結論テキスト
登録第6910091号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900114 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6910091号商標(以下「本件商標」という。)は、「KYDSPRY」の欧文字を横書きしてなり、2024年6月14日にフランス共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、令和6年12月5日に商標登録出願、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),ワクチン」を指定商品として、同7年3月19日に設定登録され、その後、同年11月7日を受付日として、放棄による本商標権の登録の抹消がなされているものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1701617号商標(以下「引用商標」という。)は、「KYNPRI」の欧文字を横書きしてなり、令和4年10月10日に国際商標登録出願、第5類「Pharmaceutical preparations.」及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同5年10月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標の類否判断基準
商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当とされる(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
そこで、以下、この基準に従って本件商標と引用商標の類否について検討する。
(2)本件商標について
ア 本件商標権者
本件商標権者は、ワクチン専業のグローバル企業であり、世界各地に拠点を置いている。
イ 本件商標の構成
(ア)外観
本件商標は、「KYDSPRY」の欧文字のみからなる。
(イ)称呼
本件商標は造語と考えられるが、その文字構成より「キドスプリ」、「キッズプリ」などと称呼されると考えられる。
(ウ)観念
本件商標は辞書類に載録された語ではなく、また一般的に使用される語でもないから、造語というべきであり、本件商標からは特段の観念は生じないと解される。
(3)引用商標について
ア 申立人
申立人であるベクティブバイオ エージーは、スイスに本拠を置く希少疾患・消化器疾患向けの治療薬を開発するバイオ製薬企業である。日本では一部の分野で旭化成ファーマ株式会社とライセンス契約を締結するなど、グローバルに事業を行っている。
イ 引用商標の構成
(ア)外観
引用商標は、「KYNPRI」の欧文字のみからなる。
(イ)称呼
引用商標は造語と考えられるが、その文字構成より「キンプリ」との称呼が生じる。
(ウ)観念
引用商標は辞書類に載録された語ではなく、また、一般的に使用される語でもないから、造語というべきであり、引用商標からは特段の観念は生じないと解される。
(エ)本件商標と引用商標の類否
前述のとおり、本件商標は「KYDSPRY」の欧文字からなるのに対し、引用商標は「KYNPRI」の欧文字からなるものである。
両者の外観を比較すると、いずれも単語の前半部分に「KY」の文字が、後半部分に「PR」の文字が大文字で記載されている。外観上、特に単語の語頭及び語尾部分は看者の目に付きやすいことから、6文字ないし7文字というさほど長いとはいえない本件商標及び引用商標のそれぞれについて、前半の2文字、後半の2文字が一致している点が外観上の類否に与える影響は大きい。
したがって、両者の外観は類似するものである。
また、本件商標からはその文字構成より「キドスプリ」、「キッズプリ」などの称呼が、引用商標からは「キンプリ」との称呼が生じるものといえる。語頭及び語尾は聴取者が最も強く認識する位置と考えられるが、両者を比較すると語頭及び語尾の「キ」、「プリ」部分で一致しており、両者は相紛らわしいものといえる。また、両者の相違点のうち、「ン」のような鼻音は口腔内で強い破裂を伴わず、音響的にも明瞭さに欠けるため、聴き取りにくい音である。加えて、本件商標を「キドスプリ」と称呼した場合、「ドス」に相当する部分は、「D」と「S」が連続する複雑な子音群に含まれており、速い発話においては音が弱化したり脱落したりすることが多く、聴取者が明確に区別することは困難である。さらに、「D」が有声歯茎破裂音であるため、周囲の子音との連結においてしばしば弱化し、母音「O」も曖昧母音化しやすい。そのため、「ドス」の部分は必ずしも強く認識されず、むしろ聴き落とされやすい音声環境にあるといえる。また、「DS」部分は「ズ」とも称呼し得ることから、引用商標は全体として「キッズプリ」と称呼することも考えられる。その場合、「キンプリ」とは称呼上の相違が明瞭でなく、「キドスプリ」と称呼した場合以上に本件商標とは聴別し辛いものといえる。
以上のように、本件商標と引用商標は外観において類似し、類似の称呼を生じ、いずれの商標からも特段の観念は生じないから、全体として類似性の高い商標であるといえる。
(4)本件商標と引用商標の指定商品の比較
本件商標は、第5類において「薬剤(農薬に当たるものを除く。),ワクチン」を指定商品としている。
一方、引用商標は、第5類において「Pharmaceutical preparations」を指定商品としている。
これらは、いずれも目的、取引者・需要者の範囲等を共通にする同一又は類似する商品である。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は引用商標と外観及び称呼が類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似する指定商品に用いられるものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「KYDSPRY」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、該文字は、一般の辞書等に載録された語ではなく、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情も認められないことから、これよりは、特定の観念は生じないものであり、また、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、ローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「キドスプリ」又は「キッズプリ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、「KYNPRI」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、該文字は、一般の辞書等に載録された語ではなく、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情も認められないことから、これよりは、特定の観念は生じないものであり、また、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、ローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえる。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「キンプリ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)外観
本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、外観において、両者は、語頭及び2文字目の「KY」及び語中の「PR」の文字部分を共通にするものの、そのほかのつづりは語中の「DS」と「N」、語尾の「Y」と「I」とで異なるものであって、欧文字7文字と6文字の長いとはいえない文字構成の比較においては、この差異が全体の視覚的印象に与える影響は小さいとはいえないことからすると、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。
(イ)称呼
称呼においては、本件商標から生じる「キドスプリ」又は「キッズプリ」の称呼と引用商標から生じる「キンプリ」の称呼を比較すると、語頭音「キ」と語尾音とその前音「プリ」の音において共通にするものの、中間音において「ドス」又は「ッズ」と「ン」の音の差異を有しているところ、「ド」の音は比較的強く発音される音、「ス」の音は比較的弱く発音される音であり、また、「ッズ」の音は「ズ」の音の前音が促音「ッ」であることにより、「ズ」の音が明瞭に聴取しやすい音であるのに対して、「ン」の音は比較的弱く発音される音であって、聴取しにくい音である。
そうすると、これらを考慮すれば、5音と4音と比較的短い称呼の比較においては、これらの称呼をそれぞれ一連に称呼しても、全体の語調、語感が異なり、両者は、称呼上、明瞭に聴別できるものというのが相当である。
(ウ)観念
観念においては、上記アとイのとおり、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較をすることができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができず、外観において明確に区別し得るものであり、いずれの称呼の比較において明瞭に聴別できるものであるから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似する商品である。
オ 小括
以上によれば、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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