結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024000177 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、2019年(平成31年) 4月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年 4月20日 (US)アメリカ合衆国、2019年 4月18日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 5年 1月10日付け:拒絶理由通知
同年 4月17日提出:意見書及び手続補正書
同年 4月26日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知
同年 8月 9日提出:意見書及び手続補正書
同年 8月23日付け:拒絶査定
令和 6年 1月 5日提出:審判請求書及び手続補正書
同年 4月22日提出:上申書
令和 7年 1月28日付け:拒絶理由通知
同年 4月16日提出:意見書及び手続補正書
本願の各請求項に係る発明は、令和 7年 4月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
静脈内カテーテルを通して医療用器具を送達するための送達デバイスであって、
円筒状の内側表面を形成するとともに出口を有するハウジング、
円筒状の外側表面を形成するとともに前記ハウジング内に配置されて前記円筒状の外側表面が前記ハウジングの前記円筒状の内側表面内に配置されるようになっている回転要素であって、前記回転要素は前記回転要素の周囲の少なくとも一部の周りに伸びる溝を有し、前記医療用器具が前記溝内に配置され、前記回転要素が前記回転要素の上面の突起を含み、前記回転要素の回転の中心軸でコネクタを有し、前記コネクタが血液収集デバイスを固定するように構成されており、
使用者が前記突起を回転させて前記ハウジングに対して前記回転要素を回転させることに応じて、前記医療用器具が前記出口を通して遠位に前進され、前記コネクタが前記回転要素とは独立して回転して、前記血液収集デバイスが前記回転要素の回転に対して動かないままでありうるように構成されている、送達デバイス。」
令和 7年 1月28日付けで当審が通知した拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。
理由1.本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許出願公開第2006/0015068号明細書
引用文献2:米国特許出願公開第2009/0277988号明細書
(1)引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、和訳及び下線は当審で付与したものである。)。
「[0087] Referring to FIG. 1 there is seen a partial cross-sectional view of a skin surface referenced 20 and a subcutaneous vein-wall referenced 22. Also seen is a multi-use entry-port, generally referenced 10, subcutaneously introduced into vein 22. Entry-port 10 includes a cannula referenced 24, securing lugs referenced 30, a hub referenced 31, and a Luer Lock adapter referenced 32 attached thereto.」
(当審訳)
[0087] 図1を参照すると、皮膚表面20と皮下静脈壁22の部分断面図が示されている。また、
皮下静脈22に導入された多用途入口ポート10
が示されている。
入口ポート10は、カニューレ24
、固定ラグ30、ハブ31及びルアーロックアダプタ32を
含む
。
「[0095] With regard to maintaining catheter tube 42 in a sterile environment prior to and during use, in accordance with a variation in an embodiment of the present invention, there is an integral sterile environment container, alternative to sterile sheath 48 (FIG. 3). Referring now to FIG. 14, there is seen a generally cylindrical sterile container, generally referenced 70, including a casing referenced 72, an inlet port referenced 74, having a connector 75, axially disposed with respect to casing 72. There is seen a tangentially disposed outlet port referenced 77 having a Luer Lock and a connector referenced 78 thereby to connect port 77 to connector 32 of entry-port 10. Catheter tube 42 is coiled reference 76 within casing 72. After connector 77 is attached to entry-port 10 at adapter 32, catheter tube 42 is extended by reeling from container 70 utilizing a knurled handle referenced 79, thereby to pass through entry-port 10 into a vein (not shown) of a subject.」
(当審訳)
[0095] 使用前及び使用中に、カテーテルチューブ42を無菌環境に維持することに関して、本発明の実施形態における変形例によると、無菌シース48(図3)に代わる一体型の無菌環境容器が存在する。ここで
図14を参照すると、ケーシング72と、ケーシング72に対して軸方向に配置されたコネクタ75を有する入口ポート74とを含む、概ね円筒形の無菌容器70
が示されている。
ルアーロック及びコネクタ78を有する接線方向に配置された出口ポート77が示され
、それによって、ポート77が入口ポート10のコネクタ32に接続される。
カテーテルチューブ42は、ケーシング72内で
参照符号76に示されるように
巻かれている
。
コネクタ77
(当審注;参照符号「77」は「78」の誤記である。)
がアダプタ32で入口ポート10に取り付けられた後、カテーテルチューブ42は、ローレット加工されたハンドル79を使用して容器70から繰り出すことによって伸長され、これにより、入口ポート10を通って患者の静脈(図示せず)に挿入される
。
図1
「
54
116
0001432444000001.jpg
」
図14
「
70
119
0001432444000002.jpg
」
(2)上記(1)の事項を総合すると、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ケーシング72と、ケーシング72に対して軸方向に配置されたコネクタ75を有する入口ポート74とを含む、概ね円筒形の無菌容器70であって、
ルアーロック及びコネクタ78を有する接線方向に配置された出口ポート77を含み、
カテーテルチューブ42がケーシング72内で巻かれており、
コネクタ78がカニューレ24を含む入口ポート10に取り付けられた後、カテーテルチューブ42は、ローレット加工されたハンドル79を使用して容器70から繰り出すことによって伸長され、これにより、入口ポート10を通って患者の静脈に挿入される、
無菌容器70。」
(1)引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「[0001] The invention relates to a device for holding an elastically deformable winding article, in particular a flexible medical instrument such as a medical guidewire or a catheter, with a winding article receptacle and a housing covering the winding article receptacle at least in parts, which form a receptacle space for holding the winding article; and it also relates to an apparatus for winding the winding article into such devices.」
(当審訳)
[0001] 本発明は、
弾性変形可能な巻取物品、特に医療用ガイドワイヤやカテーテル等の可撓性医療器具を保持するための装置
であって、巻取物品容器と、少なくとも部分的に巻取物品容器を覆い、巻取物品を保持するための収容空間を形成するハウジングとを備えた装置に関するものであり、また、巻取物品をこのような装置に巻回するための装置に関するものである。
「[0040] The device preferably only consists of two parts and comprises a winding article receptacle and a housing part surrounding or covering the winding article receptacle at least in parts. An annular receptacle space 16 is formed between the winding article receptacle 12 and the housing part 14 and is provided for holding an elastically deformable winding article 15, in particular elastically deformable instruments such as a medical guidewire, a loop, biopsy forceps or a catheter or the like. This device is preferably used as a medical instrument dispenser.」
(当審訳)
[0040] この装置は、好ましくは2つの部分のみからなり、
巻取物品容器と巻取物品容器を少なくとも部分的に囲む又は覆うハウジング部とからなる
。
環状の収容空間16が、巻取物品容器12とハウジング部14との間に形成され
、弾性変形可能な巻取物品15、特に、医療用ガイドワイヤ、ループ、生検鉗子又はカテーテル等の弾性変形可能な器具を保持するために設けられている。この装置は、好ましくは、医療器具ディスペンサとして使用される。
「[0045] The receptacle space 16 of the device 11 comprises a winding article guide 33 which enables forced guiding during the winding and unwinding process of the winding article 15. This winding article guide 33 is formed by a shaped surface 34 in the winding article receptacle 12 which points into the receptacle space 16. This shaped surface 34 is in particular designed as a grooved surface 34 and comprises an encircling groove 36, with a groove end (not illustrated in any more detail) for example being provided on the inner periphery and forming the winding start for winding the winding article 15. Alternatively, it is also possible to provide a groove end on the outer periphery of the winding article guide 33. One or more grooves 36 or turns of the winding article guide 33 can be laid as a function of the length of the winding article 15 to be wound. 」
(当審訳)
[0045]
装置11の収容空間16は、
巻取物品15の巻取り及び巻戻しプロセス中に強制ガイドを可能にする
巻取物品ガイド33を含んでいる
。この
巻取物品ガイド33は、収容空間16に向けられた巻取物品容器12内の成形面34によって形成されている
。
この成形面34は、特に溝付き面34として設計され
、例えば内周に設けられ、
巻取物品15を巻き取るための巻き取り開始部を形成する溝端部
(詳しくは図示せず)
を有する、包囲溝36を構成する
。あるいは、溝端部を巻取物品ガイド33の外周に設けることも可能である。巻取物品ガイド33の一つ以上の溝36又はターンは、巻取りされる巻取物品15の長さの関数として敷設することができる。
「[0046] The groove 36 is preferably separated by webs 37 arranged in between, so that the individual turns of the winding article 15 are arranged next to one another in a plane in the receptacle space 16 and are respectively provided separately, detached from one another. In accordance with a preferred embodiment of the invention, the height of the webs 37 is dimensioned such that the diameter region of the wires to be held can be completely held in a space formed between the webs 37 and a groove bottom. This makes it possible for a distance to be formed between an end face of the web 37 and the opposite bearing surface 28 of the housing part 14 to be very small. The advantage of this is that jamming or catching in this region is prevented when holding very thin wires. The distance between the end face of the web 37 and the bearing surface 38 of the housing part 14 is preferably smaller than the smallest diameter of the winding article 15 to be held. Such a refinement makes it possible to completely arrange the winding article 15, held in the receptacle space 16, within the clear space between the webs 37 so that the wound winding article 15 is prevented or prevented to the largest possible extent from bearing on the bearing surface 38 of the housing part 14. As a result of the internal stress of the winding article 15, it respectively bears on an end face of the web delimiting the outer periphery of the respective hollow space.」
(当審訳)
[0046]
溝36は
、好ましくは、
間に配置されたウェブ37によって分離されており、その結果、巻取物品15の個々の巻線は、収容空間16内の平面内で互いに隣接して配置され
、それぞれが互いに離間して別々に設けられる。本発明の好ましい実施形態によれば、ウェブ37の高さは、保持されるべきワイヤの直径領域がウェブ37と溝底との間に形成される空間内に完全に保持され得るように寸法決めされる。これにより、ウェブ37の端面とハウジング部14の反対側の支持面28との間の距離を非常に小さくすることが可能になる。この利点は、非常に細いワイヤを保持する場合に、この領域での詰まりや引っ掛かりが防止されることである。ウェブ37の端面とハウジング部14の支持面38との間の距離は、保持される巻取物品15の最小直径よりも小さいことが好ましい。このような改良により、収容空間16に保持された巻取物品15を、ウェブ37の間の明確な空間内に完全に配置することが可能になり、巻取物品15がハウジング部14の支持面38に当接することが防止されるか、又は最大限に防止される。巻取物品15の内部応力の結果として、巻取物品15は、それぞれの中空空間の外周を区切るウェブの端面にそれぞれ当接する。
「[0052] FIG. 6 illustrates a perspective view of an alternative embodiment of the device 11. This alternative embodiment of the device 11 differs from the previously described embodiment in that the receptacle space 16 is aligned axially with respect to the axis of rotation 17 of the winding article receptacle 12 and of the housing part 14 of the device 11. The advantages and methods of operation of this alternative embodiment in accordance with FIG. 6 are analogous to those of the previously described embodiment. FIGS. 7a and 7b show a view of the top side and the bottom side of the alternative embodiments in accordance with FIG. 6.
[0053] As a result of the alternative arrangement of the receptacle space 16, the winding article receptacle 12 is in the form of a ring, for example, which for example has a U-shaped cross section, as illustrated in a full cross section in FIG. 8. The winding article guide 33, in particular the shaped surface 34, is provided on the radial outer limb of the U-shaped cross section of the winding article receptacle 12.」
(当審訳)
[0052] 図6は、装置11の代替実施形態の斜視図を示す。装置11のこの別の実施形態では、
収容空間16が、巻取物品容器12及び装置11のハウジング部14の回転軸17に対して軸方向に整列されている
点で、先に説明した実施形態と異なる。図6に基づいた本代替実施形態の利点及び操作方法は、先に説明した実施形態のものと同様である。図7a及び7bは、図6に基づく実施形態の上面及び下面を示す図である。
[0053] 収容空間16の代替的な配置の結果として、
巻取物品容器12は、図8の断面図のように、
例えばU字形断面を有する
リングの形態である
。
巻取物品ガイド33、特に成形面34は、巻取物品容器12の
U字形断面の
半径方向外側の縁に設けられている
。
図6
「
57
93
0001432444000003.jpg
」
図8
「
121
88
0001432444000004.jpg
」
(2)上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されている。
「可撓性医療器具を保持するための装置11において、巻取物品容器12と巻取物品容器12を少なくとも部分的に囲む又は覆うハウジング部14とからなり、巻取物品容器12とハウジング部14との間に収容空間16が形成され、収容空間16は、巻取物品容器12内の成形面34によって形成される巻取物品ガイド33を含んでおり、巻取物品ガイド33の成形面34は、溝付き面34として設計され、包囲溝36を構成し、包囲溝36が、間に配置されたウェブ37によって分離された結果、巻取物品15の個々の巻線は、収容空間16内の平面内で互いに隣接して配置され、巻取物品ガイド33は、リングの形態である巻取物品容器12の半径方向外側の縁に設けられている。」
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
[1002] 本明細書に記載する実施形態は、一般に医療機器に関する。更に具体的には、本明細書に記載する実施形態は、
静脈カテーテルによる瀉血のためのシステム
及び方法に関する。」
「【0042】
[1068] ・・・図9~図14は、
末梢静脈ラインによる瀉血のために用いられる装置6000
を示す。
装置6000は、イントロデューサ6100、カニューレ6200、及びアダプタ6400を含む
。装置6000は、いずれかの適切な形状、大きさ、又は構成とすることができ、例えば末梢静脈ライン(PIV)6300に結合するように構成されている。」
「【0049】
[1075]
カニューレ6200は、管腔6201(図11)を画定し、イントロデューサ6100内で移動可能に配置されるように構成されている
。」
「【0051】
[1077]
アクチュエータ6500は、カニューレ6200の近位端6220に結合され、イントロデューサ6100に対してカニューレ6200を第1の構成と第2の構成との間で移動させるように構成されている
。」
「【0054】
[1080]
アクチュエータ6500の近位端6540は二次カニューレ6250に結合され、二次カニューレ6250は更に容器被覆6270に結合するように構成されている
。
容器被覆6270は、流体貯蔵槽(
例えばVacutainer(登録商標)等の
従来の瀉血流体容器)を受容するように構成されたキャビティ6271を画定する
。更に具体的には、二次カニューレ6250は管腔6253を画定し、ロック機構6524に結合するように構成された近位端6252を含む。ロック機構6524は、容器被覆6270に結合するように構成することができる。更にロック機構6524は、外装6526内に配置された針6255を含み、これは、容器被覆6270内に流体貯蔵槽(図示せず)が配置されている場合に、流体貯蔵槽の一部を突き刺すように(例えば図3を参照して上述したように)構成されている。従って、カニューレ6200の近位端6220が連結器6530に結合され、二次カニューレ6250がアダプタ6500の近位端6540に結合されていると、アダプタ6500は、カニューレ6200(例えばカニューレ6200によって画定された管腔6201)を、二次カニューレ6250(例えば二次カニューレ6250の管腔6253)及び流体貯蔵槽(図示せず)と流体連通して配置するように構成されている。
【0055】
[1081] 二次カニューレ6250を含むものとして記載しているが、いくつかの実施形態では、
装置6000が二次カニューレ6250を含むことは必須ではない。かかる実施形態において、カニューレ6200は、遠位端6230からコネクタ6530を介して容器被覆6270まで連続的な流体経路(例えば管腔6201)を画定することができる
。他の実施形態では、容器被覆6270は、物理的及び流体的にアクチュエータ6500に結合するように構成することができる。」
「【0060】
[1086] 図13に図示していないが、
容器被覆6270によって画定されるキャビティ6271内に流体容器
(例えばVacutainer(登録商標))
を配置することで、外装6256が針6255から外され、針6255が流体容器を突き刺し、これによって流体容器を患者の静脈と流体連通して配置させることができるようになっている
。他の実施形態において、流体容器は、容器被覆6270及び/又はイントロデューサと一体に形成することができ、アクチュエータ6500の移動によって針6255が流体容器を突き刺すようにすることができる。いくつかの実施形態では、流体容器は負圧を画定するように構成されている(例えばVacutainer(登録商標))。かかる実施形態では、針6255が流体容器を突き刺すと、流体容器内の負圧によって、二次カニューレ6250の管腔6253及びカニューレ6200の管腔6201内に吸引力が与えられる。図13の矢印GGで示すように、吸引力によって、体液(例えば血液)がカニューレ6200の管腔6201及び二次カニューレ6250の管腔6253に吸い込まれて流体容器内に入るようになっている。このようにして、瀉血専門医は、追加の針の刺入を行う必要なく、
既存の末梢静脈ラインを介して所与の量の血液を収集する(例えば吸い込む)ことができる
。」
「【図9】
74
102
0001432444000005.jpg
」
「【図13】
68
105
0001432444000006.jpg
」
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「無菌容器70」は、「カテーテルチューブ42」を「入口ポート10を通」して「患者の静脈に挿入」するものである。ここで、引用発明の「入口ポート10」に含まれる「カニューレ24」は、引用文献1の図1から静脈22に導入されることが看て取れるので、本願発明の「静脈内カテーテル」に相当し、引用発明の「カテーテルチューブ42」は、本願明細書の段落【0037】の「器具42はカテーテル又は採血チューブを含むことができ」との記載を踏まえれば、本願発明の「医療用器具」に相当する。
したがって、引用発明の「無菌容器70」は、本願発明の「静脈内カテーテルを通して医療用器具を送達するための送達デバイス」に相当する。
(2)引用発明の「ケーシング72」は本願発明の「ハウジング」に相当する。そして、引用発明の「無菌容器70」は、「ケーシング72」「を含む、概ね円筒形」であり、該「ケーシング72」の内側表面は円筒状であることは自明である。
また、引用発明の「ルアーロック及びコネクタ78を有する接線方向に配置された出口ポート77」は、本願発明の「出口」に相当する。
したがって、引用発明の「ルアーロック及びコネクタ78を有する接線方向に配置された出口ポート77を含」む「ケーシング72」は、本願発明の「円筒状の内側表面を形成するとともに出口を有するハウジング」に相当する。
(3)引用発明の「カテーテルチューブ42」は、「ケーシング72内で巻かれており」、「ローレット加工されたハンドル79を使用して容器70から繰り出すことによって伸長され」るから、該ハンドル79を回転させることでカテーテルチューブ42を繰り出され、カテーテルチューブ42が、ケーシング72内に配置される回転要素に巻き付けられていることは自明である。
してみると、引用発明の「カテーテルチューブ42がケーシング72内で巻かれて」いることと、本願発明の「円筒状の外側表面を形成するとともに前記ハウジング内に配置されて前記円筒状の外側表面が前記ハウジングの前記円筒状の内側表面内に配置されるようになっている回転要素であって、前記回転要素は前記回転要素の周囲の少なくとも一部の周りに伸びる溝を有し、前記医療用器具が前記溝内に配置され」ることとは、ハウジング内に配置される回転要素に医療用器具が配置されることの限りで一致する。
(4)引用発明は、「ローレット加工されたハンドル79を使用して容器70から繰り出すことによって伸長され」るものであり、上記(3)のとおり、カテーテルチューブ42が、ケーシング72内に配置される回転要素に巻き付けられていることは自明であるから、ハンドル79は回転要素に接続されている。
してみると、引用発明の「ローレット加工されたハンドル79」と、本願発明の「前記回転要素が前記回転要素の上面」に「含む」「突起」とは、回転要素に接続された突起であることの限りで一致する。
(5)引用発明の「ケーシング72に対して軸方向に配置されたコネクタ75を有する入口ポート74」「を含む」ことと、本願発明の「前記回転要素の回転の中心軸でコネクタを有」することとは、上記(3)を踏まえれば、回転要素の中心軸の方向に配置されたコネクタを有することの限りで一致する。
(6)引用発明の「コネクタ78がカニューレ24を含む入口ポート10に取り付けられた後、カテーテルチューブ42は、ローレット加工されたハンドル79を使用して容器70から繰り出すことによって伸長され、これにより、入口ポート10を通って患者の静脈に挿入される」ことは、本願発明の「使用者が前記突起を回転させて前記ハウジングに対して前記回転要素を回転させることに応じて、前記医療用器具が前記出口を通して遠位に前進され」ることに相当する。
(7)したがって、本願発明と引用発明とは、
「静脈内カテーテルを通して医療用器具を送達するための送達デバイスであって、
円筒状の内側表面を形成するとともに出口を有するハウジング、
ハウジング内に配置される回転要素であって、前記回転要素に前記医療用器具が配置され、前記回転要素に接続された突起を含み、前記回転要素の中心軸の方向に配置されたコネクタを有しており、
使用者が前記突起を回転させて前記ハウジングに対して前記回転要素を回転させることに応じて、前記医療用器具が前記出口を通して遠位に前進されるように構成されている、送達デバイス。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
回転要素に関し、本願発明は「円筒状の外側表面を形成するとともに前記ハウジング内に配置されて前記円筒状の外側表面が前記ハウジングの前記円筒状の内側表面内に配置されるようになっている」回転要素であって、「前記回転要素は前記回転要素の周囲の少なくとも一部の周りに伸びる溝を有し、前記医療用器具が前記溝内に配置され」るのに対し、引用発明は、カテーテルチューブ42がケーシング72内で巻かれている点。
<相違点2>
回転要素に接続された突起に関し、本願発明は、「前記回転要素の上面」に構成されるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
<相違点3>
コネクタに関し、本願発明は「回転要素の回転の中心軸で」コネクタを有するのに対し、引用発明は、ケーシング72に対して軸方向に配置されている点。
<相違点4>
本願発明は、コネクタが「血液収集デバイスを固定するように構成されて」おり、「前記コネクタが前記回転要素とは独立して回転して、前記血液収集デバイスが前記回転要素の回転に対して動かないままでありうるように構成されている」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
上記各相違点について以下検討する。
<相違点1について>
引用発明と引用文献2記載の事項とは、いずれも医療用器具を送達するためのデバイスという関連する技術分野に属するとともに、医療用器具を回転要素に巻き回してハウジング内に配置し、該回転要素を回転させることで医療用器具を遠位に前進させるという共通の機能を有している。
してみると、引用発明において、カテーテルチューブ42を巻き付けている回転要素を具体化するに際して引用文献2記載の事項を採用し、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
<相違点2について>
上記1(5)で説示したとおり、引用発明のハンドル79は回転要素に接続されるものであり、その接続態様として、回転要素の上面にハンドル79を構成することは、通常のことであって、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
<相違点3について>
引用発明のコネクタ75について、引用文献1の図14から、ケーシング72の中心軸上にあることが看て取れる。そして、引用発明のケーシング72内に、カテーテルチューブ42を巻き付ける回転要素が配置されていることは明らかであり、当該回転要素の回転中心をケーシング72の中心軸と一致させることが一般的であるので、コネクタ75は回転要素の回転の中心軸にある。
仮に、そうでないとしても、コネクタ75を回転要素の回転の中心軸にあるように構成することは、一般的な配置であって、当業者が適宜なし得る程度の事項である。
<相違点4について>
静脈内カテーテルを通して医療用器具を送達するためのデバイスにおいて、血液収集デバイスをコネクタに固定することは、周知の技術であり(例えば、引用文献3(上記第4の3で摘記した事項(特に下線部)及び図示内容)を参照。以下「周知の技術事項」という。)、引用発明におけるコネクタ75に血液収集デバイスを固定することは、当業者であれば容易になし得たことである。その際、コネクタ75が独立して回転して、血液収集デバイスが動かないままでありえるように構成することは、いわゆるロータリージョイント、例えば、散水用のホースリールにおいて、水道の蛇口とリールとを接続するホースのねじれを防止するために、該ホースをリールに接続するコネクタがリールとは独立して回転する構成(必要であれば、登録実用新案第3116752号公報に記載される「回転可能コネクタ40」を参照。)が一般的に採用されていることを踏まえれば、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
また、本願発明の効果についても、引用発明、引用文献2記載の事項及び周知の技術事項から当業者が予測し得る程度のものであり、格別顕著なものではない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の事項及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の事項及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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