結論テキスト
国際登録第1778596号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025685008 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由
本件国際登録第1778596号商標(以下「本件商標」という。)は、「SMARTPOOL」の欧文字を横書きしてなり、2023年(令和5年)7月19日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条の規定による優先権を主張し、2024年(令和6年)1月12日に国際商標登録出願、第1類「Assays and reagents for use in genetic research; biochemical preparations for scientific purposes; chemical preparations for scientific purposes; reagents for scientific and research use; reagents for scientific use.」及び第42類「Providing medical and scientific research information in the fields of pharmaceuticals and genetics; research and development of siRNA drugs; research and development services in the field of gene expression systems; research in the field of gene editing technology; scientific research in the field of genetics; custom design and development of chemical reagents and biochemical assays.」を指定商品及び指定役務として、令和7年1月7日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1018694号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 SMART
指定商品 第1類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2009年(平成21年)10月27日
優先権主張日 2009年(平成21年)10月22日(United States of America)
設定登録日 平成23年12月9日
(2)登録第5537104号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 SMART(標準文字)
指定商品 第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成24年3月7日
設定登録日 平成24年11月22日
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)第4条第1項第11号該当性について
ア 第1類について
(ア)本件商標の認定
本件商標の全体は、「SMARTPOOL」という欧文字を、横方向一段書きとする。
(イ)引用商標1の認定
引用商標1の全体は、「SMART」の欧文字を、横方向一段書きとする。
(ウ)両商標の類否
商標の類否判断について、特許庁規定の審査基準では、指定商品又は指定役務における一般的・恒常的な取引の実情を考慮し、商標の観察方法として、全体観察のみならず、要部観察を採用する、と定めている。
この点について「第1類 遺伝子研究用の分析試料及び試薬」の分野の実情を鑑みれば、本件商標の要部は、全体から文字「POOL」を除いた「SMART」の部分とすべきである。
すなわち、甲第4号証ないし甲第6号証に示すように、遺伝子研究において、「POOL」の文字は、「第1類 遺伝子研究用の分析試料及び試薬」との関係において品質を表す言葉であり常用されている。
よって第1類の指定商品において、本件商標の要部は、本件商標の全体から「POOL」の文字を除いた「SMART」の文字とすべきである。
その結果、本件商標の要部が、引用商標1の全体と同一であるから、本件商標は、引用商標1と類似する関係にあるとすべきである。
したがって、本件商標は、引用商標1に基づき、商標法第4条第1項第11号に該当するため、商標登録されるべきでない。
イ 第42類について
(ア)引用商標2の認定
引用商標2の全体は、「SMART」の欧文字を、横方向一段書きとする。
(イ)両商標の類否
「第42類 siRNA医薬の研究及び開発,遺伝子発現系の分野に関する研究及び開発,遺伝子編集技術分野における研究,遺伝学の分野における科学的な調査研究」の実情を鑑みれば、本件商標の要部は、上記アと同様、「SMART」の部分とすべきである。
すなわち、siRNA(21-23塩基対の低分子二本鎖RNA)の研究、遺伝子発現系の研究、遺伝子編集技術分野の研究、遺伝子の分野の科学的な研究において、「POOL」の文字は、「第42類 siRNA医薬の研究及び開発,遺伝子発現系の分野に関する研究及び開発,遺伝子編集技術分野における研究,遺伝学の分野における科学的な調査研究」の質を示す言葉であり、常用されている。
よって、第42類の指定役務において、本件商標の要部は、文字「SMART」とすべきである。
その結果、本件商標の要部が、引用商標2の全体と同一であるから、本件商標は、先行商標2と類似する関係にある、とすべきである。
したがって、本件商標は、引用商標2に基づき、商標法第4条第1項第11号に該当するため、商標登録されるべきでない。
(2)結び
本件商標は、商標法第4条第1項第11号の趣旨に反してなされたものであるため、商標登録されるべきでない。
本件商標は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
(1)本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「SMARTPOOL」の欧文字を横書きしてなるところ、構成中の「SMART」の文字と「POOL」の文字は、同じ書体、同じ大きさで、間隔なく外観上まとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「スマートプール」の称呼もよどみなく一連に称呼できる。
そして、本件商標の構成中、「SMART」の文字は、「頭のよい、賢明な」等の意味(「ジーニアス英和辞典 第6版」株式会社大修館書店)を有する語として一般に知られている語である。
また、構成中の「POOL」の文字は、「プール、(自然にできた)小さな池」等の意味(前掲書)をそれぞれ有する語であるが、当該文字が、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品又は役務の具体的な品質又は質を表すとみるべき事情は見いだせないことから、該文字部分が自他商品役務の識別標識としての機能を有しないとはいえない。
そうすると、本件商標は、構成中の「SMART」の文字部分のみが、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとか、又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情は見いだせないから、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更後半の「POOL」の文字部分を捨象し、「SMART」の文字のみに着目するというより、むしろ本件商標の構成全体をもって一体不可分のものと認識するとみるのが相当である。
また、本件商標は、構成全体として辞書等に掲載されている語ではなく、我が国において親しまれた意味合いを有する語でもないから、特定の意味合いを生じない一種の造語とみるべきものである。
以上によれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「スマートプール」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標
引用商標1及び引用商標2は、前記2(1)及び(2)のとおり、「SMART」の欧文字を横書きしてなるところ、「SMART」の文字は、「頭のよい、賢明な」等の意味を有するものであり、「スマート」の称呼を生じ、「頭のよい」等の観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の「SMARTPOOL」と引用商標の「SMART」とは、「SMART」の文字部分を共通にするものの、本件商標が前記(1)のとおり、後半の「POOL」の文字部分を含む構成全体として一連一体のものと理解されることからすると、当該文字の有無の差異などにより、視覚上、異なる印象を与えるものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件商標は「スマートプール」の称呼を生じるのに対し、引用商標は「スマート」の称呼を生じるところ、「プール」の音の有無の差異を有し、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が相違するから、相紛れるおそれはない。
そして、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標からは「頭のよい」等の観念を生じるから、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、これらを総合的に勘案すると、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
(4)申立人の主張について
申立人は、遺伝子研究において、「POOL」の文字は、第1類「遺伝子研究用の分析試料及び試薬」との関係では商品の品質を表示する語であり、また、siRNA(21-23塩基対の低分子二本鎖RNA)の研究、遺伝子発現系の研究、遺伝子編集技術分野の研究、遺伝子の分野の科学的な研究において、「POOL」の文字は、第42類「siRNA医薬の研究及び開発,遺伝子発現系の分野に関する研究及び開発,遺伝子編集技術分野における研究,遺伝学の分野における科学的な調査研究」の役務の質を表示する語であり、常用されていることから、本件商標の構成中「SMART」の文字部分が要部となり、引用商標と類似する旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本件商標は、構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握されるというべきものである。
そして、申立人の主張及び提出された証拠(甲4~甲6)からは、「遺伝子プール」という語が遺伝子研究の分野で使用され(甲4)、また、遺伝子研究に関する外国語の論文中に「Pool(pool)」の文字が使用されている例があることがうかがえるとしても(甲5、甲6)、これらの語が本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品の品質及び役務の質を表示しているといえる具体的な証拠をあげて立証していないため、当該文字が自他商品及び役務の識別標識としての機能を欠くものとまではいえない。
したがって、本件商標の構成中、「SMART」の文字部分が要部として抽出されるべきものとは認められないから、申立人の上記の主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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