結論テキスト
特許第7448647号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
特許第7448647号の請求項1~2、4~7に係る特許を維持する。
特許第7448647号の請求項3に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024700871 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7448647号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)5月13日(優先権主張 令和2年5月18日)を国際出願日とする国際特許出願であって、令和4年7月15日に国内書面が提出され、令和6年3月4日に特許権の設定登録がされ、同月12日に特許掲載公報が発行されたものである。
本件特許に対する特許異議の申立て以降の主な経緯は次のとおりである。
(1)令和6年9月11日(受理日:同月12日)
特許異議申立人 岡端 知子(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1~7に係る特許に対する特許異議の申立て(申立てのために提出された特許異議申立書を以下単に「申立書」という。)
(2)同年12月25日付け(発送日:令和7年1月7日)
取消理由の通知(以下「取消理由通知」という。)
(3)令和7年2月26日
特許権者 ファナック株式会社(以下単に「特許権者」という。)と合議体との面接審理
(4)同年3月7日
特許権者による、訂正の請求、及び意見書の提出
(5)同年5月14日(受理日:同月15日)
申立人による、意見書(以下「申立人意見書」という。)の提出
(6)同年6月18日付け(発送日:同月20日)
取消理由の通知(以下「決定の予告」という。)
(7)同年8月6日
特許権者と合議体との面接審理
(8)同年8月12~13日
特許権者による訂正案の送信及び合議体による心証の回答に関する応対
(9)同年8月19日
特許権者による、訂正の請求(請求された訂正を以下「本件訂正」といい、本件訂正のために提出された訂正請求書を以下単に「訂正請求書」という。)、及び意見書の提出
(10)同年8月26日付け(発送日:同月28日)
訂正請求があった旨の通知
(1)上記2(9)の訂正の請求により、先にした上記2(4)の訂正の請求は、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
(2)申立人に対し、上記2(10)の訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)により、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、指定した期間内に申立人からの意見書の提出はなかった。
特許権者は、本件訂正により、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるところ、本件訂正の内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付して示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「外部装置との間でデジタルデータを送受信するためのデジタル入出力インタフェースと、」
と記載されているのを、
「外部装置との間で
ビット列から構成された
デジタルデータを
順に
送受信するためのデジタル入出力インタフェースと、」
に訂正し、請求項1に、
「前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記デジタルデータに含まれる命令識別データに従って前記ロボットに対する動作命令を生成するプログラム生成部と、」
と記載されているのを、
「
命令識別データと動作命令とを対応付けたテーブルを有し、該テーブルに基づいて、
前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記デジタルデータ
の前記ビット列から抽出された
命令識別データに従って
、一つの命令識別データに対して
前記ロボットに対する
一つの
動作命令を生成
して動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し当該複数の動作命令を含む動作プログラムを生成
するプログラム生成部と、」
に訂正し、請求項1に、
「生成された前記動作命令を実行するプログラム実行部と、」
と記載されているのを、
「生成された前記
一つの動作命令が前記動作プログラムに書き込まれると、当該
動作命令を実行するプログラム実行部と、」
に訂正する。
(請求項1を引用する請求項2、4~7も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。」
と記載されているのを、
「請求項1
または2
に記載のロボット制御装置。」
に訂正する。
(当審注:訂正特許請求の範囲の記載より、請求項4を引用する請求項5~7も同様に訂正する、と認める。)
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット制御装置。」
と記載されているのを、
「請求項1
、2または
4のいずれか一項に記載のロボット制御装置。」
に訂正する。
(当審注:訂正特許請求の範囲の記載より、請求項5を引用する請求項6~7も同様に訂正する、と認める。)
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、
「請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット制御装置と、」
と記載されているのを、
「請求項1
、2、4、または
5のいずれか一項に記載のロボット制御装置と、」
に訂正する。
(当審注:訂正特許請求の範囲の記載より、請求項6を引用する請求項7も同様に訂正する、と認める。)
(6)訂正事項6
明細書の段落【0006】において、
「外部装置との間でデジタルデータを送受信するためのデジタル入出力インタフェースと、」
と記載されているのを、
「外部装置との間で
ビット列から構成された
デジタルデータを
順に
送受信するためのデジタル入出力インタフェースと、」
に訂正し、同段落に、
「前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記デジタルデータに含まれる命令識別データに従って前記ロボットに対する動作命令を生成するプログラム生成部と、」
と記載されているのを、
「
命令識別データと動作命令とを対応付けたテーブルを有し、該テーブルに基づいて、
前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記デジタルデータ
の前記ビット列から抽出された
命令識別データに従って
、一つの命令識別データに対して
前記ロボットに対する
一つの
動作命令を生成
して動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し当該複数の動作命令を含む動作プログラムを生成
するプログラム生成部と、」
に訂正し、同段落に、
「生成された前記動作命令を実行するプログラム実行部と、」
と記載されているのを、
「生成された前記
一つの動作命令が前記動作プログラムに書き込まれると、当該
動作命令を実行するプログラム実行部と、」
に訂正する。
本件訂正前の請求項1~7については、請求項2~7がそれぞれ請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項〔1~7〕について請求をするものである。
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項1のうち、「デジタル入出力インタフェース」に関する訂正は、「デジタル入出力インタフェース」が送受信するデジタルデータが「ビット列から構成され」ている点、及び、当該デジタルデータを「順に」に送受信する点を特定して限定している。
(イ)訂正事項1のうち、「プログラム生成部」に関する訂正は、
A「命令識別データと動作命令とを対応付けたテーブルを有し、該テーブルに基づいて、・・・命令識別データに従って・・・動作命令を生成」する点、
B「命令識別データ」がデジタルデータの「ビット列から抽出された」ものである点、及び、
C「一つの命令識別データ」に対してロボットに対する「一つの動作命令を生成して」「動作プログラムに順に書き込む」ことにより、「複数の動作命令を生成し」「当該複数の動作命令を含む動作プログラムを生成する」点
をそれぞれ特定することで、「プログラム生成部」が、「命令識別データと動作命令とを対応付けたテーブルを有し」ていることを付加するとともに、「命令識別データ」がデジタルデータの「ビット列から抽出された」ものであることを限定し、さらに、動作命令の生成が「該テーブルに基づいて」、「一つの命令識別データ」に対して「一つの動作命令を生成し」、「動作プログラムに順に書き込む」ことで動作命令が「複数」生成されることを、具体的に特定し、さらに、「当該複数の動作命令を含む動作プログラムを生成」することを付加することで、「プログラム生成部」をより具体的に限定するものである。
(ウ)訂正事項1のうち、「プログラム実行部」に関する訂正は、「生成された動作命令を実行する」ことに関し、「生成された一つの動作命令が動作プログラムに書き込まれる(上記(イ)C)」と、当該動作命令を実行することを、具体的に限定するものである。
(エ)したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無について
(ア)訂正事項1のうち、上記ア(ア)の、送受信するデジタルデータがビット列から構成されている点は、明細書の段落【0017】における「デジタル入出力インタフェース51は、外部装置70から受信した
デジタルデータ(ビット列)
をロボット制御装置50で取り扱うことのできるデータに整形する機能を有すると共に、応答コマンド等をデジタルデータとしてネットワーク6へ出力する機能を有する」との記載(下線は当審にて付した。以下同様。)、及び、段落【0022】、【0023】、【0028】の記載から明白な内容である。また、上記ア(ア)の、デジタルデータを順に送受信する点は、明細書段落【0026】における「ここでは、プログラム生成部52が、
コマンドID:1、コマンドID:2、コマンドID:3、コマンドID:9、コマンドID:4をこの順にデジタル入出力インタフェース51を介して外部装置70から受け取る
場合の動作を例示する。」との記載、及び、段落【0026】~【0031】の記載から明白ないしは自明な内容である。
したがって、訂正事項1のうち、上記ア(ア)の点は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであるといえる。
(イ)訂正事項1のうち、上記ア(イ)Aの点は、訂正前の請求項3に記載されていた内容である。
また、明細書の段落【0024】~【0025】には、次の記載がある。
「【0024】
プログラム生成部52は、
コマンドIDと命令とを対応付ける対応表(テーブル)を有し
ていても良い。この場合、
プログラム生成部52は、当該対応表を参照することで、受信コマンドIDに対応する命令文を把握する
ことができる。対応表の一例を下記表1に示す。・・・。
【0025】
【表1】
36
104
0001432045000001.jpg
」
さらに、段落【0027】には、「次に、
プログラム生成部52は、コマンドID:2を受け取ると、対応表を参照することでコマンドID:2が、直線動作の命令であることを把握し
、位置データ(位置データ[1])を更に受信する。位置データ[1]を受信すると、
プログラム生成部52は、位置データ[1]の位置へロボット10アーム先端を移動させるための命令“直線 位置[1]”を生成し
て
ロボット動作プログラム55aに書き込む
。ロボット動作プログラム55aに命令“直線 位置[1]”が書き込まれると、プログラム実行部53は、書き込まれた命令“直線 位置[1]”を実行する。」と記載され、段落【0029】には、「次に、
プログラム生成部52は、コマンドID:3を受信すると、対応表を参照することで当該コマンドID:3が各軸動作の命令であることを把握し
、位置データ(位置データ[2])を更に受信する。位置データ[2]を受信すると、
プログラム生成部52は、ロボット10のアーム先端を各軸動作で移動させるための命令“各軸 位置[2]”を生成し
て
ロボット動作プログラム55aに書き込む。ロボット動作プログラム55aに当該命令が書き込まれると、プログラム実行部53は、書き込まれた命令を実行する。
」と記載される。
したがって、訂正事項1のうち、上記ア(イ)Aの点は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるといえる。
(ウ)訂正事項1のうち、上記ア(イ)Bの点に関し、明細書の段落【0022】における、「一例として、外部装置70からロボット制御装置50に送信されるデジタルデータ31a(ロボットのDI領域のデータ)のインデックス番号i1からはじまる8ビット分のビット列(インデックス番号i8-i1)がコマンドID(命令識別データ)を表すものとする。受信したデジタルデータ31aのインデックス番号i8-i1のビット列が“00000011”である場合、デジタル入出力インタフェース51は、受信コマンドIDとしての数値“3”を抽出してプログラム生成部52に渡す。」との記載、及び、段落【0023】の記載から明らかな内容である。
したがって、訂正事項1のうち、上記ア(イ)Bの点は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるといえる。
(エ)訂正事項1のうち、上記ア(イ)Cの点に関し、明細書には次の記載がある。
「【0020】
外部装置70とロボット制御装置50間におけるデジタルデータの送受信によるロボット制御の流れについて説明する。
(手順1)外部装置70において、ラダープログラムを用いて、指定のコマンド、ロボットの位置データ、動作速度等のデータをロボットのDI領域にコピーする。
(手順2)ロボット制御装置50のデジタル入出力インタフェース51は、外部装置70からのデータをロボット制御装置50で扱うことのできるデータに整形する。
(手順3)
ロボット制御装置50のプログラム生成部52は、整形されたデータを用いてロボット10の動作プログラムを生成する
。
(手順4)
プログラム実行部53は、プログラム生成部52により生成された動作プログラムを実行する
。」
「【0026】
次に、
図4を参照して
、外部装置70とのデータの送受信による、ロボット制御装置50におけるロボット制御の実行例について説明する。ここでは、プログラム生成部52が、
コマンドID:1、コマンドID:2、コマンドID:3、コマンドID:9、コマンドID:4をこの順にデジタル入出力インタフェース51を介して外部装置70から受け取る場合
の動作を例示する。はじめに、
プログラム生成部52は、コマンドID:1を受け取ると、対応表(表1)を参照することでコマンドID:1がプログラム作成命令であることを把握し、中身が空の状態のロボット動作プログラム55aを生成する
。」
「【図4】
67
79
0001432045000002.jpg
」
そして、上記(イ)に示した段落【0027】の「プログラム生成部52は、
コマンドID:2を受け取る
と、
対応表を参照する
ことで
コマンドID:2が、直線動作の命令であることを把握
し、・・・、位置データ[1]の位置へロボット10アーム先端を移動させるための
命令“直線 位置[1]”を生成
して
ロボット動作プログラム55aに書き込む
」との記載、及び、段落【0029】の「
次に
、プログラム生成部52は、
コマンドID:3を受信する
と、
対応表を参照する
ことで当該
コマンドID:3が各軸動作の命令であることを把握
し、・・・、ロボット10のアーム先端を各軸動作で移動させるための
命令“各軸 位置[2]”を生成
してロ
ボット動作プログラム55aに書き込む
」との記載を併せてみれば、プログラム生成部52は、整形されたデータを用いてロボット10の動作プログラムを生成する手順3(段落【0020】)として、段落【0026】、図4に例示される動作の場合には、はじめに、中身が空の状態のロボット動作プログラム55aを生成(段落【0026】)したうえで、その中身が空の状態のロボット動作プログラム55aに、一つの命令識別データであるコマンドID:2に対応して生成した一つの動作命令である“直線 位置[1]”(段落【0027】)、及び、一つの命令識別データであるコマンドID:3に対応して生成した一つの動作命令である“各軸 位置[2]”(段落【0029】)を、順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し、複数の動作命令を含むロボット動作プログラム55aを生成するもの(図4の符号55a)といえる。
したがって、訂正事項1のうち、上記ア(イ)Cの点は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるといえる。
(オ)訂正事項1のうち、上記ア(ウ)の点に関し、本件明細書等には上記(イ)~(エ)に示した事項が記載される。
すなわち、段落【0020】には、(手順3)にてプログラム生成部52がロボット10の動作プログラムを生成し、(手順4)にてプログラム実行部53がプログラム生成部52により生成された動作プログラムを実行することが示される。また、段落【0026】、図4に例示される動作の場合に、段落【0027】には、「ロボット動作プログラム55aに命令“直線 位置[1]”が書き込まれると、プログラム実行部53は、書き込まれた命令“直線 位置[1]”を実行する。」ことが記載され(上記(イ)参照)、段落【0029】には、「ロボット動作プログラム55aに当該命令(当審注:命令“各軸 位置[2]”)が書き込まれると、プログラム実行部53は、書き込まれた命令を実行する。」ことが記載される(上記(イ)参照)ように、本件明細書等には、一つの動作命令が生成されて動作プログラム55aに書き込まれると、その動作プログラム55aに書き込まれた動作命令を、順次実行することが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1のうち、上記ア(ウ)の点は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるといえる。
(カ)なお、申立人は、申立人意見書の3(2)において、訂正事項1は、次の2点から、本件明細書等に記載された事項の範囲内でした訂正ではない旨を主張していた。
A 本件明細書等には、プログラム実行部53は、プログラム生成部52が1つの動作命令をロボット動作プログラム55aに書き込むごとに、プログラム実行部53が1つの動作命令を逐次実行するものが記載されるのみであって、訂正事項1における、複数の動作命令を含むロボット動作プログラム55aを実行して、複数の動作命令を実行するものは記載されていないこと。
B 本件明細書等には、プログラム生成部52は、1つの命令識別データに従って1つの動作命令を生成するものが記載されるのみであって、訂正事項1の「命令識別データに従って前記ロボットに対する複数の動作命令を生成し」との記載から含み得る、1つの命令識別データから複数の動作命令を生成する形態については、記載されていないこと。
(キ)当該主張について検討する。
本件訂正による訂正事項1では、上記(カ)Aに関して、プログラム実行部は、生成された一つの動作命令が動作プログラムに書き込まれると、当該動作命令を実行することが特定され、また上記(カ)Bに関して、一つの命令識別データに対して、ロボットに対する一つの動作命令を生成されることが、特定された。これらの点は、上記(カ)にて申立人も認める、本件明細書等に記載された事項である。
(ク)したがって、上記(ア)~(オ)のとおり、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、上記アのとおり、本件訂正前の請求項1において特定された「デジタル入出力インタフェース」、「プログラム生成部」及び「プログラム実行部」を、より具体的に限定する訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3)訂正事項3~5
ア 訂正の目的について
訂正事項3~5は、訂正事項2による請求項3の削除に伴い、訂正前の請求項4~6において記載を引用する請求項から請求項3を除くことで、記載を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3~5は、訂正事項2による請求項3の削除に伴い、請求項4~6における引用請求項から請求項3を単に除くものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3~5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(4)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正事項1による請求項1の訂正に伴い、訂正前の段落【0006】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項6は、訂正事項1による請求項1の訂正に伴い、訂正前の段落【0006】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるものであるから、訂正事項1と同様に、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
訂正事項6による明細書の訂正は、上記3(4)のとおり、訂正事項1により訂正される特許請求の範囲の請求項1の記載と整合を図るものであって、上記2のとおり、訂正事項1による請求項1の訂正に連動して、請求項2~7も同様に訂正されるから、訂正事項6は、一群の請求項の全てである請求項〔1~7〕について行われたものである(特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第4項。なお、請求項3は訂正事項2により削除される。)。
本件特許異議の申立ては、全ての請求項を対象としているので、訂正事項1~6に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
上記3のとおり、訂正事項1~6に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
上記第2のとおり本件訂正は認められることから、本件特許の請求項1~2、4~7に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~2、4~7に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものである(各発明を以下「本件発明1」等という。なお、請求項3は削除された。)。
「【請求項1】
ロボットを制御するロボット制御装置であって、
外部装置との間でビット列から構成されたデジタルデータを順に送受信するためのデジタル入出力インタフェースと、
命令識別データと動作命令とを対応付けたテーブルを有し、該テーブルに基づいて、前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記デジタルデータの前記ビット列から抽出された命令識別データに従って、一つの命令識別データに対して前記ロボットに対する一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し当該複数の動作命令含む動作プログラムを生成するプログラム生成部と、
生成された前記一つの動作命令が前記動作プログラムに書き込まれると、当該動作命令を実行するプログラム実行部と、
を備えるロボット制御装置。
【請求項2】
前記デジタル入出力インタフェースは、受信した前記デジタルデータ中の所定のインデックス番号の位置にあるビット列から前記命令識別データを抽出する、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記デジタル入出力インタフェースは、フィールドバス規格に基づく通信インタフェースとしての機能を有する、請求項1または2に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記ロボットの教示位置データを記憶する位置データ記憶部を更に備え、
前記プログラム生成部は、前記命令識別データが前記教示位置データの要求を表す命令である場合に、前記位置データ記憶部に記憶されている前記教示位置データを、前記デジタル入出力インタフェースを介して前記外部装置に送信する、請求項1、2または4のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
ロボットと、
請求項1、2、4、または5のいずれか一項に記載のロボット制御装置と、
前記ロボット制御装置との間で前記デジタルデータを送受信可能に構成された外部装置と、を備えるロボットシステム。
【請求項7】
前記外部装置は、前記ロボットを移動させる動作命令に用いる教示位置データを、該外部装置にネットワーク接続されたロボットシミュレーション装置から取得し、前記ロボットを移動させる前記動作命令に対応する前記命令識別データと前記教示位置データとを含む前記デジタルデータを前記ロボット制御装置に送信する、請求項6に記載のロボットシステム。」
申立書に記載の申立ての理由は、以下のとおり整理することができる。
(1)申立ての理由1:請求項1、3、6
下記3の甲第1号証に記載された発明に基づく、新規性欠如(特許法第29条第1項第3号、同法第113条第2号、申立書第3~7、11~44ページ)
(2)申立ての理由2:請求項1~7
下記3の甲第1号証に記載された主引用発明、及び、甲第2号証~甲第7号証に記載された技術的事項・周知技術に基づく、進歩性欠如(特許法第29条第2項、同法第113条第2号、申立書第3~7、11~44ページ)
(3)申立ての理由3:請求項1~2、4~7
サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号、同法第113条第4号、申立書第7~8、44~45ページ)
上記第1の2(4)にて訂正がされた請求項1~2、4~7に係る発明に対する、申立人意見書にて示された理由は、以下のとおりと整理することができる(なお、訂正要件違反に係る理由については、上記第2の3(1)イ(カ)~(キ)において既に検討したため、以下の記載では省略する。)。
以下の各理由は、申立書に記載のない理由及び証拠であるといえるが、上記第1の2(4)の訂正の請求の内容に付随して生じた理由といえ(審判便覧67-05.4 1.(2))、決定の予告での取消理由として一部採用したものである。
(1)理由1:請求項1~2、4~7
サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号、同法第113条第4号、申立人意見書第6ページ)
(2)理由2:請求項1~2、4~7
下記3の甲第1号証に記載された主引用発明、並びに、甲第2号証~甲第3号証及び甲第7号証~甲第9号証に記載された技術的事項に基づく、進歩性欠如(特許法第29条第2項、同法第113条第2号、申立人意見書第6~17ページ)
特に、請求項1については、甲第1号証に記載された主引用発明、及び、甲第8号証又は甲第9号証に記載された技術的事項に基づく、進歩性欠如(申立人意見書第14~16ページ)。
(3)理由3:請求項1、6
下記3の甲第8号証に記載された発明に基づく、新規性欠如(特許法第29条第1項第3号、同法第113条第2号、申立人意見書第17~32ページ)
(4)理由4:請求項1~2、4~7
下記3の甲第8号証に記載された主引用発明、並びに、甲第2号証~甲第3号証、甲第7号証及び甲第9号証に記載された技術的事項に基づく、進歩性欠如(特許法第29条第2項、同法第113条第2号、申立人意見書第17~32ページ)
申立人による証拠方法は、書証として提出された、次の甲第1号証~甲第9号証である。
(1)申立書に添付された証拠方法
甲第1号証:特開2011-62798号公報
甲第2号証:特開平6-35528号公報
甲第3号証:特開2001-209419号公報
甲第4号証:特開2019-61467号公報
甲第5号証:特開平11-249725号公報
甲第6号証:特開平5-8186号公報
甲第7号証:特開2006-181591号公報
(2)申立人意見書に添付された証拠方法
甲第8号証:特開2000-181519号公報
甲第9号証:特開昭58-117004号公報
(以下、「甲第1号証」~「甲第9号証」を、それぞれ「甲1」~「甲9」という。)
取消理由通知における、本件訂正前の請求項1~7に係る特許に対する取消理由の要旨は、以下の(1)~(3)のとおりである。
(1)理由1(新規性)
本件訂正前の請求項1、6に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)理由2(進歩性)
本件訂正前の請求項1~7に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明、並びに、甲2~甲3及び甲7に記載された技術的事項に基づいて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)理由3(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
すなわち、本件訂正前の請求項1に記載の「プログラム生成部」における「命令識別データに従ってロボットに対する動作命令を生成する」ことに関し、本件明細書等においては、段落【0024】、【0026】、【0027】等に「対応表(テーブル)」を用いる形態しか記載されておらず、また一般的に、当該「対応表(テーブル)」を用いることが技術常識であると解されるところ、請求項1においては、「対応表(テーブル)」を有することの限定がされておらず、「対応表(テーブル)」以外の手法によるものを含むことから、当該請求項1、及び、請求項1の記載を引用する請求項2、4~7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて拡張ないし一般化されたものである。
決定の予告における、上記第1の2(4)にて訂正がされた請求項1~2、4~7に係る特許に対する取消理由の要旨は、以下の(1)~(3)のとおりである。
(1)理由1:サポート要件
本件特許は、特許請求の範囲の記載が次のア及びイの点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 上記第1の2(4)にて訂正がされた請求項1における「プログラム実行部」について、「生成された前記動作プログラムを実行する」との記載では、
(ア)「プログラム生成部」により、「複数の動作命令」を含むように順次書き込みが行われることで「生成された」「動作プログラム」を、書き込みが行われる毎に順次「実行する」ことを意味する(書き込み(生成)と実行とが交互に行われる)とも、
(イ)「プログラム生成部」により、「複数の動作命令」を含む「動作プログラム」が「生成された」後に、当該複数の動作命令を「動作プログラム」として一括に「実行する」ことを意味する(全ての書き込み(生成)が完了した後に実行される)とも、解釈され得る。
しかしながら、発明の詳細な説明においては、プログラム実行部53については、段落【0027】、【0029】の記載から、上記(ア)の事項のみが記載されるといえ、出願時の技術常識に照らしても、上記(イ)の事項を含むと解されてしまう請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を、拡張ないし一般化できるとはいえない。
イ 上記第1の2(4)にて訂正がされた請求項1における「プログラム生成部」について、「命令識別データに従って前記ロボットに対する複数の動作命令を生成」すると特定され、
(ア)1つの「命令識別データ」に従って1つの「動作命令」を生成することを、複数回繰り返すことで、「複数の」動作命令を生成すること、のほか、
(イ)例えば、1つのコマンドID(命令識別データ)に対して複数の命令(動作命令)を対応付けた対応表(テーブル)に基づいて、1つの「命令識別データ」に従って複数の「動作命令」を生成することを意図する発明も、発明の範囲に含むといえる。
しかしながら、発明の詳細な説明においては、段落【0024】、【0025】、【0027】、【0029】の記載から、上記(ア)の事項のみが記載されるといえ、出願時の技術常識に照らしても、上記(イ)の事項を含むと解されてしまう請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を、拡張ないし一般化できるとはいえない。
(2)理由2:新規性
上記第1の2(4)にて訂正がされた請求項1、6に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲8に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(3)理由3:進歩性
本件特許の請求項1、4~7に係る発明は、下記のとおり、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲8に記載された発明等)に基づいて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1、4~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
上記第4の1(1)~(3)及び上記第4の2(1)~(4)、並びに、上記1(1)~(3)及び上記2(1)~(3)の理由は、サポート要件、新規性・進歩性に大別されるところ、本件発明1~2、4~7について、以下、サポート要件(下記第6)、新規性・進歩性(下記第7)の順に判断する。
上記第5の1(3)に示した理由3は、上記第4の1(3)に示した申立ての理由3と、実質的に同一の理由であるところ、本件訂正により、本件発明1の「プログラム生成部」は、「命令識別データと動作命令とを対応付けたテーブルを有し」、「該テーブルに基づいて」、命令識別データに従って前記ロボットに対する動作命令を生成することが特定された。
したがって、本件発明1、及び、本件訂正後の請求項1の記載を引用する本件発明2、4~7は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、上記第5の1(3)に示した理由3、及び、上記第4の1(3)に示した申立ての理由3によって、本件特許の請求項1~2、4~7に係る特許を取り消すことはできない。
上記第5の2(1)に示した理由1は、上記第4の2(1)に示した理由1と、実質的に同一の理由であるところ、本件訂正により、
「一つの命令識別データに対して前記ロボットに対する一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し当該複数の動作命令含む動作プログラムを生成する」こと、及び、
「生成された前記一つの動作命令が前記動作プログラムに書き込まれると、当該動作命令を実行する」ことが特定された。
したがって、本件発明1、及び、本件訂正後の請求項1の記載を引用する本件発明2、4~7は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、上記第5の2(1)に示した理由1、及び、上記第4の2(1)に示した理由1によって、本件特許の請求項1~2、4~7に係る特許を取り消すことはできない。
したがって、本件発明1~2、4~7は、発明の詳細な説明に記載したものであって、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているから、同法113条第4号に該当するとして本件特許の請求項1~2、4~7に係る特許を取り消すことはできない。
本件発明1~2、4~7は、上記第3のとおり、訂正特許請求の範囲の請求項1~2、4~7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
(1)甲1に記載された事項
甲1には次の事項が記載されている。
「【0013】
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態に係るロボットシステムの構成を示す図である。
ロボットシステム100は、ロボット言語を用いることなく任意のPLC言語(PLCプログラム)でロボット5を動作させるシステムであり、PLC1と、ロボットCPU(制御部)21と、ロボット5と、を備えている
。
【0014】
PLC1は、ロボットCPU(Central Processing Unit)21に接続されている
。
PLC1は、CPU11を有しており、このCPU11がロボット5を制御するための指示情報30A(ロボット制御コマンド)をロボットCPU21に送る
。
指示情報30Aは、I/Oデータであり、I/O番号3Aとデータ4Aとを含んで構成されている
。
【0015】
ロボットCPU21は、PLC1およびロボット5に接続されており、PLC1からの指示情報30Aに基づいてロボット5を制御する
。
ロボットCPU21は、PLC1からの指示情報30Aに対応する制御情報(ロボット5への制御指示)をロボット5に送る
。また、ロボットCPU21は、ロボット5の状態や動作に関する状態情報30Bを、PLC1に送る。
ロボット5は、ロボットCPU21からの制御情報に従って、制御情報に応じた動作を行う
。状態情報30Bは、I/O番号3Bとデータ4Bとを含んで構成されている。
【0016】
PLC1とロボットCPU21との間では、所定のI/Oエリア(メモリ空間や共有メモリなど)を介して指示情報30Aや状態情報30Bが送受信される
。本実施の形態では、
予めI/O番号3A(アドレス)に指示情報30Aの種類(指示種類)を割り当てるとともに、データ4Aに指示種類の内容を割り当てておく
。また、予めI/O番号3Bに状態情報(状態種類)の種類を割り当てるとともに、データ4Bに状態種類の内容を割り当てておく。」
「【図1】
38
64
0001432045000003.jpg
」
「【0021】
図2は、ロボットCPUへの指示情報を説明するための図である。PLC1のCPU11は、何れの種類のPLC言語を用いて指示情報30Aを生成してもよい。
指示情報30AのI/O番号3Aは、ロボットCPU21への命令やパラメータの種類を指定する情報である
。
【0022】
例えば、
I/O番号3Aの「10500」には、動作命令バッファが割り当てられている
。動作命令バッファは、動作命令を入力するエリアである。したがって、ロボットCPU21に動作命令を送る場合には、I/O番号3Aとして「10500」を指定したエリアにデータが入力される。」
「【0026】
指示情報30Aのデータ4Aは、I/O番号3Aに対応付けられている。例えば、データ4Aの指示内容41は、I/O番号3Aの「10500」に対応付けられている。同様に、データ4Aの指示内容42~44は、それぞれI/O番号3Aの「10550」、「10600」、「10650」に対応付けられている。
【0027】
指示命令41は、動作命令バッファで指定するデータである
。
指示内容41において、データの「1」が移動命令(Mov)を指定するデータであり、データの「2」がストレート移動命令(Mvs)を指定するデータである
。また、
データの「3」、「4」、「5」は、それぞれ第1の回転移動命令(Mvr1)、第2の回転移動命令(Mvr2)、第3の回転移動命令(Mvr3)を指定するデータである
。したがって、例えば、
ロボットCPU21に移動命令を送る場合には、I/O番号3Aとして「10500」を指定したエリアにデータの「1」が入力される
。」
「【図2】
49
63
0001432045000004.jpg
」
「【0032】
つぎに、ロボットシステムの動作について説明する。ロボットシステム100では、
PLC1とロボットCPU21との間で予めI/O番号3A、データ4A
、I/O番号3B、データ4B
で指定する情報を定義しておく
。
【0033】
ロボット5に所定の動作を行なわせる場合、CPU11からロボットCPU21に、任意のPLC言語を用いて指示情報30Aを送る
。具体的には、CPU11からロボットCPU21に、I/O番号3Aとして所定のエリアを指定してデータ4Aを送信する。換言すると、
CPU11からロボットCPU21へは、ロボット5を動作させるための命令やパラメータが、I/O番号3A、データ4Aとして送られる
。
【0034】
ロボットCPU21は、CPU11からのパラメータを用いてCPU11からの命令を実行する
。例えば、CPU11からの命令が位置演算命令であった場合、ロボットCPU21は、CPU11からのパラメータを用いて位置演算を行なう。また、
CPU11からの命令が動作命令であった場合、ロボットCPU21は、算出した位置や、CPU11から送られてくる始点位置などを用いてロボット5の動作を制御する。これにより、ロボット5は、ロボットCPU21からの制御情報に応じた動作を行なう
。」
「【0036】
CPU11は、状態情報に基づいて、ロボット5に行なわせる次の動作を任意のPLC言語を用いて算出し、算出結果を
次の指示情報30AとしてロボットCPU21に送る
。
ロボットシステム100では、PLC1からロボットCPU21への指示情報30Aの送信、ロボットCPU21からロボット5への制御情報の送信、ロボット5による動作の実行
、ロボットCPU21からPLC1への状態情報30Bの送信が
繰り返し行なわれる
。
これにより、ロボット5は、PLC1からの指示に応じた動作を行なうこととなる
。」
「【0040】
このように、ロボットシステム100~103では、
CPU11からロボットCPU21に、I/O番号3Aとして所定のエリアを指定してデータ4Aを送信している
ので、
任意のPLC言語でPLC1からロボットCPU21に指示情報30Aを送ることが可能
となる。このように、ロボットシステム100~103は、PLC言語に依存せずロボット5を動作させることができるので、ユーザが自由にPLC言語を選択できる。したがって、HMI(Human Machine Interface)の効率化を図ることが可能となる。
【0041】
また、
ロボット5側へのプログラムの書き込みが不要となるのでメモリを消費しない
。また、
PLC言語を用いてロボット5を制御するので、ロボット5、I/Oユニット71などの周辺機器を含めたプログラムの一元管理が可
能となる。また、PLC1とロボット5との間の通信処理やI/O処理を削減できるので、ロボットシステム100~103内でのタクトタイムを短縮することが可能となる。また、従来から用いられているPLC(顧客の現有設備のPLC)をバージョンアップすることなく、任意のPLC言語でロボット言語を用いることなくロボット5を動作させることが可能となる。」
(2)甲1の記載からわかること
上記(1)の記載から、甲1には、次の事項が記載されるといえる。
ア 段落【0013】~【0016】の記載、及び図1の図示内容から、甲1には、ロボット5を制御するロボットCPU21についての発明、及び、ロボット5と、ロボットCPU21と、ロボットCPU21との間でI/Oデータである指示情報30A及び状態情報30Bを送受信可能に構成されたPLC1と、を備えるロボットシステム100についての発明がそれぞれ記載されている。
イ 上記ア、並びに、段落【0013】~【0016】、【0036】の記載、及び図1の図示内容から、甲1に記載されたロボットCPU21は、PLC1との間でI/Oデータである指示情報30A及び状態情報30Bを繰り返し送受信するものであって、指示情報30Aは、I/O番号3Aとデータ4Aとを含んで構成され、状態情報30Bは、I/O番号3Bとデータ4Bとを含んで構成されることがわかる。そして、指示情報30Aを受信し、状態情報30Bを送信するために、ロボットCPU21は、当然に、デジタル入出力インタフェースを備えるといえる。
ウ 上記イ、並びに、段落【0020】~【0022】、【0026】~【0027】、【0032】の記載、及び図2の図示内容から、甲1に記載されたロボットCPU21は、PLC1との間で予めI/O番号3A、データ4A、I/O番号3B、データ4Bで指定する情報を定義するものであって、例えば、指示情報30AのI/O番号3Aの「10500」には、動作命令バッファが割り当てられ、指示情報30Aのデータ4Aの指示内容41は、I/O番号3Aの「10500」に対応付けられて、データの「1」が移動命令(Mov)を指定するデータであり、データの「2」がストレート移動命令(Mvs)を指定するデータであり、データの「3」、「4」、「5」は、それぞれ第1の回転移動命令(Mvr1)、第2の回転移動命令(Mvr2)、第3の回転移動命令(Mvr3)を指定するデータであることを、予め対応付けて、定義され、例えば、ロボットCPU21に移動命令を送る場合には、I/O番号3Aとして「10500」を指定したエリアにデータの「1」を入力することがわかる。
また、段落【0033】~【0034】の記載から、甲1に記載されたロボットCPU21は、PLC1のCPU11から、ロボット5を動作させるための命令やパラメータを、上述のI/O番号3A、データ4Aとして受信すると、CPU11からのパラメータを用いてCPU11からの命令を実行するものであって、具体的には、段落【0022】、【0026】~【0027】の記載から、受信した指示情報30AからI/O番号3Aの「10500」に対応付けられたデータ4Aの「1」~「5」のいずれかを抽出し、CPU11からの命令が動作命令であった場合には、ロボットCPU21は、算出した位置や、CPU11から送られてくる始点位置などを用いてロボット5の動作を制御するものであることがわかる。ここで、ロボット5の動作を制御するためには、受信したI/O番号3A及びデータ4Aに従ってロボット5に対する動作命令を生成することは、必然であるといえる。
さらに、段落【0036】の記載から、甲1に記載されたロボットCPU21は、PLC1からロボットCPU21への指示情報30Aの送信、ロボットCPU21からロボット5への制御情報の送信、ロボット5による動作の実行等が繰り返し行なわれることから、一つの動作命令が順に生成され、複数の動作命令が生成されることがわかる。
してみると、甲1に記載されたロボットCPU21は、指示情報30AのI/O番号3Aである「10500」及びデータ4Aである「1」~「5」の組合せと、「移動命令(Mov)」、「ストレート移動命令(Mvs)」、「第1の回転移動命令(Mvr1)」、「第2の回転移動命令(Mvr2)」及び「第3の回転移動命令(Mvr3)」の動作命令(動作命令)とを対応付けた指示内容41に基づいて、前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記指示情報30A(前記デジタルデータ)から抽出したI/O番号3A及びデータ4Aの組合せの(命令識別データ)に従って、I/O番号3A及びデータ4Aの一つの組合せ(一つの命令識別データ)に対して、前記ロボット5(前記ロボット)に対する一つの動作命令を順に生成して、複数の動作命令を生成する機能を備えることがわかる。
エ 上記ウ、及び段落【0034】、【0036】の記載から、甲1に記載されたロボットCPU21は、生成された一つの動作命令を順に実行する機能を備えることがわかる。
(3)甲1発明A
上記(1)~(2)から、甲1には、ロボットCPU21に関する次の発明(以下「甲1発明A」という。)が記載されているといえる(甲1の用語の後に、対応する本件発明1の発明特定事項を括弧書きで併記する。以下同様。)。
「ロボット5(ロボット)を制御するロボットCPU21(ロボット制御装置)であって、
PLC1(外部装置)との間でI/Oデータである指示情報30A及び状態情報30B(デジタルデータ)を繰り返し(順に)送受信するためのデジタル入出力インタフェースと、
指示情報30AのI/O番号3Aである「10500」及びデータ4Aである「1」~「5」(命令識別データ)の組合せと、「移動命令(Mov)」、「ストレート移動命令(Mvs)」、「第1の回転移動命令(Mvr1)」、「第2の回転移動命令(Mvr2)」及び「第3の回転移動命令(Mvr3)」の動作命令(動作命令)とを対応付けた指示内容41に基づいて、前記デジタル入出力インタフェースを介して入力された前記指示情報30A(前記デジタルデータ)から抽出されたI/O番号3A及びデータ4Aの組合せ(命令識別データ)に従って、I/O番号3A及びデータ4Aの一つの組合せ(一つの命令識別データ)に対して、前記ロボット5(前記ロボット)に対する一つの動作命令を順に生成して、複数の動作命令を生成する機能(プログラム生成部)と、
生成された前記一つの動作命令を順に実行する機能(プログラム実行部)と、
を備えるロボットCPU21(ロボット制御装置)。」
(4)甲1発明B
また、上記(1)~(3)から、甲1には、甲1発明Aに係るロボットCPU21を含む、ロボットシステム100に関する次の発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。
「ロボット5(ロボット)と、
甲1発明Aに係るロボットCPU21(ロボット制御装置)と、
前記ロボットCPU21(前記ロボット制御装置)との間で前記指示情報30A及び前記状態情報30B(前記デジタルデータ)を送受信可能に構成されたPLC1(外部装置)と、を備えるロボットシステム100(ロボットシステム)。」
(1)甲8に記載された事項
甲8には次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロボットのいわゆるマクロプログラムを動的に、つまり
起動時および/または実行時に自動作成する
ことができるロボットマクロプログラム動的作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】産業用ロボットの中には、位置決め用のサーボモータと、クランプやゲージなどを行うためのI/O機器(例えば、シリンダなどのアクチュエータなど)とを備えたものがある。
ロボットの動作を記述したプログラムは教示データと呼ばれ
、その中で
I/O機器の制御を記述した部分は特にマクロプログラムと呼ばれている
。通常、このマクロプログラムの大半は、シリンダ制御用の電磁弁(ソレノイドバルブ)の制御に関するものである。
【0003】従来、このような
マクログラム
(当審注:「マクロプログラム」の誤記と認める。)
の作成は、I/O機器ごとに個別にオペレータが手入力で行っていた
。」
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のシステムにあっては、上記のようなロボットが何十台と集中する設備において、I/O点数が膨大となり、そのマクロプログラムも膨大となる上、さらに、
マクロプログラムでは同じような命令の組合せが多いにもかかわらずI/O機器ごとに個別にプログラムを行わなければならない
ため、結局、同じような命令を膨大な数繰り返して手入力しなければならず、プログラムの作成に多大の時間を要することになるのみならず、人為的ミス(入力ミスや勘違いなど)も多くなりがちである。」
「【0014】図1は、本発明を適用したロボットシステムの全体構成図である。
【0015】このシステムは、
位置決め用の各軸サーボモータ12と、クランプやゲージなどを行うための各種I/O機器14(例えば、位置検出用のスイッチやセンサ、シリンダなどのアクチュエータ)とを備えたロボット本体10(以下単に「ロボット」という)と、このロボット10の動作を総合的に制御するロボットコントローラ100とを有している
。
ロボットコントローラ100には、プログラムやパラメータなどを設定したりロボット10の動作をモニタするための端末20と、ロボット10を起動するための外部操作ボタン30とが接続されている
。ロボット10内の各軸サーボモータ12はサーボアンプ16を介してロボットコントローラ100と接続され、ロボット10内の各種I/O機器14は直接ロボットコントローラ100と接続されている。これにより、
ロボットコントローラ100は、サーボアンプ16を介してロボット10内の各軸サーボモータ12(つまり、ロボット10の位置決め動作)を制御するとともに、ロボット10内の各種I/O機器14(主にシリンダ制御用の電磁弁)の制御を行う
。」
「【図1】
65
63
0001432045000005.jpg
」
「【0016】図2は、ロボットコントローラ100の構成を示すブロック図である。
【0017】この
ロボットコントローラ100は、端末20との間のデータ通信を制御する通信制御部105
と、位置決め制御を行うのに必要なシステム的なパラメータ(例えば、ロボット軸の数、ロボットのサイズなど)を格納するシステムパラメータファイル110と、
ロボット10の動作を記述した入力プログラム(教示データ)を格納する教示データファイル115
と、各種I/O機器14の構成に関する制御用パラメータ(I/O制御パラメータ)を格納するI/O制御パラメータファイル120と、使用が想定されるI/O機器のタイプ別の各種モデルデータ(I/Oモデル)を格納するI/Oモデルファイル125と、
外部操作ボタン30からのロボット起動信号の入力の有無を判断する入力判断部130
と、
教示データ、I/O制御パラメータおよびI/Oモデルをもとに、所定の演算処理により、実際に使用される作業マクロプログラムを自動作成するマクロプログラム作成部135
と、
マクロプログラム作成部135で作成されたマクロプログラム(実際に使用される作業マクロプログラム)を含む教示データ(実際に使用される作業教示データ)を格納する作業教示データファイル140
と、作業教示データの内容を解釈してサーボアンプ制御用かI/O機器制御用かを判断する教示データ解釈部145と、教示データ解釈部145からの
サーボアンプ制御用の教示データに従ってサーボアンプ16(ひいては各軸サーボモータ12)を制御するサーボアンプ制御部150
と、教示データ解釈部145からの
I/O機器制御用の教示データ(つまりマクロプログラム)に従って各種I/O機器14を制御するI/O機器制御部155
と、端末20のモニタ画面の表示を制御する表示制御部160とで構成されている。」
「【図2】
92
73
0001432045000006.jpg
」
「【0018】
教示データファイル115内の教示データ(入力教示データ)は、あらかじめオペレータが端末20を操作して設定したプログラムをロボットコントローラ100内の当該ファイル115に通信制御部105を介して転送したものである
。この
入力教示データは、図3(A)
または図5(A)
に示すように、ロボット10の各軸の制御を記述した部分
と、
図中破線で囲ったI/O機器の制御を記述した部分(マクロプログラム)40
とからなり、
後者のマクロプログラム部分40は、機器名称(例えば、「クランプA」)と命令(例えば、「出」)のみから構成されている
。したがって、端末20によるマクロプログラム40の設定・入力は、非常に簡単である。なお、
図3は、入力機器に故障が発生していない場合(図4参照)を示し
、図5は、入力機器(例えば、「X00」)に故障が発生している場合(図6参照)を示しているが、この入力教示データ自体は当然共通である。」
「【図3】
68
63
0001432045000007.jpg
【図4】
29
72
0001432045000008.jpg
」
「【0022】
マクロプログラム作成部135は、上記のように、教示データ、I/O制御パラメータおよびI/Oモデルをもとに、所定の演算処理により、作業マクロプログラムを自動作成する機能を有する
ものであり、その核心的処理は、教示データ中の命令に対応する命令を持つI/Oモデルを検索し、そのアドレスにI/O制御パラメータ中のアドレスを展開するというものである(I/Oモデル命令変換処理)。より具体的には、
ファイル115内の教示データ中に機器名称と命令を見つけると、ファイル120内のI/O制御パラメータ群の中から機器名称が一致するものを検索し、得られたI/O制御パラメータ中の機器タイプをファイル125内のI/Oモデル群と比較して対応するI/Oモデルを検索し、得られたI/Oモデル中のアドレスに前記検索されたI/O制御パラメータ中のアドレスを展開して目的とする一連の命令群を生成する
ことにより、実際に使用される作業マクロプログラムを作成する。この処理の具体例は、後で詳述する。
【0023】
作業教示データファイル140内の作業教示データは
、上記のように、
マクロプログラム作成部135で作成された作業マクロプログラムを含む作業教示データのプログラムであって、例えば、図3(B)
または図5(B)
のように構成されている
。すなわち、
図3(A)
または図5(A)に示す
入力教示データにおいてその中の入力マクロプログラム40をマクロプログラム作成部135で作成された作業マクロプログラム50
,55
に置き換えた構造をしている
。なお、図3(B)の作業マクロプログラム50は、入力機器に故障が発生していない場合(図4参照)であり、図5(B)の作業マクロプログラム55は、入力機器(「X00」)に故障が発生している場合(図6参照)である。また、図5(B)の作業マクロプログラム55中の「TIMER 10」は、タイマで1秒待つことを表している。
【0024】
図10は、マクロプログラム作成部135を中心とする本システムによるマクロプログラム動的作成処理手順の一例を示すフローチャート
である。なお、この説明にあたっては、適宜、図3~図9を参照する。
【0025】
外部操作ボタン30が押され入力判断部130でロボット起動信号が入力されたと判断されると
、つまり、本ロボットシステムの起動がかかると、
マクロプログラム作成部135は、ファイル115内の教示データから入力マクロプログラムを構成する機器名称(「クランプA」)と命令(「出」)を読み取り(S1)
(図3(A)または図5(A)参照)、ファイル120内のI/O制御パラメータ群の中から
その読み取られた機器名称と一致するI/O制御パラメータを検索し(S2)(図4または図6参照)
、この検索されたI/O制御パラメータの機器タイプを選択する(S3)。これにより、対応させるべきI/Oモデルの機器タイプが決定される。ここでは、機器タイプとしてシリンダが選択された場合を例にとって、以下説明する。
【0026】機器タイプ(ここではシリンダ)が選択されると、ステップS2で検索されたI/O制御パラメータの中に戻り指令アドレスが有るかどうかを判断する(S4)。これにより、シリンダ制御用の電磁弁の種類が決定される。すなわち、
戻り指令アドレスが有る場合(図4または図6中の「Y01」)にはダブルソレノイドとされて(図9(B)参照)ステップS5に進み、
戻り指令アドレスがない場合にはシングルソレノイドとされて(図9(A)参照)ステップS13に進む。
【0027】ステップS4の判断結果としてダブルソレノイドとされた場合には、
まず出命令を決定するため
に、ステップS2で検索された
I/O制御パラメータの中に出限アドレスが有るかどうかを判断し(S5)
、出限アドレスがない場合には(S5:NO)、センサを使用しないため、直ちに出命令としてタイマを使用するI/Oモデル○8(当審注:「○8」は、○囲いされた数字の8を示す、他の○囲いされた数字も同様に表示する。)(図8参照)を選択する(S8)。
【0028】これに対し、
出限アドレスがある場合(図4または図6中の「X00」)には(S5:YES)
、さらに、その出限アドレスに故障が設定されているか(F=1)どうかを判断し(S6)、
故障が設定されていない場合(F=0、図4参照)には(S6:NO)
、
出命令としてI/Oモデル○5(図8参照)を選択し(S7)
、故障が設定されている場合(F=1、図6参照)には(S6:YES)、プログラムをバイパスするため、とりあえず出命令としてタイマを使用するI/Oモデル○8(図8参照)を選択する(S8)。
【0029】
次に、戻り命令を決定するため
に、ステップS2で検索された
I/O制御パラメータの中に戻り限アドレスが有るかどうかを判断し(S9)
、戻り限アドレスがない場合には(S9:NO)、センサを使用しないため、直ちに戻り命令としてタイマを使用するI/Oモデル○7(図8参照)を選択する(S12)。
【0030】これに対し、
戻り限アドレスがある場合(図4または図6中の「X01」)には(S9:YES)
、さらに、その戻り限アドレスに故障が設定されているか(F=1)どうかを判断し(S10)、
故障が設定されていない場合(F=0、図4または図6参照)には(S10:NO)
、
戻り命令としてI/Oモデル○6(図8参照)を選択し(S11)
、故障が設定されている場合(F=1)には(S10:YES)、プログラムをバイパスするため、とりあえず戻り命令としてタイマを使用するI/Oモデル○7(図8参照)を選択する(S12)。
【0031】以上により、ダブルソレノイドの場合において目的とする一連の命令群(出命令と戻り命令)のモデルが選択されたことになる(図8参照)。」
「【図8】
39
102
0001432045000009.jpg
【図9】
49
55
0001432045000010.jpg
【図10】
100
73
0001432045000011.jpg
」
「【0037】このようにして
出命令と戻り命令のI/Oモデルが選択されると
、選択された命令群のモデルのアドレスにステップS2で検索されたI/O制御パラメータ中のアドレスを展開して
目的とする一連の命令群を生成し
、これを
作業マクロプログラム50
,55(
図3(B)
または図5(B)参照)
とする(S21)。作成された作業マクロプログラム50
,55
は、入力マクロプログラム40と置き換えられて作業教示データの一部となる
。」
「【0039】その後、以上のようにして
作成された作業マクロプログラム50
,55
を含む作業教示データは、ファイル140に格納される
とともに、現在故障しているかどうかが故障対応による変更箇所を含めてわかるような形式で
端末20の画面に表示される(S22)
。これにより、故障後のオペレータによる戻し忘れが防止される。」
(2)甲8の記載からわかること
上記(1)の記載から、甲8には、次の事項が記載されるといえる。
ア 段落【0015】、【0017】の記載、及び図1~2の図示内容から、甲8には、ロボット10を制御するロボットコントローラ100についての発明、及び、ロボット10と、ロボットコントローラ100と、ロボットコントローラ100との間でデータ通信可能に構成された端末20と、を備えるロボットシステムについての発明がそれぞれ記載されている。
イ 上記ア、並びに、段落【0017】~【0018】、【0039】の記載、及び図1~2の図示内容から、甲8に記載されたロボットコントローラ100は、端末20との間で「教示データ」及び「作業教示データ」を送受信する通信制御部105を備えるといえる。
ウ 上記ア、並びに、段落【0017】~【0018】、【0022】の記載、及び図4、図8の図示内容から、甲8に記載されたロボットコントローラ100は、マクロプログラム作成部135を備えており、マクロプログラム作成部135は、教示データ中の機器名称(例えば「クランプA」)と命令(例えば「出」)とに基づいて、ファイル120内のI/O制御パラメータ群の中から機器名称が一致するものを検索し、得られたI/O制御パラメータ中の機器タイプ(例えば「シリンダ」)を、ファイル125内のI/Oモデル群と比較して、対応するI/Oモデルを検索し、得られたI/Oモデル中のアドレスに前記検索されたI/O制御パラメータ中のアドレスを展開して目的とする一連の命令群を生成することにより、実際に使用される作業マクロプログラムを作成するものといえる。
より具体的には、段落【0018】、【0025】~【0031】、【0037】の記載、及び図3~4、図8~10の図示内容から、マクロプログラム作成部135は、通信制御部105を介して入力された教示データから抽出される機器名称(「クランプA」)と命令(「出」)に従って、ロボット10に対する一連の命令群である「OUT OFF Y01」、「OUT ON Y00」、「IN ON X00」及び「OUT OFF Y00」を作成し、当該一連の命令群を含む作業マクロプログラム50を作成するものといえる。
エ 上記ウ、並びに、段落【0017】、【0039】の記載、及び図2の図示内容から、甲8に記載されたロボットコントローラ100は、I/O機器制御部155を備え、I/O機器制御部155は、マクロプログラム作成部135で作成された作業マクロプログラム50を含む作業教示データのうち、一連の命令群(複数の動作命令)を含むI/O機器制御用の作業マクロプログラム50に従って各種I/O機器14を制御するものといえる。
(3)甲8発明A
上記(1)~(2)から、甲8には、ロボットコントローラ100に関する次の発明(以下「甲8発明A」という。)が記載されているといえる。
「ロボット10(ロボット)を制御するロボットコントローラ100(ロボット制御装置)であって、
端末20(外部装置)との間で教示データ及び作業教示データ(デジタルデータ)を送受信するための通信制御部105(デジタル入出力インタフェース)と、
機器名称及び命令(命令識別データ)と命令群(動作命令)とを対応付けたI/O制御パラメータ群に基づいて、前記通信制御部105(前記デジタル入出力インタフェース)を介して入力された前記教示データ(前記デジタルデータ)から抽出される機器名称「クランプA」及び命令「出」(命令識別データ)に従って、前記ロボット10(前記ロボット)に対する一連の命令群「OUT OFF Y01」、「OUT ON Y00」、「IN ON X00」及び「OUT OFF Y00」(複数の動作命令)を作成し(生成し)当該一連の命令群(複数の動作命令)を含む作業マクロプログラム50(動作プログラム)を作成する(生成する)マクロプログラム作成部135(プログラム生成部)と、
作成された(生成された)一連の命令群(複数の動作命令)を含む前記作業マクロプログラム50(前記動作プログラム)に従って各種I/O機器14を制御する(実行する)I/O機器制御部155(プログラム実行部)と、
を備えるロボットコントローラ100(ロボット制御装置)。」
(4)甲8発明B
また、上記(1)~(3)から、甲8には、甲8発明Aに係るロボットコントローラ100を含む、ロボットシステムに関する次の発明(以下「甲8発明B」という。)が記載されているといえる。
「ロボット10(ロボット)と、
甲8発明Aに係るロボットコントローラ100(ロボット制御装置)と、
前記ロボットコントローラ100(前記ロボット制御装置)との間で前記教示データ及び前記作業教示データ(前記デジタルデータ)を送受信可能に構成された端末20(外部装置)と、を備えるロボットシステム(ロボットシステム)。」
上記第5の1(1)~(2)に示した理由1~2、並びに、上記第4の1(1)~(2)に示した申立ての理由1~2、及び、上記第4の2(2)に示した理由2は、甲1に記載された事項から主引用発明を認定していることから、次の(1)~(4)及び5~6にて、まとめて判断する。
(1)本件発明1と甲1発明Aとの対比
本件発明1と甲1発明Aとを対比すると、両者は以下の相違点1~4で相違し、その余の点で一致する。
ア 相違点1
デジタルデータ及び命令識別データに関し、
本件発明1においては、「デジタルデータ」が「ビット列」から構成され、「命令識別データ」がデジタルデータの「ビット列」から抽出されるのに対し、
甲1発明Aにおいては、指示情報30A(デジタルデータ)が「ビット列」から構成されるか不明であり、そのため、I/O番号3A及びデータ4Aの組合せ(命令識別データ)が「ビット列」から抽出されるかも不明である点。
イ 相違点2
命令識別データと動作命令との対応付けに関し、
本件発明1においては、「命令識別データ」が「ビット列」から構成されたデジタルデータの、当該「ビット列」から抽出されるものであって、「テーブル」を有し、「テーブル」に基づいて命令識別データに従って動作命令を生成するのに対し、
甲1発明Aにおいては、指示情報30A(デジタルデータ)が「ビット列」から構成されるか不明であるため、I/O番号3A及びデータ4Aの組合せ(命令識別データ)が当該「ビット列」から抽出されるか不明であり、また、指示内容41が「テーブル」であるか、不明である点。
ウ 相違点3
プログラム生成部において生成される動作プログラムに関し、
本件発明1においては、一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し、当該複数の動作命令を含む動作プログラムを生成するのに対し、
甲1発明Aにおいては、一つの動作命令を順に生成して、複数の動作命令を生成するものの、動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を含む動作プログラムを生成するか、不明である点。
エ 相違点4
プログラム実行部における動作命令の実行に関し、
本件発明1においては、生成された一つの動作命令が動作プログラムに書き込まれると、当該動作命令を実行するのに対し、
甲1発明Aにおいては、生成された一つの動作命令を順に実行するものの、一つの動作命令が動作プログラムに書き込まれるか不明である点。
(2)本件発明1の、甲1発明Aを主引用発明とした新規性についての小括(上記第4の1(1)、第5の1(1)に対して)
上記(1)のとおり、本件発明1は甲1発明Aと相違し、下記(3)のとおり、特に相違点3について明らかに相違するといえるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1に係る特許は、甲1発明Aを主引用発明とした場合に、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。
(3)本件発明1の、甲1発明Aを主引用発明とした上記相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
ア 甲1の段落【0041】には、次の記載がある。
「また、ロボット5側へのプログラムの書き込みが不要となるのでメモリを消費しない。また、PLC言語を用いてロボット5を制御するので、ロボット5、I/Oユニット71などの周辺機器を含めたプログラムの一元管理が可能となる。」
イ すなわち、甲1発明Aにおいては、ロボットCPU21を含むロボット5側にプログラムを書き込むことを必要としないことを前提とするものであるから、甲1発明Aにおいて、PLC1からデジタル入出力インタフェースを介して入力された指示情報30Aに含まれるI/O番号3A及びデータ4Aに従って、ロボット5に対する複数の動作命令を生成した際に、その生成した複数の動作命令を含むように動作プログラムをあえて生成することには、阻害要因がある。
ウ なお、申立人は、申立人意見書において、当該段落【0041】の記載は、PLC1からロボット5側にプログラムを書き込む必要がないことを示しているだけで、ロボットCPU21が指令データから動作プログラムを生成することを排除するものではない旨を主張する(申立人意見書第15ページ)。
しかしながら、メモリを消費しないことを前提とする甲1発明Aにおいては、動作命令を生成し、それをロボットに実行させることができるのであれば、あえてメモリを消費してまで、生成された複数の動作命令を含む動作プログラムの生成をする必要がないことは、明らかである。また、メモリを消費しないようにするとの阻害要因に勝る、当該動作プログラムを生成することの動機についても、甲1の記載や、技術常識に照らしても、見いだすことができない。
したがって、申立人の意見を採用することはできない。
エ したがって、上記相違点3に係る本件発明1の構成は、甲2~甲9に記載された事項を考慮しても、甲1発明Aから出発して想到するには阻害要因があることから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明A及び甲2~甲9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。
(4)本件発明1の、甲1発明Aを主引用発明とした進歩性についての小括(上記第4の1(2)、第4の2(2)、第5の1(2)に対して)
上記(3)のとおり、本件発明1は、甲1発明A及び甲2~甲9に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1に係る特許は、甲1発明Aを主引用発明とした場合に、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
上記4(2)のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえないから、請求項1の記載を引用する本件発明6についても、甲1に記載された発明(甲1発明B)であるとはいえず、本件特許の請求項6に係る特許は、甲1発明Bを主引用発明とした場合に、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。
上記4(3)~(4)のとおり、本件発明1は、甲1発明A及び甲2~甲9に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する本件発明2、4~7についても同様に、甲1発明A又はB、及び、甲2~甲9に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項2、4~7に係る特許は、甲1発明A又はBを主引用発明とした場合に、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
上記第5の2(2)~(3)に示した理由2~3、及び、上記第4の2(3)~(4)に示した理由3~4は、甲8に記載された事項から主引用発明を認定していることから、次の(1)~(4)及び8~9にて、まとめて判断する。
(1)本件発明1と甲8発明Aとの対比
本件発明1と甲8発明Aとを対比すると、両者は以下の相違点5~8で相違し、その余の点で一致する。
ア 相違点5
外部装置との間で送受信される「データ」から抽出される動作命令を生成するための「データ」に関して、
本件発明1においては、「デジタルデータ」のビット列から抽出される「命令識別データ」であるのに対し、
甲8発明Aにおいては、「教示データ(及び作業教示データ)」から抽出される「機器名称「クランプA」及び命令「出」」であって、ビット列から構成されるデジタルデータを構成するビット列から抽出されるか不明である点。
イ 相違点6
命令識別データと動作命令との対応付けに関し、
本件発明1においては、「テーブル」を有し、「テーブル」に基づいて命令識別データに従って動作命令を生成するのに対し、
甲8発明Aにおいては、I/O制御パラメータ群が、機器名称及び命令(命令識別データ)と命令群(動作命令)とを対応付けたテーブルであるか、不明である点。
ウ 相違点7
動作命令の生成及び動作プログラムの生成に関して、
本件発明1においては、一つの命令識別データに対してロボットに対する一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込むことにより、複数の動作命令を生成し当該複数の動作命令を含む動作プログラムを生成するのに対し、
甲8発明Aにおいては、機器名称「クランプA」及び命令「出」(命令識別データ)に従って、前記ロボット10(前記ロボット)に対する一連の命令群「OUT OFF Y01」、「OUT ON Y00」、「IN ON X00」及び「OUT OFF Y00」(複数の動作命令)を作成し(生成し)当該一連の命令群(複数の動作命令)を含む作業マクロプログラム50(動作プログラム)を作成する(生成する)点。
エ 相違点8
動作命令の実行に関して、
本件発明1においては、生成された一つの動作命令が動作プログラムに書き込まれると、当該動作命令を実行するのに対し、
甲8発明Aにおいては、作成された(生成された)一連の命令群(複数の動作命令)を含む作業マクロプログラム50に従って各種I/O機器14を制御する(実行する)点。
(2)本件発明1の、甲8発明Aを主引用発明とした新規性についての小括(上記第4の2(3)、第5の2(2)に対して)
上記(1)のとおり、本件発明1は甲8発明Aと相違し、下記(3)のとおり、特に相違点7について明らかに相違するといえるから、本件発明1は、甲8に記載された発明であるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1に係る特許は、甲8発明Aを主引用発明とした場合に、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。
(3)本件発明1の、甲8発明Aを主引用発明とした上記相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点7について検討する。
ア 甲8発明Aは、機器名称「クランプA」及び命令「出」に従って、ロボット10に対する一連の命令群「OUT OFF Y01」、「OUT ON Y00」、「IN ON X00」及び「OUT OFF Y00」を作成し、当該一連の命令群を含む作業マクロプログラム50を作成するものであって、本件発明1のように、一つの命令識別データに対してロボットに対する一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込むものとはいえない。
イ また、甲1~甲7、甲9においても、一つの命令識別データに対してロボットに対する一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込む技術が開示されているとはいえない。
ウ 仮に、一つの命令識別データに対してロボットに対する一つの動作命令を生成して動作プログラムに順に書き込む技術が公知であったとしても、機器名称「クランプA」及び命令「出」に従って、ロボット10に対する一連の命令群「OUT OFF Y01」、「OUT ON Y00」、「IN ON X00」及び「OUT OFF Y00」を作成することを前提とする甲8発明Aに適用する動機付けは見出せない。
エ したがって、上記相違点7に係る本件発明1の構成は、甲1~甲7及び甲9に記載された事項を考慮しても、甲8発明Aから出発して想到することが当業者にとって容易であるということができないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明A、並びに、甲1~甲7及び甲9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。
(4)本件発明1の、甲8発明Aを主引用発明とした進歩性についての小括(上記第4の2(4)、第5の2(3)に対して)
上記(3)のとおり、本件発明1は、甲8発明A、並びに、甲1~甲7及び甲9に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1に係る特許は、甲8発明Aを主引用発明とした場合に、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
上記7(2)のとおり、本件発明1は、甲8に記載された発明であるとはいえないから、請求項1の記載を引用する本件発明6についても、甲8に記載された発明(甲8発明B)であるとはいえず、本件特許の請求項6に係る特許は、甲8発明Bを主引用発明とした場合に、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。
上記7(3)~(4)のとおり、本件発明1は、甲8発明A、並びに、甲1~甲7及び甲9に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する本件発明2、4~7についても同様に、甲8発明A又はB、並びに、甲1~甲7及び甲9に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項2、4~7に係る特許は、甲8発明A又はBを主引用発明とした場合に、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
以上のとおり、本件特許の請求項1~2、4~7に係る特許は、取消理由通知及び決定の予告に示した取消理由(上記第5)、又は、申立書に記載された申立ての理由及び申立人意見書に記載された理由(上記第4)によっては、取り消すことはできない。また、本件特許の請求項1~2、4~7に係る特許を取り消すべき他の理由も発見しない。
また、本件特許の請求項3は、上記第2及び第3のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による本件特許の請求項3に係る特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。