結論テキスト
登録第6795135号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024900131 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6795135号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年7月21日に登録出願、第5類、第30類及び第32類に属する別掲2のとおりの商品を指定商品として、同6年4月1日に登録査定され、同月11日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして引用する商標は、以下のとおりであり
、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
登録第5431413号商標(以下「引用商標」という。)
商標の態様 別掲3
指定商品 第5類、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成22年10月27日
設定登録日 平成23年8月12日
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第524号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人のMONSTERブランドの周知著名性
申立人は、米国で2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、日本国内では2012年から現在まで、「MONSTER」(モンスター)の頭文字「M」とモンスターの爪の形状を象って創作した図柄(甲328)(以下「使用商標」又は「爪の図柄」という場合がある。)をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。
申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。
2002年以降現在まで継続して、申立人商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば「MONSTER ENERGY」「MONSTER ASSAULT」「MONSTER KAHOOS」「MONSTER M‐80」「MONSTER RIPPER」等が採用されている。これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)は同じデザインで統一され、中央の上部に爪の図柄を大きく目立つ態様で表示し、下方にブランド名の「MONSTER」の文字を特徴的な書体(甲416)で表示したデザインで統一されている(異議申立書の別紙1及び2。以下、別紙○のように標記する。)。
このような規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と、爪の図柄を大胆に配置した独創的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業は急速に業績を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。
国内では、2012年5月のMONSTERブランド初上陸以降、現在までに、2012年5月8日発売の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)発売以降、現在まで30種類以上(リニューアル商品を含む。)の申立商品を販売し、販売を継続している(別紙1)。
イ 広告宣伝活動
申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告官伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3~7)。
また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10~30代の若い世代(特に男性)に人気が高いF1自動車レース、ドリフト、モトクロスなどのモータースポーツ、スノーボード、スケートボードなどのエクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行い、また、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウント(別紙9)を開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERプランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。
ウ ライセンス商品の輸入差止
需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも2013年7月から度々発生している(別紙8)。
エ 国内外のおける商標登録
爪の図柄について、申立人は、引用商標をはじめとして、国内外において多数の商標登録取得している(甲517~甲524)。
また、爪の図柄が申立人の創作に係る独創的構成からなる創造標章であることから、申立人の本国米国では、爪の図柄の図案画の作品について著作権登録も取得している(甲515、甲516)。
オ ブランド認知度及び市場占有率
複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は既に25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であったことが明らかである。2013年以降も、申立人商品は着実に売上を伸ばしており、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく目立つ態様で表示された爪の図柄が人目を惹きつけ、男性のみでなく女性の間でもMONSTERブランドの認知度を高めてきた。2018年には、申立人商品の販売実績は1千万ケースに近づき、それまで首位の「レッドブル」を超えて市場占有率トップに立った(甲311~甲322、甲383~甲385、甲433)。
申立人商品は、2018年に国内エナジードリンク市場でトップシェアを獲得後は、首位を独走状態であり(甲448、甲476、甲479、甲489、甲505、甲514)、第三者の市場調査では2022年時点における申立人商品の市場担占有率は約40%であった(甲450)。
爪の図柄は、申立人商品のすべての個別製品に継続使用されているから、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、国内で流通する全エナジードリンク製品の約40%に申立人商品であることを表示する爪の図柄が使用されていたことが明らかである。
カ 小括
以上の事柄に照らせば、爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標の構成中、中央に大きく表示された爪様図形は、独立の出所識別標識として機能し得るものである。当該爪様図形は、不規則な輪郭線と細く尖った先端部を有する細長い帯様図形3本を概ね互いに平行かつ均等間隔で並べ、そのうち中央に位置するものを最も長くして構成されている点、各帯様図形の輪郭線が滑らかではなく、不規則な形状の微細な突起を多数有する点で、爪の図柄(引用商標)と基本的構造を同じくすることに加えて、その外観がモンスター、恐竜等の「鋭く尖った強靭な爪」の観念を喚起させる点で、爪の図柄から想起連想される観念と共通する。
したがって、本件商標と引用商標は、商品出所識別標識として相紛らわしい印象を取引者、需要者に与える類似のものであり、本件商標が使用される指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものであり、引用商標は、本件商標よりも先に登録出願されたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、申立人の使用に係る爪の図柄と外観の印象及びこれより想起連想される観念が類似するものであるから、両者の類似性の程度は極めて高い。
本件商標は、申立人が爪の図柄を出所識別標識として長年にわたり継続使用しているエナジードリンク(申立人商品)と同一の商品に使用されるものである。
本件商標のその他の指定商品もまた、申立人商品と同一又は類似のもの、あるいは、これと原材料、用途、販売場所、需要者を共通にするものであり、その関連性は極めて密接である。
爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして本件商標の指定商品の需要者の間で広く認識されていた。
本件商標の指定商品の最終的な需要者は一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
これらの事柄を総合すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る爪の図柄及び申立人会社を想起連想し、申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品役務の出所識別標識として広く認識されている爪の図柄の出所識別力を希釈化するおそれがあることが明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(1)使用商標の周知性
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など。)によれば、次のとおりである。
(ア)申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計25種類以上販売した(甲7~甲13、甲59、甲60、甲101、甲127、甲130、甲253、甲256、甲257、甲291、甲323、甲324、甲354~甲361、甲434~甲442、甲445、甲446、甲451、甲452、甲460、ほか)。
(イ)申立人商品のほとんどの種類の商品(の容器)には、使用商標が使用されている。(甲7~甲13など上記(ア)と同じ。)。
また、使用商標は、異なる色彩が施されて使用されているものであるが、その形状は引用商標と同一視できるものである。
(ウ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。
(エ)日本経済新聞社の2019年3月29日付け「(飲料HOT&COOL)モンスターエナジー、レッドブル超え」をタイトルとするウェブページには、「日経MJ」として、「飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」の記載がある(職権調査:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43024750Y9A320C1HE4A00/)。
(オ)2022年5月7日付け「モンスターエナジー、レッドブルを駆逐しトップ独走状態の秘密・・・周到な販売戦略」をタイトルとするウェブページには、「全国のドラッグストアのPOSデータをもとにした買物指数によると、エナジードリンクの火付け役だった「レッドブル・エナジードリンク」を抑え、モンスターエナジーの売り上げが独走状態になっている。今や日本国内のトップシェアを獲得しているのだ。」の記載がある(甲448)。
(カ)2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」のタイトルのもと、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(甲450)。
(キ)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。
(ク)JMR生活総合研究所による消費者調査No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。
(ケ)JMR生活総合研究所による消費者調査データNo.269「エナジードリンク(2018年5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査データNo.293「エナジードリンク(2019年5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)...」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。
(コ)JMR生活総合研究所による消費者調査No.365「エナジードリンク(2022年5月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「リアルゴールド」、2位が「レッドブル」で57.6%、3位が「モンスターエナジー」で55.4%であった(甲449)。
(サ)申立人及びアサヒ飲料株式会社(以下、両者をあわせて「申立人等」という。)は、我が国で申立人商品を発売以降ニュースリリース、ポスターなどの広告媒体や申立人等のキャンペーンの景品(Tシャツ、帽子、ギター等)に使用商標を使用しており、また、申立人等以外のウェブページ等の広告媒体においても、申立人商品を紹介する際に、使用商標が使用されている(甲58、甲63、甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124、甲132、甲162、甲163、甲165、甲241、甲251、甲256、甲258~甲260、ほか)。
イ 上記アからすれば、以下のとおり判断できる。
(ア)申立人等は、我が国において、2012年5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで25種類以上の申立人商品を販売してきた。
そして、2013年にはエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースでエナジードリンクの販売シェア第2位であり、その後、申立人商品は2018年に1千万ケースに近づいた頃に販売シェア第1位となり、それ以後2022年まで毎年販売シェアの40%前後を有し、継続して第1位であると推認することができる。
また、エナジードリンクのブランド認知度の調査において、申立人商品「モンスターエナジー」は、2014年にジャストシステムが行った調査において47.6%、JMR生活総合研究所が行った調査において31%で、いずれも第2位の認知度がある結果であり、その後、JMR生活総合研究所の2016年、2018年及び2019年の調査では「リアルゴールド」「レッドブル」とともに上位3位を占めており、同調査の2022年では55.4%で第3位であったことが認められる。
そうすると、申立人商品は、本件商標の登録出願日(令和5年(2023年)7月21日)以前から、登録査定日(令和6年(2024年)4月1日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえるものである。
(イ)次に、申立人商品の商標の使用について検討すると、上記ア(イ)のとおり、ほとんどの申立人商品の容器の側面に使用商標が認められ、上記ア(サ)のとおり、商品の広告等においても、使用商標が使用されていることが認められる。
(ウ)そうすると、申立人商品(エナジードリンク)は、需要者の間に広く認識されているものであるから、これらのほとんどの商品の容器(包装)に付され、その広告等においても用いられている使用商標は、商品「エナジードリンク」との関係では、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものというのが相当である。
なお、使用商標は、申立人商品(エナジードリンク)以外のその他の商品及び役務については、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、太い黒色の円輪郭(輪郭を構成する線の中に植物の茎のような模様の複数の図形が白抜きで表されている。)(以下「輪郭図形」という。)の中に、不規則な大きさの異なる突起を有する3本の線が右下から左上に向かい斜めにやや湾曲をしながら上部に向かうにしたがい先端が細くなっていく態様で描いてなる図形(以下「中央図形」という。)からなるものである。
そして、本件商標は、我が国では特定の事物等を表したものとして知られているものではないことから、その構成全体より特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、一般に輪郭内に表された図形が看者の注意を強く引く部分といえるものであり、本件商標の中央図形は、独立して自他商品の識別標識の機能を有するといえるものであるが、我が国では特定の事物等を表したものとして知られているものではないことから、該図形部分より特定の称呼及び観念は生じないものである。(以下、本件商標の中央図形を「本件商標の要部」という。)。
イ 引用商標
引用商標は、別掲3のとおり、爪の図柄からなるもので、使用商標と同じ形状のものである。
そして、使用商標が上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当であることから、引用商標は、称呼については、特定の称呼を生ずるものではないとしても、観念については、「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
別掲1のとおりの構成からなる本件商標と別掲3のとおりの構成からなる引用商標の類否を検討すると、両商標は、全体の外観において、輪郭図形の有無等の差異があり明確に区別できるものである。
次に、本件商標の要部と引用商標の類否を検討すると、両者は、不規則な大きさの異なる突起を有する3本の線状の図形であることは共通するものの、その突起の形状は異なるもので、本件商標の要部は、右下から左上に向かい斜めにやや湾曲をしながら上部に向かうにしたがい先端が細くなっていく態様であるのに対して、引用商標が上部からまっすぐ下に向かって次第に細くなる態様であることから、構成の軌を異にするものであり、ほかに、本件商標の要部は線の間隔が左上部に向かうにしたがい広くなっていくのに対して、引用商標は3本の縦線の間隔が上部から下部までほぼ一定である点、また、本件商標の要部は3本の線が離れた態様であるに対して、引用商標は各線の上部の左端の突起部分により3本の線が繋がった態様である点において相違する。
そうすると、本件商標の要部と引用商標は、上記の相違点を踏まえれば、両者の全体としての印象及びそれぞれの構成要素の相違から、その視覚的印象は異なるものであるから、両商標は、対比観察した場合のみならず、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、相紛れるおそれはないものである。
そして、観念について、本件商標は、特定の観念を生じないに対して、引用商標は、「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。
さらに、称呼について、本件商標と引用商標は、ともに特定の称呼を生じないものであるから、称呼上、比較することはできない。
してみると、本件商標と引用商標は、称呼において比較することができないものであるものの、外観及び観念において相紛れるおそれがないことから、これらを総合勘案すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 使用商標の周知性
使用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められるものである。
イ 本件商標と引用商標及び使用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記(2)ウのとおり、非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
そして、本件商標と使用商標は、使用商標が引用商標と同一視できるものであるので、上記引用商標の場合と同様に非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
ウ 使用商標の独創性の程度
使用商標は、特定の事物等をモチーフにしたものではない図形であるから、その独創性の程度は高いといえる。
エ 本件商標の指定商品と申立人商品との関連性、需要者の共通性
本件商標の指定商品は、サプリメント、食餌療法用食品・飲料・薬剤のほか、飲料や氷、調味料や香辛料菓子、エナジードリンクなどの飲食料品であり、申立人商品とは、「エナジードリンク」で共通し、その他の指定商品についても、主に飲食料品店を通じて一般消費者に向けて流通する商品である点で、販売部門や流通経路に関連性があり、需要者層も重複する場合があるといえる。
オ 混同のおそれ
使用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであり、上記ウのとおり、その独創性の程度は高く、上記エのとおり、商品の関連性及び需要者の共通性があるとしても、上記イのとおり、本件商標と使用商標(引用商標を含む。)は、別異の商標であり、類似性の程度が低いものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
カ 小括
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、商標権者がこれを本件商標の指定商品に使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合や国際信義に反する場合に該当するという事情を見いだすこともできない。
そして、本件商標を登録出願するにあたり、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当するという事情を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ではないことから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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