結論テキスト
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2023016869 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本願は、令和3年2月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 5月12日付け:拒絶理由通知書
令和3年 6月28日 :意見書の提出
令和3年 6月30日 :手続補足書の提出
令和3年 9月 6日 :上申書の提出
令和4年 6月16日 :上申書の提出
令和4年 6月17日 :手続補足書の提出
令和5年 5月18日 :上申書の提出
令和5年 6月30日付け:拒絶査定
令和5年10月 5日 :審判請求書の提出
令和5年11月27日 :手続補足書の提出
令和6年 3月 8日 :手続補足書の提出
令和6年11月15日 :上申書の提出
令和6年11月19日 :手続補足書の提出
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第14類「指輪,首飾り,ネックレス,ペンダント,耳飾り,ピアス,イヤリング」を指定商品として立体商標として登録出願されたものである。
原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、立体的形状であって、直方体の台座に5個の球体を1列に配してなるものである。そして、この本願の立体的形状は、その指定商品に使用した場合、その商品の形状又はその一部(以下、単に「商品の形状」という。)を構成するものと容易に認められるものであり、このような商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美観をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、このような目的のために採用されたと認められる形状は、出所識別標識のために選択されたものとは認識しない場合が多いというのが相当である。そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は当該商品の形状を表示したものであると認識するにとどまり、また、その形状が特徴的な部分を有するものであったとしても、それは商品の機能又は美観上の理由による形状の選択として予測し得る範囲のものであって、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を脱していないものと認める。したがって、本願商標は、その指定商品について使用した場合、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3項第2項について
本願商標の形状を採用した商品の販売期間については、長期間継続的に使用しているものとはいえない、本願商標の形状を採用した商品が、その市場において、どの程度の市場占有率を有しているのか等について、提出された資料からは把握することができない、及び、アンケートの内容についてみるに、本願商標に係る立体的形状とは異なる指輪の写真について「見たことがある」程の回答にとどまることからすれば、これをもって、本願商標が全国的に著名になっていることを裏付ける証拠として認めることはできない等から、全ての証拠の内容を総合してみても、本願商標が使用された結果、本願商標が独立して、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであると認識されるに至っているとは認めらない。したがって、本願商標は、第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲のとおり、細長い直方体の台座と、その上に、5個の球体を1列に配した部分を組み合わせた立体的形状からなるものである。
そして、本願商標の指定商品である、「指輪,首飾り,ネックレス,ペンダント,耳飾り,ピアス,イヤリング」については、一般的に、その中心となる宝石部分について、台座に宝石類を固定してなるものが多くみられるところ、本願商標は、構成全体として、台座に球体の宝石類を並べて配した宝石部分を表してなるものと看取できるものである。
そうすると、本願商標は、宝石類とそれを固定する台座部分いずれの構成要素も、その指定商品と関連して、商品等の機能又は美観に資することを目的として採用される、又はその機能又は美感上の理由から採用すると予測される範囲のものにすぎないから、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3項第2項について
請求人は、証拠として甲第1号証ないし甲346号証を提出の上、「本願商標は使用の結果、自他商品識別力を獲得しているので、商標法第3条第2項の適用を受けて、登録されるべき」旨主張するので、以下検討する。
なお、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を、「甲○」と表記する。
ア 請求人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、請求人のブランドアイコンであるジュエリー「バランス」シリーズを、指輪と首飾りについて2010年4月から、耳飾りについて2013年8月に販売(以下、当該指輪、首飾り及び耳飾りを「使用商品」という。)し、現在まで継続して販売されている(甲48~甲54等)。
(イ)使用商品には、本願商標と外観において同一視できる立体形状がその主要部分(宝石部分)に用いられている(甲48~甲54等)。
(ウ)使用商品は、請求人の日本全国の72店舗のうち46店舗以上で取り扱われ、また特別展示会においても販売されている(甲124、甲125)。
(エ)販売数量は、2010年4月から2021年5月で、耳飾り(ピアス・イヤリング)が約1.1万個、首飾り(ネックレス・ペンダント)が約7千個、指輪が約4千個である(商品の価格は、1個約30万円から約40万円であり、高価なものであれば約760万円である。)(甲121)。宝飾品市場は市場占有率が非常に細分化されているという特殊性を有するところ、「バランス」シリーズが属する商品群の売上は、2021年以降、年間約50億円を記録しており、真珠ジュエリー市場1,477億円のうち、約3.2%を占める(甲197)。
(オ)広告宣伝等については、販売以降、挨拶カード及びカタログ等(甲46~甲54)、東京、大阪、主要な地方都市における屋内・屋外広告(甲55~甲68)、請求人ウェブサイト(甲69等)、新聞・雑誌及びウェブ記事(累計500件以上(甲75))の掲載(甲76~甲91)、SNS広告(甲96)、ドラマ含むTV番組・日本アカデミー賞や創業70周年等イベントでの使用(甲100~甲120、甲209~甲223、甲248~甲254)等、本願商標の形状を採用したコラボレーション商品の販売(甲238~甲244)など、継続して使用商品が写った広告宣伝等が実施されている。また、近時では、2021年7月から2023年10月までの間に、本願商標の形状にかかる純広告を13社の雑誌及び3社の新聞に掲載しており、広告費用として約4,700万円を費やしている(甲203)。これらの記事情報では、「丸いパールが直線のバーに並んだ、今までのパールにない新しさ・・・」、「5粒の丸いパールが直線のバーの上に並び、バランスをとっているようなデザインのリングや、・・・ブレスレットなど」、「バーに真珠を並べた斬新なデザイン“バランス”」、「パールが直線に並んだミニマルでモダンなデザインが革新的。ブランドのアイコン的な存在・・・」などのように、使用商品の形状について特徴あるものとして言及されている(甲9~甲23、甲26~甲42)。
(カ)請求人以外による同一又は類似の標章の使用例は、類似の形状を低価格で販売しているものがいくつかみられるが(甲138~甲149)、その販売数、シェア等は不明である。当該ウェブサイトでは、ハッシュタグで「タサキ」「バランス」と付されていたり、「TASAKI風」「バランス風」と紹介されているものもみられる(甲138~甲149)。
(キ)請求人が2024年7月に実施したアンケート調査結果(以下、「本件アンケート調査」という。)(甲247)によれば、以下のとおりである。
a 調査対象者は、例年実施する、指輪の画像を提示するものは、関東及び関西在住の20~60代女性600名(以下「調査1」という。)。比較用サンプルとして、本願商標の形状に近い耳飾りの画像を提示するものは、関東及び関西在住の20~60代女性200名(以下「調査2」という。)。
b 調査方法は、事前質問として、知名度の高いファッションブランド・ジュエリーブランドの認知及び過去3年以内に5万円以上のジュエリーを購入またはプレゼントされたかを質問した後、指輪及び本願商標の形状に近い耳飾りの使用商品について、雑誌・広告等で見たことがあるか、次に、どこのブランドのものか多肢選択式で尋ねた。
c 調査1については、調査対象者のうち、指輪の使用商品について、全体で、見たことがある(38.6%)と見たことがあるような気がする(24.4%)と答えた者を合わせると63%で、選択肢より請求人の商品と答えた者が31.8%である。さらに、このうち、知名度の高いファッションブランド・ジュエリーブランドを8割以上認知しており、過去3年以内に5万円以上のジュエリーを購入またはプレゼントされたことがある者を対象にしたものでは、見たことがある(75.4%)と見たことがあるような気がする(19.1%)と答えた者を合わせる94.5%で、選択肢より請求人の商品と答えた者が53.3%である。
調査2については、調査対象者のうち、本願商標の形状に近い耳飾りの使用商品について、全体で、見たことがある(46.0%)と見たことがあるような気がする(16.7%)と答えた者を合わせると63%で、選択肢より請求人の商品と答えた者が47%である。さらに、このうち、知名度の高いファッションブランド・ジュエリーブランドを8割以上認知しており、過去3年以内に5万円以上のジュエリーを購入またはプレゼントされたことがある者を対象にしたものでは、見たことがある(84.4%)と見たことがあるような気がする(6.4%)と答えた者を合わせると90.8%で、選択肢より請求人の商品と答えた者が78.4%である。
イ 判断
上記(ア)ないし(キ)を総合して考察すれば、請求人は、本願商標と同一視できる形状を、同社のジュエリー「バランス」シリーズのブランドアイコンとして、当該部分を主要部分(宝石部分)に有する指輪と首飾りについて2010年4月から、耳飾りについて2013年8月から継続して使用商品に使用しており、請求人ホームページ,カタログ、看板、新聞・雑誌及びウェブ記事、テレビ番組、イベント等で本願商標を用いた使用商品が掲載されている。加えて、それらの記事情報等においては、その形状が特徴あるものとして多数取り上げられていることが認められる。
さらに、宝飾品市場は市場占有率が細分化されている特殊性を有する中にあって、バランスシリーズが属する商品群の売上げをみても、2021年以降、年間約50億円を記録するなどの高い販売実績を踏まえると、使用商品に係る市場占有率は必ずしも明らかではないものの、そのシェアも相応にあることも容易に推認し得るところである。加えて、本件アンケート調査の結果においても、関東及び関西在住の20~60代女性200名のうち、本願商標の形状に近い耳飾りの使用商品から、請求人との関連を回答できたのは全体で5割近く、また、母数は明らかでないものの、過去3年以内に5万円以上のジュエリーを購入またはプレゼントされたことがある者を対象としたものでは8割近い(上記ア(キ))。
以上の事実を総合的に考慮すると、本願商標は、請求人による長年にわたる使用の結果、請求人の使用商品が備える独特な商品形状として、その指定商品の需要者において、相当程度認知され、請求人に係る出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至っていると認められる。
したがって、本願商標は、請求人による使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するから、それを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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