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Trademark Appeal Case

サーマルリサイクルボイラの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025004186
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年7月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年10月10日付け:拒絶理由通知書

令和6年11月27日 :意見書の提出

令和6年12月20日付け:拒絶査定

令和7年 3月17日 :審判請求書の提出

令和7年 8月13日付け:証拠調べ通知

2 本願商標

本願商標は、「サーマルリサイクルボイラ」の文字を標準文字で表してなり、第11類「ボイラー(動力機械部品・機関用のものを除く。)」、第37類「ボイラーの修理又は保守,ボイラーの清浄及び修理」及び第40類「ボイラーの製造,ボイラーの貸与」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「サーマルリサイクルボイラ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「サーマルリサイクル」の文字は、「廃棄物を焼却炉で燃やす際、発生する熱を発電や温水などに再利用すること」等の意味として理解され、「ボイラ」の文字は、「燃料を燃焼させ、その熱エネルギーによって水などを密閉器内で加熱し、高温・高圧の蒸気を得る装置。」等の意味を有する「ボイラー」に通ずる語として理解されるものである。そして、「サーマルリサイクル」は、「廃プラスチックを焼却し、発生した熱を「発電」や「熱源」として利用する」方法として認知されているところ、本願指定商品及び指定役務に関連する業界において、「廃材(RPF等)を燃料として使用可能なボイラー」が、「サーマルリサイクルボイラ」に通ずる「サーマルリサイクルボイラー」と称されて使用されている実情がある。これらを踏まえると、本願商標は商標全体として、「廃材(RPF等)を含む廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するためのボイラー」ほどの意味合いを認識させるものであり、これをその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「廃材(RPF等)を含む廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するためのボイラー」であること、又はその役務が「廃材(RPF等)を含む廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するためのボイラーに関連する役務」であることを理解するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質や役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。また、本願商標をその指定商品及び指定役務中、上記以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審における証拠調べ及びそれに対する請求人の回答

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲4に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、上記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

請求人は、当該証拠調べに対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。

また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品又は指定役務の品質又は質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品又は役務の品質又は質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。

イ 本願商標は、「サーマルリサイクルボイラ」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1によれば、その構成中「サーマルリサイクル」の文字は、「廃棄物を焼却炉で燃やす際、発生する熱を発電や温水などに再利用すること」を意味する語として、「ボイラ(ー)」の文字は、「密閉した鋼製容器内で水を加熱し高温・高圧の蒸気を発生させる装置」を意味する語として、それぞれ、辞書に載録されているものである。

また、別掲2によれば、実際に、「サーマルリサイクル」の文字が、上記の意味合いで広く使用されている実情がある。

さらに、別掲3及び別掲4によれば、サーマルリサイクルを行うにあたっての工程においてボイラーが使用されており、実際に、サーマルリサイクルに用いられるボイラーに、「サーマルリサイクルボイラ(ー)」の文字が使用されている実情がある。

そうすると、本願商標の各構成文字の意味と、上記の各実情に照らせば、本願商標は、全体として「廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するためのボイラー」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるから、本願商標をその指定商品及び指定役務中、上記のボイラー及びこれに関する役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品又は役務が、「廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するためのボイラー」又は同ボイラーに関する役務であるという、商品の品質又は役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるものであって、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他商品・役務識別力を欠くものというべきである。

なお、上記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。

以上を踏まえると、本願商標は、上記指定商品及び指定役務との関係において、その商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。

また、本願商標を、その指定商品及び指定役務中、上記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「廃プラスチックを焼却し、発生した熱を「発電」や「熱源」として利用する方法について、本願指定商品及び指定役務に関連する業界においては、少なくとも令和3年以降は、「サーマルリサイクル」ではなく「サーマルリカバリー」の語を使用することが一般的になっているから、「サーマルリサイクル」の語は一般的に使用されていない旨を主張する。

しかしながら、別掲2で示した、「サーマルリサイクル」の文字が、「廃棄物を焼却炉で燃やす際、発生する熱を発電や温水などに再利用すること」の意味合いで使用されている例は、いずれも、令和3年(2021年)以降に公開された記事又はウェブサイトにおける記載である。加えて、別掲4(1)に示すとおり、令和5年(2023年)7月に政府が閣議決定したGX推進戦略において、「サーマルリサイクルボイラーへの設備投資」が掲げられていることからも、審決時においても、「サーマルリサイクル」の文字が上記の意味合いで一般的に使用されていることがうかがえる。

イ 請求人は、自身が本願商標を採択した意図を述べるとともに、本願商標は、請求人に係る商品独自の特性を暗示的に表現している造語であり、自他商品・役務識別標識として十分機能しているものである旨主張する。

しかしながら、仮に、請求人の商標の採択の意図が上記のとおりであるとしても、本願商標の各構成文字の意味と、別掲2ないし別掲4で示した各実情に照らせば、本願商標は、全体として「廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するためのボイラー」ほどの意味合いを容易に認識させる、本願指定商品及び指定役務との関係において、取引者、需要者に、その商品の品質又は役務の質を表したものと認識させるものであることは、上記(1)イのとおりである。

ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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