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Trademark Appeal Case

「完全栄養定食」の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025001612
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年4月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 9月 5日付け:拒絶理由通知書

令和6年10月17日 :意見書の提出

令和6年10月28日付け:拒絶査定

令和7年 2月 3日 :審判請求書の提出

令和7年 7月28日付け:審尋

令和7年 9月 8日 :意見書及び手続補足書の提出

2 本願商標

本願商標は、「完全栄養定食」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、「完全栄養定食」の文字を標準文字で表してなるところ、近年、飲食物を取り扱う業界においては、「体に必要とされる栄養素がバランスよく含まれていること」ほどの意味合いを表す語として「完全栄養」の語が使用され、また、「1食あたりに必要な全ての栄養素が必要とされる基準以上含まれる食品」を「完全栄養食」と称して一般的に紹介されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「体に必要とされる栄養素がバランスよく含まれている定食の提供に係る役務」や「1食あたりに必要な全ての栄養素が必要とされる基準以上含まれる定食の提供に係る役務」であることを理解するにすぎず、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものにすぎないといわざるを得ない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審による審尋

当審において、令和7年7月28日付けで通知した審尋により、別掲1(1)ないし(5)及び別掲2のとおりの証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

5 審尋に対する請求人の意見

(1)本願商標「完全栄養定食」は、美味しさと健康の両立を目指して請求人が開発した新しいコンセプトの定食に係るものであり、「美食」と「栄養バランス」とを高いレベルで両立させている点に特徴があるものであって、単に栄養バランスの良さを示すものではない。

(2)本願商標は請求人による一体不可分の造語であり、請求人の代表取締役であるM氏はメディアでも取り上げられ、そのコンセプトが同氏によって提唱されたものとして飲食業界では知られたものとなっている。

(3)「完全栄養食」の意味合いは十分に理解されておらず、ましてや、「完全栄養定食」が、役務の質を表示したものとして認識されるとは到底考えられない。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「完全栄養定食」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「完全」の文字は、「すべてそなわっていて、足りないところのないこと。」の意味を、「栄養」の文字は、「生物が外界から物質を摂取し代謝してエネルギーを得、またこれを同化して成長すること。また、その摂取する物質。」の意味を、「定食」の文字は、「食堂や料理屋などで、一定の献立によっていくつかの料理を取り合わせた食事。」の意味を、それぞれ有する語である(株式会社岩波書店「広辞苑第7版」)。

ところで、「完全栄養食」の文字は、「必要な栄養素をすべて(又は豊富に)含む食品」を指称する語として一般に使用されているものである(別掲1)。

そして、本願の指定役務に関連する飲食料品を取り扱う分野においては、栄養のある定食等の食事や食品を「完全栄養」や「完全栄養食」などと称して提供、販売している実情が見受けられる(別掲2)。

そうすると、本願商標は、「完全」、「栄養」及び「定食」の意味並びに上記取引の実情から、「必要な栄養素をすべて(又は豊富に)含む定食」ほどの意味合いを容易に理解させるものといえる。

してみれば、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「必要な栄養素をすべて(又は豊富に)含む定食の提供」であること、すなわち、役務の質を表示したものとして認識するにすぎないものとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標「完全栄養定食」は、美味しさと健康の両立を目指して請求人が開発した新しいコンセプトの定食に係るものであり、「美食」と「栄養バランス」とを高いレベルで両立させている点に特徴があるものであって、単に栄養バランスの良さを示すものではない旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについては、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであって、請求人の商標採択の意図によって左右されるべきものでないことは明らかである。

イ 請求人は、本願商標は請求人による一体不可分の造語であり、請求人の代表取締役であるM氏はメディアでも取り上げられ(甲第2号証及び甲第3号証)、そのコンセプトが同氏によって提唱されたものとして飲食業界では知られたものとなっている旨主張する。

しかしながら、請求人に係る役務の販売実績や広告宣伝実績を具体的に示す証拠の提出はなく、また、職権において調査するも、本願商標が請求人の役務を表すものとして、本願の指定役務の分野における我が国の需要者の間に知られていると認めるに足る事実は、見いだせなかった。

ウ 請求人は、「完全栄養食」の意味合いは十分に理解されておらず(甲第4号証)、ましてや、「完全栄養定食」が、役務の質を表示したものとして認識されるとは到底考えられない旨主張する。

しかしながら、上記(1)のとおり、「完全」、「栄養」及び「定食」の各語の意味や、「完全栄養食」の文字が「必要な栄養素をすべて(又は豊富に)含む食品」を指称する語として一般的に使用されている実情、また、飲食料品を取り扱う分野において、栄養のある定食等の食事や食品を「完全栄養」や「完全栄養食」などと称して提供、販売している実情を考慮すれば、本願商標に接する取引者、需要者は、「必要な栄養素をすべて(又は豊富に)含む定食の提供」であること、すなわち、役務の質を表示したものとして認識するにすぎないものとみるのが相当である。

エ 請求人は、構成中に「定食」を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定役務の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。

オ したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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