sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名商標との類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900080
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6892907号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6892907号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和6年5月13日に登録出願、第35類「トレーディングスタンプの発行,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年12月17日に登録査定、同7年2月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、引用する国際登録第1650491号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2021年7月13日国際商標登録出願、第2類、第3類、第7類ないし第12類、第14類ないし第16類、第18類、第21類、第24類、第25類、第28類、第35類ないし第39類、第41類、第42類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和5年9月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反し、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(なお、表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。

(1)申立人について

申立人は、2010年に中国で創業された大手スマートフォンメーカーであって、創業からわずか4年で中国におけるスマートフォンの出荷台数シェア1位及び出荷台数世界3位に位置するほど急成長を遂げた著名な企業である(甲3及び甲4)。その後も、2021年第2四半期には、アップルを抜いて初めて世界2位の出荷台数を誇り、5G対応のスマートフォンでは世界1位の出荷台数を記録した(甲5)。なお、申立人はスマートフォンメーカーとして世界的に著名に至ったところ、デジタル端末だけでなく、スマートフォンで操作できる炊飯器、空気清浄機といったスマート家電を含む家庭用電化製品、リュックサック、スーツケース、電気自動車まで幅広い商品展開をしており(甲5~甲7)、特に中国においては、スマートフォン・タブレット・多機能ウォッチ等のデジタル端末メーカーを超越した総合ライフスタイルブランドとして広く認識されている(甲7)。

なお、我が国における申立人の市場進出は2019年であるところ(甲8)、2021年にブランドアンバサダーに俳優・モデルを起用し、大々的な宣伝広告活動を実施した(甲9及び甲10)。続く2022年、2023年には、新商品のCMにおいて、イメージキャラクターとして俳優を起用したことで注目を集め、我が国における周知性も急激に高まっている(甲11)。

申立人は、我が国においても、スマートフォン・タブレット・多機能ウォッチ等のデジタル端末のメーカーとしての高い認知度を得た中、2024年8月に、31種類の家電製品を投入し、さらに総合家電メーカーとしての歩みを進めている(甲12)。かかる中、2023年に渋谷で開設された期間限定のポップアップストアを経て(甲13)、2025年3月22日と4月5日に、日本初の常設店舗である「XIAOMI STORE」がイオンモール浦和美園及びイオンモール川口にオープンした(甲14)。

(2)引用商標について

引用商標は、申立人のハウスマークであって、2021年に創業10年の節日として、著名な日本人グラフィックデザイナーを採用し、従来の角ばったフォルムから丸みのあるデザインに刷新された新ロゴであり、日本でも大々的に取り上げられた(甲15)。引用商標は、申立人の直営店舗の看板に使用されるほか(甲7、甲13及び甲14)、宣伝広告物(甲9及び甲10)や各種商品の包装容器(甲16及び甲17)、独自アプリケーションソフトウェアのアイコン(甲18)及びSNSにおける申立人のアイコン(甲19)、電気自動車のエンブレム(甲20)等、幅広く使用されており、申立人の出所を表示する識別標識として、取引需要者において、広く認識されている。特に、デジタル端末に表示されるアプリケーションソフトウェアのアイコンや自動車のエンブレムについては、多方向から観察されることが自然であって、当該性質に鑑みると、引用商標は天地の特定がされ難いものである。

(3)本件商標権者について

本件商標権者は、2023年12月に設立された法人であるところ、そのホームページは存在するものの、実際に事業を行っている事実は見受けられない。本件商標権者の代表者は、別法人である株式会社WEトレーディングジャパンを2012年より経営しているが、本件商標権者と本社及び物流センターの住所が完全一致していることから(甲21及び甲22)、本件商標権者は本件商標取得のためのいわゆるペーパーカンパニーであって、株式会社W-REXとしての事業の実態はいまだ存在しないのではないかと推測される。

ところで、本件商標権者及び代表者が経営する別法人株式会社WEトレーディングジャパンは、共に輸出入を主たる事業としていることから、日本国外の商品情報に精通していると考えられる。さらに、両法人の代表者は中国籍であって、株式会社WEトレーディングジャパンは、中国の福建省及び深センの2ヶ所に営業所を有していることから、中国を代表する著名企業である申立人及び引用商標を知っていた可能性が高いと思われる。この点は、本件商標権者のホームページにおいて、申立人のコーポレートカラーと同一のオレンジ色を本件商標に付して使用していることからも想像できる。

(4)本件商標について

本件商標は、図形要素(以下「本件図形」という場合がある。)と「W-REX」の文字(以下「本件文字」という場合がある。)の組み合わせで構成されるところ、本件図形は、その出願前に既に我が国又は外国の取引需要者において一定の周知性を獲得していた引用商標を上下反転させたにすぎないものである。これは、本件図形と引用商標を重ね合わせた際に、「M」の欧文字部分が完全一致することから分かる。さらに、本件図形と引用商標を比較すると、高さの比率も完全に一致することから、本件図形が著名な引用商標に依拠していることは明らかである。そうすると、引用商標に酷似した本件図形は、引用商標の著名性も相まって、取引需要者の目をひきやすく、分離して観察されると考えられる。

また、本件商標中、本件図形と本件文字は、同等の大きさで、上下に分かれて表示されていることからも、分離して認識されやすく、外観上、一体不可分であるとはいい難い態様である。実際の使用態様においては、本件図形と本件文字が横並びに配置されており(甲21)、両要素の間には相当の間隔が設けられていることから、より分離されやすいといえる。なお、申立人はホームページのアイコン(ファビコン)に本件図形のみを独立して使用をしているところ、申立人のコーポレートカラーと同じオレンジ色を付していることも相まって、引用商標と混同を生じさせる蓋然性が極めて高い態様となっている。

さらに、本件文字については、特定の意味合いを有さない造語であって、特段の観念が生じることはないが、本件図形は、著名なスマートフォン・タブレット・多機能ウォッチ等のデジタル端末メーカーである申立人のハウスマークと酷似していることから、申立人との組織的・経済的な何らかの関係性が想起され、本件図形が独立して、強い自他商品役務識別力を発揮すると考えられる。

そうすると、本件商標の構成中、特に看者の注意をひく部分は、本件図形であって、本件文字に関しては、分離して観察され、かつ、捨象されることがあることに鑑みると、本件図形が本件商標の要部であって、独立して自他役務の識別標識として機能する。

(5)本件商標と引用商標の類否

過去の審決等を鑑みるに、図形部分と文字部分が必ずしも一体不可分の関係をなすとはいえず、図形部分も独立して自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得る場合、図形の類否を判断するにあたっては、着想・構成の軌が共通するか否か重要であって、上下又は左右の反転、本件文字の付加等はさほど類否に影響を及ぼすものではない。

本件商標の要部である本件図形と引用商標とは、丸みを帯びた黒色の四角形の中央に白色の欧文字が配置されるという構成上の特徴において共通している。上述のとおり、引用商標は申立人が2021年より使用している新たなハウスマークのロゴであって、従来の角ばったフォルムから丸みのある現在のフォルムヘのデザイン変更に多額な資金を投じていることから、この丸みを帯びた黒色の四角形にも財産的価値がある。そうすると、丸みを帯びた黒色の四角形とその中央に配置された白色の欧文字という基本的な構成にかかる特徴を共にする本件図形と引用商標とは、着想及び構成の軌を1つにするものといえ、外観上互いに相紛らわしい。

また、本件図形の中央に位置するのは「W」の欧文字であると思われるところ、「W」の欧文字を図形化したデザインの選択肢が世の中に無数にあるにもかかわらず、引用商標中「M」の欧文字にかかるデザインをそっくりそのまま上下反転させ、「I」の欧文字のみを削除したデザインが、本件図形に偶然採用されたとは到底考えられない。さらに、引用商標に用いられる欧文字にかかる字形は、極めて特徴的であって、本件図形に配されている文字の方向等は異なるにしても、特徴的な同一の字形を使用する両商標は、近似した印象を与える。そうすると、酷似した両商標の外観より、本件図形に接した取引需要者は、あたかも著名なデジタル端末メーカー「XIAOMI」と経済的又は組織的に関係のあるブランドのような印象を抱くものと容易に想像できる。

他方、本件図形からは「W」の欧文字が認識された場合には「ダブリュー」の称呼が生じ、引用商標からは「エムアイ」又は「ミー」の称呼が生じると考えられる。しかしながら、本件図形から「W」の欧文字を認識することは容易ではなく、本件図形から生じる特定の称呼を断定することはできない。

以上より、本件商標の要部である本件図形と引用商標は、称呼上の明確な区別はできない一方、その外観及び観念が互いに相紛らわしい類似の商標であって、本件図形に接した取引需要者は、有名なデジタル端末メーカーである申立人、又は申立人と経済的・組織的に何かしらの関係があるブランドのように商品又は役務の出所において誤認混同を生じさせる蓋然性が極めて高い。

(6)異議申立て理由の根拠法条への該当性

ア 商標法第4条第1項第7号について

上述のとおり、引用商標は、我が国又は外国で継続的に使用された結果、一定の周知性を獲得した商標である。また、本件商標の要部である本件図形は、引用商標の特徴をそっくりそのまま模倣しており、その着想及び構成の軌を一にするものである。さらに、本件商標権者は、代表者の国籍及び事業内容から、中国との関わりが深いと思われるところ、引用商標の存在を認識した上で、同商標に酷似した本件商標の出願登録を受けたものと考えられる。本件商標の使用態様に鑑みても、引用商標の周知性・著名性ヘフリーライドする目的をもって、登録出願されたものと考えられ、本件商標の出願にかかる動機の不純性が垣間見える。

そうすると、本件商標は、著名商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって出願されたものと認められるから、公序良俗に反することは明らかであり、商標法第4条第1項第7号に該当する。

イ 商標法第4条第1項第19号について

上述のとおり、引用商標は、本件商標の出願時において、我が国及び中国をはじめとする諸外国における取引需要者の間で、少なくとも「スマートフォン,タブレット型コンピュータ」等のデジタル端末(以下「申立人商品」という。)について、申立人の出所を表示する識別標識として広く知られていたと考えられ、本件商標の要部である本件図形は、引用商標と実質的に同一又は類似である。

申立人は、世界でも上位のスマートフォン出荷台数を誇る中国を代表する大手企業であって、引用商標は世界各国において継続的に使用されているところ、我が国においても2019年から大々的な使用がされている。これに対し、本件商標が実際の取引において使用された事実は、本件商標権者のホームページを除き、いまだ確認できない状況であるが、本件商標権者の代表者の国籍及び事業内容より、中国製品に精通していると予想されることから、引用商標の存在を知った上で、その著名性に便乗する不正の目的をもって本件商標の登録出願をしたと考えられる。さらに、本願商標にかかる指定役務と、引用商標にかかる指定商品又は指定役務とは、実質的に同一又は類似の商品であり、これらを扱う両者は同業者であるといえる。

そして、本件商標の要部である本件図形は、著名なスマートフォン・タブレット・多機能ウォッチ等のデジタル端末のメーカーである申立人の出所を示すハウスマークである引用商標と、外観が酷似しており、かつ観念が共通することから、実質的に同一又は類似といえる。本件商標権者が中国製品に精通した同業者でありながら、そのような商標を、周知・著名である引用商標とは全く関係なく偶発的に採択する等ということは到底あり得ず、本件商標の出願登録行為には、引用商標の周知性・著名性ヘフリーライドする目的又は申立人の事業活動を阻害する目的があったと容易に予想される。

なお、申立人の日本法人が、引用商標を上下反転させた態様でSNSに投稿していることからも(甲23)、既存のロゴを上下反転させる程度の改変は容易に想像できるものであって、同業者である本件商標権者においては、申立人の著名性にあやかって不当な利益を得ることを目的に、引用商標に酷似した本件商標を採択したものと考えるのが自然である。さらに、本件商標権者は、本件商標を自社のホームページでオレンジ色に色彩を変更した上で使用しているところ(甲21)、当該オレンジ色は申立人のコーポレートカラーであって、本件商標が悪意で取得されたことを、一層裏付けるものである。

したがって、本件商標は、その出願時において、日本国内又は外国で周知又は著名の引用商標と同一又は類似する商標であって、不正の目的をもって使用をするものと認められるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

ウ 商標法第4条第1項第15号について

上述のとおり、引用商用は、本件商標の出願時において、我が国における取引需要者の間で、少なくとも申立人商品について、申立人の出所を表示する識別標識として広く知られていたと考えられ、本件商標の要部である本件図形は、引用商標と実質的に同一又は類似であって、その指定役務も申立人の業務にかかる商品と同一又は類似するものである。

ここで、引用商標の使用にかかる商品のうち、特に「スマートフォン,タブレット型コンピュータ」の市場における取引の実情について検討する。スマートフォンやタブレット型コンピュータは、各メーカーの直営店舗のみならず、家電量販店やキャリアショップ等でも販売されることや、各メーカーの直営店においても、スマートフォン用ケース、保護用フィルム等の他社商品が陳列されていることから、小売業との関連性が非常に高い。

かかる状況のもと、本件商標の出願時において、本件商標権者によって本件商標がその指定役務に使用された場合には、本件商標に接する取引需要者は、取引上要求される一般的な注意をもってしても、その役務が申立人の商品又は役務であるか、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、商品又は役務の出所について混同を生ずる可能性は十分に予想され、需要者がその出所について混同を生じることは明らかである。

したがって、本件商標は、その出願時において、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。

エ 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、引用商標の後願に当たるところ、その要部である本件図形は、引用商標と類似する。

本件商標の指定役務「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(第35類)は、引用商標の指定商品と類似群コード(11A01 11A03 11A05 11A06 11B01 11C01 11C02 11D01)が共通し、同一又は類似である。

また、本件商標の指定役務「トレーディングスタンプの発行」(第35類)は、引用商標の指定役務と類似群コード(35A02)が共通し、同一又は類似である。

したがって、本件商標は、その登録出願前の登録出願に係る他人の登録商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品・指定役務又はこれらに類似する商品・役務について使用するものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。

オ 商標法第4条第1項第10号について

引用商標は、本件商標の出願時において、我が国における取引需要者の間で、少なくとも申立人商品について、申立人の出所を表示する商標として広く知られていたと考えられ、本件商標の要部である本件図形は、引用商標と実質的に同一又は類似である。

また、本件商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(第35類)は、引用商標の指定商品中、少なくとも「スマートフォン,タプレット型コンピュータ」(第9類)等と類似群コード「11A01 11A03 11A05 11A06 11B01 11C01 11C02 11D01」が共通し、同一又は類似である。

したがって、本件商標は、その出願時において、我が国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって、その指定役務も申立人の業務にかかる商品と同一又は類似するものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。

カ 商標法第3条第1項柱書について

本件商標権者には、依然として取引の実態があるようには見受けられず、本件商標の登録出願前において、また、本件商標が設定登録を受けた後においても、本件商標を自己の業務にかかる役務について現に使用をしている実績又は近い将来において使用の予定が認められる客観的な事情が確認できないことから、本件商標権者が自ら自己の業務にかかる役務において本件商標を使用する意思がないにもかかわらず、出願したことが明らかであるといわざるを得ない。このような商標に対して商標法上の保護を与えることは、商標法の目的に反することになるから、本件商標は「出願人が自己の業務に現に使用する商標又は近い将来において自己の業務に使用する意思がある商標」には該当せず、商標法第3条第1項柱書に違反する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。

(ア)「週刊BCN」のウェブサイト

「中国スマートフォンの市場 2014年の出荷台数は小米がシェア1位」(2015年3月12日)の見出しの下、「・・・2014年の出荷台数シェアをみると、小米科技(Xiaomi)が12.5%を占めて、初めて1位を獲得した。」の記載がある(甲3)。

(イ)「EE Times Japan」のウェブサイト

「世界3位のスマホメーカー シャオミ、躍進の理由を探る」(2014年11月5日)の見出しの下、「中国のXiaomi(シャオミ)は2014年第3四半期、世界第3位のスマートフォンメーカーに急成長した。」の記載及び「米国や欧州などの先進地域では、成長の勢いや出荷台数が減少傾向にある。Xiaomiは、Samsung Elecxtronics(サムスン電子)、Appleに続く第3位にランクインしたが、米国や欧州市場にはまだ参入していない。」の記載がある(甲4)。

(ウ)「レバテックラボ(レバテックLAB)」のウェブサイト

「中国No.1スマートフォンメーカー「Xiaomi」を徹底解説。新興IoT企業に次々と出資する「Mi Ecosystem」をつくる真意は?」(2021年12月9日)の見出しの下、「・・・さらにその前の第2四半期(4月~6月)は、アップルを抜いて初めて世界2位の出荷台数を記録し、5G対応スマートフォンでは世界1位となった。」、「XiaomiはライバルのファーウェイやOPPOより一歩先に、スマート家電をはじめとしたIoT機器に注力するようになった。スマートウォッチやスマートスピーカー、テレビ、キックスクーター、ドローン、それにスマートフォンで操作できる炊飯器、空気清浄機など、各種スマート家電を展示販売している。」、「Xiaomiはさらなる事業の柱としては自動車部門「小米汽車」を9月1日、登記資本金100億元(日本円換算で1775億円)で立ち上げた。」の記載がある(甲5)。

(エ)「日本経済新聞」のウェブサイト

「シャオミ、日本市場進出を発表【プレスリリース】発表日:2019年12月9日」の見出しの下、「Xiaomi、日本市場に進出 グローバル化をさらに拡大」の記載がある(甲8)。

(オ)「SPACE MEDIA」のウェブサイト

「OOHニュース」として「Xiaomi、11Tシリーズを発売!Koki,を起用した屋外広告を六本木で展開」(2021年12月19日)の見出しの下、「発売開始に合わせて、六本木ヒルズでは巨大な屋外広告が実施されていました。」の記載とともに、屋外広告の写真には、スマートフォンを持った芸能人とともに引用商標が表示されている(甲10)。

(カ)「PRWIRE」のウェブサイト

「吉沢亮さん&杉咲花さんが19分で100%充電になる“神ジューデン”スマホに驚がく!新CM「神ジューデン登場」篇」の見出しの下、「ソフトバンク株式会社は、たった19分でバッテリーを100%充電できる“神ジューデン”スマートフォン(スマホ)「Xiaomi 12T Pro(シャオミ・トゥエルブティー・プロ)」を、全国の“ソフトバンク”携帯電話取扱店およびソフトバンクオンラインショップで、2022年12月16日(金)に発売します。発売に先立ち、イメージキャラクターに俳優の吉沢亮さん、杉咲花さんを起用した新テレビCM「神ジューデン登場」篇(30秒・15秒)を、「Xiaomi 12T Pro」の予約開始日の2022年12月14日(水)に全国で放映開始します。」の記載がある(甲11)。

(キ)「ASCII」のウェブサイト

「シャオミストアが日本上陸!? 期間限定ポップアップスペースにさっそく行った」(2023年12月7日)の見出しの下、引用商標が看板として使用された画像とともに「シャオミ・ジャパンは12月17日まで、東京・渋谷のHz-SHIBUYA(ヘルツシブヤに日本国内展開の体験型ポップアップスペース「Xiaomi Smart Holidays from“mi”to you!」をオープンした。」の記載及び「スマートフォン出荷台数で世界シェア3位のシャオミは、世界各国に製品体験・展示と販売を行なうシャオミストア(中国語では「小米之家」)を展開している。その日本版とも言えるのが今回開催中の「Xiaomi Smart Holidays from“mi”to you!」だ。」の記載がある(甲13)。

(ク)日本初の常設店舗である「Xiaomi Store」が、2025年3月22日、イオンモール浦和美園に、同年4月5日、イオンモール川口にオープンしたことが認められるものの(甲6、甲7及び甲14)、当該日付は、本件商標の登録出願日及び査定日以降のものである。

(ケ)申立人に係るスマートフォン及びワイヤレスイヤホンの各包装容器に引用商標が表示されている(甲16及び甲17)。

イ 判断

上記アによれば、申立人は、2019年12月に日本市場進出を発表し(甲8)、また、申立人に係るスマートフォンが、2014年、中国において出荷台数シェア1位(甲3)、2014年第3四半期の出荷台数世界3位(甲4)、2021年第2四半期の出荷台数世界2位を記録したこと、5G対応スマートフォンでは世界1位を獲得したこと等を考慮すれば、申立人は、スマートフォンの分野における取引者、需要者の間に一定程度認識されているものといえる。

引用商標については、2021年12月に屋外広告にスマートフォンとともに表示されたこと(甲10)、2023年12月に期間限定で開設されたポップアップスペース(東京・渋谷)の看板に表示されたこと(甲13)、スマートフォン及びワイヤレスイヤホンの包装容器(甲16及び甲17)に表示されていたことが確認できる。

しかしながら、2022年12月14日から、俳優を起用した新商品のCMが放映されたことはうかがわれるものの(甲11)、新商品のCMに引用商標が使用されていたか、提出された証拠からは明らかではない。

なお、引用商標が我が国の申立人の直営店舗に使用されたとする証拠は、本件商標の登録出願日及び査定日以降のものである(甲6、甲7及び甲14)。

そうすると、申立人提出の証拠からは、我が国又は外国における引用商標を使用した申立人商品の売上高、市場シェアなどの販売実績等は不明であり、さらに、引用商標を使用した申立人商品の広告宣伝の時期、期間、方法、回数や広告宣伝費等に係る客観的な証拠が確認できないことから、我が国又は外国における引用商標の使用状況を把握することができず、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。

以上を踏まえると、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、丸みを帯びた黒色の四角形の中央に、欧文字の「w」をモチーフにしたと思われる図形を白抜きで配した図形(本件図形)及び「W-REX」の文字(本件文字)を上下二段に配してなるところ、本件図形及び本件文字は、図形と文字とで構成要素が異なり、また、いずれも指定役務との関係でその内容、質等を表すものとはいえず、称呼や観念上、何らかの関連性があるとは認められないため、各構成部分は、指定役務との関係でそれぞれ独立して出所識別機能を有し得るものといえる。

そうすると、本件商標の各構成部分がそれを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、本件図形を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるというべきである。

そして、本件商標の要部の一である本件図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、構成全体をもって一つの図形と看取されるのが相当であるから、本件図形からは、特定の称呼及び観念は生じない。

イ 引用商標

引用商標は、上記2のとおり、丸みを帯びた黒色の四角形の中央に、欧文字の「m」及び「I」をモチーフにしたと思われる図形を白抜きで配した図形である。

そして、引用商標は、各構成要素がまとまりよく一体的に表されているものであり、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、構成全体をもって一つの図形と看取されるのが相当であるから、引用商標からは、特定の称呼及び観念は生じない。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標の要部の一である本件図形と引用商標の外観を比較すると、いずれも丸みを帯びた黒色の四角形を構成要素とする点においては共通するとしても、本件図形が欧文字の「w」をモチーフにしたと思われる図形であるのに対し、引用商標は欧文字の「m」及び「I」をモチーフにしたと思われる図形であり、モチーフとした欧文字及びその字数においても相違することから、看者に与える印象が明らかに相違するため、外観上、明確に区別し得るものである。

また、本件図形と引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念を生じない。

そうすると、本件図形と引用商標とは、称呼及び観念において比較することはできず、外観において区別できるものであるから、両商標の取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

なお、申立人は、本件商標の要部である本件図形と引用商標とは、丸みを帯びた黒色の四角形の中央に白色の欧文字が配置されるという構成上の特徴において共通にする旨述べている。

しかしながら、そもそも、黒色の図形内に文字等を白抜きで配置する手法は普通に採択され得るものであるし、上述したように、本件図形と引用商標とは、モチーフとした欧文字及びその字数が異なり、両商標が使用される指定役務における需要者の通常有する注意力を基準として考慮すれば、外観において大きく異なるものとして認識され、誤認、混同することは考え難く、申立人の主張を採用することはできない。

エ 小括

以上のとおり、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、非類似の商標である。

また、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものであるから、同号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。

また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように認識することはないから、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

申立人は、本件商標権者の代表者は、その国籍及び事業内容より、中国製品に精通していると予想されること、加えて、本件商標権者は、自社のホームページで、申立人のコーポレートカラーであるオレンジ色に色彩を変更した上で本件商標を使用していることから(甲21)、引用商標の存在を知った上で、その著名性に便乗する不正の目的をもって本件商標の登録出願をしたと考えられる旨主張している。

さらに、申立人は、本件商標の要部である本件図形は、申立人商品との関係で著名な申立人のハウスマークである引用商標と外観が酷似しており、かつ観念が共通することから、本件商標の出願登録行為には引用商標の周知性・著名性へフリーライドする目的又は申立人の事業活動を阻害する目的があった旨主張している。

しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものであり、かつ、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。

また、本件商標権者が、自社のホームページで、オレンジ色で表した本件商標を使用していることは把握できるとしても(甲21)、申立人の提出証拠から、本件商標権者が、本件商標を利用して、申立人の事業活動を阻害したり、何らかの金銭的な利益を要求したりするなど、具体的な行為に及んだことは確認できない。

そうすると、申立人の提出した証拠からは、本件商標の登録出願について、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的)、著名商標にフリーライドする目的又は申立人の事業活動を阻害する目的をもって使用するものと認めるに足る実情を示す具体的な証拠は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)商標法第4条第1項第7号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであり、かつ、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である

したがって、上記(5)のとおり、本件商標は、著名商標へフリーライドする目的や不正の目的をもって使用するものとまではいえない。

さらに、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではなく、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものとはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(7)商標法第3条第1項柱書該当性について

商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは、将来、自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24年5月31日 知財高裁 平成24(行ケ)第10019号)。

そうすると、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、本件商標を自己の業務に係る指定役務について現に使用をしていなくとも、将来においてその使用をする意思があれば、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ、申立人が提出する全証拠によっても、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定役務に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。

(8)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものではなく、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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