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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900068
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6888100号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6888100号商標(以下「本件商標」という。)は、「DIKALU」の欧文字を標準文字で表してなり、令和6年6月21日に商標登録出願、第3類「口紅,ペンシル状の化粧品,マスカラ,リップグロス,アイブローペンシル,ネイルエナメル,化粧品,香水,リップグロス,おしろい」を指定商品として、同7年1月8日に登録査定され、同月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1084894号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2011年(平成23年)2月15日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年6月29日に国際商標登録出願、第3類「Soap, perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions, dentifrices.」を指定商品として、平成24年3月9日に設定登録され、この商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した(以下「甲第○号証」の表示は、「甲○」と表記する場合がある。)。

1 商標法第4条第1項第11号該当性

(1)商標の類否について

ア 称呼について

本件商標からは「ディカル」の称呼が生じる。一方、引用商標からは「オーディカル」又は「ディカル」の称呼が生じる。ここで引用商標は、パンチングメタルを背景にして中央上段に小さく欧文字の「EAU」、下段に大きく欧文字の「D’IKAR」、最下段に欧文字の「sisley」を配した構成になっている。近年の商取引においては、取引の迅速性が求められるようになってきており、取引者・需要者は引用商標の中央下段に大きく表された「D’IKAR」の部分のみをもって「ディカル」と称呼する場合が多いと考えられる。そうすると本件商標と引用商標とは称呼の共通性から現実の取引過程において出所の混同が生じる可能性が極めて高いと考える。

イ 観念について

本件商標、引用商標は、ともに造語であり、特定の観念を生じさせることはない。

ウ 外観について

引用商標で注目される部分は、パンチングメタルを背景にして中央下段に大きく表された欧文字の「D’IKAR」である。一方、本件商標は欧文字の「DIKALU」である。両者は全体の外観は異なるものの、注目される部分での外観は類似する。

エ 商標の類似性についてのまとめ

本件商標と引用商標とは、観念においては比較できないものの、称呼及び外観において類似するから、両商標は類似する商標である。

(2)指定商品の類否について

本件商標の指定商品は「口紅,ペンシル状の化粧品,マスカラ,リップグロス,アイブローペンシル,ネイルエナメル,化粧品,香水,リップグロス,おしろい」であり、引用商標の指定商品には「香水類,化粧品,ヘアローシヨン」を含むから、両者の指定商品は類似する。

2 他の商標の拒絶査定例

令和3年9月15日に出願され、拒絶査定がなされた商標(商願2021-114677 以下「拒絶商標」という。)がある。拒絶商標は四角の着色された背景の中央に「DIKALU」の文字を表した商標であり、引用商標と類似するとして商標法第4条第1項第11号の拒絶理由通知がなされ、その後拒絶査定が確定している。本件商標と拒絶商標はともに「DIKALU」の欧文字を表した商標である。無色背景の有無の違いはあるものの、その影響は極めて小さく、なぜ拒絶商標が拒絶され、本件商標が登録されているのか、その理由が説明できない。商標法第3条各号の適用とは異なり、同法第4条第1項第11号の審査は、審査時の取引者・需要者の状況により異なることは考えられないからである。拒絶商標の拒絶査定がなされた限り、本件商標も引用商標と類似するとして本来拒絶されるべきものである。参考に拒絶商標の他国での登録状況を添付する(甲6~甲8)。

3 拒絶商標の使用状況

参考に拒絶商標の日本での使用状況を示す(甲9~甲13)。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、上記第1のとおり、「DIKALU」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録のないものであり、特定の意味を有するものとして認識されている事情も見いだせないから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。

そして、特定の意味を有しない造語にあっては、一般に親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼するところ、本件商標は、その構成文字に相応して「ディカル」の称呼を生じるものである。

してみれば、本件商標は、「ディカル」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は、別掲のとおり、黒色と黄色で、グラデーションが施されたパンチングメタル模様が表された四角形内の、中央部分に配された黒い枠線内に「EAU」、「D’IKAR」の手描き風の欧文字が上下二段に表され(以下「中央文字部分」という。)、下方部分に「sisley」の欧文字が白抜きで表された(以下「下方文字部分」という。)構成よりなるものである。

そして、パンチングメタル模様が施された四角形は、単に背景と認識されるものであるから、特定の称呼及び観念を生じるものではない。

また、中央文字部分と下方文字部分は、一定の間隔をあけて配置されている上、その書体も異なることから、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。さらに、中央文字部分のうち、「EAU」は「水」を意味するフランス語単語(出典:ロワイヤル仏和中辞典第2版 株式会社旺文社)であり、「D’IKAR」は一般の辞書等に載録はなく、下方文字部分の「sisley」の欧文字は、英語辞書に、西欧人の姓を表すものとして「Alfred シスレー《1839‐99; フランスの画家》.」(出典:新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典 株式会社研究社)の記載がみられるものであることから、これら中央文字部分と下方文字部分の文字が観念的に密接な関連性を有しているとはいえず、一連一体となって何らかの称呼が生じるともいえない。そうすると、引用商標の中央文字部分と下方文字部分は、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが独立して自他商品の出所識別標識として機能し得るものである。

よって、引用商標からは、中央文字部分と下方文字部分とをそれぞれ要部として抽出することが許されるといえる。

そこで、中央文字部分についてみるに、「EAU」、「D’IKAR」の欧文字は、同種の手描き風の書体で、近接してまとまりよく表されていることから、外観上一体的に表してなるものと認識されるものであり、中央文字部分のうち、「EAU」について「水」を理解する場合があるとしても、「D’IKAR」は一般の辞書等に載録のないものであり、中央文字部分全体として特定の意味を有するものとして認識されている事情も見いだせないことから、中央文字部分は、全体として特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。そして、特定の意味を有しない造語にあっては、一般に親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼することから、中央文字部分は、その構成文字に相応して「オーディカル」、「オーディカー」の称呼を生じるものである。

また、下方文字部分である「sisley」の欧文字は、英語辞書に、西欧人の姓を表すものとして記載がみられるとしても、当該姓は、我が国において親しまれているものとは認められないから、当該欧文字が西欧人の姓を表すものと一般に認識されているとはいい難く、下方文字部分は、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものというのが相当である。そして、特定の意味を有しない造語にあっては、一般に親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼するところ、下方文字部分は、その構成文字に相応して「シスレー」の称呼を生じるものである。

したがって、引用商標は、その要部の一である、中央文字部分及び下方文字部分に相当して、「オーディカル」、「オーディカー」、「シスレー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるところ、両商標は、全体構成において、明らかな差違を有するものであり、また、本件商標と引用商標の要部の一である中央文字部分及び下段文字部分との比較においても、その構成文字及びその文字数において相違し、外観上、顕著な差違を有するものであるから、外観において相紛れるおそれはない。

そして、本件商標から生じる「ディカル」の称呼と引用商標から生じる「オーディカル」、「オーディカー」、「シスレー」の称呼とは、構成音数が異なり、語調、語感が顕著に相違するから、明りょうに聴別できるものであり、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができず、称呼及び外観において顕著に相違するものであるから、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 申立人の主張

請求人は、過去の審査例等を挙げて、本件商標についてもそれらと同様に判断されるべきである旨主張しているが、商標の類否判断は、対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、列挙された審査例等の存在をもって本件商標の登録の可否の判断基準とするのは適切とはいえない。

その他、申立人は、過去に拒絶査定がなされた、「DIKALU」の文字を有してなる商標について、他国における登録状況(甲6~甲8)及び国内のインターネットショッピングサイトにおける使用状況(甲9~甲13)を参考情報として提出するものの、その参考情報に関する具体的主張は確認できない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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