sokuhyo

Trademark Appeal Case

BEAT GALAXYとGALAXYの類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900084
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6895229号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6895229号商標(以下「本件商標」という。)は、「BEAT GALAXY」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年11月21日に登録出願、第9類、第16類、第25類、第28類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同7年1月21日に登録査定、同年2月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)は以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。

(1)登録第4498554号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:Galaxy(標準文字)

指定商品:第9類「理化学機械器具,測定機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,救命用具,電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,ロケット,遊園地用機械器具,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,潜水用機械器具,検卵器,電動式扉自動開閉装置」

登録出願日:平成12年6月8日

設定登録日:平成13年8月10日

(2)登録第6554214号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:GALAXY(標準文字)

指定商品:第9類「発光ダイオードディスプレー,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,未記録のUSBフラッシュドライブ,フラッシュメモリカード(未記録のもの),ネットワーク用ルータ,電子看板用ディスプレイパネル,半導体,スマートフォン用バッテリーチャージャー,タブレット型コンピュータ用バッテリーチャージャー,ノートブック型コンピュータ用バッテリーチャージャー,携帯電話機用バッテリーチャージャー,セルラーフォン用バッテリーチャージャー,時計型スマートフォン用バッテリーチャージャー,時計型携帯情報端末用バッテリーチャージャー,ヘッドセット用バッテリーチャージャー,ビデオプロジェクター,セットトップボックス,時計型携帯情報端末,半導体ドライブ,スマートフォン,スマートフォン用・タブレット型コンピュータ用保護カバー,オーディオスピーカー,サラウンドサウンドシステムに使用されるオーディオエレクトロニックコンポーネント,時計型携帯情報端末及び眼鏡型携帯情報端末の性質を有するウェアラブル型のコンピュータ,電気センサー,着用可能なアクティビティトラッカー,再充電可能な電池,カメラ,コンピュータ,コンピュータ用モニター,コンピュータソフトウェア,タブレット型コンピュータ,テレビジョン受信機,ヘッドホン,イヤホン,イヤホーン,ノートブック型コンピュータ,ポータブルコンピュータ,携帯電話機,宝飾品の形状をした電気通信機械器具,指輪型携帯情報端末,ネックレス型携帯情報端末,ブレスレット型携帯情報端末,情報処理機能を有する電子タグ,ICチップを組み込んだタグ,ペン型データ入力具」

登録出願日:令和3年8月4日

設定登録日:令和4年5月11日

(3)登録第6212639号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:Galaxy Store(標準文字)

指定商品・指定役務:第9類「携帯電話機,スマートフォン,タブレットコンピュータ,デジタルコンテンツ・コンピュータソフトウェア・コンピュータゲーム・音声作品・映像作品・音声映像作品・電子出版物・書籍・映画・音楽の閲覧・アクセス用のコンピュータソフトウェア,デジタルコンテンツ・コンピュータソフトウェア・コンピュータゲーム・音声作品・映像作品・音声映像作品・電子出版物・書籍・映画・音楽の検索・ダウンロード・保存・送信・表示用のコンピュータソフトウェア」及び第35類「オンラインによるコンピュータソフトウェアプログラムの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるコンピュータ用のゲームプログラムの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる音楽が録音された記録媒体の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる電子出版物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる書籍の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるダウンロード可能な映画の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるダウンロード可能な音楽の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるダウンロード可能な映像の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるダウンロード可能なテレビ番組を内容とする音声・画像・映像の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

登録出願日:平成30年9月7日

設定登録日:令和2年1月7日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第9類「ダウンロード可能な記録済みバーチャルリアリティゲーム用ソフトウェア,テープ・カートリッジ・カセットテープに記録されたバーチャルリアリティゲーム用ソフトウェア,無線通信装置用のダウンロード可能な音楽・画像・映像・ビデオ映像,ダウンロード可能な音楽・画像・映像・ビデオ映像,ダウンロード可能なコンピュータグラフィックス及び画像,携帯電話用及び無線装置用のダウンロード可能なグラフィック画像・着信音・画像,ダウンロード可能な記録済みコンピュータゲーム用ソフトウェア,テープ・カートリッジ・カセットテープに記録されたコンピュータ用ゲームソフトウェア,ダウンロード可能な記録済みビデオゲームソフトウェア,テープ・カートリッジ・カセットテープに記録されたビデオゲームソフトウェア,レコードプレーヤーの部品及び附属品としてのターンテーブルに用いるスリップマット,マウスパッド,音楽及び音楽に関連する娯楽に関する書籍・ブックレット・楽譜・ジャーナル・マニュアル・冊子・リーフレット・パンフレット・ニューズレターの性質を帯びたダウンロード可能な電子出版物,ダウンロード可能な電子雑誌,音楽及び音楽に関連する娯楽にアクセス・表示・配給・ダウンロード・再生・受信・ストリーミング・送信用のダウンロード可能なモバイルアプリケーション,携帯電話・スマートフォン・タブレット型コンピュータ・カメラ及び携帯型音声及び映像プレーヤー用のホルダー・スタンド・マウント・保護ケース及びカバー,非代替性トークン(NFTs)で認証されたダウンロード可能なバーチャル及びデジタルグッズとしての音楽及び音楽に関連する娯楽の分野における画像・ビデオ映像・音楽及びオーディオファイル,ダウンロード可能なバーチャル及びデジタルグッズを内容とするコンピュータソフトウェア,家庭用テレビゲーム用プログラムソフトを記憶させたROMカートリッジ及びディスク,ビデオゲームプレイ用ヘッドセット,ビデオゲームプレイ用イヤホン,テレビゲーム機用メモリーカード,家庭用テレビゲーム機用マイクロホン,ビデオゲームプレイ用オーディオビジュアルヘッドセット,電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第112号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。

(1)前提となる事実

ア 「GALAXY」の著名性について

申立人が使用している商標「GALAXY」は、申立人が設計・開発・製造・販売しているスマートフォン、タブレット、ウェアラブル製品などに使用するブランド名で、これら一連の商品は「GALAXY」シリーズとして、一般需要者、取引者に認識されている。特に、スマートフォンの「GALAXY」シリーズは、2019年初頭時までの世界での累計の販売数で、既に20億台を突破している(甲8)。また、申立人のスマートフォンの世界シェアは2012年頃から2019年頃に至るまで約20%を維持し、世界No.1のシェアを維持しており(甲9)、直近においては、一時的に世界第2位のシェアとなる期間もあったが、2025年第1四半期には首位に返り咲いている(甲10)。単純計算すると、世界でスマートフォンを使用する人口の5人に1人は申立人の「GALAXY」のスマートフォンを使用していることになる。さらに、タブレットにおける世界シェアについても、2011年度からほぼ世界シェア2位を維持しており(甲11)、その他のウェアラブルデバイスについても、2022年第3四半期及び2023年第3四半期には世界シェア4位と、好調な動きを見せている(甲12)。

次に、我が国においては2010年より「GALAXY」シリーズのスマートフォンが販売されており(甲13)、我が国の国内携帯電話・スマートフォン市場規模の調査によると、近年の国内市場携帯電話出荷台数・ベンダー別シェアは、国内と国外の競合他社が数多くいる中で、申立人のスマートフォンは高い占有率を誇っている(甲14~甲16)。

また、申立人は、携帯電話・スマートフォン以外にも「GALAXY」の名を冠し、我が国においてブランドの展開を行っている。例えば、申立人は、本件商標の出願以前より、「Galaxy Watch」と称した腕時計型携帯情報端末、「Galaxy Tab」と称したタブレット端末、「Galaxy Buds」と称したワイヤレスイヤホン、また、それらに使用するアクセサリー類を販売している(甲17、甲18)。なお、国内ウェアラブルデバイス市場における申立人のシェアは、2023年及び2024年において、国内3位である(甲19)。さらに、申立人は、「Galaxy Store」という、「GALAXY」シリーズのスマートフォンやタブレット利用者向けに提供されているアプリストアを展開しており(甲20)、このストアにおいて、スマートフォンやタブレット端末で使用するゲームや壁紙等に使用する画像等の提供を行っている(甲21、甲22)。

つまり、申立人は、「GALAXY」シリーズとして、商標「GALAXY」等を、ウェアラブル端末やそのアクセサリー類に使用するだけでなく、幅広い分野において使用しているものである。

さらに、申立人は、「GALAXY」シリーズのプロモーション活動を積極的に行っており、例えば、「GALAXY」の技術を体験できる施設を、2019年に東京・原宿に、2023年4月に大阪・なんばにオープンした(甲23、甲24)。また、新聞への広告の掲載(甲25~甲30)や、著名人を起用したものを含む多数のテレビ・ウェブCMの放映(甲31~甲41)、都心部での屋外広告の展開(甲42~甲47)等を積極的に行っている。加えて、人気アパレルブランドや人気アニメ、人気キャラクター等といった異業種とのコラボレーションによる多数の商品やイベントの展開を行っており、このようなコラボレーションの際には、スマートフォン等に限らず、ステッカーやTシャツなど、様々な商品を展開している(甲48~甲58)。これらのプロモーション活動により、多くの需要者に、申立人の商標「GALAXY」等が、申立人の「GALAXY」シリーズとして、幅広い商品に使用されていることが、強く印象付けられているといえる。

上記のとおり、申立人の「GALAXY」シリーズは申立人にとって非常に重要なブランドであるため、申立人は、国内で合計117件もの「Galaxy」及び「Galaxy」を含む商標を出願・登録し、「GALAXY」シリーズの保護を図っている(甲59)。そして、申立人の「GALAXY」シリーズは、我が国でもその動向が注目され、様々なメディアを通じて多数紹介されている(甲60~甲90)。また、雑誌での紹介や操作ガイドの書籍が多数販売されている(甲91~甲110)。

上記より、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の分野において、申立人の「GALAXY」シリーズは、我が国の需要者・取引者にも広く知られていることが分かる。

イ 本件商標の「BEAT」の文字部分について

本件商標は、欧文字「BEAT」と「GALAXY」とで構成されているが、その構成文字中、「BEAT」の文字部分については、「1.a繰り返し打つ,たたく;打榔(ちょうちゃく)する,打って罰する;打ち延ばす(中略)2.a〈相手・敵を〉負かす」等(甲111)、また、「1.〔続けざまに~を〕打つ、たたく、殴る、殴打する 2.〔敵・競争相手などを〕打ち負かす、打ち砕く、やっつける、参らせる」等(甲112)の意味を有するものとして辞書にも記載されている、日本人にもなじみのある英単語である。

ウ 上記からすると、本件商標「BEAT GALAXY」からは、「(申立人の周知・著名な)「GALAXY」を殴る、打ち負かす」等の意味合いが生じ、申立人の「GALAXY」シリーズを否定し、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与える可能性が十分に考えられる。

エ 小括

上記アからウにより、申立人の「GALAXY」シリーズは、携帯電話・スマートフォンの分野において世界で年間ベスト1位、我が国でも年間ベスト4位のシェアがあること、申立人の「GALAXY」は我が国のみならず世界中において周知・著名商標であると認識されていること、本件商標全体からは「(申立人の周知・著名な)「GALAXY」を殴る、打ち負かす」という意味合いが生じ、申立人の「GALAXY」シリーズを否定し、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与えかねないことが明らかである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

「BEAT」と「GALAXY」の欧文字の結合商標である本件商標の構成文字中、「GALAXY」の語は、申立人のブランドとして取引者、需要者に広く知られたものになっており、日本人になじみがあり、かつ、比較的ありふれた語である「BEAT」部分よりも明らかに、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。

したがって、本件商標における類否判断は、「GALAXY」の部分のみを対象とすることも許されるというべきである。

以上を前提に、本件商標と引用商標との類否について検討する。

ア 本件商標と引用商標1及び2との比較

外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「GALAXY」と引用商標1及び2は、外観上同一である。

次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「GALAXY」から生じる称呼「ギャラクシー」と引用商標1及び2から生じる称呼「ギャラクシー」は、同一である。

観念についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「GALAXY」と引用商標1及び2は、申立人の周知・著名商標であると取引者・需要者が認識するため、観念上も同一であることは明らかである。

以上からすると、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても同一又は類似の商標であり、本件商標の指定商品及び指定役務中、申立てに係る商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似であり、引用商標2の指定商品と類似である。

イ 本件商標と引用商標3との比較

引用商標3は、「Galaxy」と「Store」の欧文字の結合商標である。引用商標3の指定商品・指定役務との関係において、「店、小売店」の意味を有する「Store」の文字部分は、識別力の極めて弱い部分に該当するため、引用商標3の類否判断の対象部分は「Galaxy」とみるのが極めて自然である。

そこで、両商標の外観についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「GALAXY」と引用商標3の類否判断の対象部分である「Galaxy」は、外観上同一である。

次に、称呼についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「GALAXY」から生じる称呼「ギャラクシー」と引用商標3の類否判断の対象部分である「Galaxy」から生じる称呼「ギャラクシー」は、同一である。

観念についてみると、本件商標の類否判断の対象部分である「GALAXY」と引用商標3の類否判断の対象部分である「Galaxy」は、申立人の周知・著名商標であると取引者・需要者が認識するため、観念上も同ーであることが明らかである。

したがって、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても同一又は類似の商標であり、本件商標の指定商品及び指定役務中、申立てに係る商品と引用商標3の指定商品及び指定役務は、類似する。

ウ 小括

上記ア及びイにより、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、申立てに係る商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

引用商標1及び2は、上記のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の出願前から、周知・著名となっている。

そして、本件商標は、上記のとおり、引用商標1及び2と類似する商標であり、かつ、申立てに係る商品と引用商標1及び2の指定商品が類似し、用途及び目的を共通にするものが少なくなく、両商品の関連性は高いかある程度の関連性がある。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標1及び2は、本件商標の出願前に、申立人の業務に係る商品の商標として我が国で周知・著名なものとなっている。

そして、引用商標1及び2と類似する本件商標が、申立てに係る商品に使用された場合には、当該商品は、申立人の業務に係るものと誤認され、その出所について混同されるおそれがある。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標権者が、申立人の引用商標1及び2と類似する本件商標を使用すれば、申立人の著名商標「Galaxy」に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、さらには、本件商標権者が、申立人の当該商標の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることも明らかである。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(6)商標法第4条第1項第7号該当性について

引用商標1及び2が、申立人の商標として著名であるという事情の下では、「Galaxy」の語を含む本件商標からは、「「GALAXY」を殴る、打ち負かす」という意味合いが生じ、申立人の著名な「GALAXY」シリーズを否定し、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与えるため、一般公衆の認識に反し、商道徳上問題があるばかりでなく、公衆を混乱させ、公正な商取引秩序を乱すおそれがある。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)「TechCrunch Japan」のウェブサイトには、「Samsung、Galaxy携帯の販売台数20億台を突破」(2019年2月21日)の見出しの下、「過去10年間に同社が販売したGalaxy端末が20億台を超えたことを明らかにした。」との記載がある(甲8)。

(イ)Statista社の「グローバルスマートフォンマーケットシェア2019」には、「2019年の第3四半期のSamsungの市場シェアは21.8%である。2018年に、Samsungは世界中で2億9,200万台以上のスマートフォンを出荷している」旨記載されている(甲9の2)。

(ウ)「IDC Japan株式会社」発表の「2025年第1四半期の国内携帯電話/スマーフォン市場実績値」によれば、当該四半期のスマートフォン出荷数をベンダー別でみると、申立人は、100万台を超える出荷(2位、シェア11.5%)(甲14)、「2024年第4四半期および2024年通年の国内携帯電話/スマーフォン市場実績値」によれば、2024年通年のシェアが6.2%で5位(甲15)、「2023年第4四半期および通年の国内携帯電話/スマーフォン市場実績値」によれば、2023年通年のシェアが6.3%、2022年通年のシェアが9.1%でいずれも4位(甲16)であることが認められる。

(エ)申立人の日本法人の公式ウェブサイトには、「Galaxy Store」と上部中央に表示したサイト(2023年3月12日)がある(甲20)。

(オ)2010年11月から2015年7月には、引用商標1及び2を表示した操作ガイドの書籍が販売されたこと(甲97~甲110)、また、申立人の業務に係る「スマートフォン」(以下「申立人商品」という。)は、本件商標の登録出願前に、新聞、雑誌、ウェブサイト及び屋外広告等で紹介等されていること(甲25~甲30、甲36~甲41、甲43~甲47、甲51~甲58、甲69~甲86、甲90~甲96)が認められる。

イ 上記アからすると、申立人は、2010年頃から現在まで申立人商品に引用商標1及び2を使用していること、申立人商品の我が国におけるシェアが上位であること、申立人商品は、我が国において本件商標の登録出願前に、新聞及び雑誌、ウェブサイト等で紹介等されていること、並びに申立人商品について操作ガイドの書籍が複数販売されていることが認められる。

そうすると、引用商標1及び2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているということができる。

なお、引用商標3については、申立人商品を表示するものとして、我が国における需要者等の間に広く認識されているものと認めるに足りる証左は見いだせない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、「BEAT GALAXY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「BEAT」と「GALAXY」の文字の間に1文字程度の間隔を有するとしても、その構成文字は、同書同大の文字で表され、全体としてまとまりのある構成からなり、これより生じる「ビートギャラクシー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標は、「打ち負かす、打つ」(株式会社大修館書店「ジーニアス英和辞典第6版」)等を意味する比較的平易な英語である「BEAT」と、「銀河、星雲」(前掲書)の意味を有する比較的平易な英語である「GALAXY」とを結合したものであるとしても、これらの2語を結合することにより、親しまれた観念を生じるものではないことから、本件商標は、構成全体をもって、造語の一種を表したと認識されるというべきである。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ビートギャラクシー」の一連の称呼のみを生じるものであって、特定の観念を生じないものというのが相当である。

イ 引用商標

引用商標1及び2は、上記2(1)及び(2)のとおり、「Galaxy」又は「GALAXY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該構成文字は、「銀河、星雲」の意味を有する比較的平易な英語であることから、当該文字に相応して「ギャラクシー」の称呼及び「銀河、星雲」の観念を生じるといえる。

引用商標3は、上記2(3)のとおり、「Galaxy Store」の欧文字を標準文字で表してなり、当該構成文字に相応して「ギャラクシーストア」の称呼を生じるものである。

そして、引用商標3は、その構成中「Store」の文字が「店」(前掲書)の意味を有するものとして親しまれ、当該文字は、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであり、出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものであること、また、上記1のとおり、「Galaxy」の文字は申立人商品を表示するものとして、我が国における需要者等の間に広く認識されているものであることも併せて考慮すれば、その構成中「Galaxy」の文字のみが独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。

したがって、引用商標3は、「Galaxy」の文字に相応し、上記引用商標1及び2と同様に「ギャラクシー」の称呼及び「銀河、星雲」の観念を生じるものといえる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標とは、本件商標の語頭における「BEAT」の文字の有無の差異を有し、及び引用商標3とは、当該語頭部の文字の有無の差異に加え、語尾における「Store」の文字の有無という明らかな差異を有するから、これらを離隔的に観察しても、外観上、相紛れるおそれがない。

次に、本件商標から生じる「ビートギャラクシー」の称呼と引用商標から生じる「ギャラクシー」の称呼は、語頭における「ビート」の音の有無の差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、これらをそれぞれ一連に称呼しても聴別でき、称呼上、相紛れるおそれがない。

さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、「銀河、星雲」の観念が生じるから、観念においても、相紛れるおそれのないものである。

エ 小括

上記アからウからすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。

その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

したがって、申立てに係る商品が引用商標の指定商品及び指定役務と類似するとしても、本件商標は、引用商標のいずれとも非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標1及び2は、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているものとするのが相当である。

しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

そうすると、本件商標と引用商標が類似する商標ではないことから、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第10号の要件を具備しないものであって、本件商標は、同号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標1及び2は、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているものであるから、その周知性の程度は高いものといえる。

そして、「Galaxy」及び「GALAXY」の文字は、「銀河、星雲」を意味する比較的平易な英語であることからすれば、独創性の程度は低いものである。

また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、その類似性の程度は低いものといえる。

さらに、申立てに係る商品には、引用商標1及び2が使用される申立人商品と同一又は類似する商品を含むものであるから、商品についての関連性を有するものであり、需要者の範囲を共通にするものである。

以上より、引用商標1及び2は、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者等の間において広く認識され、申立てに係る商品は、申立人商品と関連性があるとしても、本件商標の独創性の程度は低く、本件商標と引用商標1及び2との類似性の程度も低いものであることから、本件商標は、本件商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、取引者及び需要者をして引用商標1及び2を連想又は想起させることのないものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標は、本件商標権者がこれを申立てに係る商品に使用しても、取引者及び需要者をして、引用商標1及び2を連想又は想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

申立人は、本件商標権者が引用商標1及び2と類似する本件商標を使用すれば、申立人の「Galaxy」及び「GALAXY」に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、さらには、本件商標権者が、申立人の当該商標の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることが明らかである旨主張する。

しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標1及び2は、申立人商品を表示するものとして、我が国における需要者等の間に広く認識されているものと認められるものの、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであること、上記(4)のとおり、本件商標は、引用商標1及び2を連想又は想起させることのないものであることからすると、申立人の係る主張はその前提において理由がない。

また、申立人は、本件商標権者が、申立人の引用商標1及び2の著名性に便乗して不正な利益を得ようとしていることを証明する証拠を提出していない。

加えて、申立人が提出した全証拠によっては、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、又は申立人に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものというべき事情も見いだせない。

そうすると、本件商標は、引用商標1及び2に化体した信用、名声などを毀損させる又は引用商標1及び2の著名性に便乗するなどの不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)商標法第4条第1項第7号該当性について

申立人は、引用商標1及び2が、申立人の商標として著名であるという事情の下では、「GALAXY」の語を含む本件商標からは、「GALAXYを殴る、打ち負かす」という意味合いを生じ、「GALAXY」シリーズを否定し、非道徳的、差別的又は他人に不快な印象を与えるため、一般公衆の認識に反し、商道徳の上問題があるばかりでなく、公衆を混乱させ、公正な商取引を乱すおそれがある旨主張する。

引用商標1及び2は、上記(1)のとおり、申立人商品を表示するものとして、我が国における需要者等の間に広く認識されているものと認められる。

しかしながら、本件商標と引用商標1及び2とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであること、上記(4)のとおり、本件商標は、引用商標1及び2を連想又は想起させることのないものであり、また、本件商標の構成中「BEAT」の文字は、「打ち負かす、打つ」等の意味のほか、我が国においては、「拍子。拍節。特に、軽音楽で強いアクセントのあるリズム。」(株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)等の意味を有する英語としても知られていることからすれば、申立人が主張するような「GALAXYを殴る、打ち負かす」ほどの意味合いを直接的に想起、認識させるとまではいい難く、かつ、申立人のかかる主張を認めるに足りる証拠も発見することができない。

さらに、本件商標が、その登録出願及び登録の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、本件商標の登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせず、かつ、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠も発見することができない。

したがって、本件商標は、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(7)むすび

以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。