結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024013990 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和5年11月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 7月18日付け:拒絶理由通知書
令和6年 8月 5日 :意見書の提出
令和6年 8月14日付け:拒絶査定
令和6年 9月 2日 :審判請求書の提出
令和7年 6月30日付け:審尋
本願商標は、「カテキン緑茶のチカラW」の文字を標準文字で表してなり、第5類「カテキンを主成分とするサプリメント,カテキンを主成分とする栄養補助食品,カテキンを主成分とする食餌療法用飲料,カテキンを主成分とする食餌療法用食品,カテキンを主成分とする乳幼児用飲料,カテキンを主成分とする乳幼児用食品」及び第30類「茶,ウーロン茶,紅茶,昆布茶,麦茶,緑茶,アイスティー,カモミールを主原料とする茶飲料,コンブチャ(紅茶キノコ),代用茶,代用茶として使用される花又は葉,茶飲料,ハーブティー,ミルク入りの茶飲料,コーヒー,ココア,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,食用粉類」を指定商品として登録出願されたものである。
原審において、「本願商標は、「カテキン緑茶」と「チカラW」の文字の間に助詞「の」を配して、一連に「カテキン緑茶のチカラW」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「カテキン」の文字は、「植物色素の一種。多くの植物中に存在し、酵素または酸と反応してタンニン様の物質を生成する。」等の意味を有する語であり、「緑茶」の文字は、「茶の若葉を摘んで蒸し、焙炉の上でもみながら、葉の緑色を損なわないように乾燥させた茶。」等の意味を有する語である。また、本願商標構成中の「チカラ」の文字は、「ききめ。効果。効力。」等の意味を有する「力」の語を片仮名表記したものと容易に認識・理解されるものであり、「W」の文字は、「英語のアルファベットの第23字。」等の意味を有する語であり、「ダブル」と誤って発音されることがあり、そこから転じて「ダブルを表す略号。」ほどの意味合いを表す語として、一般に認識されているものである。そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、カテキン入りの緑茶やカテキン入りの緑茶が有する効力を用いた商品、カテキン入りの緑茶の効力を謳った商品が提供されている実情が認められ、また、そのような商品に「茶カテキンの力」や「緑茶のチカラ」の文字が使用されている実情が認められる。さらに、本願の指定商品を取り扱う業界において、2つの効力を有する商品に「W」の文字が使用されている実情が認められ、また、2つの効力を有するカテキン入りの緑茶に「緑茶のチカラW」の文字が使用されている実情が認められる。これらを考慮すれば、本願商標は、全体として「カテキン入りの緑茶の2つの効力」ほどの意味合いが生じるというのが相当である。そうすると、本願商標を、その指定商品中の「カテキン入りの緑茶の2つの効力を有する商品」、例えば「カテキン入りの緑茶の2つの効力を有するカテキンを主成分とするサプリメント,カテキン入りの緑茶の2つの効力を有する緑茶,カテキン入りの緑茶の2つの効力を有する菓子」等に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
当審において、令和7年6月30日付け審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解、及び本件商標は、原審における拒絶理由通知書において引用した登録第6090010号商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
なお、引用商標は「カテキン緑茶」の文字を標準文字で表した構成よりなり、平成27年10月20日に登録出願され、第30類「ガレート型カテキンを80%以上含有し、脂肪吸収抑制効果を有するペットボトル入りの緑茶飲料」を指定商品として、商標法第3条第2項を適用し、同30年9月14日に審決、同年10月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「カテキン緑茶のチカラW」の文字を標準文字で表してなるところ、「カテキン」の文字は「カテキュー(阿仙薬)から分離されるフラボノイドの一種。広義には様々な化合物を含み、紅茶・緑茶の渋み成分。植物界に広く存在し、タンニンの成分となる。抗酸化作用・抗菌作用をもつ。」を、「緑茶」の文字は「製茶の一種。茶の若葉を収穫後に熱処理をし酸化発酵を止め、みどり色を維持させる。その茶葉、また飲料。」を、「チカラ」の文字は「ききめ。効能。」等を意味する「力」(いずれも出典は「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)の読みを片仮名表記したものであるから、「カテキン緑茶」と「チカラ」の文字を格助詞「の」で結合してなる文字部分からは、「カテキン入りの緑茶の効能」程の意味合いを容易に認識させる。また、欧文字の「W」は「英語アルファベットの第23字。」等(出典:「ベーシックジーニアス英和辞典第2版」株式会社大修館書店)を意味するものであり、商品の品番・型番等に使用される記号又は符号の一類型と認識されるから、本願商標の構成全体としては、「Wの品番のカテキン入りの緑茶の効能」程の意味合いを容易に想起させるものであって、本願商標をその指定商品中、例えば、第30類「コーヒー,ココア,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,食用粉類」に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「Wの品番のカテキンの入りの緑茶の効能を有する商品」であることを認識するにとどまり、単に商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというべきである。
また、本願の指定商品中、第5類の指定商品の分野において、別掲1のとおり、「○○のチカラ」及びこれに通ずる「○○の力」「○○のちから」の文字が、「○○の効果」「○○の効き目」程の意味合いを表すものとして使用され、さらに、原審提示の情報に加えて、別掲2のとおり、「W」の文字が「2つ、2倍」を表す語として使用されている実情も確認できる。
そうすると、本願商標をその指定商品中、第5類の指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「W」の文字が表す「2つ、2倍」の特徴を持ったカテキン入りの緑茶の効能を有する商品(例えば、「カテキン入りの緑茶の2つの効力を有するカテキンを主成分とするサプリメント」又は「カテキン入りの緑茶の2倍の効力を有するカテキンを主成分とするサプリメント」)であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 結合商標の類否判断の判例について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民228号561頁参照)。
イ 引用商標について
引用商標は、「カテキン緑茶」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「カテキンリョクチャ」の称呼を生じ、その商品の品質を表す商標(商標法第3条第1項第3号)であるとしても、その指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識する至った商標として商標法第3条第2項の適用を受けて商標登録されたことからすれば、「引用商標権者の商品のブランド」程の観念を生じるものといえる。
ウ 本願商標について
本願商標は、「カテキン緑茶のチカラW」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書同大同間隔で、横一列にまとまりのよい構成よりなるものである。
また、本願商標の構成中の「カテキン緑茶」の文字は、上記イのとおり、引用商標の商標権者の業務に係る指定商品を表示するものとして当該商品の需要者の間に広く認識されているから、本願商標に接する取引者、需要者に対して、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると、上記アの結合商標の類否判断の判例の趣旨に照らせば、その構成中の「カテキン緑茶」の文字部分を要部として分離、抽出し、他人の商標と比較することも許されるものといえる。
したがって、本願商標は、その要部の文字に相応して、「カテキンリョクチャ」の称呼を生じ、「引用商標権者の商品のブランド」程の観念を生じるものといえる(以下「カテキン緑茶」の文字部分を「本願商標の要部」という。)。
エ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標を比較すると、両者は、上記ウ及びイのとおりの構成からなるところ、全体の外観において相違するとしても、本願商標の要部との比較においては「カテキン緑茶」の文字を共通にするから近似した印象を与え、該文字に相応して生ずる「カテキンリョクチャ」の称呼及び「引用商標権者の商品のブランド」程の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、全体の外観において相違するとしても、本願商標の要部と引用商標との比較においては、近似した印象を与え、「カテキンリョクチャ」の称呼及び「引用商標権者の商品のブランド」のの観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
オ 本願商標と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品中、第30類「茶,ウーロン茶,紅茶,昆布茶,麦茶,緑茶,アイスティー,カモミールを主原料とする茶飲料,コンブチャ(紅茶キノコ),代用茶,代用茶として使用される花又は葉,茶飲料,ハーブティー,ミルク入りの茶飲料」は、引用商標の指定商品である第30類「ガレート型カテキンを80%以上含有し、脂肪吸収抑制効果を有するペットボトル入りの緑茶飲料」と同一又は類似する商品である。
カ まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の構成中の「チカラ」の文字は、極めて多義的であって、その意味を「ききめ。効果。効力。」と認定する根拠が僅か1件しか存在していないのであれば、多数の意味を有する「チカラ」の文字の意味を「ききめ。効果。効力。」には特定できないものであり、また、本願商標の構成中の「W」の文字が「ダブル。2つの。」の意味で理解されたとしても、複数の意味合いが想起されるので、「カテキン入りの緑茶の2つの効力」と特定して理解されることはない旨主張している。
しかしながら、本願商標が、その指定商品について商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、審決の時点において、本願商標がその指定商品との関係で商品の品質等を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解されるところ、上記(1)のとおり、「○○のチカラ」及びこれに通ずる「○○の力」「○○のちから」の文字が、「○○の効果」「○○の効き目」程の意味合いを表すものとして使用されている事実や、欧文字の「W」が「英語アルファベットの第23字。」等を意味し、商品の品番・型番等に使用される記号又は符号の一類型と認識され、また、「2つ、2倍」を表す語として使用されている事実等を鑑みれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に「Wの品番のカテキンの入りの緑茶の効能を有する商品」又は「「W」の文字が表す「2つ、2倍」の特徴を持ったカテキン入りの緑茶の効能を有する商品」であること、すなわち商品の品質、効能を表示したものと一般に認識されるというべきである。
イ 請求人は、近年の特許庁の審決では、「〇〇の力」、「〇〇のチカラ」又は「〇〇のちから」という商標については、多様な意味合いを連想、想起されるものであり、意味合いが漠然としていることから、商品の品質を直接的に表示するものではないと繰り返し認定されている旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係や、その指定商品又は指定役務の分野における取引の実情等を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた審決例(登録例)は、原審や別掲1及び別掲2で提示した取引実情や判断時期も異なるという点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の審決例(登録例)が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。