結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300274 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第3302255号商標(以下「本件商標」という。)は、「STRONG」の欧文字と「ストロング」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなり、「菓子及びパン」を含む第30類の商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年10月6日に登録出願、同9年5月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年4月8日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同4年4月8日から同7年4月7日までの期間である(以下「要証期間」という。)。
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「菓子及びパン」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。
本件商標は、その指定商品中、第30類「菓子及びパン」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
(1)商標使用許諾契約書(乙1)について
ア 乙1の商標使用許諾契約書の別紙に記載されている許諾商標の登録番号は第3302555号及び第4616038号であり、本件商標である登録第3302255号は使用許諾の対象となっていない。
したがって、カンロ株式会社(以下「カンロ社」という場合がある。)は本件商標の通常使用権者ではないから、被請求人の主張は成立し得ない。
イ 被請求人は乙1の商標使用許諾契約が更新されていることを示す証拠を提出していないので、当該商標使用許諾契約が有効に存続しているとの主張にも疑義がある。
ウ 本件商標は「STRONG」と「ストロング」の文字を上下2段に横書きしてなるものである。
しかしながら、当該契約書の第1条第1項では、商標権者が許諾する商標の使用態様は「カンロ ザ・ストロング(KANRO THE STRONG)」である旨が規定されている(以下「使用標章」という。)。
したがって、商標権者は、当該使用許諾契約において、カンロ社に対し本件商標「STRONG/ストロング」(「/」は二段書きであることを表す。以下同じ。)を単独で使用する権利を認めていない。この点は、カンロ社が「STRONG」を商標として使用しているとする被請求人の主張と矛盾するものである。
また、本件商標と使用標章を比較すると、その外観は「カンロ ザ・(KANRO THE)」の文字の有無によって、明らかに相違する。
観念においては、本件商標からは「強い、濃い」のような意味合いが認識される。これに対し、使用標章からは、「カンロ(KANRO)」の文字が「カンロ社」を、「ザ・ストロング(THE STRONG)」の文字からは「THE」と「STRONG」の語が結合していることから「強者」のような熟語的な意味合いが認識されるので、全体として「カンロ社の強者」「強者であるカンロ社」のような観念が生じるものである(出典:ウェブサイト「weblio」の英和辞書、甲3)。よって、両者は観念上明確に異なるものである。
称呼においても、本件商標からは「ストロング」の称呼が、使用標章からは「カンロザストロング」の称呼が生じ、明らかに相違するものである。
以上のとおり、両者は外観、称呼、観念のいずれも明らかに相違するので、社会通念上同一の商標とはいえないものである。
エ 本来、商標権者は、本件商標と社会通念上同ーとはいえない使用標章をカンロ社に使用許諾する商標上の権利を有しているとはいえず、当該商標使用許諾契約は、本件商標の通常使用権を与えるというより、実質的には、カンロ社が「カンロ ザ・ストロング(KANRO THE STRONG)」を使用しても本件商標の商標権に基づく請求権を行使しないという程度の意味合いを有するにすぎない。
以上のとおり、カンロ社は「STRONG/ストロング」を単独で使用する権利を有していないのであるから、本件商標の正当な通常使用権者であるとはいえない。
(2)カンロ社が商品のパッケージにおいて商標「STRONG」を使用していることについて
カンロ社は、当該パッケージでは、使用許諾契約に従った「カンロ ザ・ストロング」「kanro THE STRONG」の文字を商標として使用しているにすぎない。
当該パッケージには、右上部分に「カンロ ザ・ストロング」の文字が、左上部分に「Kanro」「THE」の文字が、それらの下部に「STRONG」の文字が表示され、「Kanro」以外の文字の書体は統一されている。これらの文字が、バランスよく配置されている結果、当該文字全体には強い一体感が生じている。そのため、このパッケージに接した商品の需要者は、パッケージの英文字部分は「カンロ ザ・ストロング」を英文字で表わしたもの、すなわち「kanro THE STRONG」であると認識するのが自然であり、「STRONG」以外の文字を省略して認識すべき理由もないので、「STRONG」の文字のみが大きく表示されているとしても、「STRONG」のみをもって商標と認識することはない。
前記のとおり、本件商標と使用標章は社会通念上同一の商標ではないから、カンロ社は当該パッケージにおいて本件商標を使用しているとはいえない。
仮に、カンロ社が「STRONG」を単独で商標として使用しているというのであれば、使用許諾契約に違反しているということになり、カンロ社の使用は許諾された使用権に基づく正当な使用ではないので、カンロ社は商標法第50条第1項に規定する「通常使用権者」には該当しないというべきである。
(3)乙3ないし乙11について
乙3ないし乙11は、SNSへの投稿であり、カンロ社が販売した商品の購入者が当該商品を紹介する内容のものであるが、いずれの投稿においても、購入者が「STRONG」のみを商標として認識しているとの事実は確認できない。
(4)結語
上述のとおり、商標権者がカンロ社に本件商標の通常使用権を許諾し、カンロ社が本件商標を請求に係る指定商品である「菓子」について、要証期間に日本国内において使用している旨の被請求人の主張は、使用許諾契約自体が存在しない上に、使用標章も本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないから、認めることはできない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙15を提出した。
本件商標について、権利者である被請求人は、カンロ社に通常使用権を許諾し、カンロ社が本件商標を請求に係る指定商品である「菓子」について、要証期間に日本国内において使用している。
(1)商標権者、専用使用権者および通常使用権者のいずれかの使用であることについて
乙1に示すとおり、本件商標について、商標権者は、カンロ社に通常使用権を許諾し、本契約は、第5条に基づき、契約が更新され、現在においても有効である。
(2)商品「菓子」についての使用であること
乙1に記載のとおり、本件商標は、「グミキャンディー」について、商標権者によりカンロ社に対し、使用許諾している。そして、乙2ないし乙11に示すとおり、実際にカンロ社は「グミ」について本件商標を使用しており、特許庁の類似商品・役務審査基準に照らしても、「グミ」は、請求に係る指定商品である「菓子」に属する商品であることは明らかであるから、本件商標は、「菓子」に使用している。
(3)本件商標と社会通念上同一の商標について使用していること
ア カンロ社の使用する商標について
本件商標の通常使用権者であるカンロ社は、乙2ないし乙11に示すとおりの態様で使用している。
本件商標の通常使用権者であるカンロ社が使用する商標は、「R」の文字の一部分が略三角形状に欠けているデザインではあるものの、無理なく「STRONG」の文字を認識し得るものであり、本件商標の構成文字中「STRONG」の文字部分について使用していることは明らかである。
また、本件商標が英字表記の「STRONG」と片仮名表記の「ストロング」の2段表記であったとしても片仮名表記の文字部分は英字表記の称呼を片仮名で表記したにすぎず、また、英字表記の「STRONG」および片仮名表記の「ストロング」ともに共通した「強い」といった意味合いを看取し得るものであるから、カンロ社が英字表記の「STRONG」のみの使用であったとしても、本件商標の使用と認められ得るものである。
また、そのパッケージ全体に対する位置、大きさ等から「STRONG」の文字部分が当該商品の商標として使用され、自他商品識別機能を果たしていることは明らかである。
イ 参考審決例
被請求人は、上記主張を裏付けるべく審決例を提出する(乙12~乙15)。
(4)要証期間内に日本国内において使用していること
乙2に示すとおり、amazonにおいて、前記(3)アのカンロ社の使用する商標を付した商品を販売していることが確認することができる。そして、乙2の「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」の欄に記載のとおり、2024年11月21日より取り扱いが開始されていることから、当該商品は2024年11月21日時点において、販売されていたことが明らかであり、本件商標は、要証期間内に該当する2024年11月21日より現在に至るまで継続的に使用している。
その他、乙3ないし乙11に示すとおり、インスタグラムやYouTube等のSNSにおいて、乙2に示す商品を購入した第三者による投稿も確認することができる。
乙3ないし乙11には、乙2に記載の商品が掲載され、かつ投稿日としてそれぞれ、2024年11月17日、同年12月3日、同年11月18日、同月11日、同月26日、同月16日、同年12月25日、同年11月13日、同月17日の日付けが確認できる(合議体注:乙7は日付の記載は確認できず、乙11の日付は不鮮明で判読できない。)。
よって乙3ないし乙11から実際に、乙2に記載の商品が取引されていることも確認することができる。
以上より、本件商標は、その指定商品中、「菓子」について、日本国内において要証期間に商標権者より許諾を受けた通常使用権者によって使用している事実が認められる。
(1)乙1について
ア 商標権者は、2020年11月13日付けで、カンロ株式会社と商標使用許諾契約を締結している。
イ 「商標使用許諾契約書」の別紙として、「1.許諾商標 STRONG/ストロング」「登録番号 商標登録第3302555号」「登録年月日 1997年5月9日」「指定商品 第30類 茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン・・・酒かす」の記載がある。
ウ 第1条(使用許諾等)には、「1.甲(合議体注:商標権者)は乙(合議体注:カンロ社)に対して、許諾商標の通常使用権を下記の範囲で許諾する。(1)対象商品 グミキャンデー (2)使用態様 カンロ ザ・ストロング(KANRO THE STRONG)/グミキャンデー (3)地域 日本全国 (4)販売者 カンロ株式会社」の記載がある。第5条(有効期間)には、「1 本契約の有効期間は2020年12月1日から2021年11月30日までとする。2 本契約の有効期間満了日の3ヶ月前までに、いずれかの当事者により契約の更新をしない旨の書面による意思表示がない場合には、本契約はさらに1年間、同一条件で更新されるものとし、以後も同様とする。」との記載がある。
(2)乙4について
カンロ社が運営するウェブサイトにおいて、2024.12.03の日付けによる「新商品続々」の見出しの下、別掲のとおりの、デザイン化され、白色で記載された「Kanro」の文字と、白色に黒い縁取りがされたゴシック体様の「THE カンロ ザ・ストロング」の文字を横書きし、それらの文字の下に、顕著に表された白色に黒い縁取りがされたゴシック体様の「STRONG」の文字(以下「Kanro」から「STRONG」までの文字部分を「使用商標」という。)、さらにその下に濃紺の帯状図形を背景とした「神濃ハードグミ」の文字が記載された商品パッケージが掲載されている(以下当該パッケージの商品を「使用商品」という。)。そして、商品写真の説明として、「カンロ・ザ・ストロング 神濃ハードグミ」「グミは「ソーダ味」と「神濃ハード」の文字で食べる前からリピ確定です。」の記載がある。
(1)使用者について
上記1(1)アのとおり、商標権者は、カンロ社と本件商標を含む商標の使用許諾契約を2020年11月13日付けで締結している。そして、上記1(2)のカンロ社の運営するウェブサイトに「2024.12.03」に使用商標を付した使用商品が掲載されている。
そうすると、上記1(1)ウの第5条の記載及び上記1(2)のカンロ社の運営するウェブサイトに使用商標を付した使用商品が掲載されていること等をあわせ考慮すれば、当該契約は2021年11月30日以降も更新され、2024年12月3日の時点で継続していることが推認される。
したがって、カンロ社は、本件商標の通常使用権者といえる。
なお、上記1(1)イのとおり、「商標使用許諾契約書」の別紙には、「1.」の「登録番号」として、「商標登録第3302555号」と記載されているが、「登録番号」の記載以外の「許諾商標 STRONG/ストロング」「登録年月日 1997年5月9日」「指定商品 第30類 茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン・・・酒かす」全ての記載及び商標権者が登録第3302255号商標(本件商標)の内容と一致し、登録番号の5桁目の部分が「2」であるところが「5」と記載されている相違のみであるから、別紙記載の「1.」の登録番号は、本件商標(登録第3302255号商標)の登録番号の誤記と推認できるものである。
(2)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「STRONG」の欧文字と「ストロング」の片仮名を上下二段に書した構成からなるところ、その構成からして、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解できること、また、「STRONG」の欧文字は、「強い、強力な」[出典:新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典 株式会社研究社]等の意味を有する英語として一般に広く親しまれた語といえることから、本件商標は「ストロング」の称呼を生じ、「強い、強力な」の観念を生じるものである。
一方、別掲及び上記1(2)のとおり、使用商標は、デザイン化され、白色で記載された「Kanro」の文字と、白色に黒い縁取りがされたゴシック体様の「THE カンロ ザ・ストロング」の文字を横書きし、それらの文字の下に、顕著に表された白色に黒い縁取りがされたゴシック体様の「STRONG」の文字を有するものであるところ、当該構成よりは顕著に表された「STRONG」の文字が取引者・需要者に強く印象づけられる文字部分といえるものであるから、使用商標の要部は、「STRONG」の文字部分であるといえる。そうすると、本件商標と使用商標は、「ストロング」の称呼及び「強い、強力な」等の観念を共通にするものといえ、使用商標は、登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部の観念を同一とするときに、その一方の使用といえるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と判断するのが相当である。
なお、請求人は上記1(1)ウのとおり、「商標使用許諾契約書」第1条第1項では、商標権者が通常使用権を許諾する商標の使用態様は「カンロ ザ ストロング(KANRO THE STRONG)」である旨が記載されているところ、カンロ社は使用許諾契約にしたがって「カンロ ザ ストロング」「kanro THE STRONG」の文字を商標として使用しているにすぎないから、これと本件商標を比較して、社会通念上同一の商標とはいえない旨主張しているが、実際に使用されているのは、別掲のとおりの使用商品に付された使用商標であり、別掲の商品パッケージには、使用態様である「カンロ ザ ストロング」「kanro THE STRONG」の文字が付されているものであるから、使用許諾契約の内容と相違するものとはいえない。また、上記のとおり、使用許諾内容の範疇の使用であるとしても、実際の使用商標中、白色に黒い縁取りがされたゴシック体様の「STRONG」の文字が顕著に表されているから、これに接する需要者には、当該文字部分が使用商品の識別標識として強く印象づけられるものというべきである。
したがって、使用商標の要部は、顕著に表された、白色に黒い縁取りがされたゴシック体様の「STRONG」の文字というのが相当であって、これは、本件商標と社会通念上同一のものといえることは上記のとおりである。
また、請求人は、「商標使用許諾契約書」の第1条第1項では、商標権者が許諾する商標の使用態様は「カンロ ザ・ストロング(KANRO THE STRONG)」であるから、商標権者は、当該使用許諾契約において、カンロ社に対し本件商標「STRONG/ストロング」を単独で使用する権利を認めておらず、カンロ社は本件商標の正当な通常使用権者であるとはいえない旨主張しているが、上記1(1)イ及び2(1)のとおり、「商標使用許諾契約書」の別紙1.には、本件商標の内容が記載されているものであるから、カンロ社が「許諾商標」(本件商標)の通常使用権を有しているとみるのが自然である。
(3)使用商品について
別掲の商品パッケージ及び上記1(2)のとおり、使用商品には「ハードグミ」の記載があり、「グミ」は、「ゴムのような弾力を持つ、噛んで味わうキャンデー。水飴・砂糖にゼラチンなどを加えて作る。グミキャンデー。」(出典[広辞苑 第七版])を意味する語であるから、使用商品は、請求に係る指定商品「菓子」の範ちゅうに含まれる商品であるといえる。
(4)使用時期及び使用行為について
上記1(2)のとおり、カンロ社が運営するウェブサイトにおいて、「2024.12.03」の日付けで、使用商標が付された使用商品を掲載して、電磁的方法により提供したものであるところ、当該行為は通常使用権者の運営するウェブサイトにおいて、使用商標が付された使用商品の広告宣伝がなされているものといえる。
そして、2024年12月3日は、要証期間内である。
また、当該ウェブサイトは日本語で記載されており、日本国内の使用が明らかである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者は、日本国内において、要証期間に、請求に係る指定商品中の「菓子」の範ちゅうである「グミキャンデー」が掲載された広告に本件商標を付して、電磁的方法により提供したものと認められる。
通常使用権者の上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「グミキャンデー」について、本件商標の使用をしていたことを証明したものといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 使用商標(色彩は、乙第4号証参照。)
59
50
0001432203000001.jpg
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。