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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025009130
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年3月5日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 9月12日付け:拒絶理由通知書

令和6年12月12日受付:意見書、手続補正書

令和7年 2月27日付け:拒絶査定

令和7年 6月11日 :審判請求書

2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記1の手続補正書により、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第5275059号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「MUSUBI」の欧文字を標準文字で表してなる。

登録出願日:平成21年 1月29日

設定登録日:平成21年10月23日

指定商品及び指定役務:別掲2のとおり

(2)登録第6638529号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:「MUSUBI」の欧文字を標準文字で表してなる。

登録出願日:令和4年 5月18日

設定登録日:令和4年11月 9日

指定商品:第9類「電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」

以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

4 当審の判断

(1)本願商標について

ア 本願商標は、別掲1のとおり、一本の赤い線で三つの輪を表したような図形を一段目に、「musubi」(「i」の文字の一画目の点は赤色。)の欧文字を二段目に、「Kyoto」の欧文字(文字の両端に装飾的に横線を配している。)を三段目に表してなる、図形と文字との結合商標である(以下、一段目の図形を「図形部分」、二段目及び三段目の文字等部分を「文字部分」という。)。

イ 本願商標の構成中の文字部分についてみるに、「musubi」の欧文字部分は、本願商標の構成中、横幅を最大にし、三段目の欧文字等部分に比べて顕著に大きく表されているところ、当該「musubi」の欧文字に相応する外国語は存在せず、また、当該欧文字より生ずる「ムスビ」の読みを有する語は、「むすぶこと」などを意味する「結び」(「広辞苑第七版」岩波書店参照)以外に、一般的な辞書類に掲載が認められないことからすると、当該欧文字は、「結び」の読みを、欧文字で表したものとみるのが相当である。

そうすると、「musubi」の欧文字部分は、「結び」の読みを欧文字で表したものと理解されるものであって、本願商標の指定役務との関係で、その役務の普通名称や質等を表すものではないから、役務の出所識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえる。

また、三段目の文字等部分中、「Kyoto」の欧文字は、「京都府南東部に位置する市」を意味する「京都」(前掲書参照)を欧文字表記したものと容易に認識、把握されるものであり、本願商標の指定役務との関係において、役務の提供場所又は会社や店舗の所在地などの表示に相当するから、当該文字部分は、独立した出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではない。

そして、「Kyoto」の欧文字の両端にある横線は、何らかの意味のあるものが図形化されたと理解することは困難であり、装飾的なものにとどまるから、横線自体からは、出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものとはいえない。

ウ 次に、本願商標の構成中の図形部分についてみるに、上記イのとおり、「musubi」の欧文字部分は、「むすぶこと」などを意味する「結び」に通じること、及び図形部分の形状が水引のあわじ結びなどの結び目の一種を表した形状のようにも捉えられることからすれば、図形部分からは、「結び目(むすぶこと)」を連想・認識し得る場合もあるといえる。

エ 以上よりすれば、本願商標は、図形部分と文字部分とが、重なることなく、視覚上分離した態様で配置されているから、それぞれが独立した印象を与えるものであって、上記イのとおり、その構成中、顕著に表され、本願商標において、出所識別標識としての称呼が生じる唯一の文字部分である「musubi」の欧文字部分が強く支配的な印象を与えるものであることから、当該文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきであって、当該文字部分に相応して「ムスビ」の称呼を生じ、「むすぶこと」などの観念を生じ得るものである。

オ 或いは、上記ウのとおり、「musubi」の欧文字部分と図形部分が「むすぶこと」などを意味する「結び」に通じるものとして観念的な繋がりがあることから、図形部分及び「musubi」の欧文字部分とが一体として把握される場合もあるものといえ、その場合、「musubi」の欧文字部分に相応して「ムスビ」の称呼を生じ、図形部分及び「musubi」の欧文字部分から、「むすぶこと」などの観念を生じ得るものである。

(2)引用商標について

引用商標は、「MUSUBI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該欧文字に相応する外国語は存在せず、また、当該欧文字より生ずる「ムスビ」の読みを有する語は、「むすぶこと」などを意味する「結び」(前掲書参照)以外に、一般的な辞書類に掲載が認められないことからすると、当該欧文字は、「結び」の読みを、欧文字で表したものとみるのが相当である。

そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ムスビ」の称呼を生じ、「むすぶこと」などの観念を生じる。

(3)本願商標と引用商標の比較

本願商標と引用商標を比較すると、外観について、上記(1)エのとおり、本願商標の構成中の「musubi」の欧文字部分と引用商標「MUSUBI」とを比較した場合は、大文字小文字の差違があるものの、全ての綴りを共通にするから、外観において相紛らわしいものである。また、上記(1)オのとおり、本願商標において、図形部分及び「musubi」の欧文字部分とが一体として把握される場合は、図形部分の有無において、差違を有するものだとしても、その構成中の「musubi(MUSUBI)」の欧文字部分において、大文字小文字の差があるものの、全ての綴りを共通にするから、外観において近似した印象を与えるものである。

次に、称呼について、両商標から生じる「ムスビ」の称呼は同一である。

さらに、観念について、両商標から生じる「むすぶこと」などの観念は同一である。

そうすると、本願商標と引用商標は、外観において相紛らわしいか近似した印象を与えるものであって、称呼及び観念が同一であるから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否

本願の指定役務と引用商標1の指定役務中「履物・靴ブラシ・靴べら・靴磨き布・軽便靴クリーナー及びシューツリーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「布製身の回り品」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物及び電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類・文房具類・壁紙及び絵の具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物用電気式バリカンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アイロンでプレスすることにより文字・図柄を衣服等に接着させる熱転写シートの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、同一又は類似する役務である。

また、本願商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標2の指定商品は、小売等の役務とその役務の取扱商品の関係にあり、その対象となる商品を共通にするものであって、それらの商品の小売等役務とその商品の販売は、一般的には同一事業者によって行われることが多いことからすると、役務の提供場所と商品の販売場所とを同一にする場合が多く、取引者、需要者を共通にするものであるから、本願商標の指定役務と引用商標2の指定商品とは、相互に類似する。

したがって、本願商標の指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する。

(5)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標を使用して提供される請求人の取引の実情に触れながら、世界的観光都市である古都「京都」でのビジネスという目論見のある取引者は、古都「京都」を目指してやってくるので本願商標の構成中「Kyoto」の文字は、積極的に視認され、称呼される旨主張する。

しかしながら、請求人の商品を販売する店舗が京都に所在し、京都が世界的に有名な観光都市であるとしても、上記4(1)イのとおり、「Kyoto」の欧文字部分は、本願商標の指定役務との関係において、役務の提供場所又は会社や店舗の所在地などの表示に相当するから、「Kyoto」の文字部分は、独立した出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではない。

イ 請求人は、本願商標の図形部分と文字部分とは一体不可分であり、引用商標とは非類似である旨主張する。

しかしながら、上記4(1)イのとおり、本願商標の構成中「Kyoto」の欧文字部分は、独立した出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではなく、仮に、上記4(1)オのとおり、図形部分と「musubi」の欧文字部分とが観念上の繋がりから一体として捉えられた場合であったとしても、上記4(3)のとおり、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。

(6)まとめ

以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、それら指定商品及び指定役務は同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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