結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025000749 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年3月1日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 8月20日付け:拒絶理由通知書
令和6年 9月25日 :意見書の提出
令和6年10月22日付け:拒絶査定
令和7年 1月20日 :審判請求書の提出
令和7年 7月30日付け:証拠調べ通知書
令和7年 8月27日 :意見書の提出
本願商標は、「サイラップ」の文字を標準文字で表してなり、第28類「運動用具,サポーター」を指定商品として登録出願されたものである。
本願商標は、「サイラップ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「サイ」及び「ラップ」の文字が有する意味合い、本願指定商品の分野において、太もも用サポーターが製造・販売されている実情及び体の部位に巻いて使用するサポーターについて、例えば、手首、腰、膝に巻いて使用するものが「リストラップ」、「ウエストラップ」、「ニーラップ」等と称されている実情があり、加えて、太ももに巻いて使用するサポーターについて「サイラップ」と称するものが製造・販売されている実情がある。以上を踏まえると、本願商標は全体として、「太ももに巻いて使用するサポーター」ほどの意味合いを理解させ、これをその指定商品に使用した場合、需要者は、「太ももに巻いて使用するサポーター」であること、すなわち商品の品質を認識するにとどまるものというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「太ももに巻いて使用するサポーター」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲5に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、前記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
本願商標は一体不可分の造語である。
仮に、本願商標の構成中「サイ」の文字に着目した場合であっても、この文字は代表的な国語辞典において「太もも」の意味で掲載されておらず、証拠調べ通知書中の、「サイ」の文字が、本願指定商品と関連性の深い、運動やトレーニングに関する分野並びに服飾、美容、自動車等の他の分野において、「大腿部」の意味で使用されている実情については、これらのウェブサイトのすべてにおいて、「サイは大腿部を意味している」、「サイとは太ももを表す」等の注釈があり、この事実こそが、係る注釈を付けなければ一般的に「サイ」を大腿部であると認識できないことの裏付けである。加えて、3つの生成AIツールを使用した結果、いずれのツールにおいても、「サイ」の文字が「もも」、「大腿部」を表すとの回答は得られなかったことからすれば、「サイ」が「大腿部」であるという認知性は一般に極めて低く、一般的な需要者が、「サイ」の文字から「もも、大腿部」を即座に想起することはない。
証拠調べ通知において、からだの特定の部位に使用するサポーターに、「リストラップ」、「ウエストラップ」、「アンクルラップ」、「ショルダーラップ」、「エルボーラップ」、「ニーラップ」のように、からだの特定の部位に使用するサポーターに、「○○ラップ」(○○には、からだの部位を表す語が入る)という文字が使用されている実情があるとの指摘がなされているが、そもそも、「サイ」の文字から「もも」、「大腿部」という認識がされないため、これらの、からだの部位として認知度が高い語と「ラップ」の文字とを組み合わされた名称と、本願商標とを同様に扱うのは適当ではない。
証拠調べ通知において挙げられた、「サイラップ」の文字の使用例は、わずか2つのメーカー製のものに限られており、同文字が一般に広く普通に使用されているとはいい難い。
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。
また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質、役務の質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質、役務の質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。
イ 本願商標は、「サイラップ」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1のとおり、本願商標の構成中の「サイ」の文字は、「大腿部」の意味を有する英語「thigh」の表音を片仮名で表したもので、「ラップ」の文字は、「巻くこと」の意味を有する語として、我が国の一般的な英和辞典及びウェブサイトに掲載されているものである。
そして、別掲2のとおり、本願商標の構成中「サイ」の文字が、本願指定商品と関連性の深い、運動やトレーニングに関する分野並びに服飾、美容、自動車等の他の分野において、「大腿部」の意味で使用されている実情がある。
さらに、別掲3のとおり、本願指定商品中「サポーター」の分野においては、大腿部に使用する商品に、「サイ」の文字が使用されている実情があることからすれば、これらの事実及び実情を踏まえれば、本願指定商品の需要者は、本願商標の構成中「サイ」の文字から、「大腿部」の意味を認識するというのが相当である。
加えて、別掲4のとおり、「リスト」(手首)、「ウエスト」(腰)、「アンクル」(足首)、「ショルダー」(肩)、「エルボー」(肘)、「ニー」(足首)(いずれも、「デジタル大辞泉」株式会社小学館)のような、からだの特定の部位に使用するサポーターに、「リストラップ」、「ウエストラップ」、「アンクルラップ」、「ショルダーラップ」、「エルボーラップ」、「ニーラップ」のような、「○○ラップ」という文字が使用されている実情があることからすれば、本願商標に接する、その指定商品の需要者は、これを「サイ」(大腿部)の語と、「ラップ」(巻くこと)の語を結合してなるものと自然に理解するものといえ、各語の有する意味及び別掲1ないし別掲4の事実及び実情から、これより、「大腿部に巻いて使用するサポーター」の意味合いを認識するというのが相当である。
さらに、別掲5のとおり、大腿部に使用するサポーターに、「サイラップ」の文字が使用されている実情もある。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、当該商品が「大腿部に巻いて使用するサポーター」であること、すなわち、商品の品質を表示したものとして認識するというのが相当である。
加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、「大腿部に巻いて使用するサポーター」以外の「運動用具,サポーター」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は一体不可分の造語であって、仮に、本願商標の構成中「サイ」の文字に着目した場合であっても、一般的な需要者は、この文字から「もも、大腿部」の意味を即座に想起することはない旨主張する。
しかしながら、別掲1ないし別掲4のとおり、「サイ」の文字に通じる「thigh」の語が我が国の一般的な辞書に載録されており、「サイ」の文字が、運動やトレーニングに関する分野において、「大腿部」の意味で使用され、かつ、本願指定商品中「サポーター」の分野において、大腿部に使用する商品に、同文字が使用されている実情があることからすれば、本願指定商品である「運動用具,サポーター」の分野においては、「サイ」の文字に接する需要者は、これより「大腿部」の意味を認識することが少なくないものであることは、上記(1)イで述べたとおりである。
イ 請求人は、証拠調べ通知において示した、からだの特定の部位に使用するサポーターに、「リストラップ」、「ウエストラップ」、「アンクルラップ」、「ショルダーラップ」、「エルボーラップ」、「ニーラップ」等の「○○ラップ」の文字が使用されている実情(別掲4)は、そもそも、「サイ」の文字から「もも」、「大腿部」という認識がされないため、これらの実情と本願商標と同様に扱うのは適当ではない旨を主張する。
しかしながら、本願指定商品の分野において、需要者が、「サイ」の文字から「大腿部」の意味を認識することは上記(1)イで述べたとおりであるから、別掲1ないし別掲3の事実及び実情に加え、別掲4の実情も踏まえれば、本願商標に接する、本願指定商品の需要者は、これより「大腿部に巻いて使用するサポーター」の意味合いを認識するというのが相当である。
ウ 請求人は、証拠調べ通知において示した、「サイラップ」の文字の使用例(別掲5)は、わずか2つのメーカー製のものに限られているから、同文字が一般に広く普通に使用されているとはいい難い旨を主張する。
しかしながら、出願に係る商標が、その指定商品について商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品との関係で、商品を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者によって当該商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該商品に使用されていることを要しないとされるところ、商標法第3条第1項第3号の適用にあたっては、必ずしも「サイラップ」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、実際に多数使用されている例が要求されるわけではないと解される。そして、本件審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであることは、上記(1)ア及びイで述べたとおりである。
エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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