sokuhyo

Trademark Appeal Case

補正発明の特許性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024007468
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、2021年(令和3年)3月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年3月23日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和5年8月18日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年11月8日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和5年12月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和6年5月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和6年5月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年5月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由](補正の適否の判断)

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「【請求項1】

殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物であって、前記組成物は、

ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン、N-C

10-16

-アルキルトリメチレンジアミンとクロロ酢酸との反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される、一つ又は複数のアミン界面活性剤と、

プロテアーゼを含む酵素と、

脂肪アルコールアルコキシレートである、消泡剤と、を含み、

前記組成物が、塩素、酸化剤、および/または四級アンモニウムクロリドを実質的に含まず、

前記組成物は、9~11のpHを有する水性使用溶液の形態で用いられる、殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和5年11月8日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】

殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物であって、前記組成物は、

ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン、N-C

10-16

-アルキルトリメチレンジアミンとクロロ酢酸との反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される、一つ又は複数のアミン界面活性剤と、

脂肪アルコールアルコキシレートである、消泡剤と、を含み、

前記組成物が、塩素、酸化剤、および/または四級アンモニウムクロリドを実質的に含まず、

前記組成物は、9~11のpHを有する水性使用溶液の形態で用いられる、殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物。」

2 補正の適否

前記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物の成分について、前記のとおり、「プロテアーゼを含む酵素」を直列的に付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

ア 引用文献3

(ア)原査定の拒絶の理由で「引用文献3」として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2016-183242号公報には、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】

【請求項1】

(A)成分として、下記式(1)で示されるアミン化合物、(B)成分としてアルカリ金属水酸化物、珪酸塩より選ばれたアルカリ化合物、(C)成分として水、を含有することを特徴とする硬質表面洗浄剤組成物。

【化1】

25

59

0001431672000001.jpg

式中、Rは少なくとも4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルキル鎖である。

・・・

【請求項3】

(D)成分として消泡剤を、(A)成分100質量部に対し0.3~15000質量部含有する請求項1又は2に記載の硬質表面洗浄剤組成物。

【請求項4】

(D)成分の消泡剤が非イオン系界面活性剤、シリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤から選ばれる1種以上である請求項3記載の硬質表面洗浄剤組成物。

・・・

【請求項9】

請求項1~8のいずれかに記載の硬質表面洗浄剤組成物を、(A)成分濃度0.00005%~2%、pH9.0~13.5溶液として洗浄する硬質表面の洗浄方法。」

「【0026】

本発明の硬質表面洗浄剤組成物により硬質表面を洗浄するに際し、(A)成分濃度0.00005質量%~2質量%、pH9.0~13.5の溶液として用いる。好ましくは(A)成分濃度0.0001~1質量%、pH9.3~12.8、更に好ましくは(A)成分濃度0.0005~0.05質量%、pH9.5~12.2の溶液として用いる。洗浄温度は、30~90°Cが好ましく、40~70°Cであることがより好ましい。」

「【0027】

本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、アルミ製、ステンレス製、銀製等の金属製、メラミン製、プラスチック製、ガラス製、磁器、漆器、陶磁器などあらゆる硬質な素材の表面洗浄用として好適である。本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、一般家庭における台所の換気扇やガスレンジ、風呂釜、トイレ、食器類、あるいは車両、建築物等は、金属、プラスチック、ガラス、陶磁器、コンクリート等の硬質素材等の表面洗浄用に好適に用いることができるが、食器洗浄機の洗浄剤として好適である。特にホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等における自動食器洗浄機のように、家庭用自動食器洗浄機に比較して稼動条件に制約の多い業務用自動食器洗浄機用の洗浄剤として好適であり、従来の業務用自動食器洗浄機用洗浄剤に比して、洗浄効果、抑泡性、バイオフィルム抑制能に優れた効果が発現される。」

「【実施例】

【0028】

以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載が無い限り質量基準である。

試験に使用した化合物を下記に記す。なお、アルコールの後の括弧内は脂肪族アルコールの炭素数を、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドの略であり、その後の数字はそれぞれEO、POの付加モル数を表す。尚、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。

【0029】

アミン化合物

A-1:N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン

A-2:N-(3-アミノプロピル)-N-ブチルプロパン-1,3-ジアミン

A-3:N-(3-アミノプロピル)-N-デシルプロパン-1,3-ジアミン

A-4:N-(3-アミノプロピル)-N-オクタデセニルプロパン-1,3-ジアミン

A-5:N-(3-アミノプロピル)-N-アルキルプロパン-1,3-ジアミン(但し、アルキル基が牛脂由来のもの。)

【0030】

アルカリ化合物

B-1:水酸化ナトリウム

B-2:水酸化カリウム

B-3:珪酸ナトリウム(純分39%、モル比SiO2:Na2O=3:1) 商品名:珪酸ソーダ3号、株式会社ADEKA製

B-4:珪酸カリウム(純分40%、モル比SiO2:K2O=3:1) 商品名:A珪酸カリ、日本化学工業株式会社製

【0031】

C-1:イオン交換水

【0032】

消泡剤

D-1:ドデシルアルコールのEO5モル、PO5モル付加物

D-2:ウンデシルアルコールのEO4モル、PO7モル付加物

D-3:テトラデシルアルコールのEO12モル、PO16モル付加物

D-4:ドデシルアルコールのEO10モル、PO12モル付加物

D-5:プルロニック型ノニオン界面活性剤 商品名:アデカプルロニック25R-1、株式会社ADEKA製(PO3モル、EO43モル、PO3モルのブロック付加体)

D-6:シリコーン樹脂 商品名:KM-72F、信越化学工業株式会社製

【0033】

可溶化剤

E-1:2-エチルヘキサン酸ナトリウム

E-2:カプリル酸カリウム

E-3:メタキシレンスルホン酸ナトリウム

E-4:ヘキシルグルコシド 商品名:AG6206、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製

E-5:2-エチルヘキシルグルコシド 商品名:AG6202、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製

E-6:オクチルジメチルアミンオキサイド

E-7:デシルジメチルアミンオキサイド

【0034】

キレート剤

F-1:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩

F-2:ニトリロ三酢酸ナトリウム塩

F-3:メチルグリシン二酢酸ナトリウム塩

F-4:グルタミン酸二酢酸ナトリウム塩

【0035】

高分子ポリマー分散剤

G-1:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量が4,000)

G-2:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量が15,000)

G-3:アクリル酸-マレイン酸共重合体(重量平均分子量が10,000)

【0036】

実施例1~80、比較例1~10

表1~9に示す配合に基づき硬質表面洗浄剤組成物を調製した。また各洗浄剤組成物又はその希釈物について、バイオフィルム抑制性(汚れあり、汚れなし)、洗浄性(蛋白質汚れ)、貯蔵安定性(-5°C、25°C、40°C)を以下に示す方法で測定した。結果を、表1~9にあわせて示す。

【0037】

※1:バイオフィルム防止性試験

<試験方法>

各洗浄剤組成物5gを滅菌済みのミューラーヒントン培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕に添加して全量を100gにして、各洗浄剤組成物の5質量%コンク溶液を調製した。本コンク溶液を更に滅菌済みミューラーヒントン培地を用いて洗浄剤組成物の濃度として0.1質量%となるように希釈調製し、それぞれ24穴マイクロプレート〔旭テクノグラス株式会社製〕に2mL量りとった。また、汚れ負荷がある場合の汚れ成分として、3質量%ウシアルブミンをコンク溶液として調整し、24穴マイクロプレートに0.3質量%となるように添加した。

緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、クレブシュラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)をそれぞれLB培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕を用いて、37°Cで18時間前培養して増殖した菌液を、ピペットマンを用いて当該マイクロプレート内の試験溶液に100μL接種した。これを37°Cで48時間培養後に培養液を廃棄し、滅菌精製水2mLで各ウェル内を5回洗浄した。マイクロプレート壁に付着したバイオフィルムを0.1質量%クリスタルバイオレット液で染色し、滅菌水でリンス後、バイオフィルムの形成状態を目視によって観察し、汚れ付加がある場合とない場合とで、バイオフィルム抑制性を下記基準で評価した。

<評価基準>

◎:バイオフィルムがプレート壁面の0~20%未満を覆う状態。

○:バイオフィルムがプレート壁面の20%以上40%未満を覆う状態。

△:バイオフィルムがプレート壁面の40%以上60%未満を覆う状態。

×:バイオフィルムがプレート壁面の60%以上を覆う状態。

とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。

【0038】

※2:洗浄性試験

洗浄性は、以下の条件で被洗物を洗浄し評価した。

<洗浄条件>

使用洗浄機:HOBART製自動食器洗浄機(機種AM-14型)

洗浄温度:66°C

洗浄時間:40秒

すすぎ温度:82°C

すすぎ時間:9秒

洗浄液:洗浄剤組成物の0.07質量%希釈液

使用水:炭酸カルシウム換算で、200mg/L[ドイツ硬度11.2°DH]の硬水

<被洗物の調整>

5質量%の卵黄溶液を白色磁器皿(直径12cm)に均一に塗布し、100°Cで30分間加温し、変性させたものを洗浄力試験用被洗物とした。

<評価方法>

上記の方法で調整した汚染皿10枚を自動食器洗浄機の洗浄ラックに設置し、上記洗浄条件にて洗浄、すすぎ後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1%アミドブラック液を皿全体に振りかけ、呈色した着色部分の面積(S

1

)を測定した。初期の汚染面積(S

0

)から、下式により洗浄率をもとめ、皿10枚の平均値を結果として採用した。

【0039】

(数1)

洗浄率(%)={(S

0

-S

1

)/S

0

}×100

【0040】

<評価基準>

◎:洗浄率が80%以上。

○:洗浄率が60%以上80%未満。

△:洗浄率が40%以上60%未満。

×:洗浄率が40%未満。

とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。

【0041】

※3:抑泡性試験

抑泡性は、以下の条件で試験し評価した。

<試験条件>

使用洗浄機:石川島播磨重工業株式会社製自動食器洗浄機(機種JWD-6型)

洗浄液温度:60°C

洗浄剤濃度:0.1重量%

汚れ条件:5重量%濃度となるように複合汚れを洗浄液に添加した場合と、しない場合で試験を行った。(複合汚れは、米でんぷん:卵黄:牛脂=1:2:4とした)

使用水:硬度5°DHの水(塩化カルシウムで調整)

<抑泡性評価法>上記試験条件で洗浄機の洗浄工程を10分間連続稼動させ、自動食器洗浄機の蓋を開けた直後から2分後の泡立ちを判定基準に基づいて官能評価した。

<評価基準>

◎:泡が少ない。

○:やや泡が立っている。

△:泡立っているが、実用上問題ない。

×:非常に泡立っている。

とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。

【0042】

※4:貯蔵安定性試験

<試験方法>

各洗浄剤組成物100gを透明ガラス瓶に入れ、-5°C、25°C、40°Cで1ヶ月静置した後に外観を観察した。

<評価基準>

○:分離や濁りが見られず安定である。

△:全体的な分離はないが、若干の濁りが見られる。

×:分離もしくは濁りが見られる。

とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。

・・・

【0046】

【表4】

77

142

0001431672000002.jpg

(イ)引用文献3の段落0026、段落0028~0042、段落0046、表4に記載された実施例34の硬質表面洗浄剤組成物及びその組成物を洗浄のために調製した希釈物に着目して整理すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「A-1:N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン 0.1質量%、B-1:水酸化ナトリウム 2質量%、B-2:水酸化カリウム 2質量%、D-1:ドデシルアルコールのEO5モル、PO5モル付加物 0.1質量%、E-1:2-エチルヘキサン酸ナトリウム 20質量%及びC-1:イオン交換水 残部で配合し、希釈濃度0.1質量%で希釈して調製され、pH11.0である、硬質表面洗浄剤組成物希釈物」

イ 引用文献1

原査定の拒絶の理由で「引用文献1」として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-182905号公報には、次の記載がある。

「【0001】

本発明は、食器洗い機用洗浄剤組成物に関する。」

「【0046】

<任意成分>

本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物には、本発明の目的に反しない限り、食器を洗浄するための洗浄剤に通常含まれる如何なる成分も含むことができる。例えば、分子量800以下のキレート剤(以下、「(C)成分」ともいう)、アクリル酸系水溶性高分子(以下、「(D)成分」ともいう)、酸性増粘多糖類、溶剤、ハイドロトロープ剤、分散剤、増粘剤、粘度調整剤、酵素、香料、着色剤、防腐剤、除菌剤、漂白剤、漂白活性化剤、消泡剤(シリコーン化合物等)などの成分を配合することができる。」

「【0052】

本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物の25°CにおけるpHは、食器洗い機に対する腐食性の点から、5以上が好ましい。また、低泡性の点から、11以下が好ましい。より好ましくは6~10である。

本発明において、食器洗い機用洗浄剤組成物のpHは、食器洗い機用洗浄剤組成物を25°Cに調整し、pHメーター等により測定される値を示す。」

「【実施例】

【0055】

以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

【0056】

表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。

表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。

「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。(C)成分の含有量は無水の酸型としての含有量である。

以下に、表中に示した成分について説明する。

【0057】

<(A)成分>

・a1-1:第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(炭素数14~17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム、クラリアントジャパン社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。

・a1-2:ポリオキシエチレン(平均3モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名:「サンノールLMT-1430」)。

・a1-3:ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「リパール870P」)。

【0058】

・a2-1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、式(a2-1)中、R

21

が炭素数12~13のアルキル基、Xが-O-、sが3、tが3、R

22

が水素原子の化合物、ライオン社製、商品名「NNAEP-3030」)。

・a2-2:2級アルコールエトキシレート、式(a2-1)中、R

21

が炭素数12~14のアルキル基、Xが-O-、sが3.3、tが0、R

22

が水素原子の化合物、日本触媒社製、商品名「ソフタノール33」。

・a2-3:アルキルポリグリコシド、式(a2-2)中、R

25

が炭素数6の直鎖アルキル基、xが0、Gがグルコースに由来する残基、yが1.3である化合物、アクゾノーベル社製、商品名「AG-6206」。

・a2-4:ポリオキシエチレン(平均40モル)硬化ヒマシ油、商品名「HC40」、日本エマルジョン社製。

【0059】

・a3-1:n-ドデシルジメチルアミンオキシド、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「カデナックスDM12D-W(C)」。

・a3-2:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、第一工業製薬社製、商品名「アミーゲンS」。

・a3-3:塩化ジデシルジメチルアンモニウムロンザ社製、商品名「Bardac2280G」。

・a3-4:C18ジメチルアミノプロピルアミド、東邦化学株式会社製、商品名「カチナールMPAS」)式(a3-5)中、R

7

が炭素数15の直鎖のアルキル基である分子(C16)と、R

7

=炭素数17の直鎖状のアルキル基である分子(C18)と、の質量比でC16:C18=3:7の混合物。R

8

が水素原子であり、R

9

がプロピレン基((CH

2

)

3

)であり、R

10

がメチル基であり、R11がメチル基である化合物。

【0060】

<(B)成分>

・b-1:(N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン)(ロンザ社製、商品名「Lonzabac12.100」、式(b-1)中、R

1

が炭素数12のアルキル基であり、nが3である化合物。

【0061】

<(C)成分>

・c-1:クエン酸、扶桑化学工業社製、商品名「精製クエン酸(無水)」。

・c-2:メチルグリシン二酢酸、BASF社製、商品名「Torilon M」。

・c-3:L-グルタミン酸二酢酸塩、アクゾノーベル社製、商品名「GL-47-・S」。

【0062】

<(D)成分>

・d-1:カルボキシビニルポリマー、住友精化社製、商品名「アクペックHV-505E。

・d-2:アクリル酸/マレイン酸共重合物ソーダ塩、日本触媒社製、商品名「アクアリックTL-400」。

【0063】

<その他の任意成分>

・キサンタンガム:商品名「KELZAN T」、三晶社製。

・クメンスルホン酸ナトリウム:商品名「テイカトックスN5040」、テイカ社製。

・アミラーゼ:商品名「ターマミルウルトラ300L」、ノボザイムズ社製。

・プロテアーゼ:商品名「サビナーゼウルトラ16XL」、ノボザイムズ社製。

・pH調整剤:硫酸(関東化学社製)、水酸化ナトリウム:48%水酸化ナトリウム(旭硝子社製社製)、粒状水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)、水酸化カリウム:48%水酸化カリウム(旭硝子社製)、粒状水酸化カリウム(和光純薬工業社製)。

【0064】

<食器洗い機用洗浄剤組成物の調製>

表1~5の組成に従い、溶媒としての水に、(A)成分、(B)成分、及び任意成分を溶解することにより、各例の食器洗い機用洗浄剤組成物0.8kgをそれぞれ調製した。

具体的には、1Lビーカー(直径12cm)内に、キサンタンガムと水を組成物全体の50質量%となるように投入した。HEIDON FBL1200スリーワンモーター(新東科学株式会社製)の撹拌機に直径7.5cm、幅1.5cm、角度45度の4枚羽パドルを装備し、その後、内容物が飛び散らないように回転数400~900rpmで撹拌した。次いで(A)成分と(B)成分と(C)成分を混合した後、クメンスルホン酸ナトリウムとpH調整剤(水酸化ナトリウム又は硫酸)を添加し、混合液を得た。各例の食器洗い機用洗浄剤組成物のpHは、表に示すpH値となるように、pH調整剤によりpH7.0に調整した。pH7.0に調整後、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ)を添加し、組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、前記撹拌機の回転数650rpmで1分間撹拌することにより食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。

組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、前記撹拌機の回転数650rpmで1分間撹拌することにより食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。

組成物のpH(25°C)は、25°Cに調整した食器洗い機用洗浄剤組成物を、ガラス電極式pHメーター(HM-30G、東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。

【0065】

<食器洗い機用洗浄剤の評価>

各実施例及び比較例の組成物について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表に併記した。

食器洗い機として、自動食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社製、機種NP-40SX2)を用いた。各評価において、洗浄処理は、該自動食器洗い乾燥機に設定されている標準コース(節電モード又は通常モード)で運転することにより行った。節電モードとは、通常モードと比較して、洗浄工程での水温が15°C低く設定されている。該標準コース(節電モード)の内容を以下に示す。

・標準コース(節電モード):

該自動食器洗い乾燥機に組成物2~9g(水道水3Lに対し)を投入した後、約5°Cの水道水を庫内に導入して調製される洗浄液を40°Cまで2~3°C/minで昇温しながら20分間洗浄を行い、該洗浄液を排水する。次いで、新たな水道水を導入し、すすぎ(2分間/回)と排水との繰返し3回を行う。排水後、新たな水道水を導入し、70°Cまで2~3°C/minで昇温しながらすすぎ1回(最終すすぎ)20分間を行い、排水後、温風を循環させながら食器等を乾燥する。

・標準コース(通常モード)は、上記標準コース(節電モード)において、洗浄液を55°Cまで2~3°C/minで昇温しながら20分間洗浄を行う他の操作は、上記標準コース(節電モード)と同様である。

【0066】

<水切れ性の評価>

生クリームが1g入ったガラス製のグラス(直径約6cm、高さ10cm)5個を食器洗い機に設置し、食器洗い機用洗浄剤組成物投入後、5°Cの水を用いて前記自動食器洗い乾燥機標準コースで運転を行った。乾燥後の水滴跡(白色斑点)のなさを以下の官能評価基準に従って評価し、グラス5個の合計値を算出した。評点D以上を合格とした。なお、1~100mm2の白色斑点を1個の水滴跡として数えた。水滴跡が複数重なっている場

合には、1個の水滴跡として数えた。

(評価基準)

A:水滴跡の個数が0~5個。

B:水滴跡の個数が6~10個。

C:水滴跡の個数が11~15個。

D:水滴跡の個数が16~25個。

E:水滴跡の個数が26~35個。

F:水滴跡の個数が36~45個。

G:水滴跡の個数が46個以上。

・・・

【0070】

【表4】

127

85

0001431672000003.jpg

ウ 引用文献2

原査定の拒絶の理由で「引用文献2」として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2018-528311号公報には、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】

【請求項1】

トリアミン及び酸を混合することと、

前記トリアミンを少なくとも部分的に中和して、固体アミン塩を形成することと

を含む、固体トリアミン組成物を作製する方法。

・・・

【請求項6】

前記トリアミンが、以下の式を有し、

【化4】

21

56

0001431672000004.jpg

式中、Rは、直鎖C1~C12アルキル基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。

・・・

【請求項35】

洗浄、清浄、及び/または消毒する方法であって、

請求項1~34のいずれか一項に記載の固体トリアミンを発生させることと、

任意選択的に、追加的な機能性成分を前記固体トリアミンに添加すること、ならびに/または前記固体トリアミン及び追加的な機能性成分を含む組成物を形成することと、

洗浄、清浄、及び/または消毒するために、物品または表面を前記固体トリアミンの使用溶液及び/または前記組成物の使用溶液と接触させることと、を含む、方法。

【請求項36】

前記洗浄、清浄、及び/または消毒することが、濯ぎステップである、請求項35に記載の方法。

【請求項40】

前記追加的な機能性成分が、界面活性剤、キレート剤、封鎖剤、洗剤、アルカリ性源、ビルダ、濯ぎ助剤、硬化剤、漂白剤、清浄剤、活性化剤、ビルダ、充填剤、消泡剤、再堆積防止剤、光学的光沢剤、染料、付臭剤、安定剤、分散剤、酵素、腐食防止剤、増粘剤、及び溶解度修飾剤からなる群から選択される薬剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。」

「【背景技術】

【0002】

タンパク質、油脂、ならびにデンプン系の汚れの除去、洗浄、清浄、及び/または消毒を必要とする施設及び他の環境には複数の汚れが存在するため、効果的な洗浄製品が現在も必要とされている。かかる汚れは、硬い表面及び軟らかい表面から除去することが困難であり得、強力な洗浄製品を必要とする。液体トリアミン抗微生物組成物は、洗浄、消毒、清浄、濯ぎ、及び/または潤滑利益を提供し得る。しかしながら、その変更されていない状態で抗微生物性活性(N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン)を提供するアミンは、固体組成物に配合することが困難である。アミンの液体形態は従来、希釈された液体組成物の使用を必要とし、トリアミン抗微生物組成物の固体配合物に対する多数の障壁を提示する。さらに、固体トリアミン組成物の配合は、固体の抗微生物性状態中のトリアミンの濃度を希釈する多数の機能性成分の添加を必要とし、したがって組成物の有効性を損なう。

・・・

【0011】

本発明は、固体トリアミン抗微生物性、清浄、消毒、洗浄、濯ぎ、及び/または潤滑組成物に関する。本組成物は、例えば、最小化された輸送及び出荷費用、使用時点での使用溶液の発生などを含む、従来的な液体トリアミン組成物を上回る利点を有する。」

「【0088】

酵素

いくつかの実施形態では、固体トリアミン組成物は、1つ酵素を更に含んでもよいが、任意の数の酵素を含んでもよい。酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、グルコナーゼ(gluconase)、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、組み合わせ、または他の酵素が挙げられ得る。システムは、好ましくは、少なくとも1つのリパーゼを含む。酵素は、植物性、動物性、細菌性、菌性、もしくは酵母酵素、またはそれらの遺伝的変異であってもよい。酵素は、pH、安定性、温度、ならびに洗剤組成物中に見出される材料及び洗浄用途との適合性などの因子に基づいて選択されるべきである。好ましい酵素は、約20°C~80°Cの温度で約2~14または6~12の範囲のpHにおいて活性を有する。酵素は、野生型酵素または組み換え酵素であってもよい。好ましい酵素は、広範なスペクトルの活性、ならびにアルカリ度、酸性度、キレート剤、封鎖剤、界面活性剤などの洗浄組成物中に見出される材料に対する高い耐性を有する。

・・・

【0092】

プロテアーゼ

以下から単離されるプロテアーゼ:バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)など。」

エ 引用文献A

当審において新たに提示する、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2015-501871号公報(以下「引用文献A」という。)には、次の記載がある。

「【0070】

例示的な濃縮したアルカリ性組成物及び酸性組成物は、表1に示す以下の材料の一部又は全部を含んでもよい。

【0071】

【表1】

83

97

0001431672000005.jpg

・・・

【0077】

《アルカリ性組成物》

開示する方法はアルカリ性組成物を含んでおり、洗浄方法のアルカリ性工程の間に、濃縮アルカリ性組成物を洗浄する物品と直接接触させる。アルカリ性組成物は濃縮又は希釈してもよいが、好ましくは、方法は少なくとも1つの濃縮アルカリ性組成物を洗浄する物品に適用する。アルカリ性組成物は一つ以上のアルカリ源を含む。適切なアルカリ源のいくつかの非限定的な例としては:水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム;アルカリシリケート;エタノールアミン、例えばトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びモノエタノールアミン;アルカリカーボネート;及びこれらの混合物が挙げられる。アルカリ源は、好ましくは水酸化物、又は水酸化物の混合物、又はアルカリカーボネートである。濃縮組成物中の材料についての例示的な濃度範囲は表1に記載されている。

・・・

【0079】

アルカリ性組成物は、更なる成分を含んでもよい。例えば、アルカリ性組成物は、水調製剤、酵素、界面活性剤、結合剤、抗菌剤、漂白剤、触媒、消泡剤/発泡防止剤、固化剤、増粘剤、抗再析剤、色素又は臭気物質、キャリア、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物を含んでもよい。

・・・

【0081】

〈酵素〉

アルカリ性組成物は、基材、例えば食器類、カップ及びボウル、並びにポット及びパンから、タンパク質ベース、炭水化物ベース、又はトリグリセリドベースの汚れを除去する望ましい活性を提供することができる一つ以上の酵素を任意に含んでもよい。したがって、酵素は、表面上にある汚れ残留物の一つ以上の種類を分解又は変性することによって働き、したがって汚れを除去するか、又は汚れをより除去しやすくすることができる。汚れ残留物の分解及び変性は、洗浄している表面に汚れが結合する物理化学的な力を低減し、すなわち汚れをより水溶性にすることによって、洗浄力を改良することができる。例えば、一つ以上のプロテアーゼは、汚れ残留物中に存在する複雑な高分子タンパク質構造を、上記のプロテアーゼを含む洗浄溶液によって、それ自身がより容易に表面から離れるか、可溶化するか、又はそうでなくとも容易に除去される、より単純な短鎖分子へと切断することができる。

【0082】

適当な酵素としては、任意の適切な起源、例えば野菜、動物、細菌、菌類、又は酵母を起源とする、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、又はこれらの混合物が挙げられる。好ましい選択は、例えばpH-活性及び/又は安定性の最適条件、熱安定性、並びに活性洗剤、ビルダー等に対する安定性の要因に影響される。この点で、細菌又は菌類の酵素、例えば細菌アミラーゼ及び細菌プロテアーゼ、並びに菌セルラーゼが好ましい。好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、又はこれらの組み合わせである。

【0083】

酵素の有益な引用は、「Industrial Enzymes」、Scott,D.Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、(Grayson, M. 及びEcKroth, D.編)第9巻、173~224頁、John Wiley & Sons、New York、1980年であり、その全体が本明細書中に取り入れられる。

【0084】

〈プロテアーゼ〉

プロテアーゼは、植物、動物、又は微生物に由来することができる。好ましくは、プロテアーゼは、微生物、例えば酵母、カビ、又はバクテリアから導かれる。好ましいプロテアーゼとしては、好ましくはバチルス(Bacillus)、例えばバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)、又はバチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)の種から導かれる、アルカリ性のpHで活性なセリンプロテアーゼが挙げられ;これらの好ましいプロテアーゼとしては、天然及びリコンビナントのズブチリシン(subtilisins)が挙げられる。プロテアーゼは、精製することができ、又は微生物抽出物の成分であることができ、及び野生型又は(化学的若しくはリコンビナント)異型のいずれかであることができる。タンパク質分解酵素の例としては、(商品名で)Savinase(登録商標);バチルスレンタス(Bacillus lentus)型から導かれるプロテアーゼ、例えばMaxacal(登録商標)、Opticlean(登録商標)、Durazym(登録商標)、及びProperase(登録商標);バチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から導かれるプロテアーゼ、例えばAlcalase(登録商標)、及びMaxatase(登録商標);並びにバチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)から導かれるプロテアーゼ、例えばPrimase(登録商標)が挙げられる。商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素としては、Novo Industries社 A/S(デンマーク)によって、商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、又はEsperase(登録商標)の下で販売されているもの;Gist-Brocades社(オランダ)によって、商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、又はMaxapem(登録商標)の下で販売されているもの;Genencor International社によって、商品名Purafect(登録商標)、Purafect OX、及びProperaseの下で販売されているもの;Solvay Enzymes社によって、商品名Opticlean(登録商標)、又はOptimase(登録商標)の下で販売されているもの;等が挙げられる。そのようなプロテアーゼの混合物を用いることもできる。例えば、Purafec

t(登録商標)は、約30°C~約65°Cの低温洗浄プログラムでの用途を有する、アルカリ性プロテアーゼ(ズブチリシン(subtilisin))であり;Esperase(登録商標)は、約50°C~約85°Cの高温洗浄溶液のために選択されるアルカリ性プロテアーゼである。洗浄プロテアーゼは、以下:Novoに対する、英国特許第1,243,784号明細書、国際公開第9203529号A(酵素/抑制剤系)、国際公開第9318140号A、及び国際公開第9425583号(リコンビナントトリプシンのようなプロテアーゼ);Procter & Gambleに対する、国際公開第9510591号A、国際公開第9507791号(低減された吸着性及び増大された加水分解性を有するプロテアーゼ)、国際公開第95/30010号、国際公開第95/30011号、国際公開第95/29979号;Genencor International社に対する、国際公開第95/10615号(バチルスアミロリケファシエンスズブチリシン(Bacillus amyloliquefaciens subtilisin));欧州特許出願公開第130,756号明細書A(プロテアーゼA);欧州特許出願公開第303,761号明細書A(プロテアーゼB);及び欧州特許出願公開第130,756号明細書Aを含む特許公報に記載されており、引用によりその全体が本明細書中に取り入れられる。異型プロテアーゼは、これらの参照用のプロテアーゼのアミノ酸配列と、好ましくは少なくとも80%相同的であり、好ましくは少なくとも80%の配列同一性を有する。

【0085】

当然、異なるタンパク質分解酵素の混合物を用いてもよい。様々な特定の酵素を上記に開示したが、組成物に所望のタンパク質分解活性を与えることができる任意のプロテアーゼを用いてもよいことがわかる。

・・・

【0185】

〈抗菌剤〉

アルカリ性組成物は、任意に抗菌剤を含んでもよい。抗菌剤は、組成物中に使用して、製品の材料系、表面等の、微生物汚染及び劣化を防止することができる化学組成物である。一般に、これらの材料は、フェノール化合物、ハロゲン化合物、第四級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アニリド、有機硫黄、及び硫黄-窒素化合物、及び種々の化合物を含む特定の種類に含まれる。所定の抗菌剤は、化学組成及び濃度によって、更なる微生物数の増殖を容易に制限してもよく、又は全て若しくは大きな割合の微生物個体群を破壊してもよい。用語「細菌(microbes)」及び「微生物(microorganisms)」は典型的に、主にバクテリア及び真菌微生物をいう。使用において、抗菌剤は、水性の流れを使用して希釈及び分配した場合に、様々な表面に接触して、結果としてかなりの微生物個体群の成長を阻害し又は殺すことができる水性の消毒剤又は殺菌剤組成物を形成する、最終製品を形成する。

・・・

【0190】

〈消泡剤/発泡防止剤〉

アルカリ性組成物は、消泡剤又は発泡防止剤を任意に含んでもよい。消泡剤又は発泡防止剤を含んで、形成されるあらゆる泡の安定性を低減してもよい。発泡防止剤の例としては、シリコン化合物、例えばポリジメチルシロキサン中に分散したシリカ、脂肪アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱油、ポリエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルリン酸エステル(例えばリン酸モノステアリル等)が挙げられる。発泡防止剤に関する議論は、例えば、米国特許第3,048,548号明細書、米国特許第3,334,147号明細書、及び米国特許第3,442,242号明細書中に見ることができ、これらの開示は引用により本明細書中に含まれる。」

(3)対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)本願明細書の段落0011における「アミン系界面活性剤が、洗浄組成物またはすすぎ助剤の一部として、器物洗浄用途において殺菌剤として機能し得る」との記載からすると、本件補正発明の「殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物」は、「殺菌剤組成物又は殺菌すすぎ助剤組成物」を意味するものと解される。引用発明は、引用文献3の段落0046、表4からみて、バイオフィルム抑制性の評価基準(同段落0037)における「○」の評価を得て実用性ありとされたものである。ここで、当該バイオフィルム抑制は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、クレブシュラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)を培養し増殖させて評価するものであるから(同段落0037)、引用発明は抗菌または殺菌活性を有するといえる。そうすると、引用発明の「硬質表面洗浄剤組成物希釈物」は、本件補正発明の「殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物」に相当する。

(イ)引用発明の「A-1:N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン」は、疎水性の長鎖アルキル基(ドデシル基)と二つのアミノプロピル基を有する第三級アミンであり、界面活性剤として機能することは周知であるから、本件補正発明の「ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン」及び「アミン界面活性剤」に相当する。

(ウ)引用発明の「D-1:ドデシルアルコールのEO5モル、PO5モル付加物」は、ドデシルアルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)を付加したものであるから、本件補正発明の「脂肪アルコールアルコキシレート」に相当し、また、引用文献3の段落0032には、「消泡剤」として用いることが記載されているから、本件補正発明の「脂肪アルコールアルコキシレートである、消泡剤」に相当する。

(エ)引用発明は、塩素、酸化剤、四級アンモニウムクロリドを成分として含むものではないから、本件補正発明の「前記組成物が、塩素、酸化剤、および/または四級アンモニウムクロリドを実質的に含まず」を充足する。

(オ)引用発明の「硬質表面洗浄剤組成物希釈物」は、「希釈濃度0.1質量%」で「pH11.0」に調製された組成物であるから、本件補正発明の「前記組成物は、9~11のpHを有する水性使用溶液の形態で用いられる」ものに相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物であって、前記組成物は、

ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン、N-C

10-16

-アルキルトリメチレンジアミンとクロロ酢酸との反応生成物、又はこれらの組み合わせから選択される、一つ又は複数のアミン界面活性剤と、

脂肪アルコールアルコキシレートである、消泡剤と、を含み、

前記組成物が、塩素、酸化剤、および/または四級アンモニウムクロリドを実質的に含まず、

前記組成物は、9~11のpHを有する水性使用溶液の形態で用いられる、殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物。」

<相違点>

本件補正発明は、「プロテアーゼを含む酵素」を含むのに対して、引用発明は、酵素を含まない点

(4)相違点についての検討

引用文献3の段落0027には、「本発明の硬質表面洗浄剤組成物は・・・食器洗浄機の洗浄剤として好適である」と記載されており、引用発明には、食器洗浄機用途が想定されているところ、タンパク質汚れの除去は自明の課題であるといえるし、段落0008には、「硬質表面のタンパク質汚れや油汚れを効率的に洗浄除去すること」が期待される効果であることも示唆されている。

また、種々のpHを有する洗浄剤組成物において、タンパク質汚れを除去するために当該組成物中で活性を発揮し得るプロテアーゼ酵素を含有させることは、前記引用文献1、2及び引用文献Aの摘記事項(前記(2)イ、(2)ウ及び(2)エ参照)にもあるように、本願の優先日前に当該技術分野において周知の技術事項である。

そうすると、引用発明においても、前記周知技術を適用し、pH11.0で機能するプロテアーゼ酵素を含有させることで、タンパク質等の汚れの洗浄性を向上させることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(5)効果について

本願明細書の段落0182~0184には、実施例5として「本開示の組成物の適合性を、酵素などの他の化合物でさらに試験した。」、「器物を7サイクル洗浄し、1を最高の洗浄力、5を最低として、残っているタンパク質フィルムを評価した。」、「図11に示すように、約10ppmの酵素(pH9以下のプロテアーゼ、pH10以上のエンドペプチダーゼ)でpHを約9からpH11に増加させると、タンパク質を除去する能力が増加する。さらに、約10のpH~10.5のpHで、洗剤、エンドペプチダーゼ、およびビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミンの能力は、1のスコアで(合議体注:図11には、11のpHでのスコアも1であることが示されている。)、ほぼすべてのフィルム形成を防止した。」と記載されている。ここで、段落0182から、「フィルム」とは「タンパク質フィルム」であると認められる。

しかしながら、実施例5で用いた洗剤は具体的に特定されておらず、本件補正発明の実施態様であることが必ずしも明らかとはいえないし、それは置くとしても、由来等が明らかでない特定のプロテアーゼ、エンドペプチダーゼを用いた実施態様の結果のみをもって、酵素として任意のプロテアーゼを含む本件補正発明の全範囲において、同等の効果を奏するものとは認識できない。

そして、引用発明に、pH11.0で活性を発揮し得るプロテアーゼ酵素を含有させることで、抗菌または殺菌活性(前記(3)ア(ア)参照)に加えて、タンパク質汚れの洗浄性が向上することは明らかであるから、本件補正発明により、その構成から予測し得ない顕著な効果が奏されたとはいえない。

(6)審判請求人の主張について

審判請求人は、令和6年5月2日提出の審判請求書において、「引用文献には、「9~11のpHを有する水性使用溶液の形態で用いられる」殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物であって、「プロテアーゼを含む酵素」を含有する殺菌洗浄/すすぎ助剤組成物は記載又は示唆されていません」、「本願発明は、プロテアーゼを含む酵素を含有し、pHが9~11であることに由来して、フィルム形成防止、良好な抗微生物有効性等の顕著な効果を有し・・・このような効果は、引用文献1~4及び6に記載又は示唆されておらず、当業者が、本願発明の構成が奏する効果として予測することのできない顕著な効果であるといえます」と主張している。

しかしながら、前記(3)、(4)で示したとおり、引用発明において、アルカリ性のpHで活性を発揮し得るプロテアーゼ酵素を含有させることは、当業者が容易に想到し得たことであるし、また、前記(5)で示したとおり、引用発明に前記プロテアーゼ酵素を含有させることで、抗菌または殺菌活性に加えて、タンパク質汚れの洗浄性が向上すること、すなわち、タンパク質フィルム形成が防止されることは明らかである。

したがって、前記審判請求人の主張は採用できない。

(なお、審判請求人は、令和6年7月23日提出の上申書において、「なお審判請求書の請求の理由では十分でないとのご見解であれば、前置審査官からのご指摘を考慮して、特許請求の範囲を下記のように補正したく考えております」と述べて、請求項1に「消泡剤とアミン界面活性剤とのモル比が、1:1~1:3であり、」との規定を追加する補正事項を含む補正案を提示しているが、前記引用発明は当該モル比を充足するものであるから、当該補正案は前記(3)、(4)で検討した結果に影響するものでない。)

3 むすび(補正の却下の決定のむすび)

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和6年5月2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年11月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2.原査定における拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、以下の理由1を含むものである。

理由1 (新規性)この出願の請求項1、3~7、9、11~14に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献3に記載された発明であるから、特許法29条1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

3.引用文献

原査定の拒絶の理由の理由1で引用された引用文献3の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4.対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「プロテアーゼを含む酵素」に係る限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに前記限定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、前記限定事項を含む点のみで引用発明と相違することから、本願発明と引用発明とは相違点を有しない。

したがって、本願発明は、引用文献3に記載された発明であるから、特許法29条1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。

第4 むすび(結論)

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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