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Trademark Appeal Case

顧客インテントの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025002457
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和5年12月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年7月25日付け :拒絶理由通知書

令和6年9月4日 :意見書の提出

令和6年11月15日付け:拒絶査定

令和7年2月17日 :審判請求書の提出

令和7年7月29日付け :証拠調べ通知書

令和7年9月10日 :意見書の提出

第2 本願商標

本願商標は、「顧客インテント」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電子計算機用プログラム,電子計算機及びその周辺機器,電子出版物,携帯情報端末」、第35類「広告業,広告の企画,事業の管理,商品の販売に関する情報の提供,市場調査又は分析,経営の診断又は経営に関する助言,コンピュータデータベースへの情報編集,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」、第41類「セミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・研究会の企画・手配・運営・開催及びこれらに関する情報の提供,就職・転職に関する企業説明会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,資格試験に関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,オンラインによる音楽・音声・映像・画像・文字情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍・雑誌・カタログ・パンフレット・ポスターの制作(広告・宣伝・販売に関するものを除く。),放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの企画・制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),文章の執筆,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)ならびにこれらに関する情報の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供及びこれに関する情報の提供,録音又は録画済み記録媒体の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,デザインの考案」及び第45類「オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,グローバル通信ネットワークによる企業向け及び個人向けのオンラインソーシャルネットワーキングサービスの提供,インターネットによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,ビジネス分析・販売及びサービスの分野におけるオンラインソーシャルネットワーキングサービスの提供,コンピュータシステム及びソフトウエアの利用に関する契約の代理又は媒介,工業所有権及び著作権のライセンスの許諾,工業所有権及び著作権のライセンスに関する情報の提供,商標及びドメインネームを含む知的財産権に関する情報の収集および提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,ファッション情報の提供,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,占い,身の上相談,愛玩動物の世話,乳幼児の保育(施設において提供されるものを除く。),家事の代行,衣服の貸与,装身具の貸与」を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要点)

本願商標は、「顧客インテント」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「顧客」の文字は、「ひいきにしてくれる客。得意客。」を意味する語であり、「インテント」の文字は、「意図」の意味を有する英単語「intent」の読みを片仮名で表したものである。よって、本願商標全体としては、「顧客の意図」程の意味合いを容易に理解させるものである。

そして、「顧客インテント」や「顧客のインテント」の文字は、「顧客の意図」程の意味合いを表す語として実際に使用されており、顧客の意図に関する情報を商業活動に利用することや、顧客の意図を検出するためのツールの提供などが一般的に行われている実情がある。

そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「顧客の意図に関する商品・役務」であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表したものと認識するにすぎないものである。

また、上記認定によれば、本願商標を上記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審における証拠調べ通知

本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1ないし別掲4のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。

第5 上記通知に対する請求人の意見

請求人は、上記第4の証拠調べ通知書に対し、令和7年9月10日に意見書を提出し、要旨以下1ないし4のとおりの意見を述べた。

1 別掲1について

本願商標を構成する「インテント」という単語は、その意味が一義的に定まるものではなく、多様な解釈が可能である。したがって、「顧客インテント」という表現は、「顧客」に一般的な名詞が続く場合のように、「顧客のインテント」という直接的な品質表示とはなりえない。一般的な名詞と組み合わされた言葉の例示では、この商標の識別力を否定する根拠にはならない。

2 別掲2について

「インテント」が「意図」という意味で用いられる例があることは認められるが、その使用は特定の専門分野や文脈に限られており、一般的に広く知れ渡っている単語ではない。複数の意味を持つ「インテント」という言葉と「顧客」を組み合わせた「顧客インテント」は、需要者にとって商品の品質や内容を直感的に理解できるほど周知された慣用的な表現ではない。

別掲2は、単に「インテント」という単語が持つ複数の意味の一つを示すに過ぎず、本願商標そのものが識別力を欠くほど一般的に使用されていることを証明するものではない。

3 別掲3について

(1)別掲3(1)については、すでに削除されており確認できないこと、同(2)については、ログリー株式会社のウェブサイトであるところ、当該ウェブサイトにおいては審判請求人の製品を紹介するほどであり、ログリー株式会社が審判請求人と何らかの関連性があることが推定されることなどから、別掲3の事実はいずれも本願商標が一般的に使用されている証拠としては不適格である。

(2)証拠の適格性が仮に一部認められたとしても、「顧客」と「インテント」を組み合わせた「顧客インテント」という表現は、社会で広く定着しているとは言えず、特定の分野において特定の文脈で使用されているに過ぎないことや、一般的な商標識別力を欠くとされる「顧客満足度」や「顧客情報」といった単語と比較すると、「顧客インテント」は、いまだ特定の事業者による造語的な色彩が強く、需要者にとっても一義的な意味を想起させるものではないこと、「インテントセールス」といった類似単語に比べ、本願商標の投稿件数が極めて少ないことからすれば、一般に使用されているとは到底いえない。

4 別掲4について

「顧客の興味・関心」を分析するソフトウェアやセミナーが存在するとしても、その商品・役務の名称として「顧客インテント」という商標を使用している事業者が、他に存在することの証拠とはならない。

第6 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号について

商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品及び指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品役務識別力を欠くものであることによるものと解される。

そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状、役務の質その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品及び指定役務の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品及び役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年10月21日判決(平成27年(行ケ)第10107号)、知財高裁令和4年5月19日判決(令和3年(行ケ)第10100号)参照)。

2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は「顧客インテント」の文字からなるところ、「顧客」の文字は「おとくいの客」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)であり、「インテント」の文字は「意図」の意味を有する「intent」の語(「新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典」株式会社研究社)を片仮名表記したものと認められるから、これらを結合してなる「顧客インテント」の文字全体としては「おとくいの客の意図」程の意味合いを認識させるものである。

また、「顧客」の文字は「顧客○○」(○○には任意の文字が入る。以下同じ。)の形で、「顧客に関する○○」程の意味合いで、また「インテント」の文字は「○○インテント」の形で「○○の意思や意図」程の意味合いで一般に使用されているものである(別掲1、別掲2)。

そして、「顧客インテント」の文字は、企業等の営業活動やマーケティング活動との関係において、「顧客の興味・関心(顧客のインテント)」程の意味合いで一般に使用されているものである(別掲3)。

さらに、顧客や消費者の興味・関心(顧客や消費者のインテント)に関する「ソフトウエア」や「セミナー」等の商品又は役務も存在している(別掲4)。

そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者は、当該商品及び役務が「「顧客の興味・関心」に関する商品や役務」であるという商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものである。

また、本願商標をその指定商品及び指定役務中の「「顧客の興味・関心」に関する商品及び役務」以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、「インテント」の文字からはさまざまな意味合いが生じるから、「顧客インテント」の文字のみからでは、必ずしも需要者が「インテント」の語句をもって「顧客の意図」の概念を想起するものではないため、実際にどのような商品・サービスが提供されるかを、需要者が判断することは不可能であり、本願商標は商品・役務の内容や質を表しているとはいえない旨を主張している。

しかしながら、本願商標を構成する各語の語義及び別掲1、別掲2、別掲3(2)ないし(5)、及び別掲4(以下これらをまとめて単に「別掲」という。)のとおりの取引の実情を踏まえれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者は、当該商品及び役務が「「顧客の興味・関心」に関する商品や役務」であるという商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記2のとおりである。

(2)請求人は、原審において挙げた事実及び当審において挙げた事実(別掲1ないし4)は、本願商標そのものが識別力を欠くほど一般的に使用されていることを証明するものではないなど述べ、これらはいずれも本願商標が一般的に使用されている証拠としては不適格である旨を主張している。

しかしながら、上記1のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状、役務の質その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品及び指定役務の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品及び役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りる。また、そして、本願商標は、これを構成する各語の語義及び別掲のとおりの取引の実情を踏まえれば、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記2のとおりである。

(3)請求人は、本願商標の構成中「インテント」の文字は、単なる商品・役務の質ではなく、同人の登録商標として、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において著名な「インテントセールス」の一部分である「インテント」を具備するバリエーションの商品・役務の名称であることは明らかであり、取引者からみれば、同人が提供する「Sales Marker(セールスマーカー)」を代表する登録商標「インテントセールス」と密接に関連する意味を伴って「顧客インテント」として理解されるものであり、識別力を有するものである旨を主張している。

しかしながら、仮に、請求人の登録商標である「インテントセールス」が、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして認識されるに至っていたとしても、「インテント」の語のみで請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものであると認識されていると認められる実情を示す証左等は何ら提出されていないことから、「インテント」の文字を含むことのみをもって、直ちに本願商標が自他商品及び役務の識別標識としての機能を発揮し得るものということはできないし、むしろ、本願商標を構成する各語の語義及び別掲のとおりの取引の実情を踏まえれば、自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記2のとおりである。

(4)請求人は、過去における登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。

しかしながら、登録出願に係る商標がその指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び役務の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の示す登録例と本願商標とは、構成文字が異なり、事案を異にするものであるし、本願商標が自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記2のとおりであるから、請求人の挙げる登録例があるからといってその判断が左右されることはない。

(5)したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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