結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30448号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第562160号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和34年11月25日に登録出願され、「アンサンブル」の文字を横書きしてなり、第15類「は璃並びに他類に属しないは璃製品及び琺瑯質品」を指定商品として、昭和35年12月15日に設定登録されたものである。
本件商標は、その指定商品中「ガラス製せん,ガラス製ふた,ガラス製食器類及びこれらに類似する商品」について登録を取り消すとの審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第9号証を提出している。
(1)本件商標は、その指定商品中「ガラス製せん,ガラス製ふた,ガラス製食器類及びこれらに類似する商品」について、継続して3年以上、日本国内において、被請求人によって使用されていない。また、本商標権には、専用使用権又は通常使用権のいずれも登録されていない。さらに、被請求人以外の者が、前記指定商品のいずれかについて通常使用権の許諾を受けて、本件商標を使用した事実も認められない。
(2)被請求人は、本件取消審判請求に係る指定商品について本件商標を1996年から現在まで継続して使用していると主張し、売上伝票及び商品カタログを提出している。
しかしながら、提出された売上伝票等をもってしては、商標法上の使用事実が証明されたとはいえない。
まず、乙第1号証「登録商標の使用説明書」に売上伝票と商品カタログを添付しているが、売上伝票には、商品の品番の「GC10−T11」「GC10−H14」「GC10−H15」とともに、商品名称として「タンブラーセット カルダン」「レイチャセット カルダン」「ヒトクチビールセット」なる表示が記載されているのみで、本件商標「アンサンブル」の表示は一切見当たらない。一方、「SASAKI Gift’96」と題された商品カタログ中には、その索引頁と商品紹介頁に「アンサンブル」の表示が認められるが、これらの各表示は、いずれも商品たるガラス製コップに施された柄模様、つまり「調和の取れた一揃柄のコップ」(甲第3号証及び甲第4号証参照)のイメージを表示するためにサブタイトル的に用いられているにすぎず、取引市場において商標として認識される使用態様ではない。すなわち、商標法が予定している商標の「使用」は、自他商品識別標識として機能する態様でなければならないところ(平成3年1月28日浦和地民四判、昭和62年(ワ)226号ほか、甲第5号証参照)、前記のような使用態様をもってしては、これが商品の出所等を表示するというよりも単に柄模様の種類・イメージを記したとしか認識できないのである。
むしろ、被請求人が取引書類として発行している前記売上伝票によれば、前記ガラス製コップは、被請求人自らによって「カルダンのタンブラーセット」「カルダンの冷茶セット」「カルダンの一口ビールセット」と称されて取引に供されていることが窺える。
ところで、前記ガラス製コップは、著名なデザイナーたるピエール・カルダンによるデザイン柄を施したものであることは明らかである。そして、前記商品カタログの索引頁には、アンサンブルとともにパッチワーク、ハイビスカス、ローズ、サンベール、ファンタジー、クルバ、ロンブス、フリュー、フェティーダの各表示が併記されている。しかしながら、これらの表示のうち被請求人が登録商標として所有又は商標登録出願中であるのは、本件商標を除けば「ファンタジー」だけである。残る8つの表示については商標登録出願すらされていないのみならず、「ハイビスカス」、「ローズ」は他人の所有する登録商標である(甲第6号証及び同第7号証)。仮に、被請求人がアンサンブルをはじめとする商品カタログ中の各表示を商標として機能させるべく使用しているならば、これらの表示行為は商標権侵害行為に該当することになってしまう。よって、この観点から見ても、被請求人では、当初より商品カタログ中におけるアンサンブル等の表示を商標として機能させるべく使用していないことが推察できるのである。
したがって、乙第1号証によっては、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標の使用事実が立証されているとはいえない。
乙第2号証、同第3号証として提出された「登録商標の使用説明書」においてもガラス製コップについて本件商標を現在使用中であるとして売上伝票と商品カタログが添付されているが、前記乙第1号証と同様な理由から、本件審判請求に係る指定商品について本件商標の使用事実が立証されているとはいえないのである。
なお、請求人では、本件審判請求に先立って、被請求人製品をインターネット上で販売している店舗に対して、本件商標の使用を確認するべく電子メールによる問い合わせをしたところ、該店舗から「アンサンブルなる商品はない」旨の回答を得ている(甲第8号証及び甲第9号証)。被請求人製品を専門に取り扱い、被請求人製品についての知識が豊富であるはずの販売店のみならず、当該販売店から問い合わせを受けた被請求人の担当者すら「アンサンブル」なる商品の存在を知らなかったということは、まさに、「アンサンブル」が自他商品識別標識たる商標として認識されていなかったことを露呈するものである。
以上述べたとおり、被請求人が本件商標の使用事実を示す証拠として提出した乙第1号証ないし乙第3号証をもってしては、使用事実が証明されたとはいえない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「ガラス製せん,ガラス製ふた,ガラス製食器類及びこれらに類似する商品」について登録を取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、売上伝票及び商品カタログからも分かるとおり、1996年から現在まで本件商標を継続して使用している、とその理由を述べ、証拠方法として乙第1ないし第4号証を提出している。
(1)被請求人の提出に係る「登録商標の使用説明書」(乙第1ないし第4号証)によると、被請求人は、平成8年から同12年用の商品カタログ「タンブラーセット」、「冷茶セット」及び「一口ビールセット」と称する商品(以下「使用商品」という。)について本件商標と社会通念上同一といえる商標(以下「使用商標」という。)を掲載し、該商品を百貨店等に販売した事実が認められる。
そして、商品カタロゲに表示されている使用商標は、取引の実情を徴すれば、商品の識別標識としての機能を果たす態様で表示されているものと認められ、また、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品に含まれている商品と解されるものである。
(2)請求人は、商品カタログに表示されている「アンサンブル」の表示は、イメージを表示するためにサブタイトル的に使用されているにすぎず、また、売上伝票には、商品の品番の「GC10−T11」「GC10−H14」「GC10−H15」とともに、商品名称として「タンブラーセット カルダン」「レイチャセット カルダン」「ヒトクチビールセット」なる表示が記載されているのみで、本件商標「アンサンブル」の表示は一切見当たらないものであること等も併せ考えてみれば、取引市場において商標として認識される使用態様ではない旨主張する。
確かに、例えば商品カタログ「SASAKIGift’97」の「G77」と書かれた頁には、「ピエール・カルダン」の文字が左肩に表示され、その下にはこれに比してやや小さめの「アンサンブル」の文字が表示されている。しかしながら、商品カタログ等において商標を二つ以上掲載することは取引上通常行われることであり、上記「アンサンブル」の文字は、「ピエール・カルダン」の文字とは別個に記載され、それ自体が独立して自他商品の識別標識として機能を果たすものというべきであって、いわば「ピエール・カルダン」シリーズ商品の個別商品についての商標として認識されるというのが自然である。
また、同カタログの索引の欄に掲載されている「アンサンブル」の文字についても、その構成からみて明らかに自他商品の識別力を有すると認められるものである。
したがって、請求人のこの主張は採用することができない。
(3)また、請求人は、「アンサンブル」とともに表示されている「ハイビスカス」、「ローズ」等の文字には他人の登録商標が含まれており、「アンサンブル」をはじめとする表示を商標として機能させるべく使用しているとすれば商標権侵害行為に当たり、この観点からも、被請求人は「アンサンブル」などの表示を商標として使用していない旨主張するが、商標が商品、役務の識別標識である以上、商標と認識されるか否かの判断は、使用者の意図にかかわらず、実際の取引において取引者、需要者により如何に認識されるかによるべきことは当然であるから、請求人のこの主張も採用し得ない。
(4)以上のとおりであって、商標権者は、我が国において審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を請求に係る指定商品について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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