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Trademark Appeal Case

地名と一般名称の結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024010721
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和5年11月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年1月 5日付け:拒絶理由通知書

令和6年2月15日 :意見書の提出

令和6年3月21日付け:拒絶査定

令和6年6月28日 :審判請求書の提出

令和7年7月30日付け:証拠調べ通知書

2 本願商標

本願商標は、「ニセコ留学.com」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「ニセコ留学.com」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「ニセコ」の文字は、「北海道西部,後志支庁。ニセコアンヌプリ火山群を中心とした地域」の意味を有し、「留学」の文字は、「よその土地、特に外国に在留して勉強すること」の意味を有する、いずれも一般的に知られた平易な語であるから、本願商標の「ニセコ留学」の部分は、「北海道ニセコへの留学」ほどの意味合いを認識させるものである。そして、本願商標の構成中、「.com」の文字は、「インターネットのドメイン名で、企業を表す「.com」。インターネット関連の企業名にも用いる。」の意味を有する語であり、「○○.com」の文字が、「○○」の部分に入る役務に関する情報を提供するウェブサイト等を表す語として広く使用されている等の実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「北海道ニセコへの留学に関するウェブサイト」であることを表したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たすとは認識し得ないものというのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

4 当審における証拠調べ及びそれに対する請求人の回答

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、前記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

請求人は、当該証拠調べに対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について

商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品又は役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10323号参照)。

(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について

本願商標は、「ニセコ留学.com」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1によれば、その構成中の「ニセコ」の文字は、北海道西部にある、ニセコアンヌプリ火山群を中心とした地域を指す地名として、「留学」の文字は、「よその土地、特に外国に在留して勉強すること」の意味を有する語として、「.com」の文字は、インターネットのドメイン名で、企業を表す語として、いずれも我が国において一般に知られているものであることからすれば、本願商標は、「ニセコ」、「留学」及び「.com」の文字を結合してなるものと容易に認識されるものである。

そして、別掲2によれば、日本国内にある、居住地とは異なる地域で勉強することについて、「留学」の文字が使用されている実情があることからすれば、本願商標の構成中「ニセコ留学」の文字部分からは、「北海道のニセコ地域で勉強すること」ほどの意味合いが容易に認識されるものである。

また、インターネットを通じて広告を行ったり、各種の情報を提供することは、商取引上、一般に広く行われているところ、別掲3に示すとおり、本願指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」に関する情報を提供するウェブサイトにおいて、提供される情報の内容を表す文字と、「.com」又は「ドットコム」の文字を結合してなる「○○.com」又は「○○ドットコム」(○○には、情報の内容を表す文字が入る)の文字が使用されている実情がある。

そうすると、本願商標の各構成文字の意味及び前記の実情に照らせば、本願商標は、これを本願指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授」に使用しても、これに接する需要者に、「北海道のニセコ地域における勉強に関するウェブサイト」ほどの意味合いを認識させるにとどまるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものというべきである。

してみれば、本願商標を、その指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授」及びこの役務との関連が深い、「セミナーの企画・運営又は開催」に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、地名と「留学」の文字を結合した語は、通常、外国において勉強することをいうものであって、本願商標の構成中「ニセコ留学」の文字部分は、国内の地名と「留学」の文字を結合してなる、識別力を有するユニークなものである旨を主張する。

たしかに、「留学」の文字は、「よその土地、特に外国に在留して勉強すること」の意味を有する語であり、ここでいう「よその土地」が、外国を指す場合も少なくないものといえるが、前記の意味合いにおける「よその土地」から、日本国内のよその土地に在留して勉強することが排除されるものではないものといえる。そして、日本国内にある、居住地とは異なる地域で勉強することについて、「留学」の文字が使用されている実情があることからすれば、本願商標の構成中「ニセコ留学」の文字部分からは、「北海道のニセコ地域で勉強すること」ほどの意味合いが容易に認識されることは、前記(2)のとおりである。

イ 請求人は、本願商標を使用しているのは請求人のみである旨を主張する。

しかしながら、本願商標を構成する各文字の意味及び別掲2及び別掲3の実情に照らせば、本願商標は、これを「技芸・スポーツ又は知識の教授」に使用しても、これに接する需要者に、「北海道のニセコ地域における留学に関するウェブサイト」ほどの意味合いを認識させるにとどまるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものというべきであることは前記(2)のとおりである。

ウ 請求人は、本願商標が、請求人による使用によって識別力を獲得している旨を主張し、その証拠として甲第6号証ないし甲第19号証を提出している。

しかしながら、請求人に係る役務の受講者数(甲7)及び請求人の主張する推定の売上高が、役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」の分野においてどの程度のシェアを占めているのかは不明である。また、テレビ、ウェブサイト等における報道や紹介(甲8ないし甲19)については、例えば甲第8号証や甲第11号証のように、画像及び記事中に本願商標又は請求人の名称が記載されていない証拠が含まれており、かつ、これらのテレビ番組、ウェブサイト等の放送エリア、視聴者数、閲覧者数等も不明である。さらに、SNSにおける広告宣伝の実績(甲16ないし甲19)についても、これらの証拠が示す広告宣伝の規模がいかなるものかを把握することができない。加えて、請求人は、広告宣伝費としてこれまでに1,565,646円を使ったと述べているが(甲19)、提出された証拠からは、どのような内容の広告宣伝であるのかが判然とせず、また、その金額についても、これが役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」の分野においてどの程度の規模のものであるか不明である。

以上を踏まえれば、請求人の主張及び提出された証拠によっては、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったとものとは認められない。

エ 請求人は、「.com」又は「ドットコム」の文字を構成中に含む過去の登録例を挙げ、公平性の観点から、本願商標が登録されないことは納得できない旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が、自他役務の識別標識として機能し得るか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(2)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。

オ したがって、請求人の前記主張は、採用することができず、その他、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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