sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標不使用取消と黙示の許諾

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300775
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5407861号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成22年3月25日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに第9類、第14類及び第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同23年4月22日に設定登録されたものである。

そして、本件審判請求の登録は、令和6年11月8日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(同3年11月8日~同6年11月7日)を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

請求人は、令和7年1月7日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。

なお、以下、証拠の表示については、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合がある。

1 主張の要旨

本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標について、株式会社Idiom(以下「I社」という。)に対する使用権の許諾を行っており、本件商標は、使用権者であるI社によって、本件審判請求に係る指定商品中、第25類「履物」について、審判請求の登録日前3年の間に、日本国内において使用されているものである。

2 答弁の理由

(1)使用権の許諾

本件商標権者により通常使用権を許諾されたI社は、本件審判請求の登録の日、すなわち令和6年11月8日より前3年の間に、日本国内において、本件商標を、第25類「履物」に属する商品の一である「靴類」について使用している。

I社は、被請求人の100%子会社である株式会社ワールドプロダクションパートナーズ(以下「パートナーズ社」という。)の100%子会社である。

よって、I社は、本件商標権者の支配下にあり、過去の審決例からすると、本件商標の使用について商標権者の黙示の許諾がある通常使用権者であるといえる(乙2~乙7)。

本件商標権者並びにワールドグループの会社案内の写し(乙2)によると、本件商標権者は、1959年創業の大手アパレル企業であり、2017年4月からは事業持株会社として、傘下のブランド事業、プラットフォーム事業を営むグループ全体経営管理及びそれに付帯する業務を行っている。

本件商標権者のプラットフォーム事業に関する案内並びに事業会社一覧の写し(乙3)によると、プラットフォーム事業では、ワールドグループが培ったノウハウを業界内外へ積極的に提供し、衣料品や服飾雑貨・家具のOEM・ODMや卸販売、企業の事務処理の代行やデジタル化の支援等、ビジネスの課題解決手段を提供しており、その担い手として、パートナーズ社が紹介されている。

事業内容は、衣料品、服飾雑貨の企画提案・生産管理及び調達先の開拓・貿易業務である。

2024年5月28日に関東財務局長に提出された本件商標権者の有価証券報告書の表紙並びに12頁ないし14頁の写し(乙4)によると、パートナーズ社は、本件商標権者の連結子会社かつ100%子会社であることが分かる。

I社のホームページの会社概要の写し(乙5)によると、I社は衣料品、服飾雑貨のODM・OEMやユニフォーム事業を営んでおり、資本金の欄から、パートナーズ社の100%子会社であることが分かる。

取消審判事件の審決公報(乙6、乙7)によると、本件と同様の支配関係にある孫会社が、商標権者である親会社の黙示の許諾がある通常使用権者に当たると認められている。

以上より、I社は、被請求人の100%子会社であるパートナーズ社の100%子会社であり、本件商標の使用について商標権者の黙示の許諾がある通常使用権者に該当する。

(2)I社による本件商標の使用

本件商標は、本件商標権者が1996年から2015年まで使用した後は休眠商標となっていたが、2024年8月より、使用権者であるI社によって、第25類「履物」に属する商品の一である「靴類」に使用されている(乙8~乙20)。

ア 本件商標権者は、アパレル雑貨を中心としたエスニックテイストのオリエンタルモダンブランド「COCUE」(コキュ)を1996年から2015年まで展開していた。1996年に東京の代官山に第一号店をオープンして以来、オリエンタルモダンやアオザイを取り入れたアイテムや、アジアンテイストの草履等が注目され、瞬く間に大人気となりオリエンタルブームの草分けとなった。

当該ブランドは、2015年に惜しまれながら終了し、本件商標は休眠商標となったが、特に人気のあった靴に関しては、2016年2月より「COCUE」と同じ生産工場でデザインを行い、そのままの木型を使って製造し、卸売ブランド「Reidroc」(レイドローク)の商標を付して販売を続けてきた(乙8)。

また、2022年1月より本件商標権者が運営するネットショップ「WORLD ONLINE STORE」においても、「【コキュ】ビジュー&パール調フラットシューズ」、「大人気のコキュのビジューシューズ」の文言で宣伝・販売されている(乙9)。

なお、「Reidroc」(レイドローク)が被請求人の卸売のブランドであることは、乙第3号証の2頁目に当該ブランドが掲載されていることからも明らかである。

イ I社によるサンプル品の製造

近年、I社は、被請求人かつ親会社である本件商標権者の保有する休眠商標を利用し、ブランド提案型の卸売やOEMで他社と差別化を図る取組を行っている。2024年6月、他社にないアジアンテイストブランドを展開すべく、根強い人気のある「COCUE」を本格的に復活させたいと考え、ブランドに対する評価を社内外からヒアリングするため、本件商標を付した靴のサンプルを製造し、2025年春夏(SS)シーズン商品の展示会を2024年8月に開催することに決めた。

展示会に向けて、I社のS氏は、2024年8月3日付けで中国の蘇州建元国際貿易有限公司(以下「蘇州建元社」という。)に、発注書に当たる「様品規格書」のデータを送付して、同月に行う展示会用の靴のサンプル製造を依頼した。蘇州建元社が印刷・保管していた様品規格書の写し(乙10)には、使用する材料やDHLの発送予定日等の文字が手書きで書き込まれている。I社は、様品規格書8枚のうち、商品番号197-06117(カラー ブラック、シャンパン、シルバー、グレープ、ブルー)等8種類の商品番号の商品について、23.5サイズを片足分(0.5足(双))ずつ製造し、中敷きには30mmの幅で、本件商標「COCUE」の文字をプリントするよう指示している。

蘇州建元社は、2024年8月24日及び同月26日付けで、上記各サンプルをI社のU氏にDHLで発送した。

蘇州建元社がI社宛てに発行したインボイスの写し(乙11)は、8月24日に7種類の商品番号の商品、同月26日に1種類の商品番号の商品が、「COCUE」ブランドの商品サンプルとして発送されたことが分かる。

DHLの運送状2回分の写し(乙12)及び蘇州建元社が発送の際に同封した出荷案内表2回分の写し(乙13)は、運送状の番号が出荷案内表には記載されるとともに、発送されたサンプルの写真が添付されている。

なお、通常の取引においては、商品番号は様品規格書で照合するため、出荷案内表には記載されていない。

ウ I社による8月の展示会

I社は、2024年8月28日から同月30日及び9月2日から同月3日までの期間に、東京都港区所在のワールド北青山ビル内の展示会場にて、2025年春夏(SS)シーズン商品の展示会を開催した。

当該展示会の案内状の写し(乙14)、I社の各担当者が顧客に案内状を送付した際のメールの写しの一部(乙15)及びI社が作成した展示会のアポイント表の写し(乙16)によれば、当該展示会には、本件商標権者である株式会社ワールドの内部及び外部から多くの来場予約が入っていたことが分かる。

I社のS氏が2024年8月28日に当該展示会場内を撮影した写真(乙17)は、会場全体写真と、手前のディスプレイテーブル2種、奥の陳列棚2種をそれぞれ単独で大きく撮影した5枚の写真からなり、本件商標を使用した靴のサンプルがディスプレイテーブルと陳列棚に展示されていたこと、本件商標のPOPが右側の陳列棚上部に展示されていたことが分かる。

また、I社のS氏が同日付けで靴のサンプルのみを大きく撮影した写真(乙18)では、本件商標が靴の中敷きと商品タグに使用されていたことが明確である。

I社が来場者に配布したブランド紹介資料の写し(乙19)では、本件商標のブランドコンセプト、商品種類、参考上代等の情報を記載し、過去の店舗写真をイメージとして載せることで、本件ブランドの訴求力をアピールした。

エ I社による商談

I社は、展示会に来場できなかった取引先のーである株式会社フェリシモ(以下「フェリシモ社」という。)に対して、2024年10月11日の17時からフェリシモ社本社内で商談を行った。

I社の参加者は、同社営業企画部の3名、フェリシモ社の参加者は同社ファッション事業部の2名であり、I社は、アパレル・雑貨ブランド「COCUE」に関する商談資料を配布し、ブランドコンセプト、ターゲット層、販売方法、価格帯、生産に対しての原価率等についてプレゼンテーションを行った。また、8月の展示会で陳列した、靴の中敷きに本件商標が使用されているサンプルを持参し、実際の商品について確認を得た。

当該商談の事実を立証するために、上記商談に参加したフェリシモ社のS氏が作成し、署名押印した陳述書(乙20)を提出した。

(3)結論

以上のとおり、本件審判請求に係る指定商品である「履物」について、本件商標を、要証期間に使用されている事実が明らかにされたことから、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない旨の審決を求める。

第4 当審の判断

1 被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)I社は、2024年(令和6年)8月3日付けで、中国の蘇州建元社に対して、同年8月に行う展示会用の靴のサンプル製造を依頼し、発注書に当たる「様品規格書」(乙10)の1葉目には、右上枠内(SAMPLE NOの欧文字が表示されている欄。以下、便宜「右上枠内」という。)に「197-06117」の文字及び用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、2葉目には、右上枠内に「25ss-JY-702」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、3葉目には、右上枠内に「25ss-JY-703」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、4葉目には、右上枠内に「25ss-JY-704」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、5葉目には、右上枠内に「25ss-JY-705」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、6葉目には、右上枠内に「25ss-JY-706」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、7葉目には、右上枠内に「25ss-JY-707」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されており、さらに、8葉目には、右上枠内に「25ss-JY-708」の文字並びに用紙下部の靴の画像には画像の欄外に本件商標を配し、靴の画像の中敷き部分に向けて矢印が表されていることが認められる。

(2)蘇州建元社は、2024年8月24日付け及び同月26日付けで、I社のU氏に対して、上記様品規格書で製造を依頼された靴類のサンプル(以下「本件商標使用商品」という。)を、I社のU氏に対して、送付したことがうかがえる(乙11~乙13)。

(3)I社は、同社の担当者から、2024年8月2日以降、同社の顧客に対して、同月28日から同年9月3日までの期間に、東京都港区所在のワールド北青山ビル内の展示会場にて同社が開催した、2025年春夏(SS)シーズン商品の展示会(乙14)(以下「I社展示会」という。)への来場を依頼する電子メールを送信し(乙15)、来場予約を受け付けた(乙16)。

(4)I社展示会の会場を撮影した画像(乙17)には、棚やテーブル上に、靴やかばん類が配置されているほか、本件商標を表示したPOP広告物も展示されている。

展示されている靴のサンプルの中敷き及び商品タグには、「COCUE」の欧文字からなる商標(以下「使用商標」という)が表示されている(乙18)。

(5)I社は、2024年(令和6年)10月11日、その取引先の一であるフェリシモ社との間で商談を行った。

フェリシモ社の担当者は、I社の担当者から、商談資料に基づきブランドコンセプト、ターゲット層、販売方法、価格帯等の説明を受け、靴の中敷き部分に使用商標が表示された本件商標使用商品が示されたことを、書面にて陳述している(乙20)。

(6)I社は、パートナーズ社が100%資本金を出資する子会社であり(乙5)、当該パートナーズ社は、本件商標権者が議決権の所有割合を100%保有する子会社であり(乙4)、I社及びパートナーズ社ともに本件商標権者の関連会社である(乙2~乙5)。

2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商標について

本件商標は、上記第1のとおり、「COCUE」の欧文字からなるところ、上記1で認定した本件商標使用商品の中敷き部分及び外付けタグに記載されている使用商標とは、「COCUE」の欧文字及びこれより生じる「コキュ」の称呼を共通にする社会通念上同一の商標と判断するのが相当である。

(2)使用商品について

使用商品は、上記1のとおり、「靴」であり、本件審判の取消請求に係る指定商品中、「履物」の範ちゅうに属する商品である。

(3)使用時期について

被請求人は、上記1(3)のとおり、要証期間内である2024年(令和6年)8月28日から同年9月3日に、東京都内の展示会場において、使用商品に使用商標を付して陳列棚に陳列し、もって譲渡のために展示したといえる。

(4)使用者について

I社は、本件商標権者である株式会社ワールドの100%子会社であるパートナーズ社の100%子会社であるから、本件商標の使用について、商標権者の黙示の許諾のある通常使用権者であるといえる。

(5)小括

以上によれば、通常使用権者と認められるI社が、本件要証期間内に、本件商標と同一と認められる使用商標を付した使用商品を譲渡のために展示したと認めることができる。

この行為は商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡のために展示する行為」に該当する。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。

したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。