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Trademark Appeal Case

高専キャリアの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025006477
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和6年9月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和7年 3月 3日付け:拒絶理由通知書

令和7年 3月31日 :意見書の提出

令和7年 4月 7日付け:拒絶査定

令和7年 4月26日 :審判請求書の提出

令和7年 8月28日付け :審尋

令和7年 9月26日受付 :回答書

第2 本願商標

本願商標は、「高専キャリア」の文字を標準文字で表してなり、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,教育フォーラムの手配及び運営,研修会の手配及び管理,シンポジウムの手配及び運営,討論会の手配及び運営,技芸・スポーツ又は知識の教授,ビジネスの知識及びノウハウの伝授(訓練),コーチング(訓練),職業訓練,電子出版物の提供,書籍の制作,インターネットを利用して行う映像の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定は、「本願商標は、「高専キャリア」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「高専」の文字は、専門職業教育と普通教育とを施す学校を意味する「高等専門学校」の略称を表す語であり、「キャリア」の文字は、「経歴」の意味を有する語であって、仕事の経歴・就職を直接的に指す場合のみならず、働くことに関わる「継続的なプロセス(過程)」や「生き方」をも包含する概念を表す語として広く親しまれている実情がある。

そして、本願の指定役務の業界においては、「キャリア」の文字を使用して、就職や進学等、将来の経歴に関わるあらゆる支援が行われている実情があり、また、高等専門学校においても、その学生を対象としたキャリアに関するセミナーやプログラム等が行われている実情が見受けられる。

そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「高等専門学校生を対象とした将来の経歴(キャリア)に関する役務」であることを理解し、認識するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審における審尋

当審において、審判長は、請求人に対し、令和7年8月28日付けで、別掲1及び別掲2のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は、上記第4の審尋に対し、令和7年9月26日受付けの回答書(以下「回答書」という。)を提出し、回答書において、要旨、以下、1及び2のとおりの意見を述べた。

1 本願商標と同一の文字からなる「高専キャリア」の語が一般に使用されていることがうかがえる事例として審尋で挙げている事例は、高専(高等専門学校)のわずか3校によるものである。

2 「○○キャリア」の構成からなる商標の登録例と同様に、本願商標も登録を認められるべきである。また、過去の登録例は、何らかの指針になるべきであり、商標出願の審理においても、出願人・請求人側が具体的な過去の登録例を提示する場合には、それを考慮すべきである。

第6 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号の趣旨について

商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。

そして、同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号同22年1月27日判決、平成24年(行ケ)第10323号同25年1月10日判決、平成25年(行ケ)第10142号同年11月14日判決)。

2 本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)本願商標を構成する「高専キャリア」の文字について

本願商標は、「高専キャリア」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「高専」の文字は、専門職業教育と普通教育とを施す学校を意味する「高等専門学校」の略称を表す語であり、「キャリア」の文字は、「経歴」(いずれも「広辞苑 第七版 岩波書店」)の意味を有する語であって、いずれも広く親しまれた語であることから、両語を組み合わせてなると容易に理解できるものであり、全体として、「高等専門学校生の経歴(キャリア)」ほどの意味合いが認識されるものである。

そして、原審の拒絶理由通知書の参考情報1及び参考情報2によれば、構成中の「キャリア」の文字は、単に、仕事の経歴・就職を直接的に指す場合のみならず、働くことに関わる「継続的なプロセス(過程)」や「生き方」をも包含する概念を表す語として広く親しまれている実情が認められる。

また、別掲1のとおり、本願の指定役務に関連する分野において、大学や高等学校のキャリア教育に関して、「○○キャリア」の語が使用されている事実も認められる。

さらに、原審説示及び別掲2のとおり、本願の指定役務に関連する分野において、就職や進学等、将来の経歴に関わるあらゆる支援が行われている実情があり、それらについて「キャリア」の語が使用されている上に、本願商標の構成中の「高専」の文字が意味する「高等専門学校」においても、その学生を対象としたキャリアに関するセミナーやプログラム等が行われている実情が見受けられる。

加えて、原審説示及び別掲2のとおり、本願の指定役務に関連する分野において、高等専門学校における事業や取組を表すものとして、本願商標と同一の文字からなる「高専キャリア」の語が一般に使用されている実情も認められる。

(2)判断

上記(1)のとおりの本願商標の構成文字、及び本願の指定役務の分野における本願商標の構成文字の使用事実や実情からすると、「高専キャリア」の文字(語)は、「高等専門学校生の経歴(キャリア)」を認識させ、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者に、例えば、「高等専門学校生を対象とした将来の経歴に関する役務」のように、「高等専門学校生の経歴(キャリア)に関する役務」を表したものと認識させるにとどまるというのが相当である。

そうすると、このように認識され、かつ、一般に使用されている「高専キャリア」の文字は、本願の指定役務との関係では、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用されるものであって、自他役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ないものというべきである。

したがって、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものとして、商標法第3条第1項第6号に該当するというのが相当である。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、本願商標と同一の文字からなる「高専キャリア」の語が一般に使用されていることがうかがえる事例として審尋で挙げている事例は、高専(高等専門学校)のわずか3校によるものであり、「高専キャリア」の語が一般に使用されている実情があると認定することは許されない旨主張する。

しかしながら、上記2(1)のとおりの本願商標の構成文字の語義、及び本願の指定役務の分野における本願商標の構成文字の使用に係る実情からすると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものといわざるを得ず、上記2(2)のとおりの判断とするのが相当である。

(2)請求人は、「○○キャリア」の構成からなる商標の登録例を挙げ、それらと同様に、本願商標も登録を認められるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様(他の文字との組み合わせから生じる意味合い等を含む。)が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件判断が左右されるものではない。

(3)したがって、請求人の上記(1)及び(2)の主張は、いずれも採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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