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Trademark Appeal Case

MONSTER商標の周知性と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024685019
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結論
国際登録第1667193号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理由

1 本件商標

本件国際登録第1667193商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2022年3月2日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、令和4年(2022年)3月7日に登録出願、第3類、第5類、第18類、第25類、第30類、第32類、第35類、第41類及び第44類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同6年(2024年)7月9日に登録査定、同年8月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。

(1)登録第5431413号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 別掲3のとおり

指定商品 第5類、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成22年10月27日

設定登録日 平成23年8月12日

(2)登録第5788675商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 別掲3のとおり

指定商品 第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品

登録出願日 平成26年12月25日

設定登録日 平成27年8月28日

(3)登録第6704610商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様 別掲3のとおり

指定商品及び指定役務 第9類、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務

登録出願日 令和4年3月1日

設定登録日 令和5年6月6日

なお、引用商標1ないし3に係る商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

また、引用商標1ないし3をまとめていうときは、以下「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第526号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)申立人のMONSTERブランドの周知著名性

ア MONSTERブランドの創設及び「MONSTER」の使用

申立人は、米国で2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで「MONSTER」(モンスター)の頭文字「M」とモンスターの爪の形状を象って創作した図柄(甲328)(以下「使用商標」又は「爪の図柄」という場合がある。)をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。

申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。

2002年以降現在まで継続して、申立人商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」「MONSTER ASSAULT」「MONSTER KHAOS」「MONSTER M-80」「MONSTER RIPPER」など)が採用されている。

これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)は同じデザインで統一され、中央の上部に爪の図柄を大きく目立つ態様で表示し、下方にブランド名の「MONSTER」の文字を特徴的な書体(甲416)で表示したデザインで統一されている(異議申立書の別紙1及び2。以下、別紙○のように標記する。)。

このような規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と、爪の図柄を大胆に配置した独創的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業は急速に業績を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。

国内では、2012年5月のMONSTERブランド初上陸以降、現在までに、2012年5月8日発売の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)発売以降、現在まで30種類以上(リニューアル商品を含む。)の申立人商品を発売し販売を継続しており、これらの個別製品の全てに爪の図柄を顕著に表示した容器を採用している(別紙1)。

イ 広告宣伝活動

申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク(甲330)、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらをあせて「MONSTERブランドマーク」という。)、並びに、爪の図柄を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3~7)。

また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10~30代の若い世代(特に男性)に人気が高いF1自動車レース、ドリフト、モトクロスなどのモータースポーツ、スノーボード、スケートボードなどのエクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行うとともに、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウント(別紙9)を開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。

ウ ライセンス商品の輸入差止

需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも2023年7月から度々発生している(別紙8)。

エ 国内外における商標登録

爪の図柄について、申立人は、引用商標をはじめとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲517~甲525)。

また、爪の図柄が申立人の創作に係る独創的構成からなる創造標章であることから、申立人の本国米国では、爪の図柄の図案画の作品について著作権登録も取得している(甲515、甲516)。

オ ブランド認知度及び市場占有率

複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であったことが明らかである。

2013年以降も、申立人商品は着実に売上を伸ばしており、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく目立つ態様で表示された爪の図柄が人目をひきつけ、男性のみでなく女性の間でもMONSTERブランドの認知度を高めている。(甲311~甲322、甲383~甲385)。

カ 小括

以上の事柄に照らせば、爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性

本件商標の構成中の文字部分は、アルファベットの「M、m」を大文字で表記したものと認識理解されるものであり、当該文字部分より、「エム」の称呼、並びに「アルファベットの13番目の文字、ローマ数字の千」等の観念が生じる(甲526)。

引用商標は、アルファベットの「M、m」(エム)を小文字で表記したものと認識理解されるものであり、当該構成文字より、「エム」の称呼、並びに「アルファベットの13番目の文字、ローマ数字の千」等の観念が生じる(甲526)。

したがって、本件商標と引用商標の構成文字は、同一のアルファベットを大文字(M)で表記したものか小文字(m)で表記したものかの点で異なるにすぎず、「エム」の称呼、並びに「アルファベットの13番目の文字、ローマ数字の千」等の観念を共通にする類似のものであることが明らかである。

本件商標が使用される指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものであり、かつ、本件商標よりも先に登録出願されたものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性

本件商標は、申立人の使用に係る爪の図柄と称呼及び観念において類似するから、両者の類似性は高い。

本件商標が使用される商品は、申立人が爪の図柄を使用しているエナジードリンク並びに申立人及びその商標ライセンシーが爪の図柄を使用している被服、かばん類等の商品と同一又は類似のものであり、また、これらと用途、効能、販売場所、需要者層等を共通にする極めて関連性が密接なものである。

本件商標の指定商品及び指定役務の最終的な需要者は、一般消費者を多く含むものであるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。

上記したとおり、爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。

したがって、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る爪の図柄及び申立人会社を想起連想し、申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取扱いに係るものであると誤信し、その商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている爪の図柄の出所識別力を希釈化するおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)使用商標の周知性

ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など。)によれば、次のとおりである。

(ア)申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計25種類以上販売した(甲7~甲13、甲59、甲60、甲101、甲127、甲130、甲253、甲256、甲257、甲291、甲323、甲324、甲354~甲361、甲434~甲442、甲445、甲446、甲451、甲452、甲460、ほか)。

(イ)申立人商品のほとんどの種類の商品(の容器)には、使用商標と同一視できる図形(色彩が異なるものも含む。)、デザイン化された「MONSTER」の文字(以下「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字からなる商標(色彩が異なるものを含む。)が表示され、また、全ての申立人商品(の容器)には、MONSTERロゴが大きく表示されている(甲7~甲13など上記(ア)と同じ。)。

(ウ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。

(エ)日本経済新聞社の2019年3月29日付け「(飲料HOT&COOL)モンスターエナジー、レッドブル超え」をタイトルとするウェブページには、「日経MJ」として、「飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」の記載がある(職権調査:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43024750Y9A320C1HE4A00/)。

(オ)2022年5月7日付け「モンスターエナジー、レッドブルを駆逐しトップ独走状態の秘密・・・周到な販売戦略」をタイトルとするウェブページには、「全国のドラッグストアのPOSデータをもとにした買物指数によると、エナジードリンクの火付け役だった「レッドブル・エナジードリンク」を抑え、モンスターエナジーの売り上げが独走状態になっている。今や日本国内のトップシェアを獲得しているのだ。」の記載がある(甲448)。

(カ)2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」のタイトルのもと、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(甲450)。

(キ)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。

(ク)JMR生活総合研究所による消費者調査No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。

(ケ)JMR生活総合研究所による消費者調査データNo.269「エナジードリンク(2018年5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査データNo.293「エナジードリンク(2019年5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。

(コ)JMR生活総合研究所による消費者調査No.365「エナジードリンク(2022年5月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「リアルゴールド」、2位が「レッドブル」で57.6%、3位が「モンスターエナジー」で55.4%であった(甲449)。

(サ)申立人及びアサヒ飲料株式会社(以下、両者をあわせて「申立人等」という。)は、本件商標の登録出願日前から、申立人商品に係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスターエナジー」「モンスター」及び「MONSTER」と表示するとともに使用商標と同一視できる商標を表示しており、また、申立人等以外のウェブページにおいても、申立人商品は「モンスターエナジー」「モンスター」及び「MONSTER」と表示しているとともに使用商標と同一視できる商標を表示している(色彩が異なるものも含む。)。

さらに、申立人等のキャンペーンの景品(Tシャツ、帽子、ギター等)に使用商標と同一視できる商標が表示されている(甲58、甲63、甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124、甲132、甲162、甲163、甲165、甲241、甲251、甲256、甲258~甲260、ほか)。

イ 上記アからすれば、以下のとおり判断できる。

(ア)申立人等は、我が国において、2012年5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで25種類以上の申立人商品を販売してきた。

そして、2013年にはエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースでエナジードリンクの販売シェア第2位であり、その後、申立人商品は2018年に1千万ケースに近づいた頃に販売シェア第1位となり、それ以後2022年まで毎年販売シェアの40%前後を有し、継続して第1位であると推認することができる。

また、エナジードリンクのブランド認知度の調査において、申立人商品「モンスターエナジー」は、2014年にジャストシステムが行った調査において47.6%、JMR生活総合研究所が行った調査において31%で、いずれも第2位の認知度がある結果であり、その後、JMR生活総合研究所の2016年、2018年及び2019年の調査では「リアルゴールド」「レッドブル」とともに上位3位を占めており、同調査の2022年では55.4%で第3位であったことが認められる。

そうすると、申立人商品は、本件商標の国際商標登録出願日(令和4年(2022年)7月3日)以前から、登録査定日(令和6年(2024年)7月9日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえるものである。

(イ)次に、申立人商品の商標の使用について検討すると、申立人商品は、いずれの商品の容器に「MONSTERロゴ」が使用されていることが認められるが、ほとんどの容器において使用商標と同一視できる商標(色彩が異なるものを含む。)が「ENERGY」の文字を「MONSTERロゴ」の上下に伴う商標とともに使用されているとしても、使用商標は申立人商品の容器に使用される商標として需要者に強い印象を与えるといえるものである。

そして、申立人商品は、上記ア(ウ)ないし(カ)の各メディアの情報及び(キ)ないし(コ)の調査結果において、いずれも「モンスターエナジー」(「MONSTER ENERGY」の表示を含む。)と表示されており、さらに、上記(サ)のとおり、申立人等自身が商品の広告においても「モンスターエナジー」の文字を多用しているだけではなく、併せて使用商標と同一視できる商標を使用していることからすれば、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当である。

(ウ)したがって、使用商標は、申立人商品である「エナジードリンク」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められる。

しかしながら、使用商標は、申立人が提出した証拠及び同人の主張からすれば、商品「エナジードリンク」以外の商品及び役務について、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、黒色の水滴と思しき図形(以下「水滴図形」という。)に、当該水滴図形の膨らみの右中程から中央にかけて斜線と直線からなる1本の線で表したような切り込みを白抜きで表してなる図形(以下「水滴図形の中に切り込み線がある図形」という。)からなる商標であるところ、本件商標は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているとういうべき事情は認められないから、特定の称呼及び観念は生じないものである。

イ 引用商標

引用商標は、別掲3のとおり、爪の図柄からなるもので、使用商標と同じ形状のものである。

そして、引用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当であることから、引用商標は、称呼については、特定の称呼を生ずるものではないとしても、観念については、「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

別掲1のとおりの構成からなる本件商標と別掲3のとおりの構成からなる引用商標との類否を検討すると、本件商標は水滴図形の中に切り込み線がある図形からなる態様であるのに対して、引用商標は爪の図柄の態様からなるものであるから、両者の全体としての印象及びそれぞれの構成要素の相違から、その視覚的印象は異なるものであるから、両商標は、対比観察した場合のみならず、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、相紛れるおそれはないものである。

また、両商標は、称呼において、ともに特定の称呼を生じないものであるから、比較することはできない。

さらに、両商標は、観念において、本件商標は特定の観念を生じないものに対して、引用商標は「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれはない。

そうすると、両商標は、称呼において比較することはできないとしても、外観において明確に区別することができるものであり、観念において相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合勘案すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

エ 申立人の主張

申立人は、本件商標と引用商標の構成文字は、同一のアルファベットを大文字(M)で表記したものか小文字(m)で表記したものかの点で異なるにすぎず、「エム」の称呼、並びに「アルファベットの13番目の文字、ローマ数字の千」等の観念を共通にする類似のものである旨主張している。

しかしながら、本件商標を構成する水滴図形の中に切り込み線がある図形は、引用商標とその構成態様が明らかに相違するものである。

また、本件商標は、上記アのとおり、その構成全体からは特定の称呼及び観念を生じないものであり、引用商標は、上記イのとおり、称呼については、特定の称呼は生ずるものではなく、観念については、「申立人ロゴマーク」の観念を生じるものであるから、申立人の主張は採用することはできない。

オ 小括

以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性

ア 使用商標の周知性

使用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められるものである。

イ 本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度

本件商標と引用商標は、上記(2)ウのとおり、非類似の商標であり、別異の商標であるから、その類似性の程度は低いものである。

そして、本件商標と使用商標は、使用商標が引用商標と同一視できるものであるので、上記引用商標の場合と同様に非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

ウ 使用商標の独創性の程度

使用商標は、特定の事物等をモチーフにしたものではない図形であるから、その独創性の程度は高いといえる。

エ 本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商品との関連性、需要者の共通性

本件商標の指定商品及び指定役務には、「energy drink(エナジードリンク)」等の飲食料品等を含み、申立人商品とは「エナジードリンク」において共通にするものであり、その他の第32類の指定商品及び第30類の指定商品は、主に飲食料品店を通じて一般消費者に向けて流通する商品である点において関連性が有り、需要者を共通にする場合がある。

オ 混同のおそれ

使用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであり、上記ウのとおり、その独創性の程度は高く、上記エのとおり、一部の指定商品において商品の関連性が有り、需要者を共通にする場合があるとしても、上記イのとおり、本件商標と使用商標(引用商標を含む。)は、別異の商標であり、類似性の程度は低いものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

カ 小括

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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