結論テキスト
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024650062 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由
本願は、2022年2月10日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2022年(令和4年)6月24日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2023年(令和5年) 6月15日付け :暫定拒絶通報
2023年(令和5年)11月 9日 :意見書の提出
2024年(令和6年) 3月28日付け :拒絶査定
2024年(令和6年) 7月 5日 :審判請求書の提出
本願商標は、「Snowcrash」の欧文字を横書きしてなり、第9類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、国際商標登録出願されたものである。
原審において、「本願商標は、「Snowcrash」の文字を普通に用いられる方法で表してなるものである。これは、1992年に発表された米国の作家「ニール・スティーヴンスン」氏のSF小説「スノウ・クラッシュ」(以下「引用標章」という場合がある。)の原題である「Snow Crash」とつづり字を同じくするものであるところ、前記小説は、インターネット上の仮想空間を表す「メタバース」の語を生んだ小説として世界的に広く知られており、近年の「メタバース」への注目の高まりを受けて、各種媒体において前記小説及びその作者である「ニール・スティーヴンスン」氏に関する記事が多数掲載される等、我が国においても高い周知度を有していることが認められる。そして、そのような実情を踏まえると、前記小説の原題と同一のつづりからなる本願商標と引用標章とは、「スノウクラッシュ」の称呼及び著名な小説「スノウ・クラッシュ」の観念を共通にすることから、高い類似性を有するものであるというのが相当である。さらに、本願の指定商品及び指定役務は、「コンピュータソフトウェア」や「ゲームソフトウェア」等に関連するものであるところ、これら商品及び役務を取り扱う分野においては、一般に広く知られた小説や漫画等を題材にした「コンピュータゲームソフトウェア」等が開発提供等されている実情がある。また、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、引用標章に係る小説に影響を受けた商品及び役務が実際に存在することからすれば、本願商標と引用標章に係る商品及び役務との間には一定程度の関連性が認められるものであり、取引者・需要者を共通にする場合も少なくないものといえる。以上を踏まえ、本願商標に係る指定商品及び指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すると、本願商標を、その指定商品及び指定役務に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、著名な小説「スノウ・クラッシュ」(「Snow Crash」)を連想、想起して、当該商品及び役務が前記小説の著作者である「ニール・スティーヴンスン」氏又は同氏と組織的又は経済的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
(1)本願商標について
本願商標は、「Snowcrash」の欧文字を横書きしてなるところ、一連で辞書等に掲載がある語ではないが、その構成中の「Snow」の文字は「雪。」を、「crash」の文字は「衝突。崩壊。コンピューターが突然故障すること。」(いずれも出典は「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)をそれぞれ意味する語として、我が国では慣れ親しまれた単語であることから、「snow」の文字と「crash」の文字を結合したものと認識され、全体としては「雪の衝突」程の意味合いを理解させるものである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「スノウクラッシュ」の称呼を生じ、「雪の衝突」程の観念を生じるものである。
(2)引用標章について
引用標章は、「スノウ・クラッシュ」の文字よりなるところ、その構成中の「スノウ」の文字は「雪。」を意味する「スノー」に通じるものであり、「クラッシュ」の文字は「衝突。崩壊。コンピューターが突然故障すること。」(いずれも前掲書)をそれぞれ意味する語であり、全体としては「雪の衝突」程の意味合いを理解させるものである。
したがって、引用標章は、その構成文字に相応して「スノウクラッシュ」の称呼を生じ、「雪の衝突」程の観念を生じるものである。
(3)引用標章の著名性について
「スノウ・クラッシュ」の文字からなる引用標章は、1992年に発表された米国の作家「ニール・スティーヴンスン」氏のSF小説の邦題のタイトルとして、我が国において、書籍が出版・販売されているものの、当該小説がシリーズ化されて長年親しまれているというような実情はなく、本願の商標登録出願前において、引用標章を使用した商品の客観的な出版・販売実績や広告宣伝の実績、規模などは明らかではなく、具体的な事実に基づいて、引用標章の周知性の程度を推し量ることはできない。
そうすると、引用標章は、SF小説のタイトルとして一定程度知られているとしても、当該小説の出版・販売会社又は著者の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(4)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 引用標章は、上記(3)のとおり、当該小説の出版会社又はその著者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本願商標と引用標章は、外観において、欧文字と片仮名の差異があるとしても、「スノウクラッシュ」の称呼及び「雪の衝突」の観念を共通にするものであって、両者は同一又は類似するものであるから、これらを総合勘案すれば、類似する商標(標章)といえるものであり、類似性の程度は高いといえる。
ウ 本願の指定商品及び指定役務は、「コンピュータソフトウェア」等に関連するものであり、主にコンピュータ機器を取り扱う事業者により販売される商品、提供される役務であり、引用標章の商品は、「書籍」等に関連するものであり、主に出版業者により販売される商品であるから、これらの商品の販売や役務の提供が同一の事業者によって行われているとはいい難く、これらの商品及び役務の販売場所や提供場所等も相違するといえるものであることからすれば、取引者、需要者が必ずしも一致するとはいえないものである。
エ 出所の混同について
以上のことからすると、本願商標と引用標章とは、類似性の程度は高いといえるものの、引用標章は、当該小説の出版会社又は著者の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、広く認識されているとは認められないものであり、商品及び役務の関連性の程度及び需要者の共通性は、いずれも高いものとはいえない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、取引者、需要者をして引用標章を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(当該小説の出版会社又はその著者)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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