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Trademark Appeal Case

複合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900073
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6890615号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6890615号商標(以下「本件商標」という。)は、「フィアス サン」の片仮名と「FIERCE SUN」の欧文字を上下2段に表してなり、令和6年6月17日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同7年1月10日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する国際登録第1059404号商標(以下「引用商標」という。)は、「FIERCE」の欧文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)4月8日に国際商標登録出願(事後指定)、第3類「Cosmetics and toiletries, hair preparations, perfumery, perfumes and ethereal essences (other than perfumes used as cosmetics or toiletries), essential oils; soap for personal use and detergents; dentifrices; false nails, false eyelashes, adhesives for affixing false hair; adhesives for affixing false eyelashes.」を指定商品として、平成24年11月2日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

本件商標は、その指定商品中、第3類「化粧品、香料、薫料」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、2段書きの構成を有し、下段に「FIERCE SUN」の文字を表し、上段にその日本語による音訳に相当する「フィアス サン」の文字を表してなる標章である。

下段に記載された「FIERCE」は、「〔性質などが〕どう猛[凶暴・残忍]な;〔戦いや嵐などが〕猛烈な、激しい」(英辞郎)の意味を有する英語の形容詞であり、「SUN」は、「太陽、日光」(英辞郎)を表す英語の名詞である。また、上段に記載された日本語「フィアス サン」は、下段に表記された英語表記の音読を表記したものであり、格別日本語固有の意味は持たない。

太陽又は日光の意味における「SUN」又は「サン」は、日本語としても広く使用される言葉であって、標章において識別力を発揮する名詞とはいえない、あるいは、少なくとも識別力の弱い言葉である。

このことは、例えば、化粧品を含む第3類、類似群コード04C01に限定しても、「SUN」又は「サン」を含む商標は100件以上登録されているが、ほぼ常に、「メリディアサン MERIDIASUN」(登録第5456417号)、「サンケア SUNCARE」(登録第2608359号)等のように、他の形容詞又は名詞と組み合わせるか新しい造語の一部として組み込まれて登録されている事実からもうかがい知ることができる。

他方、「FIERCE」は、第3類、類似群コード04C01に関する限り、商標に広く使用される用語ではなく、そのことは申立人の所有に係る12件の登録商標(甲3)と今回登録された本件商標とがあるだけという事実が示すとおりである。

「FIERCE」という言葉は、前記のように「獰猛」等の意味を持つ言葉であり、日常において頻繁に使われる言葉ではないだけでなく、その意味が一般的には化粧品等にはそぐわないイメージを想起させることが理由であると推察される。

申立人は、一般的にいえば化粧品等とは対極的なイメージを想起させる「FIERCE」を敢えて商標に用いることによって需要者に商標を強く印象付けてきたということができる。

したがって、化粧品等について使用された本件商標に接した需要者は、日常的にはあまり見かけない「FIERCE」という言葉の音と意味とに強く印象付けられ、この部分に自他商品識別標識としての機能を観取すると考えられるから、本件商標は、要部である「FIERCE」及び「フィアス」において称呼、観念及び外観の全てが共通する引用商標「FIERCE」と類似すると考えるのが妥当である。

また、別の立場を取れば、「SUN」は、日本語の中でも普通に使われる名詞であって前記したその意味も日本人にとって自明であるが、「FIERCE」なる英語の形容詞は、日本語として広く知られておらず、したがって、その意味も需要者にとって明らかとはいえないと想定することもできる。

その場合、本件商標に接した需要者は、意味が必ずしも自明ではない外国語でおそらく英語であるが発音は「フィアス」であることが明らかな言葉(意味を知らないのでちょっと難しい言葉とはいえるが、短く明瞭な響きを持つので覚えやすい言葉)と、太陽又は日光を意味することが明らかで化粧品等については商標中に広く使用されている「SUN」及び「サン」の組み合わせからなる標章と理解することになる。

需要者は、本件商標「フィアス サン/FIERCE SUN」について、引用商標に対して、ちょっと難しいが短く明瞭な響きを持って覚えやすい「フィアス」という言葉が共通していて、かつ、よくある「SUN」及び「サン」が追加された標章と理解するので、この場合にも両商標が類似すると考えるのが妥当である。

さらに、前記のように、類似群コード04C01に限定しても「SUN」又は「サン」を含む商標は100件以上登録されている事実に鑑みれば、識別力を有しない「SUN」又は「サン」の部分を捨象して「FIERCE」の外観又は称呼をもって取引に資する場合も少なくないと考えるべきであり、本件商標の登録によって引用商標「FIERCE」との間に混同を生じ、取引の安定性、信頼性が阻害され得ると考えるべきである。

上記のとおり、本件商標と引用商標とは、「フィアス」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、2009年12月15日に、アジア初の旗艦店を東京都中央区銀座6丁目に開店し(甲4)、「FIERCE」の文字から成る商標(以下、「「FIERCE」商標」という。)を付したフレグランスを店内に漂わせる演出をするとともに、先着500名に「FIERCE」商標を付したフレグランスの瓶が表された180センチ大のポスターを配布した(甲5、甲6)。

これと同時に、「FIERCE」商標を付した「香水」の同店舗での販売を開始した。つまり、同香水の日本における販売を開始した。

申立人は、次々と全国の主要都市に実店舗を開店し(2010年11月11日:福岡県銀座中央通り、2014年11月22日:静岡県御殿場プレミアムアウトレット内、2015年11月16日:大阪府ららぽーとEXPOCITY内、2016年10月21日:滋賀県三井アウトレットパーク滋賀竜王内、2019年8月9日:北海道三井アウトレットパーク札幌北広島内)、これらの店舗すべてにおいて、香りを試すためのブロッターカード(甲7)に同香水を湿らせて配布したり、陳列棚に同香水のパンフレット(甲8)を置いて配布したりといった宣伝活動を続けている。

また、「FIERCE」として知られているフレグランスのシリーズ化(「FIERCE BLUE」、「FIERCE CONFIDENCE」、「FIERCE RESERVE」、「FIERCE NIGHT」及び「FIERCE GETAWAY」等)の展開も行っており(甲9)、これらのFIERCEシリーズ製品についても実店舗及びオンラインを通じて販売を行っている。

2018年から2025年(2025年については3月24日まで)の各商品についての年間売上高は、例えば、直近の2024年は1億円以上であり(1米ドル当たり145.65円で換算)、いわゆるコロナ禍に差し掛かる直前の2019年では、約2.5億円の売上高である(甲10)。

なお、申立人は、これらのすべてのシリーズ商品の名称「FIERCE ○○」についても積極的に日本国内において商標登録をしており、真摯に日本で香水の販売に努めている(甲11~甲15)。

本件商標が登録されるようであれば、登録商標を活用した申立人のブランディング努力を無駄にして、活動を阻害してしまうことも申し添える。

このように、申立人は、商品「香水」について、「FIERCE」又は「FIERCE ○○」の文字からなる商標を広く使用し今日に至っており、需要者は、「FIERCE」及び「FIERCE ○○」の文字からなる本件商標が、申立人(通称「アバクロ」)が製造販売している商品であるということを本件商標の登録出願時及び登録査定時には、認識することができるようになっている(甲16~甲18)。

なお、本件商標は2段書きの構成を有し、下段に「FIERCE SUN」の文字を表し、上段にその日本語による音訳に相当する「フィアス サン」の文字を表してなる。このような2段書きの商標の商標権者が下段の「FIERCE SUN」の文字のみを商標として使用することは通常行われており、「FIERCE SUN」の文字部分が本件指定商品のうち、「香水」と同一又は類似する商品である「化粧品,香料,薫料」について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

ア(ア) 2009年12月15日付け銀座経済新聞のウェブサイトの記事(以下「ウェブサイト記事」という。)において、「申立人は、2009年12月15日にアジア初の旗艦店を東京都中央区銀座に開店した」旨の記載があり、その開店時には、「FIERCE」の文字を有するポスター(以下「ポスター」という。)の写真が関連記事として掲載され、その写真の説明文に「当該ポスターを500枚配布した」旨の記載がある(甲4、甲5)。

その後、申立人は、2010年11月11日に福岡県、2014年11月22日に静岡県、2015年11月16日に大阪府、2016年10月21日に滋賀県、2019年8月9日に北海道に実店舗を開店したこと(申立人の主張)、これら店舗において、申立人商品の香りを試すための試香紙(甲7)及び「FIERCE COLOGNE」の文字が記載された申立人商品のパンフレット(甲8)を配布したと主張している。

(イ)申立人が運営するショップサイト(甲9)において、その包装容器に「COLOGNE」又は「EAU DE COLOGNE」の文字が記載された、「FIERCE」の文字を付した商品が販売されていることが認められるものの、日付が不明である。

(ウ)申立人の主張及び提出された宣誓書(訳文を含む。)によれば、申立人は、「FIERCE」の文字を使用した申立人商品並びに申立人商品のシリーズ商品「FIERCE BLUE」、「FIERCE CONFIDENCE」、「FIERCE RESERVE」、「FIERCE NIGHT」及び「FIERCE GETAWAY」を販売し、「FIERCE GETAWAY」を除く、それらの売上高は、2024年は1億円以上 、コロナ禍直前の2019年は約2.5億円である(甲9、甲10、申立人の主張、1米ドル当たり145.65円換算)。

イ 上記アからすれば、申立人は引用商標を商品「コロン」又は「オーデコロン」(以下「コロン等」という)に付して使用しているといえる。

また、申立人のアジア初の旗艦店舗として銀座店(東京都中央区)の開店を伝えるウェブサイト記事が掲載され、同記事によれば、商品「コロン」等に引用商標を付した商品(以下、「申立人商品」という)が表示されたポスターが同店で500枚配布されているとしてもその数はさほど多いものとはいえない。

さらに、申立人が主張している国内の店舗数はさほど多いものとはいえず、申立人商品の売上高を示す証拠は申立人が作成したものであり、これを裏付ける証拠の提出はなく、香水市場における(申立人商品の金額ベースの)シェアも明らかではないから、売上高の多寡を判断することはできず、また、申立人商品に係る広告・宣伝の方法、広告費等の詳細等は明らかではない。

そうすると、申立人提出に係る証拠及び同人の主張のみでは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。

その他、申立人の提出に係る証拠及び同人の主張を総合してみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。

したがって、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間において広く知られていたものと認めることができない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、上記1のとおり、「フィアス サン」の片仮名と「FIERCE SUN」の欧文字を上下2段に表してなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定したものであることを容易に認識するものである。

そして、本件商標の構成中の「FIERCE」は、「激しい、猛烈な」の意味を、また「SUN」は「太陽、日ざし」の意味を有する英語(いずれも「ベーシックジーニアス英和辞典第3版」株式会社大修館書店)であるところ、「FIERCE」は、一般に親しまれている語とはいい難いから、「FIERCE SUN」は、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。

してみれば、上記構成からなる本件商標は、「FIERCE」と「SUN」及び「フィアス」と「サン」の文字の間に空白があるものの、上段と下段の文字は、いずれも同書、同大でまとまりよく一体的に表されていること、及び「FIERCE」の文字からなる引用商標は、上記(1)のとおり、需要者の間に広く認識されているとは認められないことからすれば、本件商標の構成中、「SUN」及び「サン」の文字が捨象され、「FIERCE」及び「フィアス」の文字部分のみが強く支配的な印象を与えるということはできないというのが相当である。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「フィアスサン」の称呼のみが生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標

引用商標は、「FIERCE」の欧文字からなるものであり、その構成文字に相応して「フィアス」の称呼を生じ、また、申立人の提出に係る証拠(甲16、甲17)によれば、取引において「フィアース」と称されていることから、「フィアース」の称呼も生じ得るものといえる。

また、上記アのとおり、「FIERCE」は、「激しい、猛烈な」の意味を有する英語ではあるものの、一般に親しまれている語とはいい難いから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。

したがって、引用商標は、「フィアス」又は「フィアース」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の全体と引用商標の比較においては、片仮名と欧文字からなる構成と欧文字のみからなる構成において明らかに相違し、また、本件商標の欧文字部分と引用商標の比較においては、「SUN」の文字の有無の差異からすれば、両商標は明らかに相違し、外観上判然と区別できるものである。

次に、称呼においては、本件商標から生じる「フィアスサン」の称呼と引用商標から生じる「フィアス」の称呼とは、「フィアス」の音を共通にするものの、「サン」の音の有無の差異を有し、また、引用商標から生じる「フィアース」の称呼とは、「サン」の音及び「ー」(長音)の音の有無の差異を有しており、その構成音数が明らかに異なるから、いずれも明瞭に聴別できるものである。

さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。

以上よりすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観において判然と区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別できるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

エ 小括

したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件の指定商品中、申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。

そして、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低い。

そうすると、申立てに係る商品と申立人商品との関連性及び需要者の共通性等を考慮しても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)申立人の主張について

なお、 申立人は、本件商標は「FIERCE」と「SUN」の文字の間に空白があり、「SUN」は、我が国において、「太陽、日光」を意味する語として広く使用され、「SUN」又は「サン」の文字を含む商標が第3類において100件以上登録されていることからすれば、「SUN」及び「サン」の文字は識別力が弱い語である旨主張している。

しかしながら、「SUN」及び「サン」の文字が、我が国において広く使用されている語であること、及び当該文字を含む商標が多数登録されていることをもって、自他商品識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いということはできず、申立人は、「SUN」及び「サン」の文字が、その指定商品との関係において、商品の品質等を認識させる語であることを裏付ける具体的な証拠を提出していないから、申立人の主張は採用することはできない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、申立に係る商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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