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Trademark Appeal Case

登録商標の使用同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30324号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第0437018号商標の登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第437018号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和27年6月4日に登録出願され、「MAGIC」の文字と「マヂック」の文字を併記してなり、第2類「染料、顔料、媒染料及び塗料」を指定商品として、昭和28年12月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。

(1) 本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用していないものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2) 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標は商標登録第1325609号「マジック」(乙第2号証、以下「本件連合商標」という。)の連合商標として登録されたものであり、本件連合商標は平成6年より継続的に現在に至るまで適法に使用しているものであって、商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく適法な使用であると述べ、かかる使用の事実を立証するため乙第8ないし第15号証を提出している。

しかしながら、かかる証拠に基づく被請求人の主張は以下の理由から、明らかに失当である。

(ア)乙第8ないし第15号証に見られる被請求人の使用商標は、後述のように、商標法第50条にいう社会通念上の同一の商標とはいえない。

(イ)商標法附則(平成8年法律第68号抄)第10条第2項の規定にいう改正前商標法第50条第2項の特別規定が認められるのは、平成8年改正法施行日以前の連合商標の使用に限られ、施行日以降の連合登録商標の使用によっては、取消を免れることはできない。

すなわち、特別規定が認められる連合商標の使用は、本件審判予告登録日の3年前である平成8年4月7日から、平成8年法改正施行日前である平成9年3月31日までの期間の使用に限られる。

しかしながら、被請求人が提出した乙第8ないし第15号証には、後述のように、かかる期間の連合商標の使用を示す証拠はない。

したがって、乙第8ないし第15号証は、商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく適法な使用であるとはいえず、連合登録商標の使用を示す証拠としての価値はない。

以下、被請求人の提出した乙第8ないし第15号証について検討する。

(ウ)乙第8号証

被請求人は、乙第8号証として「LIP MAGIC」の英文字及び「リップマジック」のカタカナ文字が表示された「商品およびパッケージ」の写真を提出し、「LIP」「リップ」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」「マジック」の文字にあると主張し、明らかに本件連合商標と同一性を有するものであると主張する。

しかしながら、被請求人の上記主張は、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であり、妥当ではない。

そもそも商標法第50条にいう登録商標の使用とは、(a)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(b)平仮名、片仮名及びローマの字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(c)外観において同視される図形からなる商標、(d)その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標、の使用をいうものであり、「LIP」「リップ」のように識別力の弱い文字を結合させ、商標全体の態様を著しく変更した形での商標の使用は、類似商標といえる場合はあっても、上記にいう社会通念上同一と認められる商標とはいえない。

すなわち、被請求人が使用している商標「LIP MAGIC」「リップマジック」は、本件連合商標と同一の文字からなる商標でもなく、同一の称呼及び観念を生ずる商標でもないから、社会通念上の同一性に欠ける使用であり、本件連合商標の使用といえるものではない。被請求人の使用商標は、「LIP」「リップ」の文字と組み合わされることによって、外観・称呼・観念すべてにおいて本件商標とは異なることとなり、本件連合商標そのものの独立性は完全に失われているものであると言える。

したがって、被請求人の使用商標「LIP MAGIC」「リップマジック」のように登録商標をその一部に含む商標であっても、他の部分と合体して登録商標そのものの独立性が失われているような場合においては、社会通念上登録商標の使用があったとはいえなから、登録商標の態様がそのまま含まれていても不使用取消の対象とすべきである。

仮に、被請求人が主張するように、識別力の弱い文字を結合させての使用が社会通念上同一と判断されるならば、「EYE」「アイ」等の指定商品との関係で識別力の弱い文字を結合させた、例えば「EYE MAGIC」「アイマジック」のような類似商標を「MAGIC」「マジック」の商標を1つ持っているだけで社会通念上同一の商標としていくらでも使用することができることとなり、妥当ではない。

さらに、被請求人は、「LIP」「リップ」の文字が付記的な部分にすぎないものであるということを主張するのみで、他に指定商品の属する分野において、これらの文字を付けることが社会通念上同一性を有するものと認識され通用していると認めるべき証拠が何ら示されていない。

したがって、「LIP」「リップ」のように識別力の弱い文字を結合させた商標は、類似商標といえる場合はあるかもしれないが、商標法第50条にいう社会通念上同一の商標といえるものではなく、「LIP MAGIC」「リップマジック」のような単に類似するにすぎない商標を使用していても、不使用による取消しを免れない。

以上のように、被請求人の上記主張は、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であり、妥当ではなく、乙第8号証における「LIP MAGIC」「リップマジック」のような社会通念上同一とはいえない形での使用をもってしては、本件連合商標の使用とはいえない。

また、被請求人は乙第8号証の写真について、平成11年6月11日に撮影したと説明するが、この日付は本件審判が予告登録された平成11年4月7日よりも後であり、これをもってしては本件連合商標が本件審判が予告登録された平成11年4月7日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所が明らかでない。

(エ)乙第9ないし第11号証

乙第9号証「化粧品製造製品届書」、乙第10号証「納品書」及び乙第11号証「納入証明書」には、「リップマジック」との記載があるが、上述したように、そもそも社会通念上同一とはいえない「リップマジック」の使用をもってして本件連合商標の使用であるということはできない。

また、乙第9ないし第11号証の各証拠に記載されている日付は、いずれも改正前商標法第50条第2項の特別規定が認められる期間を経過したものであり、かかる期間を経過した本件連合商標の使用によっては、取消を免れることはできない。

さらに、被請求人は、乙第9号証として「化粧品製造製品届書」を提出するが、単に「化粧品製造製品届書」をもってしては、本件連合商標の使用を何ら示すものではない。

次に、乙第10号証「納品書」及び乙第11号証「納入証明書」は、いずれも「株式会社ジュテーム」に対するものであるが、「株式会社ジュテーム」の代表取締役である「八木常治」は、被請求人が乙第4号証で提出した「株式会社ピカソ美化学研究所の登記簿謄本」から明らかなように、「株式会社ピカソ美化学研究所」の取締役でもあり、「株式会社ジュテーム」と「株式会社ピカソ美化学研究所」は実質的な関連会社といえるものである。

したがって、かかる関連会社による「証明書」は、客観性に欠けるものであり、本件連合商標の使用を示す証拠としては不十分である。

(オ)乙第12号証及び乙第13号証

被請求人は、乙第12号証として「MAGIC COLOR」の英文字及び「マジックカラー」のカタカナ文字が表示された「商品およびパッケージ」の写真及び乙第13号証として「パンフレット」を提出し、「COLOR」「カラー」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」「マジック」の文字にあると主張し、明らかに本件連合商標と同一性を有するものであると主張する。

しかしながら、被請求人のかかる主張は、(ii)で請求人が主張した理由と同様の理由により、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であるといえるから妥当ではなく、乙第12号証及び乙第13号証における「MAGIC COLOR」「マジックカラー」のような社会通念上同一とはいえない形での使用をもってしては、本件連合商標の使用とは言えない。

また、被請求人は乙第12号証の写真について、平成11年6月11日に撮影したと説明するが、この日付は本件審判が予告登録された平成11年4月7日よりも後であり、これをもってしては本件連合商標が本件審判が予告登録された平成11年4月7日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所が明らかでない。

さらに、乙第13号証の「パンフレット」は「’94秋メイクフェア」とあり、かかる日付は5年も前の日付であり、これをもってして本件連合商標が本件審判が予告登録された平成11年4月7日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。

(カ)乙第14号証及び乙第15号証

乙第14号証「化粧品製造製品届書」及び乙第15号証「納品書」には、「マジックカラー」との記載があるが、上述したように、そもそも「マジックカラー」をもってして本件連合商標の使用であるということはできないだけでなく、単に「化粧品製造製品届書」をもってしては、本件連合商標の使用を何ら示すものでもない。

乙第15号証「納品書」に記載されている日付は、「94.08.17」とあり、被請求人も答弁書の中で「1994年8月17日付の仕入台帳」と認めている。かかる日付は5年も前の日付であり、これをもって本件連合商標が本件審判が予告登録された平成11年4月7日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。

また、そもそも実際に使用しているのであれば、5年も前の仕入伝票を証拠として提出する必要は全くなく、3年以内の使用を示す証拠を積極的に示すべきである。

さらに、被請求人は乙第15号証「納品書」について、「株式会社ピカソ美化学研究所」より「株式会社ジュテーム」に販売した事実を示すものであると主張するが、上述のように両会社は実質的な関連会社といえるものであり、本件連合商標の使用を示す証拠としては客観性に欠けるものである。

以上述べた通り、被請求人が本件連合商標の使用の事実を立証するために提出した乙第8ないし第15号証に見られる商標の使用態様は、社会通念上同一の商標の使用と言えるものでないだけでなく、連合商標の特別規定が認められる期間の使用を示す証拠が何ら示されていないものであるから、かかる証拠に基づく被請求人の使用事実の主張は、明らかに失当であり、本件商標の取消を免れることはできないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第15号証を提出した。

本件商標は、その商標登録原簿謄本から明らかな通り、連合商標登録、すなわち、「マジック」の片仮名文字が左横書きされ、旧第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類(但し窯料を除く)を指定商品として登録された本件連合商標の連合商標として登録されていたものである。そして、本件連合商標は、平成6年より継続的に現在に至るまで適法に使用しているものであって、「平成12年3月31日までに請求された不使用取消し審判については、被請求人が連合商標の使用の特則によって使用の証明をしたときは取消しを免れる。」旨の商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく適法な使用である。

すなわち、本件商標の商標権者である「八木弦三郎」は、添付の登記簿謄本(乙第4号証)から明らかな通り、自ら代表取締役を務める「株式会社ピカソ美化学研究所」に対し、本件商標権のみならず本件連合商標の商標権について「通常使用権」を許諾しているものである。かかる事実を証明するため、株式会社ピカソ美化学研究所の証明書を乙第5号証として提出する。なお付言すれば、商標権者たる八木弦三郎は、上記株式会社ピカソ美化学研究所のみならず、例えば、乙第6号証の1・2からも明らかな如く、他の保有の商標権についても第三者に通常使用権を許諾しているものであり、かかる事実からも前記通常使用権許諾の事実を十分首肯しうるものである。そして、「通常使用権者」である「株式会社ピカソ美化学研究所」は、前記乙第4号証、及び原紙定款(乙第7号証)からも明らかな通り、「化粧品の製造販売等」を業とするもので、本件商標及び本件連合商標を現に適法に使用しているものである。

かかる事実を立証するため、乙第8ないし第15号証を提出する。

(ア)乙第8ないし第11号証

乙第8号証は「商品およびパッケージ」の写真(平成11年6月11日撮影)を示すもので、「リップマジック」の片仮名文字が明確に表示され、「リップ」の文字は付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「マジック」の文字にあり、明らかに本件連合商標と同一性を有するものであって、しかも、使用商品は「口唇化粧品」であってみれば、本件連合商標の適法な使用事実を明確に示すものである。

(イ)乙第9号証

本件使用商品の製造事実を示す「化粧品製造製品届書(内容の変更により再届)」

(ウ)乙第10号証の1〜8

通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテームに販売した事実を示す1998年2月3〜同年9月7日付の納品書控(直送分及び引取り分)

(エ)乙第11号証

平成6年より通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテームに販売した事実を示す納入証明書

かかる乙第9号ないし第11号証からも明らかな如く、遅くとも平成6年より本件連合商標の継続的な使用事実を明確に示すものである。

(オ)乙第12ないし第15号証

乙第12号証は「商品およびパッケージ」の写真(平成11年6月11日撮影)、乙第13号証は「パンフレット」を示すもので、乙第12号証は「マジックカラー」の片仮名文字が明確に表示され、「カラー」文字が付記的な部分に過ぎないものであるから自他商品の識別機能は「マジック」の文字にあり、明らかに本件連合商標と同一性を有するのみならず、使用商品は「アイシャドウ」であってみれば、本件連合商標の適法な使用事実を明確に示すものである。同様に、乙第13号証に係る「パンフレット」には「マジックカラー」の文字が表示されているものであって、本件連合商標の使用事実を明確に示すものである。

(カ)乙第14号証

本件使用商品の適法な製造事実を示す「化粧品製造製品届書(内容の変更により再届)」

(キ)乙第15号証

通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテームに販売した事実を示す1994年8月17日付の仕入台帳

かかる乙第14号証及び乙第15号証並びに乙第11号証に示す株式会社ジュテームの納入証明書からも明らかな如く、平成6年より本件連合商標の継続的な使用事実を明確に示すものである。

なお、乙第9号証外に係る「株式会社ピカソ美化学研究所」の住所が「兵庫県西宮市西宮浜3丁目9番1号」になっているが、これは「株式会社ピカソ美化学研究所」の支店住所を表示したものである。

よって、上記乙第4ないし第15号証から明らかな通り、本件商標権のみならず、連合商標の商標権者「八木弦三郎」より「株式会社ピカソ美化学研究所」に対して通常使用権が適法に許諾され、かかる通常使用権者により本件連合商標が平成6年より継続的に現在も有効に使用されているものであって、商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく使用であること明らかである。

したがって、本件登録商標は不使用である旨の請求人の主張は明らかに失当である。

以上述べた通り、請求人の主張は明らかに失当であり、本件商標が取り消されるべき理由は全くないものである。

4 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取り消し審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明確にしない限り、その登録の取り消しを免れない。

本件審判において、被請求人は、本件商標にはこれと相互に連合する本件連合商標が登録されていたものであり、この本件連合商標を平成6年より継続的に現在に至るまで適法に使用している旨、答弁している。

そこで、この点(連合商標の使用に関する特則の廃止に伴う経過措置)について判断するに、平成12年3月31日までに請求された不使用取消審判については、改正前の商標法第50条第2項の規定は、施行後もなお効力を有する(改正附則第10条第2項)。すなわち、改正商標法の施行後も、平成12年3月31日までに請求された不使用取消審判においては、被請求人が連合商標の使用の特則によって使用の証明をしたときはその取消しを免れることとなる。

しかし、この場合においては、連合商標に係る商標権は施行の際に通常の商標権となったものとみなされる(改正附則4条)ことから、連合商標の使用の特則は、施行前に連合商標を使用した場合に限られ、施行後に使用されたものについては認められない。

これを本件審判についてみるに、特別規定が認められる本件連合商標の使用の期間は、本件審判予告登録日(平成11年4月7日)の3年前である平成8年4月7日から、平成8年法改正施行日前である平成9年3月31日までの期間の使用に限られることとなる。

しかし、被請求人の提出に係る乙第8号ないし第15号証は、商品写真、化粧品製造製品届書(写し)、納品書(写し)および商品を表示したパンフレット等であるが、これらの証左の中で本件連合商標が使用されている時期は、いずれも上記の期間外(上記期間の前又は後)についてのものばかりである。

そうすると、これらの証拠によっては、本件商標がその指定商品について使用されていたものとは認められない。

その他、本件商標がその指定商品について使用されていることを示す証拠はない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により指定商品について使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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