結論テキスト
登録第5336293号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300159 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第5336293号商標(以下「本件商標」という。)は、「明鏡」の漢字を縦書きしてなり、平成21年10月28日に登録出願、第9類「電気通信機械器具」及び第41類「セミナーの企画・運営又は開催,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,インターネット・携帯電話による通信を用いて行うゲームの提供」を指定商品及び指定役務として、同22年7月9日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録は、令和7年2月27日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和4年(2022年)2月27日~同7年(2025年)2月26日)を、以下「要証期間」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和7年5月9日付け答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する同7年6月18日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨次のように述べている。
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「電気通信機械器具」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)答弁書における証拠方法で示された使用態様が「指定商品への使用」に該当しないこと
答弁書の証拠方法にて示されている登録商標の使用態様は、いずれも「指定商品への使用」に該当しない。乙第1号証から乙第6号証までを見れば、カシオ計算機株式会社(以下「カシオ社」という。)の販売する「EX-WORD」の機種XD-N4850が電子辞書であることが明確であり、電子辞書は、第9類「電子通信機械器具」(審決注:「電子通信機械器具」は、「電気通信機械器具」の誤記と認める。以下、「第2 請求人の主張の要点」において同じ。)に分類されることには異議がない。
被請求人は、「EX-WORD」の機種XD-N4850に本件商標が表示されている旨を主張しており、乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証を見ると、確かに国語のコンテンツの1つに「明鏡国語辞典」の文字が認められる(答弁書では、「フロントパネルのキーボード上に明確に「明鏡国語」と明示し」とあるが、「キーボード上」は誤りである。)。
しかし、乙第1号証からは、「EX-WORD」には、英和辞典、和英辞典、英英辞典、国語辞典、古語辞典、日本史小辞典、世界史小辞典などの辞典類から、地学用語集、生物事典、物理事典、化学事典、数学解法事典、社会科分野の用語問題集、TOEICテスト問題集・英検問題集、英語の学習動画など事典や問題集や音声教材などまで、様々な分野の高校生向け学習コンテンツが多数収録されていることが分かり、「明鏡国語辞典」は、国語辞典の1つ、何十種類もあるコンテンツのうちのたった1つにすぎない。
答弁書によれば、被請求人は、カシオ社に本件商標権の通常使用権を許諾によって認めているとのことであるが、商標権者が誰であれ、本件商標が電気通信機械器具に使用されていることにはならない。
なぜなら、「明鏡」は、電子辞書の名称ではなく、被請求人自身も述べているとおり、国語辞書ブランドの名称の1つであり、その指定商品は、「電気通信機械器具」ではなく、「電子出版物」などとするのが妥当である。
指定商品を「電気通信機械器具」とするべき商標(標章)は、電子辞書名である「EX-WORD」であって、被請求人自身、答弁書において「商品名「EX-WORD」は電気通信機械器具に該当する」と明確に述べている。実際、カシオ社は、電子辞書、電気通信機械器具等を指定商品とする「EX-word」商標を、2件登録している。
(2)結論
以上より、被請求人提出の証拠に照らし、被請求人又は被請求人から使用許諾を受けた者が、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電気通信機械器具」について、商標法第50条第1項の「登録商標の使用」をした事実は認められない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、第1答弁書及び弁駁書に対する令和7年8月26日付け答弁書(以下「第2答弁書」という。)において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、乙第1号証を「乙1」のように簡略して記載する場合がある。
本件商標権者が、許諾による通常使用権を認めたカシオ社が、電子辞書に通常使用権者として電気通信機械器具に「明鏡」商標を明示して、販売している。
電気通信機械器具である電子辞書は、通常使用権者の販売する商品名「EX-WORD」の機種XD-N4850であり、係る機器のフロントパネルのキーボード上に明確に「明鏡国語」と明示し、「明鏡」ブランドを付して販売している。
特に、「明鏡国語」は、国語辞典の「明鏡」ブランドの国語辞典であることを明確に認識できるように表示しているものであり、「国語」の部分は品質自体を示すものであり、国語辞典の「明鏡」であることが一見して十分に認識できるものであり、係る電気通信機械器具を使用するものは当然に、国語辞典の「明鏡」を意味することを理解するものであるとともに、本機器である電気通信機械器具の使用に際しては、「明鏡」ブランドを有する電気通信機械器具として、その使用者は認識できるものである。
まず、乙第1号証は、商標権者が許諾による通常使用権を認めた通常使用権者であるカシオ社の販売する商品名「EX-WORD」のカタログの表裏頁と該当機種であるXD-N4850の、高校生向けの多種類の機種の簡易説明である。
なお、商品名「EX-WORD」の概略説明として、裏表紙に「CD-ROM」機能を有しており、各種データの取り込みが可能であるとともに、音楽CDの取り込みができることが明確に明示されている。
したがって、商品名「EX-WORD」に関しては、もとより辞書機能を有するとともに、音声周波機械器具でもあり、また、映像周波機械器具でもあり、更には、ヘッドホンなども備えられているものである。
このことより、当然に商品名「EX-WORD」は、電気通信機械器具に該当するものである。
乙第2号証は、商品名「EX-WORD」のカタログの裏表紙の該機器の機能の説明部分を拡大したものであり、これからすれば、該機器は「CD-ROM」機能を有しており、各種データの取り込みが可能であるとともに、音楽CDの取り込みができることが明確に明示してあり、その機能を有していることが明白である。
したがって、当該商品は、電気通信機械器具に含まれる音声周波機械器具として、また、映像周波機械器具として用いられる電子辞書機能を有する電気通信機械器具であることは明確である。
さらに、「EX-WORD」の機種XD-N4850の表示パネル部分を閉じた状態の写真(乙3)、同機種の表示パネル部分を開いた状態を、斜め方向から視認した状態の写真(乙4)、同機種の表示パネル部分を開いた状態で操作する際の使用位置から視認した写真(乙5)、及び、同機種の表示パネル部分を開いた状態の、キーボード部分の全体を拡大した写真(乙6)によって、電気通信機械器具に該当する「EX-WORD」の機種XD-N4850の操作パネル部分に、「明鏡国語」の表示が明示されており、特に、その記載状態から「国語辞書」として認識される「明鏡」ブランドを付したものと、十分に認識できるものであり、電気通信機械器具に「明鏡」ブランドを表示したものであり、係るブランドに基づいて特定の保証された品質を有する商品であることが使用者に十分に認識できるものである。
したがって、「明鏡」表示によって自他商品識別機能とともに品質保証機能など商標に有する保護すべき機能を発揮できる状態となっているものである。
さらに、通常使用権者であるカシオ社は、過去より現時点においてまで現実に使用しているものである。
これは、カタログ(乙1、乙2)は、2013年7月に作成されたものであるが、当該カタログは現在も使用されており、少なくとも過去10年以上販売されており、更に、現時点でも販売されているものである。
以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中「電気通信機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、通常使用権者が、「明鏡」ブランドすなわち社会通念上同一と認められる商標を使用しているものであり、答弁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。
第1答弁書において述べたとおり、電気通信機械器具に該当する電子辞書として商品名「EX-WORD」の機種XD-N4850を、通常使用権を認めているカシオ社が販売しており、商品名「EX-WORD」の機種XD-N4850の機器の外観上に「明鏡国語」と明示し、本件商標「明鏡」を付して販売している。
(1)乙第1号証は、被請求人が、通常使用権を認めたカシオ社が販売する電子辞書、商品名「EX-word」(以下「使用商品」という。)のカタログの写しであり、1葉目の右上部には「電子辞書総合カタログ 2013-8」の文字、当該文字の左側に「CASIO」の欧文字、その下部に「EX-word 知る、聞く、学ぶに、歓びを。」の文字、その下部に、アイコン状の図形が表示された画面部分と欧文字が付されたキー等が配列された部分等から構成される電子辞書の画像が表示されている。
また、1葉目の左側には、「エクスワード純正ケース」の文字及び複数のケースの画像、USB-ACアダプターの画像、仕様や安全上のご注意の記載、下段には、「カシオ計算機株式会社」、「このカタログの内容は2013年7月現在のものです。」等の記載がある。
2葉目には、上部に、「高校生 英文法や英会話など、高校学習を徹底サポートするコンテンツを収録。」の文字、その下段に「XD-N4850WE」、「XD-N4850BK」等、「XD-N4850」から始まる品番と思われる文字と電子辞書の画像の組み合わせが7種表示されており、左下部の囲み枠線内には、「国語」の見出しの下「明鏡国語辞典 第二版」の文字及び当該書籍の画像がある。
なお、上記カタログ写しには、被請求人の名称(略称)の記載は認められず、被請求人とカシオ社との関係を示す記載も認められない。
(2)乙第2号証は、被請求人が、使用商品のカタログ裏表紙の写しとするものであり、中央部に「【CD-ROMにてコンテンツを追加するには、まずパソコンにインストールする必要があります。】」及び「【音声CD取り込み機能について】音声CDを取り込むには、対応のOSとWindows Media Playerが必要です。」の記載がある。
(3)乙第3号証ないし乙第5号証は、使用商品を撮影したと主張する画像であり、本体の外側及び内側パネルの左上部に「EX-word」の文字が表示されている。
(4)乙第6号証は、使用商品のキーボード配列面の拡大画像であり、左上部のボタン上部に「電源」とあり、その2列右側にはそのボタン上部に「広辞苑/」及び「明鏡国語」が2段表示されている。
上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
被請求人は、使用商品が電気通信機械器具に含まれる音声周波機械器具又は映像周波機械器具として用いられる電子辞書機能を有する電気通信機械器具であって、本件審判請求に係る指定商品「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品であると主張するが、乙第1号証ないし乙第6号証は、乙第1号証の1葉目にも明示されているとおり、「電子辞書」についてのカタログ及び当該カタログに掲載されている商品を撮影した画像であると認められるから、使用商品は、「電子辞書」というべきである。
ところで、「電子辞書」とは、「辞書の内容を電子化し、コンピューターによって検索・表示するもの。それに検索機能をつけたソフトウェア、それらを内蔵した小型の専用コンピューター装置を指していう。」(「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店。また、同様の意味を示すものとして「三省堂国語辞典 第8版(株式会社三省堂)」には「辞書の内容を収録したポケットサイズのコンピューター。」とある。)を意味する語として、一般に知られているものといえ、また、商標法施行規則では、別表(第6条関係)の「第九類」には、「十五 電子応用機械器具及びその部品」の項目下「(一)電子応用機械器具」の「ロ」に「電子辞書」と規定されているところ、辞書における意味合いや商標法施行規則における規定を考慮しても、「電子辞書」は、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているコンピューター(電子計算機)に、主としてその内容として辞書の内容を電子化して格納している機械器具であるというべきであるから、「電子辞書」は、「電子応用機械器具」の範ちゅうの商品と認められる。
そうすると、使用商品である「電子辞書」と「電気通信機械器具」とは、その本質において異なる商品であると認められるから、使用商品は、請求に係る指定商品の範ちゅうの商品とは認められない。
なお、被請求人は、使用商品のカタログには、当該商品の説明として、CD-ROM機能を有しており、各種データの取り込みが可能であるとともに、音楽CD取り込みが可能であることが明示されており、かつ、ヘッドホンも備えられているものであるから、使用商品は、音声周波機械器具でもあって、映像周波機械器具としても用いられる電気通信機械器具である旨主張する。
しかし、被請求人が主張する、乙第2号証の当該商品の説明部分には、上記1で認定したとおり、「パソコン」すなわちパーソナルコンピューターにインストールをして、コンテンツとして追加することが説明されているというべきであって、当該商品自体がデータや音声のCD-ROMを読み取る、あるいは、再生する機能を有しているものとは認められず、また、「音声CD」とあるように、音声データをパソコンで読み取ったものを再生する機能を有しているとしても、音楽を専ら再生するための機能を有していることは明記されているとはいえないものである。
よって、被請求人の当該主張は、採用することができない。
(2)使用時期及び使用者について
被請求人は、本件商標の商標権者が、許諾による通常使用権を認めたカシオ社が、使用商品を販売している旨主張しているものの、通常使用権の許諾に関する証拠は何ら提出されているものではなく、カシオ社が、本件商標の通常使用権者であると認められず、全証拠を通じてみても、商標権者の名称が表示されたものを見いだすことができないから、本件商標の商標権者が本件商標を使用していることも認められない。
また、乙第1号証及び乙第2号証によると、使用商品についてのカタログは、当該号証に記載の「電子辞書総合カタログ 2013-8」及び「2013年7月現在」の文字からすれば、2013年8月又は2013年7月を理解させるもので、それらの年月に当該カタログが作成されたことがうかがえるものの、当該年月は、いずれも要証期間外の年月であることから、要証期間に使用商品に係るカタログが実際に頒布されたことと認めることはできない。
さらに、乙第3号証ないし乙第6号証は、被請求人の主張によると、令和7年4月23日に写真撮影されたと述べるも、当該日付も、要証期間外である。
(3)使用商標について
被請求人は、カシオ社が使用商品に「明鏡国語」と明示し、「明鏡」ブランドを付して販売している旨主張しているが、本件商標は、「明鏡」の漢字を縦書きしてなるところ、使用商品に表示されている商標(以下「使用商標」という。)は、「明鏡国語」であり、これは「くもりのない鏡。明らかな証拠。」を意味する「明鏡」と「その国において公的なものとされている言語。その国の公用語。自国の言語。日本語の別称。」等を意味する「国語」(いずれも前掲「広辞苑」)の語(文字)からなるものといえ、請求に係る指定商品との関係からしても、いずれかの文字が捨象されるという取引の実情も見受けられないことから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
(4)小括
以上から、被請求人の提出した証拠からは、要証期間内に、商標権者又は通常使用権者が、本件商標を、請求に係る指定商品に使用したことを認めることができない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をした事実を証明したと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品」について、商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。