結論テキスト
登録第6417625号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2021900358 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6417625号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「zoom」の欧文字を横書きしてなり、令和2年5月18日に登録出願された商願2020-61572に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として同3年1月14日に登録出願されたものであって、第42類「コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの貸与」を指定役務として、同年7月16日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の1ないし5のとおりであり、引用商標3の分割移転後の登録第4363622号の2商標を除く商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
商標の構成:「ZOOM」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日:平成元年7月19日
設定登録日:平成4年8月31日(平成15年8月20日書換登録)
最新更新登録日:令和4年3月11日
指定商品:第9類「電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,レコード,蓄音機(電気蓄音機を除く)」及び第15類「楽器,演奏補助品,音さ」
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成6年7月11日(平成4年9月30日に登録出願された商願平04-289481に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願))
設定登録日:平成10年5月15日
最新更新登録日:平成30年2月6日
指定役務:第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
商標の構成:「ZOOM」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日: 平成元年10月19日
設定登録日:平成12年2月25日(平成22年7月28日書換登録)
最新更新登録日:令和2年1月21日(第9類のみに区分減縮)
指定商品:第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」
なお、引用商標3は、令和6年4月9日に、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,電子計算機,電子式卓上計算機」を指定商品とする登録第4363622号の1商標(以下「引用商標3の分割1」という。)と第9類「電子計算機用プログラム」を指定商品とする登録第4363622号の2商標(以下「引用商標3の分割2」という。)として、本件商標権者に商標権の分割移転の登録がなされており、引用商標3の分割1に係る商標登録原簿及び引用商標3の分割2に係る閉鎖商標登録原簿によると、登録第4363622号商標に係る商標権一部取消審判において、令和7年5月21日にその指定商品中、第9類「電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」についての取消が確定し、引用商標3の分割1については、審決の確定登録が、また、引用商標3の分割2については、審決の確定登録及びその商標権の登録抹消がそれぞれ同年6月17日になされている。
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成17年8月8日
設定登録日:平成18年3月31日
更新登録日:平成28年6月21日
指定商品:「電子計算機用プログラム」を含む第9類及び第15類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:令和元年7月30日(平成29年10月30日に登録出願された商願2017-143112に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願))
設定登録日:令和2年5月29日
指定商品:「コンピュータソフトウェア」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
上記引用商標1ないし引用商標5をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)本件商標の構成について
本件商標は、英単語の「zoom」を青字で書した構成よりなり、本件商標全体より「ズーム」の称呼が生じ、「急上昇」の観念が生じる。
(2)引用商標について
引用商標は、「ZOOM」の文字からなり、「ズーム」の称呼と「急上昇」の観念を生じる。
なお、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、引用商標のうち引用商標4について、令和3年1月28日付の意見書にて以下のように述べている。
「如何なる文字又は事物を表した図形かを容易に理解することは困難ですが、本願商標とは別異の外観を呈しています。また同一又は類似の商品に関して引用商標3「ZOOM」及び引用商標5「ZOOm」と併存していることから、前記特定の称呼(ズーム)や観念等ではなく、専らその図形態様(外観)によって認識、把握される商標であると考えます。」
しかし、後述するように、本件商標権者は、引用商標4が「ZOOM」として把握されること、「ズーム」として称呼されること、さらには引用商標と本件商標権者が使用する標章「zoom」との間に出所混同が生じている事実を認識しているとともに、引用商標4の権利者より自己の事業の妨げとなる「zoom」の使用停止が求められていることについても把握していたことを付言する。
(3)本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標は、いずれも「ズーム」の称呼、「急上昇」の観念を生じる点において同一であり、「ZOOM」の文字を構成の主要素としている点において共通し、外観において類似する。
(4)本件商標と引用商標の指定商品・役務の対比
本件商標の指定役務中「電子計算機用プログラムの提供,クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの貸与」は、引用商標2ないし引用商標5の指定商品の一つである第9類「電子計算機用プログラム」と類似する(決定注:引用商標2及び引用商標5には、指定商品として、第9類「電子計算機用プログラム」は含まれていない。)。
(5)小括
上述のとおり、本件商標は、引用商標とその態様において類似し、かつその指定商品・役務について引用商標の商品と同一・類似する。故に、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
本件商標は、その出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものである。
申立人であって引用商標1及び引用商標4の権利者である「株式会社ズーム」は、マルチエフェクター,ビデオレコーダー,オーディオレコーダーを中心とする機器の製造・販売業者である。会社設立時より「株式会社ズーム」を名乗り、一貫して、「ZOOM」を自社製品に継続的に使用してきた。創業期こそ、音楽・楽器関連商品を中心に事業展開していたが、ハンディオーディオレコーダーを中心に、家電量販店などをも対象とする一般的なコンシューマーエレクトロニクス市場へ進出し、現在に至る。引用商標権者のハンディビデオレコーダーは、動画投稿サイトやSNS、ウェブカメラとして使用される等、音響機器あるいは楽器という枠をすでに超え、電気通信機器として一般需要者層を顧客に持つに至る。
他方、本件商標権者である「ズーム ビデオ コミュニケーションズ インク.」はビデオ会議に関する事業を運営する企業であるが、2019年7月頃から、日本国内において、本件商標権者の日本法人である「ZVCJapan株式会社」(以下「ZVCJapan社」という。)を通じて本格的に日本における事業を展開している。
本件商標権者が標章「zoom」を自社の標章として、ビデオ会議事業に関する告知を行い、事業を開始したことで、本件商標に接した日本の需要者らが引用商標権者とその出所について混同した結果、本件商標権者の事業に関する問合せを引用商標権者の元に寄せたり、本件商標は、引用商標権者の商標と紛らわしいとの不服・不満・混乱・困惑を示すメッセージがSNS上で発せられる事態が生じている(甲3~甲12)。
申立人は、自己の事業に差し障りがあるため、本件商標権者に対し、日本法人を経由し、商標「zoom」の使用を差し控えるようにと要望した(甲13)。これに対し、本件商標権者は、回答の猶予を求める一方で、即刻、本件商標の出願手続に至ったものである。
2020年4月17日:「株式会社ズーム」より「ZVCJapan社」に申し入れ(甲13)
2020年5月12日:「ZVCJapan社」より、回答猶予の願い(甲14)
2020年5月18日:本件商標の出願
2020年6月15日:「ZVCJapan社」より「株式会社ズーム」に対する回答(甲15)
本件商標は、紳士的解決を試みようとする申立人の善意を踏みにじり、事前に伝えることも、正式な回答を行うことなく、本件商標権者によって出願されたものである。
本件商標権者は、本件商標が申立人と需要者をして出所混同が生じている実態があることを知りつつ出願手続を執ったことは明らかである。
さらに、2020年6月15日に出された本件商標権者の回答書では「当社商標は、当社登録商標権の指定役務である「ビデオによる遠隔会議」(第38類)に関して当社登録商標権の保護の範囲内で使用されているものであって、貴社商標の「電子計算機用プログラム」(第9類)を含む指定商品とは非類似の役務に使用されているにとどまります」と明言しているにもかかわらず、本件出願は第42類「電子計算機用プログラムの提供」をも指定商品・役務としている。
このことは、第42類の役務について、自社の事業が「ダウンロード可能なソフトウェア」及び「電子計算機用プログラムの提供」であり、引用商標権者の商標と類似するとの自覚があったことを示すものである。
また、第38類の役務については、第38類の役務が引用商標権者の商品との間において事実上、出所混同が生じていることを知ったうえで、出願がなされたものであることを示すものである。
本件の出願経緯及び目的にかんがみれば、本件商標の登録出願は、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為というべきであり、さらに、国際信義にも違反していると考えられる。これに商標登録を認めることは、公正な取引秩序の維持の観点及び公益的観点のいずれにおいても不相当であって、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という商標法の目的(同法第1条)に反するというべきである。いうまでもないが、申立人の引用商標は本件商標より以前に出願・登録されたものであり、申立人は、引用商標を長年にわたり、継続使用し、顧客吸引力を獲得した。その商品は、楽器店のみならず、家電量販店でも容易に手に取ることができるものであり、一部の人のみならず、音楽に関心がなくとも、インターネットを介した通信を行う一般需要者をも対象とする。ウェブ会議が今ほどもてはやされる以前から、申立人の商品は、通信によるコミュニケーションの手段として需要者等に使用されてきた。
申立人は、本件商標が、コロナ禍を幸いに、急速に日本の市場に浸透しつつあることについて認めるものの、先願主義の下で先に登録され、商標法の目的に沿って、地道に使用を継続してきた権利者の権利は尊重されるべきと考える。仮に、本件商標が周知性を獲得したとしても、先行する権利と重複し、当該権利と出所混同が生じる事態を創出しながら築かれた周知性は、登録において参酌されるべきではない。本件商標は、出願時に悪意(申立人と出所混同が生じることを事実として認識しながらなされたものである)をもってなされた出願である故、商標法第4条第1項第7号に該当する。
上述のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するものである。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、丸みを帯びた書体で「zoom」の欧文字を水色で表してなるところ、当該文字は、「<レンズ・カメラ>をズームさせる」(「ジーニアス英和辞典」第6版)の意味を有する親しまれた語であるから、本件商標は、その構成文字に相応して「ズーム」の称呼及び「<レンズ・カメラ>をズームさせる」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1及び引用商標3について
引用商標1及び引用商標3は、前記第2の1及び3のとおり、「ZOOM」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、上記(1)と同様に、その構成文字に相応して「ズーム」の称呼及び「<レンズ・カメラ>をズームさせる」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、語頭の「Z」と語尾の「M」との間に配された2つの円が結合した部分は高度に図案化されていることから、直ちに何らかの文字を認識させるとはいい難いため、引用商標2からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
なお、仮に引用商標2の構成中、中央の2つの円を結合した部分が連続した「O」の欧文字をモチーフとしたものと想起され得るとしても、その図案化の程度からすれば、特定の称呼及び観念は生じないものである。
ウ 引用商標4について
引用商標4は、別掲3のとおりの構成よりなるところ、語頭は「Z」、語尾は「M」の文字を図案化したものと認識し得るとしても、その間に配された無限大を表す「∞」状の部分は高度に図案化されていることから、直ちに何らかの文字を認識させるとはいい難いため、引用商標4からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
エ 引用商標5について
引用商標5は、別掲4のとおり、構成各文字の形状の特徴から「ZOOm」の欧文字を表したと認識し得る構成よりなるところ、構成各文字は、立体的、かつ直線的な太い書体でやや斜めに表され、薄い灰色の陰影が施され、構成各文字の中段部分には二筋の光線状の図形が施されている特徴のある構成態様よりなるものであり、「ZOOm」の欧文字を認識させた場合には、引用商標5からは、「ズーム」の称呼及び「<レンズ・カメラ>をズームさせる」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標と引用商標1及び引用商標3との類否について
本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、いずれも「(zoom)ZOOM」の綴りよりなるものであるから、外観上、近似した印象を与えるものであり、また、「ズーム」の称呼及び「<レンズ・カメラ>をズームさせる」の観念を共通にするものであるから、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは相紛れるおそれのある類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標2、引用商標4及び引用商標5との類否について
本件商標と引用商標2及び引用商標4とは、本件商標が「zoom」の欧文字を表してなるのに対し、引用商標2及び引用商標4は、直ちに何らかの文字を認識させるとはいい難いため、外観上、明確に区別し得るものであり、本件商標は、「ズーム」の称呼及び「<レンズ・カメラ>をズームさせる」の観念を生じるのに対し、引用商標2及び引用商標4からは、特定の称呼及び観念は生じないものであり、称呼及び観念においても相紛れないものであるから、本件商標と引用商標2及び引用商標4とは非類似の商標である。
また、本件商標と引用商標5とは、丸みを帯びた書体で「zoom」の欧文字を水色で表してなる本件商標と「ZOOm」の欧文字を表したと認識し得るものの、構成各文字が立体的、かつ直線的な太い書体でやや斜めに表され、薄い灰色の陰影が施され、構成各文字の中段部分に二筋の光線状の図形が施された特徴のある構成態様よりなる引用商標5とは、外観における印象が明らかに異なるものであるから、本件商標と引用商標5は、外観において判然と区別し得るものである。
さらに、「zoom」の欧文字は、「<レンズ・カメラ>をズームさせる」の意味を有する親しまれた平易な英語であることからすれば、その指定商品又は指定役務との関係においては、自他商品の識別力が比較的弱いといえるものである。
また、一般にコンピューター関連の商品(役務)を取り扱う業界においては、コンピューターに与えるコマンドを記号や図形で画面上に表示させる、いわゆるアイコン等によってその視認性を高めることが一般に行われている実情にある。
上記のような「zoom」の文字自体の自他商品(役務)の識別力の程度や取引の実情等を考慮すると、両商標における外観上の相違は、称呼及び観念の相違に比較して重要な要素となり得るものであるから、両商標は、称呼及び観念の共通性をしのぐほどに、外観において著しく相違すると評価すべきである。
してみれば、本件商標と引用商標5とは、称呼及び観念の共通性を考慮したとしても、なお、外観において、明らかに異なる印象を与えるものであるから、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否
申立人は、本件商標の指定役務中、「電子計算機用プログラムの提供,クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの貸与」は、引用商標2ないし引用商標5の指定商品中、第9類「電子計算機用プログラム」と類似する旨主張している。
しかしながら、上記(3)イのとおり、本件商標と引用商標2、引用商標4及び引用商標5とは非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用商標2、引用商標4及び引用商標5の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもないものである。
また、本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品とは、役務の提供と商品の製造・販売、用途、役務の提供場所と商品の販売場所及び需要者の範囲において一致するというべき事情は見いだせず、両者は、それらに同一又は類似の商標を使用しても、それら商品及び役務が同一営業主の製造、販売又は提供に係る商品又は役務と誤認混同するおそれのない非類似の商品及び役務といわざるを得ない。
さらに、本件商標の指定役務と引用商標3の指定商品について、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」と引用商標3の分割以前の指定商品中、第9類「電子計算機用プログラム」とは役務の提供と商品の製造、販売とが同一営業主によって行われているのが一般的であり、その用途及び需要者の範囲等が一致する場合があるといえる。
しかしながら、上記第2の3のとおり、引用商標3の指定商品については、登録第4363622号商標に係る商標権一部取消審判において、令和7年5月21日にその指定商品中、第9類「電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機」ついての取消審決が確定し、第9類「電子計算機用プログラム」については引用商標3の分割2において、審決の確定登録及びその商標権の登録抹消が同年6月17日になされている。
そして、本件商標の指定役務とその余の引用商標3の指定商品と商品の製造・販売、用途、役務の提供場所と商品の販売場所及び需要者の範囲において一致するというべき事情は見いだせず、本件商標の指定役務と引用商標3の指定商品は、それらに同一又は類似の商標を使用しても、それら商品及び役務が同一営業主の製造、販売又は提供に係る商品又は役務と誤認混同するおそれのない非類似の商品及び役務といわざるを得ない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標と引用商標2、引用商標4及び引用商標5とは非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用商標2、引用商標4及び引用商標5の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもないものであり、また、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは類似の商標であるとしても、本件商標の指定役務は引用商標1及び引用商標3の指定商品とは非類似の商品及び役務である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えることはないものであり、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではなく、特定の国若しくは国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。さらに、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべきものであるなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
なお、申立人は、本件商標権者に対し、商標「zoom」の使用を差し控えるようにとの要望を求めたところ、本件商標権者は、申立人からの当該要望に対する回答の猶予を求める一方で本件商標の出願手続に至ったものであり(甲13~甲15)、本件商標のこのような出願経緯及び目的にかんがみれば、本件商標の登録出願は、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為というべきである旨主張しているが、当該経緯を踏まえても、本件商標権者による本件商標の登録出願が、公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠くとはいえず、他に本件商標の出願が社会的相当性を欠くと認めるに足りる事実を見いだすことはできないから、当該経緯が、前記判断に影響を与えるとはいい難い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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