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Trademark Appeal Case

自律神経矯正師の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025006609
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年4月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 9月25日付け:拒絶理由通知書

令和6年10月31日 :意見書、手続補正書の提出

令和7年 1月30日付け:拒絶査定

令和7年 4月30日 :審判請求書の提出

令和7年 9月 1日付け:証拠調べ通知

2 本願商標

本願商標は、「自律神経矯正師」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願され、その後、指定役務については、前記1の手続補正書により、第41類「録音又は録画済み記録媒体の複製,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,写真の撮影,通訳,翻訳」及び第44類「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,整体,はり治療,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「自律神経矯正師」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「自律神経」の文字は「意志とは無関係に、血管・内臓・汗腺などを支配し、生体の機能を自動的に調節する神経。」の意味を表す語であり、「矯正」の文字は、「欠点をなおし、正しくすること。」の意味を表す語であり、「師」の文字は、「専門の技術を職業とする者。」の意味を有する語である。そして、本願指定役務に関連する業界において、乱れた自律神経を整えることにより、体調不良を改善したり、健康な状態に近づけることを目的とする施術が「自律神経矯正」と称して提供されている実情があり、また、自律神経を整えることを目的とした施術等を教授するセミナー等が提供されている。そして、一般的に、知識の教授やセミナー等の開催に際して、関連する書籍や講義映像等の制作や提供が行われており、提供方法においても実際の現物の提供だけでなく、インターネットを通じてこれらの提供が行われている実情があることは経験則上明らかである。そうすると、本願商標は商標全体として、「自律神経を整えることを専門とする者」」ほどの意味合いを認識させるものであり、これをその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「自律神経を整えることを専門とする者による役務」や、「自律神経を整えることを専門とする者に関する役務」ほどの意味合いを理解、認識するにすぎず、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。また、本願商標をその指定役務中、前記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審における証拠調べ及びそれに対する請求人の回答

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1及び別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、上記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

請求人は、当該証拠調べに対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。

5 当審の判断

(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、「自律神経矯正師」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1によれば、その構成中「自律神経」の文字は、「意志とは無関係に、血管・内臓・汗腺などを支配し、生体の機能を自動的に調節する神経」を意味する語として、「矯正」の文字は、「欠点をなおし、正しくすること」を意味する語として、「師」の文字は、「専門の技術を職業とする者」の意味を有する語として、それぞれ、辞書(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)に載録されているものである。

また、別掲2によれば、本願指定役務に関する業界において、「自律神経を整えること」ほどの意味合いで、「自律神経矯正」、「自律神経を矯正」及び「自律神経の矯正」の文字が使用されている実情がある。

そうすると、本願商標の各構成文字の意味と、前記の実情に照らせば、本願商標は、全体として「自律神経を整えることの専門家」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるから、本願商標をその指定役務中、前記の専門家によって提供される役務及び前記の専門家に関する役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その役務が、自律神経を整えることの専門家によって提供される又は自律神経を整えることの専門家に関する役務であるという、役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるものであって、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務識別力を欠くものというべきである。

なお、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。

以上を踏まえると、本願商標は、前記指定役務との関係において、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。

また、本願商標を、その指定役務中、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標の構成中、「自律神経矯正」の文字が、「組み合わせに慣用性の薄い「自律神経」の語と「矯正」の語とを直接連結したもの」で、「「自律神経調整」と表現すれば慣用性があり分かりやすいところを、わざわざ「自律神経矯正」と非慣用的な文字列を使用して変化を付けているところに、本願商標の特異性が」あり、「このような特異性のある文字列にさらに「師」の文字を連結した本願商標にも、同様に特異性があ」ることから、本願商標は、「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」とは言えない旨を主張する。

しかしながら、別掲1及び別掲2で示すとおり、「自律神経」及び「矯正」の文字は、それぞれ、「意志とは無関係に、血管・内臓・汗腺などを支配し、生体の機能を自動的に調節する神経」及び「欠点をなおし、正しくすること」の意味を有する語として辞書に載録されているものであり、加えて、本願指定役務に関する業界において、「自律神経を整えること」ほどの意味合いで、「自律神経矯正」、「自律神経を矯正」及び「自律神経の矯正」の文字が使用されている実情があることからすれば、本願商標の構成中「自律神経矯正」の文字からは、「自律神経を整えること」ほどの意味が容易に想起されるものであって、これに、「専門の技術を職業とする者」の意味を有する「師」の文字を結合してなる本願商標は、全体として「自律神経を整えることの専門家」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるから、本願指定役務との関係において、取引者、需要者に、その役務の質を表したものと認識させるものであることは、前記(1)のとおりである。

イ 請求人は、「自律神経矯正師」と表記した使用例は、請求人による使用以外には存在しない旨を主張する。

しかしながら、出願に係る商標が、その指定商品又は指定役務について商品又は役務の品質又は質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品又は役務との関係で、商品又は役務を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者によって当該商品又は役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該商品又は役務に使用されていることを要しないと解される(最高判昭和61年1月23日(昭和60年(行ツ)第68号)、知財高判令和4年5月19日(令和3年(行ケ)第10100号)参照)。

そして、本願商標が、本件審決の時点において、その指定役務との関係で、その役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務の需要者によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、前記(1)で述べたとおりである。

ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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