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Trademark Appeal Case

立体商標の普通表示該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2023017689
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和4年10月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和5年3月7日付け :拒絶理由通知書

令和5年6月14日 :意見書、手続補正書の提出

令和5年7月14日付け:拒絶査定

令和5年10月18日 :審判請求書の提出

令和7年4月10日付け:審尋

第2 本願商標

本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に記載のとおりの構成からなる商標について、第11類「調理・暖房用の携帯式焚き火台(電気式のものを除く。),家庭用バーベキューグリル(電気式のものを除く。),家庭用加熱器(電気式のものを除く。)」を指定商品として、立体商標として登録出願されたものであり、その後、本願商標については、上記第1の手続補正により、別掲1のとおりに補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、令和5年6月14日に提出の手続補正書によって補正されたとおりの態様からなる立体商標である。そして、本願に係る指定商品を取り扱う業界において、様々な形状の焚火台又は焚火台を利用した商品が製造、販売されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、商品の機能又は美感に資する目的のために採択された形状の一形態であると認識するにとどまるものといえるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。よって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。さらに、出願人は、本願商標は出願人の使用により自他商品識別力を獲得しており、商標法第3条第2項により登録されるべき旨を主張しているが、本願商標が独立して、我が国の需要者の間において、出願人の業務に係る商品を表示する標章として、広く認識されるに至っているものとは認められず、同条同項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定、判断し、拒絶したものである。

第4 当審における審尋

当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、別掲2のとおりの証拠を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、また、請求人の主張及び同人の提出に係る証拠を参照し検討するも、本願商標が同条第2項の要件を具備するとはいえない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めたが、これに対して、請求人は、何ら回答していない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標は、別掲1のとおり、V字状に組み合わされた2枚の略長方形の湾曲したプレートと、細い棒を組み合わせたフレームで構成される立体的形状からなるものである。

ところで、別掲2のウェブサイトによれば、2枚のプレートをV字状に組み合わせた、薪を置くための火床部分と、火床部分を支える細い棒を組み合わせたフレームからなる焚き火台が販売されている実情が認められる。

そして、本願商標の立体的形状は、別掲2掲載の焚き火台と同様に、V字状に組み合わされた2枚のプレートと、細い棒を組み合わせたフレームで構成されているものであることから、本願商標の立体的形状は、焚き火台の形状を立体的に表したものといえる。

また、本願商標の立体的形状は、別掲2掲載の焚き火台と基本的な特徴を共通にするものであり、子細にみれば異なる特徴を有するとしても、いずれの特徴も、焚き火台について商品の機能若しくは美感に資することを目的とした、又はそれらの目的からの形状の選択と予測し得る範囲の形状にすぎないものであり、自他商品の識別標識として印象に残るものではないというのが相当である。

そうすると、本願商標に係る形状は、これに接する需要者において、当該形状をもって商品の出所を表示する標識と認識し得るものとはいえないから、本願商標は、その指定商品との関係において、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、本願商標の形状は、細い直線と大きな曲面からなる形状となっており、全体として非常に華奢なかつ女性的でエレガント、スマートな観念を与える独特な外観をしており、十分に自他商品識別力を有するものである旨主張する。

しかしながら、上記(1)に記載のとおり、本願商標の立体的形状と基本的な特徴を共通にする焚き火台が一般に取引されている実情を踏まえれば、本願商標の立体的形状は、焚き火台について商品の機能若しくは美感に資することを目的とした、又はそれらの目的からの形状の選択と予測し得る範囲の形状にすぎないものであり、自他商品の識別標識として印象に残るものではないというのが相当である。

2 商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて

請求人は、本願商標は本願の指定商品に係る商品の形状として使用された結果、請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして、日本国内における需要者の間に広く認識されているため、本願商標は商標法第3条第2項の規定により、登録されるべきである旨主張している。

そこで、請求人の主張及び同人が提出した証拠を参照し、以下、本願商標の使用による自他商品の識別性(本願商標の商標法第3条第2項の要件充足性)について判断する。

(1)立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標ないし商品等の形状、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間・地域及び規模、当該形状に類似した他の商品等の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である(平成19年(行ケ)第10215号同20年5月29日判決)。

そして、商標法第3条第2項により商標登録を受けることができるのは、商標が特定の商品につき同項所定の要件を充足するに至つた場合、その特定の商品を指定商品とするときに限るものと解するのが相当である(昭和58年(行ケ)第156号同59年9月26日判決)。

(2)請求人の主張及び同人の提出に係る証拠並びに職権による調査によれば、以下の事実が認められる。

ア 請求人は、同人の取扱いに係る「picogrill 398」又は「ピコグリル398」の商品名で販売されている「キャンプ用折り畳み式焚き火台」(以下「本願使用商品」という。)の形状として本願商標を使用している。なお、請求人は、「picogrill 760」又は「ピコグリル760」の商品名でも「キャンプ用折り畳み式焚き火台」を販売しているが、当該商品の形状は、本願商標の形状とは、フレームの脚部分の形状が異なるため、本願商標に相当する形状の商品とは認められない。

イ 本願使用商品は2010年にデザインされたもので、我が国においては、2012年7月に販売が開始された。

ウ 本願使用商品は、請求人のウェブサイト及び第三者の通販サイトを通じて、2012年から2023年までで約4万7,000台が全国各地に販売された。

エ YouTubeにおける「ヒロシちゃんねる」(登録者数114万人)において、本願使用商品が使用又は紹介されている動画が複数回投稿された。本願使用商品が登場した動画の延べ視聴回数は1,000万回を超えている。

オ キャンプ情報に係るウェブサイト、雑誌、テレビ番組、YouTube動画等において本願使用商品が紹介されているが、多くの場合「picogrill 398」又は「ピコグリル398」の商品名とともに紹介されている。

カ 本願使用商品のミニチュア模型の玩具が2022年4月から販売されている。

キ 別掲2のとおり、2枚のプレートをV字状に組み合わせた、薪を置くための火床部分と、火床部分を支える細い棒を組み合わせたフレームからなる焚き火台が販売されている実情がある。

ク 審判請求書の2.2(1)に掲載のウェブサイトの画像のとおり、本願使用商品に似た請求人以外の者の「キャンプ用折り畳み式焚き火台」が販売されている実情がある。そして、本願使用商品に似た当該商品は、「ピコグリル型」などの文字とともに、当該ウェブサイトに掲載されており、当該商品が本願使用商品ではないことを前提に掲載されている。

ケ 本願の指定商品中「キャンプ用折り畳み式焚き火台」以外の商品について、本願商標が使用されていることは確認できない。

(3)上記(2)によれば、請求人は、本願使用商品の形状として本願商標を使用しており、本願使用商品は、請求人のウェブサイト及び第三者の通販サイトを通じて2012年から継続的に全国各地に販売され、一定程度の販売実績があること、本願使用商品は、キャンプ情報に係るウェブサイト、雑誌、テレビ番組、YouTube動画等において紹介されていること、並びに本願使用商品のミニチュア模型の玩具が販売されていることが認められる。

しかしながら、本願使用商品がウェブサイト、雑誌などで販売、紹介される際においては、「picogrill 398」又は「ピコグリル398」の商品名とともに掲載されているものである。

そして、2枚のプレートをV字状に組み合わせた薪を置くための火床部分と、火床部分を支える細い棒を組み合わせたフレームからなる焚き火台が販売されている実情があり、また、本願使用商品に似た請求人以外の者の「キャンプ用折り畳み式焚き火台」が本願使用商品ではないこと、すなわち請求人の商品ではないことを前提に販売されている実情があることからすると、本願使用商品は、その形状によって自他商品が識別され、かつ、出所が表示されているとはいえず、「picogrill 398」又は「ピコグリル398」の商品名によって、自他商品が識別され、かつ、出所が表示されているというべきである。

さらに、本願の指定商品中「調理・暖房用の携帯式焚き火台(電気式のものを除く。)」に包含される「キャンプ用折り畳み式焚き火台」以外の指定商品については、使用されていることすら確認することができない。

そうすると、本願商標がその指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったということはできない。

(4)以上により、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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