結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300233 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第4485298号商標(以下「本件商標」という。)は、「Morris & Co.」の欧文字を標準文字で表してなり、平成12年7月3日に登録出願、第24類「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同13年6月22日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和6年4月25日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の令和3年4月25日から同6年4月24日までを以下「要証期間」という。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第24類「織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和6年6月24日付けの審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月20日付けの審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、甲(乙)第1号証を、甲(乙)1のように表記する。
本件商標は、その請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(1)被請求人による通常使用権者であることの証明について
被請求人は、平成25年4月1日に、株式会社ブレーントラスト(以下「ブレーントラスト社」という。)に対して、本件商標について使用を許諾していることが把握できたとしても、ブレーントラスト社は、国税庁「法人番号サイト」によれば、令和3年1月4日に閉鎖されており(甲3)、要証期間前に、ブレーントラスト社は閉鎖されているから、通常使用権者になり得ない。
したがって、被請求人は、本件商標の通常使用権者であることを立証していない。
(2)被請求人による請求に係る商品についての使用について
ア 使用商品「インテリアクロス」について
OEM製造を請け負っているブルーミング中西株式会社(以下「ブルーミング中西社」という。)のサイトの写し(乙2)の最終ページの「お見積りはこちらから」の下の「サイトマップ」の「商品のご案内」及び「お問合せ」には、「ハンカチーフ&ファッショングッズ」の次に、「テーブルクロス」が表示されており、各種布製品の製造業者であるブルーミング中西社が、実際の商品が「テーブルクロス」ではないと認識しているからこそ、メインの商品の一つと思われる「テーブルクロス」の商品名を使用せずに、あえて「インテリアクロス」の商品名を採択したものである。
なお、令和6年8月6日時点においても、ブルーミング中西社のサイトによれば、「PRODUCT」に、「ハンカチーフ&ファッショングッズ」、「テーブルクロス」、「ホテルリネン」が大きく取り上げられており、「テーブルクロス」をメインの商品として取り扱っているものと確認できる(甲4)。
被請求人は、ブレーントラスト社が、商品名を「インテリアクロス」として使用している理由を述べているが、企業は、生産・営利の目的で、生産要素を総合し、継続的に事業を経営する経営の主体であるから、当然ながら「売れる商品」となるように努力するものである。仮に、現実の商品が「テーブルクロス」であるならば、ブレーントラスト社が、商品名を「インテリアクロス」として販売するメリットはない。なぜなら、需要者・取引者は、「テーブルクロス」として使用する目的で商品を求めるからであり、あえて異なる商品名とすることは、取引実情としてあり得ない。
イ 「インテリアクロス」が「テーブルクロス」とは異なる商品である理由
(ア)メール(乙9)の宛先に「braintrust」が含まれるから、ブレーントラスト社が宛先であると推測するが、送信日は、本件審判請求の予告登録日より後であり、予告登録通知日から4週間経過している。
メールの件名「架電の件」及び「インテリアクロスと名付けたのはテーブルクロスとしてだけではなく、例えばソファにかけたり床に敷いてみたり、インテリアの色々な用途で使えるようにしたのではないでしょうか?」の記載から、ブルーミング中西社が採択したのではなく、ブレーントラスト社に尋ねており、ブルーミング中西社が採択したとの被請求人の主張と食い違っており、被請求人の主張には矛盾があり、クライアントであるブルーミング中西社に対して、その意向に沿うように回答していることが分かるメールの写しである。これをもって、ブルーミング中西社が「テーブルクロス」にも該当すると考えているとは言えない。
(イ)被請求人は、「問題のインテリアクロスの製造者は当該商品が「テーブルクロス」となり得るものであると認めている」旨主張するが、「なり得る」とは、「そのように変化・進行・展開する可能性がある、といった意味の表現。そうなることがあり得る。」(甲5)という意味であり、もともと商品は異なるが、布であるため掛けることはできることがあり得るということにすぎず、被請求人自ら「テーブルクロス」という商品ではないことを自認している。
被請求人は「インテリア」の中に「家具」が含まれている旨主張し(乙10)、「○○○クロス」の部分の主張については、「クロス」が、「cloths別表記:クロス 「cloths」は英語の名詞で、日本語に翻訳すると「布」や「生地」となる。主に衣服やテーブルクロス、カーテンなどを作るための素材を指す。特定の目的に使用される布を指すこともある。例えば、「cleaning cloths」は掃除用の布を指す。」(甲6)を意味するため、「特定の目的に使用される布を指す」という点においては妥当であるが、用途やサイズ等により、商品が区別されて「テーブルクロス」や「ビリヤードクロス」の名称で呼ばれている。
あるサイト記事には、「インテリア」は、「室内装飾品」という意味。家具とインテリアの違いは「装飾的」であるかどうかで決定されます」との記載があり(甲7)、また、goo辞書において、「1 建物の内部。室内。また、壁紙、床材、照明器具や家具類など室内を装飾するもの。(⇔エクステリア)。2 「インテリアデザイン」の略。」(甲8)、デジタル大辞泉において、「1 建物の内部。室内。また、壁紙、床材、照明器具や家具類など室内を装飾するもの。⇔エクステリア。2 「インテリアデザイン」の略。」、精選版日本語大辞典において、「1 内部。内面。内側。2 屋内。また、屋内の様子。[初出の実例]「インテリア(映)映画の屋内場面の事」(出典:モダン辞典(1930)。3 建物の内部のつくり。室内設計。また、屋内装飾用品。⇔エクステリア。」(甲9)のように「インテリア」には様々な意味合いがある。
需要者・取引者は、布であっても、中味を隠すために覆う布、ソファに掛ける布、テーブルに掛ける布、机に掛ける布、箪筍に掛ける布、ビリヤード台に掛ける布、洗濯機に掛ける布、装飾のため家具に掛ける布、ピアノに掛ける布、ハンガーラックに掛ける布など、用途に応じた商品を求めて購入する。需要者・取引者は、単に「布を掛けられさえすればよい」と考えて、商品の購入や取引をするわけではなく、掛けるものによって、サイズはもちろんのこと、防水性、撥水性、汚れ防止、通気性、肌触り、そして、テーブルであれば、装飾性は高くても織地の凹凸が不適切でないか、安定感をもって食器や花瓶を水平に保てるか、サイズ的にずり落ちないかが重要である。机であれば、その上で文字を掛けるか、といった用途に応じたものが必要になる。
また、商品の用途に応じた「機能」や「サイズ」等に応じて、商品名がそれぞれある。
(ウ)被請求人が、販売したと主張する「インテリアクロス」のサイズは、100cm×100cmであり、テーブル端の垂れを、上下左右それぞれ20cmないし30cmを差し引くと、適合するテーブルのサイズは60cm×60cm、40cm×40cmになってしまう。
乙第12号証中の最も小さな「2人掛け用のテーブル」であっても、60cm×65cmであるから、被請求人が主張する「インテリアクロス」では推奨サイズに届かず、このような商品を、仮に「テーブルクロス」として販売したら問題が起こり得るからこそ、「テーブルクロス」ではなく、「インテリアクロス」としたと考えるのが自然である。
よって、「インテリアクロス」は、「テーブルクロス」ではないから、ブレーントラスト社は、請求に係る商品をいずれも使用していない。
(エ)そごう美術館における乙第20号証の2の写真の不自然さ及び当該展覧会の証拠について(乙20)
乙第20号証からは、要証期間内にそごう美術館において、「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」が開催されたことは分かる。
乙第20号証の2の1頁目の下段及び2頁目の写真には、透明な横長のサインホルダーに印刷した紙を挟んだものと思われる写真を証拠として提出している。2頁目の写真には、「William Morris(マルR)/Morris & Co.(マルR)」、「展示会公式オリジナルグッズ」、「インテリアクロス」「・いちご泥棒 ・ガーデン・チューリップ」、「テーブルクロスなど様々な用途で使えます!」、「Styling Arts Crafts」と記載されているが、乙第20号証の2の1頁目下段と2頁目以降の写真には、サインホルダーにおける紙の挟み方、サインホルダーの右側後方部分に、商品のビニール袋と連続していると思しき何本ものカーブを描く線、サインホルダーの右側後方部分の商品のビニール袋と連続したカーブの線及びサインホルダー部分の印刷された紙に記載された「吹き出し部分」の文章はいずれも不自然であり、信憑性に欠ける。さらに、別商標「William Morris(マルR)」は要証期間内において、「WILLIAM MORRIS」の商標は発見されなかったところ、登録商標を意味するマルRの表示がされているから、乙第20号証の2の写真は、我が国における要証期間外の使用であると推測される。
乙第20号証の2のポップ広告は、「William Morris(マルR)」が、2つの単語の頭文字だけを大文字として、それ以外を小文字としている点、「Morris & Co.(マルR)」について、「Co.」となっており、同時期の展示会中、唯一この写真だけが「Co.」の表記となっている点が異なる。乙第20号証の2における大きなサインホルダー以外の全ての証拠写真からは、「Co.」(「Company」の省略形)と認識できず、「company」の意味合いを需要者・取引者は認識できないから、本件商標「Morris & Co.」と社会通念上同一の商標の使用に該当せず、乙第20号証の2の写真における商品の包装袋の赤いタグ、及び「インテリアクロス」の商品名と値段と3つの商標が記載された紙を挟んだ小さなサインホルダーも、社会通念上同一の商標の使用に該当しないし、乙第20号証の2の写真には、「インテリアクロス」らしきものは見当たらない。
さらに、乙第20号証の2の写真に写る大きな「展覧会公式オリジナルグッズ」と記載のある紙を挟んだサインホルダーは、「展示会公式オリジナルグッズ」が大きく書されて赤色の帯となっているため、目立つ表示であるが、配置する場所としてみると、下段の商品の中ほどに埋もれるように配置されているが、乙第20号証の2の売場全体を写した写真には、目立つサインホルダーも、ポスターも見当たらず、単に展覧会図録のようなものが山積みされているだけであり、展覧会開催時におけるオリジナルグッズ販売として、不自然である。
したがって、そごう美術館において展覧会が開催されたことは確認できるが、被請求人は、被請求人の提出した証拠によって、本件商標を付した商品の使用を立証したとはいえない。
a 本件商標の指定商品ではない点について
乙第20号証の1、2のいずれの写真からも「テーブル掛け」は見当たらず、請求書に記載のとおり(乙20の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
b 請求書の請求額と通帳の写しの入金額の相違
請求書の写し(乙20の3)の請求金額は6,124,541円(消費税込)であるが、普通預金通帳の写し(乙20の4)における入金金額は、17,789,541円であり、1,000万円以上異なり、一致せず、被請求人は、金額の不一致について何ら述べていないから、被請求人は、ミュージアムショップにおいて、異なる商品ではあるが、「インテリアクロス」が販売されたことすら立証できていない。
ウ 被請求人が主張する「要証期間の使用」について
(ア)被請求人が提出したふくやま美術館における証拠(乙14)
a 証拠写真における不整合について
乙第14号証の1により、ふくやま美術館で要証期間内に展覧会が開催されたことが分かるが乙第14号証の2におけるミュージアムショップの写真は、陳列棚が異なり、ミュージアムショップ全体の写真における棚が白いのに対し、「インテリアクロス」の陳列された棚が茶色の木目のものであるため、陳列棚の素材が異なっており、整合性が取れないため、別の場所で撮影した写真が紛れ込んでいるものと考えられ、極めて信憑性がない。
さらに、全体の写真では、床の色はピンク又は紫と白っぽい部分の混在した暖色系の色であるのに対し、2頁目の下方に写る床と思しき色は水色であり寒色系の色であるため、両者は異なり、整合性が取れないので、このミュージアムショップにおける陳列棚であると認識できない。
したがって、被請求人は、ミュージアムショップにおいて、異なる商品ではあるが、「インテリアクロス」が販売されたことすら立証できていない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
乙第14号証の2の写真において、赤いタグの中で、「Morris & C」の右隣に、縦長の楕円形の真下に点が付いた「上付きのQ」又は「風船のような図形」に「マルR」と表記されている。本件商標は見当たらず、楕円形の下に点等が入ると、「Q」と認識し、「o.」とは認識できない。「o」という文字は、下に点がないから「o」と認識されるのであって、点があれば「Q」と認識されるものである。
「Co.」(「Company」の省略形)を認識できないから、「company」の意味合いを需要者・取引者は認識できない。
よって、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
「インテリアクロス」の写真及び請求書に記載のとおり(乙14の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
さらに、2頁目及び3頁目の写真には、商品か商品パッケージに付された赤いタグ及び木の棚に示された表示に「WILLIAM MORRIS(マルR)」と明確に表示されており、マルRは、「Registered Trademark」(登録商標)を意味し、登録商標と同一の場合にのみ使用できる表示であるが、請求人が調査したところ、我が国における本件不使用取消審判の要証期間内において、「William Morris」の登録商標は、本件請求人の登録第2574349号商標(甲10の1)のみで、それ以外には、第24類において、我が国において存在しなかった(甲10の2)。
よって、登録商標を意味するマルRの表示がされている点から、乙第14号証の2の写真は、我が国における本件不使用取消審判における要証期間内の使用ではないものと推測される。
したがって、被請求人は、被請求人の提出した証拠によって、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(イ)米沢市上杉美術館における証拠(乙15)
a 証拠写真における不整合について
証拠写真(乙15の2)における不整合により、被請求人の証拠によっては、要証期間内に当該ミュージアムショップにおいて、そもそも商品が異なるが、「インテリアクロス」の商品が陳列されていたのかさえ立証できていない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙15の2の4頁)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
「インテリアクロス」の写真及び請求書に記載のとおり(乙15の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 請求書の請求額と通帳の写しの入金額の相違
請求書と通帳の写しの整合性がなく、取引があったことを立証したことにならない。
e 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、乙第15号証の2の4頁目の写真は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(ウ)府中市美術館における証拠(乙16)
a 証拠写真における不整合について
乙第16号証の2の2頁目の写真、3頁目の下段の写真が、内部の全体的な写真のどの部分に該当するのか不明である。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
「インテリアクロス」の写真及び請求書に記載のとおり(乙16の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、乙第16号証の2の4頁目の写真は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(エ)愛知県陶磁美術館における証拠(乙17)
a 証拠写真における不整合について
写真(乙17の2の2頁目及び3頁目)における網の陳列棚や透き通っていたりする陳列棚が、愛知県陶磁美術館の期間限定ショップのものであるのか、関連性が不明であるから、信憑性がない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙17の2の3頁)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
「インテリアクロス」の写真及び請求書に記載のとおり(乙17の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙17の2の4頁目)は、要証期間外の使用であると推測される。
e 請求先の株式会社アートセンターサービスが、展示会ショップを運営したか否かについて
愛知県陶磁美術館における2023年1月28日から3月26日までの期間に、株式会社アートセンターサービスが、展示会でショップを運営した証拠が見当たらず、同社のサイトによれば、2023年は13件の企画展特設ショップを運営していることが分かるが、被請求人が主張する愛知県陶磁美術館の展覧会での運営が、同社の「実績」に見当たらない(甲13)から、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(オ)松本市美術館における証拠(乙18)
a 証拠写真における不整合について
請求書の写し(乙18の3)に添付された商品リストに「A&C インテリアクロス」の表示はなく、「インテリアクロス」の分類区分と「イチゴ泥棒」及び「ガーデン・チューリップ」の品名の記載であり一致せず、「K32」は、商品を陳列した棚のサインホルダーのいずれにも記載がないから、商品管理の観点から極めて不自然である。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙18の2の2頁目)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
「インテリアクロス」の写真及び請求書に記載のとおり(乙18の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 請求書の請求額と通帳の写しの入金額の相違
請求書と通帳の写しの整合性がなく、取引があったことを立証したことにならない。
e 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙18の2の2頁目)は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(カ)久留米市美術館における証拠(乙19)
a 証拠写真における不整合について
写真(乙19の2の1頁目)における不整合により、被請求人の証拠によっては、当該ミュージアムショップにおいて、そもそも「インテリアクロス」の商品が陳列されていたのか立証できていない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙19の2の2頁目)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
「インテリアクロス」の写真及び請求書に記載のとおり(乙19の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙19の2の2頁目)は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(キ)そごう美術館における証拠(乙20)
上記イ(エ)で上述したとおり、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(ク)山梨県立美術館における証拠(乙21)
a 証拠写真における不整合について
証拠写真(乙21の2の2頁目及び3頁目)における不整合により、被請求人の証拠によっては、ミュージアムショップにおいて、異なる商品であるが、「インテリアクロス」の商品が陳列されていたのかさえ立証できていない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙21の2の3頁目)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
写真(乙21の1、2)からも、本件商標を付した「テーブル掛け」は見当たらず、請求書に記載のとおり(乙21の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 請求書の請求額と通帳の写しの入金額の相違
請求書と通帳の写しの入金額が一致せず、取引があったことを立証したことにならない。
e 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙21の2の2頁目)は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(ケ)千葉県立美術館における証拠(乙22)
写真(乙22の2)は、いずれにおいても、本件商標が全く見当たらず、被請求人が主張するブレーントラスト社が販売したという証拠が見当たらない。そして、被請求人は、経験則から展覧会の初日にインテリアクロスが譲渡ないし引き渡しがされたと主張するだけで、何ら証拠が示されていないから、被請求人は、本件商標の使用を立証していない。
(コ)高岡市美術館における証拠(乙23)
a 証拠写真における不整合について
証拠写真(乙23の1の1頁目及び2頁目)における不整合により、被請求人の証拠によっては、ミュージアムショップにおいて、そもそも商品は異なるが、「インテリアクロス」の商品が陳列されていたのかさえ立証できていない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙23の2の2頁目)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
請求書に記載のとおり(乙23の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙23の2の2頁目)は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(サ)岡山県立美術館における証拠(乙24)
a 証拠写真における不整合について
写真(乙24の2の1頁目~3頁目)は、当該展覧会で撮影されたものか、関連付けられる目安になるものが写っておらず、写真(乙24の2の1頁目)の左下には、「インテリアクロス(ガーデン・チューリップ)」と記載した平面的な小さな札を商品の上に置いているが、この白い札の部分だけが非常にぼんやりぼやけており、全ての文字が読めない。また、下方には、小さな赤色の文字が記載されているがぼやけており、写真(乙24の2の2頁目)では、赤色のタグには、1頁目と同様の記載があるが、商品の上に置かれた白いタグについては「インテリアクロス(いちご泥○)」(○部分は読めない)、「税込 4,950円」と、鳥の図柄、赤い文字で右端が「~AM MORRIS(マルR)」の文字が読み取れるから、被請求人の証拠によっては、当該展覧会において、そもそも商品が異なるが、「インテリアクロス」の商品を販売していたのかさえ立証できていない。
b 本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない点について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙24の2)に表記された文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当しない。
c 本件商標の指定商品ではない点について
写真(乙24の1、2)からも、本件商標を付した「テーブル掛け」は見当たらず、請求書に記載のとおり(乙24の3)、「分類区分」は「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」には該当しない。
d 請求書の不自然さについて
cifaka,inc.宛ての請求書の写し(乙24の3)の提出はあるが、この岡山県立美術館の証拠についてのみ、普通預金通帳の写しの提出はなく、請求書の宛先であるcifaka,inc.と当該展覧会での使用との関係が不明であるから、cifaka,inc.が販売したのか確認できず、請求書には、「岡山物販」と手書きした付箋が写っており、不自然である。
e 一緒に付された別商標の「マルR」の表示について
上記ウ(ア)と同旨の理由により、写真(乙24の2)は、要証期間外の使用であると推測されるから、被請求人は、要証期間内における本件商標の使用を立証していない。
(3)総括
上記のとおり、被請求人は、被請求人の提出した証拠によって、本件商標の通常使用権者であることを立証していない。そして、被請求人が、通常使用権者により使用したと主張する商品は、全て「インテリアクロス」であって、「テーブル掛け」に該当しない。したがって、被請求人が通常使用権者であると主張するブレーントラスト社は、請求に係る商品をいずれも使用していない。
そして、本件商標は、乙第20号証の2の1箇所のみ、商品「インテリアクロス」に近接したサインホルダーの紙の部分に記載があるが、乙第20号証の2の証拠は、写真が不自然であり、証拠能力に欠け、それ以外の商標は、本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない。
さらに、被請求人は提出した証拠には、「WILLIAM MORRIS(マルR)」(乙20の2の1箇所以外の証拠)又は「William Morris(マルR)」にマルRを使用しているが、要証期間内の第24類の登録商標としては、請求人の「WILLIAM MORRIS」しか存在しないため、我が国における要証期間の使用として疑義があり、被請求人の提出したいずれの証拠写真も、いつ、どこで、誰に撮影されたのかが明らかにされていない。
総括で述べた箇所以外にも、被請求人が提出した証拠には、多数の証拠に疑義があり、信憑性に欠ける。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、指定商品中、第24類「織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、取消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書及び令和7年2月12日付け審尋に対する同年3月17日付けの回答書(以下「回答書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第37号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、枝番号を全て表記する場合は、枝番号を省略して記載する。
(1)使用権者であることの証明
本件商標の商標権者は、東京都港区白金所在のブレーントラスト社に使用許諾をしていた。この事実を立証するために、本件商標に対する取消2018-300518において提出した商標使用権許諾書の写し(乙1)を提出する。特許庁は上記審判事件においてブレーントラスト社が通常使用権者であると認定したから、本件審判においてもブレーントラスト社は通常使用権者と認められる。
(2)請求に係る商品についての使用
ア 通常使用権者が商品名「インテリアクロス」で販売したことの妥当性
通常使用権者は本件商標が使用される「テーブルクロス」の製造を東京都中央区日本橋人形町所在のブルーミング中西社に依頼した。ブルーミング中西社は各種布製品のOEM製造を請け負っている(乙2)。
ブルーミング中西社は製造した当該商品を商品名「インテリアクロス」で通常使用権者に納品し、OEM製造の関係で商品の種別をするために当該商品に貼付したバーコードにも「インテリアクロス」と登録した。
通常使用権者が「テーブルクロス」の製造をブルーミング中西社に依頼したこと並びにブルーミング中西社が製造を依頼されたものを商品名「インテリアクロス」で納品したことを示す同社発行の見積書及び請求書を並びに通常使用権者がブルーミング中西社に支払ったことを証する預金通帳の写しを提出する(乙3~乙8)。
通常使用権者は商品管理の便宜のためにブルーミング中西社が採択した商品名「インテリアクロス」をそのまま商品名として採択し「インテリアクロス」として、美術館に販売した。取引の経験則上、納品された商品の商品名とは異なった商品名で販売すると商品管理が混乱するから、一連の取引においては同じ商品名が用いられることは一般的である。このことは特許庁においても顕著な事実であり、通常使用権者はブルーミング中西社発行の見積書及び請求書から明らかなように、同社に数多くの商品の製造を委託しており、かつ、乙第14号証の3以降の各請求書から明らかなようにブルーミング中西社に製造委託した商品に加えてさらに多くの商品を販売している。納品された数多くの商品及び販売された数多くの商品中から一つの商品の名称をその注文時の意図に反するものとしていちいち「テーブルクロス」と変更することは労力がかかり、一方で変更による経済的利益は全くない。すなわち、利益を目的として行われる商取引において、納品された商品名「インテリアクロス」をあえて「テーブルクロス」と変更することはあり得ない。
さらに、問題の商品に貼付したバーコードにも「インテリアクロス」とブルーミング中西社が登録した以上、通常使用権者が当該商品の販売にあたりいちいちこのバーコードを剥離することは煩雑以外のなにものでもない。
以上述べたごとく、通常使用権者が問題の商品を「インテリアクロス」名で販売したことは商取引においては極めて妥当なものであった。
イ 「インテリアクロス」が「テーブルクロス」に該当する理由
通常使用権者の担当者からの問い合わせに対して、ブルーミング中西社の担当者は「問題のインテリアクロスはテーブルクロスとしてもお使えいただけるものである」と述べている(乙9)。すなわち、問題のインテリアクロスの製造者は当該商品が「テーブルクロス」となり得るものであると認めている。そして、ブルーミング中西社の担当者は「インテリアクロスと名付けたのはテーブルクロスとしてだけではなく、例えばソファにかけたり床に敷いてみたり、インテリアの色々な用途で使えるようにしたのではないでしょうか?」と述べている(乙9)。
このように、「インテリアクロス」の製造者は、当該商品が「テーブルクロス」にも該当すると考えている。
「インテリア」とは、取引上、テーブル等の家具を含んだものとして認識されている(乙10)。取引において、「テーブルクロス」「ビリヤードクロス」のごとく商品の表面に覆い掛けるものや貼付されたりするものは「○○○クロス」と呼ばれている。そうであるとすれば、テーブル等の家具に掛けられる商品に「インテリアクロス」の商品名を付することは取引においては自然なことであった。
以上のことから、請求に係る商品の取引者・需要者は「インテリアクロス」に「テーブルクロス」が含まれていると理解するのは必定である。
「テーブルクロス」が意味する「テーブル掛け」とは消費者庁によれば、「テーブル(食卓、会議卓、講壇等)をすっぽり覆う目的で作られた布のことをいう。テーブルの中心にだけ置くテーブルドイリーやテーブルマットは含まれない。こたつ掛けも該当しない。」とされている(乙11)。
「インテリアクロス」はブルーミング中西社の見積書(乙3、乙6)で記載されているごとく100cm×100cmのサイズである。2人掛け用のダイニングテーブルは、天板のサイズが幅60cm×奥行65cmから幅90cm×奥行85cmの大きさであり、一般的な2人掛け用のダイニングテーブルのサイズは、60×65cm、70×70cm、75×75cm、80×80cm、90×85cmである(乙12)から、100cm×100cmのサイズのインテリアクロスは2人掛け用のダイニングテーブルをすっぽり覆うことができるテーブルクロスとして使用可能である。
このサイズの点からも「インテリアクロス」は「テーブルクロス」となり得る。
さらに、そごう美術館において2023年9月16日から11月5日まで開催された「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wright」の販売会場で「インテリアクロス・・・・テーブルクロスなど様々な用途で使えます!」とのポップ広告がされている(乙20の1)。すなわち、「インテリアクロス」は「テーブルクロス」となり得ることを販売者は需要者にアピールしている。
ウ 小括
以上から、本件商標が「テーブルクロス」に使用されていたことは明らかである。
「テーブルクロス」はJ-PlatPatの商品・役務名検索及び広辞苑(乙13)から明らかなように「テーブル掛け」を意味するから、本件商標は請求に係る商品に使用されている。
(3)要証期間の使用
ア ふくやま美術館において2022年4月9日から6月5日までに開催された「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライト まで」展における通常使用権者による使用
展覧会において、来訪者にその作品に関係する商品を販売することはつと に行われており、本件商標についても、本展覧会において、通常使用権者によって当該商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当したふくやま美術館友の会に販売された。
当該事実を立証するために、「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザインのウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまでポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真を含んだ展覧会の会場の写真」「通常使用権者がふくやま美術館友の会宛てに発行した令和4年6月30日付請求書写し」「ふくやま美術館友の会からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙14)。
なお、この展覧会での販売を担当した者への販売は、見積書(乙3)及び請求書(乙4)並びに見積書(乙6、乙7)及び請求書の発行日よりも前であるが、通常使用権者は既に所持していた在庫のテーブルクロス(インテリアクロス)を販売したものである。取引の経験則からしてこのような販売は何ら不自然なものではない。現に、乙第14号証の3の請求書には「インテリアクロス」が入っている。
イ 米沢市上杉美術館において2022年6月25日から7月31日までに開催された「Arts&Crafts and Design アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」企画展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの企画展での販売を担当した公益財団法人米沢上杉文化振興財団に販売された。
当該事実を立証するために、「Arts&Crafts and Design アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまでのポスター」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す企画展の看板の写真及び米沢市上杉美術館のミュージアムショップ内の写真」「通常使用権者が公益財団法人米沢上杉文化振興財団宛てに発行した令和4年9月12日付請求書写し」「公益財団法人米沢上杉文化振興財団からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙15)。なお、振込金額が上記請求書の請求金額よりも多いのは他の請求書と合算して振り込まれたためである。
また、この展覧会での販売を担当した者への販売の見積書(乙3、乙4)及び請求書は、乙第6号証及び同第7号証の見積書及び請求書の発行日よりも前であるが、通常使用権者は既に所持していた在庫のテーブルクロス(インテリアクロス)を販売したものである。現に、請求書(乙15の3)には「インテリアクロス」が入っている。
ウ 府中市美術館において2022年9月23日から12月4日までに開催された「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで ARTS&CRAFTS AND DESIGN」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」が、この展覧会での販売を担当した株式会社マイブックサービスに販売された。
当該事実を立証するために、「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで ARTS&CRAFTS AND DESIGNのポスター及び看板の写真」「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで ARTS&CRAFTS AND DESIGNの展示会の写真並びに本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者が株式会社マイブックサービス宛てに発行した令和4年12月16日付請求書写し」「株式会社マイブックサービスからの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙16)。
なお、この展覧会での販売を担当した者への販売も、乙第3号証及び同第4号証の見積書及び請求書並びにないし乙第6号証及び同第7号証の見積書及び請求書の発行日よりも前であるが、通常使用権者は既に所持していた在庫のテーブルクロス(インテリアクロス)を販売したものである。現に、乙第16号証の3の請求書には「インテリアクロス」が入っている。
エ 愛知県陶磁美術館において2023年1月28日から3月26日までに開催された「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当した株式会社アートセンターサービスに販売された。
当該事実を立証するために、「ARTS&CRAFTS and DESIGNアーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまでのポスター及び看板の写真」「期間限定ショップの看板の写真及び本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者が株式会社アートセンターサービス宛てに発行した令和5年5月17日付請求書写し」「株式会社アートセンターサービスからの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙17)。
オ 松本市美術館において2023年4月15日から6月4日までに開催された「Arts&Crafts and Design アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当した松本市芸術文化振興財団に販売された。
当該事実を立証するために、「Arts&Crafts and Design アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」のポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者が松本市芸術文化振興財団宛てに発行した令和5年6月30日付請求書写し」「松本市芸術文化振興財団からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙18)。なお、振込金額が上記請求書の請求金額よりも多いのは他の請求書と合算して振り込まれたためである。
カ 久留米市美術館において2023年6月17日から8月17日までに開催された「Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wright アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当した公益財団法人久留米文化振興会に販売された。
当該事実を立証するために、「Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wright アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまでのポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示すショップ内の写真」「通常使用権者が公益財団法人久留米文化振興会宛てに発行した令和5年11月30日付請求書写し」「公益財団法人久留米文化振興会からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙19)。
キ そごう美術館において2023年9月16日から11月5日まで開催された「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wright」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当したそごう美術館に販売された。
当該事実を立証するために、「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイドまで Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wrightのポスター及び看板の写真」「展示会の写真並びに本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者がそごう美術館宛てに発行した令和6年1月31日付請求書写し」「そごう美術館からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙20)。
ク 山梨県立美術館において2023年11月18日から2024年1月21日まで開催された「Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wright アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」展における通常使用権者による使用本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当した山梨県立美術館協力会に販売された。
当該事実を立証するために、「Arts&Crafts and Design From William Morris to Frank Lloyd Wright アーツ・アンド・クラフツとデザインウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまでのポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者が山梨県立美術館協力会宛てに発行した令和6年2月13日付請求書写し」「山梨県立美術館協力会からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙21) 。
なお、振込金額が上記請求書の請求金額よりも多いのは他の請求書と合算して振り込まれたためである。
ケ 千葉県立美術館において2024年1月30日から3月24日まで開催された「アーツ・アンド・クラフツとデザイン Arts&Crafts and Design ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまで」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売された。
当該事実を立証するために、「アーツ・アンド・クラフツとデザイン Arts&Crafts and Design ウィリアムモリスからフランク・ロイド・ライトまでのポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」(乙22)を提出する。
なお、現時点では請求金額が確定していないため、通常使用権者は請求書を発行していないが、取引の経験則から、本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が要証期間内の展覧会の開催初日には譲渡ないしは引き渡しがされていたことは明らかである。
コ 高岡市美術館において2023年3月18日から5月7日まで開催された「William Morris ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」展における通常使用権者による使用
本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当した高岡市美術館友の会に販売された。
当該事実を立証するために、「William Morris ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡のポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者が高岡市美術館友の会宛てに発行した令和5年5月31日付請求書写し」「高岡市美術館友の会からの入金を証する通常使用権者の預金通帳の写し」を提出する(乙23)
サ 岡山県立美術館において2023年9月29日から11月5日まで開催された「William Morris ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」展における通常使用権者による使用本展覧会において、通常使用権者によって本件商標を付した「テーブルクロス(インテリアクロス)」がこの展覧会での販売を担当したcifaka Inc.に販売された。
当該事実を立証するために、「WILLIAM MORRIS ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡のポスター及び看板の写真」「本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が販売されたことを示す写真」「通常使用権者がcifaka Inc.宛てに発行した令和6年1月31日付請求書写し」を提出する(乙24)。
通常使用権者が令和6年1月31日付で請求書を発行していることから要証期間に本件商標が付された「テーブルクロス(インテリアクロス)」が譲渡ないしは引き渡しがされていたことは明らかである。
シ 小括
以上述べたごとく、本件商標が付された商品が通常使用権者から各美術展における販売担当に譲渡しないしは引き渡しされていたこと(このことは各美術館で当該商品が販売されていること並び請求書ないしは入金を証する預金通帳から経験則上明らかである。)から、商標法第2条第3項第2号の使用がされていた。
(1)通常使用権者による主張
請求人提出の国税庁の法人番号サイトの打ち出しによれば、法人番号0104-01-079359の株式会社ブレーントラストが法人番号0104-01-026232の東京都港区白金所在の株式会社ブレーントラストに合併し解散とされている。被請求人は当該事実を立証するために法人番号0104-01-079359の株式会社ブレーントラストの閉鎖事項全部証明書及び法人番号0104-01-026232の株式会社ブレーントラストの履歴事項全部証明書(乙25)を提出する。
合併により法人番号0104-01-079359の株式会社ブレーントラストの通常使用権者の地位は法人番号0104-01-026232の株式会社ブレーントラストに法律上承継されている。
したがって、本件商標の使用である株式会社ブレーントラストは通常使用権者である。
(2)インテリアクロス
被請求人は問題となっているインテリアクロスの実物を提出する(乙26)。この実物を広げると分かるように、縦100cm×100cmのサイズである。
「テーブルクロス」が意味する「テーブル掛け」とは消費者庁によれば、「テーブル(食卓、会議卓、講壇等)をすっぽり覆う目的で作られた布のことをいう。
テーブルの中心にだけ置くテーブルドイリーやテーブルマットは含まれない。こたつ掛けも該当しない。」とされている(乙11)。
2人掛け用のダイニングテーブルは、天板のサイズが幅60cm×奥行65cmから幅90cm×奥行85cmの大きさであり、一般的な2人掛け用のダイニングテーブルのサイズは、幅60×奥行65cm、幅70×奥行70cm、幅75×奥行75cm、幅80×奥行80cm、幅90×奥行85cmである(乙12)。したがって、100cm×100cmのサイズのインテリアクロスは2人掛け用のダイニングテーブルをすっぽり覆うことができるテーブルクロスとして使用できる。
したがって、インテリアクロスはそのサイズからテーブルクロス(テーブル掛け)に該当する。
登録商標は不使用による取消を回避するために使用されるのではなく、経済的利益を得るために使用されるものであって、商標法はその使用によって業務上の信用を化体された登録商標を保護するものである。
しかるに、現実の取引における商品販売に当たっては当該商品を指定商品の表示に合わせて表示しない場合がある。このような場合に、問題となる商品が指定商品の表示と異なる故に登録商標が指定商品に使用されていないとして取り消されるとしたら、上記した商標法の趣旨に反することになる。
そのため、商標が使用されている商品が実質的に指定商品に該当するか否かを判断する必要がある。
東京高等裁判所も、審決取消訴訟において、登録商標が使用された商品がその使用者である商標権者自身がそのカタログ中で「ナイトウェア」と表示していたが、ナイトウェアとしても着られるが、同時に家の中でくつろいだ時に部屋着として着たり、そのまま散歩や買物等の外出着としても使用できるものであるが故に、「ねまき類」としての意味しかないとすることはできず、商標法施行令別表旧第17類にいう「洋服」を含んでいるというべきである(平成7年3月23日判決 東京高等裁判所 平成8年(行ケ)79号)(審決注:「平成6年」の誤記と認める。)としており、この判決は最高裁判所でも認められた(平成9年9月18日判決 最高裁判所所第一小法廷 平成7年(行ツ)第159号)(参考資料1)。
すなわち、裁判所も商標が使用されている商品がその表示にこだわることなく、実質的に指定商品に該当するか否かを判断すべきとしている。
上述したように、本件商標が使用されたインテリアクロスがテーブルクロス(テーブル掛け)として用いることができる以上、当該商標はその指定商品である「テーブル掛け」に使用されていたと解される。
答弁書で述べたように、「インテリア」とは、取引上、テーブル等の家具を含んだものとして認識されている(乙10)。
この点でインテリアクロスがテーブルクロス(テーブル掛け)を含んだものであると無理なく解される。
以上詳述したことから明らかなように、本件商標はテーブルクロス(テーブル掛け)に使用されていた。
(3)各美術館での販売
これまで述べてきたこと並びに提出した証拠方法から明らかなように、通常使用権者は要証期間内にブルーミング中西社に本件商標を付したインテリアクロス(テーブルクロス(テーブル掛け))の製造委託していたこと、並びに、当該商品を要証期間内に各美術館で開催された展覧会において当該商品を販売する者に販売した。
すなわち、要証期間内に指定商品に本件商標を付したこと、並びに、本件商標を付した指定商品の譲渡し、ないしは引き渡しがされていた。すなわち、この時点で商標法第2条第3項第1号及び同項第2号の商標の使用に該当する行為がなされていた。したがって、問題の商品が各美術館で開催された展覧会においての販売の有無は本件商標を取り消すか否かとは全く関係のないものである。
また、問題の商品が各美術館で開催された展覧会において販売されたことを立証するには、各美術館の入り口から販売場所までを映像で撮る必要があるが、予告登録前3年という過去の事実を現時点で上記映像を撮ることはできないため、各美術館で開催された展覧会において本件商標を付したインテリアクロスが販売されたことを陳述した書面を提出する(乙27~乙37)。
(1)被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 商標権者は、平成25年4月1日付けで、港区白金所在のブレーントラスト社との間で、本件商標につき、使用許諾商品を全指定商品とし、使用許諾期間を存続期間中とする商標使用権許諾契約を締結した(乙1)。
そして、ブレーントラスト社の「閉鎖事項全部証明書」及び「履歴事項全部証明書」(乙25)によれば、2021年(令和3年)1月1日に港区白金所在のブレーントラスト社(会社法人等番号:0104-01-079359)は、港区白金所在の株式会社ブレーントラスト(会社法人等番号:0104-01-026232)に合併し解散し、同月4日にその登記がされている。
なお、以下、解散した「会社法人等番号:0104-01-079359」の法人を「旧ブレーントラスト社」、合併した「会社法人等番号:0104-01-026232」を単に、「ブレーントラスト社」という。
イ 2022年(令和4年)4月9日から6月5日まで、ふくやま美術館において開催された「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」(乙14の1)のほか、2022年(令和4年)6月から2024年(令和6年)3月の間に国内11か所の美術館等において、英国のデザイナー「ウィリアム・モリス」に関する展覧会(以下、これらを単に「展覧会」という。)が開催され、そのいずれにも、ブレーントラスト社が企画協力として参画している(乙14の1、乙15の1、乙16の1、乙17の1、乙18の1、乙19の1、乙20の1、乙21の1、乙22の1、乙23の1,乙24の1の各パンフレット)。
ウ 被請求人が、上記イの「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」と称する展覧会のミュージアムショップ内で展示されたインテリアクロス(以下「使用商品」という。)の写真(乙14の2)と主張するものには商品又はその包装に、背景を赤色にした正方形内に「Styling Arts Crafts」の白抜き文字が三段でやや大きく表され、その下に、「WILLIAM MORRIS」の文字及び当該文字に下線を引き、その下部に「MORRIS & Co.」(以下、この文字を「使用商標」という。)の文字が付されているタグがある。
また、使用商品の横に「インテリアクロス (いちご泥棒) 4,950円(税込) Styling Arts Crafts (マルR) WILLIAM MORRIS (マルR) MORRIS &Co.(マルR)」と記載された紙がある(乙14の2、乙15の2、乙16の2、乙17の2、乙19の2、乙21の2)。
エ ブレーントラスト社は、2022年(令和4年)6月30日付けの請求書により、上記イの「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」における販売物の売上げ代金として、3,773,819円を、ふくやま美術館友の会宛てに請求した(乙14の3の請求書及び明細リスト)。
上記請求書の明細リストには、「商品区分」、「分類区分」、「品名」、「販売価格(税別)」、「売上数」などの欄が設けられ、取扱商品ごとに、それぞれの欄に必要事項が記載され、「商品区分」欄に「Styling Arts Crafts (マルR)- William Morris (マルR) Morris(マルR)/Morris&Co.(マルR)」、「分類区分」欄に「インテリアクロス」、「品名」欄に「いちご泥棒」、「販売価格(税別)」欄に「¥4,500」、「売上数」欄に「7」の記載がある。
オ ブレーントラスト社の代表者の普通預金通帳には、2022年(令和4年)7月5日に「フクヤマビジュツカントモ」及び「3,773,819」の振込額の記載があるが(乙14の4)、この振込額は、上記エの請求書により、ブレーントラスト社がふくやま美術館友の会宛てに「ARTS&CRAFTS and DESIGN アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」における販売物の売上げ代金として請求した金額と一致する。
カ 上記イの展覧会の開催期間中、当該美術館内のミュージアム・ショップにおいて展示された使用商品について、ブレーントラスト社より購入し、販売したことに相違ない旨当該美術館の担当者が陳述している(乙27)。
(2)上記(1)からすれば、次のとおり認めることができる。
ア 商標権者は、平成25年4月1日付けで旧ブレーントラスト社と商標使用権許諾契約を締結し、本件商標の使用を許諾していたことが認められ、ブレーントラスト社は、旧ブレーントラスト社の契約の権益を合併により引き継いだと認められるから、旧ブレーントラスト社とブレーントラスト社は、実質的に同一法人といえ、その契約書に記載された使用許諾期間に関する条項から、その契約は、ブレーントラスト社の合併後の令和3年1月以降も継続していたといえる。
イ ブレーントラスト社が企画協力として参画した上記(1)イの2022年(令和4年)4月9日から6月5日までふくやま美術館において開催された展覧会等において、使用商品が展示され、使用商品又は使用商品の包装に使用商標が付されていたことが認められる。
ウ ブレーントラスト社とふくやま美術館友の会との間の請求書及び明細リストの記載内容から、その取引に係る商品はブレーントラスト社に係る使用商品であることが認められる。
そして、ブレーントラスト社は、上記イの展覧会の会期終了後の2022年(令和4年)6月30日に、同展覧会における使用商品を含む販売物の売上げ代金をふくやま美術館友の会宛てに請求したこと、同年7月5日に、ふくやま美術館友の会がその金額と一致する金額をブレーントラスト社の代表者の口座に振り込んだところ、上記展覧会の開催期間及び上記取引の日付けに不自然なところはないこと、ブレーントラスト社より上記展覧会の担当者による使用商品を購入し、販売した旨の陳述などを総合すれば、上記取引に係る商品又はその包装に使用商標が付されていたとみて差し支えない。
エ そうすると、平成25年4月1日付けで商標権者と本件商標の商標使用権許諾契約を締結した旧ブレーントラスト社の契約の権益を合併により引き継いだと認められるブレーンブラスト社は、2022年(令和4年)4月9日から6月5日までに開催された展覧会において展示された使用商品を日本の顧客であるふくやま美術館友の会に譲渡したということができる。
(1)使用商品について
被請求人が使用商品と主張する「インテリアクロス」は、一般の辞書に掲載はなく、商標法施行規則別表に例示されていないものの、「インテリア」の語が、「壁紙、床材、照明器具や家具類など室内を装飾するもの」(甲8、甲9:デジタル大辞泉)の意味を、「クロス」の語は、「主に衣服やテーブルクロス、カーテンなどを作るための素材」(甲6:実用日本語表現辞典)のほか、「テーブルクロス」の略(甲6:デジタル大辞泉)の意味を有するものであり、「インテリア」には「家具」も含まれ、「家具」は、「日常の衣食住のための道具類。たんす・机・いすなど。」(乙10:広辞苑)の意味を有するものであるから、「家具」には「テーブル」が含まれることは明らかである。
他方、請求に係る指定商品中、「テーブル掛け」は「テーブルをすっぽり覆う目的で作られた布」の意味を有するものであり(乙11)、「テーブルクロス」と「テーブル掛け」は同義である(乙13)。
「インテリアクロス」と「テーブルクロス(テーブル掛け)」とは商品の表示が異なるとしても、語義上「インテリアクロス」は「室内の装飾に用いるテーブルクロス(テーブル掛け)」を含むものといえ、また、展覧会における広告中の「テーブルクロスなど様々な用途で使えます!」(乙20)の記載があり、「インテリアクロス」と称する使用商品がテーブルクロスとしても使用されることを前提とした広告がされている。
加えて、使用商品の材質は布製であり、かつ、テーブルには様々な大きさが存在するところ、使用商品は、テーブルを覆うことが不可能なサイズではないから、テーブルクロスとして使用されることについて不自然なところはない(乙3、乙26)。
以上よりすれば、「インテリアクロス」と称する使用商品は、テーブルクロス(テーブル掛け)としての材質・用途・機能を有する商品ということができ、インテリアクロスは実質的にテーブルクロスを含んでいるというべきであるから、使用商品「インテリアクロス」は、請求に係る商品中「テーブル掛け」の範ちゅうに属する商品とみるのが相当である。
(2)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「Morris & Co.」の欧文字を標準文字で表してなるのに対し、使用商標は、「Morris」の部分が大文字で表され、「&」に装飾的な字体が用いられ、「Co.」のうち「o」が「C」の右側上半分に記載され、「o」の真下に「.」が付されている点において異なるものの、両商標において使用されている欧文字等は共通するものであり、いずれも「モリスアンドシーオー」の称呼が生じ、「Co.」が「会社」等の意味を有する略語として使用されることは我が国においても広く知られていることから、「モリス商会」ないし「モリス会社」との観念が生じるものと認められる。
そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(3)使用者、使用時期及び使用行為について
商標権者は、平成25年4月1日付けで旧ブレーントラスト社と商標使用権許諾契約を締結し、本件商標の使用を許諾していたことが認められ、その契約は、ブレーントラスト社の合併後の要証期間を含む令和3年1月以降も継続していたといえるから、ブレーントラスト社は、要証期間において、本件商標の通常使用権者であったといえる。
そして、展覧会で展示された使用商品に係るブレーントラスト社とふくやま美術館友の会との取引書類の記載内容及び取引金額が一致し、展覧会の開催期間及び取引書類等の日付はいずれも要証期間であり、これらの日付等に不自然なところは見いだせない。
したがって、通常使用権者は、要証期間に、請求に係る商品中の「テーブル掛け」の範ちゅうに含まれる商品又は商品の包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を日本国内の顧客に譲渡した(商標法第2条第3項第2号)ということができる。
(1)請求人は、使用商品が展示された展覧会の写真の不整合などを指摘し、被請求人は、使用商品が当該展覧会において販売されたことを立証できていない旨主張する。
しかしながら、要証期間における複数の展覧会における使用商品の取引状況(内容)、各展覧会の担当者による使用商品についての陳述などを総合すれば、ふくやま美術館をはじめ、各展覧会の会場において、「テーブル掛け」の範ちゅうに含まれる商品又は商品の包装に使用商標が付されていたと推認できるものである。
(2)請求人は、需要者・取引者は、単に「布を掛けられさえすればよい」と考えて商品の購入や取引をする訳ではなく、掛けるものによって用途やサイズに応じたものが必要となり、商品の用途に応じた「機能」や「サイズ」等に応じて商品名がそれぞれある旨主張する。
しかしながら、被請求人が主張する特定の用途や機能に着目して、商品の取引がされることを否定するものではないが、「インテリアクロス」と「テーブルクロス(テーブル掛け)」とは商品の表示が異なるとしても、「インテリアクロス」は、その語義においてもテーブルクロス(テーブル掛け)を含むものであり、被請求人による使用が、テーブルクロスとしても使用できることを広告していることや、実質的にみて、テーブルのサイズに応じて、テーブルクロス(テーブル掛け)としての材質・用途・機能を有する商品ということからすると、インテリアクロスはテーブルクロスを含んでいることは、上記2(1)のとおりである。
(3)したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る商品中の「テーブル掛け」に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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