sokuhyo

Trademark Appeal Case

特許の進歩性・記載要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025700918
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7658813号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許7658813号の請求項1~7に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年6月22日に出願され、令和7年3月31日にその特許権の設定登録がされ、同年4月8日に特許公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~7に係る特許に対し、令和7年9月25日に特許異議申立人 村上 兄(以下「申立人」という。)は、特許異議申立書を提出し、同年10月22日に特許異議申立書を対象とする手続補正書(方式)を提出した。

第2 本件発明

特許7658813号の請求項1~7の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明7」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】

経編地であって、2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸と、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編してなり、

前記複合繊維が総繊度22~84dtexの仮撚捲縮加工糸であり、

経編地の密度が、60~110コース/2.54cmかつ45~80ウエール/2.54cmであり、

目付けが130~250g/m

2

の範囲内であり、通気度が5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上であり、

前記複合繊維において、2成分が、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれかの組合せであることを特徴とする経編地。

【請求項2】

前記複合糸が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含む、請求項1に記載の経編地。

【請求項3】

前記複合糸において、総繊度が33~110dtexの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の経編地。

【請求項4】

前記複合糸において、単繊維繊度が0.25~1.6dtexの範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載の経編地。

【請求項5】

前記複合繊維において、単繊維繊度が0.7~4.0dtexの範囲内である、請求項1~4のいずれかに記載の経編地。

【請求項6】

吸水加工が施されている、請求項1~5のいずれかに記載の経編地。

【請求項7】

請求項1~6のいずれかに記載の経編地を用いてなる、衣料。」

第3 申立理由の概要

異議申立人は、証拠として甲第1号証~甲第11号証及び甲第10号証の2を提出し、以下の理由により、請求項1~7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。なお、甲第1号証~甲第11号証及び甲第10号証の2を、以下それぞれ「甲1」~「甲11」及び「甲10の2」という。

1 申立理由1(進歩性)

(1) 申立理由1-1(甲1を主たる引例とする進歩性)

本件発明1~7は、甲1に記載された発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2) 申立理由1-2(甲6を主たる引例とする進歩性)

本件発明1~7は、甲6に記載された発明及び甲1、甲3、甲7、甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

2 申立理由2(実施可能要件)

明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1~7を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、本件特許は、明細書の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

3 申立理由3(サポート要件)

本件発明1~7は、発明の詳細な説明に記載されたものでないから、請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

4 申立理由4(明確性要件)

本件発明1~7は、明確でないから、請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

[証拠方法]

甲1:国際公開第2017/038239号

甲2:特開2002-69707号公報

甲3:国際公開第2020/110890号

甲4:特開2001-295165号公報

甲5:国際公開第03/004747号

甲6:特開2002-30551号公報

甲7:特許第5596886号公報

甲8:特開2012-21245号公報

甲9:JIS L1095:2010「一般紡績糸試験方法」、日本産業標準調査会、2020年10月20日

甲10:中島粂男、井上卓、「撚糸トルクの測定と張力の影響について」、発行日は甲10の2によれば1955年12月1日

甲11:特開2020-186503号公報

甲10の2:J-STAGEの文献紹介ページ、インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/transjtmsj1948/8/12/_contents/-char/ja>

第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等

1 甲1(国際公開第2017/038239号)

(1) 甲1の記載

甲1には、以下の記載がある。(下線は合議体が付与したものである。以下同様。)

「[請求項1]

2種類以上の繊維を含む布帛であって、

2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維、および30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維を含むことを特徴とする布帛。

[請求項2]

前記複合繊維が、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維である、請求項1に記載の布帛。

[請求項3]

前記複合繊維が、単繊維繊度0.8~3.5dtexかつ総繊度20~110dtexのマルチフィラメントである、請求項1または請求項2に記載の布帛。

[請求項4]

前記捲縮繊維が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを含む複合糸である、請求項1~3のいずれかに記載の布帛。

[請求項5]

前記複合糸がインターレース加工を施された交絡糸である、請求項4に記載の布帛。

[請求項6]

前記複合糸のトルクがノントルクである、請求項1~5のいずれかに記載の布帛。

[請求項7]

前記捲縮繊維において、単繊維繊度が2.3dtex以下である、請求項1~6のいずれかに記載の布帛。

[請求項8]

前記捲縮繊維がポリエステル繊維からなる、請求項1~7のいずれかに記載の布帛。

[請求項9]

布帛が編物である、請求項1~8のいずれかに記載の布帛。

[請求項10]

編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmである、請求項9に記載の布帛。

[請求項11]

前記編物が緯編組織を有する、請求項9に記載の布帛。

[請求項12]

前記編物が、多層構造を有する多層構造編物であって、該布帛の両面において、複合繊維からなるループを有する、請求項9に記載の布帛。

[請求項13]

前記複合繊維が結接糸として編物に含まれる、請求項9に記載の布帛。

[請求項14]

前記複合繊維と前記捲縮繊維との重量比率が20:80~80:20の範囲内である、請求項1~13のいずれかに記載の布帛。

[請求項15]

布帛が吸水加工剤を含む、請求項1~14のいずれかに記載の布帛。

[請求項16]

布帛の目付けが70~250g/m2の範囲内である、請求項1~15のいずれかに記載の布帛。

[請求項17]

湿潤時における布帛の通気性変化率が5%以上である、請求項1~16に記載の布帛。

[請求項18]

湿潤時における布帛の寸法変化率がタテ、ヨコともに10%以下である、請求項1~17に記載の布帛。

[請求項19]

請求項1~18のいずれかに記載の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻

、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品。」

「[

発明が解決しようとする課題

]

[0005] 本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は

湿潤による優れた通気性変化機能

と寸法安定性とを有する布帛および繊維製品を提供することにある。

[課題を解決するための手段]

[0006] 本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維、および30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維を用いて布帛を構成することにより、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。」

「[0009] 本発明の布帛において、

布帛が編物であることが好ましい

。その際、

編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであることが好ましい

。また、前記編物が緯編組織を有することが好ましい。また、前記編物が、多層構造を有する多層構造編物であって、該布帛の両面において、複合繊維からなるループを有することが好ましい。また、前記複合繊維が結接糸として編物に含まれることが好ましい。また、前記複合繊維と前記捲縮繊維との重量比率が20:80~80:20の範囲内であることが好ましい。また、布帛が吸水加工剤を含むことが好ましい。また、布帛の目付けが70~250g/m

2

の範囲内であることが好ましい。また、湿潤時における布帛の通気性変化率が5%以上であることが好ましい。また、湿潤時における布帛の寸法変化率がタテ、ヨコともに10%以下であることが好ましい。」

「[0013] 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は2種類以上(好ましくは2種類)の繊維を含む布帛であって、

2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維、および30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維を含む

ことを特徴とする

布帛

である。

[0014] 本発明において、複合繊維は2成分からなり、両成分はサイドバイサイド型に接合されている。かかる

2成分は吸湿性において互いに異なる

ことが好ましい。具体的には、

2成分がポリエステル成分とポリアミド成分とである

ことが好ましい。」

「[0019]

前記複合繊維

の単繊維繊度、フィラメント数(単糸数)としては特に限定されないが、単繊維繊度1~10dtex(より好ましくは0.8~3.5dtex)、フィラメント数10~200本(より好ましくは20~100本)の範囲内であることが好ましい。なかでも、単繊維繊度0.8~3.5dtexかつ

総繊度20~110dtexのマルチフィラメント(長繊維)である

ことが好ましい。

[0020] 異種ポリマーがサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、通常、潜在捲縮性能を有しており、後記のように、染色加工等で熱処理を受けると潜在捲縮性能が発現する。捲縮構造としては、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置し、ポリエステル成分が捲縮の外側に位置していることが好ましい。かかる捲縮構造を有する複合繊維は、後記の製造方法により容易に得ることができる。複合繊維がこのような捲縮構造を有していると、湿潤時に、内側のポリアミド成分が膨潤、伸張し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が低下する(複合繊維の見かけの長さが長くなる。)。一方、乾燥時には、内側のポリアミド成分が収縮し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が増大する(複合繊維の見かけの長さが短くなる。)。このように、湿潤時に、複合繊維の捲縮率が可逆的に低下するため、織編物内の空隙率が高まり、通気性が向上する。

[0021] 前記の

複合繊維は、

湿潤時に、容易に捲縮が低下し通気性が性能よく向上する上で、無撚糸、または300T/m以下の撚りが施された甘撚り糸であることが好ましい。特に、無撚糸であることが好ましい。強撚糸のように、強い撚りが付与されていると、湿潤時に捲縮が低下しにくくなるおそれがある。なお、交絡数が20~100個/m(より好ましくは20~60個/m)程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の

仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない

[0022] 本発明の布帛に、前記の複合繊維だけでなく、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維(以下単に「捲縮繊維」ということもある。)も含まれることにより、湿潤による通気性変化機能と寸法安定性とが向上する。

[0023] ここで、かかる捲縮繊維において、捲縮率が2%以上(より好ましくは10~40%)であることが好ましい。該捲縮率が2%未満では十分なソフトな風合いやストレッチ性が得られないおそれがある。

[0024] また、

前記捲縮繊維が、製造条件または繊度において互いに異なる2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成される複合糸である

ことが好ましい。

[0025] 仮撚捲縮加工糸には第1ヒーター域で仮撚をセットした、いわゆるone heater仮撚捲縮加工糸と、該糸をさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりトルクを減らした、いわゆるsecon heater仮撚捲縮加工糸とがある。また、施撚の方向により、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とがある。本発明においてこれらの仮撚捲縮加工糸を用いることができる。特に、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とで複合糸を構成すると、低トルクの複合糸が得られ好ましい。

[0026] かかる複合糸は例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、糸条を第1ローラ、セット温度が90~220°C(より好ましくは100~190°C)の熱処理ヒーターを経由して撚り掛け装置によって施撚することによりone heater仮撚捲縮加工糸を得てもよいし、必要に応じてさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりsecond heater仮撚捲縮加工糸を得てもよい。仮撚加工時の延伸倍率は、0.8~1.5の範囲が好ましく、仮撚数は、仮撚数(T/m)=(32500/(Dtex)1/2)×αの式においてα=0.5~1.5が好ましく、通常は0.8~1.2位とするのがよい。ただし、Dtexとは糸条の総繊度である。用いる撚り掛け装置としては、デイスク式あるいはベルト式の摩擦式撚り掛け装置が糸掛けしやすく、糸切れも少なくて適当であるが、ピン方式の撚り掛け装置であってもよい。また、施撚の方向により、仮撚捲縮加工糸が有するトルクをS方向かZ方向か選択することができる。次いで、2種以上の仮撚捲縮加工糸を合糸することにより前記複合糸が得られる。

[0027] かかる複合糸には、インターレース加工により交絡が付与されていることが好ましい。交絡(インターレース)の個数は、ソフトな風合いやストレッチ性を損なわないために30~90個/mの範囲内であることが好ましい。該個数が90個/mよりも大きいとソフトな風合いやストレッチ性が損なわれるおそれがある。逆に、該個数が30個/mよりも小さいと複合糸の集束性が不十分となり、製編織性が損なわれるおそれがある。なお、交絡処理(インターレース加工)は通常のインターレースノズルを用いて処理したものでよい。

[0028] かくして得られた複合糸のトルクとしては、30T/m以下(好ましくは18T/m以下、より好ましくは10T/m以下、特に好ましくはノントルク(0T/m))であることが肝要である。トルクは小さいほど好ましくノントルク(0T/m)が最も好ましい。このようにノントルクとするには、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向の仮撚捲縮加工糸とを合糸する際、トルクの方向が異なること以外は同じトルクを有する2種の仮撚捲縮加工糸を使用するとよい。

[0029] 前記複合糸(捲縮繊維)において、単繊維繊度が2.3dtex以下(好ましくは0.00002~2.0dtex、特に好ましくは0.1~2.0dtex)であることが好ましい。該単繊維繊度は小さいほどよく、ナノファイバーと称せられる単繊維繊維径が1000nm以下のものでもよい。該単繊維繊度が2.3dtexよりも大きいと吸水性が低下し、湿潤時における通気性の変化率が低下するおそれがある。該単繊維繊度を前記複合繊維の単繊維繊度よりも小さくすることは好ましいことである。また、複合糸の総繊度としては33~220dtexの範囲内であることが好ましい。さらに、複合糸のフィラメント数としては50~300本(より好ましくは100~300本)の範囲内であることが好ましい。

[0030] また、前記複合糸(捲縮繊維)の単繊維断面形状としては、通常の丸断面でもよいが、丸断面以外の異型断面形状であってもよい。かかる異型断面形状としては、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型などが例示される。その際、扁平な断面形状の、長手中心線方向の長さBの、この長手中心線方向に直角をなして交差する方向における最大幅C1に対する比B/C1により表される断面扁平度が2~6(より好ましくは3.1~5.0)の範囲内であることが、布帛のソフト性の点で好ましい。また、その幅の最大値C1の、最小値C2に対する比C1/C2が、1.05~4.00(より好ましくは1.1~1.5)の範囲内であることが、布帛の吸水性の点で好ましい。」

「[0038] 本発明の布帛において、

布帛の組織は

特に限定されず、編物、織物、不織布いずれでもよい。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織を有する織物や、天竺、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、

デンビー、ハーフなどの編組織を有する編物

、不織布などが好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。なかでも編物が好ましい。特に緯編(丸編)組織を有する編物が好ましい。緯編(丸編)組織のなかでも、スムース組織、両側結接組織、片側結接組織が特に好ましい。また、前記複合繊維が結接糸として編物に含まれることが好ましい。

[0039] その際、前記複合繊維と前記捲縮繊維とは、空気混繊糸、合撚糸、複合仮撚捲縮加工糸、引揃え糸などの複合糸として布帛に含まれていてもよいが、湿潤時における優れた通気性変化機能と寸法安定性とを両立させる上で両者が交編されていることが好ましい。特に、布帛が多層構造を有する多層構造編物であって、該布帛の両面において、前記複合繊維からなるループを有することが好ましい。」

「[0041] 本発明の布帛において、

布帛の目付けとしては

250g/m

2

以下(

好ましくは70~250g/m

2

)のであることが好ましい。該目付けが250g/m

2

よりも大きいと、布帛の重量が重く着用快適性が損なわれるおそれがあり、また、布帛中の複合繊維の可動性(捲縮変化)が損なわれるおそれがある。」

「[0048] また、本発明の布帛には吸水加工が施されていることが好ましい。布帛に吸水加工を施すことにより、少量の汗でも通気性が向上しやすくなる。かかる吸水加工としては通常の吸水加工でよく、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、または、ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体などの吸水加工剤を布帛に、布帛の重量に対して0.25~0.50重量%付着させることなどが好ましく例示される。吸水加工の方法としては、例えば染色加工時に染液に吸水加工剤を混合する浴中加工法や、乾熱ファイナルセット前に、布帛を吸水加工液中にディッピングしマングルで絞る方法、グラビヤコーテング法、スクリーンプリント法といった塗布による加工方法等が例示される。」

「[0055] また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので、湿潤時における優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する。」

「[0058] JIS L1096-2010、8.24.1、A1法-2.3タンブラーにより乾燥する。

(9)通気性

JIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)準拠(測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更する。)により測定された値(c.f.m.)である

。ただし、

乾燥時

とは、試料を温度20°C、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、湿潤時とは、均一に生地重量対比50重量%の水分量を含ませた後1分放置した後の状態であり、それぞれ通気性(サンプル数=5)を測定し、その平均を求める。そして、通気性の変化率を下記式により算出する。

通気性の変化率(%)=(((湿潤時の通気性)-(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性))×100」

「[0060] [実施例1]

ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280°Cで溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度145dtex/72fil、単繊維の断面形状:丸断面)を得た。

[0061] 次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180°C、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。

[0062] また、前記ポリエステル糸条を用いて延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180°C、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。

[0063] 次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度167dtex/144fil、捲縮率12%、トルク0T/m)を得て糸種1とした。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、オーバーフィード率1.0%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm2)で50個/mの交絡を付与した。

[0064] 一方、固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.39で2.6モル%の5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270°C、290°Cにて溶融し、特開2000-144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、サイドバイサイド型の単糸横断面形状を有する複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60°Cの予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度3050m/分、温度150°Cに加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、総繊度84dtex/24filの複合繊維(マルチフィラメント)を得て糸種2とした。該複合繊維において、破断強度3.4cN/dtex、破断伸度40%であった。

[0065] 次いで、24ゲージのダブル丸編機を使用して、前記の複合繊維(沸水処理されておらず、捲縮は発現していない。無撚糸)を結接糸とし、スムース組織(図1に示す。)の丸編物を編成した。

[0066] そして、該丸編物を、温度130°C、キープ時間15分で染色加工し、複合繊維の潜在捲縮性能を顕在化させた。その際、吸水加工剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ml/lの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に吸水加工剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160°C、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。

[0067] 得られた編物は、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有するものであった。密度、目付け、および評価結果を表1に示す。

[0068] また、かかる編物を用いて衣料を得て着用したところ、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有するものであった。

[0069] [実施例2~4]

実施例1において、使用するダブル丸編機のゲージ数、編組織、糸種1の総繊度/フィラメント数、糸種2の総繊度/フィラメント数を表1の通り変更すること以外は実施例1と同様にした。ただし、いずれの糸種2もトルクは全て0T/mである。得られた編物は湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有するものであった。密度、目付け、および評価結果を表1に示す。

[0070] [実施例5]

実施例1において、糸種1として単独糸からなる仮撚捲縮加工糸(総繊度167dtex/144fil、捲縮率10%、トルク20T/m)を用いること以外は実施例1と同様にした。

[0071] 得られた編物において、密度、目付け、および評価結果を表1に示す。

[0072] [実施例6]

実施例1において、28ゲージのダブル丸編機を使用し、糸種1として単独糸からなる仮撚捲縮加工糸(総繊度110dtex/144fil、捲縮率15%、トルク15T/m)を用いること以外は実施例1と同様にした。」

「[0074]

[表1]

28

109

0001431177000001.jpg

(2) 甲1に記載された発明

ア 上記(1)の表1によれば、実施例1~6の洗濯前の乾燥時の通気度は、それぞれ55、60、75、38、62、65であり、洗濯後の乾燥時の通気度は、それぞれ45、50、62、28、50、48である。ここで、通気度は、段落0058に記載された「JIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)準拠(測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更する。)により測定された値(c.f.m.)」であり、「c.f.m.」とは、「Cubic Feet per Minute」であることが技術常識であるから、表1に記載された通気度の単位は[ft

3

/ft

2

・min]であるといえる。

そうすると、甲1に記載された発明は、JIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)準拠(測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更する。)により測定された通気度が、洗濯前乾燥時で、38~75[ft

3

/ft

2

・min]、洗濯後乾燥時で28~62[ft

3

/ft

2

・min]であるといえる。

イ 上記(1)の記載及び上記アによれば、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる(引用箇所を括弧内の段落番号等で示す。)。

[甲1発明]

30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維、及び、2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維を含む布帛であって、([0013])

デンビー、ハーフなどの編組織を有する編物であり、([0009]、[0038])

捲縮繊維は、製造条件または繊度において互いに異なる2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成される複合糸であり、([0024])

前記複合繊維は、仮撚捲縮加工が施され総繊度20~110dtexのマルチフィラメント(長繊維)であり、([0019]、[0021])

編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであり、([0009])

布帛の目付けは、70~250g/m

2

であり、([0041])

布帛のJIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)準拠(測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更する。)により測定された通気度が、洗濯前乾燥時で、38~75[ft

3

/ft

2

・min]、洗濯後乾燥時で28~62[ft

3

/ft

2

・min]であり、(上記ア)

複合繊維の2成分は、吸湿性において互いに異なるポリエステル成分とポリアミド成分である、([0014])

布帛。

2 甲2(特開2002-69707号公報)

甲2には、以下の記載がある。

「【請求項1】異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上である編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5~30mmである肌着。

【請求項2】異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントであって、該異種のポリエステル重合体のうちの少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体とする複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5~30mmである肌着。

【請求項3】サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントの単糸繊度が0.1~11デシテックス、総繊度が22~193デシテックスである請求項1または2に記載の肌着。

【請求項4】前記編地の密度が22~85ウエル/インチおよび28~138コース/インチ、かつ目付が60~280g/m

2

である請求項1~3のいずれかに記載の肌着。」

「【0003】これらの肌着は、身体に適度にフィットして、身体の動きを妨げず、その動きに追従する優れたストレッチ性と回復性、ソフトな肌触り感、および繰り返し着用に耐える機械強度が要求される。」

「【0020】そこで、本発明者らはポリエステルの特性を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検討した結果、

高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略記する)を主体としたポリエステルを用いる

のが好ましいことを見出した。PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維である

ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する

)や

ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)

繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性に極めて優れている。これは、PTTの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ-ゴーシュの構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。」

「【0022】また、

低収縮成分には

高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定されるものではないが、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のある

PTT、PET、PBTが好ましい

。」

「【0026】

サイドバイサイド型複合繊維

は、単糸繊度が0.1~11デシテックス、総繊度が22~193デシテックスのフイラメント糸条から構成されることが好ましい。

【0027】単糸繊度を11デシテックス以下とすることで、編地の風合いをソフトで適度なドレープ性を有するものとし、肌着として好ましく使用することができる。また、0.1デシテックス以上、さらに好ましくは、1.1デシテックス以上とすることで複合製糸が良好となり、また、捲縮構造が反映され、良好なストレッチ性も得ることができる。さらに、異繊度混繊糸等の単糸繊度の異なる糸を用いるようにしてもよい。このような異繊度混繊糸は、ソフトでかつ適度な張りのある編地からなる肌着を作る観点から好ましい。」

「【0031】この肌着用の編地は、丸編地であるシングル丸編地やダブル丸編地、経編地であるシングルトリコット編地やダブルトリコット編地、シングルラッシェル編地やダブルラッシェル編地があり、狙い肌着種などに応じ各々の専用編機にて製編することができる。編組織は、丸編地の天竺組織、鹿の子組織、インターロック組織、メッシュ組織、片面凹凸変化組織など、経編地のハーフ組織、サテン組織、メッシュ組織、片面凹凸変化組織などの肌着として使用されている編組織のものが適用できる。

【0032】本発明の肌用の編地は、密度が22~85ウエル/インチおよび28~138コース/インチで、かつ目付が60~280g/m

2

であることが好ましい。編地の密度が22ウエル/インチ以上および28コース/インチ以上とすることで、肌着としての強度低下や目ヨレの発生などがなくなり、また製編性もよくなる。また、密度が85ウエル/インチ以下、および138コース/インチ以下とすることで、編地の風合いが硬くならず、軽量感を損なうことなく、さらに製編性も良好となり好ましい。

【0033】また、編地の目付を60g/m

2

以上とすることで、機械強度のある肌着となり、280g/m

2

以下とすることで、肌着の風合いが硬くならず、重く感じたり、動き易さが妨げられず、着用性も良好である。」

「【0036】本発明の肌着用の編地は、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、タテおよびヨコ方向の平均伸長回復率が60%以上であることが重要である。」

「【0039】本発明における編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。平均伸長率55%未満であると肌着として着用し、激しい動き行った場合、身体の動きに肌着が追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。

【0040】また、本発明における編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。平均伸長回復率が60%未満であると動きより伸長された編地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから身体の動きに追従しにくくなる。また、肌着としての見映えにも劣ることになる。」

3 甲3(国際公開第2020/110890号)

甲3には、以下の記載がある。

「[請求項1]

複合糸を含む布帛であって、前記複合糸が、捲縮糸と伸縮性繊維とを含むことを特徴とする布帛。

[請求項2]

前記捲縮糸が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含む、請求項1に記載の布帛。

[請求項3]

前記伸縮性繊維が、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維、またはポリトリメチレンテレフタレート繊維である、請求項1または請求項2に記載の布帛。

[請求項4]

前記捲縮糸または前記伸縮性繊維において、単繊維繊度が0.00002~2.0dtexの範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載の布帛。」

「[請求項6]

前記複合糸において、総繊度が40~180dtexの範囲内である、請求項1~5のいずれかに記載の布帛。

[請求項7]

布帛が織物または編物である、請求項1~6のいずれかに記載の布帛。

[請求項8]

JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性が10%以上である、請求項1~7のいずれかに記載の布帛。

[請求項9]

JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性回復率が85%以上である、請求項1~8のいずれかに記載の布帛。」

「[請求項11]

請求項1~10のいずれかに記載の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、およびカーシート表皮材からなる群より選ばれるいずれかの繊維製品。」

「[0002] 従来、スポーツ衣料の分野では、競技者向け高機能商品が求められており、捲縮繊維を用いたストレッチ布帛が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2)。また、吸汗速乾性も求められている。」

「[0005] 本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する布帛および繊維製品を提供することにある。」

「[0011] 本発明によれば、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する布帛および繊維製品が得られる。」

「[0023] また、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bにおいて、繊維を構成する成分または単繊維横断面形状または単繊維繊度において互いに異なる」

「[0025] また、前記伸縮性繊維としては、ポリトリメチレンテレフタレートからなる1成分で構成される繊維、

2成分がサイドバイサイド型

または偏心芯鞘型

に接合された複合繊維

、弾性繊維(ポリウレタン系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、吸水性エラストマー繊維など)、未延伸ポリエステル繊維などが好ましい。特に、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維は、加熱によりコイル状のクリンプを発現し好ましい。なお、伸縮性繊維は前記捲縮糸とは異なることが好ましい。

[0026] ここで、

前記複合繊維

としては、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートからなる複合繊維であることが好ましい。具体的にかかる

2成分としては、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートなどが例示される

。」

「[0034] その際、前記捲縮糸または前記伸縮性繊維において、単繊維繊度が0.00002~2.0dtex(より好ましくは0.1~1.0dtex、特に好ましくは0.3~0.95tex)の範囲内であることが好ましい。」

「[0036]

前記複合糸の製造方法

は特に限定されない。例えば、

S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと伸縮性繊維とを引きそろえて、

空気加工(インターレース加工やタスラン(登録商標)加工)により

空気混繊してもよいし、複合仮撚や合撚してもよい

。特に好ましいのは空気混繊法である。」

「[0039] かかる複合糸において、総繊度が40~180dtexの範囲内であることが好ましい。また、捲縮率が2%以上(より好ましくは10~60%)であることが好ましい。該捲縮率が2%未満では、ストレッチ性が低下するおそれがある。」

「[0041] 前記布帛の組織は特に限定されず、編物、織物いずれでもよい。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織を有する織物や、天竺、ニットミス、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、デンビー、ハーフなどの編組織を有する編物、不織布などが好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。なかでも優れたストレッチ性を得る上で編物(編地)が好ましい。特に経編または緯編(丸編)組織を有する編物が好ましい。

[0042] その際、前記編物において、編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであることが好ましい。

[0043] 本発明の布帛において、布帛の目付けが50~200g/m

2

の範囲内であることが好ましい。」

「[0047] また、本発明の布帛には吸水加工(親水化剤の付与)が施されていることが好ましい。布帛に吸水加工を施すことにより、吸水性が向上する。かかる吸水加工としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、または、ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体などの親水化剤(吸水加工剤)を布帛に、布帛重量に対して0.25~0.50重量%付着させることなどが好ましく例示される。吸水加工の方法としては、例えば染色加工時に染液に吸水加工剤を混合する浴中加工法や、乾熱ファイナルセット前に、布帛を吸水加工液中にデイッピングしマングルで絞る方法、グラビヤコーテング法、スクリーンプリント法といった塗布による加工方法等が例示される。」

「[0049] かくして得られた布帛は、捲縮糸(好ましくはS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bを含む。)のソフトな伸びと、伸縮性繊維(好ましくは2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維である。)の優れたキックバック性を複合させた独自のストレッチ性を有し、理想的な着圧感を呈する。また、ランダムな糸構造による天然繊維調の上質な質感とソフトで密度感のあるコンパクト性を有し、高級感のある質感を呈する。また、2種類の異なるクリンプ(捲縮糸のマイクロクリンプと伸縮性繊維のコイル状クリンプ)を複合した層構造糸による毛細管現象によって優れた吸汗速乾性を有する。さらには、撥水加工を施した場合、捲縮糸にS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bが含まれると、微細凹凸により優れた撥水性を有する。」

「[0053] また同時に、本発明の布帛において、前記捲縮繊維によりストレッチ性を呈する。かかるストレッチ性としては、JIS L 1018-1990により測定した、ヨコストレッチ性で10%以上、好ましくは15~150%、さらに好ましくは50~130%)であることが好ましい。また、JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性回復率が85%以上、好ましくは90%以上であることが好ましい。

[0054] また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、およびカーシート表皮材からなる群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。前記衣料には、ファッション衣料、学生服、ユニフォームなどが含まれる。かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する。」

「[0063] [実施例2]

カチオン不染性ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%、セミダル)を用いて通常の紡糸装置から280°Cで溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度35dtex/72本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。

[0064] 次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180°C、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/72本の仮撚捲縮加工糸Aを得た。

[0065] 一方、前記ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180°C、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/72本の仮撚捲縮加工糸Bを得た。

[0066] また、特開2009-46800号公報の実施例24に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度33dtex/24本の、ポリトリメチレンテレフタレート成分とポリエチレンテレフタレート成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。

[0067] 次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Aと、Z方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと、複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度77dtex/168fil、捲縮率13%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、98個/mの交絡を付与した。」

「[0069] そして、該編物を、分散染料を用いて、温度130°C、キープ時間15分で染色加工した。その際、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ミリリットル/リットルの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に親水化剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160°C、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。」

「[0097]

[表1]

43

112

0001431177000002.jpg

4 甲4(特開2001-295165号公報)

甲4には、以下の記載がある。

「【請求項1】2種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸の全体重量の10%以上含み、タテ・ヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上であるストレッチ編地。

【請求項2】2種類のポリエステル重合体のうち少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とする請求項1記載のストレッチ編地。

【請求項3】サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維が、単糸繊度0.1~11デシテックス、総繊度11~550デシテックスである請求項1または2記載のストレッチ編地。

【請求項4】緯編地又は経編地である請求項1~3のいずれか記載のストレッチ編地。」

「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用、衣料資材用、産業資材用等に好適に使用できる伸長率、及び、伸長回復率に優れたストレッチ編地に関するものである。」

「【0034】本発明のストレッチ編地は、適宜選択することにより、次のように幅広く展開可能である。例えば、緯編地の中の丸編地では、スポーツウエア類、水着類、肌着類、ユニフォームウエア類、アウターウエア類、カーシートを含む座席シート類、靴材類、衣料用芯地および裏地類等、横編地では、セーター類、カーディガン類、手袋類等、靴下編地では、パンティストッキング類、タイツ類、ソックス類等に好ましく使用できる。一方、経編地の中のトリコット編地では、同様にスポーツウエア類、水着類、肌着類、ユニフォームウエア類、アウターウエア類、カーシートを含む座席シート類、靴材類、衣料用芯地および裏地類等、ラツシェル編地ではインナーウエア用ファンデーション類、レース類、カーシートを含む座席シート類、靴材類等に好ましく使用できる。」

「【0042】[実施例1]28Gの両面丸編機にて、図3の編方図における構成糸イ、ロともPTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸(繊維断面は図2のa)83デシテックス36フィラメント糸を用い、編方図の給糸口F1、F2各々に給糸し、PTT/PETサイドバイサイド複合フィラメント糸100%からなるインターロック組織編地を編成した。

【0043】この生機を通常のポリエステル丸編地の染色加工法に従い、リラックス・精錬、染色、仕上げセットを行い195g/m

2

の編地を得た。得られた編地は、タテ・ヨコ平均伸長率が75%、平均身長回復率が82%とストレッチ特性に優れたものであった。また、官能評価によるソフト感とふくらみ感もあり、総合的にストレッチ編地として適するものであった。詳細結果を表1に示す。

【0044】[実施例2]28Gのシングルトリコット機にて、図4の編方図のBack側構成糸ハにPTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸(繊維断面は図2のa)44デシテックス24フィラメントを配し、Front側構成糸ニに通常糸であるポリエステルフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”)44デシテックス36フィラメントを配し、ハーフ組織編地を編成した。この編地設計における糸混率は、PTT/PETサイドバイサイド複合糸が18%、通常糸が82%であった。

【0045】この生機を通常のポリエステル経編地の染色加工法に従い、リラックス・精錬、染色、仕上げセットを行い210g/m

2

の編地を得た。得られた編地は、タテ・ヨコ平均伸長率が71%、平均身長回復率が89%とストレッチ特性に優れたものであった。また、官能評価によるソフト感とふくらみ感もあり、総合的にストレッチ編地として適するものであった。詳細結果を表1に併せて示す。」

5 甲5(国際公開第03/004747号)

甲5には、以下の記載がある。

(1) 「請求の範囲

1.潜在捲縮発現性繊維を含み、弾性繊維を含まない経編地であ つて、ストレッチ率が経方向・緯方向共に60以上であり、かつ、60%伸長回復時の残留歪が経方向・緯方向共に15%以下であることを特徴とする経編地。

・・・

5.潜在捲縮発現性繊維が、0.05~0.7dl/gの固有粘度差を有する2種類のポリエステルがサイドパイサイド型または偏芯鞘芯型に複合して構成されており、かつ、その少なくとも 1種類がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項 1~4のいずれかに記載の経編地。」

(2) 「近年、身体に適度にフィットし、身体の動きに対する運動追随性に優れたスポーツ衣料、インナー衣料が求められており、伸長回復性に優れたストレッチ素材の要求が高まっている。」(1頁7~9行)

(3) 「本発明の編地は、経編地である事を特徴とする。経編地は、編地を構成する編成ループの拘束力が比較的高く、また編成される繊維が編地の長さ方向に供給されるため、横編地や丸編地に比べて形態保持性と編地表面の平滑性に優れている。身体と密着して使用する衣料では、アウター、カジュアル等の一般の外衣に比べて着用時の編地形態の変形が非常に大きいため、形態保持性に劣る横編地や丸編地では、着用中に衣料の弛みや緩みを生じ易く、着用者に不快感を与え易い。また一方で、身体と密着して使用する衣料に外衣を組み合わせて着用する場合、生地と生地との接触抵抗は、体の動きを阻害する要因となるため、身体と密着して使用する衣料用の編地は、編地表面の平滑性に優れたものが好ましい。したがって、本発明の効果を得るためには、経編地が最適である。」(7頁27行~8頁11行)

(4) 「このような特性を有する潜在捲縮発現性繊維としては、固有粘度差を有する2種類のポリエステルが互いにサイドバイサイド型に複合された単糸から構成されたマルチフィラメントが、好ましいものとして挙げられる。サイドパイサイド型マルチフィラメントに関しては、特公昭43-19108号公報、特開平11-189923号公報、特開2000-239927号公報、特開2000-256918号公報等に例示されるような、

第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルやナイロンを、並列的あるいは偏芯的に配置してサイドバイサイド型又は偏芯シースコア型に複合紡糸したもの

がある。」(12頁18行~13頁2行)

(5) 「潜在捲縮発現性繊維の糸条形態としては、甘撚糸~強撚糸、混繊糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)等が挙げられるが、原糸、仮撚加工糸が好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、ウールに代表される天然繊維等、他の繊維を、混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィ一ド流体噴射加工等の手段で混用してもよい。」(17頁18~26行)

(6) 「本発明の経編地は、潜在捲縮発現性繊維と非潜在捲縮発現性繊維とからなり、両者が交編されていることが好ましい。

非潜在捲縮発現性繊維としては、弾性繊維以外で潜在捲縮性を有しない繊維であればよい。例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、ウール、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、レーヨン、アセテート、ポリノジック、リヨセル等の人造セルロース繊維等を用いることができる。

なかでも、ポリエステル系および/またはポリアミド系合成繊維が好ましい。ポリエステル系やポリアミド系合成繊維は熱可塑性に富み、また各種物理的、化学的作用に対する耐性が比較的高いため、経編地の緻密性、ストレッチ性、耐ピリング性、耐スナツグ性がより向上する。なお、ここでいうポリエステル系合成繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどの繊維形成性を有するポリエステル重合体を主成分とする繊維を包含する。また、ポリアミド系合成繊維とは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612などの繊維形成性を有するポリアミド重合体を主成分とする繊維を包含する。

糸条の形態は、原糸、加工糸(撚糸、仮撚加工糸、エアー加工糸等)のいずれを用いてもよく、例えば、編地表面を光沢のある平滑な表面品位にしたい場合は原糸を、ストレッチ性や嵩高性をより加えたい場合は仮撚加工糸を用いる等、目的に応じて任意に選定することができる。」(19頁13~20頁8行)

6 甲6(特開2002-30551号公報)

(1) 甲6の記載

甲6には、以下の記載がある。

「【請求項1】異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上である編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.29MPa以上であることを特徴とする運動着。

【請求項2】異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントであって、該異種のポリエステル重合体のうちの少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体とする複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.29MPa以上であることを特徴とする運動着。

【請求項3】サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントの単糸繊度が0.1~11デシテックス、総繊度が22~165デシテックスであることを特徴とする請求項1または2に記載の運動着。

【請求項4】前記編地の密度が22~82ウエル/インチおよび28~130コース/インチ、かつ目付が80~330g/m

2

であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の運動着。」

「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、ストレッチ性と回復性に優れた運動着に関するものである。さらに詳しくは、ランニングシャツ・パンツ、競技シャツ・パンツ、トレーニングウエア、野球ユニフォームなど、あるいは、より大きなストレッチ性を必要とするレオタード、サイクルパンツなどとして快適に着用できる運動着に関するものである。」

「【0008】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したかかる従来技術の問題点を解決し、

機械強度、耐薬品性、染色加工性、ソフト感、ふくらみ感等を維持しながら優れたストレッチ性と回復性を有する編地からなる運動着を提供すること

、およびかかる運動着を効率的に低コストで提供することを目的とするものである。」

「【0012】

【発明の実施の形態】

本発明の運動着用の編地は、、異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸に含むものである

。」

「【0017】そこで、本発明者らはポリエステルの特性を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検討した結果、

高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略記する)を主体としたポリエステルを用いるのが好ましい

ことを見出した。PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維である

ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)

ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)

繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性に極めて優れている。これは、PTTの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ-ゴーシュの構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。

「【0019】また、

低収縮成分には

高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定されるものではないが、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のある

PTT、PET、PBTが好ましい

。」

「【0023】

サイドバイサイド型複合繊維は、単糸繊度が0.1~11デシテックス、総繊度が11~330デシテックスのフイラメント糸条から構成される

ことが好ましい。」

「【0025】編地の構成糸に対するサイドバイサイド型複合繊維の混率は、10重量%以上とするものであり、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がさらに好ましい。この混率が10重量%未満の場合は、後述する運動着用の編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率、および平均伸長回復率について良好な特性を得ることができにくくなる。

サイドバイサイド型複合繊維の編地への混用方法としては、他の素材との通常の交編

、交撚、引き揃え、カバーリング、混繊など

を採用することができ

、水着種別の狙い用途、編地形成法、編組織などに応じて適宜使い分ければよい。

【0026】

他の素材としては、合成繊維

であるポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリ塩化ビニール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系繊維、もしくは半合成繊維であるアセテート系繊維もしくは再生繊維であるビスコース・レーヨン、キュプラを含むセルロース系繊維、牛乳蛋白繊維、大豆蛋白繊維を含む蛋白質系繊維、ポリ乳酸系繊維、もしくはこれらのフィラメント糸条使いや紡績糸使い、または、混紡糸使い、もしくは綿、麻を含む植物系天然繊維、もしくは羊毛、カシミヤ、絹を含む動物系天然繊維、またはさらにこれらの混紡糸使い

などがある

。」

「【0028】この

運動着用の編地は

、丸編地であるシングル丸編地やダブル丸編地、

経編地であるシングルトリコット編地やダブルトリコット編地、シングルラッシェル編地やダブルラッシェル編地があり

、狙い運動着種などに応じ各々の専用編機にて製編することができる。編組織は、丸編地の天竺組織、鹿の子組織、インターロック組織、メッシュ組織、片面凹凸変化組織など、経編地のハーフ組織、サテン組織、メッシュ組織、片面凹凸変化組織などの運動着として使用されている編組織のものが適用できる。

【0029】

本発明の運動着用の編地は、密度が22~82ウエル/インチおよび28~130コース/インチで、かつ目付が80~330g/m

2

である

ことが好ましい。編地の密度が22ウエル/インチ以上および28コース/インチ以上とすることで、運動着としての強度低下や目ヨレの発生などがなくなり、また製編性もよくなる。また、密度が82ウエル/インチいか、および130コース/インチ以下とすることで、編地の風合いが硬くならず、軽量感を損なうことなく、さらに製編性も良好となり好ましい。」

「【0032】製編された生機編地の熱処理、精練や染色等の加工は、通常の編地の加工法に準じて行えばよいが、サイドバイサイド型複合繊維の潜在捲縮をスプリング構造としてより効果的に発現させるために、リラックス・精練熱処理温度を80°C以上とすることが好ましい。また、染色段階での付帯加工として、撥水加工、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、吸汗加工、吸湿加工、紫外線吸収加工、減量加工など、さらに、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、起毛加工、プリント加工、オパール加工など、最終狙い運動着種の要求特性に応じて適宜付与することが望ましい。」

「【0036】本発明における

編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり

、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。平均伸長率55%未満であると運動着として着用し、激しい運動を行った場合、身体の動きに運動着が追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。

【0037】また、本発明における

編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上

が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。平均伸長回復率が60%未満であると運動などにより伸長された編地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから身体の動きに追従しにくくなる。また、運動着としての見映えにも劣ることになる。」

「【0039】本発明の運動着は、適宜選択することにより、次のように幅広く展開可能である。例えば、ランニングシャツ・パンツ、競技シャツ・パンツ、ゴルフシャツ、テニスシャツ、サイクルシャツ、アウトドアシャツ、ポロシャツ、Tシャツ、野球用アンダーシャツ、トレーニングウエア、野球ユニフォームのシャツ・パンツ、スキーウエアなど、あるいは、より大きなストレッチ性を必要とするレオタード、アスレ用アンダーハーフパンツ、サイクルパンツ、スピードスケートウエアなどに好ましく使用できる。」

「【0045】

・・・

[実施例1]固有粘度(IV)が1.40、275°Cにおける溶融粘度が750poiseのホモPTTと固有粘度(IV)が0.60、275°Cにおける溶融粘度が650poiseのホモPETをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度275°Cで48孔の複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度1400m/分で引取り、サイドバイサイド型複合構造未延伸糸を得た。さらにホットロール-熱板系延伸機を用いて延伸し次いで一旦引き取ることなく、連続してリラックスして巻き取り、167デシテックス48フィラメントの延伸糸を得た(繊維断面は図2のa)。

【0046】22Gの両面丸編機にて、図3の編方図における構成糸イ、ロとも上記のPTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸を用い、編方図の給糸口F1、F2各々に給糸し、PTT/PETサイドバイサイド複合フィラメント糸100%からなるインターロック組織編地を編成した。」

「【0048】[実施例2]繊度、フィラメント数が異なる他は実施例1と同様のPTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸(繊維断面は図2のa)を用いて、28Gのシングルトリコット機にて、図4の編方図のBack側構成糸ハに上記PTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸を配し、Front側構成糸ニに通常糸であるポリエステルフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”)83デシテックス36フィラメントを配し、ハーフ組織編地を編成した。この編地設計における糸混率(重量%)は、PTT/PETサイドバイサイド複合糸が25%、通常糸が75%であった。

【0049】この生機を通常のポリエステル経編地の染色加工法にしたがい、リラックス・精練、染色、仕上げセットを行い210g/m

2

の編地を得た。得られた編地は、タテおよびヨコの平均伸長率が72%、平均身長回復率が78%とストレッチ特性に優れたものであった。また、破裂強力も0.51MPであった。この編地を使用したトレーニングウエアによる着用評価結果も、動き易く運動着として優れていると判断されるものであった。詳細結果を表1に併せて示す。」

(2) 甲6に記載された発明

上記(1)の記載によれば、甲6には次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されているといえる(引用箇所を括弧内の段落番号で示す。)。

[甲6発明]

運動着用の経編地であって、(【0028】)

サイドバイサイド型複合繊維と合成繊維などの他の素材とを交編したものであり、(【0025】、【0026】)

サイドバイサイド型複合繊維は、総繊度が11~330デシテックスのフィラメント糸条から構成され、(【0023】)

編地は、密度が22~82ウエル/インチおよび28~130コース/インチで、かつ目付が80~330g/m

2

であり、(【0029】)

編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり、(【0036】)

編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上であり、(【0037】)

サイドバイサイド型複合繊維は、高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルを用い、低収縮成分にポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートを用いる(【0017】、【0019】)

経編地。

7 甲7(特許第5596886号公報)

甲7には、以下の記載がある。

「【請求項1】

撥水性のない繊維Aと撥水性のある繊維Bとを含む布帛

であって、前記繊維Aと前記繊維Bとの重量比率が(繊維A:繊維B)50:50~87:13の範囲内であることを特徴とする布帛。

【請求項2】

撥水性のない繊維Aと撥水性のある繊維Bとを用いて製編または製織してなる

、請求項1に記載の布帛。」

「【請求項9】

前記繊維Aが30T/m以下のトルクを有する仮撚捲縮加工糸である、請求項1に記載の布帛。」

「【請求項14】

前記繊維Bが30T/m以下のトルクを有する仮撚捲縮加工糸

である、請求項1に記載の布帛。」

「【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、

吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質とを兼ね備えた布帛

、および該布帛を用いてなる繊維製品を提供することにある。」

「【0019】

前記繊維Aの形態としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、優れた吸水性を得る上で長繊維(マルチフィラメント)が好ましい。特に、前記繊維が、単糸繊度が1.5dtex以下(より好ましくは0.0001~1.2dtex、特に好ましくは0.001~0.9dtex)であると、優れた吸水性が得られ好ましい。特に、フィラメント数が30本以上(より好ましくは70~200本)のマルチフィラメントであると、さらに優れた吸水性が得られ好ましい。その際、マルチフィラメントの総繊度としては30~200dtex(より好ましくは30~150dtex)の範囲内であることが好ましい。国際公開第2005/095686号パンフレットに記載されたような、ナノファイバーと称される単糸繊維径1μm以下の超極細繊維であってもよい。

【0020】

前記

繊維Aとしては

、吸水性を向上させる上で、マルチフィラメントに仮撚捲縮加工が施された仮撚捲縮加工糸、空気加工糸、2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸であってもよい。さらには、

サイドバイサイド型潜在捲縮繊維であってもよい

。また、前記繊維Aが、国際公開第2006/025610号パンフレットに記載されたような、湿潤時に捲縮率が変化する複合繊維であってもよい。

【0021】

特に、前記繊維Aが仮撚捲縮加工糸(好ましくは、単糸数70本以上の仮撚捲縮加工糸)であると、優れた吸水性が得られ好ましい。前記繊維Aの単繊維横断面形状は特に限定されず、丸だけでなく、三角、扁平、国際公開第2008/001920号パンフレットに記載されたようなくびれ付き扁平、中空など異型断面形状でもよい。また、国際公開第2008/001920号パンフレットに記載されたような、

S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを合糸して空気交絡処理を行うことにより得られた30T/m以下のトルクを有する複合糸(複合仮撚捲縮加工糸

)であると、布帛内に空隙ができることにより水に浮きやすい性質が向上し好ましい。

【0022】

一方、撥水性のある繊維Bは、本発明において撥水性および水に浮きやすい性質に寄与する繊維である。繊維Bの種類としては、撥水性ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維などが好適である。これらの繊維はいずれも優れた撥水性を有するので、かかる繊維Bと前記繊維Aとを用いて、特定の構造を有する布帛を製編または製織することにより吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質とを兼ね備えた布帛が得られる。」

「【0027】

前記繊維Bの形態としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、長繊維(マルチフィラメント)であると、繊維Bと繊維Bとの間に空隙ができやすく、かかる空隙により水に浮きやすい性質が得られやすく好ましい。特に、繊維Bの単糸繊度は、毛細管現象を利用して優れた吸水性を得る上で、繊維Aの単糸繊度よりも大きいことが好ましく、単糸繊度が1.0~5.0dtex(より好ましくは1.5~3.0dtex)であることが好ましい。繊維Bのフィラメント数、総繊度としては、フィラメント数20本以上(より好ましくは20~200本)、総繊度30~200dtex(より好ましくは30~150dtex)であることが好ましい。

【0028】

前記繊維Bが

、マルチフィラメントに仮撚捲縮加工が施された仮撚捲縮加工糸、空気加工糸、2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸、さらには

前記のような30T/m以下のトルクを有する複合糸であってもよい

。特に、前記繊維Bが仮撚捲縮加工糸(好ましくは、単糸数20本以上の仮撚捲縮加工糸)であると、繊維Bと繊維Bとの間に空隙ができやすく、かかる空隙により水に浮きやすい性質が得られやすく好ましい。その際、前仮撚捲縮加工糸の捲縮率としては3%以上であることが好ましい。記繊維Bの単繊維横断面形状は特に限定されず、丸だけでなく、三角、扁平、国際公開第2008/001920号パンフレットに記載されたようなくびれ付き扁平、中空など異型断面形状などでもよい。」

「【0030】

本発明の布帛において、布帛組織としては特に限定されない。例えば、緯編組織(丸編組織)としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編、片側結接、ニットミス、リバーシブル天竺等が例示される。また、経編組織としては、裏挿入、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示される。また、織物組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。さらには、不織布であってもよい。もちろんこれらに限定されない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。」

「【0032】

特に、布帛の一方表面において前記繊維Aが露出しており、布帛の他方表面に前記繊維Bが露出していることが好ましい。また、布帛の少なくとも一方表面に前記繊維Bが露出しており、かつ、繊維Bが露出した該表面において、前記繊維Bの糸断面空隙率が50%以上であると繊維Bの単糸間に空隙ができやすく、かかる空隙により水に浮きやすい性質が得られやすく好ましい。なお、かかる、空隙率は以下の方法で測定することができる。

(空隙率の測定方法)

布帛の断面から繊維Bの断面写真を電子顕微鏡で撮影し、写真中の単糸断面の合計面積(SF)と空隙部の合計面積(SA)を測定し、下記式により空隙率を算出する。

糸断面空隙率(%)=SA/(SA+SF)×100

本発明の布帛において、布帛の織編密度としては、吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質を向上させる上で、編密度が30~150コース/2.54cmかつ20~130ウエール/2.54cmの編物であるか、下記式により定義されるカバーファクターCFが300~3500(より好ましくは300~1000)の織物であることが好ましい。

CF=(DWp/1.1)

1/2

×MWp+(DWf/1.1)

1/2

×MWf

[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]

本発明の布帛は、前記の繊維Aと前記繊維Bとを用いて、通常の織機または編機を使用して製造することができる。また、前記布帛には、通常の染色加工、減量加工、起毛加工、カレンダー加工、エンボス加工、蓄熱加工、吸水加工、抗菌加工などの後加工を適宜施しても良い。なかでも、優れた吸水性を得る上で吸水加工を施すことが好ましい。かかる吸水加工を施す方法としては、布帛にPEGジアクリレートおよびその誘導体やポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体などの親水化剤を染色時に同浴加工することが好適に例示される。」

「【0037】

次に、本発明の繊維製品は、記載の布帛を用いてなる、衣料、人工皮革、履物、鞄、カーテン、テント、寝袋、防水シート、およびカーシートの群より選ばれるいずれかの繊維製品である。なお、前記衣料には、水陸両用ウエア、スポーツウエア、アウトドアウエア、裏地、レインコート、紳士衣服、婦人衣服、作業衣、防護服、下着、ダウン衣料などが含まれる。」

「【0044】

次いで、該編地(布帛)を、前記繊維Bが配された面が人体側に位置するよう用いてトライアスロン用の水陸両用ウエアを得て着用したところ、吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質とを兼ね備えたものであった。

【0045】

また、前記編地(布帛)を、前記繊維Bが配された面が人体側に位置するよう用いてスポーツウエアを得て着用したところ、吸汗速乾、汗冷え防止、べとつき防止などの効果を有するものであった。」

「【0061】

[実施例5]

経編28G機を使用して、糸種1として通常のセミダルポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸33dtex/12fil(繊維A)、糸種2として下記の撥水加工が施されたセミダルポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸84tex/36fil(繊維B)、糸種3として通常のセミダルポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸56dtex/72fil(繊維A)を用いて、図5に示す組織図の編地を得た。

【0062】

次いで、該編地を染色工程で親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)と同浴処理を行うことにより、該編地に吸水性を付与した。

【0063】

得られた編地において、吸水性と撥水性に優れ、かつ水に浮きやすいものであった。評

価結果を表1に示す。

【0064】

次いで、該編地(布帛)を、前記繊維Bが配された面が人体側に位置するよう用いてトライアスロン用の水陸両用ウエアを得て着用したところ、吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質とを兼ね備えたものであった。」

「【0074】

【表1】

54

108

0001431177000003.jpg

8 甲8(特開2012-21245号公報)

甲8には、以下の記載がある。

「【請求項1】

編物であって、単繊維繊度が1.5dtex以下でありかつ艶消し剤を1.0重量%以上含む

扁平断面繊維を含むことを特徴とする遮熱性編物

。」

「【請求項4】

編物が、前記扁平断面繊維と、前記扁平断面繊維以外の他の繊維とで構成される

、請求項1~3のいずれかに記載の遮熱性編物。

【請求項5】

前記他の繊維が、2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成され、30T/m以下のトルクを有する複合糸である、請求項4に記載の遮熱性編物

。」

「【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、

優れた遮熱性を有する遮熱性編物

および繊維製品を提供することにある。」

「【0013】

前記扁平断面繊維において、繊維形態は特に限定されず、長繊維(マルチフィラメント)でもよいし、短繊維でもよい。なかでも、編物の組織間空隙を小さくして優れた遮熱効果が得る上で、紡績糸のように繊維が凝集しているよりも長繊維(マルチフィラメント糸)のように嵩高であるほうが好ましい。その際、かかるマルチフィラメントにおいて、優れた遮熱効果を得る上でフィラメント数は多いほどよく30本以上(より好ましくは30~10000本)であることが好ましい。また、総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、25~55dtexの範囲内であることが好ましい。該総繊度が25dtexよりも小さいと遮熱性が損なわれるおそれがある。逆に、該総繊度が55dtexよりも大きいと軽量性が損なわれるおそれがある。なお、かかるマルチフィラメントに仮撚捲縮加工や空気加工を施すと嵩高となり遮熱性が向上し好ましい。」

「【0017】

本発明の遮熱性編物は前記扁平断面繊維を含む編物である。その際、前記扁平断面繊維の含有量は、優れた遮熱性を得る上で、編物の総重量対比20重量%以上(より好ましくは20~80重量%)であることが好ましい。

その際、前記扁平断面繊維と他の繊維とで編物を構成してもよく、かかる他の繊維としては、2種以上の仮撚捲縮加工糸(例えばS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸)で構成される30T/m以下(好ましくは0T/m)のトルクを有する複合糸が含まれていると、編物が嵩高となり、遮熱性がさらに向上し好ましい。」

「【0020】

トルクは小さいほど好ましくノントルク(0T/m)が最も好ましい。このようにノントルクとするには、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向の仮撚捲縮加工糸とを合糸する際、トルクの方向が異なること以外は同じトルクを有する2種の仮撚捲縮加工糸を使用するとよい。

【0021】

また、他の繊維として、特開2007-291567号公報に記載の、単糸繊維径が1000nm以下の繊維(「ナノファイバー」と称することもある。)、特開2005-36374号公報に記載の、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル繊維、または該ポリエーテルエステル繊維を含む複合糸、特開2006-118062号公報に記載の、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維などを含ませることも好ましいことである。なかでも、吸水性を高める上で単糸繊維径が1000nm以下(好ましくは10~1000nm、より好ましくは510~800nm)の繊維が特に好ましい。」

「【0028】

本発明の遮熱性編物において、編物組織は特に限定されず、例えば、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。なかでも、優れた遮熱性を得る上で、編物を2層以上の多層構造を有する多層構造編物とし、前記扁平断面繊維を最外層に配することは好ましい。」

「【0030】

次いで、該扁平断面繊維を用いて、通常の編機(トリコット機、ラッセル機、丸編機など)により編物を製編することにより、本発明の遮熱性編物を製造することができる。

ここで、編物に、常法の染色加工、吸水加工、カレンダー加工、撥水加工、さらには、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工、バッフィング加工またはブラシ処理加工を付加適用してもよい。

かかる遮熱性編物において、優れた遮熱性と軽量性とを両立させる上で目付けが200g/m

2

以下(より好ましくは30~160g/m

2

)であることが好ましい。」

「【0040】

[実施例2]

通常のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280°Cで溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条56dtex/12fil(単糸繊維の断面形状:丸断面)を得た。

次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180°C、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。

また、前記ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180°C、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。

次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(B)(66dtex/24fil、捲縮率7%、トルク0T/m)を得た。空気交絡処理は、インターレースノズルを用い、オーバーフィード率1.0%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm2)で60個/mの交絡を付与した。

次いで、28ゲージの丸編ダブル機を使用して、実施例1と同じ扁平断面繊維(A)と上記複合糸(B)と通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸84dtex/72fil(C)とを用いて、図3に示す編組織に従って、裏鹿の子編

物を編成した。生機の密度は、46コース/2.54cm、32ウェール/2.54cm、目付90g/m

2

であった。次いで、上記編物に通常の染色仕上げ加工(130°Cかつ30分間の高圧染色、最終セットとして170°Cの乾熱セット)を施した。得られた編物は、表面がCで構成され、裏面がAとBで構成された2層構造の編物であった。得られた編物は、目付110g/m

2

、反射率65%、遮熱性44°Cであり、遮熱性に優れた編物であった。

次いで、該編物を用いてスポーツ用衣料(Tシャツ)を得て着用したところ、遮熱性に優れ、軽量性にも優れていた。」

9 甲9(JIS L1095:2010「一般紡績糸試験方法」)

甲9には、以下の記載がある。

「9.15 より数

より数は,JIS法又はISO法による。

変動率を求める場合は,JA.1.2変動率の計算式によって求める。この場合,つかみ間隔及び試験回数を試験報告書に付記する。

JIS法のB法及びC法は,単糸より数の測定において単繊維間の平行度が見分けにくいような場合に適用するのがよい。

9.15.1 JIS法

JIS法は,次による。

a) A法 検ねん機を用い,箇条7によって調整した試料をつかみ方向に初荷重を加え,単繊維又は単糸が平行になるまで解ねんし,より数を測定する。

より糸の下より数を測定する場合は,上より数を測定した後,分離した1本を残してほかの糸を両つかみから切断し,残した糸をよりが変化しないようにつかみ方向に初荷重を加え,単糸は2.5cm以上,より糸は25cm以上(毛糸及びジュート糸は10cm以上)の試験長につかみ直してより数を測定する。また,連続してより数を測定する場合は,各試料の間隔を5cm以下とする。

試験回数は30回(毛糸は50回,ジュート糸は20回)とし,より数は,その平均値を小数点以下1けたに丸めて4.4b)によって表す。

試験条件が異なる場合は,その試験条件及び試験回数を増やした場合は,その試験回数を試験報告書に付記する。

b) B法 ペンジュラム型検ねん機を用い箇条7によって調整した試料をつかみ間隔25cm以上(毛糸及びジュート糸は10cm以上)に取り付け,つかみ方向に初荷重を加えて検ねんする。解ねん後,更に同じ方向に回し指針が最初の位置を示したときの測定値を2で除し,より数を求める。また,連続してより数を測定する場合は,各試料の間隔を5cm以下とする。

試験回数は30回とし,より数は,その平均値を小数点以下1けたに丸めて4.4b)によって表す。

試験条件が異なる場合は,その試験条件及び試験回数を増やした場合は,その試験回数を試験報告書に付記する。

c) C法 検ねん機を用い,箇条7によって調整した試料をつかみ間隔25cm以上(毛糸及びジュート糸は10cm以上)に取り付け,つかみ間隔の中央部に294Nの加重を加え,試料のたわみを3mmに調整した後,荷重を取り除き,解ねんする。解ねん後,更に同じ方向に回し,初めのよりと同程度のよりが加えられたときに前記の荷重を加え,試料のたわみが3mmになったときの測定値を2で除し,より数を求める。また,連続してより数を測定する場合は,各試料の間隔を5cm以下とする。

試験回数は30回とし,より数は,その平均値を小数点以下1けたに丸めて4.4b)によって表す。

試験条件が異なる場合は,その試験条件及び試験回数を増やした場合は,その試験回数を試験報告書に付記する。」(「9.15 より数」の項)

10 甲10(中島粂男、井上卓、「撚糸トルクの測定と張力の影響について」)

甲10には、以下の記載がある。

「トルクの測定については多数のトルク計が考案されている。」(814頁左欄18~19行)

11 甲11(特開2020-186503号公報)

甲11には、以下の記載がある。

「【0045】

本明細書において、トルクは、以下の条件で測定される値である。

<トルクの測定方法>

測定対象となる潜在捲縮性ポリエステル複合仮撚糸(試料)を試料長200cmのU字状に吊り下げ、その下端1mの位置にフックを掛けて保持し、試料を張るためにその両上端にそれぞれ0.0294(cN/dtex)の荷重を掛ける。次に、その荷重を掛けた状態で、試料の両上端の近傍をそれぞれ固定具で固定し、その後に荷重を解放する。そして、U字状をした試料の下端に0.00294(cN/dtex)の荷重を掛ける。これにより、試料がU字をねじる方向に旋回するため、その試料が旋回を停止した時の1m当たりの撚数を求め、その撚数をトルクとする。」

第5 申立理由1-1(甲1を主たる引例とする進歩性)についての判断

1 本件発明1について

(1) 対比

本件発明1と甲1発明を対比する。

ア 甲1発明の「デンビー、ハーフなどの編組織を有する編物」である「布帛」は、デンビー、ハーフなどの編組織を有するから経編地といえる。したがって、甲1発明の「布帛」は、後述の相違点を除き本件発明1の「経編地」に相当する。

イ 甲1発明の「30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維」は、「製造条件または繊度において互いに異なる2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成される複合糸」であるから、本件発明1の「2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸」に相当する。

ウ 甲1発明の「2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維」は、本件発明1の「2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維」に相当する。

エ 甲1発明の「複合繊維」について、「仮撚捲縮加工が施された」「マルチフィラメント(長繊維)」は、仮撚捲縮加工糸といえる。

そうすると、甲1発明の「前記複合繊維は、仮撚捲縮加工が施され総繊度20~110dtexのマルチフィラメント(長繊維)であ」ることと、本件発明1の「前記複合繊維が総繊度22~84dtexの仮撚捲縮加工糸であ」ることとは、前記複合繊維が所定範囲の総繊度の仮撚捲縮加工糸である点で共通する。

オ 甲1発明の「編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであ」ることと、本件発明1の「経編地の密度が、60~110コース/2.54cmかつ45~80ウエール/2.54cmであ」ることとは、経編地の密度が、コース数及びウエール数のいずれも所定範囲内である点で共通する。

カ 甲1発明の「布帛の目付けは、70~250g/m

2

であ」ることと、本件発明1の「目付けが130~250g/m

2

の範囲内であ」ることとは、目付けが所定範囲内である点で共通する。

キ 甲1発明の「布帛のJIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)準拠(測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更する。)により測定された通気度が、洗濯前乾燥時で、38~75[ft3/ft2・min]、洗濯後乾燥時で28~62[ft

3

/ft

2

/min]であ」ることと、本件発明1の「通気度が5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内であ」ることとは、通気度が所定範囲内である点で共通する。

ク 以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。

[一致点]

経編地であって、2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸と、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編してなり、

前記複合繊維が、総繊度が所定範囲内の仮撚捲縮加工糸であり、

経編地の密度及び目付けが所定範囲内であり、

経編地の通気度が所定範囲内である、

経編地。

[相違点]

<相違点1-1>

本件発明1は、「前記複合繊維が総繊度22~84dtex」であり、甲1発明は、「前記複合繊維は、」「総繊度20~110dtex」である点。

<相違点1-2>

本件発明1は、「経編地の密度が、60~110コース/2.54cmかつ45~80ウエール/2.54cm」であり、「目付けが130~250g/m

2

の範囲内」であるのに対し、甲1発明は、「前記複合繊維は、」「総繊度20~110dtex」であり、「編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cm」であり、「目付けは、70~250g/m

2

」である点。

<相違点1-3>

本件発明1は、経編地の「通気度が5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内」であるのに対し、引用発明1は、「布帛のJIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)準拠(測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更する。)により測定された通気度が、洗濯前乾燥時で、38~75[ft

3

/ft

2

・min]、洗濯後乾燥時で28~62[ft

3

/ft

2

・min]」である点。

<相違点1-4>

本件発明1は、「ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上」であることが特定されているのに対し、甲1発明では、ストレッチ性及びストレッチ性回復率について特定されていない点。

<相違点1-5>

本件発明1は、「前記複合繊維において、2成分が、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれかの組合せである」のに対し、甲1発明では、「複合繊維の2成分は、吸湿性において互いに異なるポリエステル成分とポリアミド成分」である点。

(2) 判断

ア 相違点1-3について

事案に鑑み、まず相違点1-3について検討する。

本件明細書の【0047】には、「JIS L1096-2010 8.26.1 A法(フラジール法)により通気度を(cm

3

/cm

2

・s)測定した。」と記載されているから、本件発明1の通気度と甲1発明の通気度は、甲1発明が「測定圧力を、JIS記載の125Paから20Paに変更」したこと、及び測定値の単位を除き、同じ測定方法により測定された値であるといえる。

ここで、甲1発明の通気度を本件発明の通気度の単位(cm

3

/cm

2

・s)に換算する(1(ft

3

/ft

2

・min)=0.508(cm

3

/cm

2

・s))と、洗濯前乾燥時で、19.3~38.1(cm

3

/cm

2

・s)、洗濯後乾燥時で、14.2~31.5(cm

3

/cm

2

・s)となる。

さらに、甲1発明の測定圧力が20Paである通気度から測定圧力を125Paとした場合の通気度を推定する(125/20を乗ずる)と、洗濯前乾燥時で、120~238(cm

3

/cm

2

・s)、洗濯後乾燥時で、89~197(cm

3

/cm

2

・s)となる。

一方、本件発明1は、相違点1-2に係る構成を有することで、優れた防風性を有する(本件明細書段落0039)ものであり、本件発明1の通気度の最大値は50(cm

3

/cm

2

・s))である。

そうすると、甲1発明の通気度を、優れた防風性を有する本件発明1の通気度の範囲まで小さくする動機はないから、甲1発明に基づいて相違点1-3に係る本件発明1の構成を得ることはできない。

イ 相違点1-5について

次に、相違点1-5について検討する。

甲2(上記第4の2の【0020】、【0022】)には、2成分が高収縮成分としてのポリトリメチレンテレフタレートと、低収縮成分としてのポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートとの組み合わせであるサイドバイサイド型の複合繊維が記載されている。

また、甲3(上記第4の3の[0025]、[0026])には、2成分として、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートなどが例示されるサイドバイサイド型の複合繊維が記載されている。

また、甲5(上記第4の5(4))には、「第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルやナイロンを、並列的あるいは偏芯的に配置してサイドバイサイド型又は偏芯シースコア型に複合紡糸したもの」が記載されている。

ここで、甲1発明は、甲1の[0005]によると、湿潤による優れた通気性変化機能を課題としており、同[0020]によると、前記課題を解決するためには、複合繊維は、吸湿性において互いに異なる2成分、すなわち、湿潤時に膨潤、伸張するポリアミド成分と、ほとんど長さ変化を起こさないポリエステル成分を備え、これにより湿潤時に、複合繊維の捲縮率が可逆的に低下するため、編物内の空隙率が高まって、通気性が向上するものである。

そうすると、複合繊維を、いずれもポリエステル系である2成分で構成すると甲1発明の課題を解決できないことから、甲1発明の複合繊維として、甲2、3、5に記載された2成分の複合繊維を採用することを阻害する事情がある。

したがって、相違点1-5に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2、3、5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ここで、相違点1-5に関し、申立人は、異議申立書(51~52頁)において、甲1に記載された発明は、ポリエステル成分とポリアミド成分以外の組み合わせを排除するものではなく、「互いに吸湿性が異なる2成分で構成されること」も必須ではない旨主張するが、上述した甲1の[0020]の記載によれば、2成分をいずれも湿潤時にほとんど長さ変化を起こさないポリエチレン成分とした場合に、上記課題を解決できないことは明らかであるから、当該主張を採用することはできない。

(3) 小括

また、甲4の記載は上記第4の4のとおりであって、相違点1-3及び相違点1-5に係る本件発明1の構成について、記載も示唆もされていない。

よって、相違点1-1、相違点1-2及び相違点1-4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明と甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本件発明2~7について

本件発明2~7は、本件発明1の構成をすべて備えるから、上記1で検討した本件発明1についての理由と同様の理由により、甲1発明と甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 申立理由1-1についてのまとめ

よって、申立理由1-1は理由がない。

第6 申立理由1-2(甲6を主たる引例とする進歩性)についての判断

1 本件発明1について

(1) 対比

本件発明1と甲6発明を対比する。

ア 甲6発明の「サイドバイサイド型複合繊維」は、本件発明1の「2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維」に相当する。

また、甲6発明の「合成繊維などの他の素材」は、サイドバイサイド型複合繊維と交編する特定の糸といえるから、本件発明1の「2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸」とは、特定の糸である点で共通する。

そうすると、本件発明1の「経編地であって、2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸と、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編してなり」との事項と、甲6発明の「運動着用の経編地であって、サイドバイサイド型複合繊維と合成繊維などの他の素材とを交編したものであり」との事項は、経編地であって、特定の糸と2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編してなる点で共通する。

イ 甲6発明の「サイドバイサイド型複合繊維は、総繊度が11~330デシテックスのフィラメント糸条から構成され」ることと、本件発明1の「前記複合繊維が総繊度22~84dtexの仮撚捲縮加工糸であ」ることとは、前記複合繊維が総繊度が所定範囲内の糸である点で共通する。

ウ 甲6発明の「編地は、密度が22~82ウエル/インチおよび28~130コース/インチ」であることと、本件発明1の「経編地の密度が、60~110コース/2.54cmかつ45~80ウエール/2.54cmであ」ることとは、経編地の密度が所定範囲内である点で共通する。

エ 甲6発明の「目付が80~330g/m

2

であ」ることと、本件発明1の「目付けが130~250g/m

2

の範囲内であ」ることとは、目付けが所定範囲内である点で共通する。

オ 甲6発明の「編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり、編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上であ」ることと、本件発明1の「ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上であ」ることとは、ストレッチ性が所定範囲内であり、ストレッチ性回復率が所定範囲内である点で共通する。

カ 甲6発明の「サイドバイサイド型複合繊維は、高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルを用い、低収縮成分にポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートを用いる」ことは、本件発明1の「前記複合繊維において、2成分が、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれかの組合せであること」に相当する。

キ 以上によれば、本件発明1と甲6発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。

[一致点]

経編地であって、特定の糸と2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編してなり、

前記複合繊維は総繊度が所定範囲内の糸であり、

経編地は、密度、目付け、ストレッチ性及びストレッチ性回復率がそれぞれ所定範囲内であり、

前記複合繊維において、2成分が、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれかの組合せである経編地。

[相違点]

<相違点2-1>

経編地について、本件発明1では、「2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸と、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編してな」るものであるのに対し、甲6発明は「サイドバイサイド型複合繊維と他の素材とを交編したものであ」るが、他の素材について、2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸であることが特定されていない点。

<相違点2-2>

複合繊維について、本件発明1では、「総繊度22~84dtexの仮撚捲縮加工糸」であるのに対し、甲6発明では、「総繊度が11~330デシテックスのフィラメント糸条」である点。

<相違点2-3>

経編地について、本件発明1では、「経編地の密度が、60~110コース/2.54cmかつ45~80ウエール/2.54cmであり、目付けが130~250g/m

2

の範囲内であり、通気度が5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上」であるのに対し、甲6発明では、「編地は、密度が22~82ウエル/インチおよび28~130コース/インチで、かつ目付が80~330g/m

2

であり、 編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり、編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上」である点。

<相違点2-4>

経編地について、本件発明1では、「通気度が5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内」であるのに対し、甲6発明では、通気度が特定されていない点。

(2) 判断

ア 相違点2-1、2-3について

相違点2-1に係る繊維の素材と、相違点2-3に係る編地の特性とは密接に関連するものであるから、相違点2-1と相違点2-3とをまとめて検討する。また、甲3と、甲7及び甲8とは、編地を構成する糸の態様が異なるから、個別に検討する。

(ア) 甲3(上記第4の3の[請求項1]~[請求項3]、[0036])には、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維である伸縮性繊維とを引きそろえて、空気混繊、複合仮撚又は合撚して製造した複合糸を含む布帛について記載されているものの、甲3に記載された布帛は、仮撚捲縮加工糸A及びBと、サイドバイサイド型複合繊維とを交編してなるものではないから、甲6発明に甲3に記載された事項を採用しても、相違点2-1に係る本件発明1の構成にはならない。

(イ)また、甲7(上記第4の7の【請求項1】、【請求項2】、【0020】、【0021】、【0028】)には、吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質とを兼ね備えた布帛であって、撥水性のない繊維Aと撥水性のある繊維Bを用いて製編または製織してなり、繊維Aとしては、サイドバイサイド型潜在捲縮繊維であってよく、繊維Bとしては、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを合糸して空気交絡処理を行うことにより得られた30T/m以下のトルクを有する複合糸であってよい布帛が記載されている。

さらに、甲8(上記第4の8の【請求項1】、【請求項4】、【請求項5】、【0005】)には、優れた遮熱性を有する遮熱性編物であって、扁平断面繊維と2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成される30T/m以下のトルクを有する複合糸で構成された編物について記載されている。

しかしながら、甲6発明は、甲6の【0008】によれば、機械強度、耐薬品性、染色加工性、ソフト感、ふくらみ感等を維持しながら優れたストレッチ性と回復性を有する編地を提供することを課題とする発明であるところ、甲7には、吸水性と撥水性と水に浮きやすい性質とを兼ね備えた布帛についての事項が記載され、甲8には、優れた遮熱性を有する遮熱性編物についての事項が記載されており、甲6発明に甲7及び甲8に記載された事項を適用する動機がない。

また、仮に甲7及び甲8に記載の事項を採用したとしても、そもそも甲7及び甲8にはストレッチ性と回復性について記載がないから、相違点2-3に係る「ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上」とすることは、自明なことではない。

(ウ) 上記(ア)及び(イ)より、甲3、甲7及び甲8に記載された事項を勘案しても、甲6発明に基づいて、相違点2-1、2-3に記載された事項は、当業者が容易に想到できたことではない。

イ 相違点2-4について

上記第5の1(2)アで説示したとおり、甲1には、通気度について記載されているものの、通気度を「5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内」とすることは記載も示唆もされていない。

したがって、甲6発明に甲1に記載された事項を適用しても、相違点2-4に係る本件発明1の構成は得られない。

(3) 小括

以上のとおりであるから、相違点2-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明と、甲1、甲3、甲7及び甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本件発明2~7について

本件発明2~7は、本件発明1の構成をすべて備えるから、本件発明1についての理由と同様の理由により、甲6発明と甲1、3、7及び8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 申立理由1-2についてのまとめ

よって、申立理由1-2は理由がない。

第7 申立理由2(実施可能要件)についての判断

申立人が特許異議申立書に記載した「本件特許発明1」~「本件特許発明7」は、上記第2の「本件発明1」~「本件発明7」のことである。

1 申立人の主張

申立人は、特許異議申立書(59頁15行~60頁7行)において、本件発明1では、経方向45%超、緯方向70%超のストレッチ性を有する構成までもが包含されている一方、本件明細書には、経方向45%超、緯方向70%超のストレッチ性を得るための手段が記載されていないため、本件発明1は、ストレッチ性が経方向45%超、緯方向70%超において、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、実施可能要件を満たさず、本件発明1を引用する本件発明2~7についても、同様に実施可能要件を満たさない旨主張している。

2 判断

申立人の上記主張について検討するに、請求項1には、「ストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上」と記載されているところ、発明の詳細な説明(【0049】~【0065】)には、ストレッチ性が請求項1に記載された範囲に該当する実施例1~実施例5が記載されていることから、当該実施例1~5の記載に基づいて、当業者は本件発明1に該当する経編地を製造することができる。

したがって、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。また、本件発明1を引用する本件発明2~7についても同様である。

よって、申立人の上記1の主張は理由がない。

第8 申立理由3(サポート要件)についての判断

1 申立人の主張

申立人は、特許異議申立書(60頁9行~16行)において、上記第7の1と同様に、本件明細書には、経方向45%超、緯方向70%超のストレッチ性を得るための手段が記載されていないから、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないため、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2~7は、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。

2 判断

(1) 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2) 発明の詳細な説明に記載された発明は、段落【0005】によれば、「防風性、ストレッチ性およびハリコシ感に優れた経編地および衣料を提供すること」を解決しようとする課題とし、段落【0038】には、「経編地において、かくして得られた経編地において、防風性の点で経編地の密度が、60コース/2.54cm以上(より好ましくは60~110コース/2.54cm)かつ45ウエール/2.54cm以上(より好ましくは45~80ウエール/2.54cm)であること」、「着用快適性と防風性、およびハリコシ感を兼備する上で目付けが130~250g/m

2

の範囲内であること」、「防風性の点で通気度が50cm

3

/cm

2

・s以下(より好ましくは5~50cm

3

/cm

2

・s)であること」、及び「ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上であること」が記載されている。

そして、請求項1には、「経編地の密度が、60~110コース/2.54cmかつ45~80ウエール/2.54cmであり、目付けが130~250g/m

2

の範囲内であり、通気度が5~50cm

3

/cm

2

・sの範囲内であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性が経方向20%以上、かつ緯方向30%以上であり、ISO20932-1:2018により測定したストレッチ性回復率が経方向、緯方向ともに90%以上であり」と記載されているから、当業者は、本件発明1により発明の詳細な説明に記載された上記課題を解決できると理解でき、本件発明1は、サポート要件に適合するといえる。また、本件発明1を引用する本件発明2~7も同様である。

よって、申立人の上記1の主張は理由がない。

第9 申立理由4(明確性要件)についての判断

1 申立人の主張

(1) 申立人は、特許異議申立書(60頁18行~61頁13行)において、甲9~甲11を引用するとともに、「トルクが30T/m以下」という場合の「トルク」については、技術的に見て様々な見地があり、それにもかかわらず、本件明細書には測定方法についての記載がなく特定できないものであるから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2~7は明確でない旨主張する。

(2) また、申立人は、特許異議申立書(61頁14行~26行)において、本件発明1において「交編」であるか否かは、ストレッチ性を高める観点で具体的な技術的意義を有する発明特定事項というべきであり、当業者が「交編」か否かを理解できる必要があるところ、本件明細書にはその定義がなされておらず、特定できないものであるから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2~7は明確でない旨主張する。

2 判断

(1) 発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。

(2) 上記1(1)の主張について

請求項1には「2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有する複合糸」と記載されているところ、「30T/m以下のトルク」は、当業者が2種類以上の仮撚捲縮加工糸で構成された複合糸に適した測定方法及び荷重等の測定条件により、単位を「T/m」、すなわち1m当たりの撚り数として測定した測定値といえる。

そして、請求項1は、複合糸のトルクのみを数値範囲により特定するものではなく、請求項1の技術範囲に属するか否かは、前記複合糸と、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維とが交編して構成された経編地において、請求項1に記載された事項、すなわち、各特性がいずれも数値範囲にあり、かつ複合繊維の材料が該当するか否かで判断することができるから、請求項1の技術範囲は、第三者に不測の不利益を及ぼす程度に不明確であるとはいえない。

請求項1を引用する請求項2~7についても同様である。

(3) 上記1(2)の主張について

ア 「交編」について本件明細書の【0033】には、「本発明の経編地は前記複合糸と前記複合繊維とが交編してなる。例えば、2枚の筬を用い、一方の筬に前記複合糸を供給し、他方の筬に前記複合繊維を供給して2層構造経編地を編成することが好ましい。」と記載されているように、本件発明1においても、複合糸と複合繊維を使用して生地を編むことといえる(例えば、甲3の仮撚捲縮加工糸Aと仮撚捲縮加工糸Bと複合繊維を合糸したものを用いて生地を編んだものとは区別できる。)から、甲1発明は、「交編」についての具体的な編み方が特定されていなくても、第三者に不測の不利益を及ぼす程度に不明確であるとはいえない。

請求項1を引用する請求項2~7についても同様である。

(4)小括

したがって、申立人の上記1(1)及び(2)の理由は採用できない。

第10 むすび

以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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