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Trademark Appeal Case

定番グリルと識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025002742
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和5年10月25日の商標登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 7月 1日付け:拒絶理由通知書

令和6年 9月 6日 :意見書、手続補正書の提出

令和6年11月18日付け:拒絶査定

令和7年 2月21日 :審判請求書の提出

令和7年 7月31日付け:審尋

令和7年 9月12日 :回答書の提出

第2 本願商標

本願商標は、「定番グリル」の文字を標準文字で表してなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として商標登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、第11類「電子レンジ,家庭用電熱用品類」に補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、「定番グリル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「定番」の文字は「流行に左右されず安定した需要のある商品。」の意味を有する語であり、「グリル」の文字は「肉や魚の焼網。」の意味を有する語である。そして、本願の指定商品を含む調理機器を取り扱うに業界において、「定番グリル」の文字が、「流行に左右されない定評のある焼網を使用した商品」ほどの意味合いで一般に使用されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、「流行に左右されない定評のある焼網を使用した商品」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当であり、また、本願商標を前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審における審尋

当審において、令和7年7月31日付けで通知した審尋により、別掲1から別掲8のとおりの証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答

請求人は、上記第4の審尋に対し、令和7年9月12日に回答書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。

1 「定番グリル」の語句から「定番のグリル機能を有する商品」 又は「定番のグリル料理を調理できる商品」ほどの意味合いが感得されるとしても、ある具体的な商品・機能が一義的かつ直接的に認識されるとはいえず、合議体が認定する意味合いはせいぜい間接的・暗示的に認識されるにすぎない。よって、本願商標は、指定商品の品質等を直接的かつ具体的に表示したものではない一連の造語として認識されるものであるから、自他商品識別力を有していることは明白である。

2 「多数人が現在使用している」としても、多岐にわたる意味合いを感得させる本願商標は、その使用により識別力を失っておらず、また、請求人に独占を認めても公益上問題がないものであり、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。

第6 当審の判断

1 本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨

商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。

同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。(平成21年(行ケ)第10270号同22年1月27日判決、平成24年(行ケ)第10323号同25年1月10日判決)

(2)本願商標について

本願商標は、「定番グリル」の文字を標準文字で表してなり、「定番」の漢字と「グリル」の片仮名を結合させたものと容易に認識されるものである。

そして、本願商標の構成中、「定番」の文字(語)は、別掲1のとおり、「流行に左右されない商品」ほどの意味合いで、「定番商品」の略語として使用されているほか、転じて、「〇〇料理の定番」のように、「その分野で基本とされるもの」ほどの意味合いでも使用されているものである。

また、構成中の「グリル」の文字(語)は、別掲2のとおり、「焼き網、鉄板、ホットプレート、オーブン」等の調理機器の名称として使用されているほか、これらの機器を使用した料理や調理法を表すものとしても、広く使用されている実情がある。

ところで、別掲3によれば、本願の指定商品に関連する分野において、「グリル」の文字(語)が、調理家電やその付属品、部位の名称として一般に使用されている実情が見受けられ、また、別掲4によれば、「電子レンジ」に関連する分野において、「グリル」の文字(語)が、焼き方(加熱方法)、調理方法等を表すものとして使用されており、グリル機能を有する商品も取引されている実情が見受けられる。

さらに、別掲5によれば、「定番グリル」の文字(語)は、各メーカーの定番のグリル(商品)を表すものとして、一般に使用されているほか、別掲6によれば、「定番電子レンジ」、「定番グリル鍋」のように、「定番〇〇」及び「定番グリル〇〇」(〇〇には調理家電の名称が入る。)の文字(語)が、調理家電の定番商品を表すものとして使用されている実情も見受けられる。

加えて、別掲7によれば、料理に関連する分野において、「定番グリル」の文字(語)が、「定番のグリル料理」、「定番のグリルメニュー」ほどの意味合いで使用されている実情が見受けられ、また、別掲8によれば、本願の指定商品に関連する分野において、「定番料理」や「定番メニュー」を簡単に調理できる商品(グリル機能を有する商品を含む。)が取引されている実情も見受けられる。

これらの実情からすると、本願の指定商品に関連する分野において、「定番グリル」の文字(語)は、一般に広く使用されているものとみるのが相当であり、「定番グリル」の文字からなる本願商標を、その補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に、例えば、「定番のグリル機能を有する商品」又は「定番のグリル料理を調理できる商品」ほどの意味合いを表したものと認識させるにとどまるというべきである。

そうすると、このように認識され、かつ、一般に使用されている「定番グリル」の文字は、本願の補正後の指定商品との関係では、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般に使用されるものであって、自他商品の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ない。

してみれば、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、「「定番グリル」の語句から「定番のグリル機能を有する商品」又は「定番のグリル料理を調理できる商品」ほどの意味合いが感得されるとしても、ある具体的な商品・機能が一義的かつ直接的に認識されるとはいえず、合議体が認定する意味合いはせいぜい間接的・暗示的に認識されるにすぎない。よって、本願商標は、指定商品の品質等を直接的かつ具体的に表示したものではない一連の造語として認識されるものであるから、自他商品識別力を有していることは明白である」旨主張している。

そこでみるに、本願商標の構成中、「定番」の文字(語)は、別掲1及び別掲6のとおり、「流行に左右されない商品」ほどの意味合いで、「定番商品」の略語として使用されているほか、転じて、「〇〇料理の定番」のように、「その分野で基本とされるもの」ほどの意味合いでも使用されているものであり、「グリル」の文字(語)は、別掲2から別掲4のとおり、「焼き網、鉄板、ホットプレート、オーブン」等の調理機器、調理家電やその付属品、部位の名称として使用されているほか、これらの機器を使用した料理や調理法、焼き方(加熱方法)等を表すものとしても、広く使用されている実情が認められる。また、別掲5及び別掲7のとおり、「定番グリル」の文字(語)は、各メーカーの定番のグリル(商品)を表すものとして、一般に使用されているほか、料理に関連する分野において、「定番グリル」の文字(語)が、「定番のグリル料理」、「定番のグリルメニュー」ほどの意味合いで使用されている実情が見受けられ、さらに、別掲6によれば、「定番グリル鍋」のように、「定番グリル〇〇」(〇〇には調理家電の名称が入る。)の文字(語)が、「グリル調理できる調理家電の定番商品」を表すものとして使用されている実情も見受けられる。

加えて、別掲8によれば、本願の指定商品に関連する分野において、「定番料理」や「定番メニュー」を簡単に調理できる商品(グリル機能を有する商品を含む。)が取引されている実情も見受けられる。

そうすると、本願の指定商品に関連する分野において、「定番グリル」の文字(語)は、一般に広く使用されているものとみるのが相当であり、「定番グリル」の文字からなる本願商標を、その補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に、例えば、「定番のグリル機能を有する商品」又は「定番のグリル料理を調理できる商品」ほどの意味合いを表したものと認識させるにとどまるというべきであり、本願商標については、上記1(2)のとおり判断するのが相当である。

そして、「定番グリル」の意味合いが一義的かつ直接的に認識されないとの請求人の主張についていえば、それは元来、「定番」及び「グリル」の文字(語)が、上記のとおり、様々な意味合いを包含する語であって、そのため、本願の指定商品との関係においても、「定番」、「グリル」の文字(語)及びこれらを結合させた「定番グリル」、「定番グリル〇〇」の文字(語)が、例えば、「定番のグリル(商品)」、「定番のグリル料理」、「定番のグリルメニュー」、「グリル調理できる調理家電の定番商品」ほどの意味合いを認識させるものとして、広く使用されている実情に起因するものであるから、これをもって、本願商標が自他商品の識別力を有しないとの判断を左右する理由となるものではない。

(2)請求人は、「「多数人が現在使用している」としても、多岐にわたる意味合いを感得させる本願商標は、その使用により識別力を失っておらず、また、請求人に独占を認めても公益上問題がないものであり、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。」旨主張している。

しかしながら、「定番グリル」の意味合いが多義的であるとしても、これをもって、本願商標が自他商品の識別力を有しないとの判断を左右する理由となるものではないことは上記(1)のとおりであり、「定番グリル」の文字(語)については、別掲1から別掲8の取引の実情を踏まえれば、当該文字が請求人の商品を表すものとして認識されるとはいえず、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。

(3)したがって、請求人の上記(1)及び(2)の主張は、いずれも採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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