確性についてのまとめ

以上から、本件訂正発明1~5、8は明確である。

(2)理由4(サポート要件)について

請求項5は、請求項1等の鍵盤楽器用表示装置において、「楽器において演奏音が出力される間、タッチパネルの外観を第1の態様から第2の態様に切り替える」機能をさらに追加したものであり、さらに詳細な具体的条件までは特定されていない。

そして、発明の詳細な説明には、一実施例として、請求項1で特定されている、鍵盤楽器の機能または設定には「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能」が含まれること、及び、請求項5で特定されている、演奏音の出力中には、実行フラグがOFFの場合において、タッチパネルを消灯することが記載されており、本件訂正発明5は発明の詳細な説明に記載したものといえる。

第8 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について

申立人は、特許異議申立書において、甲第7号証を主引用例とした新規性(特許法第29条第1項第3号)、甲第1、3~5号証をそれぞれ主引用例とした新規性及び進歩性(同条第2項)の取消理由を主張している。

当該主張された取消理由について検討する。

1 甲第7号証を主引用例とした新規性

上記第6の1に示したとおり、本件訂正発明1は、甲7発明との間に相違点1~5を有するから、甲第7号証に記載された発明ではない。

また、本件訂正発明1の構成を含む本件訂正発明2~5、及び本件訂正発明1と同様の構成を備える本件訂正発明8についても、同様の理由により甲第7号証に記載された発明ではない。

2 甲第1号証を主引用例とした新規性、進歩性

(1)本件訂正発明1について

本件発明1と甲1発明を対比する。

甲1発明の「電子鍵盤楽器2に設けられた操作パネル1」は、識別マーク26を表示するものであり、本件発明1の「鍵盤楽器用表示装置」に相当する。

甲1発明の操作パネル1における、表面板22、点灯スイッチ48、並びに表面板22の識別マーク26に対応したタッチスイッチ44a,44b,44c及び光源32a,32b,32cを含む構成は、本件発明1の「鍵盤楽器の外観を構成する外装部材に隣接して配置されるタッチパネル」に相当するものといえる。

甲1発明の前記「光源32a,32b,32c」は、「複数の発光部」である点で、本件発明1の発光部と共通する。

しかしながら、前記複数の発光部が、本件発明1では「複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される」ものであるのに対し甲1発明では当該構成を備えていない点で、両者は相違する。

甲1発明の前記「抜き文字印刷により識別マーク26が形成された表面板22」又は「表面板22に貼り付けられる識別マーク26を形成した薄いシール」は、回路基板27に設けられている光源32a,32b,32cよりも正面側(上部)に配置されるものであり、かつ、周囲の色彩と同系統の色彩であって、光源32a,32b,32cが点灯していないと、識別マーク26が抜き文字印刷されていても、表面板22や背面板34が黒色の半透明、いわゆるスモークであるので、抜き文字印刷の識別マーク26もほぼ黒色となり、従って、演奏者は、操作パネル1を見ても識別マーク26は目立たず、何も表示されていないように見え、点灯スイッチ48を操作すると、光源32a,32b,32cが点灯し、これにより、抜き文字印刷の識別マーク26を裏側から照らし、識別マーク26の抜き文字を可視光が透過して、演奏者は識別マーク26を明確に認識できるようになるものであるから、本件発明1と甲1発明は、前記タッチパネルが、前記発光部の上部に配置される層を有し、前記層は前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が前記第1の態様に切り替わり、複数の情報を視認可能に表示するとともに、前記発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わるものである点で、共通する。

また、例えば甲第8号証の【0002】に記載されているように、一般に、電子鍵盤楽器には、複数のスイッチにより楽器の演奏に係る機能の選択操作や各種設定操作を行う構成が備わっているから、甲1発明の各タッチスイッチ44a,44b,44cにおける、タッチスイッチ44a,44b,44cの動作内容等を文字あるいは記号等で表示して演奏者に報知する情報である識別マーク26が、鍵盤楽器の機能又は設定を示す複数の情報を含むことは明らかである。

しかしながら、前記鍵盤楽器の機能又は設定が、本件訂正発明1では「鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む」ものであるのに対し、甲1発明では具体的に特定されていない点で、両者は相違する。

また、前記発光部の上部に配置される層が、本件発明1では「フィルム」であるのに対し、甲1発明ではそれぞれ「アクリル板等」又は「薄いシール」とされている点で、両者は相違する。

さらに、前記複数の情報が、本件発明1では「それぞれ前記複数のリブによって仕切られた」ものであるのに対し、甲1発明では当該構成が特定されていない点で、両者は相違する。

加えて、前記鍵盤楽器の機能または設定が、本件訂正発明1では「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる」ものであるのに対し、甲1発明では、当該構成を備えるものではない点で、両者は相違する。

なお、甲1発明は、点灯スイッチ48が操作されたときに、回路基板27上の各光源32a,32b,32cを点灯させるものであり、当該構成は、本件訂正発明1の「前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替え」るものに対応するといえるが、当該切り替えによりタッチスイッチ44a,44b,44cの操作を待機する状態は、本件訂正発明1の(実行される)機能または設定といえるものではない。

甲1発明の「回路基板27」は、電源に接続されており、点灯スイッチ48が操作されたときには、回路基板27上の各光源32a,32b,32cを点灯させるように構成されており、操作パネル1の外観を切り替えるための点灯、消灯を切り替える構成であるから、本件発明1の「前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替える切替部」に相当する。

以上から、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

〔一致点〕

鍵盤楽器の外観を構成する外装部材に隣接して配置されるタッチパネルと、

前記タッチパネルの外観を、第1の態様と、前記第1の態様よりも前記外装部材の外観に近い第2の態様との間で切り替える切替部とを備え 、

前記タッチパネルは、

発光部と、

前記発光部の上部に配置される層と、

を有し、

前記層は前記外装部材の外観と近似した色または模様を有し、各発光部が発光することにより、前記タッチパネルの外観が前記第1の態様に切り替わり、前記鍵盤楽器の機能又は設定を示す複数の情報を視認可能に表示するとともに、前記発光部による発光が停止されることにより、前記タッチパネルの外観が前記第2の態様に切り替わる、鍵盤楽器用表示装置。

〔相違点6〕

前記複数の発光部が、本件発明1では「複数のリブによって区切られた空間にそれぞれ配置される」ものであるのに対し甲1発明では当該構成を備えていない点

〔相違点7〕

前記鍵盤楽器の機能又は設定が、本件訂正発明1では「鍵盤からの演奏操作による演奏音の調整および自動伴奏音の選択を含む」ものであるのに対し、甲1発明では具体的に特定されていない点。

〔相違点8〕

前記発光部の上部に配置される層が、本件発明1では「フィルム」であるのに対し、甲1発明ではそれぞれ「アクリル板等」、「薄いシール」、「ポリカーボネート等の樹脂シート」とされている点。

〔相違点9〕

前記複数の情報が、本件発明1では「前記楽器の機能又は設定を示す情報としてそれぞれ前記複数のリブによって仕切られた」ものであるのに対し、甲1発明では当該構成が特定されていない点。

〔相違点10〕

前記鍵盤楽器の機能または設定が、本件訂正発明1では「前記タッチパネルを常時点灯した状態で実行される機能、および、前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる」ものであるのに対し、甲1発明では、当該構成を備えるものではない点。

上記相違点6~10のうち、まず相違点10について検討する。

(相違点10について)

相違点10に係る本件訂正発明1の構成のうち、少なくとも、前記鍵盤楽器の機能または設定(タッチパネルにそれぞれ前記複数のリブによって仕切られて視認可能に表示される複数の情報に対応付けられているもの)が「前記タッチパネルに対する操作があったことに応じて前記タッチパネルの外観を第2の態様から第1の態様に切り替えた上で実行されるものが含まれる」ものである点は、上記第6の1(1)(相違点5について)で示したとおり、甲号証のいずれにも記載されておらず、甲1発明及び甲号証に記載された技術から当業者が容易に想到しうるものではない。

よって、相違点6~9について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件訂正発明2~5、8について

本件訂正発明2~5は、本件訂正発明1の構成を含むものであり、本件訂正発明8は、本件訂正発明1と同様の構成を備えるものであるから、上記アと同様の理由により、甲1発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 甲第3号証~甲第5号証を主引用例とした新規性、進歩性

甲第3号証には、画像形成装置等の電子機器における発明が記載されており、甲第4号証には、認証機能付き什器における発明が記載されており、甲第5号証には、突板を用いたライティングによる加飾技術を有する表示装置における発明が記載されている。

上記各発明は、いずれも鍵盤楽器におけるものではなく、鍵盤楽器の機能又は設定についての情報を表示することは、当業者が容易に想到しうることではない。

よって、本件訂正発明1は、甲第3号証~甲第5号証に記載された発明ではないし、甲第3号証~甲第5号証に記載された発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

また、本件訂正発明1の構成を含む本件訂正発明2~5、及び本件訂正発明1と同様の構成を備える本件訂正発明8についても、同様の理由により甲第7号証に記載された発明ではないし、甲第3号証~甲第5号証に記載された発明等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

4 小括

上記1~3のとおりであるから、申立人による上記主張は採用することができない。

第9 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~5、8に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件請求項1~5、8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、上記第2のとおり、本件特許の請求項6、7に係る発明は、訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項6、7に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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