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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025004127
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年3月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年9月18日付け:拒絶理由通知書

令和6年10月21日 :意見書の提出

令和7年1月21日付け:拒絶査定

令和7年3月14日 :審判請求書の提出

令和7年8月13日付け:証拠調べ通知書

令和7年9月19日 :意見書の提出

2 本願商標

本願商標は、「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」の文字を標準文字で表してなり、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,インターネットを利用して行う映像の提供」を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」の文字を標準文字で表してなるところ、「ファイナンシャル」の文字は、「財政・財務に関するさま。金融に関するさま」の意味を、「ウェルビーイング」の文字は、「健康で幸福な状態。良好な状態」の意味を、「検定」の文字は、「検定試験の略」の意味を有する語である。そして、本願指定役務に関する業界では、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」の文字が、お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態」ほどの意味合いで使用されており、国民一人ひとりのファイナンシャル・ウェルビーイングを実現し、自立的で持続可能な生活を送ることのできる社会づくりを目指すことが金融庁の2023事務年度金融行政方針でうたわれているほか、これに関するセミナーが提供されている実情がある。加えて、これらの実現の基礎となる金融教育の一環として、認定アドバイザー制度や検定試験が実施され、そのためのセミナーも開催されている実情もある。そして、そして、セミナー等の開催に際して、関連する書籍や講義映像等の提供が行われており、提供方法においても実際の現物の提供だけでなく、インターネットを通じてこれらの提供が行われている実情があることは経験則上明らかである。そうすると、本願商標は、構成全体として、「ファイナンシャル・ウェルビーイングに関する検定試験」ほどの意味合いを、これを見る者に容易に理解、認識させるものといえる。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その役務が、「ファイナンシャル・ウェルビーイングに関する検定試験に関する役務」であると認識するにすぎないもの、すなわち、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 当審における証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲5に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、前記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

5 証拠調べに対する請求人の意見(要旨)

(1)「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」という商標を使用して役務を提供しているのは本願出願時点では出願人(請求人)のみである。

(2)本願指定役務中には、「資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与」などは指定されておらず、本願商標とその指定役務は、資格試験の実施に関して直接的な関係性はない。

(3)「金融に関する検定試験」が行われていることは、本願商標の拒絶理由にはならない。

(4)たとえ、「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」という文字が、「お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態に関する検定試験」という意味合いを想起させるとしても、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者に具体的な検定試験の内容を認識させるとまではいえないものであり、これが本願の指定役務との関係において、役務の質等を直接的かつ具体的に表すものとして認識されるものではない。

(5)本願とよく似た事例の先願先登録事例が存在する。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1のとおり、本願商標の構成中の「ファイナンシャル」の文字は、他の外来語に付いて、財政上の、会計上の、金銭上の、金融に関係する、という意を表す語である。また、「ウェルビーイング」の文字は、「身体的・精神的・社会的に良好な状態」の意味を、「検定」の文字は、「検定試験の略」の意味を、それぞれ有する語として辞書に載録されているものである。

そして、別掲2によれば、「ファイナンシャル」の文字と、「ウェルビーイング」の文字とを、記号「・」を用いて結合した「ファイナンシャル・ウェルビーイング」の文字が、「お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態」ほどの意味合いで使用されている実情がある。

また、別掲3及び別掲4によれば、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」(お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態)が、金融行政や会社経営において、金融教育を通じて目指すべき目的、テーマとされており、実際に、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」をテーマとする、金融に関する教育・セミナーが行われている実情もある。

そうすると、本願商標を構成する文字の語義及び前記の各実情に照らせば、本願商標は、構成全体として、「ファイナンシャル・ウェルビーイング(お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態)に関する検定試験」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。

また、別掲5のとおり、本願の指定役務を取り扱う業界においては、金融に関する検定試験が存在し、かつ、これらの検定試験の受験をする者を対象としたセミナーが実施されている実情がある。

以上を踏まえると、本願商標を、その指定役務中、第41類「セミナーの企画・運営又は開催」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該役務が、ファイナンシャル・ウェルビーイング(お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態)に関する検定試験を内容とするセミナーの企画・運営又は開催であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識するというのが相当である。

加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。

したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」という商標を使用して役務を提供しているのは本願出願時点では出願人(請求人)のみである旨主張する。

しかしながら、出願に係る商標が、その指定商品又は指定役務について商品又は役務の品質又は質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品又は役務との関係で、商品又は役務を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者によって当該商品又は役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該商品又は役務に使用されていることを要しないと解される(最高判昭和61年1月23日(昭和60年(行ツ)第68号)、知財高判令和4年5月19日(令和3年(行ケ)第10100号)参照)。

そして、本願商標が、本件審決の時点において、本願商標が、その指定役務との関係で、その役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務の需要者によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、前記(1)で述べたとおりである。

イ 請求人は、本願指定役務は「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,インターネットを利用して行う映像の提供」であって、本願指定役務中には、「資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与」等の、資格試験の実施に関する役務はない旨、及び、金融に関する検定試験が行われていることは本願商標の拒絶理由にはならない旨を述べるとともに、たとえ、「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」という文字が、「お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態に関する検定試験」という意味合いを想起させるとしても、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者に具体的な検定試験の内容を認識させるとまではいえないものであり、これが本願の指定役務との関係において、役務の質等を直接的かつ具体的に表すものとして認識されるものではない旨を主張する。

しかしながら、別掲3及び別掲4によれば、金融行政や会社経営において、国民や従業員が「ファイナンシャル・ウェルビーイング」(お金について不安がなく、人生を楽しむための選択ができる状態)であることが、国民又は従業員に対する金融教育における、目指すべき目的、テーマの一つとされているところ、実際に、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」実現を目的とする、金融に関する教育・セミナーが行われている実情がある。加えて、別掲5のとおり、金融に関する検定試験が存在し、かつ、これらの検定試験の受験をする者を対象としたセミナーが実施されている実情があることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、金融に関する教育・セミナーの実施目的又はテーマである「ファイナンシャル・ウェルビーイング」に関する検定試験が存在するものと理解し、その上で、本願商標が、その検定試験を受験する者を対象としたセミナーに関する役務であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識するというのが相当である。

ウ 請求人は、「検定」の文字を商標中に含む過去の登録例を挙げ、これらが、「本願とよく似た事例の先願先登録事例」であるとし、本願について、これらの登録例と同様に、本願商標も自他役務識別機能が認められるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(1)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。

エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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