結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300387 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第5868360号商標(以下「本件商標」という。)は、「NINJA SIM」の文字を標準文字により表してなり、平成27年12月1日に登録出願、第9類「コンピュータプログラム(記録されたもの又はダウンロード可能なもの),電気通信機械器具,電気通信機械器具の部品及び附属品,電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」及び第38類「光ファイバーケーブルを利用した通信回線の提供,電気通信(「放送」を除く。),移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定商品及び指定役務として、同28年7月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録の日は、令和7年5月19日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)5月19日から同7年(2025年)5月18日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
被請求人は、2022年4月1日に本件商標に係るサービスの提供を終了する告知を行っている。当該日は要証期間前である。本件商標に係るサービスの提供を終了するということは、将来的に本件商標を商標として使用しないということである。つまり、2022年4月1日以降の本件商標の使用は、たとえサービスの都合上の使用であっても、消極的な使用であり、出所表示機能等の商標の機能を発揮し得ない使用に該当する。
被請求人は、本件商標の使用として、乙第1号証から乙第7号証の使用例を掲げている。しかし、乙第1号証及び乙第7号証は、クリック場所を表す小さい表記である。乙第2号証、乙第5号証及び乙第6号証は、URLの表記に含まれるドメイン名としての表記にすぎない。また、乙第3号証及び乙第4号証は、商品名としての小さな表記にすぎず、いずれの使用も自他商品等の識別機能などの商標の機能を発揮し得ない使用である。そもそも本件商標は2022年4月1日にサービスを終了しているため、それ以降は本件商標を積極的に使用する意味がなくなっており、これらの本件商標の使用はいわば事後処理の必要としての使用に該当し、実質的な商標の使用には該当しない。
被請求人は、サービス提供を終了した2022年4月1日以降は、SIMにチャージした分を利用する既購入者へのサポートや代替SIMの提供、及び返金対応などを行っていると述べている。しかし、これらのサポート等はいずれも商品購入後のケアにすぎず、本件商標が商標として機能した結果これらのサポート等が発生したものではない。よって、サービス提供の終了後にこれらのサポート等がされていることが本件商標を使用していることにはならない。
また、被請求人は、要証期間内に該当する2022年12月7日(乙1)及び2023年5月30日(乙7)の時点においては本件商標を使用していた旨を述べている。しかし、これらの使用はサービス提供を終了した2022年4月1日以降の使用に該当する。サービス提供の終了後にこれらの使用をしたとはいえ、これらの使用は少なくとも新規の顧客を得る目的ではないのは明らかである。また、サービス提供を終了したことは告知されているので、需要者等は本件商標のサービスは既に終了していることを了承済みである。よって、たとえ要証期間内に本件商標を使用していたとしてもその使用は形式だけのもので、実質的には商標の機能を全く果たしていない使用である。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第7号証を提出した。
被請求人において、本件商標は、被請求人の登録商標である「BIGLOBE NINJA SIM」(登録第5745722号)の略称として、「BIGLOBE NINJA SIM」と同一のSIM製品・サービスに使用されてきた。この点については、乙第1号証の上部タブにおける「NINJA SIM」との表示、また、ドメイン名としての使用から明らかである。また、需要者においても「NINJA SIM」は「BIGLOBE NINJA SIM」の略称として認識されてきた。この点については、販売店の商品紹介ページやメディアの記事から明らかである。
本SIM製品・サービスの提供は、2022年4月1日に終了が告知されたものの、プリペイド方式という性質上、チャージした分を利用する既購入者へのサポートや代替SIMの提供、及び返金対応など、新規申込みの受付終了後もそのサービスは継続していた。このことは、乙第1号証や他の関連サイトが維持されてきたことからも明らかである。
(1)2022年(令和4年)12月7日における商標権者のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト1」という。)には、左上に表示された「NINJA SIM」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)の下、「データ通信専用プリペイドSIM」の文字の記載があり、また、更新情報の欄に「2022.4.1 【重要】BIGLOBE NINJA SIM・BIGLOBEプリペイドSIM365サービス提供終了のお知らせ」、「2022.7.1 一部クレジットカード利用不可のお知らせ」及び「2022.8.19 【重要】BIGLOBE NINJA SIMシステムメンテナンスによる追加チャージ機能の一時中断のお知らせ」の記載がある(乙1)。
(2)2023年(令和5年)5月30日における商標権者のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト2」という。)には、左上に表示された使用商標の下、「BIGLOBE NINJA SIM・BIGLOBEプリペイドSIM365利用規約」と題する利用規約が掲載されている(乙7)。
(3)被請求人は、「本SIM製品・サービスの提供は、2022年4月1日に終了が告知されたものの、プリペイド方式という性質上、チャージした分を利用する既購入者へのサポートや代替SIMの提供、及び返金対応など、新規申込みの受付終了後もそのサービスは継続していた。」と主張している(前記第3の1)。
(1)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「NINJA SIM」の文字を標準文字により表してなるものであり、使用商標は、「NINJA SIM」の文字からなるものであり、両商標はその構成文字を共通にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
そして、使用商標は、本件ウェブサイト1及び2に表示されていることから、本件ウェブサイト1及び2には使用商標が付されていたといえる。
(2)使用役務について
本件ウェブサイト1には、「データ通信専用プリペイドSIM」の記載があり、また、更新情報の欄に「BIGLOBE NINJA SIM・BIGLOBEプリペイドSIM365サービス提供終了」の記載があることからすると、本件ウェブサイト1は、プリペイドSIMによる通信の提供、すなわち「プリペイド式SIMカードによる通信」(以下「使用役務」という。)の広告を行っているものとみるのが相当である。
また、本件ウェブサイト2には、「BIGLOBE NINJA SIM・BIGLOBEプリペイドSIM365利用規約」と題する利用規約が掲載されていることからすると、本件ウェブサイト2も、使用役務の広告を行っているものとみるのが相当である。
そして、使用役務は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第38類「電気通信(「放送」を除く。)」の範ちゅうに含まれる役務である。
(3)使用時期について
本件ウェブサイト1及び2は、令和4年12月7日及び同5年5月30日におけるウェブサイトであるから、当該日に本件ウェブサイト1及び2の情報を電磁的方法(インターネット)により提供したものと認めることができる。
そして、当該日は、いずれも要証期間内である。
(4)使用者について
本件ウェブサイト1及び2は、商標権者のウェブサイトであるから、使用者は、商標権者である。
(5)小括
以上によれば、商標権者は、要証期間内である令和4年12月7日及び同5年5月30日に、本件商標の指定商品及び指定役務中、第38類「電気通信(「放送」を除く。)」の範ちゅうに含まれる使用役務に関する広告を内容とする情報(本件ウェブサイト1及び2)に本件商標と社会通念上同一の使用商標を付して電磁的方法(インターネット)により提供したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「・・・役務に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(6)出所を表示し、自他商品又は役務を識別するものと認識される態様での使用について
ア 請求人は、2022年4月1日以降の本件商標の使用は、たとえサービスの都合上の使用であっても、消極的な使用であり、出所表示機能等の商標の機能を発揮し得ない使用に該当する旨主張している。
イ ところで、商標法上、商標の本質的機能は、自他商品又は役務の識別機能にあると解するのが相当であるから(同法第3条参照)、同法第50条にいう「登録商標の使用」というためには、当該登録商標が商品又は役務の出所を表示し、自他商品又は役務を識別するものと取引者及び需要者において認識し得る態様で使用されることを要すると解するのが相当である(令和3年(行ケ)第10076号同4年2月9日判決)。
ウ 前記1で認定した事実によれば、使用役務は、要証期間前である2022年(令和4年)4月1日にサービス提供終了の告知がされていることが認められる。
しかしながら、被請求人は、チャージした分を利用する既購入者へのサポートや代替SIMの提供及び返金対応などのサービスは継続していたと主張しており、これらのサービスを提供することは、使用役務を提供することの一部であるといえる。
また、本件ウェブサイト1において、要証期間内である2022年(令和4年)7月1日及び同年8月19日に、一部クレジットカード利用不可のお知らせ記事や、システムメンテナンスによる追加チャージ機能の一時中断のお知らせ記事が更新されているものである。
そうすると、使用役務は、サービス提供終了の告知後においても、要証期間内において、提供が継続されていたものとみるのが相当である。
そして、使用役務の提供が継続している状況において、使用役務の広告を行っていると認められる本件ウェブサイト1及び2の左上に表示されている使用商標は、使用役務の出所を表示し、自他役務を識別するものと取引者及び需要者において認識され得る態様で使用されるというべきである。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る商品及び役務中、第38類「電気通信(「放送」を除く。)」に含まれる使用役務について、本件商標と社会通念上同一の使用商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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