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Trademark Appeal Case

不使用取消の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2022300962
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第5977500号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5977500号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成29年3月23日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月1日に設定登録されたものである。

そして、本件審判請求の登録は、令和4年11月16日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(同元年(2019年)11月16日~同4年(2022年)11月15日)を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和5年3月14日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年5月22日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同年4月21日付け審判事件上申書(以下「上申書」という。)に対する同年7月13日付け意見書(以下「意見書」という。)において、その理由を要旨以下のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように簡略して表記する場合がある。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである

2 答弁に対する弁駁

被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第5号証は、いずれも商品「抱っこひも」に関するものであるところ、本件商標が登録出願された平成29年3月23日においては、これは第18類に属する商品であって、第25類を指定した本件審判請求に係る指定商品に包含される商品ではない。

したがって、被請求人が提出したこれらの証拠からは、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。

3 意見書における主張の要点

被請求人は、上申書において、要証期間に、本件審判請求に係る指定商品の中「被服」又は「運動用特殊衣服」について、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしているため、本件商標は取り消されるべきではない旨主張し、乙第6号証ないし乙第9号証を提出するが、写真(乙6)は、いつ撮影されたものか不明であって、撮影された商品が要証期間内に譲渡等若しくは譲渡等のために展示等がされていたか不明である。

また、商品の注文書、請求書(乙7、乙8)については、注文書には「ONE MOER」の欧文字が、請求書には「ONE MORE」の欧文字が記載されているところ、いずれも、ロゴと「ONE MORE」の欧文字を2段に配した本件商標が表示されているものではなく、これらの証拠からは、要証期間に、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が、本件審判請求に係る指定商品について使用されていたかをうかがい知ることはできない。

さらに、普通預金通帳の写し(乙9)については、単に、被請求人から株式会社SF115(以下「SF115社」という。)の口座に振込の事実があったことを示すのみであり、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が、本件審判請求に係る指定商品について使用されていたかを確認することができない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書、上申書及び令和7年8月4日付け審判事件回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

1 答弁の理由

被請求人(本件商標の商標権者。以下「本件商標権者」という。)は、本件商標を、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中、「被服」に属する「抱っこひも」について使用しており、本件商標権者の販売に係る「抱っこひも」のうち、色がブラック及びグレーの商品の写真(乙1)には、抱っこひものベルト部分に、本件商標が表示された布製ラベルが縫い止めされ、かつ、本件商標、商品の組成、製造国、クリーニングの際の注意等を示す図示並びに販売者の名称である本件商標権者の名称及び電話番号が表示された紙製タグが付されている。

また、SF115社から本件商標権者へ、抱っこひもを納入するための「注文書」(乙2)及び当該注文書に対応して納品したことによる「請求書」(乙3)には、注文書の発行日である「2020年4月10日」を示す「No 20200410」(乙2)、請求書の発行日である「2020年4月20日」並びに商品の金額である「292,500」、商品名「抱っこひも」及び本件商標の要部である「ONE MORE」の欧文字(乙2、乙3)が記載されている。

さらに、当該商品の発注者であるSF115社の普通預金通帳の写し(乙4)には、その3葉目に「2――4-30 振込 *292,500 A カ)ミドリコミユニケー」の記載があり、また、「抱っこひも」が第25類の商品として商標登録されている商標公報(乙5)から、これらの取引に係る商品である「抱っこひも」が、本件商標の指定商品と同じ第25類の商品であって、本件商標の指定商品の範ちゅうに属する商品であることが明らかである。

以上から、被請求人は、要証期間内である2020年4月30日に、日本国内において、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品中、「被服」に属する「抱っこひも」について使用していることを証明したものである。

2 上申書における主張の要旨

(1)乙第6号証は、本件商標権者の販売に係る「レディース用スポーツウェア(ジムウェア)」の写真であり、当該商品のウエスト部分の裏地には、本件商標が表示された布製ラベルが縫い止めされ、かつ、本件商標、商品の組成、製造国、クリーニングの際の注意等を示す図示並びに販売者の名称である本件商標権者の名称及び電話番号が表示された紙製タグが付されている。

これらの本件商標の表示には、その右上部分に「(R)」(審決注:(R)は、Rの丸付き文字である。以下同じ。)を表示し、当該標章が商標登録されていることを明示している。

(2)乙第7号証は、SF115社から本件商標権者へ、「レディース用スポーツウェア(ジムウェア)」を納入するための「注文書」であり、その中央には「スポーツウェア レディース ジム ウェア」、「ONE MORE 色 黒」(審決注:乙7には「ONE MOER」と表示されている。)、商品数の「240」及び消費税等を含めた合計額「106,000」の表示、右下には、受注者として、本件商標権者の社名及び社判が捺印され、また、右上には、注文書の発行日である「2020年5月15日」を示す「No 20200515」の文字が、それぞれ表示されている。

なお、注文書に表示されている「ONE MORE」は、本件商標の要部であり、かつ、本件商標の自然的称呼が生ずる唯一の部分であり、また、一般に注文書に図形を表示することは困難であるところ、この注文書における「ONE MORE」の表示は本件商標を表示していることが明らかである。

(3)乙第8号証は、乙第7号証で示された「注文書」に対応して納品したことによる代金の「請求書」であって、その左上には「株式会社SF115 御中」、その右には、2020年5月15日、その下段には「株式会社ミドリコミュニケーションズジャパン」及び「TEL:」として電話番号、さらにその下段には「合計金額¥106,000」、その下の表には「スポーツウェア レディース ジム ウェア ONE MORE、240(数量)」、最下段には「¥106,000(金額)」と記載されている。

(4)乙第9号証は、当該商品の発注者であるSF115社の「普通預金通帳」の写しである。当該通帳の表紙にはSF115様と記載されており、普通預金(兼お借入明細)の頁には、「2――6――5 振込 *106,000 A カ)ミドリコミユニケー *1,081,147」と記載されている。

これらの記載から、要証期間内である2020年6月5日に当該商品の注文者であるSF115社から被請求人に、当該取引に係る商品代金106,000円が支払われたことが示されている。

なお、当該写真には、秘密情報保護のため、一部にマスキング処理を施している。

(5)上記の乙第6号証各号ないし乙第9号証によって、本件審判事件における要証期間内において、被請求人が、商品「レディース用スポーツウェア(ジムウェア)」について登録商標の使用をしていることが証明されたものである。

(6)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品中「被服」又は「運動用特殊衣服」について本件商標の使用をしていることを証明した。

したがって、本件商標は、その指定商品について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことができない。

よって、答弁の趣旨に記載のとおりの審決を求める。

3 回答書における主張の要旨

(1)請求人は、「提出された使用証拠は要証期間内における本件商標の使用を立証するものではない。」旨主張し、乙第6号証ないし乙第9号証をそれぞれ論難し、「被請求人が提出した証拠によっては本件商標が審判請求の予告登録日前3年以内の期間に使用されていた事実は立証され」ていない旨主張している。

しかし、乙第6号証によって本件商標が使用された商品が示されており、乙第7号証ないし乙第9号証によって、当該商品が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者から取引者(購入者)に売買による譲渡が行われたという一連の取引行為が行われたことが証明されている。すなわち、乙第6号証は、本件商標が被請求人の名称と電話番号と共に表示されている下げ札が付されている黒色のレディース用スポーツウェア(ジムウェア)の写真であり、乙第7号証は、取引者(購入者)から、被請求人に対し、商品の納期を令和2年5月20日に指定して上記商品を、対価106,000円でその支払日を同年6月5日とする商品購入の注文書であり、乙第8号証は、当該受注品を納入したことに伴う対価の支払いを、振込先を指定した2020年5月15日付けの被請求人が発行した請求書であり、乙第9号証は、取引者(購入者)から審判請求人に106,000円が振り込まれたことが記載されている普通預金通帳の写しである。これら乙第6号証ないし乙第9号証に至る一連の証拠によって、本件商標が指定商品について、要証期間内に商標権者によって使用されたことが証明されている。

しかるに、請求人は、乙第6号証ないし乙第9号証に至る一連の証拠を殊更に分断して取り上げて、それぞれの証拠が、商標法に規定する要件を充足していない旨を論難するのであって、失当である。

(2)なかんずく、請求人は、乙第7号証及び乙第8号証において、「乙第7号証及び乙第8号証は、それぞれの商品の注文書・請求書と認識される証拠であり、乙第7号証には、「ONE MOER」、乙第8号証には「ONE MORE」の文字が記載されているが、ロゴを上段に配し、アルファベット文字の「ONE MORE」を下段に配した構成態様からなる本件商標が表示されているものではなく、この注文書と請求書からは、要証期間中に、本件商標と同一もしくは社会通念上同一と認められる商標が、本件審判の請求に係る商品について使用されていたかをうかがい知ることができない。」旨述べている。

しかし、商品の注文書及び請求書には、取引に係る商品が特定される程度に表示されていれば充分であって、ロゴまで表示する必要はない。したがって、商品の注文書や請求書には、商品の名称、品番、色彩等が表示されるのであって、ロゴまで表示しないことが、取引上の常態であるといえるところ、乙第7号証及び第8号証には、商品の名称「ONE MORE」が表示されており、かつ、商品の品番、商品の名称、色が表示されており、これによって第6号証によって示された商品が特定されているから、あえてロゴまで表示する必要はない。

しかるに、請求人の上記主張は、商品の注文書・請求書にロゴが表示されていないことを挙げて論難しているのであって、取引において行われている商品の注文書・請求書への記載の実情を看過したものであって、失当である。

(3)まとめ

意見書において提出した乙第6号証ないし乙第9号証は、本件商標が使用されている商品について一連の取引行為を証明している。しかるに、請求人は、上記の各号証を殊更に分断して論難するのであって、一連の取引行為であることを看過している点において、失当である。

よって、審判請求人の意見には、理由がない。

第4 当審の判断

1 被請求人の立証責任

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。

2 事実認定

被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。

(1)乙第1号証ないし乙第5号証について

乙第1号証は、被請求人が本件商標を付した商品「抱っこひも」を撮影した写真とするものであり、乙第2号証は、被請求人が当該商品についての顧客からの2020年4月10日付け注文書の写しとするものであり、乙第3号証は、被請求人が当該商品についての注文書(乙2)に対応して納品したことによる顧客への代金の請求書の写しとするものであり、乙第4号証は、被請求人が請求書(乙3)の代金を顧客から被請求人に対して繰り込みが行われたことを示す普通預金通帳の写しであり、また、乙第5号証は、被請求人が商品「抱っこ紐」について、商品及び役務の区分第25類の商品と記載されている商標登録公報(登録出願日平成24年10月17日、公報発行日同26年2月18日。)と主張するものである。

(2)乙第6号証について

乙第6号証は、被請求人が商品「レディース用スポーツウェア(ジムウェア)」を撮影した写真と主張するものであり、その3葉目には、商品の裏側に、ラベルが両隅で止められ、そのラベルに細ひもを通してタグがくくられており、その4葉目は当該ラベルとタグを拡大した写真で、ラベルには本件商標が表示され、また、タグには、本件商標及び「ポリエステル 80% その他 20% 中国製」の文字、洗濯表示記号並びに被請求人の名称及び電話番号が表示されている。

なお、乙第6号証のスポーツウェアと思われる商品の写真は、その撮影日、撮影場所を確認することができない。

(3)乙第7号証について

乙第7号証は、「注文書」と題する書面であり、当該文字の下部には「5月分」、その右側には「No.20200515」の文字とその下部に「(株)SF115」の文字、同人の住所、担当者名、電話番号、同人の社判と思われる印影が表示され、その左側には被請求人の名称及び住所が表示されている。

それらの下部には、「納入日: 5月20日」、「納入先:(株)SF115」及び納入先として住所が表示され、更にその下部の表には、1段目には「ケース バラ 単価 金額」の文字、2段目には「品番 MD-805 入数 発注数」の文字、3段目には「品番 SD-306 サンプル」の文字、4段目には「スポーツウェア レディース ジム ウェア」の文字、5段目には「ONE MOER 色 黒 1 1 364.00 364」の文字、6段目には「品番 SD-306」の文字、7段目には「スポーツウェア レディース ジム ウェア」の文字、8段目には「ONE MOER 色 黒 240 240 400.00 96,000」の文字、10段目には「消費税 9.636」の文字、11段目には「合計 106,000」の文字、並びに、12段目には「支払い条件 6月5日」の文字が表示されている。

なお、5段目及び8段目の記載中「ONE MOER」は「ONE MORE」の誤記と認める。

(4)乙第8号証について

乙第8号証は、被請求人が「注文書」(乙7)に対応して納品したことによる商品代金の「請求書」と主張するものであり、表題部の文字の左下部には「株式会社SF115 御中」の文字、その右側には、「2020年 5月 15日」の文字、ロゴマーク、被請求人の名称及び住所等の記載、それらの左下部には「合計金額 ¥106,000」の文字が表示され、更にその下部の表には、1段目には「項目(品名など) 品番 数量 単価 金額」の文字、2段目には「スポーツウェア レディース ジム ウェア ONE MORE 色 黒 SD-306 240 ¥400.00 ¥96,000」の文字、3段目には「サンプル SD-306 1 ¥364 ¥364」の文字、当該表の右下部には「小計 ¥96,364」、「消費税(10%) ¥9,636」、「合計 ¥106,000」の文字が表示され、その下部の枠内には「備考」として「支払い条件:6月5日まで」の文字が表示されている。

(5)乙第9号証について

乙第9号証は、被請求人が上記商品の発注者であるSF115社の「普通預金通帳」の写しと主張するものであり、その1葉目には「普通預金通帳」の文字、その下段に、店番号と口座番号、赤字で「繰越済」及び「株式会社SF115様」並びに銀行名が表示されており、その3葉目には上部に「普通預金(兼お借入明細) 9」の文字、その下に「年月日(和暦) 記号 お引出し金額(円) お預入れ金額(円) 残 高(円)」の文字、そして、塗り潰し部分があり、次に「2――6――5 振込 *106,000 A カ)ミドリコミユニケー」及び金額の文字、次行に「2――6――5 振替 *550 振込手数料」及び金額の文字が表示されている。

3 判断

(1)商品「抱っこ紐」について

本件商標は、平成29年(2017年)3月23日に登録出願がなされているところ、当該登録出願日において、「抱っこ紐」が商品及び役務の区分の第18類に属する商品とされていたものであるから、商品「抱っこ紐」は、本件商標の指定商品に包含される商品であると認められない。

また、商標登録出願において記載されるべき商品及び役務の区分、並びに指定商品については、商品及び役務に関する国際分類、商標法施行令、同法施行規則の改正に対応した改訂を、また商取引の実情の変化等に対応すべく改訂が行われてきているところ、商標登録公報(乙5)に記載の商標登録は、その登録出願日が本件商標の登録出願の日より以前の登録出願に係るものであるから、当該公報掲載の商標登録の存在をもって、本件商標の登録出願が適用される商品の表示が確定するものではない。

よって、商品「抱っこ紐」が、本件商標の指定商品に包含されることを前提とした証拠(乙1~乙5)は、いずれも採用することができない。

(2)商品「スポーツウェア」について

ア 使用者及び使用商品について

乙第6号証に掲載されている商品からすると、当該商品は、「スポーツウェア」というべきであって、これは本件審判請求に係る指定商品中「被服」の範ちゅうに含まれる商品と認められる。

そして、ラベル及びタグが付されたスポーツウェアの写真(乙6)中、スポーツウェアに付されたラベル及びタグに、「製造者」又は「販売者」の文字が表示されていないため当該「スポーツウェア」の製造者が不明であるものの、当該ラベル及びタグに表示された記載からすると、当該商品の使用者は、本件商標権者であるというべきである。

イ 使用商標について

ラベル及びタグが付されたスポーツウェアの写真(乙6)中、スポーツウェアに付されたラベル及びタグに表示された商標、すなわち、一筆書きで何らかの図又は文字を表したと見られる図形部分及びその下部に横書きされた「ONE MORE」の欧文字からなる商標(以下、図形部分と欧文字をまとめて「使用商標」という。)は、本件商標と上段部及び下段部の構成を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標であると認められる。

ウ 使用時期及び使用行為について

上記2(2)からすると、使用商品を撮影した写真(乙6)は、その撮影日が不明であって、要証期間に使用商品について使用したと認めることができない。

また、注文書及び請求書(乙7、乙8)については、その作成日は、いずれも要証期間内の日付と認められるものの、当該書面に表示されている品名、品番、色等の記載によっては、品名、品番、色についての記載が認められないラベル及びタグが表示されている商品の写真(乙6)が、注文書及び請求書に記載されている商品を撮影したものであることを確認することができないため、乙第6号証の商品が、注文書及び請求書という取引に関する書類によって、使用者から第三者へ譲渡され、引き渡されたということを認めることができない。

さらに、注文書及び請求書(乙7、乙8)には、品名、品番、色等の記載が認められるところ、「ONE MOER」(乙7。ただし、これは、「ONE MORE」の誤記と認める。)又は「ONE MORE」の記載がなされている。しかし、一筆書きで何らかの図又は文字を表したと見られる図形部分を上段に配し、その下部に「ONE MORE」の欧文字を配した2段からなる本件商標は、その上段及び下段が観念を同一とするものとは認められず、上段の図形部分と下段の欧文字が観念を同一とすることを裏付ける証拠の提出も認められないから、その構成全体をもって使用した場合に限って、本件商標が使用されたというべきである。

してみると、注文書及び請求書(乙7、乙8)の詳細部分を記した表中の「ONE MORE」の文字部分は、本件商標を使用したと認めることができないものであるから、当該「ONE MORE」の欧文字の使用は、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用であるということはできない。

したがって、本件商標権者が、要証期間に、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用を行ったことは認められない。

エ 小括

以上、アないしウのとおり、本件商標は、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、これを商標として使用した事実が確認できないため、要証期間に使用したとも認められず、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったとは認められない。

その他、被請求人の提出した証拠を参照しても、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に、日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を本件審判請求に係る指定商品について使用したことを認めるに足る証拠は見いだせない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。

また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中の本件審判請求に係る指定商品について、登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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