結論テキスト
登録第6904233号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900105 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6904233号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和6年7月19日に登録出願、「サングラス,眼鏡」を含む第9類、第25類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同7年2月10日に登録査定され、同年3月5日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1773682号商標(以下「引用商標」という。)は、「KOMOREBI」の欧文字を横書きしてなり、2023(令和5)年6月15日に欧州連合知的財産庁においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条(商標法第9条の2)による優先権を主張し、同年12月12日に国際商標登録出願、第9類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年4月25日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「サングラス,眼鏡」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当し、また、同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、また、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号を省略して記載する。
本件商標は、別掲のとおりの商標であって、第9類「サングラス,眼鏡」等を指定商品とする商標である(甲1)。
本件商標は、アルファベットの書体で、「KOMOREBI」からなる商標であって、その文字の最初の文字「K」と最後の文字「I」との間に、「OMO」が「REB」の上線に重なるように上下2段で配置されたものである。また、本件商標の各文字は、同じ書体で互いに区別できるように配置されている。そして、アルファベットは左から右へ、上から下へ読むことが通常であるから、本件商標から「コモレビ」なる称呼が自然に生じる。そのため、本件商標は、「樹木の枝葉の間からさし込む日光」などの意味合いを有するものである(甲2)。
(1)引用商標について
本件商標の出願日前に出願され、出願日後に登録された他人の登録商標「KOMOREBI」が、国際登録第1773682号として国内登録されている(甲3)。この引用商標は、第9類「眼鏡,サングラス」を指定商品とする商標である。引用商標は、「KOMOREBI」の文字の外観、「コモレビ」の称呼を有し、「樹木の枝葉の間からさし込む日光」などの意味合いを有する。
(2)本件商標と引用商標との類否
ア 指定商品について
本件商標の指定商品「サングラス,眼鏡」は、引用商標の指定商品「眼鏡,サングラス」と同一である。
イ 外観について
本件商標は、前述したように、「KOMOREBI」なる文字の配置をデザイン化した外観を有する。一方、引用商標は、「KOMOREBI」の外観を有する。このように、本件商標は、一見して引用商標と相違する。
しかしながら、本件商標の各文字は、同じ書体で互いに区別できるように配置されている。そして、アルファベットは左から右へ、上から下へ読むことが通常であるから、本件商標は「KOMOREBI」の外観を容易に認識することができる。そうすると、本件商標と引用商標は、外観において類似するものであり、互いに相紛れるおそれのある商標である。
ウ 称呼について
前述したように、本件商標及び引用商標の称呼は、その文字部分から「コモレビ」なる称呼を有し、互いに同一である。したがって、本件商標と引用商標は、称呼において明らかに類似するものであり、互いに相紛れるおそれのある商標である。
エ 観念について
前述したように、本件商標及び引用商標の観念は、その文字部分から「樹木の枝葉の間からさし込む日光」などの観念を有し、互いに同一である。したがって、本件商標と引用商標は、観念を共通にし、互いに相紛れるおそれのある商標である。
(3)まとめ
以上のように、本件商標と引用商標について、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に観察した結果、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似商標である。したがって、本件商標の商標登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
引用商標は、本件商標の登録出願日である2024年7月19日の前である2023年6月15日に出願され、本件商標の登録日である2025年3月5日の後である同年4月25日に登録された先願後登録商標である(甲3)。本件商標の指定商品「眼鏡,サングラス」は、上記2(2)で説明したように、引用商標の指定商品「眼鏡,サングラス」と同一である。また、本件商標は、上記2(2)で説明したように、引用商標と類似する。このように、本件商標は、指定商品「眼鏡,サングラス」において、引用商標と重複登録されている。したがって、最先の出願人である引用商標の商標権者(以下「引用商標権者」という。)のみが登録を受けられるのであり、本件商標の商標登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
(1)他人の業務に係る商品を表示する商標
引用商標権者は、2016年にベルギーで設立されたアイウェアの会社であり、商標「komorebi」の名の下、商品「眼鏡」を販売している(甲4、甲5)。このように、引用商標権者は、本件商標の商標権者と相違する。したがって、引用商標権者は「他人」の要件を満たす。
(2)引用商標の周知性
引用商標権者の創業者であるクリストフ・デスメット氏は、訪問先の奄美大島で日本の自然の造形美に触れて大きな感銘を受け、「木々より漏れ広がる陽光が舞い踊る」という情景を意味する“木漏れ日”のKOMOREBIブランドを立ち上げた。眼鏡のフレームは森や光、海岸線など、自然にあるものからインスパイアされており、形だけでなく色や質感によっても自然が表現されている。そして、フレームによって、「ブレイク」、「ブロード」などの数多くのコレクションがある(甲5)。
引用商標権者は、フランスやベルギーなどのヨーロッパを始めとして、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、韓国などの世界各国で382のメンバーを介して「眼鏡」の販売を行っている(甲4、甲6)。特に我が国では、北海道から東京、大阪、鹿児島まで27のメンバーと提携し、KOMOREBIブランドの「眼鏡」を販売している(甲7)。
上記27メンバーの一つである「リネット・ジュラ」は、2018年8月15日に新ブランドとして六本木店でKOMOREBIアイウェアの提供を開始した。その後も、新作紹介や新作受注会などを定期的に開催し、現在に至るまで自社のブログで広告宣伝をしている。さらに、2023年2月2日には表参道ヒルズ店でお披露目イベントを開催し、店舗を拡大している(甲8)。
また、「TRIPLE-T」は、2018年2月21日に新ブランドとしてKOMOREBIアイウェアの提供を開始した。その後も、新作紹介を定期的に発信し、現在に至るまで自社のブログで広告宣伝をしている(甲9)。
また、雑誌「MEN’s Ex」のONLINE版は、2021年4月30日に、引用商標の眼鏡を写真付きで紹介している。そこで紹介されている「本格眼鏡大全」(2020年12月21日)には、特選80ブランドとして、引用商標が掲載されている(甲10)。この眼鏡大全には、ボストンクラブ、アイヴァン、999.9、増永眼鏡などと有名な高級老舗ブランドが掲載されている。これはすなわち、引用商標も有名なブランドの仲間入りを果たしたことを意味する。
さらに上記27メンバーではないが、八戸のメガネアートは、2018年9月15日に新ブランドとしてKOMOREBIアイウェアの提供を開始した。その後も、現在に至るまで自社のホームページで引用商標の「眼鏡」を提供、広告宣伝をしている(甲11)。
このように、引用商標権者は、世界各国382のメンバーと提携し、2016年から世界各国でアイウェアとして引用商標の「眼鏡」を販売している。そして、日本では、2018年から、上記27のメンバーだけでなく、多くの眼鏡店がKOMOREBIブランドを扱い、雑誌や図鑑にも紹介されている。そのため、引用商標は、我が国においては、遅くとも2025年3月には、眼鏡の分野における取引者、需要者に広く認識され、周知著名になっているといえる。したがって、引用商標は周知商標である。
(3)本件商標
本件商標の指定商品「眼鏡」は、引用商標の「眼鏡」と同一である。また、本件商標の指定商品「サングラス」は、「眼鏡」と機能又は使用態様において異なるのみで、両者はアイウェアとして密接に関連し、互いに類似する。さらに、本件商標は、上記2(2)で主張したように、引用商標である周知商標と類似する。
(4)まとめ
以上のように、引用商標は、日本国内のみならず、世界各国の眼鏡の分野における需要者や取引者に広く認識されている周知商標であるから、その商品又は類似する商品に使用し、引用商標に類似する本件商標は、商標法第4条第1項第10号の異議理由が存在する。
他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標は、その他人の業務に係る商品と誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある場合もいう。これについては、商標審査基準に記載された判断基準を挙げて、本件商標が同号に規定する商標に該当することを主張する。
(1)類似性の程度
前述したように、本件商標は、称呼及び観念において、引用商標である周知商標と同一である。また、本件商標は、外観において、引用商標である周知商標と類似する。したがって、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高い。
(2)引用商標の周知度
引用商標権者は、2016年から世界各国382のメンバーと提携し、引用商標の名で商品「眼鏡」を販売した結果(甲4~甲11)、商品「眼鏡」の分野における取引者・需要者の間で周知著名となった。特に、我が国では、27のメンバーと提携するとともに、それ以外の眼鏡店とも提携し、2018年頃から継続して販売を続けている。そして、引用商標は、雑誌のみならず、「特選80ブランド」として眼鏡大全にも掲載された。この眼鏡大全には、ボストンクラブ、アイヴァン、999.9、増永眼鏡などと有名な高級老舗ブランドが掲載されている。これはすなわち、引用商標も有名なブランドの仲間入りを果たしたことを意味する。したがって、引用商標は遅くとも2025年初頭には周知著名となっているため、引用商標の周知度は極めて高い。
(3)商品間の関連性
引用商標の商品と、本件商標の指定商品とは、「眼鏡」において同一である。また、「眼鏡」と「サングラス」は、機能又は使用態様において異なるのみで、両者はアイウェアとして密接に関連する。
(4)商品の需要者の共通性その他取引の実情
引用商標の商品「眼鏡」は、本件商標の指定商品「眼鏡」と同一であるから、需要者も同一である。また、引用商標権者は、アイウェアとして「眼鏡」を製造販売しており、「サングラス」もアイウェアとして製造販売する予定がある。そして、「サングラス」の需要者は、サングラスを必要とする人、アイウェアとしてファッション感覚で楽しむ人など、子供から大人まで幅広い。
一方、本件商標の商標権者は、モデルやアーティストのマネジメント会社であり、「KOMOREBI」というアーティストグループをマネジメントしている。そのため、当該グループのグッズとして「眼鏡、サングラス」を販売する可能性がある。このような場合の需要者は、当該グループを応援する人やファッション感覚で眼鏡やサングラスを楽しむ人である。そして、現代社会においては、「推し活」として、10代や20代の若い世代のみならず、50代や60代の世代までもアーティストを応援することからすれば、本件商標の指定商品の需要者も子供から大人まで幅広い。
このように、商品の需要者は共通しており、引用商標と本件商標の取引の実情を考慮しても、両者の商品の需要者は重なり、密接に関連する。
(5)まとめ
以上の(1)から(4)を考慮すると、本件商標は、周知商標である引用商標の商標権者の業務に係る商品「眼鏡」と誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあるのみならず、その商標権者と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品「眼鏡、サングラス」であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあるといえる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の異議理由が存在する。
申立人は、引用商標権者によって、引用商標が商品「眼鏡」に使用され(以下「使用商品」という。)、我が国において広く知られている旨主張し、甲第4号証ないし甲第11号証を提出している。
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 引用商標権者は、2016年にベルギーで設立されたアイウェア(眼鏡)を販売している会社であり、フランスやベルギー等の各国において382の取扱店を介して眼鏡を販売しており、我が国においては、2018年より販売を開始し、少なくとも29の店舗を介して使用商品を販売している(甲4~9)。
イ 使用商品を取扱う、メンバーと称する者の店舗において、ブログによる発信や店舗でのイベント開催により、使用商品の広告宣伝が行われた(甲8、甲9、甲11)。
ウ 雑誌「MEN’s Ex」のオンライン版に使用商品が紹介され、また、書籍「本格眼鏡大全」に使用商品が掲載された(甲10)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、引用商標は、2018年(平成30年)から我が国において「眼鏡」に使用されており、使用商品は、29の店舗において販売及び広告され、雑誌及び書籍において紹介されていることが認められる。
しかしながら、使用商品についての広告はブログによる発信等の僅かなものであり、雑誌又は書籍への掲載も僅か2回である。
そして、使用商品の我が国における市場シェア、売上高などの販売実績についての証拠は提出されていない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、使用商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
申立人は、上記第3のとおり、引用商標との関係において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨申し立てているが、引用商標の設定登録日は、上記第2のとおり、令和7年4月25日であって、本件商標の登録査定の後であるから、申立人による当該登録異議の申立ての理由は、本件商標の登録が商標法第8条第1項の規定に違反してされたものであるというものと解される。
したがって、本件商標が商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたかについて、以下、判断する。
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、申立人は、本件商標は「KOMOREBI」の欧文字からなる商標である旨主張する。
しかしながら、本件商標の構成態様は、その一部に複数の欧文字が組み合わされているものとは理解できるものの、図案化の程度が著しいものであって、いかなる文字(語)を表したものか明確ではなく、むしろ、直線と曲線の組み合わせからなる図形商標と認識させるものと判断するのが相当である。
また、本件商標が、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものである。
したがって、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標は、「KOMOREBI」の欧文字を普通に用いられる書体で表してなるところ、当該文字からは、「コモレビ」の称呼が生じることは明らかであり、「コモレビ」の読みに相当する語は、「樹木の枝葉の間からさし込む日光。」を表す「木漏れ日」(甲2)である。
したがって、引用商標からは、「コモレビ」の称呼及び「木漏れ日」の観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成であることから、両者は、商標の構成全体として、視覚的な印象が明らかに相違し、外観上、判然と区別し得るものである。
また、本件商標からは特定の称呼及び観念が生じないのに対し、引用商標からは「コモレビ」の称呼及び「木漏れ日」の観念が生じるから、称呼及び観念において相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標というべきものであるから、本件商標は、本件申立商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について言及するまでもなく、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。
上記3のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であり、また、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者等の間に広く認識されているものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
上記3のとおり、本件商標と引用商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であり、また、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者等の間に広く認識されているものとは認められない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれを本件申立商品に使用した場合に、本件商標から引用商標との関連性を連想、想起し、他人(引用商標権者)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件申立商品について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当せず、また、同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものでもなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の本件申立商品についての登録は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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