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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024900243
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6843965号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6843965号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1の構成からなり、令和6年1月30日に登録出願、第9類「眼鏡型携帯情報端末,コンピュータ周辺機器,データ処理装置用カプラー,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用保護フィルム,ヘッドホン,携帯型メディアプレーヤー,蓄電池,携帯式充電器,電源アダプター,ワイヤレス充電器,携帯電話機用蓄電池,電気アダプター,バッテリーチャージャー,バッテリーパック,イヤホン」を指定商品として、同年9月6日に登録査定され、同月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由において引用する登録第2287066号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和58年5月4日登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録され、その後、同15年6月11日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具用のコネクター・端子・スイッチ,電気通信機械器具用のコネクター・端子・スイッチ,電子応用機械器具用のコネクター・端子・スイッチ」とする指定商品の書換登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。

以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を甲1のように簡略して記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号の記載を省略して記載する。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標は、別掲1のとおり、「AMPSENTRIX」と表されてなるところ、このように長い文字数から構成され、一見して特定の意味合いを有する語として把握し難い欧文字にあっては、語頭の文字のみが記憶・印象に残る傾向にあるといえる。

そして、申立人が、本件商標の指定商品の分野において、引用商標を始めとして「AMP」を語頭に有する商標を多数登録し(甲3)、その指定商品について使用してきた実情があることにも照らすと(甲4~甲13)、本件商標は、視覚上、「AMP」と「SENTRIX」とに分離され、前半部の「AMP」が着目されやすいものであることは明白である。

したがって、本件商標にあっては、「AMP」と「SENTRIX」の各文字が容易に分離して看取され、前半部の「AMP」の文字のみが自他商品等識別機能を発揮する要部として需要者・取引者をして認識され、当該文字に照応した「エーエムピー」又は「アンプ」の称呼のみをもって、本件商標が実際の商取引に資されることも少なくないといい得るものである。

(2)引用商標は、「AMP」の欧文字をもって表されてなり、当該文字に照応して「エーエムピー」又は「アンプ」の称呼が自然に生ずるものである。

(3)してみれば、本件商標と引用商標は、「エーエムピー」又は「アンプ」の称呼を共通にする、称呼上類似する商標といえ、本件商標の指定商品中の「電源アダプター,電気アダプター」と引用商標の指定商品は、同一又は類似のものである。

よって、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、本件商標の指定商品中「電源アダプター,電気アダプター」も、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人及び「AMP」の周知・著名性について

申立人は、1941年に創業されたエアクラフト・アンド・マリン・プロダクツ(Aircraft and Marine Products:AMP)を前身とし、我が国を含め世界約140か国で、主にコネクター製品を中心として各種電気・電子部品の製造・販売を行う世界最大の電気・電子部品メーカーである。

その創業以来、約85年の長きにわたって、自動車・航空機・鉄道・宇宙・軍用機器・医療・エネルギー・生活家電・通信・人工知能・各種産業機器等の多岐にわたる産業においてコネクター製品を提供し続け、2024年の全世界における申立人の業務に係る製品の製造個数は約2,350億個、その総売上高は約158億ドル(約2兆3,700億円)、研究開発費は7.8億ドル(約1,170億円)にも上った。

そして、「AMP」の文字は、その創業時の名称(Aircraft and Marine Products)の頭文字に由来し、申立人のコネクター製品等の名称として全世界で使用され続けてきた結果、当該製品の品質・技術力について高い評価を獲得すると共に、全世界において「AMP」の名称も著名に至っている(甲14、甲15)。

また、我が国においては1957年に日本法人(現TE Connectivity Japan合同会社)を設立して事業を開始して以来、現在に至るまで、日本国内でも「AMP」及び「AMP」を含む名称のコネクター製品が多数取り扱われており(甲4~甲13、甲16、甲17)、我が国においても「AMP」の文字が周知・著名となっていることは明らかである。

(2)出所混同のおそれについて

申立人の使用に係る「AMP」が、1941年から現在に至るまで、およそ85年にわたり、申立人の業務に係るコネクター製品等の名称として使用されており、自動車・航空機・鉄道・宇宙・軍用機器・医療・エネルギー・生活家電・通信・人工知能・各種産業機器等の多岐にわたる分野の業界において著名であることは、上記(1)のとおり明らかである。

また、本件商標と、申立人の業務に係る「AMP」とは、上記1のとおり、「エーエムピー」又は「アンプ」の称呼を共通にし、外観上見誤るおそれがあるとともに、申立人が「AMP」や「AMP」を語頭に含む登録商標を多数保有し、これらを付したコネクターを始めとする電気・電子部品・製品に長年使用していることも考慮すると、「AMP」の高い著名性と相まって、本件商標は、「AMP」関連の一群の商標と認識され得るものである。

したがって、著名な「AMP」商標との関係性を容易に想起させる本件商標が付された本件指定商品が、実際の商取引に資された場合、これに接した需要者・取引者は、申立人あるいは関連会社の商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。

(3)小括

以上のとおり、申立人が「AMP」と密接な関連性を印象付ける本件商標は、これが使用された場合、申立人の製品を容易に想起又は連想させ、申立人あるいは関連会社の業務に係る商品であると商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第7号について

(1)本件商標権者と申立人は、本件商標の登録出願日である2024年(令和6年)1月30日に先立って、2023年3月24日に、本件商標の取扱いに関して全世界で効力を有する合意書を締結しているところ(甲18)、当該合意書において、商標権者は、欧州商標登録出願の指定商品をパラグラフ2に規定の商品内容に限定すること(電気・電子部品に該当する商品を除外すること)に同意すると共に、パラグラフ5.1に規定のとおり、アダプター関連の商品については携帯電話用のものに限ってその使用及び登録を許容されることに同意している。

そして、上記合意書は、パラグラフ13において、全世界において有効である旨が規定されていることから、上記商品の限定は、我が国の登録出願についても当然に適用されるべきものである。

そうすると、「電源アダプター,電気アダプター」をその指定商品に含む本件商標は、上記の合意の範囲を超えて出願・登録がなされたものであるから、その出願経緯に照らすと、本件商標は、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するというべきであって、著しく社会的相当性を欠くものであるから、商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ず、公の秩序又は善良の風俗を害するものである。

なお、本件異議申立てに先立って、上記合意書の存在を前提として、本件商標の登録出願時の代理人に指定商品「電源アダプター,電気アダプター」について登録を放棄するよう申し入れをしたところ、これに同意する旨の回答を受けており、これは、本件商標権者が契約に違反して出願したことを認識したに他ならず、上記指定商品が取り消されるべきものであることを裏付けている。

(2)小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断

1 引用商標の周知性について

申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(1)申立人及び「AMP」について

ア 申立人は、1941年に創業されたエアクラフト・アンド・マリン・プロダクツ(Aircraft and Marine Products:AMP)社を前身とし、我が国を含め世界約140か国で、主にコネクター製品を中心として各種電気・電子部品の製造・販売を行う世界最大の電気・電子部品メーカーである。

2024年の世界全体における、申立人の業務に係る製品の製造個数は、約2,350億個、その総売上高は約158億ドル(約2兆3,700億円)、また、研究開発費は7.8億ドル(約1,170億円)であること、並びに、約130か国に申立人に係る製品のユーザーがおり、世界中で15,000件以上の特許を取得し、100か所以上の製造・技術センター及び85,000人以上の従業員を有していることがうかがえる(甲14、甲15、申立人の主張)。

イ 「AMP」の文字は、申立人の創業時の名称(Aircraft and Marine Products)の頭文字に由来し、同人の製造・販売に係るコネクター製品(以下「申立人使用商品」という。)等の名称として全世界で使用され、また、我が国においては、1957年に日本法人(現TE Connectivity Japan合同会社)を設立して事業を開始して以来、現在に至るまで、日本国内でも「AMP」及び「AMP」を含む名称の申立人使用商品が多数取り扱われている(甲4~甲17、申立人の主張)。

(2)判断

申立人は、1941年に創業し、コネクターやセンサーなどの電気・電子部品の製造・販売を行ってきており、130か国以上の国において取引があり、2024年には申立人の製造に係る製品が約2,350億個、その総売上高が約158億米ドルであることがうかがえ(甲14、甲15)、我が国においても、申立人の日本語ウェブサイトを通じて、「AMP」及び「AMP」を含む名称のコネクターを始めとする申立人使用商品が紹介されていることが認められる(甲4~甲13)。

しかしながら、2024年における申立人の製造・販売に係る製品の製造総個数及び総売上高に占める「AMP」及び「AMP」を含む名称の申立人使用商品の製造数や販売数などの数値、当該商品の全体に対する比率は不明であり、さらに、「AMP」及び「AMP」を含む名称の申立人使用商品の我が国における販売数、売上高、市場シェアなど取引実績並びに申立人のウェブサイト以外の広告宣伝の期間、規模、頻度、費用などの広告宣伝に関する主張はなく、それを示す証左も見いだせない。

そうすると、申立人提出の証拠によっては、我が国における売上高、市場比率(販売シェア)等の量的規模を客観的な使用事実に基づいて、引用商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。

また、他に、「AMP」及び「AMP」を含む名称のコネクター等の電気・電子部品が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る事情は見いだせない。

そうすると、「AMP」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、「AMPSENTRI」の欧文字を同書同大等間隔で表し、末尾の「X」の欧文字をデザイン化して、「AMPSENTRIX」とまとまりよく一体に表されており、構成中のいずれかの文字部分が看者に強い印象を与えるような態様ではなく、また、その構成全体から生じる「アンプセントリックス」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではない。

そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成中「AMP」の文字部分を商品の品質、用途等を表示したものとして認識させることなく、むしろ、「AMPSENTRIX」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、その構成全体から「アンプセントリックス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲2のとおり、「AMP」の欧文字を太文字で横書きしてなるところ、当該「AMP」の文字は「amplifier」又は「ampere」の英語の略「amp」として辞書に載録されている英単語(いずれも「新英和中辞典 第7版」研究社)であることから、それぞれの英語が意味する「増幅器」又は「電流の単位」の観念を生じる余地があり、その構成文字に相応して、「エーエムピー」又は「アンプ」の称呼が生じるものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標を比較すると、両者は、外観において、語頭部の「AMP」の文字を共通にするものの、「SENTRIX」の文字の有無の差異において、明らかに相違するものであるから、両商標は、外観において互いに紛れるおそれがない。

次に、称呼においては、本件商標から「アンプセントリックス」の称呼が生じるのに対し、引用商標から「エーエムピー」又は「アンプ」の称呼が生じるところ、それぞれの音構成や音数が異なることから、両商標は、称呼において互いに聞き誤るおそれがない。

さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標からは「増幅器」又は「電流の単位」の観念を生じるから、両商標は、観念において紛れるおそれはない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標というべきである。

その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき理由は見いだせない。

してみれば、本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるとしても、上記のとおり引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知性について

上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間で広く認識されていたものと認めることができないものである。

(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について

上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両商標の類似性の程度は低いというべきである。

(3)出所の混同のおそれについて

上記(1)及び(2)からすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。

また、本件商標と引用商標とは、類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品中、申立てに係る商品について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

(4)小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第7号該当性について

(1)商標法第4条第1項第7号の解釈について

商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(平成17年(行ケ)第10349号判決)。

しかしながら、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨などからすれば、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(知財高裁平成19年(行ケ)第10391号 同20年6月26日判決)。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標と引用商標は、上記2のとおり、非類似の商標であり、また、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているとは認めることができないものである。

そうすると、本件商標は、引用商標の持つ顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)したり、信用・名声・顧客吸引力を毀損するなどの不正の目的をもって使用するものであると認めることもできないから、これをその指定商品中、申立てに係る商品について使用をすることが商道徳に反するものということはできない。

その他、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものでもなく、申立人が提出した証拠からは、本件商標が国際信義に反し、あるいは、本件商標の出願の経緯に著しく社会的相当性を欠く等の事実は見当たらず、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般道徳観念に反し、商取引の秩序を乱すものともいえない。

(3)申立人の主張について

申立人は、本件商標権者と申立人との間で、本件商標の登録出願の日に先立って、本件商標の取扱いに関して、商標権者が、欧州商標登録出願の指定商品から、電気・電子部品に該当する商品を除外すること、及び、アダプター関連の商品については携帯電話用のものに限ってその使用及び登録を許容されることに同意し、それらの合意事項については全世界で効力を有する旨を記載した合意書を締結しているところ、上記商品の限定は、我が国の登録出願についても当然に適用されるべきであるから、「電源アダプター,電気アダプター」をその指定商品に含む本件商標は、上記合意の範囲を超えて登録出願・登録がなされたものであるから、その出願経緯に照らすと、本件商標は、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するというべきであって、著しく社会的相当性を欠くものであるから、商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ず、公の秩序又は善良の風俗を害するものである旨、主張している。

しかしながら、申立人の当該主張は、本件商標権者と申立人との間における私的な合意に基づく問題であって、あくまでも当事者同士の私的な問題として解決すべきであり、私人間の合意に反する出願、登録が、商標法の予定する公正な競業秩序に反し、社会的相当性を欠くものであるということはできない。

その他、本件商標が不正の利益を得る目的をもって剽窃的に登録出願したものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことができない。

(4)小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第9類「電源アダプター,電気アダプター」について、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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