sokuhyo

Trademark Appeal Case

手続補正却下の理由

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024010186
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は,平成27年7月23日(パリ条約による優先権主張 2014年7月30日(以下「優先日」という。)、米国)に出願した特願2015-145410号の一部を令和2年8月28日に新たな特許出願とした特願2020-144902号の一部を令和4年9月9日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和5年 8月 3日付け:拒絶理由通知書

令和6年 1月 9日 :意見書、手続補正書の提出

同年 2月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月19日 :原査定の謄本の送達)

同年 6月19日 :審判請求書、手続補正書の提出

同年 7月25日付け:前置報告書

令和7年 3月17日 :上申書の提出

第2 令和6年6月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年6月19日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]

1 補正の内容

令和6年6月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年1月9日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。

(1) 本件補正前

「【請求項1】

電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)であって、

導体(14、15、16)を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)であって、

非磁性基板(102)、

前記非磁性基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)、および

誘電率を有し、前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された前記誘電材料(108)を備えるセンサデバイス(12、200)と、

前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)とを備える需給計器(10)であって、

前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように選択され、

前記非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、前記コイル(104)の複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)の各々の周りに巻かれ、前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有する、需給計器(10)。」

(2) 本件補正後

「【請求項1】

電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)であって、

導体(14、15、16)を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)であって、

非磁性基板(102)、

前記非磁性基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)、および

誘電率を有し、前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された前記誘電材料(108)を備えるセンサデバイス(12、200)と、

前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)とを備える需給計器(10)であって、

前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように選択され、

前記非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、前記コイル(104)の複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)の各々の周りに巻かれ、前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有

し、それにより、電圧は、前記センサデバイス(12)によってではなく、前記センサデバイス(12)と異なる場所において測定され

る、需給計器(10)。」

2 補正の目的

本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有する」ことについて、より下位概念の「前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有

し、それにより、電圧は、前記センサデバイス(12)によってではなく、前記センサデバイス(12)と異なる場所において測定され

る」ことに限定するものである。

そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。

3 独立特許要件の判断

本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。

(1) 本件補正発明

ア 本件補正発明の認定と分説

本件補正発明は、前記1(2)に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。なお、必要に応じて、改行を加えて表記している。また、参考図として、本願の【図1】及び【図2】に部材名を記入したものを掲載する。

<本件補正発明の分説>

X 電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)であって、

A 導体(14、15、16)を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)であって、

A1 非磁性基板(102)、

A2 前記非磁性基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)、および

A3 誘電率を有し、前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された前記誘電材料(108)を備える

A センサデバイス(12、200)と、

B 前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)とを備える

X 需給計器(10)であって、

C 前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように選択され、

D 前記非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、前記コイル(104)の複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)の各々の周りに巻かれ、

E 前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有し、それにより、電圧は、前記センサデバイス(12)によってではなく、前記センサデバイス(12)と異なる場所において測定される、

X 需給計器(10)。

<参考図>

【図1】

77

153

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【図2】

80

153

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イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載

本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は、当合議体において付したものである。

「【背景技術】

【0002】

少なくともいくつかの公知の需給計器が、電源から使用者に供給される電力を測定するのに使用される。使用者に供給されるエネルギーの量を正確に測定することを可能にするために、需給計器は、しばしば、電源と使用者との間の導体を流れる電流を感知するために1つまたは複数のセンサデバイスを含む。需給計器に含まれたとき、センサデバイスは、電圧および/または電流の動作範囲にわたって正確に機能することが意図されている。

【0003】

様々な種類の公知の電流センサデバイスが需給計器に使用される。例えば、少なくともいくつかの公知の変圧器センサデバイスは、導体を流れる電流を感知するためにマグネットワイヤをその上に巻いた磁心を含む。しかし、変圧器を含む電流センサデバイスは、一般に、かさばり、高価であることが知られている。磁心を有する電流センサデバイスは、外部の磁界の影響を受けやすいことがある。外部の磁界にさらされると、磁心の電流センサデバイスの精度が低減し、場合により、精度が、電流デバイスが感知するはずの電流のわずか8%しか電流デバイスが示さない点まで低減することがある。温度サイクルも電流センサの磁心に影響することがあり、電流センサの精度を低減する磁気ドリフトを生じることがある。

【0004】

公知の電流センサデバイスの別の例は、ロゴスキーコイルである。ロゴスキーコイルは、コイルを含み、一般に変圧器センサデバイスより小さい。しかし、

ロゴスキーコイルは、ある電圧の範囲にわたって低電流および/または高電流状態の間、限定された精度だけを提供することが知られている。その結果、製造時には、公知のゴスキーコイルを有する需給計器は、しばしば、複数の校正プロセスを受けて、これらの不正確さの影響を最小限に抑える。これらの校正プロセスを反復することにより、このようなセンサデバイスの不正確さを低減することができるが、このプロセスにより、需給計器の製造時間と費用も増大する

。」

「【0016】

(前略)例示的な実施形態においては、誘電材料108は、コイル104と導体14との間に画定される空隙106の少なくとも一部分内に配置される。その結果、誘電材料108は、コイル104と導体14との間の容量の低減に影響し、および/または容量の低減を容易にし、コイル104と導体14とがごく接近したままであることが可能になる。

【0017】

容量の低減により、センサデバイス12は、公知のロゴスキーコイルまたは他の空隙コイルに比べて、導体14を流れる電流を改善された精度で感知することが可能になる。より具体的には、コイル104と導体14との間の容量結合を低減することにより、動作電圧に対する感度が低減される。その結果、高電流および低電流を含む、異なる電流の範囲にわたって異なる動作電圧において一貫した電流感知が提供される。したがって、センサデバイス12が需給計器10に含まれたとき、公知のセンサデバイスを校正するために必要な1つまたは複数のプロセスを省略することができる。具体的には、例示的な実施形態においては、

異なる動作電圧にわたって正確に電流を検知するセンサデバイス12の一貫性により、異なる電圧において使用するのに複数の校正係数を必要とする公知の需給計器と比べて、計器制御盤17が複数の動作電圧に対して1つの校正係数だけを使用することが可能になり得る。

さらに、コイル104と導体14との間の容量の低減により、校正プロセスの低減および/または簡略化が容易になるだけでなく、動作電圧/電流の範囲にわたって少なくとも同じおよびしばしば改善された精度で製造費用、資源、および/または時間の低減が容易にもなる。」

「【0050】

空芯を有するインダクタとして、センサデバイス12は、電圧非依存である。従来の電流変圧器が、高電圧で焼損することがあるのに対して、センサデバイス12は、どんな電圧が導体14を通過するのかに関係なく、導体14を通る電流を読み取ることができる。

電圧は、コイル104の動作に影響しない。電圧は、センサデバイス12によって測定もされず、むしろ、電力供給システムにおける異なる場所において測定される。」

(2) 引用文献の記載事項及び引用発明等の認定

ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定

(ア) 引用文献1に記載された事項

原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2013-61329号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記(イ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。

a 【0001】~【0006】

「【技術分野】

【0001】

本発明の分野は、一般にセンサ装置および感知方法に関し、さらに詳細には、導体を流れる電流の感知に関する。

【背景技術】

【0002】

電力源から利用者に供給される電気を測定するために

、少なくともいくつかの

需給計器が使用されている

。利用者に供給されるエネルギーの量を正確に計測できるようにするために、多くの需給計器は、電力源と利用者の間の導体を流れる電流を感知するためのセンサ装置を1つまたは複数含む。需給計器に含まれるセンサ装置は、電圧および/または電流の動作範囲で正確に機能するようになっている。

【0003】

需給計器では、様々なタイプの既知の電流センサ装置が使用される。例えば、少なくとも一部の既知の変圧器センサ装置は、導体を流れる電流を感知するためのマグネットワイヤが巻き付けられた磁心を含む。しかし、変圧器を含む電流センサ装置は、一般に、嵩張り、かつ高価であることが知られている。既知の電流センサ装置の別の例としては、ロゴスキーコイルがある。ロゴスキーコイルは、コイルを含み、一般に変圧器センサ装置よりも小さい。しかし、ロゴスキーコイルは、ある電圧範囲において低電流状態および/または高電流状態になると限られた精度しかもたらさないことが知られている。その結果、このような不正確さの影響を最小限に抑えるために、既知のロゴスキーコイルを備える需給計器に対しては、製造時に複数回の較正プロセスを行うことが多い。このように較正プロセスを繰り返すことによってセンサ装置の不正確さを低減することはできるが、これらのプロセスによって、需給計器の製造に要する時間およびコストも増大する。

【発明の概要】

【0004】

1つの態様では、導体中の電流の検出に使用されるセンサ装置が提供される。このセンサ装置は、その中に導体を受けるように構成された開口を画定する非磁性基体と、該基体の少なくとも一部分の周りに巻き付けた複数のコイルターンからなるコイルと、該基体と該複数のコイルターンとの間の第1のシールドと、該複数のコイルターンが該第1のシールドと第2のシールドとの間に配置されるように該複数のコイルターンに近接して該第1のシールドとは反対側に配置される第2のシールドと、該第1および第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合されるフィルタ要素とを備える。

【0005】

別の態様では、電力源から利用者に電気エネルギーを伝送するのに使用される需給計器が提供される。この需給計器は、導体と、少なくとも部分的に該導体の周りに配置されたセンサ装置とを含む。このセンサ装置は、開口を画定する非磁性基体と、該非磁性基体の少なくとも一部分の周りに巻き付けた複数のコイルターンからなるコイルと、該基体と該複数のコイルターンとの間にある第1のシールドと、該複数のコイルターンに近接して該第1のシールドとは反対側にある第2のシールドと、該コイルと該第1および第2のシールドのうちの少なくとも一方との間に結合されるフィルタ要素とを備える。

【0006】

さらに別の態様では、導体中の電流を検出するセンサ装置を作製する方法が提供される。この方法は、開口を画定する非磁性基体と、該非磁性基体の少なくとも一部分の周りの複数のコイルターンからなるコイルと、該基体と該複数のコイルターンとの間に配置される第1のシールドと、該複数のコイルターンに近接して該第1のシールドとは反対側に配置される第2のシールドとを備えるセンサ装置を設けるステップを含む。この方法は、第1のリード線を該第1のシールドおよび該第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合するステップと、第2のリード線を該コイルの第1の端部に結合するステップと、第3のリード線を該コイルの第2の端部に結合するステップと、該第1、第2および第3のリード線で撚りリード線セットを形成するステップとを含む。」

b 【0008】~【0017】、【図1】~【図3】

「【0008】

図1は、例示的な需給計器10を示すブロック図である。この例示的な実施形態では、

需給計器10は、センサ装置12、導体14、およびセンサ装置12に結合された計器制御盤17を含む

導体14としては、

母線、マルチストランドワイヤ、シングルストランドワイヤ、ケーブル、またはその他の、

電力源から電力利用者に電気を伝送する適当な導体などが挙げられる

。電力源としては、ガスタービンエンジン、水力発電タービン、風力タービン、ソーラーパネル、ならびに/あるいは別の適当な発電および/または伝送システムなどの、電力網および/または発電システムが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。電力源としては、計器制御盤17と通信するスマートグリッドもある。利用者としては、一般家庭利用者、商用利用者、および/またはその他の任意レベルの任意の電気利用者が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。

センサ装置12は、導体14に結合されて、導体14を流れる電流を感知する。センサ装置12は、感知した電流を表す信号を、計器制御盤17に提供する

センサ装置12から受信した信号に基づいて、計器制御盤17は、ある期間にわたって電力源から利用者に導体14を通じて伝送される電気の量を決定する

。」

「【図1】

70

153

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「【0009】

課金は、電力源から利用者に伝送される電気に対して行われることがあるので、センサ装置12の精度を高くして、電力源の運営業者が当該利用者に伝送した実質的に全ての電気に対して課金されるのではなく、当該利用者が実質的に受け取った電気に対してのみ課金されることが確実になされるようにすることが望ましい。

【0010】

この例示的な実施形態では、需給計器10は、導体15および16と、導体15に結合された別のセンサ装置12とをさらに含む。なお、他の需給計器の実施態様では、任意数の導体および/またはセンサ装置(例えば、1つでも、3つでも、6つでもよい)を使用することができることを理解されたい。さらに、センサ装置12は、需給計器10内の使用のみに限定されず、発電分野、公共事業分野、自動車分野、電化製品分野、電気通信分野など、実質的にどのような適用分野でも、導体を流れる電流を感知するために利用することができることも理解されたい。

【0011】

図2は、例示的なセンサ装置12を示す部分分解図である。この例示的な実施形態では、

センサ装置12は、基体102、基体102の周りに巻き付けた複数ターンからなるコイル104、および誘電材料108を含む

コイル104には開口110が画定されており、この開口110は、その中に導体14を受けるように

(例えばサイズ、向き、および/または形状などが)

構成されている

誘電材料108は、コイル104に近接して、少なくとも一部が開口110内に入るように位置決めされる。さらに詳細には

、本実施形態では、

誘電材料108は、導体14を開口110に通して位置決めしたときに、少なくとも一部がコイル104と導体14の間に位置決めされる

。」

「【図2】

88

153

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「【0012】

誘電材料108としては、様々に構成される様々な特徴を有する1つまたは複数の誘電材料が挙げられる。例えば、

誘電材料108は、約10~1000Hzで約3.0以上の誘電率を有することができる

。実施形態によっては、誘電率は、約3.5、約4.0、約5.0、約8.0、約12.0、約17.0および/またはその他の任意の適当な値を超えることもある。例示的な1実施形態では、誘電材料108の誘電率は、約3.5に等しくすることができる。別の例示的な実施形態では、誘電材料108の誘電率は、約6.0に等しくすることができる。

【0013】

さらに、誘電材料108は、少なくとも1つの厚さを有するが、複数の厚さを有していてもよい。例示的な本実施形態では、コイル104に近接して少なくとも一部が開口110の中に位置決めされる誘電材料108の厚さは、約3.0ミリメートルである。また、本実施形態では、コイル104に近接するが開口110に対向して位置決めされる誘電材料108の厚さは、約1.2ミリメートルである。誘電材料108は、任意の1つまたは複数の厚さを有することができ、それによってセンサ装置12が本明細書に記載するような機能を発揮することができることを理解されたい。一般に、誘電材料108の厚さは、少なくとも部分的には、誘電材料108の誘電率、コイル104の1つまたは複数の導体14、15および16に対する近さ、および/または所期の環境内におけるセンサ装置の設置に利用できるスペースなどに基づいて選択される。いくつかの例示的な実施形態では、誘電材料108の厚さは、約1.0ミリメートルから約3.0ミリメートルの間とすることができるが、他の実施形態では、それより大きいこともある。

【0014】

例示的な本実施形態では、誘電材料108は、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、セラミック材料、金属材料、木材料、粘土材料、有機材料、これらの任意の混合物、および/または本明細書に記載するように作用するその他の適当な材料など(ただしこれらに限定されない)、いくつかのタイプの材料のうちの1つまたは複数から作製される。図2に示す例示的な実施形態では、誘電材料108は、Valox(登録商標)シリーズの材料として市販されているPBT熱可塑性材料を含む。様々な実施形態において、誘電材料108は、Kapton(登録商標)テープ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)材料、室温加硫シリコーン(RTV)ポリマー、Valox(登録商標)シリーズの材料として市販されているPBT熱可塑性材料(例えばValox(登録商標)365またはValox(登録商標)V9561など)、Rynite(登録商標)シリーズの材料として市販されているポリエチレンテレフタラート(PET)熱可塑性材料、Prime(登録商標)シリーズの材料として市販されているPPS熱可塑性材料、Zytel(登録商標)、Stanyl(登録商標)またはRTP(登録商標)シリーズの材料として市販されているナイロン熱可塑性材料、LCP熱可塑性材料(例えばSumitomo(登録商標)E5008LまたはE4008L材料など)など(ただしこれらに限定されない)のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数のタイプの誘電材料108を、その1つまたは複数の材料の誘電率、1つまたは複数の製造技術に対する適合性、寸法安定性、コスト、成形性、加工性、剛性、および/またはその他の特徴に基づいて選択することができる。少なくとも1つの例では、誘電材料108は、少なくとも部分的には、誘電率の温度変動性に基づいて選択される。

【0015】

図3は、導体14が開口110を通して延在している状態のセンサ装置12の組み立てられた状態を示す斜視図である。上述のように、センサ装置12は、導体14を流れる電流を感知する。詳細には、導体14に電流が流れると、コイル104に電流が誘導される。コイル104に誘導された電流の量は、導体14に流れる電流の量を表している。

センサ装置12が導体14の周りに位置決めされている

とき、コイル104は、導体14からある距離だけ離間している。したがって、コイル104と導体14の間に静電容量が存在する。この静電容量は、様々な動作電圧(例えば約30Vから約277Vの範囲)でセンサ装置12の精度に影響を及ぼす可能性がある。例示的な実施形態では、

誘電材料108は、コイル104と導体14の間に画定されたエアギャップ106の少なくとも一部分の中に位置決めされる。その結果、誘電材料108は、コイル104および導体14を近接させたまま、コイル104と導体14の間の静電容量の低下に影響を及ぼし、および/またはそれを促進する。

「【図3】

102

149

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「【0016】

このように静電容量を低下させることにより、センサ装置12は、既知のロゴスキーコイルまたはその他のエアギャップコイルと比較して、より高い精度で導体14を流れる電流を感知することができるようになる。さらに詳細には、

コイル104と導体14の間の容量結合を低減することにより、動作電圧に対する感度を低下させる

その結果、高電流および定電流

(当審注:「定電流」は「低電流」の誤記である。)

を含む様々な電流範囲にわたって、様々な動作電圧で、一貫した電流検知が行われる

。したがって、需給計器10がセンサ装置12を含む場合には、既知のセンサ装置の較正に必要な1つまたは複数のプロセスを省略することができる。具体的には、例示的な本実施形態では、

様々な動作電圧にわたって正確に電流を検出するセンサ装置12の一貫性により、

既知の需給計器を様々な電圧で使用するためには複数の較正係数が必要であるのに対して、

計器制御盤17は、複数の動作電圧に対して較正係数を1つ使用するだけでよい

。さらに、コイル104と導体14の間の静電容量が低下することにより、較正プロセスの削減および/または簡略化が容易になるだけでなく、動作電圧/電流範囲にわたって精度を最低でも同等に維持しながら、また多くの場合には向上させながら、製造に要するコスト、資源および/または時間を削減することが容易になる。

【0017】

図3に示すように、例示的な本実施形態では、センサ装置12は、筐体112を含む。筐体112は、様々な材料で、および/または様々な作製プロセスで形成することができる。例示的な本実施形態では、筐体112は、実質的に誘電材料108のみを含むので、誘電材料108は、コイル104の周りに、開口110と対向するように位置決めされる。したがって、センサ装置12は、3相導体14、15および16を有する需給計器10内で使用するときには、導体14の周りに、(図1に示すように)少なくとも1つの別の導体15に近接するように、また場合によっては導体16にも近接するように、位置決めすることができる。コイル104と導体14の間の相互作用と同様に、コイル104と導体15の間にも静電容量が存在し、これがセンサ装置12の精度に悪影響を及ぼし、および/または低下させることがある。誘電材料108は、開口110に対向する位置にあるので、コイル104と近接する導体15の間に位置決めされる。したがって、誘電材料108は、コイル104と導体15の間の静電容量を低下させるためにも設けられている。このようにして、センサ装置12は、複数の導体を有する需給計器10に使用されたとき、および/または1つまたは複数のその他の導体に近接して使用されたときに、既知のエアギャップコイルよりも高い精度を出すことができる。」

c 【0026】~【0030】、【図5】

「【0026】

例示的な本実施形態では、

コイル104は、

例示的な

ロゴスキーコイルを含む

。ただし、センサ装置12は、ロゴスキーコイル以外のコイルを含むことができることを理解されたい。さらに、本開示の態様は、本明細書で説明および例示するようにロゴスキーコイルとともに使用する態様のみに限定されるわけではない。

【0027】

図5は、筐体112から分離した基体102およびコイル104を示す斜視図である。例示的な本実施形態では、

基体102は、6個のボビン124、126、128、130、132および134

(まとめてボビン124~134と記載する)

を含む

各ボビン124~134は、ほぼ円形の断面を有し、さらに詳細には、両端にコイル104を保持するためのフランジ135を備えた直円柱である。

その他の実施形態では、基体102は、異なる数、形状および/またはサイズのボビンを有することができる。例えば、基体102が備えるボビンの数は、5個であっても、8個であっても、10個であっても、30個であっても、あるいはそれ以外の偶数または奇数の数であってもよい。さらに、基体102は、異なる形状を有し、および/または卵形、楕円形または方形の断面などを有するボビンを備えることもできる。さらに別の実施形態では、基体102は、フランジ35に加えて、またはフランジ35の代わりに、コイル104を支持する別の構造を備えることもできる。少なくとも1つの実施形態では、コイル104は、基体102を省略することができるだけの剛性を有している。」

「【図5】

105

153

0001432600000006.jpg

「【0028】

例示的な本実施形態では、ボビン124~134は、ヒンジ接合137によって互いに結合される。さらに詳細には、ボビン124と126は、ヒンジで結合されてその間で枢動することができる。様々な実施形態で、ボビン124~134は、コイル104を効率的に巻くことができるように一直線に整列させ、その後互いに枢動させて、図5に示すようにほぼ円形の形状を形成することができる。

【0029】

基体102の各ボビン124~134は非磁性構造であり、

ボビン124~134が、例えば熱可塑性材料、セラミック材料、木材料またはその他の1種類または複数種類の適当な材料などを含めて、1つまたは複数の非磁性材料で構成されるようになっている。例示的な本実施形態では、各ボビン124~134は、誘電材料で作製され、この誘電材料は、おそらく誘電材料108と一致している。

非磁性基体102を使用することにより、1つまたは複数の磁心を備える既知のセンサ装置に優るコスト削減が可能になる。

さらに、例示的な本実施形態では、基体102は、嵩張る磁心を備える既知のセンサ装置と比較して、需給計器10内および/または計器制御盤17への取付けが改善されるような形状および/またはサイズを有している。さらに、例示的な本実施形態では、ボビン124~134は、筐体112とは別個に形成される。ただし、その他のセンサ装置の実施形態では、ボビン124~134は、筐体112と一体的に形成し、および/または筐体112の1つまたは複数の部分を形成していてもよいことを理解されたい。

【0030】

例示的な本実施形態では、

コイル104は、各ボビン124~134に複数のコイルターン巻き付けられる

。さらに詳細には、例示的な本実施形態では、コイル104は、1本のマグネットワイヤを備え、これにより、コイル104を、各ボビン124~134にそれぞれ複数のコイルターン巻き付けながらボビン124から134に順に巻いていき、その後、各ボビン124~134にさらに巻き付けながらボビン124まで戻すことができる。その他の実施形態では、その他の異なるボビン124~134への巻き付けパターンを用いることもできることを理解されたい。ボビン124~134に対する上記の巻き付けパターンに従うと、コイル104の第1の端部および第2の端部は、ボビン124で終端する。図7に示すように、また以下でさらに述べるように、コイル104の第1の端部は、リード線136で終端し、コイル104の第2の端部は、リード線138で終端する。」

(イ) 引用発明の認定

前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。

<引用発明>

「電力源から利用者に供給される電気を測定するために使用される需給計器10であって、(【0002】、【0008】)

センサ装置12、導体14、およびセンサ装置12に結合された計器制御盤17を含み、(【0008】)

導体14としては、電力源から電力利用者に電気を伝送する適当な導体などが挙げられ、(【0008】)

センサ装置12は、導体14に結合されて、導体14を流れる電流を感知し、感知した電流を表す信号を、計器制御盤17に提供するものであり、(【0008】)

センサ装置12は導体14の周りに位置決めされており、(【0015】)

センサ装置12は、基体102、基体102の周りに巻き付けた複数ターンからなるコイル104、および誘電材料108を含み、(【0011】)

コイル104には開口110が画定されており、この開口110は、その中に導体14を受けるように構成されており、(【0011】)

誘電材料108は、約10~1000Hzで約3.0以上の誘電率を有することができるものであり、(【0012】)

誘電材料108は、コイル104に近接して、少なくとも一部が開口110内に入るように、さらに詳細には、誘電材料108は、導体14を開口110に通して位置決めしたときに、少なくとも一部がコイル104と導体14の間に位置決めされ、(【0011】)

センサ装置12から受信した信号に基づいて、計器制御盤17は、ある期間にわたって電力源から利用者に導体14を通じて伝送される電気の量を決定し、(【0008】)

誘電材料108は、コイル104と導体14の間に画定されたエアギャップ106の少なくとも一部分の中に位置決めされ、その結果、誘電材料108は、コイル104および導体14を近接させたまま、コイル104と導体14の間の静電容量の低下に影響を及ぼし、および/またはそれを促進し、(【0015】)

コイル104と導体14の間の容量結合を低減することにより、動作電圧に対する感度を低下させ、その結果、高電流および低電流を含む様々な電流範囲にわたって、様々な動作電圧で、一貫した電流検知が行われ、(【0016】)

様々な動作電圧にわたって正確に電流を検出するセンサ装置12の一貫性により、計器制御盤17は、複数の動作電圧に対して較正係数を1つ使用するだけでよく、(【0016】)

基体102は、6個のボビン124、126、128、130、132および134を含み、各ボビン124~134は、ほぼ円形の断面を有し、さらに詳細には、両端にコイル104を保持するためのフランジ135を備えた直円柱であり、(【0027】)

基体102の各ボビン124~134は非磁性構造であり、非磁性基体102を使用することにより、1つまたは複数の磁心を備える既知のセンサ装置に優るコスト削減が可能になり、(【0029】)

コイル104は、各ボビン124~134に複数のコイルターン巻き付けられ、(【0030】)

コイル104は、ロゴスキーコイルを含む、(【0026】)

需給計器10。(【0008】)」

イ 引用文献5の記載事項及び技術常識1の認定

(ア) 引用文献5に記載された事項

当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2009-135523号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。

「【背景技術】

【0002】

空芯のコイルは鉄心が無いため軽量で、また鉄心による飽和がないという利点がある。その代表的な空芯のコイルとしてはロゴスキーコイルがある

。この

ロゴスキーコイルは

、分電盤内で主幹ブレーカだけでなく各々の分岐ブレーカに流れる電流計測に従来用いられていた変流器(CT)のような電流センサに代わり、

電流検出用コイルとして用いられ

、その特徴である鉄心の飽和がなく点を生かしたダイナミックレンジが広く、大電流まで検出できる電流センサを実現している。」

(イ) 技術常識1の認定

前記(ア)に示した引用文献5の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」という。)

<技術常識1>

「電流検出用コイルとして用いられるロゴスキーコイルは鉄心が無い空芯のコイルであり、飽和がないこと。」

ウ 引用文献6の記載事項及び周知技術1の認定

(ア) 引用文献6に記載された事項

当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2005-134233号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。

「【背景技術】

【0002】

従来、

電力計測するために、電圧、電流などの電力諸量を計測する

には、次のような方法が用いられていた。すなわち、電圧を測定する場合は、被測定電路の充電部に電圧測定用の専用配線をボルト締結にて固定し、電圧情報を計測部へ送っていた。高圧回路の場合には、計器用変圧器を介して同様の電圧計測を行っていた。被測定電路への配線接続のもう一つの方法として、クランプ式の電圧測定方法があるが、この場合についても、測定電路の充電部をクランプする電圧計測用の専用配線を用いて、測定を行っていた。

【0003】

次に

電流を測定する場合は、上記電圧入力用の配線とは別に被測定電路に計器用変流器を設置し

、その2次出力を計測器に送るための専用の電流計測配線が必要であった。

【0004】

図19に示すのは、上記した従来の電圧、電流計測器である。図19において、

被計測部である被測定電路101の導体102の所定位置に、電圧入力用専用配線103をボルト締結による固定手段104により固定し、被測定電路101の導体102の電圧を計測し

、計測した電圧情報を計測器105に送る。また

電流入力用専用配線106に接続する変流器107を被測定電路101の導体102にクランプし、被測定電路101の導体102の電流を計測し

、計測した電流情報を計測器105に送っていた。」

「【図19】

81

112

0001432600000007.jpg

(イ) 周知技術1の認定

前記(ア)に示した引用文献6の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知の技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)

<周知技術1>

「電力計測するために電流及び電圧を計測するにあたり、電流計測デバイスとは異なる場所で電圧を測定すること。」

(3) 本件補正発明と引用発明の対比

ア 対比分析

本件補正発明と引用発明を対比する。

(ア) 構成Xの観点(需給計器)

a 構成Xは、「電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)」の発明であることを特定するものである。

b 引用発明において「電気」を「電力源から利用者に供給[する]」ことは、本件補正発明において「電気エネルギーを電源から使用者に伝送する」ことに相当する。

そうすると、引用発明の「電力源から利用者に供給される電気を測定するために使用される需給計器10」は、本件補正発明の「電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)」に相当する。

c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Xの観点について、次の点において一致する。

「電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器」の発明である点。

(イ) 構成Aの観点(センサデバイス)

a 構成Aは、「導体(14、15、16)を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)」を備えることである。

b 引用発明において「導体14を流れる電流を感知[する]」ことは、本件補正発明において「導体(14、15、16)を流れる電流を感知する」ことに相当する。

また、引用発明において「感知した電流を表す信号を、計器制御盤17に提供する」ことは、本件補正発明において「前記感知した電流を表す信号を出力する」ことに相当する。

さらに、引用発明の「導体14の周りに位置決めされて[いる]」「センサ装置12」は、本件補正発明の「少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)」に相当する。

c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の点において一致する。

「導体を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体の周りに配置可能なセンサデバイス」を備える点。

(ウ) 構成A1の観点(非磁性基板)

a 構成A1は、「センサデバイス(12、200)」が「非磁性基板(102)」を備えることである。

b ここで、本件補正発明において、「非磁性基板(102)」は、本願図面の【図2】において、符号102で表された部材であって、「前記非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え[る]」ものである(構成Dを参照。)。

<参考図>

【図2】(再掲)

80

153

0001432600000008.jpg

そして、【図2】における符号102が付されたボビン状の部材は、板状でないことが明らかであるから、本件補正発明において「非磁性基板(102)」は、板状の部材に限られないと解するのが相当である。

c(a) 引用発明は、「基体102の各ボビン124~134は非磁性構造であり、非磁性基体102を使用することにより、1つまたは複数の磁心を備える既知のセンサ装置に優るコスト削減が可能にな[る]」ものであるところ、前記bに示した解釈に基づけば、引用発明の「非磁性基体102」は、本件補正発明の「非磁性基板(102)」に相当する。

(b) なお、引用文献1のパテントファミリー文献である米国特許出願公開第2013/0063131号明細書の[0019](引用文献1の段落【0011】に対応する。)及び本願のパテントファミリー文献である米国特許出願公開第2014/0340072号明細書の[0020](本願明細書の段落【0012】に対応する。)においては、符号102で示される部材には、いずれも「substrate」という英単語が用いられている。

d したがって、引用発明において、「センサ装置12は、基体102」「を含[む]」から、本件補正発明と引用発明は、構成A1の観点について、次の点において一致する。

「センサデバイス」が「非磁性基板」を備える点。

(エ) 構成A2の観点(コイル)

a 構成A2は、「センサデバイス(12、200)」が「前記非磁性基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)」を備えることである。

b 引用発明の「基体102の周りに巻き付けた複数ターンからなるコイル104」は、前記(ウ)の検討を踏まえると、本件補正発明の「前記非磁性基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)」に相当する。

c また、引用発明において、「開口110が画定されており、この開口110は、その中に導体14を受けるように構成されて[いる]」「コイル104」は、本件補正発明の「それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)」に相当する。

d したがって、引用発明において、「センサ装置12は、」「コイル104」「を含[む]」から、本件補正発明と引用発明は、構成A2の観点について、次の点において一致する。

「センサデバイス」が「前記非磁性基板の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイルであって、それを通して前記導体を受ける開口を画定するコイル」を備える点。

(オ) 構成A3の観点(誘電材料)

a 構成A3は、「センサデバイス(12、200)」が「誘電率を有し、前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された前記誘電材料(108)」を備えることである。

b(a) 引用発明において「約10~1000Hzで約3.0以上の誘電率を有することができるものであ[る]」ことは、本件補正発明において「誘電率を有[する]」ことに相当する。

(b) また、引用発明において、「誘電材料108は、コイル104に近接して、少なくとも一部が開口110内に入るように、さらに詳細には、誘電材料108は、導体14を開口110に通して位置決めしたときに、少なくとも一部がコイル104と導体14の間に位置決めされ[る]」ものである。

ここで、引用発明の「導体14を開口110に通して位置決めしたとき」は、本件補正発明の「前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき」に相当し、引用発明の「誘電材料108」の「少なくとも一部がコイル104と導体14の間に位置決めされ[る]」ことは、本件補正発明の「誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にある」ことに相当する。

さらに、引用発明の「コイル104に近接して、少なくとも一部が開口110内に入る」ことは、本件補正発明の「前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された」ことに相当する。

(c) そうすると、引用発明の「誘電材料108」は、本件補正発明の「誘電材料(108)」に相当する。

c したがって、引用発明において、「センサ装置12は、」「誘電材料108を含[む]」から、本件補正発明と引用発明は、構成A3の観点について、次の点において一致する。

「センサデバイス」が「誘電率を有し、前記導体を前記開口を通して受けたとき誘電材料が前記コイルと前記導体との間にあるように前記コイルに隣接し、少なくとも部分的に前記開口内に配置された前記誘電材料」を備える点。

(カ) 構成Bの観点(計器制御盤)

a 構成Bは、「前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)」を備えることである。

b 引用発明の「センサ装置12」は、「感知した電流を表す信号を、計器制御盤17に提供するものであ[る]」から、引用発明において「信号」を「センサ装置12から受信[する]」ことは、本件補正発明において「前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取る」ことに相当する。

c(a) また、引用発明の「導体14」は、「電力源から電力利用者に電気を伝送する」ものであるから、引用発明の「ある期間にわたって電力源から利用者に導体14を通じて伝送される電気の量」における「電気の量」が「電力の量」であることは明らかである。

そうすると、引用発明において「ある期間にわたって電力源から利用者に導体14を通じて伝送される電気の量を決定[する]」ことは、本件補正発明において「時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定する」ことに相当する。

(b) なお、本願明細書の段落【0009】の「電力の量」に対応する英語として、本願のパテントファミリー文献である米国特許出願公開第2014/0340072号明細書の[0017]においては「an amount of electricity」を用いているところ、引用文献1の段落【0008】の「電気の量」に対応する英語として、引用文献1のパテントファミリー文献である米国特許出願公開第2013/0063131号明細書の[0016]においても、「an amount of electricity」という同じ英語表現を用いている。

d そして、引用発明の「計器制御盤17」は、「センサ装置12から受信した信号に基づいて」「電気の量を決定[する]」ものであって、「センサ装置」に連絡していることは明らかであるから、本件補正発明の「前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)」に相当する。

e したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Bの観点について、次の点において一致する。

「前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイスから受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイスに連絡した計器制御盤」を備える点。

(キ) 構成Cの観点(誘電率の選択)

a 構成Cは、「前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように選択され[る]」ことである。

b 引用発明において、「誘電材料108は、約10~1000Hzで約3.0以上の誘電率を有することができるものであり」、また、「誘電材料108は、コイル104と導体14の間に画定されたエアギャップ106の少なくとも一部分の中に位置決めされ、その結果、誘電材料108は、コイル104および導体14を近接させたまま、コイル104と導体14の間の静電容量の低下に影響を及ぼし、および/またはそれを促進[する]」ものである。

ここで、「誘電材料108」の誘電率が「コイル104と導体14の間の静電容量」に影響を与えることは明らかであるから、引用発明は、本件補正発明の「前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように」「選択され[る]」ことに相当する構成を有するといえる。

c そして、引用発明においては、「コイル104と導体14の間の容量結合を低減することにより、動作電圧に対する感度を低下させ、その結果、高電流および低電流を含む様々な電流範囲にわたって、様々な動作電圧で、一貫した電流検知が行われ、」「様々な動作電圧にわたって正確に電流を検出するセンサ装置12の一貫性により、計器制御盤17は、複数の動作電圧に対して較正係数を1つ使用するだけでよ[い]」ものである。

このため、「コイル104と導体14の間の容量結合の低減」の結果として、「動作電圧に対する感度を低下させ」、「計器制御盤17は、複数の動作電圧に対して較正係数を1つ使用するだけでよ[い]」という作用効果が得られるといえる。また、動作電圧が変化すれば、電流値が変化することは自明であるから、「複数の動作電圧」が「様々な電流範囲にわた[る]」ものであることは明らかである。

そうすると、引用発明は、本件補正発明の「その結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように」することに相当する構成を有する。

d したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Cの観点について、次の点において一致する。

「前記誘電材料の前記誘電率が、前記コイルと前記導体との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤がある電流範囲にわたって前記センサデバイスを校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイスの感度を低減するように選択される」点。

(ク) 構成Dの観点(ボビン)

a 構成Dは、「前記非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、前記コイル(104)の複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)の各々の周りに巻かれ[る]」ことである。

b 引用発明において「基体102は、6個のボビン124、126、128、130、132および134を含[む]」ことは、本件補正発明において「前記非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え[る]」ことに相当する。

また、引用発明は、「コイル104は、各ボビン124~134に複数のコイルターン巻き付けられ[る]」という構成を有するところ、「コイル104」のうち各ボビン124~134に巻き付けられる部分は、それぞれ「巻き部」ということができるから、当該構成は、本件補正発明の「前記コイルの複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビンの各々の周りに巻かれる」という構成に相当する。

c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点について、次の点において一致する。

「前記非磁性基板は、複数のボビンを備え、前記コイルの複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビンの各々の周りに巻かれる」点。

(ケ) 構成Eの観点(空芯及び電圧測定場所)

a 構成Eは、「前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有し、それにより、電圧は、前記センサデバイス(12)によってではなく、前記センサデバイス(12)と異なる場所において測定される」ことである。

b 引用発明は、本件補正発明の構成Eに相当する構成を備えているか明らかでないから、本件補正発明と引用発明は、構成Eの観点について、次の点において相違する。

<構成Eの観点における相違点>

本件補正発明においては、「前記コイルは、前記センサデバイスを電圧非依存にする空芯を有し、それにより、電圧は、前記センサデバイスによってではなく、前記センサデバイスと異なる場所において測定される」のに対して、

引用発明においては、コイル104が空芯を有するか明らかでなく、電圧を測定する場所も明らかではない点。

イ 一致点及び相違点

前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。

(ア) 一致点

「電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器であって、

導体を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体の周りに配置可能なセンサデバイスであって、

非磁性基板、

前記非磁性基板の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイルであって、それを通して前記導体を受ける開口を画定するコイル、および

誘電率を有し、前記導体を前記開口を通して受けたとき誘電材料が前記コイルと前記導体との間にあるように前記コイルに隣接し、少なくとも部分的に前記開口内に配置された前記誘電材料を備えるセンサデバイスと、

前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイスから受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイスに連絡した計器制御盤とを備える需給計器であって、

前記誘電材料の前記誘電率が、前記コイルと前記導体との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤がある電流範囲にわたって前記センサデバイスを校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイスの感度を低減するように選択され、

前記非磁性基板は、複数のボビンを備え、前記コイルの複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビンの各々の周りに巻かれる、需給計器」である点。

(イ) 相違点

本件補正発明においては、「前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有し、それにより、電圧は、前記センサデバイス(12)によってではなく、前記センサデバイス(12)と異なる場所において測定される」のに対して、

引用発明においては、コイル104が空芯を有するか明らかでなく、電圧を測定する場所も明らかではない点。

(4) 判断

前記相違点について検討する。

ア 空芯について

引用発明の「コイル104」は、「ロゴスキーコイルを含む」ものであるところ、「含む」という表現から、ロゴスキーコイル以外のコイルを含むことを排除するものではないと解されるが、これを、すべてロゴスキーコイルからなるものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。

また、前記(2)イ(イ)において技術常識1として認定したとおり、「電流検出用コイルとして用いられるロゴスキーコイルは鉄心が無い空芯のコイルであり、飽和がないこと。」は、当業者にとって技術常識である。

そうすると、引用発明の「コイル104」がロゴスキーコイルからなる場合、これが「空芯」を有するものであり、「飽和がない」ものであることは自明である。

そして、この場合、「コイル104」は、「飽和がない」ものであって、高電圧であっても飽和しないから焼損することがない。このため、センサ装置12(センサデバイス)は、どのような電圧が導体14を通過するかに関係なく、導体14を通る電流を読み取ることができるものとなるから、「コイル104」は、センサデバイスを電圧非依存にするものといえる。

したがって、引用発明において、「コイル14」をすべてロゴスキーコイルからなるものとすることにより、前記相違点に係る本件補正発明の構成のうち「前記コイルは、前記センサデバイスを電圧非依存にする空芯を有[する]」という構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 電圧の測定場所について

前記(2)ウ(イ)において周知技術1として認定したとおり、「電力計測するために電流及び電圧を計測するにあたり、電流計測デバイスとは異なる場所で電圧を測定すること。」は、当業者にとって周知の技術である。

そして、電気の量(電力の量)を計測する引用発明において、どこで電圧を測定するかは、当業者が適宜決定できる設計事項であるところ、電流を測定するセンサ装置12(センサデバイス)と同じ装置で電圧も測定しなければならない事情も存在しないから、周知技術1を考慮しつつ、電圧をセンサデバイスによってではなく、前記センサデバイスと異なる場所において測定するように構成することにより、前記相違点に係る本件補正発明の構成のうち「電圧は、前記センサデバイスによってではなく、前記センサデバイスと異なる場所において測定される」という構成を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。

ウ 総合評価

前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、技術常識1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、技術常識1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 請求人の主張について

(ア) 請求人の主張内容

請求人は、審判請求書において、概略、次のとおりの主張をしている。

引用文献1は、「非磁性基板(102)は、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、コイル(104)の複数の巻き部の少なくとも1つは、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)の各々の周りに巻かれ、コイル(104)は、センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有する」という構成を開示も示唆もしていない。

また、引用文献1は、電圧が、センサデバイス(12)によってではなく、センサデバイス(12)と異なる場所において測定されることを開示も示唆もしていない。

したがって、本件補正発明を、当業者が引用文献1に基づいて容易に想到し得たとはいえない。

(イ) 請求人の主張についての検討

前記(3)ア(ク)において説示したとおり、「前記非磁性基板は、複数のボビンを備え、前記コイルの複数の巻き部の少なくとも1つは、前記複数のボビンの各々の周りに巻かれる」点は、本件補正発明と引用発明の一致点である。

また、前記ア~ウにおいて説示したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成、すなわち、「前記コイルは、前記センサデバイスを電圧非依存にする空芯を有し、それにより、電圧は、前記センサデバイスによってではなく、前記センサデバイスと異なる場所において測定される」という構成を備えるようにすることは、引用発明、技術常識1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。

したがって、前記(ア)に示した請求人の主張は採用できない。

(5) 独立特許要件の判断のまとめ

以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、技術常識1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。

4 本件補正の却下の決定の理由のむすび

前記3(5)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明について

本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。

(進歩性の欠如)本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2013-61329号公報

3 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定

引用文献1及び5に記載された事項並びに引用発明及び技術常識1は、前記第2の3(2)ア及びイにおいて示したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明の「前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有

し、それにより、電圧は、前記センサデバイス(12)によってではなく、前記センサデバイス(12)と異なる場所において測定され

る」ことについて、より上位概念の「前記コイル(104)は、前記センサデバイス(12)を電圧非依存にする空芯を有する」ことにしたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を下位概念にしたものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明、技術常識1及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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