sokuhyo弁理士法人WATT 監修

A判定なら印紙代込み全額返金

特許訂正請求の許否

審判番号
2024700947
審判種別
記載はありません。

結論テキスト

結 論
特許第7459360号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
特許第7459360号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7459360号(以下「本件特許」という。)に係る出願(特願2023-129093号)は、令和5年8月8日(優先権主張 令和4年8月8日)に出願され、令和6年3月22日に特許権の設定の登録(請求項の数:9)がされ、同年4月1日に特許掲載公報が発行されたものである。

その後、令和6年9月30日に特許異議申立人である 本間 賢一 (以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~9に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。

その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は、次のとおりである。

令和7年 1月27日付け 取消理由通知

同年 4月11日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)

同年 同月25日付け 訂正請求があった旨の通知

なお、申立人は、令和7年4月25日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に何ら応答をしていない。

第2 訂正の請求について

1 訂正の請求の趣旨

令和7年4月11日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)の趣旨は、

「特許第7459360号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9について訂正することを求める。」

というものである。

2 訂正の内容

(1) 本件訂正前後の特許請求の範囲の記載

ア 本件訂正前の特許請求の範囲の記載

本件訂正前(本件特許の設定登録時)の本件特許の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】

次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):

(A)25°C液状の炭化水素油、

(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上、

(C)カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、

(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、

(E)水

を含有し、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9である水中油型乳化組成物。

【請求項2】

成分(B)が、アシルアミノ酸ジエステルを含む請求項1記載の水中油型乳化組成物。

【請求項3】

成分(D)として、セラミド類を全組成中に1質量%以上含有する請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。

【請求項4】

次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):

(A)25°C液状の炭化水素油、

(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上、

(C)カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、

(D)セラミド類 1~20質量%、

(E)水

を含有する水中油型乳化組成物。

【請求項5】

さらに、(F)HLB13以上の非イオン性界面活性剤を0.1質量%未満含む、請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項6】

さらに、(G)カチオン性ポリマーを含有する請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項7】

さらに、(H)トコフェロール及びその誘導体から選ばれる1種以上を含有する請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項8】

水で濡れた皮膚に塗布して使用する、請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項9】

皮膚に塗布した後水ですすいで使用する、請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。」

イ 本件訂正後の特許請求の範囲の記載

本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。

なお、下線は本件訂正による記載の変更箇所を示す。

「【請求項1】

次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):

(A)25°C液状の炭化水素油、

(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、

及び

エステル油から選ばれる1種以上、

(C)

下記一般式(1):

【化1】

30

71

0001431123000001.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤 0.1~

3

質量%、

(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、

及び

25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、

(E)水

を含有し、

成分(A)が、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含み、

セラミド類が、セラミド、一般式(2):

【化2】

42

82

0001431123000002.jpg

〔式(2)中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~6の整数を示す)を示す。〕

で表わされる化合物及び一般式(3):

【化3】

50

82

0001431123000003.jpg

〔式(3)中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。〕

で表わされる化合物から選ばれる1種以上であり、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9であ

り、

皮膚化粧料であ

る水中油型乳化組成物。

【請求項2】

さらに、ポリオールを含有し、

成分(B)が、アシルアミノ酸ジエステルを含

み、

式(1)中のR

1

が、炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、R

2

が、メチル基であり、R

3

及びR

4

はともにメチル基であるか、又はR

3

及びR

4

のうち1つがメチル基であり且つR

3

及びR

4

のうち残余が炭素数6以上の直鎖分岐鎖のアルキル基であり、

成分(D)が、セラミド及びN-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドから選ばれる1種以上を含み、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~20質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.1~0.9である、

請求項1記載の水中油型乳化組成物。

【請求項3】

成分(D)として、セラミド類を全組成中に1質量%以上含有する請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。

【請求項4】

次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):

(A)25°C液状の炭化水素油、

(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、

及び

エステル油から選ばれる1種以上、

(C)

下記一般式(1):

【化4】

30

71

0001431123000004.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、

(D)セラミド類 1~20質量%、

(E)水

を含有

し、

成分(A)が、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含み、

セラミド類が、セラミド、一般式(2):

【化5】

42

82

0001431123000005.jpg

〔式(2)中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~6の整数を示す)を示す。〕

で表わされる化合物及び一般式(3):

【化6】

50

82

0001431123000006.jpg

〔式(3)中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。〕

で表わされる化合物から選ばれる1種以上であり、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9であ

る水中油型乳化組成物。

【請求項5】

さらに、(F)HLB13以上の非イオン性界面活性剤を0.1質量%未満含

み、

成分(B)が、オレイン酸、イソステアリン酸、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、モノエステル油、ジエステル油及びトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上を含み、

成分(D)が、セラミド及びN-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドから選ばれる1種以上を含み、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~20質量%である

、

請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項6】

さらに、(G)カチオン性ポリマーを含有する請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項7】

さらに、(H)トコフェロール及びその誘導体から選ばれる1種以上を含有する請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項8】

水で濡れた皮膚に塗布して使用する、請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。

【請求項9】

皮膚に塗布した後水ですすいで使用する、請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。」

(2) 訂正事項

本件訂正の具体的な内容は、上記(1)アに摘記した本件訂正前の本件特許の特許請求の範囲の記載、上記(1)イに摘記した本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲の記載、及び、本件訂正請求書の記載からみて、以下の訂正事項1~6からなるものであると認められる。

なお、下線は本件訂正による記載の変更箇所を示す。

ア 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上、

(C)カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、

(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、」

と記載されているのを、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、

及び

エステル油から選ばれる1種以上、

(C)

下記一般式(1):

【化1】

30

71

0001431123000007.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤 0.1~

3

質量%、

(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、

及び

25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、」

に訂正する。

また、請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2、3、5~9も同様に訂正する。

イ 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項1に、

「を含有し、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9である水中油型乳化組成物。」

と記載されているのを、

「を含有し、

成分(A)が、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含み、

セラミド類が、セラミド、一般式(2):

【化2】

42

82

0001431123000008.jpg

〔式(2)中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~6の整数を示す)を示す。〕

で表わされる化合物及び一般式(3):

【化3】

50

82

0001431123000009.jpg

〔式(3)中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。〕

で表わされる化合物から選ばれる1種以上であり、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9であ

り、

皮膚化粧料であ

る水中油型乳化組成物。」

に訂正する。

また、請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2、3、5~9も同様に訂正する。

ウ 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項2に、

「成分(B)が、アシルアミノ酸ジエステルを含む請求項1記載の水中油型乳化組成物。」

と記載されているのを、

「

さらに、ポリオールを含有し、

成分(B)が、アシルアミノ酸ジエステルを含

み、

式(1)中の、R

1

が、炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、R

2

が、メチル基であり、R

3

及びR

4

はともにメチル基であるか、又はR

3

及びR

4

のうち1つがメチル基であり且つR

3

及びR

4

のうち残余が炭素数6以上の直鎖分岐鎖のアルキル基であり、

成分(D)が、セラミド及びN-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドから選ばれる1種以上を含み、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~20質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.1~0.9である、

請求項1記載の水中油型乳化組成物。」

に訂正する。

また、請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。

エ 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項4に、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上、

(C)カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、」

と記載されているのを、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、

及び

エステル油から選ばれる1種以上、

(C)

下記一般式(1):

【化4】

30

71

0001431123000010.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。]

で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、」

に訂正する。

また、請求項4の記載を引用する請求項5~9も同様に訂正する。

オ 訂正事項5

特許請求の範囲の請求項4に、

「を含有する水中油型乳化組成物。」

と記載されているのを、

「を含有

し、

成分(A)が、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含み、

セラミド類が、セラミド、一般式(2):

【化5】

42

82

0001431123000011.jpg

〔式(2)中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~6の整数を示す)を示す。〕

で表わされる化合物及び一般式(3):

【化6】

50

82

0001431123000012.jpg

〔式(3)中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。〕

で表わされる化合物から選ばれる1種以上であり、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9であ

る水中油型乳化組成物。」

に訂正する。

また、請求項4の記載を引用する請求項5~9も同様に訂正する。

カ 訂正事項6

特許請求の範囲の請求項5に

「さらに、(F)HLB13以上の非イオン性界面活性剤を0.1質量%未満含む、請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。」

と記載されているのを、

「さらに、(F)HLB13以上の非イオン性界面活性剤を0.1質量%未満含

み、

成分(B)が、オレイン酸、イソステアリン酸、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、モノエステル油、ジエステル油及びトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上を含み、

成分(D)が、セラミド及びN-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドから選ばれる1種以上を含み、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~20質量%である

、

請求項1又は4記載の水中油型乳化組成物。」

と訂正する。

(3) 一群の請求項について

本件訂正前の請求項1~3、5~9について、請求項2~3、5~9は、それぞれ請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用するものであり、訂正事項1及び訂正事項2により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるから、訂正前の請求項1~3、5~9に対応する訂正後の請求項1~3、5~9は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する「一群の請求項」である。

本件訂正前の請求項4~9について、請求項5~9は、それぞれ請求項4の記載を引用するものであり、訂正事項4及び訂正事項5により記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるから、訂正前の請求項4~9に対応する訂正後の請求項4~9は、同じく「一群の請求項」である。

そして、共通する訂正後の請求項5~9を有する、「一群の請求項」である訂正後の請求項1~3、5~9と、他の「一群の請求項」である訂正後の請求項4~9は、特許法施行規則第45条の4に規定されるとおり、一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係が、当該関係に含まれる請求項を介して他の一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係と一体として特許請求の範囲の全部又は一部を形成するように連関している関係を有するものであるから、組み合わされて1つの「一群の請求項」を構成するものである。

したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項」である、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9についてされたものである。

3 訂正事項についての訂正要件の判断

訂正事項1~6についての訂正要件の判断は、以下のとおりである。

なお、下線は、訂正による記載の変更箇所を示すもののほか、当審合議体が便宜のために付したものである。また、「・・・」は摘記の省略を示す。

(1) 訂正事項1について

ア 訂正の目的の適否

(ア) 訂正事項1の構成

訂正事項1に係る訂正は、以下の訂正事項1(1)、訂正事項1(2)、及び訂正事項1(3)の3つの訂正事項からなるものであると認められる。なお、請求項1の訂正に連動する請求項2~3、5~9の同様の訂正については、表示を省略する。

<訂正事項1(1)>

特許請求の範囲の請求項1に、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上、」

と記載されているのを、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、

及び

エステル油から選ばれる1種以上、」

に訂正する。

<訂正事項1(2)>

特許請求の範囲の請求項1に、

「(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、」

と記載されているのを、

「(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、

及び

25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、」

に訂正する。

<訂正事項1(3)>

特許請求の範囲の請求項1に、

「(C)カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、」

と記載されているのを、

「(C)

下記一般式(1):

【化1】

30

71

0001431123000013.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。]

で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤 0.1~

3

質量%、」

に訂正する。

(イ) 訂正事項1(1)及び訂正事項1(2)について

訂正事項1(1)及び訂正事項1(2)に係る訂正は、請求項1に記載された水中油型乳化組成物を構成する成分(B)及び成分(D)について、それぞれ列記された複数の事項が全て読点「、」で結ばれていて、これらの事項の相互の関係が必ずしも明らかでなかったところ、列記された最後の事項の前に並列の接続詞「

及び

」を加入することにより、列記された事項が択一選択又は複数選択の選択肢であることを日本語として明瞭に示すようにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(ウ) 訂正事項1(3)について

訂正事項1(3)に係る訂正は、請求項1に記載された水中油型乳化組成物を構成する成分(C)のカチオン界面活性剤を、「

一般式(1)

」で表わされる「

第4級アンモニウム塩型

」のものに具体的に限定し、その含有量の上限を「5質量%」から「

3

質量%」に変更して、その範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

(ア) 訂正事項1(1)及び訂正事項1(2)について

上記ア(イ)で説示したとおり、訂正事項1(1)及び訂正事項1(2)に係る訂正は、請求項1に記載された水中油型乳化組成物を構成する成分(B)及び成分(D)について、列記された事項が択一選択又は複数選択の選択肢であることを日本語として明瞭に示すようにするものであって、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0020】には、

「成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、」

と記載されており、同【0048】には、

「成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、」

と記載されている。

したがって、訂正事項1(1)及び訂正事項1(2)に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。

(イ) 訂正事項1(3)について

本件明細書の【0024】~【0026】には、

「【0024】

・・・。このようなカチオン界面活性剤の中でも、下記

一般式(1)で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤が好ましい。

【0025】

【化1】

30

71

0001431123000014.jpg

【0026】

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

」

と記載されており、同【0034】には、

「また、成分(C)が、カチオン界面活性剤の場合、・・・、含有量は、全組成中に・・・、

3

質量%以下がより好ましく、」

と記載されている。

したがって、訂正事項1(3)に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。

(ウ) まとめ

上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否

訂正事項1に係る訂正は、上記ア及びイで説示したとおり、「明瞭でない記載の釈明」又は「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、本件明細書等に記載事項の範囲内においてするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項1についてのまとめ

上記ア~ウのとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(2) 訂正事項2について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項2に係る訂正は、請求項1に記載された水中油型乳化組成物について、

・成分(A)の「25°C液状の炭化水素油」が、

「

スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含

」

むものであることを限定し、

・成分(D)の選択肢の一つである「セラミド類」を、「

セラミド

」、「

一般式(2)

」で表される化合物、及び「

一般式(3)

」で表わされる化合物から選ばれる1種以上に具体的に限定し、

・「水中油型乳化組成物」を、「

皮膚化粧料

」であるものとして、その適用対象及び用途を限定するものである。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

本件明細書の【0010】には、

「炭化水素油としては、

スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含む

のが好ましく、」

と記載されている。

また、同【0037】には、

「成分(D)のうち、セラミド類としては、天然

セラミド

、スフィンゴシン誘導体などの他、・・・などに記載の

セラミド類似構造物質

が例示される。具体的には、・・・、次の

一般式(2)及び(3)から選ばれる化合物

が好ましく、」

と記載されており、同【0038】~【0041】には、当該一般式(2)及び(3)について、

「【0038】

【化2】

42

82

0001431123000015.jpg

【0039】

〔式中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~6の整数を示す)を示す。〕

【0040】

【化3】

50

82

0001431123000016.jpg

【0041】

(式中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。)

」

と記載されている。

さらに、同【0066】には、

「本発明の水中油型乳化組成物は、・・・などの

皮膚化粧料

として適用することができる。」

と記載されている。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否

訂正事項2に係る訂正は、上記ア及びイで述べたとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、本件明細書等に記載事項の範囲内においてするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項2についてのまとめ

上記ア~ウのとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3) 訂正事項3について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項3に係る訂正は、請求項2に記載された水中油型乳化組成物について、

・「

さらに、ポリオールを含有

」することを特定し、

・請求項2が記載を引用する、請求項1に記載された水中油型乳化組成物が含有する成分(C)のカチオン界面活性剤について、訂正事項1(3)に係る訂正により、一般式(1)で表わされる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤に限定されるところ、当該式(1)のR

1

、R

2

、R

3

及びR

4

の定義をさらに限定し、

・成分(D)を、「

セラミド

」及び「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」から選ばれる1種以上を含むものに限定し、

・成分(A)及び成分(B)の合計含有量(A)+(B)の範囲について、その上限を、請求項2が記載を引用する請求項1では「30質量%」とされているのを「

20質量%

」とすることにより、限定し、

・成分(A)及び成分(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))の範囲について、その下限を、請求項2が記載を引用する請求項1では「0.05」とされているのを「

0.1

」とすることにより、限定するものである。

したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

本件明細書の【0101】には、

「85°Cに加熱した

ポリオール

(グリセリン等)、少量の水と、カチオン界面活性剤又は両性界面活性剤とを混合し、界面活性剤相を得た。・・・。十分攪拌した後、冷却して、水中油型乳化組成物を得た。」

と記載されている。

また、同【0024】~【0026】には、「一般式(1)」について上記(1)イ(イ)で認定した事項が記載され、同【0027】には、

「

一般式(1)

中、

R

1

、

R

3

及び

R

4

で示される「

直鎖

、

分岐鎖

又は環状の

飽和

又は不飽和の

炭化水素基

」・・・。

上記炭化水素基としては、・・・、

アルキル基

がより好ましい。」

と記載され、同【0028】には、

「

R

2

、

R

3

及び

R

4

で示される「

炭素数1~

4のアルキル基」の炭素数は・・・、

1

がより好ましい。また、このアルキル基は・・・、例えば、

メチル基

、・・・等が挙げられる。」

と記載され、同【0029】には、

R

3

及び

R

4

の組み合わせについて、

「これら組み合わせの中では、

R

3

及びR

4

がともに、炭素数1

~4の

アルキル基

である組み合わせ、

R

3

及びR

4

のうち1つが炭素数1

~4の

アルキル基

であり、

残余が炭素数6以上の直鎖、分岐鎖

又は環状

の飽和

又は不飽和

の炭化水素基

である組み合わせが好ましく、」

と記載されている。

さらに、同【0037】には、「セラミド類」について上記(2)イで認定した事項が記載され、同【0043】には、

「

一般式(2)の化合物

の例としては、

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

が挙げられ、」

と記載されており、セラミドについて、同【0117】には、

「そこで、一部の実施例と比較例について、濡れた肌に塗布してタオルで拭いた後の肌に残った油性成分の量を、

セラミド

を例として測定した。濡れた肌に塗布してタオルで拭いた後に肌に残った油性成分(

セラミド

)の残存率は、肌の被膜感・保護感や翌朝の保湿感と相関し、本発明の水中油型乳化組成物は、油性成分(

セラミド

)の残存率が高いので、肌の被膜感・保護感や翌朝の保湿感を良好にできるものである。」

と記載され、同【0119】には、

「(6)・・・、下記式により、

セラミド

残存率を求めた。」

と記載されている。

加えて、同【0022】には、

「本発明において、成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)は、・・・、全組成中に

1質量%以上

であるのが好ましく、・・・

30質量%以下

であるのが好ましく、

20質量%以下

がより好ましく、」

と記載されており、同【0023】には、

「本発明において、成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))は、・・・、

0.05以上

であり、

0.1以上

が好ましく、・・・、

0.9以下

であり、」

と記載されている

したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否

訂正事項3に係る訂正は、上記ア及びイで述べたとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、本件明細書等に記載事項の範囲内においてするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項3についてのまとめ

上記ア~ウのとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(4) 訂正事項4について

ア 訂正の目的の適否

(ア) 訂正事項4の構成

訂正事項4に係る訂正は、次の訂正事項4(1)及び訂正事項4(2)の2つの訂正事項からなるものであると認められる(なお、請求項4の訂正に連動する請求項5~9の同様の訂正については、表示を省略する。)。

<訂正事項4(1)>

特許請求の範囲の請求項4に、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上、」

と記載されているのを、

「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、

及び

エステル油から選ばれる1種以上、」

に訂正する。

<訂正事項4(2)>

特許請求の範囲の請求項4に、

「(C)カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、」

と記載されているのを、

「(C)

下記一般式(1):

【化4】

30

71

0001431123000017.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。]

で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤 0.1~5質量%、」

に訂正する。

(イ) 訂正事項4(1)について

訂正事項4(1)に係る訂正は、請求項4に記載された水中油型乳化組成物を構成する成分(B)について、列記された複数の事項が全て読点「、」で結ばれていて、これらの事項の相互の関係が必ずしも明らかでなかったところ、列記された最後の事項の前に並列の接続詞「

及び

」を加入することにより、列記された事項が択一選択又は複数選択の選択肢であることを日本語として明瞭に示すようにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(ウ) 訂正事項4(2)について

訂正事項4(2)に係る訂正は、請求項4に記載された水中油型乳化組成物を構成する成分(C)のカチオン界面活性剤を、「

一般式(1)

」で表わされる「

第4級アンモニウム塩型

」のものに具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

(ア) 訂正事項4(1)について

上記ア(イ)で説示したとおり、訂正事項4(1)に係る訂正は、請求項4に記載された水中油型乳化組成物を構成する成分(B)について、列記された事項が択一選択又は複数選択の選択肢であることを日本語として明瞭に示すようにするものであって、本件明細書の【0020】には、

「成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、」

と記載されている。

したがって、訂正事項4(1)に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。

(イ) 訂正事項4(2)について

本件明細書の【0024】~【0026】には、「

一般式(1)で表わされる第4級アンモニウム塩型

カチオン界面活性剤」について上記(1)イ(イ)に摘記した事項が記載されている。

したがって、訂正事項4(2)に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。

(ウ) まとめ

上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否

訂正事項4に係る訂正は、上記ア及びイで説示したとおり、「明瞭でない記載の釈明」又は「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、本件明細書等に記載事項の範囲内においてするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項4についてのまとめ

上記ア~ウのとおり、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(5) 訂正事項5について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項5に係る訂正は、請求項4に記載された水中油型乳化組成物について、

・成分(A)の「25°C液状の炭化水素油」が、

「

スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上を含

」

むものであることを限定し、

・成分(D)の選択肢の一つである「セラミド類」を、「

セラミド

」、「

一般式(2)

」で表される化合物、及び「

一般式(3)

」で表わされる化合物から選ばれる1種以上に具体的に限定し、

・

成分(A)及び成分(B)の合計含有量(A)+(B)

の範囲を、「

1~30質量%

」に限定し、

・

成分(A)及び成分(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))

の範囲を、「

0.05~0.9

」に限定するものである。

したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

本件明細書の【0010】及び同【0037】~【0041】には、「炭化水素油」及び「セラミド類」について上記(2)イに摘記した事項が記載されている。

また、同【0022】及び【0023】には、成分(A)及び(B)の含有量について上記(3)イに摘記した事項が記載されている。

したがって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否

訂正事項5に係る訂正は、上記ア及びイで述べたとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、本件明細書等に記載事項の範囲内においてするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項5についてのまとめ

上記ア~ウのとおり、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(6) 訂正事項6について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項6に係る訂正は、請求項5に記載された水中油型乳化組成物について、

・成分(B)を、「

オレイン酸、イソステアリン酸、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、モノエステル油、ジエステル油及びトリエステル油から選ばれる1種又は2種以上を含

」むものに限定し、

・成分(D)を、「

セラミド

」及び「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドから選ばれる1種以上を含

」むものに限定し、

・成分(A)及び成分(B)の合計含有量(A)+(B)の範囲について、請求項5が記載を引用する請求項4では、訂正事項5により、その上限が、「30質量%」とされるところ、「

20質量%

」とすることにより、さらに限定するものである。

したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の追加の有無

本件明細書の【0012】には、成分(B)について、

「成分(B)のうち、高級脂肪酸としては、例えば、

オレイン酸

、

イソステアリン酸

、・・・等が挙げられる。これらのうち、・・・、

オレイン酸

、

イソステアリン酸

から

選ばれる1種以上を含む

のが好ましい。」

と記載され、同【0013】には、

「また、高級アルコールとしては、例えば、・・・、

2-オクチルドデカノール

、・・・、

イソステアリルアルコール

、

オレイルアルコール

等が挙げられる。これらのうち、・・・、

2-オクチルドデカノール

、

イソステアリルアルコール

、

オレイルアルコール

が好ましく、」

と記載され、同【0014】には、

「エステル油としては、

モノエステル油

、

ジエステル油

、

トリエステル油

・・・が挙げられ、」

と記載され、同【0019】には、

「成分(B)としては、・・・、

モノエステル油

、

ジエステル油

、

トリエステル油

から

選ばれる1種又は2種以上を含む

のが好ましく、」

と記載され、同【0072】には、

「<4>成分(B)が、好ましくは、高級脂肪酸を含み、

オレイン酸

、

イソステアリン酸

から

選ばれる1種以上を含む

のがより好ましい、・・・水中油型乳化組成物。

・・・

<6>成分(B)が、好ましくは、エステル油を含み、

モノエステル油

、

ジエステル油

、

トリエステル油

から

選ばれる1種又は2種以上を含む

のがより好ましく、・・・がよりさらに好ましい、・・・水中油型乳化組成物。」

と記載されている。

さらに、同【0037】には、「セラミド類」について上記(2)イで認定した事項が記載され、同【0043】、【0117】及び【0119】には、「一般式(2)の化合物」及び「セラミド」について上記(3)イに摘記した事項が記載されている。

加えて、同【0023】には、成分(A)及び(B)の含有量について上記(3)イに摘記した事項が記載されている。

したがって、訂正事項6に係る訂正は、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否

訂正事項6に係る訂正は、上記ア及びイで述べたとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、本件明細書等に記載事項の範囲内においてするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正事項6についてのまとめ

上記ア~ウのとおり、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(7) 独立特許要件について

訂正事項1~6に係る訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を訂正の目的として含むものであるが、本件特許異議申立事件においては、本件訂正前の全ての請求項である請求項1~9に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、本件訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。

4 訂正の請求についてのまとめ

以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

よって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明

上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正後の本件特許の請求項1~9(以下、請求項の番号順に「本件訂正請求項1」等という。)の記載は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載された上記第2の2(1)イに摘記したとおりのものであり、本件訂正請求項1~9に係る発明は、上記の本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものと認める(以下、請求項の番号順に「本件訂正発明1」等といい、これらを総称して「本件訂正発明」ということがある。)。

第4 特許異議の申立ての理由及び当審において通知した取消理由の概要

1 特許異議の申立ての理由の概要

申立人は、証拠方法として、特許異議申立書(以下「申立書」という。)に添付して、下記(5)に示す甲第1号証~甲第10号証(以下「甲1」等と略記する。)を提出し、申立書の全体の記載からみて、本件特許の請求項1~9に係る特許を取り消すべきであるとの特許異議の申し立てをしており、その申し立ての理由(以下「申立理由」という。)の概要は、申立書の記載全体からみて、下記(1)~(4)に示すとおりのものと認める。

ここでいう「請求項1」及び「本件発明1」等は、本件特許の設定登録時の請求項1及び当該請求項1に係る発明等のことである。

(1) 申立理由1(明確性要件違反)

本件特許の特許請求の範囲の記載が、下記ア~ウの点で、特許法第36条第6項第2号に適合するものでないから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

ア 成分(D)における「25°Cでペースト状」の範囲が不明確である点(請求項1~3、5~9)。

イ 成分(D)における「セラミド類」の範囲が不明確である点(請求項1~9)。

ウ 成分(F)における「HLB13以上の非イオン性界面活性剤」の範囲が不明確である点(請求項5)。

(2) 申立理由2(サポート要件違反)

本件特許の特許請求の範囲の記載が、下記ア~カの点で、特許法第36条第6項第1号に適合するものでないから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

ア 成分(D)における「25°Cでペースト状」が限りなく固体状の実施形態である場合に、本件明細書でサポートされていない点(請求項1~3、5~9)。

イ 成分(D)における「セラミド類」に包含される範囲が本件明細書でサポートされていない点(請求項1~9)。

ウ 成分(F)における「HLB13以上の非イオン性界面活性剤」が本件明細書でサポートされていない点(請求項5)

エ 成分(A)、(B)及び(D)の種類について、実施例1~24で具体的に用いられた成分以外は、本件明細書でサポートされていない点(請求項1~9)。

オ 「合計含有量(A)+(B)」及び「質量割合(B)/((A)+(B))」の範囲について、実施例1~24の具体的なもの以外は、本件明細書でサポートされていない点(請求項1~9)

カ 実施例1~24の全てにおいて、その合計配合量の値が大きく、保湿効果を有する、「濃グリセリン」、「ポリエチレングリコール」及び「ソルビトール」(甲1及び甲2を参照。)の合計配合量が0質量%であっても、本件特許発明の課題が解決できると当業者が認識できるとはいえない点(請求項1~9)。

(3) 申立理由3(新規性欠如)

本件特許の請求項1、6、8、9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項1、6、8、9に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

(4) 申立理由4(進歩性欠如)

ア 申立理由4-1

本件特許の請求項1、6、8、9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3に記載された発明、及び、甲3~甲9に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項1、6、8、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

イ 申立理由4-2

本件特許の請求項1、3、4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項1、3、4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

(5) 申立人が提出した証拠方法

甲第1号証 : 特開2021-178796号公報

甲第2号証 : 特開2010-235460号公報

甲第3号証 : 特開2022-49821号公報

甲第4号証 : 特開2021-80208号公報

甲第5号証 : 特開2009-67733号公報

甲第6号証 : 特開2021-54747号公報

甲第7号証 : 特開2019-19443号公報

甲第8号証 : 特開2013-209296号公報

甲第9号証 : 特開2020-169128号公報

甲第10号証: 特開2015-13856号公報

2 当審合議体が通知した取消理由の概要

当審合議体が令和7年1月27日付け取消理由通知書(以下、単に「取消理由通知」という。)で特許権者に通知した取消理由の概要は、下記(1)~(4)のとおりであり、取消理由と申立理由の対応関係は、下記(5)のとおりである。取消理由で引用する甲1~甲10は、上記1(5)に示した証拠方法の甲第1号証~甲第10号証と同じ文献である。

また、ここでいう「請求項1」及び「本件発明1」等は、本件特許の設定登録時の請求項1及び当該請求項1に係る発明等のことである。

(1) 取消理由1(明確性要件違反)

本件特許の特許請求の範囲の記載が、下記アの点で、特許法第36条第6項第2号に適合するものでないから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

ア 成分(D)における「セラミド類」の範囲が不明確である点(請求項1~9)。

(2) 取消理由2(サポート要件違反)

本件特許の特許請求の範囲の記載が、下記ア~エの点で、特許法第36条第6項第1号に適合するものでないから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

ア 成分(D)における「セラミド類」に包含される範囲が本件明細書でサポートされていない点(請求項1~9)。

イ 成分(A)、(B)、(C)及び(D)について、実施例1~24で具体的に用いられた成分以外は、本件明細書でサポートされていない点(請求項1~9)。

ウ 「合計含有量(A)+(B)」及び「質量割合(B)/((A)+(B))」の範囲について、実施例1~24の具体的なもの以外は、本件明細書でサポートされていない点(請求項1~9)。

エ 実施例1~24の全てに配合されている、保湿効果を有する「濃グリセリン」、「ポリエチレングリコール」及び「ソルビトール」を含有していることが、本件発明の課題の解決に寄与していると解されるから、これらの成分が含有されていなくても、本件発明の課題を解決できると推認することはできない点(請求項1~9)。

(3) 取消理由3(新規性欠如)

本件特許の請求項1、5、6、8、9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項1、5、6、8、9に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

(4) 取消理由4(進歩性欠如)

ア 取消理由4-1

本件特許の請求項1、5、6、8、9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲3に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項1、5、6、8、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

イ 取消理由4-2

本件特許の請求項1、3~5、8、9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲10に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項1、3~5、8、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

(5) 取消理由と申立理由との対応関係

取消理由1(明確性要件違反)におけるアの点は、申立理由1(明確性要件違反)におけるイの点と、同旨である。

取消理由2(サポート要件違反)におけるア、イ、ウ及びエの点は、申立理由2(サポート要件違反)におけるイ、エ、オ及びカの点と、それぞれ同旨である。

取消理由3(新規性欠如)、取消理由4-1(進歩性欠如)及び取消理由4-2(進歩性欠如)は、申立理由3(新規性欠如)、申立理由4-1(進歩性欠如)及び申立理由4-2(進歩性欠如)を、それぞれ実質的に包含する理由である(取消理由4-1(進歩性欠如)は、実質的に甲4~甲9に記載された事項に基づく理由を含んでいる。)。

第5 取消理由についての当審の判断

1 当審の判断の概要及び乙号証について

(1) 当審の判断の概要

当審合議体は、本件訂正請求項1~9に係る特許は、取消理由通知で通知した取消理由1~4によっては、取り消すことはできないと判断する。その理由の詳細は下記2~5のとおりであり、必要に応じ、特許権者が令和7年4月11日付け意見書に添付して提出した下記(2)の乙第1号証~乙第14号証(以下「乙1」等と略記する。)を参照する。

なお、以下での本件明細書、証拠、及び、特許権者又は申立人の提出書類の記載の摘記中の下線は、特に注釈がなければ、いずれも当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。

(2) 特許権者が提出した証拠方法

乙第1号証 : 對間秀利,「実験成績証明書」,花王株式会社内スキン

ケア研究所,2025年4月10日

乙第2号証 : 日本化粧品技術者会編,『化粧品事典』,丸善株式会社,

平成15年12月15日,592頁左欄,「炭化水素」の

項

乙第3号証 : 「スクワラン代替」,

SILKFLO(登録商標)364,

SILKFLO(登録商標)366,

島貿易株式会社,

[2025年3月28日検索],インターネット,

<https://www.shima-tra.co.jp/cms/shima/products/

pdf/Silkflo.pdf>

乙第4号証 : 「成分を調べる」,「オレフィンオリゴマー」,コープ

化粧品,日本生活協同組合連合会,[2025年3月28

日検索],インターネット,

<https://www.co-op.ne.jp/cosmetics/element/detail.

html?CD=7046801>

乙第5号証 : 特開2021-187751号公報

乙第6号証 : 佐藤孝俊ほか編著,『香粧品化学』,朝倉書店,

1998年3月10日初版第2刷,54~55頁

乙第7号証 : 鈴木敏幸,「乳化の基礎と今後の潮流」,オレオサイエン

ス,第12巻第8号(2012),311~319頁

乙第8号証 : 「ユビナールA Plus B」,株式会社マツモト交商,

[2025年3月30日検索],インターネット,

<https://matsumoto-trd.com/material/materialdetail.

php?materialid=1352>

乙第9号証 : 「UVINUL(登録商標) MC 80」,岩瀬コスファ

株式会社,[2025年3月30日検索],

インターネット,

<https://www.iwasedatabase.jp/s/db-ingredients/

aON2u00000051CREAY/uvinul-mc-80?language=ia>

乙第10号証: 特開2007-22997号公報

乙第11号証: 佐野友彦ほか2名,「細胞間脂質構造に着目した化粧品の

開発」,製品&技術(Products Spotlight):膜(MEMBRA

NE),31(5),284-286(2006)

乙第12号証: 国際公開第2023/095810号

乙第13号証: 特開2022-187487号公報

乙第14号証: 「味の素KKのアミノ酸系香粧品素材」,アミノ酸系香粧

品総合カタログ,味の素株式会社,

作成日:2003年8月,改定日:2008年9月1日,

22頁

(3) 主な乙号証の記載事項

特許権者が提出した乙号証の主な記載事項を、取消理由を判断するために必要な範囲で以下に摘記する。

ア 乙1の記載事項

乙1には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙1a

「・・・、本件特許明細書の実施例3の処方において、流動パラフィンを

α-オレフィンオリゴマー

に変更した場合(

追加実施例1

)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデンル)を

イソノナン酸イソノニル

、

オレイン酸

又は

2-オクチルドデカノール

に変更した場合(

追加実施例2~4

)について、効果を検証する。」

(1頁「1.実験の目的」の項の1段落目)

・摘記乙1b

「・・・、本件特許明細書の実施例3の処方において、

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

を

精製水

に変更した場合(

追加実施例5

)、

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

を

精製水

に、

ワセリン

を

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)

に、それぞれ

変更

した場合(

追加実施例6

)、

N-(ヘキサデシロキンヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

を

精製水

に、

ワセリン

を

セラミド3

に、それぞれ変更した場合(

追加実施例7

)について、効果を検証する。」

(1頁「1.実験の目的」の項の2段落目)

・摘記乙1c

「・・・、本件特許明細書の実施例3の処方において、濃グリセリン、ソルビトール及びポリエチレングリコール600を

精製水

及び

エタノール

に変更した場合(

追加実施例8

)について、効果を検証する。」

(1頁「1.実験の目的」の項の3段落目)

・摘記乙1d

「3.実験方法

(追加実施例1~8)

表Aに示す

追加実施例1~8

の水中油型乳化組成物について、本件特許明細書の段落【0101】~【0111】の記載に準じて製造及び評価した。結果を表Aに示す。

なお、取消理由通知書において、「保湿効果を有する「濃グリセリン」と「ポリエチレングリコール」と「ソルビトール」を含有していることが本件発明の課題の解決に寄与していると解するのが自然」と認定された。一方、

精製水

と

エタノール

の混液は、揮発性が高く、保湿効果を有するという報告は見当たらなかった。そのため、追加実施例8においては、水相を精製水とエタノールの混液とした。」

(1~2頁「3.実験方法」の項)

・摘記乙1e

「4.結果

表Aから明らかなように、検証を行った追加実施例1~8いずれについても、「乾いた肌に塗布したときの組成物の吸収感や、その後に水で流した後の保湿感に優れ、水で濡れた肌に塗布したときには塗りのばしやすく、ベタツキやヌルツキがなく、被膜感・保護感、翌日にも保湿感が得られ、また濡れた肌に塗布して水で流しても、肌の光沢感に優れ、ベタツキのなさにも優れた水中油型乳化組成物」ということが確認できた。

〔表A〕

246

149

0001431123000018.jpg

*35:SILKFL0364(Vantage Specialty Chemicals社製)、*36:ルナックO-V(花王社製)、*37:カルコール200GD(花王社製)、*38:セラミドNP(N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、外原規(EVONIC社製))、その他の記号については本件特許明細書の段落【0116】の記載と同義。」

(2頁「4.結果」の項及び2~4頁〔表A〕)

イ 乙2の記載事項

乙2には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙2a

「

65

109

0001431123000019.jpg

・・・

133

102

0001431123000020.jpg

」

(592頁左欄)

ウ 乙3の記載事項

乙3には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙3a

「

87

151

0001431123000021.jpg

・・・

94

143

0001431123000022.jpg

」

エ 乙4の記載事項

乙4には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙4a

「オレフィンオリゴマー

α-オレフィン

という低重合物を水素添加して得られる液状油です.

スクワランと類似した構造と感触

を持っており,安全性・安定性にも優れるため広く

化粧品原料

として利用されます.」

オ 乙6の記載事項

乙6には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙6a

「3) HLB

HLB(hydrophile lipophile balance)は,

とくに非イオン界面活性剤の親水性と疎水性のバランスの尺度を数字で表したもの

である.

1~20の数値

で表し,

数値の大きいものほど親水性が高く

,数値の小さいものほど疎水性が高い.HLB値は界面活性剤の作用に対する重要な指針として利用される(表4.1).

・・・

63

95

0001431123000023.jpg

」

(55頁)

カ 乙7の記載事項

乙7には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙7a

「HLBとはHydrophile-Lipophile-Balanceの略で,・・・,Griffinは数多くの乳化の実験から界面活性剤の分子構造と性質との関連を調べ,それを数値化し,HLB数(HLB値とも言う)として界面活性剤に割り振った

8,9)

.

非イオン界面活性剤のHLB数は0~20までの数値

で示され,

親水性が強いものほど数値は大きくなる

。HLB数が4~6程度でW/Oエマルションが得られ,

8~18ぐらいではO/Wエマルションとなる

。」

(313頁、左欄下から2行~右欄3行)

キ 乙8の記載事項

乙8には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙8a

「商品名称

ユビナールA Plus B

特徴

ユビナールA Plus

(UV-A吸収剤)と

ユビナールMC80

(UV-B吸収剤)の混合品

・・・

化粧品表示名称

ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル

メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

」

ク 乙9の記載事項

乙9には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙9a

「

UVINUL○R MC 80

・・・

化粧品表示名称(原料)

メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

・・・」

(原文は、「○R」は○中のR。)

ケ 乙11の記載事項

乙11には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙11a

「

天然のセラミド

(

N-Sタイプ

)と類似した構造を有する

擬似セラミド

(

SL-E

)に天然のセラミドと同等以上の高い保湿効果が見出された・・・.」

(285頁、右欄11~13行)

・摘記乙11b

「

111

153

0001431123000024.jpg

」

(286頁「Fig.3」)

コ 乙14の記載事項

乙14には、以下の事項が記載されている。

・摘記乙14a

「

8

153

0001431123000025.jpg

・・・

7

39

0001431123000026.jpg

・・・

15

153

0001431123000027.jpg

」

2 取消理由1(明確性要件違反)について

(1) 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、本件訂正前の請求項1及び4に記載の「セラミド

類

」なる事項について、当該記載のみから、「セラミド」に該当する物質のほかに、セラミド「

類

」に具体的に如何なる物質までが包含されるのかを明確に把握することができないこと、本件明細書における「セラミド

類

」に関する記載を参照しても、「セラミド

類

」の定義は示されておらず、【0037】に例示されたもの以外に、具体的に如何なる構造の物質まで「セラミド

類

」に該当するのか確立された技術常識が存在したとも認められないから、「セラミド

類

」に該当する物質の範囲が特定されるとはいえないこと、また、例えば、本件明細書に記載の全ての実施例(実施例1~24)の水中油型乳化組成物が「成分(B)」のうち「25°Cで液状のエステル油」として含有する「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」はセラミド類似体といえ、実施例12の水中油型乳化組成物が「成分(D)」のうち「25°Cでペースト状のエステル油」として含有する「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)

」もセラミド類似体といえるところ、このような化合物も本件発明1及び4における「セラミド

類

」に該当するのか否か、その構造上の境界を明確に把握できないこと、を指摘していた。

(2) 判断

これに対して、本件訂正請求項1及び4においては、「セラミド

類

」が、

「

セラミド

、

一般式(2)

:(式は省略。以下同じ。)で表わされる化合物及び

一般式(3)

:(式は省略。以下同じ。)で表わされる化合物から選ばれる1種以上」

に限定され、その外縁が明確に規定され、この点は本件訂正請求項3、6~9でも同様であり、本件訂正請求項2及び5では、さらに成分(D)が、「セラミド

類

」であるセラミド及び

一般式(2)

で表される化合物に包含される「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」から選ばれる一種以上を含むものに具体的に特定された。

したがって、請求項1及び4に記載の「セラミド

類

」との記載は明確である。

なお、取消理由通知にて指摘した「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」は、液状であって(摘記乙14aを参照)、本件訂正請求項1及び4で規定される「成分(D)」のいずれにも該当しないものである。

また、上記

一般式(2)

で表わされる化合物及び上記

一般式(3)

で表わされる化合物が、いずれも擬似型セラミドであることは、本件特許の出願前から知られており、「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」を包含する上記

一般式(2)

で表わされる化合物は、乙10の【0053】~【0059】、乙12の[0010]~[0016]、及び、乙13の【0018】~【0020】に記載されており、乙11には摘記乙11a~乙11bの事項が記載されているところ、乙11に天然のセラミドと類似した構造を有することが記載された「

擬似セラミド

(

SL-E

)」は、その構造式からみて、「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」に該当するものである。さらに、上記

一般式(3)

で表わされる化合物が「セラミド

類

」であることも、乙12の[0010]、[0013]~[0016]、及び、乙13の【0018】、【0021】~【0022】に記載されている。

(3) まとめ

したがって、上記第4の2(1)に示した取消理由1(明確性要件違反)は理由がない。

3 取消理由2(サポート要件違反)について

(1) サポート要件の判断の前提

特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(いわゆるサポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2) 特許請求の範囲の記載

本件訂正請求項1~9の記載は、上記第2の2(1)イに摘記したとおりである。

(3) 発明の詳細な説明の記載

本件明細書の発明の詳細な説明には、本件訂正発明1~9に関係する主な事項として、次のア~エの事項が記載されている。

ア 「背景技術」の欄及び「発明が解決しようとする課題」の欄の記載

本件明細書の【背景技術】の欄及び【発明が解決しようとする課題】の欄には、次の記載がある。

「【背景技術】

【0002】

従来、

入浴直後

から就寝時での身体の乾燥状態に対して、

保湿効果のある化粧料などを塗布

することにより、全身保湿ケアが行われている。

保湿効果の高いセラミド類等を含有する組成物

として、例えば、天然型セラミドと、多価アルコールと、ノニオン性界面活性剤と、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を含有するセラミド分散組成物(・・・)や、スフィンゴシン、擬似スフィンゴシン、これらの塩、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選ばれる化合物、セラミド類、グリセリンモノ脂肪酸エステル、高級アルコール、水を含有する乳化組成物(・・・)などが検討されている。

・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

乾燥性敏感肌の人においては、

入浴後に全身の肌に化粧料等を塗布

しても、

その効果を十分に持続・改善することが困難

であり、全身の肌の乾燥や肌荒れを繰り返してしまうという課題があった。例えば、

化粧料を塗布した後、汗をかいたり水がかかると化粧料が流れて肌からとれてしまい、保湿効果が損なわれる

ことがあった。また、

入浴後、濡れた肌をタオルで拭いてから全身の肌に化粧料を塗布しようとすると、タオルで肌を拭く時間がかかり

、さらに

肌を拭いて乾いた状態の肌に化粧料を塗り広げるには、化粧料が伸びにくく、塗り広げる時間がかかってしまう

。そのため、

タオルで濡れた肌を拭く時間

と

全身の肌に化粧料塗り広げる時間

とが

合わさって時間がかかり

、

その間に肌が乾燥し始めてしまう

という課題もあった。

また、

保湿効果の高い化粧料は、ベタツキやヌルツキを感じやすかった

。

さらに、化粧料塗布後のベタツキは抑えられても、依然として化粧料が肌に塗布されたことが気になる人は、

塗布した後にシャワー等で化粧料を流したいが、流すと化粧料は肌から流れてしまい、保湿感や塗布後の光沢感などの効果が得られない

という課題もあった。」

イ 「課題を解決するための手段」の欄及び「発明の効果」の欄の記載

本件明細書の【課題を解決するための手段】の欄及び【発明の効果】の欄には、次の記載がある。

「【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明者らは、

特定の2種以上の液状油

を

特定の割合

で含有し、さらに

カチオン界面活性剤

、両性界面活性剤から選ばれる1種以上、

セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上

を含有する

水中油型乳化組成物

が、

乾いた肌に塗布したとき

の水中油型乳化組成物の

吸収感

や、

その後に水で流した後

も

保湿感

に優れ、

水で濡れた肌に塗布したとき

には

塗りのばしやすく

、

ベタツキやヌルツキがなく

、

被膜感・保護感

が得られ、また

濡れた肌に塗布して水で流しても

、

肌の光沢感

に優れ、

ベタツキがな

いことを見出した。

・・・

【発明の効果】

【0008】

本発明の水中油型乳化組成物は、

水で濡れた肌に塗布したとき

には、タオルで拭いても水中油型乳化組成物が

肌に残るため

、

被膜感・保護感が得られる

。」

ウ 「発明を実施するための形態」の欄の記載

本件明細書の【発明を実施するための形態】の欄には、次の記載がある。

(ア) 「成分(A)」について

「【発明を実施するための形態】

【0010】

本発明で用いる

成分(A)

は、

25°C液状の炭化水素油

である。

本発明において、

液状とは

、

25°Cにおける粘度が10000mPa・s以下であること

をいう。・・・。

成分(A)

の

炭化水素油

としては、例えば、

スクワラン

、スクワレン、

流動パラフィン

、

流動イソパラフィン

、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソドデカン等が挙げられる。

炭化水素油

としては、

スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上

を含むのが好ましく、・・・、

流動パラフィンを含むのがよりさらに好ましい

。

【0011】

成分(A)

は、・・・安定性、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、含有量は、全組成中に

0.1質量%以上

であるのが好ましく、・・・、

20質量%以下

であるのが好ましく、・・・。また、成分(A)の含有量は、全組成中に

0.1~20質量%

であるのが好ましく、・・・。」

(イ) 「成分(B)」について

「【0012】

成分(B)

は、

25°Cで液状

の

高級脂肪酸

、

高級アルコール

、

エステル油

から選ばれる1種以上である。

成分(B)のうち、

高級脂肪酸

としては、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸等が挙げられる。これらのうち、・・・、オレイン酸、イソステアリン酸から選ばれる1種以上を含むのが好ましい。

【0013】

また、

高級アルコール

としては、例えば、オクチルアルコール、デシルアルコール、2-オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらのうち、・・・、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。

【0014】

エステル油

としては、

モノエステル油

、

ジエステル油

、

トリエステル油

及び

テトラエステル油

が挙げられ、

25°Cで液状

であればいずれでもよい。

モノエステル油

としては、

炭素数2~24の脂肪族又は芳香族のモノカルボン酸又はジカルボン酸のモノエステル

が挙げられ、具体例としては、2-エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セチル、

イソノナン酸イソノニル

、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-ヘキシルデシルステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、イソデシルベンゾエート、

メトキシケイヒ酸オクチル

、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、コハク酸2-エチルヘキシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、安息香酸アルキル(C12~C15)等が挙げられる。

モノエステル油

としては、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、・・・、

イソノナン酸イソノニルを含むのがより好ましい

。

【0015】

ジエステル油

としては、炭素数3~18のジカルボン酸のジエステル、

多価アルコールのジ脂肪酸エステル

等が挙げられ、具体例としては、ジカプリル酸プロピレングリコール、

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等が挙げられる。また、

アシルアミノ酸エステル

として、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(

コレステリル

/2-オクチルドデシル)、

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

等の

アシルアミノ酸ジエステル

が挙げられる。

ジエステル油

としては、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、ジカプリル酸プロピレングリコール、

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(

コレステリル

/2-オクチルドデシル)、

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

から選ばれる1種又は2種以上

を含むのが好ましく

、・・・

【0016】

トリエステル油

としては、

トリグリセリン脂肪酸エステル

が挙げられ、・・・。

かかる

トリグリセリン脂肪酸エステル

としては、

トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル

、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、トリパルミトレイン酸グリセリル等が挙げられる。また、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、

オリーブ油

、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油等の植物油などが挙げられる。

【0017】

これらのうち、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、・・・、

トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルを含むのがことさらに好ましい

。

【0018】

テトラエステル油

としては、4価以上の多価アルコールのテトラ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリットが挙げられる。

【0019】

成分(B)

としては、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、

ジエステル油を含むのがより好ましく

、

アシルアミノ酸ジエステルを含むのがさらに好ましい

。

また、

成分(B)

としては、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、・・・、

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)を含むのがより好ましい

。

【0020】

成分(B)

は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、全組成中に0.5質量%以上であるのが好ましく、・・・、10質量%以下であるのが好ましく、・・・。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.5~10質量%であるのが好ましく、・・・。」

(ウ) 「成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)」について

「【0022】

本発明において、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)

は、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、全組成中に

1質量%以上

であるのが好ましく、・・・

30質量%以下

であるのが好ましく、

20質量%以下

がより好ましく、・・・」

(エ) 「成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合

(B)/((A)+(B))」について

「【0023】

本発明において、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))

は、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、

0.05以上

であり、

0.1以上

が好ましく、・・・、

0.9以下

であり、0.8以下が好ましく、・・・。」

(オ) 「成分(C)」について

「【0024】

成分(C)

は、

カチオン界面活性剤

、両性界面活性剤から選ばれる1種以上である。

成分(C)

の

カチオン界面活性剤

としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、・・・、

第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤

が好ましい。・・・

このようなカチオン界面活性剤の中でも、下記

一般式(1)で表わされる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤

が好ましい。

【0025】

【化1】

30

71

0001431123000028.jpg

【0026】

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

・・・

【0031】

カチオン界面活性剤

としては、例えば、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、

塩化ステアリルトリメチルアンモニウム

、

塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム

等のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩類;塩化ジデシルジメチルアンモニウム、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

等のジアルキルジメチルアンモニウム塩類;トリアルキルメチルアンモニウム塩類などが挙げられる。

・・・。また、

塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム

、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

から選ばれる1種以上を含むのが好ましく、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウムを含むのがより好ましい

。

【0032】

成分(C)

の

両性界面活性剤

としては、・・・、

ラウリルヒドロキシスルホベタイン

等のスルホベタイン型界面活性剤、・・・などが挙げられる。

・・・

【0033】

成分(C)

としては、乳化性、水中油型乳化組成物の安定性を向上させる観点から、また、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、

カチオン界面活性剤が好ましい

。

【0034】

・

成分(C)

は、・・・、乳化性、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、含有量は、全組成中に

0.1質量%以上

であるのが好ましく、・・・、

5質量%以下

であるのが好ましく、

3質量%以下

がより好ましく、・・・。」

(カ) 「成分(D)」について

「【0036】

成分(D)

は、

セラミド類

、

25°Cでペースト状の炭化水素油

、

25°Cでペースト状のエステル油

から選ばれる1種以上である。

本発明において、

ペースト状とは

、

25°Cにおける粘度が10000mPa・sより大きい

ことをいう。・・・。また、

稠度が100~430のもの

を言う。・・・。

【0037】

成分(D)のうち、セラミド

類

としては、

天然セラミド、スフィンゴシン誘導体などの他

、特開昭62-228048号公報、特開昭63-216812号公報、特開昭63-227513号公報、特開昭64-29347号公報、特開昭64-31752号公報、特開平8-319263号公報

などに記載のセラミド類似構造物質

が

例示される

。具体的には、乾いた肌に塗布して水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したあとの被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感を向上させる観点から、次の

一般式(2)及び(3)から選ばれる化合物が好ましく

、

一般式(2)の化合物がより好ましい

。

【0038】

【化2】

42

82

0001431123000029.jpg

【0039】

〔式中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~ 6の整数を示す)を示す。〕

【0040】

【化3】

50

82

0001431123000030.jpg

【0041】

(式中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。)

・・・・

【0043】

一般式(2)の化合物

の例としては、

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

が挙げられ、一般式(3)の化合物の例としては長鎖二塩基酸 ビス3-メトキシプロピルアミドが挙げられる。

一般式(2)で表わされる化合物

は、

擬似型セラミド類

であり、セラミド機能成分であり、セラミドの働きを補い、肌状態(水分量など)を改善することができる。

【0044】

成分(D)

のうち、

ペースト状の炭化水素油

としては、例えば、

ワセリン

、炭化水素油等が挙げられる。

【0045】

成分(D)

のうち、

ペースト状のエステル油

としては、植物性ワックスであるシア脂、

イソステアリン酸コレステリル

、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ラノリン脂肪酸コレステリル等の

コレステロール類誘導体

;

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)

、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、

ジリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)

等の

フィトステロール類誘導体

;

ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル類;

トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、トリラノリン脂肪酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル等のトリグリセライド類;

硬化油等の部分的に水素添加されたトリグリセライド類、ラノリン、軟質ラノリン脂肪酸、ラノステロール類誘導体、ラノリン脂肪酸エステル;

ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、

ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)

、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)トリ水添ロジン酸グリセリル等の

ダイマージリノール酸エステル

;

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

等のアジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル;

・・・、

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)

等の

アシルアミノ酸エステル

などが挙げられる。

【0046】

成分(D)

としては、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、・・・、

セラミド類

を含むのがさらに好ましく、

セラミド類

のうち、

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを含むのがよりさらに好ましい

。

また、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、・・・、

ワセリン

と

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

とを

両方含むことがよりさらに好ましい

。

【0047】

・・・、

成分(D)

として、

セラミド類

を全組成中に0.01質量%以上含有するのが好ましく、・・・、

1質量%以上

含有するのがさらに好ましく、・・・

【0048】

成分(D)

は、1種又は2種以上を用いることができ、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、・・・、

2質量%以上

がとりわけ好ましく、・・・、30質量%以下であるのが好ましく、

20質量%以下

がより好ましく、・・・。」

(キ) 「成分(E)」について

「【0050】

本発明において、

成分(E)

の

水

の含有量は、水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさを向上させる観点から、全組成中に30質量%以上であるのが好ましく、・・・、

40質量%以上

がさらに好ましく、

90質量%以下

が好ましく、・・・。」

(ク) 「本発明の水中油型乳化組成物」の効果について

「【0066】

・・・

本発明の水中油型乳化組成物は、水中油型乳化化粧料として好適であり、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア

化粧料

などの

皮膚化粧料

として適用することができる。なかでも、スキンケア化粧料が好ましく、スキンケア乳液、スキンケアクリームがより好ましく、スキンケアクリームがさらに好ましい。

【0067】

本発明の水中油型乳化組成物は、

乾いた肌に塗布したとき

には、

肌に吸収する

ため、

吸収感やその後に水で流しても保湿感が維持

される。

水で濡れた肌に塗布したとき

には、

タオルで濡れた肌を予め拭く時間がかからず

、また

濡れた肌には塗りのばしやすく

、

時間がかからずに塗布することができ

、しかも

塗布時のヌルツキがなく

、

タオルで拭いても水中油型乳化組成物が肌に残るため

、

被膜感・保護感

が得られる。

水で濡れた肌に塗布して水で流しても、水中油型乳化組成物の油性成分が肌に残るため、肌の光沢感が得られ、ベタツキを感じない

良好な使用感が得られるものである。さらに、

安定性

にも優れている。

【0068】

本発明の水中油型乳化組成物は、

水で濡れた皮膚に塗布して使用することができる

。また、

皮膚に塗布した後水ですすいで使用することもできる

。

本発明の水中油型乳化組成物は、

乾いた肌に塗布して使用できる

ほか、

水で濡れた肌に塗布して使用することもできる

。また、

水で濡れた肌に塗布してシャワー等ですすいで使用することもできる

。

入浴後に水で濡れた肌には

、

全身に塗りのばしやすく

、

その後タオルで水をふき取っても、本発明の水中油型乳化組成物は肌に残る

ことができる。

また、

塗布した後に水で洗い流した場合でも

、本発明の水中油型乳化組成物中の

油性成分は肌に残る

ことができる。

いずれの場合にも

、本発明の水中油型乳化組成物中の

油性成分は

、

肌に残るので、特に保湿成分の効果などを十分に得る

ことができる。

特に、

濡れた肌に塗布

すると、(

1

)

予め濡れた肌をタオルでふく必要がなく

、しかも

肌への塗り延ばしがしやすく簡単に塗布できる

ためスキンケアに時間がかからない、(

2

)

塗布時のヌルツキがない

、(

3

)

入浴した場合

、入浴に伴い角層の保湿成分(セラミドなどの角層細胞間脂質やNMF)が失われた肌は入浴後すぐに乾燥が始まるが、

入浴後の濡れた肌にすぐにそのまま塗れる

ため、肌の乾燥が始まるのを防止できる。そのため、使用法として、

濡れた肌に塗布する

ほうが、

乾いた肌に塗布するより

も

好適

である。一方、

濡れた肌に塗布して水で流し

てもよいが、水中油型乳化組成物中の

非油性成分も肌に残すことができる

ため、

水で流す使用方法より

も、

濡れた肌に塗布し

て

水で流さない

使用方法が最も好ましい。」

エ 「実施例」欄の記載

本件明細書の【実施例】欄には、次の記載がある。

「【実施例】

【0100】

実施例1~24

、比較例1~7

表1

-

表4

に示す成分を用いて水中油型乳化組成物を製造し、

乳化物(クリーム)の調製の可否

、

室温1週間後の安定性

、

乾いた肌に塗布したときの吸収感

、

乾いた肌に塗布してから水洗した後の保湿感

、

水で濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ

、

水で濡れた肌に塗布したときの塗布時のヌルツキのなさ

、

水で濡れた肌に塗布したときの被膜感・保護感

、

水で濡れた肌に塗布した翌朝の保湿感

、

水で濡れた肌に塗布してシャワーで流したときの肌の光沢感

、

水で濡れた肌に塗布してシャワーで流したときのベタツキのなさ

を評価した。結果を

表1

-

表4

に併せて示す。

なお、表中、配合成分が混合物である場合の含有量は、原料(混合物)での含有量を示す。

【0101】

(製造方法)

85°Cに加熱した

ポリオール

(

グリセリン

等)、少量の水と、カチオン界面活性剤又は両性界面活性剤とを混合し、界面活性剤相を得た。次に、85°Cで混合溶解させた油性成分を界面活性剤相に徐々に加えた。さらに、残りの水溶性成分を徐々に加え、攪拌混合して転相乳化させた。十分攪拌した後、冷却して、水中油型乳化組成物を得た。

【0102】

(評価方法)

(1)乳化物(クリーム)の調製の可否

:

各水中油型乳化組成物80mLを、110mLの透明ガラス容器(規格瓶#11、東京硝子器械社)に入れて密封し、室温(25°C)で12時間静置した。静置後の外観を目視により観察し、以下の基準で判定した。

○:均一な一層であり、水性成分や油性成分の分離を認めない。クリーム状乳化物である。

×:水性成分や油性成分が分離し、全体としてクリーム状乳化物を保持していない。

【0103】

(2)室温1週間後の安定性

:

各水中油型乳化組成物80mLを、110mLの透明ガラス容器(規格瓶#11、東京硝子器械社)に入れて密封し、室温(25°C)で1週間静置した。静置後の外観を目視により観察し、以下の基準で判定した。

○:均一な一層であり、水性成分や油性成分の分離を認めない。クリーム状乳化物である。

×:水性成分や油性成分が分離し、全体としてクリーム状乳化物を保持していない。

【0104】

(3)乾いた肌に塗布したときの吸収感

:

専門パネラー5名により、片腕の前腕を、キュレル泡ボディウォッシュ(花王社製)で洗い、シャワー水ですすぎタオルでよく拭いた。(濡れていない)片方の手の平に、各水中油型乳化組成物0.5gをとり、反対側の洗って乾いた前腕に手の平で塗布したときの「吸収感」について、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:肌への吸収性がとてもよいと感じる。

4点:肌への吸収性がよいと感じる。

3点:肌への吸収性がややよいと感じる。

2点:肌への吸収性があまりよいと感じない。

1点:肌への吸収性がよいとは感じない。

【0105】

(4)乾いた肌に塗布してから水洗した後の保湿感

:

専門パネラー5名により、片腕の前腕を、キュレル泡ボディウォッシュ(花王社製)で洗い、シャワー水ですすぎタオルでよく拭いた。(濡れていない)片方の手の平に、各水中油型乳化組成物0.5gをとり、反対側の洗って乾いた前腕に塗り広げた。約30分後、水中油型乳化組成物を塗布した前腕を約40°Cのシャワーで流して、タオルで押さえるように過剰な水分を拭った。シャワーで流した後の「保湿感」について、シャワーで流す前の保湿感と比較して、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:シャワーで流す前と保湿感が変わらない。

4点:シャワーで流す前と保湿感がほとんど変わらない。

3点:シャワーで流す前より保湿感は少し減ったが依然として保湿感がある。

2点:シャワーで流す前より保湿感が減ったが少し保湿感が残っている。

1点:シャワーで流した後は保湿感がない。

【0106】

(5)水で濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ

:

専門パネラー5名により、夜、片腕の前腕を、キュレル泡ボディウォッシュ(花王社製)で洗い、シャワー水ですすいだ。軽く濡れた片方の手の平に、各水中油型乳化組成物0.5gをとり、反対側のシャワーで流して軽く濡れた前腕に塗り広げた。約1分後、タオルで押さえるように過剰な水分を拭った。軽く濡れた肌に水中油型乳化組成物を手の平で塗布するときの「塗りのばしやすさ」について、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:とても塗りのばしやすい。

4点:塗りのばしやすい。

3点:やや塗りのばしやすい。

2点:あまり塗りのばしやすくない。

1点:塗りのばしにくい。

【0107】

(6)水で濡れた肌に塗布したときの塗布時のヌルツキのなさ

:

(5)と同様にして、軽く濡れた肌に水中油型乳化組成物を手の平で塗布するときの「ヌルツキのなさ」について、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:ヌルつかない。

4点:ほとんどヌルつかない。

3点:あまりヌルつかない。

2点:ややヌルつく。

1点:ヌルつく。

【0108】

(7)水で濡れた肌に塗布したときの被膜感・保護感

:

(5)と同様にして、各水中油型乳化組成物を軽く濡れた前腕に塗り広げ、約1分後、タオルで押さえるように過剰な水分を拭ってから約2分後、専門パネラーが肌が「膜で覆われてて保護されている感じ」ついて、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:肌が膜で覆われて保護されている感じがとてもある。

4点:肌が膜で覆われて保護されている感じがある。

3点:肌が膜で覆われて保護されている感じがややある。

2点:肌が膜で覆われて保護されている感じが若干ある。

1点:肌が膜で覆われて保護されている感じがない。

【0109】

(8)水で濡れた肌に塗布した翌朝の保湿感

:

(5)と同様にして、各水中油型乳化組成物を軽く濡れた前腕に塗り広げ、約1分後、タオルで押さえるように過剰な水分を拭った。翌朝、肌の保湿感について、塗布していない部位と比較して、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:塗布していない部分に比べてとても潤っている。

4点:塗布していない部分に比べて潤っている。

3点:塗布していない部分に比べてやや潤っている。

2点:塗布していない部分に比べて若干潤っている。

1点:塗布していない部分と同じで潤っていない。

【0110】

(9)水で濡れた肌に塗布してシャワーで流したときの肌の光沢感:

専門パネラー5名により、片腕の前腕をキュレル泡ボディウォッシュ(花王社製)で洗い、シャワー水ですすいだ。軽く濡れた片方の手の平に各水中油型乳化組成物0.5gをとり、反対側のシャワーで流して軽く濡れた前腕に塗り広げた。約30秒後、約40°Cのシャワー水をかけて流し、タオルで押さえるように過剰な水分を拭った。その後、水中油型乳化組成物を塗布していた腕の光沢感について、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:とても光沢感がある。

4点:光沢感がある。

3点:やや光沢感がある。

2点:あまり光沢感がない。

1点:光沢感がない。

【0111】

(10)水で濡れた肌に塗布してシャワーで流したときのベタツキのなさ

:

(9)と同様にして、シャワーで流した後、水中油型乳化組成物を塗布していた腕のベタツキのなさについて、以下の基準で評価した。結果を、5名の合計点で示した。

5点:ベタツキを感じない。

4点:ほとんどベタツキを感じない。

3点:あまりベタツキを感じない。

2点:ややベタツキを感じる。

1点:ベタツキを感じる。

【0112】

【表1】

228

148

0001431123000031.jpg

【0113】

【表2】

229

147

0001431123000032.jpg

【0114】

【表3】

237

153

0001431123000033.jpg

【0115】

【表4】

246

152

0001431123000034.jpg

【0116】

*1

:

スクワラン

:岸本特殊肝油社製、スクワラン、

*2

:

流動パラフィン

:Sonneborn,LLC製、ケイドール、

*3

:

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

:

味の素社製、エルデュウPS-203

、

*4

:

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

:日清オイリオグループ社製、エステモールN-01、

*5

:

イソノナン酸イソノニル

:日清オイリオグループ社製、サラコス99、

*6

:

トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル

:花王社製、ココナードMT、

*7

:

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

:Evonik Operations GmbH製、VARISOFT TA100、

*8:塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム:日油社製、カチオン VB-800E(塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム80%とエタノール20%の混合物)、

*9:N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム:日本サーファクタント工業社製、NIKKOL SMT、

*10:モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:花王社製、レオドールTW-S120V、

*11:ベヘン酸グリセリル:太陽化学社製、サンソフト NO.8100-CK、

*12:モノステアリン酸ソルビタン:花王社製、レオドール SP-S10V、

*13

:

ワセリン

:Sonneborn,LLC製、スーパーホワイトプロペット、

*14

:

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

:花王社製、ソフケアセラミド SL-E、

*15

:

イソステアリン酸コレステリル

:花王社製、エキセパール IS-CE-A、

*16

:

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)

:

味の素社製、エルデュウPS-306

、

*17

:

ジリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)

:日本精化社製、PLANDOOL-H、

*18

:

濃グリセリン

:花王社製、化粧品用濃グリセリン、

*19

:

ソルビトール

:三菱商事ライフサイエンス社製、ソルビット W-70(ソルビトール70%と水30%の混合物)、

*20

:

ポリエチレングリコール600

:三洋化成工業社製、PEG-600(-G)、

*21:d-δ-トコフェロール:タマ生化学社製、D-δ-トコフェロール、

*22:エチル[(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウムエチル硫酸塩

・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体:(エチル[(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウムエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミ30%とポリエチレングリコール70%の混合物)、

*23:ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム:BASF Personal Care and Nutrition GmbH製、コスメディア ウルトラジェル 300(ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム97%とイソプロパノール3%の混合物)、

*24:キサンタンガム:住友ファーマフード&ケミカル社製、ケルデント、

*25:ステアリルアルコール:花王社製、カルコール8098、

*26:セタノール:花王社製、カルコール6098、

*27:コレステロール:日本精化社製、コレステロールJSQI、

*28:メチルポリシロキサン:信越化学工業社製、シリコーン KF-96A-10CS、

*29:アラントイン:川研ファインケミカル社製、S-アラントイン、

*30:ユーカリエキス:香栄興業社製、ユーカリエキスK、

*31:フェノキシエタノール:東邦化学工業社製、ハイソルブEPH、

*32:コハク酸:日本触媒社製、コハク酸、

*33:アルギニン:味の素社製、L-アルギニン Cグレード

*34

:

ラウリルヒドロキシスルホベタイン液

:花王社製、アンヒトール20HD(ラウリルヒドロキシスルホベタイン30質量%と水70質量%の混合物)

【0117】

本発明の水中油型乳化組成物は、

肌に塗布

すれば

肌によく収着・吸収

され、

その後水やタオルで拭いても取り去られない特徴を有する

。特に、

油性成分は肌に効率的に残存する

。そこで、一

部の実施例と比較例

について、

濡れた肌に塗布してタオルで拭いた後の肌に残った油性成分の量を

、

セラミドを例として測定

した。

濡れた肌に塗布してタオルで拭いた後に肌に残った油性成分(セラミド)の残存率

は、

肌の被膜感・保護感や翌朝の保湿感と相関

し、本発明の水中油型乳化組成物は、

油性成分(セラミド)の残存率が高い

ので、

肌の被膜感・保護感や翌朝の保湿感を良好にできる

ものである。

【0118】

試験例

実施例3~6

、

比較例2

の水中油型乳化組成物について、

皮膚に塗布したときのセラミド残存率

を測定した。結果を

表5

に示す。

【0119】

(試験方法)

(1)前腕内側の試験部位を、キュレル泡ボディウォッシュ(花王社製)を用いて洗浄し、ぬるま湯で洗い流し、タオルで拭いた。

(2)洗浄後の前腕内側の被験部位(5×6cm)に、82μLの水中油型乳化組成物をマイクロマンでとり、153μLの水道水を加えて混ぜて均一に塗布した。

(3)1分放置後、紙タオルで2回抑えてタオルドライした。

(4)水中油型乳化組成物を塗布していた部位について、D-SQUAMEテープ(Clinical and Derm 社、直径2.3cm円状)で同じ箇所を深さ方向に5回採取した。採取した箇所とは別の箇所からも同様に5回採取し、計4か所から採取した(図1参照)。

(5)バイアル瓶に採取したテープ20枚をすべて入れ、アセトン/ジエチルエーテル/エタノール=3/3/4、5mLを加え、ボルテックスして抽出後、乾固した。さらに、メタノール5mLを入れて、蓋をして超音波洗浄機(~50°C)で1.5時間抽出した。抽出液中の

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

(

成分(D1)

)をHPLC(UV,ODSカラム)、メタノール/アセトニトリル=7/3で定量した。

(6)分析値から、塗布部位にタオルドライ後に付着した(紙タオルに拭き取られずに残った)

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

(

成分(D1)

)の量と、水中油型乳化組成物中の配合量(質量%)と塗布量から、下記式により、セラミド残存率を求めた。

なお、残存率計算に当たっては、塗布面積(5×6cm

2

)に対して回収面積(1.15×1.15×3.14×4cm

2

)の点を考慮した。また、塗布部位には剤が均一に塗布されているものとして計算した。

また、各水中油型乳化組成物について、2回、(1)~(6)を実施して残存率を求め、2回の平均値を測定値とした。

【0120】

セラミド残存率(%)

=(20枚のテープから回収された

成分(D1)

の総量)/(回収面積1.15×1.15×3.14cm

2

に塗布された水中油型乳化組成物中の

成分(D1)

の含有量)×100

【0121】

【表5】

14

153

0001431123000035.jpg

」

(4) サポート要件の判断

ア 本件訂正発明の課題について

本件訂正請求項1~9の記載、上記(3)アに摘記した本件明細書の【背景技術】の欄及び【発明が解決しようとする課題】の欄の記載、上記(3)イに摘記した同【課題を解決するための手段】の欄及び【発明の効果】の欄の記載、並びに、上記(3)ウ(ク)に摘記した本件明細書における発明の効果に関する記載からみて、本件訂正発明1~9の課題は、いずれも共通して、次のとおりのものと認められる。

「乾いた肌に塗布したときの吸収感や、その後に水で流した後も保湿感に優れ、水で濡れた肌に塗布したときに塗りのばしやすく、ベタツキやヌルツキがなく、被膜感・保護感が得られ、濡れた肌に塗布した後に水で流しても、肌の光沢感に優れ、ベタツキがない、水中油型乳化組成物の提供」

イ 課題が解決できることを確認できる具体的な態様について

本件明細書の発明の詳細な説明には、上記(3)エに摘記した表1~4に、各含有成分及びそれらの含有量が具体的に示された実施例1~24の水中油型乳化組成物について、上記(3)エに摘記した評価方法による(1)~(10)の評価項目を判定・評価した結果が記載されている。

当該表1~4の記載によれば、上記実施例1~24の水中油型乳化組成物について、

「(1) 乳化物の調製の可否」

及び

「(2) 室温1週間後の安定性」

の2つの評価項目(「○」及び「×」の2段階の判定基準)のいずれもが、全ての実施例において、

「○: 均一な一層であり、水性成分や油性成分の分離を認めない。クリーム状乳化物である。」

であることが示されており、

「(3) 乾いた肌に塗布したときの吸収感」、

「(4) 乾いた肌に塗布してから水洗した後の保湿感」、

「(5) 水で濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ」、

「(6) 水で濡れた肌に塗布したときの塗布時のヌルツキのなさ」、

「(7) 水で濡れた肌に塗布したときの被膜感・保護感」、

「(8) 水で濡れた肌に塗布した翌朝の保湿感」、

「(9) 水で濡れた肌に塗布してシャワーで流したときの肌の光沢感」、及び、

「(10)水で濡れた肌に塗布してシャワーで流したときのベタツキのなさ」

の8つの評価結果については、専門パネラー5名による、1点から5点の5段階評価の合計点が、最も低いものでも「15点」(平均が3点であり、効果は認められる。)である評価項目が、実施例9で3つあり、実施例21及び22で4つあり、実施例24で1つあるものの、これら以外は、全ての実施例における全ての評価項目の評価結果が「16点」以上であって、特に、実施例3、4、7、12、15、19及び20では、8つの評価項目の評価結果の全てが「25点」(5名の専門パネラー全員が最高点の5点である。)であることが示されている。

そうすると、上記実施例1~24の水中油型乳化組成物については、上記アで認定した本件訂正発明の課題を実際に解決できたことが具体的な裏付けを伴って記載されていると認められる。

ウ 本件訂正請求項1~9の記載と発明の詳細な説明の記載との対比・判断

以下、本件訂正請求項1~9の記載と、本件明細書の発明の詳細な説明の記載とを対比し、本件訂正発明1~9が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かについて、検討する。

(ア) 本件訂正発明1及び4について

a 各成分の種類について

本件訂正発明1及び4の水中油型乳化組成物は、必須の成分の一つとして「(C)下記一般式(1):(式は省略する。)で表わされる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤」を含有することを特定事項とするものである。

上記イで説示した実施例1~24の水中油型乳化組成物のうち、実施例22の組成物については、「成分(C)」として一種類のみ含まれている「

ラウリルヒドロキシスルホベタイン液

」が、「カチオン界面活性剤」ではなく「

両性界面活性剤

」であり(上記(3)ウ(オ)で摘記した本件明細書の【0032】を参照。)、「カチオン界面活性剤」を含有するものではないから、本件訂正発明1及び4の水中油型乳化組成物に該当しない。

一方、上記実施例1~21、23~24の水中油型乳化組成物は、本件訂正発明1及び4の特定事項を全て満たしている。なお、以下の検討では、実施例22の水中油型乳化組成物についても、必要に応じて参考として言及することがある。

(a) 「成分(A)」について

α 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、本件訂正前の本件発明1及び4の水中油型乳化組成物は、必須の成分の一つとして、「(A)25°C液状の炭化水素油」を含有することを特定事項とするものであり、当該「成分(A)」に該当する化合物には、鎖長の違いや、分岐、不飽和結合及び環状基の有無・数が異なった、多様な構造の化合物が包含され得るところ、上記イで説示した実施例1~24の水中油型乳化組成物では、いずれも「成分(A)」としては「流動パラフィン」の一種類のみが含有されており、「流動パラフィン」以外の炭化水素油を用いた実施例は全くなく、本件明細書に、「流動パラフィン」に限らず「25°C液状」であり「炭化水素油」であるという点でのみ共通する多様な構造の化合物が、本件発明の課題の解決に如何に寄与するかといった理論的な説明も記載されていないし、そのような技術常識が本件特許の出願前に存在したとも認められない旨を指摘していた。

β 判断

これに対して、本件訂正発明1及び4では、「成分(A)」である「25°C液状の炭化水素油」が、「

スクワラン

、流動パラフィン、

流動イソパラフィン

、

軽質流動イソパラフィン

、

軽質イソパラフィン

、及び

α-オレフィンオリゴマー

から選ばれる1種又は2種以上」を含むものに限定されている。

そして、本件明細書の【0010】には、「炭化水素油としては、

スクワラン

、流動パラフィン、

流動イソパラフィン

、

軽質流動イソパラフィン

、

軽質イソパラフィン

、

α-オレフィンオリゴマー

から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく」と記載され、「流動パラフィン」以外の5種の炭化水素油は、実施例1~21、23~24で使用された「流動パラフィン」と同様に好ましいものとされている。これらの5種の炭化水素は、「流動パラフィン」と同様に油性基剤として使用される周知の化粧品成分であり(摘記乙2aを参照。)、分岐の有無の違いはあるが、いずれも環構造を持たない炭化水素であって、非極性油という点でも「流動パラフィン」と共通している。

また、α-オレフィンオリゴマーは、スクワランと構造が類似しており、その代替として使用されることも、本件特許の出願前からよく知られていることである(摘記乙3a及び摘記乙4aを参照)。

なお、乙1(実験成績証明書)は、本件明細書には具体的な実施例等が記載されていなかった、本件訂正発明に該当する態様の水中油型乳化組成物の複数の追加実施例(追加実施例1~8)について、効果を実際に確認したものであるところ(摘記乙1a~乙1e)、本件明細書に記載の実施例3の水中油型乳化組成物において、「流動パラフィン」を「

α-オレフィンオリゴマー

」に変更した組成物(追加実施例1)は、実施例3の組成物と同程度の「乾いた肌に塗布したときの組成物の口及収感や、その後に水で流した後の保湿感に優れ、水で濡れた肌に塗布したときには塗りのばしやすく、ペタツキやヌルツキがなく、被膜感・保護感、翌日にも保湿感が得られ、また濡れた肌に塗布して水で流しても、肌の光沢感に優れ、ベタツキのなさにも優れた」効果を奏したことが確認できる(摘記乙1e)。

そうすると、本件特許の出願時の技術常識に照らし、本件明細書の発明の詳細な説明の記載により、本件訂正発明1及び4において、「成分(A)」として、「流動パラフィン」以外の5種の炭化水素(「

スクワラン

、

流動イソパラフィン

、

軽質流動イソパラフィン

、

軽質イソパラフィン

又は

α-オレフィンオリゴマー

)を用いた場合であっても、「流動パラフィン」を用いた場合と同様に、上記アで認定した本件訂正発明の課題を解決できると、当業者が認識できるといえる。

γ まとめ

したがって、本件請求項1及び4について、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のイの点のうち、成分(A)についての不備の指摘は理由がない。

(b) 「成分(B)」について

α 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、本件訂正前の本件発明1及び4の水中油型乳化組成物は、必須の成分の一つとして、「(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油から選ばれる1種以上」を含有することを特定事項とするものであり、当該「成分(B)」に該当する化合物には、必須の官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基)の構造の違いに加えて、鎖長の違い、分岐、不飽和結合及び環状基の有無・数の違い、置換基の骨格や追加的な官能基なども異なる、多種多様な構造の化合物が包含され得るところ、上記イで説示した実施例1~24の全ての水中油型乳化組成物では、「成分(B)」として、「ジエステル油」である「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」が必ず含有されていること、「成分(B)」として他の化合物を含有する実施例もあるが、それらはいずれも「エステル油」であり、「高級脂肪酸」又は「高級アルコール」を含有する実施例は一つもないこと、上記「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」は、その構造がスフィンゴイド相当部分のアミノ基と長鎖脂肪酸のカルボキシル基がアミド結合したものである点でセラミドに類似しており、セラミドと同様、ラメラ液晶を形成してエモリエント効果を奏するものであること、「成分(B)」として、「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」という、セラミドに類似する特定の構造と性質を有する化合物を用いた場合に本件発明の課題を解決できたからといって、当該化合物とは構造も性質も大きく異なる、「25°Cで液状」の、「高級脂肪酸」、「高級アルコール」又は「エステル油」に包含される、あらゆる多種多様な化合物を用いた場合においても、本件発明の課題を解決できると推認することはできないこと、を指摘していた。

β 判断

実施例1~24の水中油型乳化組成物は、いずれも「成分(B)」として「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」を含有するが、このうち実施例8~11では、「成分(B)」の含有量の半分が、「

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

」、「

イソノナン酸イソノニル

」又は「

トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル

」であり、上記アで認定した本件訂正発明の課題を解決できることが示されている。

また、「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」は、25°Cで液状である高級脂肪酸、高級アルコール、及び、他のエステル油と同様に、化粧料組成物において油性基剤として使用されることが知られている成分であるところ(例えば、乙5の【0057】~【0078】(特に【0059】、【0062】及び【0064】を参照。)、本件訂正発明1又は4において、「成分(B)」として、25°Cで液状である、高級脂肪酸、高級アルコール、又は他のエステル油を用いた場合に、同様に機能し得ると当業者ならば理解できるといえる。

なお、乙1(実験成績証明書)によれば、本件明細書に記載の実施例3の水中油型乳化組成物における「成分(B)」について、「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)

」に代えて、「25°Cで液状の高級脂肪酸」である「

オレイン酸

」、「25°Cで液状の高級アルコール」である「

2-オクチルドデカノール

」又は「25°Cで液状のエステル油」である「

イソノナン酸イソノニル

」を用いた場合においても(追加実施例2~4)、上記アで認定した本件訂正発明の課題を解決できることが確認できる(摘記乙1a、同乙1d~乙1eを参照。)。

γ まとめ

したがって、本件請求項1及び4について、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のイの点のうち、成分(B)についての不備の指摘は理由がない。

(c) 「成分(C)」について

α 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、本件訂正前の本件発明1及び4の水中油型乳化組成物は、必須の成分の一つとして「(C)カチオン界面活性剤」を含有することを特定事項とするものであるが、上記イで説示した実施例1~24の水中油型乳化組成物をみると、実施例17では、「成分(C)」として、「

塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム

」の一種類のみが用いられており、前述のとおり、実施例22では、「カチオン界面活性剤」ではなく、「両性界面活性剤」が用いられているため、同実施例は本件発明1及び4に該当せず、それら以外の実施例1~16、18~21、23~24の水中油型乳化組成物においては、いずれも「成分(C)」として「

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

」の一種類のみが用いられているところ、「カチオン界面活性剤」には、疎水基の部分の構造が異なりHLB等の性質も異なる、多様な化合物があり、「

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

」又は「

塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム

」という、特定の2つの化合物以外の「カチオン界面活性剤」を用いた場合であっても、本件発明の課題を解決できると、直ちに推認することはできないこと、を指摘していた。

β 判断

これに対して、本件訂正発明1及び4では、「成分(C)」の「カチオン界面活性剤」が、「一般式(1)」で表わされる「第4級アンモニウムイオン型」のもののみに限定されている。

そして、実施例1~21、23及び24で用いられている「

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

」及び「

塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム

」は、「一般式(1)」におけるR

1

~R

4

及びAN

-

が特定の化合物であるが、「一般式(1)」で表わされる化合物のR

1

~R

4

及びAN

-

の選択肢は、一般式(1)の基本骨格において界面活性作用を発揮する上で同様の機能を有するものであるといえるから、「一般式(1)」で表わされる化合物に、疎水基の部分の構造、HLB等の性質がある程度異なる化合物が包含されていたとしても、「

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

」及び「

塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム

」において本件訂正発明の課題が解決できると認識できるのであれば、当業者は、「一般式(1)で表わされる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤」を用いることにより、本件訂正発明の課題を解決できると認識できるといえる。

γ まとめ

したがって、本件請求項1及び4について、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のイの点のうち、成分(C)についての不備の指摘は理由がない。

(d) 「成分(D)」について

α 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、取消理由2のアの点、及び、イの点のうち成分(D)についての不備として、概略、次の点を指摘していた。

本件訂正前の本件発明1の水中油型乳化組成物は、必須の成分の一つとして「(D)セラミド

類

、25°Cでペースト状の炭化水素油、25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上」を含有することを特定事項とするものであり、本件訂正前の本件発明4の水中油型乳化組成物は、必須の成分の一つとして「(D)セラミド

類

」を含有することを特定事項とするものであるところ、「セラミド

類

」については、セラミド「

類

」に具体的に如何なる物質までが包含されるのかを明確に把握することができないうえ、「セラミド

類

」と「25°Cでペースト状の炭化水素油」と「25°Cでペースト状のエステル油」とでは、それぞれ構造も性質も大きく異なる多種多様な化合物が包含され得る(取消理由2のア点の根拠)。

上記イで説示した実施例1~24の全ての水中油型乳化組成物は、「成分(D)」として、「セラミド

類

」であり「一般式(2)」の化合物である、「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」を必ず含有し、しかも、実施例13~14の組成物では、「成分(D)」として、「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」のみが含有されているから(取消理由2のイの点のうち成分(D)についての不備の根拠)、「成分(D)」として、「セラミド

類

」のうち「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」という特定化合物を用いた場合に、本件発明の課題を解決できたからといって、当該化合物に代えて、構造も性質も大きく異なる多種多様な「25°Cでペースト状の炭化水素油」又は「25°Cでペースト状のエステル油」を用いた場合や、如何なる構造のものまで該当するのかが不明な「セラミド「

類

」」を用いた場合にも、本件発明の課題を解決できるとは推認できない。

β 判断

これに対して、本件訂正発明1及び4では、「セラミド類」が、「セラミド」、「一般式(2)」で表わされる化合物、及び「一般式(3)」で表わされる化合物、から選ばれる1種以上に限定されている。

実施例1~21、23~24のいずれの水中油型乳化組成物でも、「成分(D)」として、「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」が配合されているが、実施例16では、「成分(D)」の半分以上を、「25°Cでペースト状の炭化水素油」である「

ワセリン

」と「25°Cでペースト状のエステル油」である「

ジリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)

」の組み合わせとしても、課題を解決できることが示されており、実施例24においては、「成分(D)」の8割を「

ワセリン

」とした場合でも、課題を解決できることが示されている。これらを勘案すれば、本件訂正発明1の構成を満足する場合、「25°Cでペースト状の炭化水素油」、「25°Cでペースト状のエステル油」、「他のセラミド類」(具体的には、「

セラミド

」、「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」

以外

の「一般式(2)」で表される化合物、又は、「一般式(3)」で表される化合物、から選ばれる1種以上)を、「成分(D)」として用いても、また、本件訂正発明4の構成を満足する場合、上記「他のセラミド類」を「成分(D)」として用いても、課題を解決できることを、当業者が理解できるといえる。

なお、乙1(試験報告書)によれば、「成分(D)」として「

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

」を用いなくても、本件訂正発明1について、「成分(D)」として、「

セラミド3

」、「25°Cでペースト状の炭化水素油」に該当する「

ワセリン

」、又は、「25°Cでペースト状のエステル油」に該当する「

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)

」を用いれば(追加実施例5~7)、また、本件訂正発明4について、「成分(D)」として「

セラミド3

」として用いれば(追加実施例7)、上記アで認定した本件訂正発明の課題を解決できることが確認できる(摘記乙1b、同乙1d~乙1eを参照。)。

γ まとめ

したがって、本件請求項1及び4について、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のアの点、及び、同イの点のうち成分(D)についての不備の指摘は理由がない。

b 各成分の含有量について

(a) 本件訂正発明1について

α 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、概略、次の点を指摘していた。

本件訂正前の請求項1の記載によれば、本件発明1の水中油型乳化組成物は、

・「成分(A)及び(B)の

合計含有量(A)+(B)

」が「

1~30質量%

」

であること、及び、

・「成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の

質量割合(B)/((A)+(B))

」が「

0.05~0.9

」

であることを特定事項とするものである。

しかし、実施例1~24の水中油型乳化組成物における「成分(A)」及び「成分(B)」の「合計含有量((A)+(B))」は、いずれも「

8.0質量%

」であり、この特定の含有量よりも多い場合や少ない場合であっても、本件請求項1に記載の「

1~30質量%

」という広い範囲の全体にわたって本件発明の課題を解決できると推認するに足る根拠は見出せない。

また、本件発明1で特定された「質量割合(B)/((A)+(B))」の「

0.05~0.9

」は、「成分(A): 成分(B)= 19:1 ~ 1:9」という非常に広い範囲を包含するが、実施例1~24の水中油型乳化組成物における「質量割合(B)/((A)+(B))」は、

「0.19」(実施例6)~「0.75」(実施例8)

の範囲内であって、この範囲から大きく外れた場合であっても、本件請求項1に記載の「

0.05~0.9

」という範囲の全体にわたって本件発明の課題を解決できると推認するに足る根拠は見出せない。

β 判断

本件訂正発明1で規定された「成分(A)及び(B)の

合計含有量((A)+(B))

」の「

1~30質量%

」の範囲については、本件明細書の【0022】に、

「水中油型乳化組成物の安定性や、乾いた肌に塗布したときの吸収感、水洗した後の保湿感、濡れた肌に塗布したときの塗りのばしやすさ、塗布時のヌルツキのなさ、被膜感・保護感、翌朝の保湿感、肌に塗布して水で流した後の肌の光沢感、ベタツキのなさを向上させる観点から」、「好ましい」範囲として記載されている。

したがって、実施例1~21、23~24の水中油型乳化組成物における「成分(A)及び(B)の

合計含有量((A)+(B))

」は、いずれも「

8.0質量%

」であり、当該配合量は上記した好ましいとされる「

1~30質量%

」の範囲に該当するものであって、実施例に記載された各種試験の結果から、当該実施例の水中油型乳化組成物は、本件訂正発明の課題を解決できると認識できるといえるところ、上記【0022】の記載によれば、「

1~30質量%

」の範囲は、水中油型乳化組成物の安定性等の点において、好ましい範囲とされているのであるから、当業者は、上記実施例のものと同様に、本件訂正発明の課題を解決できると認識できるといえる。

また、本件訂正発明1で規定された「成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の

質量割合(B)/((A)+(B))

」の「

0.05~0.9

」の範囲についても、本件明細書の【0023】の記載によれば、上記【0022】の記載と同様の観点から、「好ましい」範囲とされるものであり、実施例1~21、23~24の水中油型乳化組成物における当該「

質量割合(B)/((A)+(B))

」の範囲「

0.05~0.9

」に包含される「

0.19

」(実施例6)~「

0.75

」(実施例8)の範囲において、本件訂正発明の課題を解決できると認識できるから、「好ましい」範囲とされる「

0.05~0.9

」の範囲においても、同様に、当業者は、本件訂正発明の課題を解決できると認識できるといえる。

γ まとめ

したがって、本件請求項1について、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のウの点の不備の指摘は理由がない。

(b) 本件訂正発明4について

α 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、概略、次の点を指摘していた。

本件訂正前の請求項4の記載によれば、本件発明4の水中油型乳化組成物において、「成分(A)」及び「成分(B)」の含有量や量比等は何ら特定されていないため、「合計含有量((A)+(B))」の上限は「

58.9質量%

」となり得るところ、実施例1~24の水中油型乳化組成物における「合計含有量((A)+(B))」は「

8.0質量%

」のみであり、組成物の半分以上が25°Cで液状の油性成分によって構成された場合であっても、本件発明の課題を解決できると推認し得る根拠は見いだせない。

また、本件請求項4では、「

質量割合(B)/((A)+(B))

」についても何ら規定されておらず、文言上は、本件請求項1に記載の「0.05~0.9」よりも、さらに広範な範囲を包含し得るが、そのような範囲全体にわたって本件発明の課題を解決できると推認し得る根拠も見いだせない。

β 判断

これに対し、本件訂正請求項4では、「

合計含有量((A)+(B))

」が、本件訂正請求項1と同じ「

1~30質量%

」の範囲に限定され、「

質量割合(B)/((A)+(B))

」も、本件訂正請求項1と同じ「

0.05~0.9

」の範囲に限定されている。

そうすると、上記(a)β・γで説示したのと同様の理由により、本件訂正請求項4についても、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のウの点の不備の指摘は理由がない。

c 課題の解決に必要な成分について

(a) 取消理由通知における指摘

取消理由通知では、概略、次の点を指摘していた。

実施例1~24の水中油型乳化組成物の全てが、成分(A)~(E)に加えて、「濃グリセリン」が「20.0質量%」、「ソルビトール」が「8.0質量%」、「ポリエチレングリコール」が「3.0質量%」と、多くの含有量で含まれているが、本件請求項1にも4にも、これらの成分を水中油型乳化組成物が含有することについて何ら記載されていない。

そして、「濃グリセリン」、「ソルビトール」及び「ポリエチレングリコール」が、保湿効果を高める目的で水中油型乳化化粧料に添加される成分であることは、本件特許の出願前に当業者にとって周知の事項である(必要ならば、甲1の【0037】及び甲2の【0025】を参照。)。

そうすると、実施例1~24の水中油型乳化組成物が、保湿効果を有する「濃グリセリン」と「ポリエチレングリコール」と「ソルビトール」を含有していることが、本件発明の課題の解決に寄与していると解するのが自然であり、これらの成分が含有されていなくても、本件発明の課題を解決できるとは直ちに推認することができない。

(b) 判断

比較例5は成分(D)を含有しておらず、比較例6は成分(D)の含有量が本件訂正請求項1又は4で特定する範囲未満であるが、これらの比較例の組成物も、実施例1~21、23~ 24と同様に、濃グリセリン、ソルビトール及びポリエチレングリコールが、合計で「3.0質量%」配合されているにもかかわらず、「乾いた肌に塗布してから水洗した後の保湿感」及び「水で濡れた肌に塗布した翌朝の保湿感」という、保湿感に関する評価が不十分であることが示されている。

このことは、水中油型乳化組成物において、濃グリセリン、ソルビトール及びポリエチレングリコールのみが保湿に関与しているのではなく、本件訂正発明が含有する他の成分にも保湿作用があることを示しているといえる。

そして、濃グリセリン、ソルビトール又はポリエチレングリコールを配合しない場合に、水中油型乳化組成物の保湿性がある程度低下することが考えられるとしても、本件訂正発明が含有する他の成分によって保湿作用が生じるといえるから、当業者は、そのような場合であっても、本件訂正発明の課題を解決できると認識できるといえる。

なお、乙1(試験報告書)によれば、本件訂正請求項1又は4の構成を満足する場合には、濃グリセリン、ソルビトール及びポリエチレングリコールをいずれも配合せず、その代わりに、保湿効果を有しないエタノール及び水に置き換えたときでも(追加実施例8)、上記アで認定した本件訂正発明の課題を解決できることが確認できる(摘記乙1c~乙1eを参照。)。

(c) まとめ

したがって、本件請求項1及び4について、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)のエの点についての不備の指摘は理由がない。

d 小括

上記イ及びa~cで述べたとおりであるから、本件訂正発明1及び4については、その全体にわたって、それら発明に該当する実施例1~21、23及び24と同様に、当業者が上記課題を解決できると認識できるといえる。

したがって、本件訂正発明1及び本件訂正発明4は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、本件特許の出願時の技術常識に照らし、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

(イ) 本件訂正発明2~3、5~9について

本件訂正発明2及び3は、本件訂正発明1をさらに限定し、本件訂正発明5~7は、本件訂正発明1又は4をさらに限定するものであり、また、本件訂正発明8及び9は、本件訂正発明1又は4について、それぞれ「水で濡れた皮膚に塗布して使用する」こと及び「皮膚に塗布した後水ですすいで使用する」ことを特定するものである。

そうすると、上記(ア)で説示したのと同様の理由により、本件訂正発明2~3、5~9についても、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、本件特許の出願時の技術常識に照らし、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

(5) 取消理由2(サポート要件違反)についてのまとめ

以上のとおりであるから、本件訂正発明1~9は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、本件特許の出願時の技術常識に照らし、本件明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆により、当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

したがって、本件訂正請求項1~9の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。

したがって、上記第4の2(2)に示した取消理由2(サポート要件違反)は理由がない。

4 取消理由3(新規性欠如)及び取消理由4-1(進歩性欠如)について

・請求項1、5~6、8~9

・引用文献: 甲3(主引例)及び甲4~甲9(周知例)

(1) 甲3~甲9の記載事項

ア 甲3の記載事項

甲3には、以下の事項が記載されている。なお、摘記中の下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す(以下、他の文献の摘記箇所も同様である。)。

・摘記甲3a

「【請求項1】

下記(A)~(E)を含有することを特徴とする毛髪化粧料。

(A)セバシン酸ジエチル

(B)25°Cでの動粘度が5~10000cStであるジメチルポリシロキサン

(

C

)

アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル

(

D

)

カチオン性界面活性剤

(E)炭素数12~24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール

【請求項2】

上記(

C

)成分が

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

である請求項1に記載の毛髪化粧料。 」

・摘記甲3b

「【0003】

このような仕上がりを実現するために、シャンプー、ヘアリンス、

洗い流すタイプのインバスヘアトリートメント

や、洗い流さないタイプのアウトバストリートメント等の毛髪化粧料においては、従来、毛髪の滑りやくし通りを良くしたり、しっとりとした感触を与えるためにシリコーンや、

液状・固形状の油剤

の配合が試みられている(・・・)。」

・摘記甲3c

「【0027】

((D)カチオン性界面活性剤)

本発明で用いられる(

D

)

カチオン性界面活性剤

は、

アルキル型4級アンモニウム塩

、・・・を用いることができ、・・・

【0028】

(アルキル型4級アンモニウム塩)

本発明の

アルキル型4級アンモニウム塩(脂肪族4級アンモニウム塩)は、下記一般式(1)で示される

。

・・・

【0029】

一般式(1)で表される脂肪族4級アンモニウム塩

として、限定されるものではないが具体例を示すと、ラウリルトリモニウムクロリド、

セトリモニウムクロリド

、セテアルトリモニウムクロリド、

ステアルトリモニウムクロリド

、

ベヘントリモニウムクロリド

、オレイルトリモニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムブロミド、セトリモニウムブロミド、セテアルトリモニウムブロミド、ステアルトリモニウムブロミド、

ベヘントリモニウムブロミド

、オレイルトリモニウムブロミド、ココトリモニウムブロミド、ラウリルトリモニウムメトサルフェート、セトリモニウムメトサルフェート、セテアルトリモニウムメトサルフェート、ステアルトリモニウムメトサルフェート、

ベヘントリモニウムメトサルフェート

、・・・が挙げられる。・・・」

・摘記甲3d

「【0062】

以下、

本発明の毛髪化粧料

のその他の実施例を

実施例21~23

として記載する。・・・

・・・

【0065】

実施例22

トリートメント

(・・・

クリーム状

) (質量%)

(

1

)

セバシン酸ジエチル

5.0

(2)ジメチルポリシロキサン(100CS) 1.0

(

3

)

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

2.0

(4)セテアリルアルコール 1.3

(5)ステアリルアルコール 2.5

(6)ベヘニルアルコール 5.0

(7)PPG-1/PEG-1ステアラミン 0.5

(

8

)

ベヘントリモニウムクロリド

1.0

(

9

)

ベヘントリモニウムブロミド

1.0

(

10

)

ベヘントリモニウムメトサルフェート

1.0

(

11

)

ステアルトリモニウムクロリド

0.5

(

12

)

セトリモニウムクロリド

0.3

(13)ベヘナミドプロピルジメチルアミン 1.3

(14)高重合メチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン

混合エマルション 5.0

(15)ジメチコノール 1.0

(16)(ジビニルジメチコン/ジメチコン)コポリマー

エマルション 1.0

(17)(PEG-40/PPG-8メチルアミノプロピル/

ヒドロキシプロピルジメチコン)コポリマー 1.0

(18)ヒドロキシエチルセルロース 0.2

(19)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 3.0

(20)酒粕エキス 5.0

(

21

)

ワセリン

0.5

(

22

)

水添ポリイソブテン

1.0

(23)乳酸 1.0

(24)クエン酸 1.2

(25)加水分解水添デンプン 0.5

(26)ヒマワリ種子油 0.1

(27)ヒマワリ葉/茎エキス 0.1

(28)ヒマワリ種子エキス 0.1

(29)ヒマワリ花エキス 0.1

(30)ヒマワリ芽エキス 0.1

(31)ミツロウ 0.1

(

32

)

ネオペンタン酸イソデシル

0.1

(33)ハチミツ 0.1

(

34

)

ポリクオタニウム-107

0.1

(35)ラクトフェリン 0.1

(36)ヨーグルト液 0.1

(37)安息香酸Na 0.5

(38)フェノキシエタノール 1.0

(39)メチルパラベン 1.0

(40)香料 1.0

(41)カラメル 1.0

(

42

)

水

残余

【0066】

(製法)

(

42

)に(18)、(19)、(37)~(39)を70°Cにて均一に混合溶解し水相とする。(2)~(17)を80°Cにて均一に混合攪拌した後、(

1

)を添加し、油相とする。

水相に油相を加えて乳化

したのち、(20)~(36)、(40)、(41)を加えて、・・・均一に混合する。混合しながら徐々に冷却を行い、室温まで冷却して

ヘアトリートメント

を調製した。」

イ 甲4の記載事項

甲4には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲4a

「【0022】

[成分(B)]

成分(B)

は、IOB値が0~0.45である油性成分である。・・・。

・・・

【0024】

成分(B)

としては、IOB値が0~0.45である、シリコーン油、

炭化水素油

、エステル油、植物油などが挙げられる。

・・・

【0028】

上記

炭化水素油

としては、例えば、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等、

水添ポリイソブテン

、イソドデカンなどが挙げられる。

【0029】

成分(B)

は、

25°Cで液状である

ことが好ましい。成分(B)のブルックフィールド型回転粘度計を用いて25°Cで測定された粘度ηは、・・・、より好ましくは1.0~10000mPa・sである。」

ウ 甲5の記載事項

甲5には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲5a

「【0019】

本発明のヘアトリートメント組成物に用いられる(B)成分、融点が30°C未満の

エステル油剤

は、

通常常温(25°C)で液状の性状

であって、

セバシン酸ジエチル

、・・・等が挙げられるが、・・・。」

エ 甲6の記載事項

甲6には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲6a

「【0026】

<成分(C)>

成分(C)

は、

25°Cで液状のエステル油

である。成分(C)は、25°Cで流動性を有する。・・・

【0027】

成分(C)

としては、特に限定されないが、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、

ネオペンタン酸イソデシル

、・・・等が挙げられる。・・・」

オ 甲7の記載事項

甲7には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲7a

「【0035】

上記

カチオン界面活性剤

としては、例えば、脂肪族アミン塩、

脂肪族4級アンモニウム塩

、塩化ベンザルコニウム塩等があげられる。」

カ 甲8の記載事項

甲8には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲8a

「【0015】

本発明に使用される

成分(c)

の

ワセリン

、ダイマー酸エステル、

アジピン酸エステル

、ショ糖脂肪酸エステル、ラウロイルグルタミン酸エステル、ジペタエリトリット脂肪酸エステルから選ばれる、

25°Cにおいて半固形状の油剤

を2種以上配合することによって、・・・

・・・

【0018】

本発明に使用される

成分(c)

の

アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル

としては、混合脂肪酸ジグリセリンとアジピン酸とのジエステルである。主として、カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸による混合脂肪酸ジグリセリンとアジピン酸とのジエステルであり、粘着性の

半固形状油剤である

。特に

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

が本発明において好適に使用できる。・・・」

キ 甲9の記載事項

甲9には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲9a

「【0014】

本発明の毛髪洗浄剤組成物の成分(b)はカチオン性ポリマーである。

カチオン性ポリマー

としては、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-7、カチオン化グアーガム、

ポリクオタニウム-107

、・・・などが使用できる。」

(2) 甲3に記載された発明

上記(1)アの摘記甲3a~dの記載によれば、甲3には、(A)~(E)の成分を含有する毛髪化粧料が記載されており(摘記甲3a)、当該毛髪化粧料の具体例として、水相に油相を加えて乳化する工程を経て、実施例22のクリーム状のヘアトリートメントを調製したことが記載されているから(摘記甲3d)、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。

≪甲3発明≫

「以下の成分(1)~(42)を含有する、水相に油相を加えて乳化することにより調製されたクリーム状のヘアトリートメント。

(質量%)

(

1

)

セバシン酸ジエチル

5.0

(2)ジメチルポリシロキサン(100CS) 1.0

(

3

)

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

2.0

(4)セテアリルアルコール 1.3

(5)ステアリルアルコール 2.5

(6)ベヘニルアルコール 5.0

(7)PPG-1/PEG-1ステアラミン 0.5

(

8

)

ベヘントリモニウムクロリド

1.0

(

9

)

ベヘントリモニウムブロミド

1.0

(

10

)

ベヘントリモニウムメトサルフェート

1.0

(

11

)

ステアルトリモニウムクロリド

0.5

(

12

)

セトリモニウムクロリド

0.3

(13)ベヘナミドプロピルジメチルアミン 1.3

(14)高重合メチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン

混合エマルション 5.0

(15)ジメチコノール 1.0

(16)(ジビニルジメチコン/ジメチコン)コポリマー

エマルション 1.0

(17)(PEG-40/PPG-8メチルアミノプロピル/

ヒドロキシプロピルジメチコン)コポリマー 1.0

(18)ヒドロキシエチルセルロース 0.2

(19)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 3.0

(20)酒粕エキス 5.0

(

21

)

ワセリン

0.5

(

22

)

水添ポリイソブテン

1.0

(23)乳酸 1.0

(24)クエン酸 1.2

(25)加水分解水添デンプン 0.5

(26)ヒマワリ種子油 0.1

(27)ヒマワリ葉/茎エキス 0.1

(28)ヒマワリ種子エキス 0.1

(29)ヒマワリ花エキス 0.1

(30)ヒマワリ芽エキス 0.1

(31)ミツロウ 0.1

(

32

)

ネオペンタン酸イソデシル

0.1

(33)ハチミツ 0.1

(

34

)

ポリクオタニウム-107

0.1

(35)ラクトフェリン 0.1

(36)ヨーグルト液 0.1

(37)安息香酸Na 0.5

(38)フェノキシエタノール 1.0

(39)メチルパラベン 1.0

(40)香料 1.0

(41)カラメル 1.0

(

42

)

水

残余

」

(3) 本件訂正発明1について

ア 対比

本件訂正発明1と甲3発明とを対比する。

(ア)

甲3発明の「水相に油相を加えて乳化することにより調製されたクリーム状のヘアトリートメント」は、本件訂正発明1の「皮膚化粧料である水中油型乳化組成物」と、「水中油型乳化組成物」である点で共通する。

(イ)

甲3発明における「水添ポリイソブテン」は、25°Cで液状である炭化水素油であるから(摘記甲4aを参照)、本件訂正発明1における「スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上」を含む「成分(A)」の「25°C液状の炭化水素油」と、「25°C液状の炭化水素油」である点で共通しており、その含有量は「1.0質量%」である。

(ウ)

甲3発明における「セバシン酸ジエチル」は、25°Cで液状の性状のエステル油剤であるから(摘記甲5aを参照)、本件訂正発明1における「成分(B)」のうちの「25°Cで液状」の「エステル油」に相当し、その含有量は「5.0質量%」である。

甲3発明における「ネオペンタン酸イソデシル」は、25°Cで液状のエステル油であるから(摘記甲6aを参照)、本件訂正発明1における「成分(B)」のうちの「25°Cで液状」の「エステル油」に相当し、その含有量は「0.1質量%」である。

そして、これらの成分の合計の含有量は「5.1質量%」である。

(エ)

甲3発明における「ベヘントリモニウムクロリド」、「ベヘントリモニウムブロミド」、「ベヘントリモニウムメトサルフェート」、「ステアルトリモニウムクロリド」及び「セトリモニウムクロリド」は、いずれも甲3において「カチオン性界面活性剤」である「アルキル型4級アンモニウム塩(脂肪族4級アンモニウム塩)」として例示され(摘記甲3cを参照)、甲7においても「脂肪族4級アンモニウム塩」は「カチオン界面活性剤」として記載されており(摘記甲7a)、その化学構造からみて、本件訂正発明1における「成分(C)」の「一般式(1)」で表される「第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤」に相当するが、これらの合計の含有量は「3.8質量%」である。

(オ)

甲3発明における「ワセリン」は、本件明細書の【0044】において、「成分(D)」のうちの「ペースト状の炭化水素油」の例として挙げられているものであり、甲8の【0015】においても「25°Cにおいて半固形状の油剤」として記載されており(摘記甲8a)、「半固形状」は「ペースト状」と同義であるといえるから、本件訂正発明1における「成分(D)」のうちの「25°Cでペースト状の炭化水素油」に相当し、その含有量は「0.5質量%」である。

甲3発明における「ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2」は、甲8の【0015】及び【0018】において、「25°Cにおいて半固形状の油剤」である「アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル」として記載されているから(摘記甲8a)、本件訂正発明1における「成分(D)」のうちの「25°Cでペースト状のエステル油」に相当し、その含有量は「2.0質量%」である。

そして、これらの成分の合計の含有量は「2.5質量%」であるから、本件訂正発明1における「成分(D)」の含有量である「2~20質量%」との条件も満たしている。

(カ)

甲3発明における「水」は、本件訂正発明1における「成分(E)」である「水」に相当する。

(キ)

甲3発明において、本件訂正発明1における「成分(A)」に対応する成分の含有量は、上記(イ)のとおり「1.0質量%」である。

甲3発明において、本件訂正発明1における「成分(B)」に相当する成分の合計の含有量は、上記(ウ)のとおり「5.1質量%」である。

そうすると、甲3発明において、本件訂正発明1における「成分(A)」及び「成分(B)」に相当する成分の合計の含有量は「6.1質量%」であるから、甲3発明は、本件訂正発明1における「合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%」との条件を満たしている。

(ク)

上記(キ)のとおり、甲3発明において、本件訂正発明1における「成分(A)」に対応する成分の含有量は、「1.0質量%」であり、本件訂正発明1における「成分(B)」に相当する成分の合計の含有量は、「5.1質量%」である。

そうすると、甲3発明において、本件訂正発明1における「成分(A)」及び「成分(B)」に対応又は相当する成分の合計量に対する同「成分(B)」に相当する成分の質量割合は「0.84」(≒5.1/(1.0+5.1))であるから、甲3発明は、本件訂正発明1における「成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9」との条件を満たしている。

(ケ)

そうすると、本件訂正発明1と甲3発明の間には、次の一致点及び相違点があるものと認められる。

<一致点>

「次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):

(A)25°C液状の炭化水素油、

(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、及びエステル油から選ばれる1種以上、

(C)下記一般式(1):

【化1】

30

71

0001431123000036.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

で表わされる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、

(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、及び25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、

(E)水

を含有し、

セラミド類が、セラミド、一般式(2):

【化2】

42

82

0001431123000037.jpg

〔式(2)中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~ 6の整数を示す)を示す。〕

で表わされる化合物及び一般式(3):

【化3】

50

82

0001431123000038.jpg

〔式(3)中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。〕

で表わされる化合物から選ばれる1種以上であり、

成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9である、

水中油型乳化組成物。」

<相違点3(1)>

「水中油型乳化組成物」が、本件訂正発明1では、「皮膚化粧料」に特定されているのに対し、甲3発明では、「ヘアトリートメント」である点。

<相違点3(2)>

「(C)一般式(1)」で表わされる「第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤」の含有量が、本件訂正発明1では、「0.1~3質量%」であるのに対し、甲3発明では、「3.8質量%」である点。

<相違点3(3)>

「(A)25°C液状の炭化水素油」が、本件訂正発明1では、「スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上」を含むことが特定されているのに対し、甲3発明では、「水添ポリイソブテン」である点。

イ 相違点についての判断

(ア) 新規性について

上記の相違点3(1)~3(3)は、「水中油型乳化組成物」の適用対象及び成分・組成に係る相違点であるから、いずれも実質的な相違点である。

したがって、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明ではない。

(イ) 進歩性について

上記相違点3(1)について検討する。

甲3は、毛髪化粧料に関する技術を専ら開示するものであって(摘記甲3a~甲3b)、皮膚化粧料に関するものではなく、毛髪化粧料(特に、ヘアトリートメント)と皮膚化粧料とでは、それぞれに適した成分・組成の特徴があるから、甲3発明の「ヘアトリートメント」について、その成分・組成を維持したままで、その適用対象を「皮膚化粧料」に変更することは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

したがって、上記相違点3(2)及び3(3)について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括

以上のとおり、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4) 本件訂正発明5、6、8、9について

本件訂正発明5及び6は、本件訂正発明1の成分・組成をさらに限定するものであり、本件訂正発明8及び9は、本件訂正発明1について、それぞれ「水で濡れた皮膚に塗布して使用する」こと及び「皮膚に塗布した後水ですすいで使用する」ことを特定するものである。

そうすると、上記(3)で説示したとおり、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正発明1をさらに限定した本件訂正発明5、6、8、9も、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)取消理由3(新規性欠如)及び取消理由4-1(進歩性欠如)についてのまとめ

以上のとおりであるから、取消理由3(新規性欠如)及び取消理由4-1(進歩性欠如)は理由がない。

5 取消理由4-2(進歩性欠如)について

・請求項1、3~5、8、9

・引用文献: 甲10

(1) 甲10の記載事項

甲10には、以下の事項が記載されている。

・摘記甲10a

「【請求項1】

次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):

(

A

)

25°Cで液状の油剤

1~10質量%

、

(

B

)

25°Cで固体状又は半固体状の油剤

1~6質量%、

(C)炭素数12~22の直鎖アルコール 0.7~3.5質量%、

(

D

)

イオン性界面活性剤

及び/又は

HLB12.5~15の非イオン界面活性剤

0.2~1質量%

、

(E)水

を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(B)/(A)が、0.3~1.0であり、乳化粒子の数平均粒子径が1.0~3.0μmである

水中油型乳化皮膚化粧料

。

・・・

【請求項5】

さらに、(

G

)

セラミド

及び

セラミド類似化合物

から選ばれる化合物を

1~3質量%

含有する請求項1~4のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。

【請求項6】

成分(

D

)が、

カチオン界面活性剤

と

非イオン界面活性剤

との組み合わせである請求項1~5のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。

【請求項7】

成分(

D

)の

イオン性界面活性剤

が、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

から選ばれる1種又は2種以上である請求項1~6のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。

【請求項8】

成分(

D

)の

非イオン性界面活性剤

が、

ポリオキシエチレンアルキルエーテル

、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上である請求項1~7のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。」

・摘記甲10b

「【発明の効果】

【0007】

本発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができる。また、

べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好

である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

成分(A)の油剤

は、

25°Cで液状

のものである。ここで、

液状とは、25°Cにおける粘度が10000mPa・s以下であること

をいう。・・・。

このような

液状の油剤

としては、通常化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、

流動パラフィン

、軽質イソパラフィン、

流動イソパラフィン

、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の

炭化水素油

;ホホバ油、

オリーブ油

等の

植物油

、液状ラノリン等の動物油、モノアルコール脂肪酸エステル、

多価アルコール脂肪酸エステル

等の

エステル油

;・・・等のシリコーン油;・・・等のフッ素油などが挙げられる。これらのうち、塗布時のなめらかさなどの使用感の点から、

炭化水素油

と

エステル油

が好ましい。

【0009】

炭化水素油

としては、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィンが好ましく、更には、

流動イソパラフィンがより好ましい

。

エステル油

として、より具体的には、

イソノナン酸イソノニル

、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

、トリカプロイン、2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、メドフォーム油、

オリーブ油

等が挙げられる。

これらのうち、

オリーブ油

、

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

がより好ましい。

【0010】

成分(A)

は、

1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ

、塗布時のなめらかさなどの使用感、べたつき防止の点から、

含有量は

、全組成中に1質量%以上であり、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以下であり、8質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましい。また、

成分(A)の含有量は

、全組成中に1~10質量%であり、3~8質量%が好ましく、

5~7質量%がより好ましい

。

【0011】

成分(B)の油剤

は、

25°Cで固体状又は半固体状

のものであり、高級アルコールは含まない。ここで、

25°Cで固体状又は半固体状とは、25°Cにおける粘度が10000mPa・sより大きいことをいう

。粘度は、成分(A)と同様にして測定される。

25°Cで固体状の油剤

としては、通常化粧料に用いられるものであれば制限されず、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。より具体的には、エステルワックスとしては、コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ゲイロウ等が挙げられ、

炭化水素ワックスとしては

、

セレシン

、

パラフィンワックス

、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。

これらのうち、肌の色ムラを見えにくくする効果の点から、融点が65~110°Cのものが好ましく、70~90°Cのものがより好ましい。

【0012】

また、

25°Cで半固体状の油剤

としては、

イソステアリン酸コレステリル

、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等の

コレステロール類誘導体

;

N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)

、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル等の

フィトステロール類誘導体

;ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル類;トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等のトリグリセライド類;硬化油等の部分的に水素添加されたトリグリセライド類、ラノリン、ラノステロール類誘導体、

ワセリン

などが挙げられる。

【0013】

成分(B)

としては、肌の色ムラを小さく見せる点から、

セレシン

、

パラフィンワックス

、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスが

好ましい

。」

・摘記甲10c

「【0018】

成分(D)

は、

イオン性界面活性剤

及び/又は

HLB12.5~15の非イオン界面活性剤

である。

成分(D)

のうち、イオン性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、

カチオン界面活性剤

が挙げられる。

アニオン界面活性剤としては、・・・

【0019】

また、

カチオン界面活性剤

としては、

第4級アンモニウム塩

が好ましく、例えば、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

、塩化ジアラキルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム等が挙げられる。これらのうち、皮膚に対する親和性を有する点から、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

等が好ましい。・・・

【0020】

成分(D)

のうち、

非イオン界面活性剤

は、塗布時の化粧料の広がりを向上させることができ、

HLB

12.5

~15

のものであり、

HLB

12.5

~14

のものが好ましい。

・・・

【0022】

成分(D)

の

非イオン界面活性剤

としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、

ポリオキシエチレンアルキルエーテル

、・・・等が挙げられる。

これらのうち、

ポリオキシエチレンアルキルエーテル

、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。

【0023】

成分(D)

は、

カチオン界面活性剤

と

非イオン界面活性剤

とを

組み合わせる

のが、塗布後のなめらか感やしっとり感の点で好ましい。具体的には、

カチオン界面活性剤

である塩化ジセチルジメチルアンモニウム、

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

と、

非イオン界面活性剤

である

ポリオキシエチレンアルキルエーテル

、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の

組み合わせ

がより好ましい。

・・・

また、

成分(D)

として、

カチオン界面活性剤

と

非イオン界面活性剤

とを

組み合わせる場合

、これらの

質量比

(

カチオン界面活性剤

/

非イオン界面活性剤

)は、

0.5~5.0が好ましく

、・・・。

【0024】

成分(D)

は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、・・・。また、

成分(D)の含有量

は、全組成中に

0.2~1質量%

であり、0.4~0.8質量%が好ましく、

0.5~0.6質量%がより好ましい

。

【0025】

本発明においては、

成分(A)としてエステル油を用いる場合

、

成分(B)として炭化水素油を組み合わせて用いる

か、

成分(B)としてエステル油を用いる場合

、

成分(A)として炭化水素油を組み合わせて用いる

のが、肌の色ムラを小さく見せる点から

好ましい

。更に、

成分(A)としてエステル油を用い

、

成分(B)として炭化水素油を組み合わせて用いる

ことが、塗布時のなめらかさの点から

より好ましい

。このようにすることで、しっかりした固い粒子となり、塗布乾燥後のカバー力を向上させることができる。

本発明の皮膚化粧料において、

成分(A)と(B)の油剤は、組成物では均一に分散し、安定な組成物として得られる

。この皮膚化粧料は、肌に塗布後、乾燥過程においては、成分(A)、(B)の油剤と、成分(C)、成分(D)とが複合体を形成して、凝集せず均一に分散して肌に密着することができる。さらに、乾燥後の化粧塗布膜においては、成分(A)、(B)の油剤と、成分(C)、成分(D)とが作る複合体が微小な粒子となり、塗布膜表面に凹凸を形成し、すりガラスのような塗膜が得られる。この結果、肌の色ムラを見えにくくするカバー力を付与できる。」

・摘記甲10d

「【0030】

本発明の皮膚化粧料は、さらに、(

G

)

セラミド

及び

セラミド類似化合物

から選ばれる1種以上の化合物を含有することができ、安定性、特に高温での安定性をより向上させることができる。

セラミド

としては、動植物から抽出、精製されたもの、微生物学的方法又は科学的方法によって合成されたものが含まれる。例えば、次の

一般式(1)で表されるアミド誘導体

が挙げられる。

【0031】

【化1】

30

87

0001431123000039.jpg

・・・

【0034】

一方、

セラミド類似化合物

としては、例えば次の

一般式(2)で表わされるアミド誘導体

が挙げられる。

【0035】

【化2】

39

87

0001431123000040.jpg

【0036】

(式中、R

5

は炭素数9~25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R

6

は炭素数10~26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す)

【0037】

一般式(2)で表されるアミド誘導体

は、特開昭62-228048号公報、特開昭63-228048号公報等に記載された方法により製造することができる。また、具体的には、

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

が挙げられ、スフィンゴリピッド E(花王社製)等を使用することができる。

【0038】

・・・。また、

成分(G)の含有量

は、全組成中に1~3質量%が好ましく、1.5~2.5質量%がより好ましく、

2~2.25質量%が更に好ましい

。」

・摘記甲10e

「【実施例】

【0060】

実施例1~

21、比較例1~11

表1~表2に示す組成の水中油型乳化皮膚化粧料を各1kg製造し、乳化粒子径を測定するとともに、肌の色ムラの見えにくさ(カバー力)、

べたつきのなさ

、

保存安定性

、

なめらか感

及び

しっとり感

を評価した。・・・

【0061】

(製造方法)

工程1:

成分(A)~(D)、(G)

及びその他の

油剤成分を含む油相

を、成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10°C高い温度までの範囲に加熱し、撹拌して

混合物(1)

を得た。

工程2:

成分(E)

、(F)及びその他

水溶性成分

を混合し、混合物(1)の成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10°C高い温度までの範囲に加熱し、さらに成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10°C高い温度までの範囲に加熱した

混合物(1)と混合

し、

混合物(2)

を得た。

成分(E)

及び(F)を含む

水溶性成分

と

混合物(1)を混合

する際には、ディスパー(・・・)を用いて、攪拌速度1400~8000rpm、攪拌時間0.25~20分で混合を行った。

工程3:

混合物(2)を15~35°Cまで冷却して、

水中油型乳化皮膚化粧料

を得た。

・・・

【0072】

実施例23

(

UV乳液

)

以下に示す組成のUV乳液

を、

実施例2と同様にして製造した

。乳化粒子の数平均粒子径は、1.5μmであった。

得られたUV乳液は、肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができ、

べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好である

。

【0073】

(成分)

オリーブ油

(クロピュア OL-LQ-(JP)、クローダジャパン社製)

4.0

(

質量%

)

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

(エステモール N-01、日清オイリオグループ社製)

2.0

ユビナール A PLUS B(BASF SE) 1.5

ユビナール MC80(BASF SE) 2.0

セレシン(融点72-76°C)

(セレシン #810K、日興リカ社製) 1.0

高融点パラフィンワックス(融点70-78°C)

(HNP-9、日本精蝋社製) 1.0

ステアリルアルコール 0.9

セタノール 1.2

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

(VARISOFT TA 100、Evonik Industries AG 製)

0.6

ポリオキシエチレン2-ヘキシルデシルエーテル(HLB:14)

(エマルゲン 1620G、花王社製)

0.4

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-

ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

(スフィンゴリピッド E、花王社製)

2.0

グリセリン 5.0

着色剤 微量

香料 微量

精製水

バランス

―――――――――――――――――――――――――――――――

合計 100 」

(2) 甲10に記載された発明

上記(1)の摘記甲10a~10eの記載によれば、甲10には、成分(A)~(E)及び(G)を含有する水中油型乳化皮膚化粧料が記載されており(摘記甲10a)、当該化粧料の具体例として、実施例23のUV乳液が記載されているから(摘記甲10e)、甲10には、次の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されているものと認められる。

≪甲10発明≫

「以下に示す組成を有する、乳化粒子の数平均粒子径が1.5μmである、水中油型乳化皮膚化粧料であるUV乳液。

(成分)

オリーブ油

4.0

(

質量%

)

ジカプリン酸ネオペンチルグリコール

2.0

ユビナール A PLUS B(BASF SE)

1.5

ユビナール MC80(BASF SE)

2.0

セレシン(融点72~76°C) 1.0

高融点パラフィンワックス(融点70~78°C) 1.0

ステアリルアルコール 0.9

セタノール 1.2

塩化ジステアリルジメチルアンモニウム

0.6

ポリオキシエチレン2-ヘキシルデシルエーテル

(HLB:14)

0.4

N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-

ヒドロキシエチルヘキサデカナミド

2.0

グリセリン 5.0

着色剤 微量

香料 微量

精製水

バランス

―――――――――――――――――――――――――――――――

合計 100 」

(3) 本件訂正発明1について

ア 対比

本件訂正発明1と甲10発明とを対比する。

(ア)

甲10発明の「水中油型乳化皮膚化粧料であるUV乳液」は、本件訂正発明1の「皮膚化粧料である水中油型乳化組成物」に相当する。

(イ)

甲10発明における「オリーブ油」は、本件明細書の【0016】において、「トリエステル油」である「トリグリセリン脂肪酸エステル」の例として挙げられており、「トリエステル油」は「成分(B)」の「25°Cで液状のエステル油」の例として挙げられているから(本件明細書の【0012】、【0014】))、本件訂正発明1における「成分(B)」の「「25°Cで液状のエステル油」に相当し、その含有量は「4.0質量%」である。

(ウ)

甲10発明における「ジカプリン酸ネオペンチルグリコール」は、本件明細書の【0012】、【0014】~【0015】において、25°Cで液状のジエステル油として例示された化合物であるから、本件訂正発明1における「成分(B)」のうちの「25°Cで液状」の「エステル油」に相当し、その含有量は「2.0質量%」である。

(エ)

甲10発明のUV乳液には、「1.5質量%」の「ユビナール A PLUS B(BASF SE)」及び「2.0質量%」の「ユビナール MC80(BASF SE)が含まれているが、「ユビナール A PLUS B」には、混合物の一部として「ユビナール MC80」(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)が含まれており(摘記乙8a及び摘記乙9aを参照)、化粧料の分野において「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は「メトキシケイヒ酸オクチル」と同義であり、「メトキシケイヒ酸オクチル」は、本件明細書の【0012】、【0014】において、「成分(B)」の「25°Cで液状のエステル油」の例として挙げられている「モノエステル油」の一つであるから、本件訂正発明1における「成分(B)」のうちの「25°Cで液状」の「エステル油」に相当し、甲10発明における「ユビナール MC80」の含有量は「2.0質量%」より多く「3.5質量%」(=1.5+2.0)未満であると認められる。

(オ)

甲10発明における「塩化ジステアリルジメチルアンモニウム」は、甲10において「カチオン界面活性剤」として例示された化合物であり(摘記甲10cを参照)、本件明細書の【0031】でも「カチオン界面活性剤」として例示されており、その化学構造からみて、本件訂正発明1における「成分(C)」の「一般式(1)」で表される「第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤」に相当し、その含有量は「0.6質量%」であるから、本件訂正発明1における「成分(C)」の含有量である「0.1~3質量%」との条件も満たしている。

(カ)

甲10発明における「N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド」は、甲10において「セラミド類似化合物」として例示された化合物であり(摘記甲10dを参照)、本件明細書の【0036】~【0043】でも「セラミド類」である「擬似型セラミド類」として例示された「一般式(2)」の化合物に該当するものであるから、本件訂正発明1における「成分(D)」のうちの「セラミド類」であり「一般式(2)」で表わされる化合物に相当し、その含有量は「2.0質量%」であるから、本件訂正発明1における「成分(D)」の含有量である「2~20質量%」との条件も満たしている。

(キ)

甲10発明における「精製水」は、本件訂正発明1における「成分(E)」である「水」に相当する。

(ク)

そうすると、本件訂正発明1と甲10発明の間には、次の一致点及び相違点があるものと認められる。

<一致点>

「次の成分(B)、(C)、(D)及び(E):

(B)25°Cで液状の高級脂肪酸、高級アルコール、及びエステル油から選ばれる1種以上、

(C)下記一般式(1):

【化1】

30

71

0001431123000041.jpg

〔式(1)中、

R

1

は、炭素数6以上の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、

R

2

は、炭素数1~4のアルキル基を示し、

R

3

及びR

4

は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数6以上の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示し、

AN

-

は、塩形成アニオンを示す。〕

で表わされる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤 0.1~3質量%、

(D)セラミド類、25°Cでペースト状の炭化水素油、及び25°Cでペースト状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、

(E)水

を含有し、

セラミド類が、セラミド、一般式(2):

【化2】

42

82

0001431123000042.jpg

〔式(2)中、R

1b

は炭素数10~26の炭化水素基、R

2b

は炭素数9~25の炭化水素基を示し、Xは-(CH

2

)

n

-(ここでnは2~ 6の整数を示す)を示す。〕

で表わされる化合物及び一般式(3):

【化3】

50

82

0001431123000043.jpg

〔式(3)中、R

11

及びR

12

は同一又は異なって炭素数1~40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、R

13

は炭素数1~6のアルキレン基又は単結合を示し、R

14

は水素原子、炭素数1~12のアルコキシ基又は2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。ただし、R

13

が単結合のとき、R

14

は水素原子である。〕

で表わされる化合物から選ばれる1種以上であり、

皮膚化粧料である水中油型乳化組成物。」

<相違点10(1)>

本件訂正発明1は、「(A)25°C液状の炭化水素油」である「スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、及びα-オレフィンオリゴマーから選ばれる1種又は2種以上」を含むのに対し、甲10発明では、当該成分を含まない点。

<相違点10(2)>

上記相違点10(1)のとおり、甲10発明は、「(A)25°C液状の炭化水素油」に該当する成分を含まないから、本件訂正発明1における、

「成分(A)及び(B)の合計含有量(A)+(B)が、1~30質量%であり、

成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(B)の質量割合(B)/((A)+(B))が、0.05~0.9であり、」

との条件を、甲10発明は満たさない点。

イ 相違点についての判断

上記相違点10(1)について検討する。

甲10発明は、甲10に記載されている成分(A)~(E)及び(G)を含有する水中油型乳化皮膚化粧料(摘記甲10a)の具体例であり、甲10における「成分(A)」及び「成分(B)」は、それぞれ、「25°Cで液状の油剤」及び「25°Cで固体状又は半固体状の油剤」であるところ(摘記甲10a)、摘記甲10cの【0025】によれば、色ムラを小さくしたり、塗布時のなめらかさ、塗布乾燥後のカバー力を向上させるために、「25°Cで固体状又は半固体状の油剤」として「炭化水素油」を用いる場合には、「25°Cで液状の油剤」として「エステル油」を組み合わせるのが好ましいとされている。

そして、甲10発明のUV乳液には、「25°Cで液状の油剤」の「エステル油」としての「オリーブ油」とともに、好ましいとされる「25°Cで固体状又は半固体状の油剤」の「炭化水素ワックス」としての「セレシン(融点72~76°C)」及び「高融点パラフィンワックス(融点70~78°C)」(【0011】)が配合されているところ、このような甲10発明のUV乳液において、上記のように「25°Cで固体状又は半固体状の油剤」の「炭化水素ワックス」と組み合わせることが好ましいとされている、「25°Cで液状の油剤」の「エステル油」である「オリーブ油」を、「25°Cで液状の油剤」の「炭化水素油」に変更することは、色ムラ、塗布時のなめらかさ、塗布乾燥後のカバーカの観点から、当業者にとって動機付けがあるとはいえない。

したがって、上記相違点10(2)について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括

以上のとおり、本件訂正発明1は、甲10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4) 本件訂正発明3について

本件訂正発明3は、本件訂正発明1の成分・組成をさらに限定するものであり、上記(3)で説示したとおり、本件訂正発明1は、甲10に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正発明1をさらに限定した本件訂正発明3も、甲10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5) 本件訂正発明4について

本件訂正発明4は、本件訂正発明1と比較すると、「成分(D)」が「セラミド類」に特定されている一方、「成分(C)」及び「成分(D)」の含有量が、それぞれ、「

1

~20質量%」及び「0.1~

5

質量%」に拡張され、「水中油型乳化組成物」が「皮膚化粧料」であることの特定がされていない関係にある。

そして、上記(3)アで説示した本件訂正発明1と甲10発明の対比の結果を踏まえて、本件訂正発明4と甲10発明を対比すると、両者の相違点は、上記<相違点10(1)>及び<相違点10(2)>と同じである。

そうすると、上記(3)イで説示したのと同様の理由により、本件訂正発明4は、甲10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6) 本件訂正発明5、8~9について

本件訂正発明5は、本件訂正発明1又は4の成分・組成をさらに限定するものであり、本件訂正発明8及び9は、本件訂正発明1又は4について、それぞれ「水で濡れた皮膚に塗布して使用する」こと及び「皮膚に塗布した後水ですすいで使用する」ことを特定するものである。

そうすると、上記(3)及び(5)で説示したとおり、本件訂正発明1及び4は、甲10に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正発明1又は4をさらに限定した本件訂正発明5、8、9も、甲10に記載された発明に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)取消理由4-2(進歩性欠如)についてのまとめ

以上のとおりであるから、取消理由4-2(進歩性欠如)は理由がない。

第6 取消理由通知において採用しなかった申立理由について

先の取消理由通知における取消理由と申立理由の対応関係は、上記第4の2(5)に示したとおりである。

以下、取消理由通知において採用しなかった申立理由について検討する。

なお、申立人の主張における「請求項1」等は、本件特許の設定登録時の請求項1等のことである。

また、摘記等における下線は当審合議体が付したものである。

1 申立理由1(明確性要件違反)ア及び

申立理由2(サポート要件違反)アについて

・請求項1~3、5~9

(1) 申立人の主張の概要

申立人は、申立書(10~11頁)において、請求項1の

「(D)セラミド類、

25°Cでペースト状

の炭化水素油、

25°Cでペースト

状のエステル油から選ばれる1種以上 2~20質量%、」

との記載における「

25°Cでペースト状

」の技術的範囲に関し、概略、次の主張をしている。

本件明細書の【0010】及び【0036】の記載によれば、「25°Cでペースト状」とは、

ア 「25°Cにおける粘度が10000mPa・sより大きいことをいう。」

また、

イ 「稠度が100~430のものを言う。」

と定義されている。

しかし、「また」との用語が接続詞として用いられた場合、「並列・列挙した事柄のうち、どれを選択してもいいときに用いる。」の意味を有する。

そうすると、「25°Cでペースト状」とは、上記「ア」又は「イ」の何れか一方であればよいと解釈できるが、上記「ア」を意味する場合には、粘度の上限が記載されていないため、「25°Cでペースト状」に包含される範囲が第三者に不測の不利益を及ぼすほど不明確である。

したがって、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号(明確性)に適合しない。

さらに、「25°Cでペースト状」が上記「ア」を意味する場合には、25°Cで限りなく固体状の実施形態が包含されるが、本件明細書には、限りなく固体状であっても課題が解決できることは記載されていない。

したがって、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に適合しない。

請求項1の記載を引用する請求項2~3、5~9の記載についても、同様の理由により、特許法第36条第6項第2号(明確性)及び同法同条同項第1号(サポート要件)に適合しない。

(2) 当審合議体の判断

本件訂正請求項1には、

「(D)セラミド類、

25°Cでペースト状

の炭化水素

油

、及び

25°Cでペースト状

のエステル

油

から選ばれる1種以上 2~20質量%、」

と記載されているところ、通常、「

油

」は液体であること、ペーストが流体であることは技術常識である。

また、本件明細書の【0010】及び【0036】の記載からみて、「ペースト状」の物は、所定の方法(【0010】)により測定される粘度を有する物であると解される。

したがって、流体であるとはいえず、上記所定の方法により測定される粘度を有するとは解されない固体とは区別することができるといえる。

よって、本件明細書に「25°Cでペースト状」の粘度の上限が記載されていなくても、「ペースト状」の意味は明らかであるといえるから、「25°Cでペースト状」との記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。

また、「

25°Cでペースト状

の炭化水素

油

、及び

25°Cでペースト状

のエステル

油

」を用いる場合においてサポート要件を満たすことは、上記第5の3(4)で述べたとおりである。

(3) まとめ

したがって、本件訂正請求項1の記載及び当該記載を引用する本件訂正請求項2~3、5~9の記載は、特許受けようとする発明が明確であり、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるから、特許法第36条第6項第2項及び同法同条同項第1号に規定する要件を満たすものである。

よって、申立理由1(明確性要件違反)ア及び申立理由2(サポート要件違反)アは理由がない。

2 申立理由1(明確性要件違反)ウ及び

申立理由2(サポート要件違反)ウについて

・請求項5

(1) 申立人の主張の概要

申立人は、申立書(12~14頁)において、請求項5の

「(F)

HLB13以上

の非イオン性界面活性剤」

との記載について、概略、次の主張をしている。

本件明細書の【0053】には、「非イオン性界面活性剤」の「HLB」について記載されていないが、同【0051】~【0052】の記載の流れからみて、「(F)

HLB13以上

の非イオン性界面活性剤」の具体例を示したものと解釈できる。

しかし、「

HLB13未満以上

の非イオン性界面活性剤」について説明をしている同【0055】には、上記【0053】と全く同じ事項:

「例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン系界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。」

が記載されており、「

HLB13以上

の非イオン性界面活性剤」と「

HLB13未満

の非イオン性界面活性剤」の具体例として、同じ成分が例示されており、矛盾している。

そうすると、請求項5に記載された「

HLB13以上

の非イオン性界面活性剤」という特定事項が包含する技術的範囲が、第三者に不測の不利益を及ぼすほど不明確である。

したがって、請求項5の記載は、特許法第36条第6項第2号(明確性)に適合しない。

仮に、上記【0053】の記載が「

HLB13未満

の非イオン性界面活性剤」の例示である場合には、本件明細書には「

HLB13以上

の非イオン性界面活性剤」がサポートされていないことになる。

したがって、請求項5の記載は、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に適合しない。

(2) 当審合議体の判断

本件明細書の【0053】と【0055】には、「

HLB13以上

の非イオン性界面活性剤」と「

HLB13未満

の非イオン性界面活性剤」の具体例として、同じ化合物が例示されおり、一見、不整合があるものの、これらの例示された化合物については、「脂肪酸」の鎖長や「POE」の繰り返し数等の構造の特定がなく、それらの構造の違いによって、HLB値は変化するものであるから、技術的に矛盾するものではなく、本件訂正請求項5の「

HLB13以上

」との規定に基づいて、該当する「非イオン性界面活性剤」の範囲を、当業者は明確に把握することができるといえる。

したがって、上記記載が不明確であることを前提とすると解されるサポート要件違反の申立理由にも理由はない。

(3) まとめ

したがって、本件訂正請求項5の記載は、特許受けようとする発明が明確であり、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるから、特許法第36条第6項第2項及び同法同条同項第1号に規定する要件を満たすものである。

よって、申立理由1(明確性要件違反)ウ及び申立理由2(サポート要件違反)ウは理由がない。

第7 むすび

以上のとおり、本件訂正請求は適法なものであるから、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。

そして、取消理由通知書に記載した取消理由及び証拠、並びに、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。

また、そのほかに本件訂正請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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