結論テキスト
国際商標登録第1766544号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025685009 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由
本件国際登録第1766544号商標(以下「本件商標」という。)は、「ESSENTIAL ENERGY」の文字を横書きしてなり、2023年5月23日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し令和5年(2023年)11月14日に国際商標登録出願、第32類「Energy drinks; soft drinks; sports drinks; non-alcoholic carbonated beverages; guarana-based drinks and beverages; fruit flavored drinks.」(以下「本件指定商品」という場合がある。)を指定商品として、令和7年1月30日に登録査定、同年2月28日に設定登録されたものである。
登録申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第69号証(枝番号を含む。以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当する理由
ア 「ESSENTIAL ENERGY」の文字から一般に認識される意味
本件商標の構成中の「ESSENTIAL」の文字は、英語で「(・・・にとって)不可欠の、(絶対に)必要な、きわめて重要な」等を意味する語「essential」に相応するものであり(甲2)、その音訳「エッセンシャル」は、「広辞苑」、「日本語になった外国語辞典」などの辞書類に掲載される程度まで外来語として親しまれている(甲3、甲4)。
本件商標の構成中の「ENERGY」の文字は、英語で「仕事に必要な力、(・・・するための)精力、活力、エネルギー」等を意味する語「energy」に相当するものであり(甲5)、その音訳の「エナジー」及び「エネルギー」は、「広辞苑」、「日本語になった外国語辞典」などの辞書類に掲載される程度まで外来語として親しまれている(甲6、甲7)。
したがって、本件商標は、平易な英単語であり外来語としても親しまれている「ESSENTIAL」及び「ENERGY」の2語を結合したものであると容易に認識、理解されるものである。
本件商標が使用される指定商品は、第32類の飲料製品であり、これらは「食品」の産業部門に属する商品である。
一般に、食品及び飲料の類は、生命及び健康を維持するために不可欠なエネルギー(熱量)を生成するものとして捉えられるから、これらの商品に表示された「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、「必須エネルギー(熱量)」、「不可欠のエネルギー(熱量)」ほどの意味合いとして一般に認識、理解されるということができる。
よって、本件商標がその指定商品に使用された場合は、「(生命や健康の維持のための)必須エネルギー(熱量)、不可欠のエネルギー(熱量)を産生、供給、補給する商品」であること、すなわち、当該商品の品質、用途、効能等を表示するものとして認識、理解されるに止まり、自他商品識別標識として機能し得ないものであるとみるべきである。以下、この点について詳述する。
イ 本件指定商品に関する「ESSENTIAL」及び「ENERGY」の使用の実情
被申立人は、本件商標の審査過程で発送された商標法第3条第1項第3号の暫定拒絶通報(甲8)に対して提出した意見書の第2頁(甲9)において、英単語の「ESSENTIAL」と「ENERGY」を組み合わせた「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、「既存の英熟語ではないため、この二つの単語の組み合わせは、特に決まった意味や観念を有するものではありません。」と述べ、「これらいずれの英単語も抽象的な概念を意味する単語ですので、この二つの英単語を組み合わせた『ESSENTIAL ENERGY』は、『本質的な精力』、『完全な気力』、『絶対的な活力』等、更に一層抽象的かつ曖昧模糊とした意味合いを生ずることとなります。そして、上記のような抽象的かつ曖昧模糊とした意味合いのいずれも、本願商標の指定商品の味などの品質、原材料、販売地、形状、特徴等のいずれかを具体的に記述するものにはなり得ません。」などと主張した結果、審査官は当該拒絶理由を撤回した。
しかし、本件商標を構成する「ESSENTIAL ENERGY」の文字からいかなる意味、観念が一般に認識されるか、そして、本件商標が本件指定商品の自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、本件商標の構成語の語義のみならず、本件商標の構成全体、並びに、本件指定商品に関連する商品分野における当該構成語の使用の実情を十分に勘案し、その取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものである。
本件商標を構成する「ESSENTIAL」及び「ENERGY」の各語が辞書類に採録されている一般に知られた平易な英単語であり、しかも、その音訳は外来語の「エッセンシャル」及び「エナジー、エネルギー」として広く親しまれているものであることは先に述べたとおりであるが、それだけにとどまらず、「ESSENTIAL」及び「ENERGY」の各語(その音訳も含む)は、以下に詳述するように、食品産業部門の商品、殊に、本件指定商品が含まれる加工食品の分野において、当該商品の品質、用途、効能等を記述する表示として不特定多数の取引者によって現に使用されているという取引の実情が存在する。
(ア)「ESSENTIAL(エッセンシャル)」の使用の実情
エナジードリンクその他の本件指定商品を含む様々な加工食品の商品名、商品情報、宣伝広告等において「ESSENTIAL」及び「エッセンシャル」の語が「必要不可欠な栄養成分等を供給、補給する商品」であること、すなわち、当該商品の品質、用途、効能等を記述する表示として異なる多数の取引者によって現に使用されている事実がある(甲10~甲36)。
このような取引の実情に照らせば、本件指定商品に使用される「ESSENTIAL」の文字は、その商品の品質、用途、効能等を表示したものとして認識、理解されるに止まり、自他商品識別標識として機能しないとみるべきである。殊に、「ESSENTIAL」の文字をエナジードリンク(本件指定商品)の品質等を記述する語である「ENERGY」の文字のみと組み合わせた場合、自他商品識別標識として機能し得ないことは明白である。
特許庁の審査事例においても、「食品」の産業部門の商品に使用される「ESSENTIAL」及びその音訳「エッセンシャル」の文字については自他商品識別力が無いとの認定判断がなされている(甲37、甲38)。
これは、食品の取引界において「ESSENTIAL」及び「エッセンシャル」の語がその商品の品質等(必要不可欠な栄養成分を供給、補給する商品)を記述するための表示として一般的に使用されている取引の実情を斟酌されての庁の判断であると思料する。
(イ)「ENERGY(エナジー、エネルギー)」の使用の実情
エナジードリンクその他の本件指定商品を含む様々な加工食品の商品名、商品情報、宣伝広告等において「ENERGY」及び「エナジー/エネルギー」の語が「エネルギー、熱量」を意味する表示として、そして、「エネルギー(熱量)を産生、供給、補給する商品」、「注意力や運動能力を高める商品」といった当該商品の品質、用途、効能等を記述するための表示として、不特定多数の取引者によって現に使用されている事実がある(甲18、甲39~甲64)。
上記の取引実情に加えて、「ENERGY」の文字に関しては、その音訳「エネルギー」、並びに、「ENERGY」と同義の語である「熱量」が本件指定商品の流通及び取引の過程においてその商品の栄養成分(すなわち品質)を表示するために取引者が使用することが必要不可欠な表示である点にも留意すべきである。
消費者庁作成パンフレットが示すとおり、平成27(2015)年4月1日に施行された食品表示法に基づく食品表示基準によって、容器包装に入れられた一般用加工食品及添加物については、その栄養成分として熱量、たんばく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)の5項目の表示が義務化されている(甲65、甲66)。また、上記の栄養成分中の「熱量」については、「熱量」の文字に代えて「エネルギー」の文字を使用することが認められている。消費者庁作成の当該パンフレットにも「※熱量はエネルギーと表示できます。」との注釈があり、「エネルギー」の文字を使用した栄養成分の表示例も記載されている。
本件指定商品は「容器包装に入れられた一般用加工食品」に該当するものであるから、その製造販売業者は、当該商品の容器包装に「熱量(エネルギー)」を含む上記5項目の栄養成分を表示することが必要である。
こうした取引実情を踏まえれば、本件指定商品の取引界では、「ENERGY」の語は食品表示基準で表示が義務化された栄養成分の一つである「熱量(エネルギー)」と同義の語として容易に認識、理解されるものである。
したがって、本件指定商品に使用される「ENERGY」の文字は、その商品の栄養成分すなわち品質を表示するものとして認識、理解されるに止まり、自他商品識別標識として機能し得ないことが明白である。
特許庁の過去の事例においても、加工食品に使用される「ENERGY」の文字は、その商品の栄養成分すなわち品質の表示に該当し、自他商品識別標識としての機能を有するとはいえないと認定判断されている。
すなわち、「ENERGY」及び「エネルギー」の文字からなる商標登録第4294217号(指定商品「第30類 菓子及びパン,穀物の加工品,アーモンドペースト,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,酒かす」)に対する登録異議申立事件(平成11年異議第91432号)の異議決定は、商標法第3条第1項第3号の規定に違反するものとして当該登録を取り消した(甲67)。
また、上記異議決定日より後の2010年に上記事案の権利者と同一人が新たに出願した商願2010-048919「ENERGY」(指定商品「第29類 芋・海草・野菜・果実・豆類又は乳製品を主原料とする粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品」及び「第32類 清涼飲料,果実飲料」)についても、特許庁から拒絶査定(第3条1項各号違反)が発送され、その査定不服審判請求中の請求取下により拒絶査定が確定している(甲68)。
なお、食品表示法により表示が義務化された熱量(エネルギー)等の5項目の栄養成分は、まさに生命及び健康の維持のために不可欠な栄養成分である。前掲の消費者庁作成の栄養成分表示に関するパンフレットは、「これらの5つの項目は、生命の維持に不可欠であるとともに、日本人の主要な生活習慎病と深く関わっています。どの栄養成分がどのくらい含まれているのかは、食品を見ただけでは分かりませんが、それを分かるようにしたのが栄養成分表示です。栄養成分表示は、健康づくりに役立つ重要な情報源になります。」と解説している(甲66)。
つまり、本件指定商品の容器包装に表示が義務づけられている熱量(エネルギー)等の栄養成分は、生命及び健康の維持に不可欠な栄養成分、すなわち、「エッセンシャル(ESSENTIAL)な栄養成分」なのであり、そのようなエッセンシャルな栄養成分の一つが「熱量/エネルギー(ENERGY)」なのである。
ウ 本件指定商品に使用される「ESSENTIAL ENERGY」から認識される意味
本件商標が使用される商品は、エナジードリンク(energy drinks)等の第32類の飲料類である。特許庁で指定商品として採択可能な商品名に関して、エナジードリンクは、「第32類 エナジードリンク」との商品名が許容される以前は、「エネルギー補給用清涼飲料」、「エネルギー補給のための清涼飲料」といった商品名で表示されていた商品である。エナジードリンクは、一般的には、アルギニン、ナイアシンなどのアミノ酸、ビタミン類、カフェイン、ガラナ、糖類などを含有する清涼飲料であり、「エナジードリンク」との一般名が示すとおり、「エネルギー」を補給する成分、用途、効能の飲料として一般に認識されている。実際に、エナジードリンクの摂取による疲労回復、活力増強、集中カアップ、肉体疲労時のリフレッシュ、運動時(持久系および瞬発系の競技)のパフォーマンスの向上などが知られている。
そして、上記イで詳述したとおり、本件指定商品を含む加工食品においては、「ESSENTIAL」及び「ENERGY」の各語(これらの音訳を含む)がその商品の品質、用途、効能等の表示として不特定多数の取引者によって現に使用されているという取引の実情が存在する。さらには、本件指定商品を含む容器包装に入れられた加工食品については、食品表示法による栄養成分表示に基づき、「ENERGY」の音訳「エネルギー」又はこれと同義の語「熱量」をその容器包装に表示することが必要不可欠であるという取引の実情が存在する。
このような本件指定商品の性質並びに当該商品に関する取引実情を踏まえれば、「ESSENTIAL」と「ENERGY」の2語を結合させた「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、本件指定商品との関係においては、その構成全体をもって、「(生命及び健康の維持ための)必須エネルギー(熱量)、不可欠のエネルギー(熱量)」を意味するものとして取引者、需要者によって容易に認識されるといえる。本件指定商品との関係においては、これ以外の具体的な意味が「ESSENTIAL ENERGY」の字から認識されることは考え難い。
したがって、本件商標が本件指定商品に使用された場合、取引者、需要者は単に当該商品の品質、用途、効能等、つまり「(生命及び健康の維持ための)必須エネルギー(熱量)、不可欠のエネルギー(熱量)を産生、供給、補給する商品」であることの表示として「ESSENTIAL ENERGY」の文字を認識するに過ぎないから、本件商標は商品出所識別標識としての機能を有しないことが明らかである。
なお、本件商標の審査過程で発送された前掲の暫定拒絶通報において「ESSENTIAL ENERGY」の文字からは「products for providing completely necessary energy」(必須エネルギーを供給する製品)といった意味が一般に認識されるとの担当審査官の認定に対して、被申立人は、「必須エネルギー」、すなわち、「一日に必要なカロリー」は、年齢、性別、体格等によって異なり、あらゆる需要者に対して「必須エネルギーを供給する製品」というものは存在し得ないから「ESSENTIAL ENERGY」の文字から需要者が上記意味合いを認識することはあり得ない、といった主張を前掲の意見書で行った(甲9)。
しかしながら、一般に、本件指定商品の一食分(一本、一個、一袋)で「必須エネルギー」すなわち「一日に必要なカロリー」の全量が摂取できると考える需要者はまずいないであろう。需要者は、必須エネルギー(-日に必要なカロリー)の全量の一部(例えば、その3分の1や4分の1の量)を補給したり、その一部に貢献したりするのに役立つ商品として「ESSENTIAL ENERGY」の文字の意味を理解するとみるのが自然である。その商品が必須エネルギー(-日に必要なカロリー)の全量を供給できるものであるか否かに関わりなく、取引者、需要者が「ESSENTIAL ENERGY」の文字を本件指定商品の品質、用途、効能等(必須エネルギーを産生、供給、補給する飲料及びエナジードリンク)を表示するものとして一般に認識することについて本質的な違いはない。
なお、たとえ「ESSENTIAL ENERGY」の文字が本件指定商品の品質等の表示として現実に使用されている事実が確認できなくとも、当該文字からは「(生命及び健康の維持のための)必須エネルギー(熱量)、不可欠のエネルギー(熱量)を産生、供給、補給する商品」といった意味以外に格別の観念(すなわち、取引者、需要者をして「ESSENTIAL ENERGYを本件指定商品の出所識別標識として認識させるに足る格別の観念)は生じないから、本件商標に接する取引者、需要者はこれを本件指定商品の品質等を表示するものとして一般に認識するとみるべきである。
この点について、商標法第3条第1項第3号の特許庁商標審査基準(以下「審査基準」という。)は、「商標が、その指定商品又は指定役務に使用されたときに、取引者又は需要者が商品又は役務の特徴等を表示するものと一般に認識する場合、本号に該当すると判断する。一般に認識する場合とは、商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして、現実に用いられていることを要するものではない。」と規定している。
さらに、「商標法第3条第1項第3号は、取引者・需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年(行ケ)第76号審決取消請求事件、東京高裁、同年9月4日判決、甲69)。
エ 小括
商標法第3条第1項第3号の審査基準は「商品又は役務の特徴等を表示する2以上の標章からなる商標については、原則として、本号に該当すると判断する。」と規定している。この点について、本件商標の構成語「ESSENTIAL」及び「ENERGY」のそれぞれが本件指定商品を含む加工食品の分野でその商品の品質、用途、効能等の表示として一般的に使用されていることが先に引用した多数の使用例から明らかである。したがって、これらの2語を結合したにすぎない本件商標は、当該審査基準に従って、本号に該当するというべきである。
また、これらの2語の結合である「ESSENTIAL ENERGY」からは、本件指定商品の品質、用途、効能等を表示・記述するに止まる「(生命及び健康の維持のための)必須エネルギー(熱量)、不可欠のエネルギー(熱量)を産生、供給、補給する商品」との意味が容易に認識されることも先に詳述したとおりである。
これらすべての事柄を総合すれば、本件指定商品に使用される「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、その商品の品質等を具体的、直接的に表示したものとして取引者、需要者によって一般に認識されるものであることが明らかである。
したがって、本件指定商品に使用される「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、自他商品識別力を欠き、商品出所識別標識として機能し得ないものである。
さらに、このような識別力を欠く表示は、本件指定商品との関係で、取引者が使用する必要があり、また、何人もその使用を欲するものであるから、特定人に商標としてその独占使用を認めることが公益上適当ではないこともまた明らかである。
本件商標の構成に係る「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、一般的な活字体の英文字の大文字で「ESSENTIAL」と「ENERGY」をスペース1文字分の間隔を置いて横書きしたものであるから、本件商標は、本件指定商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。
よって、本件商標は商標法第3条第1項第3号の規定に違反して登録されたものであることが明らかである。
(2)本件商標が商標法第3条第1項第6号に該当する理由
先に詳述したように、本件指定商品の取引界において、「ESSENTIAL」及び「ENERGY」の語、並びにこれらの音訳「エッセンシャル」及び「エナジー、エネルギー」は、その商品の品質、用途、効能等を表示するために不特定多数の取引者が宣伝広告等に一般に使用している表示であり、さらにまた、「ENERGY」の文字は、食品表示法により本件指定商品の容器包装に表示が義務付けられている栄養成分中の「熱量(エネルギー)」と同義の語であるから、「ESSENTIAL」及び「ENERGY」はいずれも本件指定商品との関係において明らかに自他商品識別力を欠く。
したがって、これらの2語を普通に用いられる方法で結合したにすぎない「ESSENTIAL ENERGY」の文字が本件指定商品に使用される場合は、当該商品が「(生命及び健康を維持するために)必須のエネルギー(熱量)、(生命維持に)不可欠のエネルギー(熱量)を産生、供給、補給するものである」といった品質、特徴を簡潔に表すものとして、あるいは、当該商品の説明を表すものとして、あるいはまた、他者の製造販売に係る同種の商品に対する当該商品の特性や優位性を表すものとして、取引者、需要者に認識、理解されるにとどまり、当該商品の出所識別標識として機能を果たせない。
なお、「指定商品の品質、特徴を簡潔に表すこと」、「指定商品の説明を表すこと」、「指定商品の特性や優位性を表すこと」は、出願商標が「商品又は役務の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識させる事情」として商標法第3条第1項第6号の審査基準に例示されている事項である。審査基準は、「出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、本号に該当すると判断する。」と規定している。
当該審査基準に照らせば、本件指定商品に使用される本件商標は、当該商品の品質、特徴、優位性などを謳う宣伝広告文句の類としてのみ認識されるというべきである。
以上のとおり、本件指定商品に使用される「ESSENTIAL ENERGY」の文字は、当該商品の出所識別標識として機能し得ないものであり、本件商標は当該文字を一般的な英文字の書体で表示したものにすぎないから、本件商標は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標に該当することが明らかである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反されて登録されたものであることが明らかである。
(3)結語
本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取消されるべきである。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、「ESSENTIAL ENERGY」の文字を横書きしてなるものである。
そして、その構成中、「ESSENTIAL」の文字は「不可欠の、(絶対に)必要な」(甲2)などを、「ENERGY」の文字は「活力、エネルギー」(甲5)などを意味する英語であって、これらはいずれも我が国の国語辞書に掲載されている(甲3、甲6)ほど、広く知られた語であり、また、本件商標は、これら2語の間に1文字分の空白(スペース)を有するものであるから、両語を結合してなるものと容易に理解できるものである。
しかしながら、両語は、これを結合して特定の意味を有する成語となるものではなく、また、上述の構成各語の意味を踏まえれば、本件商標の構成全体より「不可欠の活力、(絶対に)必要なエネルギー」といった意味合いを認識させ得ることは否定できないものの、当該意味合いは漠然としており、指定商品の具体的な内容を表しているとはいい難いものである。
さらに、申立人が提出する証拠の内容に加え、当審において職権をもって調査するも、本件指定商品を取り扱う分野において、「ESSENTIAL ENERGY」の文字、又は、この読みを片仮名で表したといえる「エッセンシャルエナジー」若しくは「エッセンシャルエネルギー」の文字が、商品の品質等を具体的に表示するものとして、一般的に使用されているというべき事実を発見することはできず、そのほか、本件商標に接する取引者、需要者が、それを商品の品質等の表示であると理解するというべき事実を発見することもできなかった。
以上のことからすれば、本件商標は、漠然とした意味合いを認識させるにとどまるものであり、造語として理解されるというべきものであるから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
上記(1)のとおり、本件商標は、漠然とした意味合いを認識させるにとどまるものであり、造語として理解されるものであるから、これをその指定商品に使用した場合に、これに接する需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(3)申立人の主張について
申立人は、本件商標を構成する「ESSENTIAL」及び「ENERGY」のそれぞれが本件指定商品を含む加工食品の分野でその商品の品質、用途、効能等の表示として一般的に使用されており、これらの2語を結合したにすぎない本件商標からは、本件指定商品の品質、用途、効能等を表示、記述するに止まる「(生命及び健康の維持のための)必須エネルギー(熱量)、不可欠のエネルギー(熱量)を産生、供給、補給する商品」との意味が容易に認識されるものであるから、本件商標は、その指定商品の品質等を具体的、直接的に表示したものとして取引者、需要者によって一般に認識されるもの、又は、本件指定商品の品質、特徴を簡潔に表すもの、当該商品の説明を表すものとして、若しくは、他者の製造販売に係る同種の商品に対する当該商品の特性や優位性を表すものとして、取引者、需要者に認識、理解されるにとどまり、自他商品の出所識別標識としての機能を果たせないものである旨主張する。
しかしながら、仮に、本件指定商品との関係において、本件商標の商標構成中の「ESSENTIAL」の文字及び「ENERGY」の文字が、それぞれ単独では、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、当該機能が極めて弱いものであるとしても、上記(1)のとおり、これらを結合してなる本件商標全体としては、漠然とした意味合いを認識させるにとどまるものであって、これに接する取引者、需要者が、それを商品の品質等の表示や、商品の品質、特徴を簡潔に表した広告宣伝用の語句等であると理解するというべき事実は見当たらないことからすれば、本件商標は、自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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