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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024020021
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和6年1月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年6月24日付け:拒絶理由通知書

令和6年7月30日 :意見書の提出

令和6年9月9日付け :拒絶査定

令和6年12月13日 :審判請求書、手続補正書の提出

令和7年8月5日付け :証拠調べ通知

令和7年9月11日 :意見書の提出

第2 本願商標

本願商標は、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字を標準文字で表してなり、第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願され、その後、指定商品については、上記第1の手続補正書により、第21類「飲料容器用断熱ホルダー」とされた。

第3 原査定の拒絶の理由(要点)

本願商標は「CUP COFFEE TUMBLER」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「CUP」の文字は、「カップ」等の意味を有する語であり、「COFFEE」の文字は、「コーヒー」等の意味を有する語であり、「TUMBLER」の文字は、「(取っ手や足のない普通の)大コップ、タンブラー」等の意味を有する語である。

そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、コンビニやコーヒーショップ等で販売されているカップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラーが取引されている実情がある。

そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「カップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラー」又はこれに関連する商品であること、すなわち、単に商品の品質、用途を表示したものとして認識するというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

また、「CUP COFFEE TUMBLER」の名称は、出願人の商品を指称する語として一定の周知性を獲得している旨、主張しているが、出願人の主張及び提出に係る証拠を検討しても、出願人の主張を認めるに足る証拠は見いだせず、よって、本願商標が周知性を獲得していると認めることはできない。

第4 当審における証拠調べ通知書

本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。

第5 上記通知に対する請求人の意見

請求人は、上記第4の証拠調べ通知書に対し、令和7年9月11日に意見書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べた。

証拠調べによって明らかになった事実は、請求人の主張と何ら矛盾するものではなく、むしろ、一部の事実は本願商標の出所識別性を示唆するものである。

「CUP COFFEE TUMBLER」が「カップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラー」を示す語として取引上普通に使用されている事実は証拠調べでも確認できない。

仮に、証拠調べによって明らかになった事実から、本願商標に接した需要者がその商品の内容を認識できると判断されるとしても、商標法第3条第2項が適用され、登録できるものである。

第6 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号

(1)商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠くものであることによるものと解される。

そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるのであって、必ずしも本願商標が現実に当該指定商品に使用されていることを要しないと解される(平成27年(行ケ)第10107号平成27年10月21日知財高裁判決、平成12年(行ケ)第76号平成12年9月4日東京高裁判決参照)。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、上記第2のとおり、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「CUP」の文字は「(紅茶・コーヒー用の)カップ」の、「COFFEE」の文字は「コーヒー」の、「TUMBLER」の文字は「(取っ手や足のない普通の)大コップ、タンブラー」の意味を有する語(いずれも「新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典」研究社)として、それぞれ広く知られた語であるから、これらを結合してなる「CUP COFFEE TUMBLER」の文字全体としては、「カップのコーヒー用のタンブラー」程の意味合いを容易に理解させるものである。

そして、「タンブラー(tumbler)」の文字は「○○タンブラー(tumbler)」の形で、「○○を入れるのに適したタンブラー」程の意味合いで(別掲1)、また、「カップコーヒー」の文字は「カップ入りのコーヒー」程の意味合いで(別掲2)、それぞれ一般に使用されている。

さらに、「カップコーヒーをそのまま入れて使用するタンブラー」が一般に販売されている事実もある(別掲3)。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、当該商品が「カップ入りのコーヒーをそのまま入れて使用するのに適したタンブラー」であるという、商品の品質、用途を表示するものと理解、認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものと判断するのが相当である。

また、本願商標を、その指定商品中、「カップ入りのコーヒーをそのまま入れて使用するのに適したタンブラー」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字全体は極めて漠然とした抽象的な表現方法であり、直ちに特定の意味合いを理解させるものではない旨や「カップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラー型の容器」は、請求人によって独自に企画、販売された事実がある旨等を述べるととともに、本願商標は、その構成から、需要者が構成文字それぞれの語を分断し、それらの意味合いを瞬時に解釈し、直接的かつ具体的に「カップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラー」と容易に認識することはない旨を主張している。

しかしながら、本願商標を構成する各語の語義及び別掲1ないし別掲3のとおりの取引の実情を踏まえれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、商品の品質、用途を表示するものと理解、認識するにとどまるものであることは上記(2)のとおりである。

イ 請求人は、「CUP COFFEE TUMBLER」が「カップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラー」を示す語として取引上普通に使用されている事実は確認できない旨を主張している。

しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるのであって、必ずしも本願商標が現実に当該指定商品に使用されていることを要しないと解されるから、「CUP COFFEE TUMBLER」が「カップ入りコーヒーをそのまま収納することができるタンブラー」を示す語として使用されている例が存在しないとしても、それだけをもって本願商標が同号への該当性を否定することはできない。

そして、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、商品の品質、用途を表示するものと理解、認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものと判断するのが相当であることは上記(2)のとおりである。

ウ 請求人は、過去における登録例及び審決例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。

しかしながら、登録出願に係る商標がその指定商品との関係において、自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と指定商品との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の示す登録例と本願商標とは、構成文字や指定商品が異なり、事案を異にするものであり、本願商標が自他商品の識別力を欠くものであることは、上記(2)のとおりであるから、登録例があるからといってその判断が左右されるものではない。

エ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。

2 商標法第3条第2項

請求人は、本願商標を付した本願の指定商品にあたる商品を2020年から現在まで継続的に、かつ、全国的に販売し、同時に多種多様なメディアにおいて宣伝活動を行っていることにより、需要者は、本願商標が請求人の業務に係る商品であることを認識しているから、商標法第3条第2項の要件を具備する旨主張し、原審において提出した甲第1号証ないし甲第32号証のうち、甲第2号証ないし甲第9号証を、また、当審において提出した甲第1号証ないし甲第45号証のうち、甲第2号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を同項の要件を具備する根拠となる証拠として提出している。

そこで、本願商標が同項の要件を具備するに至っているか、以下検討する。(なお、本審決において、上記各証拠のうち、当審における甲第2号証ないし甲第22号証は、順次、甲第34号証ないし甲第54号証と読み替える。また、甲各号証の表記に当たっては「甲第○号証」を「甲○」のように簡略して記載する場合がある。)

(1)請求人の提出に係る証拠及び同人の主張について

ア 販売活動

(ア)請求人は、1971年に設立された出版社であり、事業を雑誌、書籍の製造、販売としながら、出願人の企画した商品を「ブランドムック」(登録商標)および「マルチメディア商品」の形式でコンビニエンスストア、書店、オンラインショップなどで販売する事業を展開している。請求人は、「ブランドムック」(登録商標)および「マルチメディア商品」の形式とは、雑誌に雑貨を付録にして販売する形式を取りながら、実質的な価値は主にその付録商品にある販売方式のことであり(甲3)、このような販売方法から商品名に、その販売の形態、形状を示す「BOOK」の文字をつけている旨主張する(甲34、甲35、請求人の主張)。

(イ)また、その事業の一つとして、請求人は、「CUP COFFEE TUMBLER」の商品シリーズ名のもと、コンビニエンスストアやコーヒーショップなどで販売されるカップ入り飲料に用いられる「飲料容器用断熱ホルダー」(以下「使用商品」という。)を2020年7月22日から現在まで継続して販売しており、各種キャラクターや著名ブランドなどと協同したデザインの商品を請求人オリジナルのデザインのものを含め、今までに120種類以上販売してきた旨主張する(甲5~甲8、甲36、甲37、請求人の主張)。

しかしながら、甲第5号証ないし甲第8号証、甲第36号証及び甲第37号証おいては、商品名あるいはそのシリーズ名として記載されているのは、その大半が「CUP COFFEE TUMBLER」ではなく、「CUP COFFEE TUMBLER BOOK」である。

また、甲第36号証については、いつだれがどのように作成した資料なのか不明である上、また、これに記載の内容を裏付ける証拠の提出はない。

(ウ)請求人は、使用商品について、全国のコンビニエンスストア、書店、請求人自身のオンラインストアのほか、AMAZON等のオンラインショップサイトで販売しており、2024年11月時点で、約133万個販売し、約17億6331万円の売上げた旨主張する(甲38~甲43、請求人の主張)。

しかしながら、甲第43号証は、いつどのように作成したのか不明な資料であって、これに記載される上記売上げ個数及び売上金額を裏付けとなるような証拠の提出はない。

イ 広告宣伝活動

(ア)請求人は使用商品の広告を、テレビCMにおいて行い、2020年7月25日から2022年2月26日の間に15秒のCMを27回実施した旨主張する(甲44,請求人の主張)。

しかしながら、テレビCMによる広告の実施状況をまとめた「本願商標にかかる商品の商品別CM放送一覧」(甲44)におけるタイトル並びに、「本願商標にかかる商品のCMのキャプチャ画像」(甲44の2)には、「CUP COFFEE TUMBLER」ではなく「CUP COFFEE TUMBLER BOOK」と記載されているものが大半である。

(イ)請求人は、使用商品の広告を、新聞広告においても行っており、2021年3月27日から同年11月6日の間に全国紙において15回実施した旨主張する(甲45、請求人の主張)。

なお、2021年当時の1日辺りの平均発行部数は、朝日新聞が約457万部、読売新聞が約704万部、中日新聞が約254万部、北海道新聞が約90万部であり、西日本新聞は2022年当時で焼く43万部である(甲46~甲49)。

しかしながら、これら新聞広告においては、「CUP COFFEE TUMBLER」ではなく「CUP COFFEE TUMBLER BOOK」と記載されているものが大半である。

(ウ)請求人は、同人の出版する雑誌においても、使用商品の広告を掲載しており、掲載した雑誌の2024年上半期の平均販売部数は、約1.3万部ないし約9.4万部である12誌であって、計57回行った旨主張する。また、これら雑誌は、10代後半から20代前半の女性に向けたものや、大人の女性に向けたもの、30代から40代の男性に向けたものなど、雑誌毎にターゲットは様々なものである旨主張する(甲50、請求人の主張)。

しかしながら、これら雑誌広告においても、「CUP COFFEE TUMBLER」ではなく「CUP COFFEE TUMBLER BOOK」と記載されているものが大半である。

(エ)請求人の編集長が取材を受け、当該編集長のこれまでの経験について記載された記事がウェブサイトに掲載され、その中で使用商品についても触れられており(甲2~甲4、甲51~甲53)、甲第51号証においては、使用商品がシリーズ累計300万部を超えている旨の記載があるものの、甲第52号証及び甲第53号証においては、目立つような扱いはない。

そして、これらの記事の掲載によって、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字からなる商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者にどの程度認識されるに至ったのかを示す証拠の提出はなく不明である。

(2)判断

以上からすると、請求人の提出する証拠によれば、「CUP COFFEE TUMBLER BOOK」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)を、「飲料容器用断熱ホルダー」に2020年7月から現在までの約5年間使用し、一定程度の売上げがあり、発売当初はテレビや新聞における広告をおこなったこと、請求人の編集長への取材記事の中で使用商品についても触れられたことは認め得るとしても、本願商標と使用商標は、末尾における「BOOK」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるところ、使用商標の構成中の「BOOK」の文字が、本願の指定商品との関係において、商品の販売の形態や形状、その他商品の特徴等を表示するものとして需要者に認識されるなど、「BOOK」の文字部分が出所識別標識として弱く、省略されて取引に資することが一般的であるなどの事情は見いだせず、また、本願商標「CUP COFEE TUMBLER」の文字が、例えば、使用商標の略称を表すものとして広く認識されていることを示す証拠などの提出もないことから、使用商標は、本願商標と別異のものとして、需要者に認識されるものというべきである。

なお、請求人が提出する証拠の中の商品広告の一部(甲45の2等)には、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字が単独で記載されている例もあるものの、これらのわずかな使用例によって、「CUP COFEE TUMBLER」の文字からなる商標が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者にどの程度認識されるに至っていたかについては、何ら証拠の提出がなく不明である。また、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字からなる商標について、需要者の間における知名度を直接示すような証拠も見当たらない。

そのほか、本願商標が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本願の指定商品の需要者に広く認識されていることを示す証拠の提出は見当たらない。

そうすると、請求人提出の証拠によっては、「CUP COFFEE TUMBLER」の文字からなる商標について、その指定商品に係る需要者の間において、請求人固有の出所識別標識として広く知られるに至っていたと認めることはできない。

したがって、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものではなく、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、登録をすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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