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Trademark Appeal Case

防護標章の周知性要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023900135
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第5673517号商標の防護標章登録第1号の防護標章登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件防護標章

登録第5673517号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録第1号(以下「本件標章」という。)は、「MONSTER STRIKE」の欧文字を横書きしてなり、令和3年3月29日に登録出願、第29類、第30類及び第32類に属する別掲1のとおりの指定商品並びに第14類、第16類、第18類、第21類、第24類、第25類、第26類、第28類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同5年2月16日に登録査定され、同年3月24日に設定登録されたものである。

第2 原登録商標

原登録商標は、「MONSTER STRIKE」の欧文字を横書きしてなり、別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年12月27日に登録出願、同26年5月13日に登録査定され、同月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件標章は商標法第64条の要件を具備しておらず、商標法第68条第4項で準用する同第43条の2第1号に該当するものであるから、その指定商品中、第29類、第30類及び第32類に属する指定商品(以下「申立てに係る指定商品」という。)について、その登録は、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第263号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件標章の指定商品中、申立てに係る指定商品が属する産業部門(食品)は、本件標章の原登録商標が使用される指定商品及び指定役務(第9類、第41類)(以下、「原登録商標の指定商品等」という。)が属する産業部門(機械、一般役務)と相違するから、本件標章の指定商品について防護標章登録を認め得るには、原登録商標が国民の間で広く認識されていることを要する(特許庁商標審査便覧26.01)。

原登録商標が使用される指定商品等の需要者であるスマホゲームアプリ等のオンラインゲームのユーザーは、10~20代の若年層の男性を中心とする範囲に偏っているから、原登録商標は、幅広い年代の男女から構成される「国民」の間に広く認識されているものとは認められない。

原登録商標は、辞書に掲載の既存語ではないとしても外来語として親しまれている「モンスター」及び「ストライク」として一般に親しまれている「MONSTER」と「STRIKE」を結合したものであると容易に認識できるものであり、その表示態様もありふれた活字体で横書きした文字商標であって、構成上顕著な特徴を有するものではない。

また、原登録商標は商標権者のハウスマークに該当するものでもない。

商標権者が本件標章の審査で提出した意見書で主張する多角経営に係る事業は、いずれも原登録商標の指定商品等が属する産業部門の領域にとどまるものであって、当該産業部門を超える分野、すなわち、本件標章の指定商品と関連する食品産業における多角経営の可能性は何ら認められない。

さらに、商標権者は、上記審査で提出した意見書においてスマホゲーム「MONSTER STRIKE」のキャラクターをモチーフとしたグッズやコラボ商品を販売していると述べ、第29類「肉製品(イベント会場で販売したコラボ食品の唐揚げ)」、第30類「コーヒー、アイスキャンデー、ウエハース、アイスクリーム」、第32類「ビール(イベント会場で販売したコラボ商品のビール)、炭酸飲料」の画像等を証拠方法として提出しているが、これらのコラボ商品等はゲームイベント会場や商標権者のスマホゲームの公式サイトといった閉鎖的な場所で販売されるものや販売時期が限定された一過性の商品であり、当該商品に接する可能性がある者は、商標権者のスマホゲームアプリのユーザーという狭い範囲に限定されているというべきである。

本件標章の指定商品は、一般消費者が日常で購入する「食品」であるから、その需要者の範囲は、特定の年齢層や性別に偏らない幅広い年代の男女(国民全体)ということができる。これに対して、原登録商標の指定商品等の主たる需要者は10~20代の若年層の男性であるから、本件標章の指定商品の需要者は、原登録商標の指定商品等の需要者と共通しない。

その他、本件標章の指定商品と原登録商標の指定商品等が相互に特別に密接な関係を有する(特許庁商標審査便覧)とみるべき特段の事情もない。

以上の事柄を総合すれば、本件標章の指定商品に他人が原登録商標を使用しても、これを商標権者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同を生ずるおそれはないことが明らかである。

(2)原登録商標は、「MONSTER」の文字と「STRIKE」の文字の結合として容易に認識できるものであるから、申立人が2012年5月に国内販売を開始したMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)に長年継続的に使用している「MONSTER(モンスター)」の文字を包含する個別製品名と同一の構成のものである。

本件標章の登録査定時において、申立人の使用に係る「MONSTER(モンスター)」の文字及び当該文字と他の文字を結合してなる製品名は、申立人商品及びそのブランドを表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。

本件標章の指定商品は、申立人商品と同一又は類似の商品を含むものである。

また、本件標章の指定商品と申立人商品はいずれも「食品」という同一の産業部門に属する商品であるから、その関連性は極めて密接であり、原材料、用途、販売場所及び需要者が共通することが多い。

したがって、エナジードリンク等の本件標章の指定商品に他人が原登録商標を使用した場合、これに接した需要者は申立人のMONSTERブランドを想起連想し、申立人の業務に係る商品であると誤認し、申立人商品との関係において出所混同を生じるおそれが高いことが明らかである。

一方、当該商品が商標権者の業務に係る商品であると誤認されて商標権者の商品との間で出所混同を生じるおそれは皆無というべきである。

よって、本件標章の指定商品に他人が原登録商標を使用しても、これを商標権者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同を生ずるおそれはないことが明らかである。

第4 当審の判断

1 商標法第64条

(1)商標法第64条第1項及び第2項

防護標章登録制度に係る商標法第64条第1項は、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」旨規定している。

また、同条第2項は、「商標権者は、役務に係る登録商標が自己の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定役務及びこれに類似する役務以外の役務又は指定役務に類似する商品以外の商品について他人が登録商標の使用をすることによりその役務又は商品と自己の業務に係る指定役務とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある役務又は商品について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」旨規定している。

(2)原登録商標は、上記第2のとおり、別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録されたものであるから、商標法第64条第1項及び第2項の要件を具備しているか否かが問題となる。

そこで、本件標章が商標法第64条第1項及び第2項の要件を具備しないにもかかわらず、登録されたものであるか否かについて検討する。

2 本件標章と原登録商標との同一性及び権利主体の同一性

本件標章及び原登録商標は、上記第1及び上記第2のとおり、ともに「MONSTER STRIKE」の欧文字を横書きしてなるものであり、その書体も同一であるから、同一性を有している。

また、原登録商標に係る商標権は、前記第2のとおり、現に有効に存続するものであること、その商標権者は、本件標章の権利者と同一の者であることは、商標登録原簿等の記載から明らかである(以下、「原登録商標の商標権者」という場合がある。)。

3 申立てに係る本件標章の指定商品

申立てに係る指定商品は、別掲1のとおりであるところ、これらは別掲2の原登録商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似のものではない。

4 「MONSTER STRIKE」について

本件商標権者が本件標章の審査において提出した令和4年4月28日(受付日)付け意見書(以下「審査意見書」という。)の主張及び甲第1号証ないし甲第113号証の証拠、その他職権調査によれば、以下のとおりである。

なお、上記甲第1号証ないし甲第113号証については、以下「審査甲1」のように「審査甲○」と表記する。また、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。

(1)原登録商標の商標権者及び本件標章の権利者

原登録商標の商標権者及び本件標章の権利者である「株式会社ミクシィ」のウェブサイトの会社概要によれば、本件商標権者は1996年6月3日に求人情報サイト「FindJob」として設立し、2004年にソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)である「mixi」の運営を開始し、2006年に現在の社名である「株式会社ミクシィ」に社名を変更した。

主な事業内容として、メディア事業、ゲーム・映像コンテンツ事業、求人広告、公営競技・スポーツ関連事業を行っていると主張している(本件商標権者のウェブサイト(職権調査)、審査意見書の主張)。

(2)「MONSTER STRIKE」の使用について

ア 本件商標権者は、ロールプレイングゲーム(RPG)「モンスターストライク」を運営する事業者で(本件商標権者のウェブサイト(職権調査))、当該ゲームに別掲3のロゴマーク(審査甲1の2)を使用しており、そのロゴマークの中央右側に「MONSTER STRIKE」の文字が記載されている。そして、2022年3月10日を更新日とするGoogle Playのインストール画面の写しに、別掲3のとおりのロゴマークが掲載されている(審査甲1の1)。

イ 本件商標権者の2013年10月10日付けニュースリリースの写しの見出しに「スマートフォン向け、ひっぱりハンティングRPG『モンスターストライク』を提供開始」の記載があり、記事中に「2013年10月16日(水)にアプリのアップデート後、オープニングキャンペーンとして、友達と一緒にマルチプレイしようを開始しよう」の記載があり、また、「ゲーム詳細」欄に「・タイトル:モンスターストライク/・推奨機種(OS):IOS4.3以降・・・※Android版は近日中に対応予定です。/・カテゴリー:ゲーム(アクションRPG)」の記載がある(審査甲2)(なお、「/」は改行表す。以下、省略。)。

ウ 本件商標権者の2013年12月16日付けニュースリリースの写しに、「モンスターストライク、Android版の提供を開始/株式会社ミクシィは、・・・(省略)・・・12月15日に、ひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」(<www.monster‐strike.com/>)Android版の提供を開始しました。」の記載がある(審査甲3)。

エ 本件商標権者の事業ブランドである「XFLAG」(以下「XFLAG」という。)の2015年9月29日付けのウェブサイトの写しの見出しに「ニンテンドー3DS版「モンスターストライク」発売決定!」の記載があり、「ニンテンドー3DSオリジナル機能満載の本格RPG「モンスターストライク12月17日に発売決定!」の記載があり、その下に当該商品のパッケージらしきものが掲載されており、そのパッケージにモンスターストライクTM」の文字の下に「MONSTER STRIKE」の記載がある(審査甲4)。

(3)モンスターストライクの利用者数

2014年7月22日付け日本経済新聞電子版において、「ミクシィ、「モンスト」1000万人突破 スマホゲーム課金好調」の見出しで、「ミクシィは22日、スマートフォン(スマホ)用ゲーム「モンスターストライク(モンスト)」の利用者数が19日に1000万人を突破したと発表した。2013年10月に公開し、最近は約20日ごとに100万人のペースで利用者が増加、ゲーム内の課金も好調で同社の売り上げの大半を稼ぐ主力事業になった。/スマホゲーム最大のヒット作とされるガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」は1千万人に届くのに約1年かかった。これを上回るペースで達成した。」の記載がある(審査甲14)。

(4)本件商標権者の売上高

本件商標権者の「2014年度 通期決算説明会」の写しの2葉目において、「売上高(四半期推移)」の項目に、「「モンスターストライク」の売上が四半期で400億円を突破」の記載がある(審査甲49)。

(5)広告費宣伝費

2014年2月28日付け日本経済新聞電子版において、「ミクシィ、公募増資で63億円調達 「モンスト」広告費用に充当」の見出しで、「・・・省略・・・スマートフォン(スマホ)向けゲーム「モンスターストライク」の広告宣伝費に充てるほか、残額が生じれば同ゲームの開発運営費とする。」の記載がある(審査甲18)。

(6)テレビCM

ア 本件商標権者の2014年2月28日付けニュースリリースの写しにおいて、「モンスターストライク、テレビCMを全国放映」の見出しで、「放映期間 2014年3月1日(土)~2014年3月31日(月)」、「放映地域 全国」の記載がある(審査甲19)。

イ 検索期間を「2021年1月1日~同年12月31日」とする広告代理店提供のCM放映レポートによれば、2021年は毎月、多数のテレビCMを放映した記載がある(審査甲20)。

(7)モンスターストライクの映像化(アニメーション化及び映画化)

ア 本件商標権者の2019年11月26日付けニュースリリースにおいて、「モンストアニメ、YouTube 世界累計再生回数4億回を突破!」の見出しで、「・・・省略・・・2015年10月10日(土)よりYouTubeで配信を開始したアニメ「モンスターストライク」(以下、モンストアニメ)の世界累計再生回数が、本年10月12日(土)より配信を開始した「ルシファー ウェディングゲーム」の第2話にて、モンストアニメシリーズ全体を通し4億回を突破したことをお知らせします。」の記載があり、また、当該ゲームのキャラクターの画像中に「モンスターストライクR(「R」の文字には○が付されている。)」の文字の下に「MONSTER STRIKE/THE ANIMATION」の記載がある(審査甲29)。

イ 2016年12月13日付けアニメハックのウェブ記事において、「【週末興行ランキング】「モンスト」が興収4億円超で初登場1位、プレゼントキャンペーンも奏功」の見出しで、「・・・省略・・・2013年リリースの人気ゲームアプリ「モンスターストライク」の劇場アニメ「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ」が、オープニング2日間で動員39万0416人、興収4億3961万2800円を記録し、初登場1位獲得した。」の記載があり、また、当該劇場アニメのビジュアル画像の中に「モンスターストライク/MONSTER STRIKE/THE MOVIE」の記載がある(審査甲30の2)。

また、2018年5月31日付け「XFLAG」のニュースリリースにおいて、見出しに「劇場版アニメ『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』を2018年10月より」全国公開」の記載がある(審査甲31)。

さらに、2020年9月10日付け「XFLAG」のニュースリリースにおいて、見出しに「「モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」2020年11月6日(金)に劇場公開決定!公開日決定に伴い、最新キービジュアルと予告映像を解禁」の記載があり、また、当該劇場アニメのビジュアル画像の中に「モンスターストライク/MONSTER STRIKE/THE MOVIE」の記載がある(審査甲32)。

(8)モンスターストライクの関連本の発売

モンスターストライクは、ゲームの攻略本、ファンブック、小説、漫画、小説(児童書)、文庫版、ライトノベル、実用書(漢字ドリル等)、画集等の関連本が多数販売された(審査甲45)。

(9)他の企業とのコラボレーションによる商品化

ア 本件商標権者の「2020年度 通期決算説明会資料」に、モンスターストライクの状況として、「モンスターストライクにおいてはIPコラボを積極的に実施することで、通期で増益を達成しております。」の記載がある(審査甲35)。

また、「モンスターストライクとコラボレーションしたゲーム・アニメ・映画のリスト」に、例えば「映画ドラえもん のび太の月面探査記」(映画)、「妖怪ウオッチ ぷにぷに」(ゲーム)、「鬼滅の刃」(映画)等、67のゲーム・アニメ・映画のタイトルの記載がある(審査甲36の1)。

イ 「モンスターストライクとコラボレーションした企業、ブランドリスト」に、例えば「千葉ジェッツふなばし」(バスケットボール)、「FC東京」(サッカー)及び「東京ヤクルトスワローズ」(野球)のプロスポーツチームをはじめ、多くの企業、ブランドの記載がある(審査甲38の1)。

また、モンスターストライク(キャラクターを含む。)に関するコラボ商品について以下のとおり販売されており、例えば、コーヒー、アイスクリーム、清涼飲料、薬味酒(梅酒)については、「MONSTER STRIKE」を含むロゴマークがあるラベルが付している商品、又は商品のビジュアル画像に「MONSTER STRIKE」の文字を含むロゴマークが表示されているものもある。

キーホルダー(審査甲89)、身飾り品(アクセサリー)(審査甲90)、文房具類(色紙(審査甲91)、クリアファイル(審査甲92)、カード保護用スリーブ(審査甲93)、ノート(審査甲94))、かばん類(バッグ)(審査甲95)、財布(審査甲96)、キーケース(審査甲97)、タンブラー(審査甲98)、マグカップ(審査甲99)、タオル(審査甲100、審査甲101)、ハンカチ(審査甲102)、Tシャツ(審査甲103)、帽子(審査甲104)、衣服用バッジ(缶バッジ)(審査甲105)、ぬいぐるみ(審査甲106)、トイフィギュア(審査甲107)、肉製品(唐揚げ)(審査甲108)、コーヒー(審査甲109)、アイスキャンデー(審査甲108)、ウエハース(審査甲110)、アイスクリーム(審査甲111)、ビール(審査甲第108)、清涼飲料(審査甲112)、薬味酒(梅酒)(審査甲113)。

(10)受賞歴

「モンスターストライク」は、ゲームのアプリケーションに関する賞やテレビCMについて、例えば、2014年に「Google Play2014年 ベストゲーム」(審査甲69)、「Yahoo!検索大賞2014 カルチャーカテゴリー ゲーム部門」(審査甲68)、2015年に「Yahoo!検索大賞2015 カルチャーカテゴリー ゲーム部門」(審査甲71)、「日本ゲーム大賞2015(特別賞)」(審査甲72)、2016年に「Twitter Japan「2016年もっとも使われたハッシュタグ」1位」(審査甲74)、2017年に「ファミ通アワード2016 優秀賞」(審査甲80)、2018年に「ファミ通アワード2017 優秀賞」(審査甲81)、2019年に「Twitter Japan「2016年もっとも使われたハッシュタグ」1位」(審査甲83)、2020年に「Twitter Japan「2020年もっとも使われたハッシュタグ:ゲーム」4位」(審査甲85)、2021年に「CM総合研究所 2021年度「消費者を動かしたCM展開」受賞(審査甲86)等、数多くの賞を複数年にわたり受賞している(審査甲67~審査甲86)。

(11)eスポーツの競技種目化

ア 2018年11月6日付け「XFLAG」のニュースリリースにおいて、「最大42か国・地域が参加するeスポーツ国際大会に「モンスト」が参加!」の見出しで、「・・・省略・・・スマホアプリのひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」(以下、モンスト)が、11月9日(金)から12日(月)までの間、台湾高雄市で開催する「第10回eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」に、デモンストレーション競技として採用されたことをお知らせします。・・・省略・・・モンストのプロ選手を派遣します。」の記載があり、また、当該eスポーツ国際大会のビジュアル画像の中に「モンスターストライク/MONSTER STRIKE」の記載がある(審査甲40)。

イ 2018年12月26日付け「XFLAG」のニュースリリースにおいて、「モンスト初のeスポーツ全国ツアー・初代王者を決める「ツアーファイナル」直前!賞金総額6,000万円、約3か月にわたる熱戦の結末を英国風PUB「HUB」やXFLAG STOREで中継!」の見出しで、「eスポーツ全国ツアー「モンスターストライク プロフェッショナル2018」(モンプロ2018)において、総合成績上位4チームのみが進出できるツアーファイナルを、本年12月29日(土)にアキバ・スクエア(東京・秋葉原)にて開催します。・・・省略・・・モンストのプロチーム(全8チーム)のみが参加できる、賞金総額6,000万円のeスポーツ全国ツアーです。」の記載がある(審査甲41)。

ウ 2019年11月1日付け「XFLAG」のニュースリリースにおいて、見出しに「「東京eスポーツフェスタ」競技種目に「モンスターストライク」が決定!優勝者には東京都知事杯を贈呈」の記載があり、また、当該eスポーツフェスタのシンボルマークとともに「モンスターストライク/MONSTER STRIKE」の記載がある(審査甲43の1)。

また、「東京都知事杯をめぐる「モンスターストライク」eスポーツ大会で大熱戦! 「東京eスポーツフェスタ」内で開催、優勝チームは「Sonrisa」」の記載がある(審査甲43の2)。

エ 2020年3月16日付け「XFLAG」のニュースリリースにおいて、見出しに「賞金総額1億円のeスポーツ大会ツアー「モンスト プロツアー 2019-2020」 ツアーファイナルを制し、2代目王者に輝いたのは「アラブルズ」の記載がある(審査甲44)。

(12)「モンスターストライク」に関する過去の判決

商標登録第5700277号に係る令和2年(行ケ)10065(無効審判2019-890047号)において、「モンスターストライク」(本件ゲームアプリ)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時までに、日常的にゲームをする一定の需要者を中心に相当程度の認知度を獲得していた」旨判示されている(判決言渡:令和3年1月21日)(審査甲87の1、職権調査)。

5 原登録商標の周知著名性

上記4の事実から以下のとおり判断できる。

本件商標権者は、株式会社ミクシィであり、主な事業内容として、メディア事業、ゲーム・映像コンテンツ事業、求人広告、公営競技・スポーツ関連事業を行っている企業で、ゲーム事業において、「モンスターストライク」と称するロールプレイングゲーム(RPG)の「スマートフォン用のゲームプログラム」について、2013年10月16日よりiOS版の配信を開始し、同年12月15日にAndroid版をリリースした。また、「モンスターストライク」及びその欧文字の表記である「MONSTER STRIKE」(以下「「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)」という場合がある。)は、2022年3月10日付けの「Google Play」のインストール画面に表示されていることが確認できることから、本件商標権者の取り扱いに係る「ゲームプログラム」を表す商標として継続して使用されてきたことが認められる。

この「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)は、2014年7月22日に、その利用者数が世界累計で1000万人を突破したと報道され、本件商標権者の売上げ実績において、2014年度に「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)関係の売上が400億円突破したと発表され、リリース後わずか1年足らずで人気のゲームコンテンツになったと認められる。その後、2015年12月17日にニンテンドー3DS(携帯用家庭用テレビゲームおもちゃ)のプログラムとしても発売が開始された。

また、「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)は、2014年に「Google Play2014年 ベストゲーム」及び「Yahoo!検索大賞2014 カルチャーカテゴリー ゲーム部門」で賞を受けており、その後、複数年にわたり数多くの賞を受賞し、継続して高い人気を保持しているといえる。

そして、「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)は、2018年11月9日(金)から12日(月)までの間、台湾高雄市で開催された「第10回eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」に、デモンストレーション競技として採用されて以来、複数のeスポーツの大会において競技種目として取り上げられていることから、ゲーム業界を代表する人気のゲームコンテンツということができる。

さらに、本件商標権者は、広告宣伝を積極的に行い、2014年に63億円を調達し、「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)の広告宣伝に費やし、テレビCM等に使用したことが推認でき、テレビCMについては、2021年にも相当数のCMが放映されたことがうかがえる。

そうすると、「モンスターストライク」及びその欧文字表記である「MONSTER STRIKE」は、遅くとも2014年末頃には、原登録商標の指定商品又は指定役務の分野である「ゲームプログラム」又は「ゲームプログラムの提供」の分野において、本件商標権者の取り扱いに係る商品又は役務を表すものとして、需要者の間に広く認識されている商標ということができ、本件標章の登録査定時(令和5年2月16日)においても周知著名性を有しているということができる。

加えて、「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)は、これを内容とする関連本が多数販売され、また、映像コンテンツとして、最初の映画が2016年に発表されて以来、シリーズ映画が2回制作され、2019年にはYoutubeの動画再生回数が世界累計で4億回を突破したと発表されており、映像コンテンツとしても高い知名度を有していることが認められる。

このような人気コンテンツであることも相まって、「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)は、多岐にわたる商品及び役務の分野の企業及びブランドとコラボレーションされ、それらの中には申立てに係る指定商品である飲食料品の分野も含まれており、多くの商品が販売されていることが確認できる。

してみると、「モンスターストライク」及びその欧文字表記である「MONSTER STRIKE」は、原登録商標の指定商品又は指定役務の分野にとどまらず、幅広い分野の需要者に人気ゲームコンテンツの名称であることを理解、把握させる実情があることから、ゲーム分野以外の上記分野においても相当程度認知されているものということができ、このことは、上記4(12)の判決において、「日常的にゲームをする一定の需要者を中心に相当程度の認知度を獲得していた。」という同様の内容の判示がされている。

以上のとおり、原登録商標である「MONSTER STRIKE」の文字は、本件標章の登録査定時(令和5年2月16日)において、本件商標権者の業務に係る商品及び役務(スマホ用ゲームアプリ等)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標と認めることができる。

6 混同を生ずるおそれ

原登録商標は、上記第2のとおり、「MONSTER STRIKE」の欧文字よりなるところ、その構成中の「MONSTER」の文字は「怪物、化物」、「STRIKE」の文字は「(1)野球で、投手の投球が所定の範囲(打撃姿勢にある打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間のラインを上限とし、膝頭ひざがしらの下部のラインを下限とする本塁上の空間)をバウンドしないで通るもの。(2)ボウリングで、全部のピンを第一投で倒すこと。」を意味(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)するものであるとしても、これらを一連で表した「MONSTER STRIKE」の文字は、一般の辞書に掲載されていないものであり、これらが組み合わさって特定の意味合いを生じる事情もないことからすれば、造語といえるものである。

そして、申立てに係る指定商品は、主に食品や飲料に関連する商品であり、原登録商標の指定商品又は指定役務は、第9類「ダウンロード可能なゲームプログラム」又は第41類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェアによるゲームの提供」等であり、これらの商品及び役務は、直接的に関連性があるものではないが、上記5のとおり、「モンスターストライク」及びその欧文字表記である「MONSTER STRIKE」は、ゲーム関係にとどまらず、映像コンテンツとしても著名性を有しており、幅広い分野においてコラボレーション商品が取引されているように、一般に有名なコンテンツのキャラクター等は、その著名性による顧客吸引力を使用したコラボレーション商品が取引され、それらの中には飲食料品が含まれるのが実情である。

そうすると、上記の取引の実情を踏まえると、本件標章の防護標章登録の要件の判断においては、申立てに係る指定商品と原登録商標の指定商品及び指定役務は、一定程度の関連性があるといえるものである。

そこで、混同を生ずるおそれについて検討すると、原登録商標は、上記(2)のとおり、本件標章の登録査定時(令和5年2月16日)において、原登録商標の使用に係る指定商品又は指定役務を表示するものとして、需要者の間で広く認識されていたと認めることができる。

また、原登録商標を構成する「MONSTER STRIKE」の文字は、上記のとおり、特定の意味合いを生じない造語というのが相当であり、申立てに係る指定商品と原登録商標の指定商品及び指定役務との間に一定程度の関連性があるといえることから、申立てに係る指定商品においても、本件商標権者の「MONSTER STRIKE」を認識させるといえるものである。

してみると、「MONSTER STRIKE」の文字は、これを他人によって申立てに係る指定商品に使用された場合には、これに接する需要者は、その商品があたかも本件商標権者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。

7 小括

以上のとおり、本件標章は、本件商標権者が、「ダウンロード可能なゲームプログラム」又は「スマートフォン用アプリケーションソフトウェアによるゲームの提供」等に使用し需要者の間に広く認識された「MONSTER STRIKE」を商標とする原登録商標と同一の標章を、原登録商標に係る指定商品又は指定役務及びそれと類似する商品又は役務以外を指定商品とするものであって、当該指定商品に他人が原登録商標を使用するときは商品の出所の混同を生じるといえることから、商標法第64条第1項及び第2項の要件を具備するものである。

8 申立人の主張

(1)申立人は、原登録商標が使用される指定商品等の需要者であるスマホゲームアプリ等のオンラインゲームのユーザーは、10~20代の若年層の男性を中心とする範囲に偏っているから、原登録商標は、幅広い年代の男女から構成される「国民」の間に広く認識されているものとは認めらない旨主張する。

また、申立人は、MONSTER STRIKEのキャラクターをモチーフとしたグッズやコラボ商品等はゲームイベント会場や本件商標権者のスマホゲームの公式サイトといった閉鎖的な場所で販売されるものや販売時期が限定された一過性の商品であり、当該商品に接する可能性がある者は、本件商標権者のスマホゲームアプリのユーザーという狭い範囲に限定されているというべきである旨主張する。

さらに、申立人は、本件標章の指定商品中、申立てに係る指定商品は、一般消費者が日常で購入する「食品」であるから、その需要者の範囲は、特定の年齢層や性別に偏らない幅広い年代の男女(国民全体)ということができる。これに対して、原登録商標の指定商品等の主たる需要者は10~20代の若年層の男性であるから、本件標章の指定商品の需要者は、原登録商標の指定商品等の需要者と共通しない旨主張する。

しかしながら、「MONSTER STRIKE」の文字は、上記6のとおり、ゲーム関連の分野にとどまらず、それ以外の分野においても認知されているものということができ、本件商標権者がこれまで他の企業とコラボレーションし、「食品、飲料」を含む多くの商品及び役務の分野で商品化されていることから、ゲーム関連のユーザーに限定されているとはいい難く、性別を問わず幅広い年代の需要者を対象としているというのが相当である。

(2)申立人は、原登録商標は商標権者のハウスマークに該当するものでもない旨主張する。

確かに、「MONSTER STRIKE」の文字は、本件商標権者のハウスマークではないが、「ハウスマーク」であることは、防護標章登録を判断する際の考慮事由の一つになる得ることはあっても、防護標章登録の要件ではない。

(3)申立人は、本件商標権者が本件標章の審査で提出した証拠及び審査意見書で主張する多角経営に係る事業は、いずれも原登録商標の指定商品等が属する産業部門の領域にとどまるものであって、当該産業部門を超える分野、すなわち、本件標章の指定商品と関連する食品産業における多角経営の可能性は何ら認められない旨主張する。

しかしながら、一般に人気ゲームについては、そのキャラクターも含め、多くの企業とコラボレーションして、様々な関連商品の販売及び役務の提供が行われている実情があることから、本件標章の指定商品に現時点で本件商標権者自身が行っていない産業部門の商品が含まれているとしても、他の企業とのコラボレーションによって商品が販売されている事実があること、また、MONSTER STRIKEが周知著名性を有していることを考慮すると、出所の混同を生じることを否定できるものではない。

(4)申立人は、原登録商標は、申立人が2012年5月に国内販売を開始した申立人商品に長年継続的に使用している「MONSTER(モンスター)」の文字を包含する個別製品名と同一の構成のものであってエナジードリンク等の本件標章の指定商品に他人が原登録商標を使用した場合、これに接した需要者は申立人のMONSTERブランドを想起連想し、申立人の業務に係る商品であると誤認し、申立人商品との関係において出所混同を生じるおそれが高いことが明らかである旨主張する。

しかしながら、商標法第64条第1項は、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、・・・他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」と規定しているところ、この規定において、防護標章登録を受けるには、本件商標権者の有する原登録商標がその指定商品に使用して需要者の間に広く認識されていること、それを本件標章の指定商品に他人が使用したときに商品の出所の混同を生ずるおそれがあるかを判断するものである。

そうすると、申立人が、「MONSTER(モンスター)」の文字を含む商標を商品「エナジードリンク」等に使用しているという事実は、上記商標法第64条第1項の「混同を生ずるおそれ」の有無の判断に影響するとはいえない。

(5)したがって、申立人の上記(1)ないし(4)の主張は、採用できない。

9 むすび

以上のとおり、本件標章は、その指定商品中、申立てに係る指定商品についての登録は、商標法第64条の要件を具備するものであり、その登録は同条に違反してされたものではないことから、同法第68条第4号で準用する同法第43条の3第4項により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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