結論テキスト
特許第7238912号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7、14~18〕、〔8、11、12〕、9、10、13について訂正することを認める。
特許第7238912号の請求項13に係る特許を取り消す。
特許第7238912号の請求項1~12、15~18に係る特許を維持する。
特許第7238912号の請求項14に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2023700958 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7238912号(以下「本件特許」という。)の請求項1~18に係る特許についての出願は、令和3年1月29日(優先権主張 令和2年3月31日、同年11月19日)に出願され、令和5年3月6日にその特許権の設定登録がされ、同年3月14日に特許掲載公報が発行された。本件特許の請求項1~18に係る特許についての特許異議申立人後藤麻衣子(以下「申立人」という。)による異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年9月13日 :特許異議の申立て
令和6年3月 8日付け:取消理由通知
同年5月 7日 :特許権者による訂正の請求及び意見書の提出
同年7月 4日 :申立人による意見書の提出
令和7年2月 4日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年4月 9日 :特許権者による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)及び意見書の提出
同年6月12日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年5月7日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
本件訂正請求は、「特許第7238912号の特許請求の範囲を、本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~18について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。また、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、」と記載されているのを、
「前記樹脂材料が
、ナ
イロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、」に訂正する。(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2~7、15~18も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2~4
特許請求の範囲の請求項8に、「第2基材をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。」と記載されているのを、
「
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、
第2基材をさらに備え
、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリプロピレンで構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、80質量%以上である、
積層体。」に訂正する。(請求項8の記載を直接的または間接的に引用する請求項11、12も同様に訂正する。)
(3)訂正事項5~7
特許請求の範囲の請求項9に、「前記第2基材が、ポリプロピレンを含む、請求項8に記載の積層体。」と記載されているのを、
「
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリプロピレンで構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含
み
、
前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、89質量%以上である、
積層体。」に訂正する。
(4)訂正事項8、9
特許請求の範囲の請求項10に、「前記第1基材および前記蒸着膜は、前記第2基材と、前記シーラント層との間に位置する、請求項8または9に記載の積層体。」と記載されているのを、
「
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記第1基材および前記蒸着膜は、前記第2基材と、前記シーラント層との間に位置
し
、
前記第2基材は、前記積層体の最外層に位置し、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリオレフィンを含む、
積層体。」に訂正する。
(5)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11に、「請求項8または9に記載の積層体。」と記載されているのを、「請求項
8に
記載の積層体。」に訂正する。(請求項11の記載を引用する請求項12も同様に訂正する。)
(6)訂正事項11、12
特許請求の範囲の請求項13に、「前記蒸着膜と前記シーラント層との間に、バリアコート層をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体。」と記載されているのを、
「
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記積層体は、
前記蒸着膜と前記シーラント層との間に、バリアコート層をさらに備え
、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリオレフィンを含み、
前記バリアコート層が、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物のガスバリア性塗布膜であるか、または金属アルコキシドと水溶性高分子とシランカップリング剤との混合物のガスバリア性塗布膜である、
積層体。」に訂正する。
(7)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
(8)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項15に、「請求項1~14のいずれか一項に記載の積層体。」と記載されているのを、「請求項1~
7
のいずれか一項に記載の積層体。」に訂正する。(請求項15の記載を直接的または間接的に引用する請求項16~18も同様に訂正する。)
(9)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項16に、「請求項1~15のいずれか一項に記載の積層体」と記載されているのを、「請求項1~
7および15
のいずれか一項に記載の積層体」に訂正する。(請求項16の記載を直接的または間接的に引用する請求項17、18も同様に訂正する。)
(1)一群の請求項
本件訂正前の請求項2~18は、請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用するものであり、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~18〕に対して請求されたものである。
(2)別の訂正単位とする求め
訂正請求書において、特許権者は、上記1(2)~(6)の訂正が認められた場合は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項〔8、11、12〕、9、10、13についての訂正を、それぞれ別の訂正単位として扱うよう求めている。
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1で規定する樹脂材料の選択肢から、択一的に記載されていたビニル樹脂を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2~4について
ア 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項8について、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正であり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
訂正事項3は、シーラント層の樹脂を110°Cの融点を有するポリプロピレンに限定し、積層体のポリプロピレンの含有量を80質量%以上のものに限定する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項4は、第2基材の樹脂をポリプロピレンに限定する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではなく、また、訂正事項3は、本件明細書の段落【0055】の「本発明においては、第1基材として延伸処理されたポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、シーラント層を110°C以上の融点を有するポリプロピレンを含む層として、両者を同一材料から構成することにより、積層体を包装容器として使用した際のリサイクル適正を向上できる。」との記載、及び、段落【0056】の「シーラント層をポリプロピレンにより構成した場合において、本発明の積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、80質量%以上であることが好ましく、」との記載から、また、訂正事項4は、段落【0149】の「第2基材は、各層を保持する機能を果たすものである。第2基材は、樹脂材料を含み、例えば、ポリオレフィン、ビニル樹脂、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、積層体のリサイクル適性の観点からポリプロピレンが特に好ましい。」との記載から、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 訂正事項2~4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項5~7について
ア 訂正事項5は、訂正前の請求項1を引用する請求項8を引用する請求項9について、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正であり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
訂正事項6は、シーラント層の樹脂を110°Cの融点を有するポリプロピレンに限定する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項7は、積層体のポリプロピレンの含有量を89質量%以上のものに限定する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではなく、また、訂正事項6は、本件明細書の段落【0055】の「本発明においては、第1基材として延伸処理されたポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、シーラント層を110°C以上の融点を有するポリプロピレンを含む層として、両者を同一材料から構成することにより、積層体を包装容器として使用した際のリサイクル適正を向上できる。」との記載から、また、訂正事項7は、本件明細書の表面樹脂層を積層体に含む実施例8-1、8-2のポリプロピレンの含有量が、いずれも89質量%以上であることから、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 訂正事項5~7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項8、9について
ア 訂正事項8は、訂正前の請求項1を引用する請求項8を引用する請求項9を引用する請求項10について、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正であり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
訂正事項9は、第2基材の位置を積層体の最外層に限定する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項8は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではなく、また、訂正事項9は、本件明細書の段落【0041】の「図5および図6の積層体10Aにおける第2基材18A、ならびに図7の積層体10Aにおける第1基材11Aは、積層体10Aの最外層に位置してもよい。」との記載から、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 訂正事項8、9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)訂正事項10について
訂正事項10は、請求項11において引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項11、12について
ア 訂正事項11は、訂正前の請求項1を引用する請求項8を引用する請求項9を引用する請求項13について、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正であり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
訂正事項12は、バリアコート層が、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物のガスバリア性塗布膜であるか、または金属アルコキシドと水溶性高分子とシランカップリング剤との混合物のガスバリア性塗布膜に限定する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項11は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではなく、また、訂正事項12は、請求項14の「バリアコート層が、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物のガスバリア性塗布膜であるか、または金属アルコキシドと水溶性高分子とシランカップリング剤との混合物のガスバリア性塗布膜である、」との記載から、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 訂正事項11、12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)訂正事項13~15について
訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項14を削除する訂正であり、訂正事項14は、請求項15において引用する請求項の数を減少させる訂正であり、訂正事項15は、請求項16において引用する請求項の数を減少させる訂正であり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項13~15は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正後の請求項〔1~7、14~18〕、〔8、11、12〕、9、10、13について訂正することを認める。
上記のとおり、本件訂正請求は認められるから、本件特許の請求項1~13、15~18に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~13、15~18に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリオレフィンを含む、積層体。
【請求項2】
前記表面樹脂層の樹脂材料は、極性基を有する重合体からなる、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記表面樹脂層は、180°C以上265°C以下の融点を有する樹脂材料を含む、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記表面樹脂層の樹脂材料は、融点TAを有し、
前記ポリプロピレン樹脂層のポリプロピレンは、融点TBを有し、
前記融点TAと前記融点TBの差が、20°C以上80°C以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記第1基材の総厚さに対する、前記表面樹脂層の厚さの割合が、1%以上10%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記シーラント層が、150°C以上の融点を有するシーラント材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記シーラント層が、150°C以上の融点を有するポリプロピレンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリプロピレンで構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、80質量%以上である、積層体。
【請求項9】
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリプロピレンで構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、89質量%以上である、積層体。
【請求項10】
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記第1基材および前記蒸着膜は、前記第2基材と、前記シーラント層との間に位置し、
前記第2基材は、前記積層体の最外層に位置し、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリオレフィンを含む、積層体。
【請求項11】
前記蒸着膜と前記シーラント層との間に、中間層を備え、
前記中間層が前記第2基材である、請求項8に記載の積層体。
【請求項12】
前記中間層が、延伸処理が施されたポリプロピレン樹脂フィルムにより構成されている、請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記積層体は、前記蒸着膜と前記シーラント層との間に、バリアコート層をさらに備え、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、
前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリオレフィンを含み、
前記バリアコート層が、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物のガスバリア性塗布膜であるか、または金属アルコキシドと水溶性高分子とシランカップリング剤との混合物のガスバリア性塗布膜である、積層体。」
「【請求項15】
包装容器に用いられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項16】
請求項1~7および15のいずれか一項に記載の積層体からなる、レトルト用またはボイル用パウチ。
【請求項17】
ノッチ部を備える、請求項16に記載のレトルト用またはボイル用パウチ。
【請求項18】
ハーフカット線を備える、請求項16または17に記載のレトルト用またはボイル用パウチ。」
令和7年2月4日付け取消理由通知(決定の予告)における取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<申立人が提出した証拠>
甲第2号証:特開2005-74643号公報
甲第3号証:特表2014-531341号公報
甲第7号証:特開2017-141057号公報
甲第8号証:特開2017-165432号公報
甲第9号証:特開2017-141046号公報
甲第10号証:特開2016-64865号公報
甲第11号証:特開2008-207868号公報
甲第12号証:特開2015-131669号公報
甲第13号証:特開2017-177343号公報
甲第14号証:特開2014-141302号公報
甲第15号証:特開2009-57093号公報
甲第16号証:「ソアノール(R)ハイガスバリヤー性樹脂」パンフレット、日本合成化学、2002年9月
甲第17号証:特開2020-26095号公報
甲第18号証:特開2018-1630号公報
(以下、甲第○号証を、甲○という。)
<当審が発見した引用例>
当審引用例1:「エチレン-ビニルアルコール共重合体」の項目、プラスチック素材辞典、[令和6年2月26日検索]、インターネット<URL:https://plastics-material.com/evoh/>
<請求項と引用文献の関係>
・請求項1~5に対して:甲3(甲7~9、16、当審引用例1も参照)
・請求項6、7、10、11に対して:甲3、周知技術1(甲2、甲10)(甲7~9、16、当審引用例1も参照)
・請求項12に対して:甲3、周知技術1(甲2、甲10)、周知技術2(甲17、甲18)(甲7~9、16、当審引用例1も参照)
・請求項13~15に対して:甲3、周知技術1(甲2、甲10)、周知技術2(甲17、甲18)、周知技術3(甲11、甲12、甲13)(甲7~9、16、当審引用例1も参照)
・請求項16~18に対して:甲3、周知技術1(甲2、甲10)、周知技術2(甲17、甲18)、周知技術3(甲11、甲12、甲13)、周知技術4(甲13、甲14)、周知技術5(甲14、甲15)(甲7~9、16、当審引用例1も参照)
甲1:特開2001-191462号公報
甲4:高橋儀作、「プラスチックフィルム」、初版、日刊工業新聞社、昭和41年12月15日、P.134~136
甲5:国際公開第2015/194667号
甲6:特開2012-145752号公報
(1)甲3
ア 甲3の記載事項
甲3には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。また、「・・・」は省略を示す。)
(ア)「【0009】
一方で、
パッケージングラミネート、その製造、及びそれから製造されたパッケージング容器の製造を最適化するために、原材料コストの低下に加えて、パッケージングラミネートの構造を単純化し、必要とされる加工ステップ数を減少させ、かつ十分なバリア及び保管特性を有するパッケージングラミネートを提供する
動機が存在する。
【0010】
多くのいわゆるバリアフィルムが、現在商業的に提供されている。多くのこのようなフィルムの共通点は、それらのコストが高すぎることが多いことである。それは、それらが高価なバリア材料の比較的厚い層、代わりに又は追加的に幾つかの層を必要とし、かつ/又は、カートンパッケージングラミネートへの組み込みに必要とされるバリア特性及び機械特性の観点において十分良好でないからである。・・・
【0011】
このようなバリアフィルムの1つのタイプは、SiOxコーティング又は金属化(metallisation)コーティングなどのセラミック、有機、又は金属気相堆積コーティングでの後続のさらなるバリア被覆のための、いわゆる高表面エネルギーフィルム(high surface energy films、HSE)である。多くがポリプロピレン又は類似のポリオレフィンフィルムをベースとするフィルムの高表面エネルギーは、例えばポリアミド又はエチレンビニルアルコールなどの薄い表面層によって提供される。」
(イ)「【0032】
二軸配向バリア表面層に適したEVOHは故に、36モル%以下のエチレン含量を有する。
36モル%を超えると、EVOH層のガスバリア特性の改善を得ることは難しくなる。一般的に、エチレン含量が低いと、高いバリア改善は層の同時配向を用いることで得られる。
・・・」
(ウ)「【0036】
本発明の一実施形態によると、フィルムはさらに、ポリオレフィンコア層とEVOHバリア表面層との間に、Admer(登録商標)及びBynel(登録商標)の銘柄で販売されているもの又はその混合物などの変性ポリオレフィンの二軸配向タイ層(tie layer)を含む。
タイ層は故に、ポリオレフィンコア層とバリア表面層とを互いに結合する
。適切なこのような変性ポリオレフィンの良好に機能する例は、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(MAH-PP)である。結合層(binding layer)は同一方向に二軸配向され、それは配向フィルムの残りの部分と同程度である。前記結合層は代わりに、グラフト重合又は共重合によって変性されたポリエチレンベースのポリマーから構成され得る。結合層は適切には、0.5から2μmの厚さを有することができる。」
(エ)「【0053】
特に、紙又は板紙バルク層をさらに含む、このようなラミネートパッケージング材料が提供される。
紙又は板紙バルク層は、ラミネートの曲げ剛性に最大の寄与を提供する
ために配置される。
【0054】
しかしながら、
パッケージングラミネートのバルク層が代わりに
、ポリエチレン、
ポリプロピレン
、又は、例えばエチレン-プロピレン、エチレン-ブテン、エチレン-ヘキセン、エチレン-アルキル(メタ)-アクリレート、若しくはエチレン-ビニルアセテートコポリマーなどのエチレン若しくはプロピレンのコポリマー
、などで作られたポリオレフィンバルク層である
こともまた想到できる。このようなポリオレフィンバルク層に対する材料の選択により、例えば
食物の透明パウチなどで使用される、透明パッケージングラミネートを提供し得る
。」
(オ)「【0061】
本発明によるさらなる側面によると、ガスバリア特性を有する二軸配向多層ポリマーフィルムの製造方法が提供され、ここで本方法は、ポリオレフィンコア層を、コア層の第1側上のエチレンビニルアルコール(EVOH)のフレキシブル表面バリア層とともに共押出するステップであって、バリア表面層は最大36モル%のエチレン含量を有する、ステップと、共押出フィルムを、縦方向(MD)の軸方向に4より高い延伸比まで、並びに横方向(TD)に4より高い延伸比まで、同時二軸配向するステップであって、一方で、延伸操作の間のフィルムの温度を最小レベルとコア層のポリオレフィン材料の溶融温度との間に維持し、ここで最小レベルはフィルムのコア層ポリオレフィン材料によって決まり、少なくとも105°Cである、ステップと、を含む。」
(カ)「【0087】
パッケージングラミネート内へのフィルムの組み込みに関連して、
上述の1つ又は複数の追加のヒートシール可能層が、そのフィルム上に、もし存在すればフィルムのラミネーション層上に適用され得る
。
ヒートシール可能ポリオレフィンポリマーの最内層は、容器内部に向かって方向付けられた層として適用され
、また、食物との直接接触も意図される。
好ましくは、このような追加のヒートシール層がフィルムのラミネーション層上に適用される
。好ましくは、最内層に対するヒートシール可能層は、LDPE、LLDPE又はm-LLDPE、及び2以上のそれらの混合物からなる群から選択される、低密度タイプのポリエチレンポリマーである。しかしながら、パッケージング材料から製造されるパッケージング容器のタイプによって、本発明の範囲内で、ポリプロピレン又はプロピレンコポリマー若しくはターポリマーのヒートシール可能最内層もまた想到できる。」
(キ)「【0143】
図1aは、本発明による好ましい
二軸配向ポリマーバリアフィルム10a
の断面を示す。配向フィルムの
ベース又はコア層11はポリプロピレンホモポリマーであり
、それは、
無水マレイン酸-グラフトポリプロピレンポリマーのタイ層12を用いて、EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13にラミネートされる
。フィルムは任意に、EVOHバリア層13とは反対であるフィルムの側上に、ラミネーション層15をさらに含む。ラミネーションは、0.930を超える密度を有する中密度ポリエチレンを含む、ヒートシール可能ポリオレフィン組成物からなる。
層の間には適切な接着
及びインテグリティが存在し、それは
同時二軸配向プロセスの間も維持される
。
ポリプロピレンベース層の厚さは
8から12、
好ましくは10μmであり
、
タイ層12の厚さは略1.5μmである
。
EVOHバリア層の厚さは略0.6μmである
。任意のラミネーション又はヒートシール可能層の厚さは略0.6μmである。
EVOHは、32モル%以下
、好ましくは27モル%以下
のエチレン含量を有する
。
【0144】
図1bは、本発明による好ましい
バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b
の断面を示す。フィルムは図1aに記載のフィルム10aを含み、それは、
高表面エネルギー層13上にさらなるガスバリア層14が気相堆積被覆されている
。
気相堆積層は
好ましくは、ダイヤモンド状カーボンコーティング、SiOx(酸化シリコンベースのコーティング)若しくは
AlOx(酸化アルミニウムベースのコーティング)層
又は金属化層であり、略200nmの厚さで適用される。
【0145】
図2は、本発明による好ましい
パッケージングラミネート
の断面を示す。
バリアフィルム10b;21は、低密度ポリエチレンの中間ボンディング層23によって板紙層22にラミネートされ
、板紙22、バリアフィルム21、及びポリエチレンの押出溶融層を含めて押出ラミネーションプロセスを用いて適用された。他のボンディング層はまた、もちろん、本発明の範囲内で実現可能であり、特に変性又はグラフトポリエチレンベースのポリマーである。
こうして得られたラミネート製品の各外側において、ヒートシール可能ポリエチレンベース層が押出コーティングを用いて適用される
。パッケージングラミネートから製造されたパッケージの内側に向かって方向付けられた外側層、
つまり最内層24は
、ロバストなヒートシーリング操作及びシールされたパッケージング容器の強いシールを提供するために、
メタロセン触媒又は単一サイトタイプの低密度ポリエチレン(m-LLDPE)を含む
。
【0146】
ラミネートにおける最も厚い層は、バルク紙又は板紙層22である。液体カートンベースのパッケージングに適切な任意の紙又は板紙が、バルク層22に対して採用され得る。図2におけるラミネート層は、バリア層21の厚さが紙コア層22より顕著に薄いという事実を反映しないことに留意すべきである。
【0147】
パッケージングラミネートから製造されるパッケージング容器の外壁を構成する紙又は板紙層22の外側には、
好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、又はいわゆるメタロセン触媒LLDPE’s(m-LLDPE)、つまり単一サイト触媒を用いて触媒されたLLDPEポリマーもまた含み得る鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である、ヒートシール可能ポリオレフィンの最外層25が適用される
。」
「【0150】
図5aは、本発明による
パッケージングラミネート20から製造されるパッケージング容器50
の好ましい例を示す。パッケージング容器は特に、飲料、ソース、スープなどに適している。・・・」
(ク)「【図1b】
24
88
0001433044000001.jpg
」
「【図2】
25
89
0001433044000002.jpg
」
イ 甲3の認定事項
(ア)段落【0143】~【0147】における用語について、その記載内容や参照符号等を踏まえると、以下のように統一できると認められる。
・ポリプロピレンホモポリマーである「ベース又はコア層11」と「ポリプロピレンベース層」とは同じものを指すと認められ、「ベース又はコア層11」に統一する。
・「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」、「EVOHバリア層13」、「EVOHバリア層」、「高表面エネルギー層13」は同じものを指すと認められ、「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」に統一する。
・「バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b」、「バリアフィルム10b;21」、「バリアフィルム21」、「バリア層21」は同じものを指すと認められ、「バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b」に統一する。
・「板紙層22」、「板紙22」、「バルク層22」、「紙コア層22」は同じものを指すと認められ、「板紙層22」に統一する。
(イ)段落【0143】に記載された無水マレイン酸-グラフトポリプロピレンポリマーのタイ層12は、段落【0036】のタイ層についての記載を踏まえると、ベース又はコア層11と、EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13とを互いに結合するものと認められる。
(ウ)図1bより、「バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b」は、「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」、「無水マレイン酸-グラフトポリプロピレンポリマーのタイ層12」、ポリプロピレンホモポリマーの「ベース又はコア層11」、「ラミネーション層15」の順に積層された「二軸配向ポリマーバリアフィルム10a」の、「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」上に、「ガスバリア層14」が積層されたものであることが看取される。
また、図2より、パッケージング容器50に用いられる「パッケージングラミネート」は、「ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最外層25」、「板紙層22」、「ボンディング層23」、「バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b」、「ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最内層24」の順に積層されていることが看取される。
他方、段落【0087】に、「ヒートシール可能ポリオレフィンポリマーの最内層は、容器内部に向かって方向付けられた層として適用され、」「好ましくは、このような追加のヒートシール層がフィルムのラミネーション層上に適用される。」と記載されることからすると、パッケージングラミネートの「ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最内層24」は、「バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b」の「ラミネーション層15」に積層されるものといえる。
ウ 甲3に記載された発明
上記ア及びイを踏まえると、甲3には、段落【0143】~【0147】及び図2に示されるパッケージングラミネートに係る次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13、タイ層12、ベース又はコア層11、ラミネーション層15の順に積層された二軸配向ポリマーバリアフィルム10aの、EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13上にガスバリア層14が積層されたバリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10bは、ポリプロピレンホモポリマーであるベース又はコア層11が、ベース又はコア層11とEVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13とを互いに結合する無水マレイン酸-グラフトポリプロピレンポリマーのタイ層12を用いて、EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13にラミネートされ、EVOHは32モル%以下のエチレン含量を有し、層の間の接着は同時二軸配向プロセスの間も維持されており、EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13上にAlOx(酸化アルミニウムベースのコーティング)層であるガスバリア層14を気相堆積被覆したものであり、
このバリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10bを用いたパッケージングラミネートは、
ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最外層25、板紙層22、ボンディング層23、バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10b、ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最内層24の順に積層され、
ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最内層24は、バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10bのラミネーション層15に積層され、
最内層24は、メタロセン触媒又は単一サイトタイプの低密度ポリエチレン(m-LLDPE)を含み、
最外層25は、好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、又はいわゆるメタロセン触媒LLDPE’s(m-LLDPE)、つまり単一サイト触媒を用いて触媒されたLLDPEポリマーもまた含み得る鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である、
パッケージング容器に用いられるパッケージングラミネート。」
エ 甲3に記載された技術的事項
また、段落【0053】、【0054】の記載から、甲3には、次の技術的事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「パッケージングラミネートの曲げ剛性に最大の寄与を提供するために提供される紙又は板紙バルク層に代えて、ポリプロピレンなどで作られたポリオレフィンバルク層とし、食物の透明パウチなどで使用される、透明パッケージングラミネートを提供すること。」
(2)周知技術等
ア 甲2、甲10
(ア)甲2
甲2には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
無機酸化物を蒸着した蒸着ナイロンフィルムからなるガスバリア層の一方の面にシール性を有する単層若しくは多層のポリオレフィン系フィルムからなる最内層を積層し、他方の面に最内層と同一構成のポリオレフィン系フィルムからなる最外層を積層した積層体からなることを特徴とするガスバリア性包装材料。」
「【実施例3】
【0021】
ガスバリア層(1)として、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムの片面に厚さ50nmの酸化アルミニウムを蒸着した蒸着ナイロンフィルムを使用し、接着剤層(4a、4b)として、ポリウレタン系接着剤を使用し、
最内層(6)
及び最外層(7)
として
厚さ60μmの
未延伸ポリプロピレンフィルムを使用し
、ドライラミネート機を用いて、未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)//ポリウレタン系接着剤(3g/m
2
、乾燥状態)//蒸着ナイロンフィルム//ポリウレタン系接着剤(3g/m
2
、乾燥状態)//
未延伸ポリプロピレンフィルム
(60μm)構成の本発明のガスバリア性包装材料を作成した。」
「【実施例6】
【0024】
ドライラミネート機を用いて、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)//ポリウレタン系接着剤(塗布量3g/m
2
、乾燥状態)//酸化アルミニウム蒸着ナイロンフィルム//ポリウレタン系接着剤(塗布量3g/m
2
、乾燥状態)//
無延伸ポリプロピレンフィルム
(60μm)構成の比較用のガスバリア性包装材料を作成した。」
(イ)甲10
甲10には、次の事項が記載されている。
「【0081】
[包装材料aの製造]
延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)からなる基材層21の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)からなる金属層22をドライラミネーション法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、金属層22上に接着層A(厚さ4μm)を形成した。次いで、金属層22上の接着層Aと基材層21を加圧加熱貼合した後、40°Cで24時間のエージング処理を実施することにより、基材層21/接着層A/金属層22の積層体Aを調製した。なお、金属層22として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m
2
(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180°C以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
次いで、
積層体Aの金属層22側に第1シーラント層11を形成する樹脂成分(ポリプロピレン樹脂(融点150度、MFR8g/10min)
を溶融状態(250°C)で押し出しすることにより、金属層22上に第1シーラント層1(厚さ25μm)を積層させた。斯して、基材層21/接着層A/金属層22/第1シーラント層11が順に積層された積層フィルムからなる帯状の包装材料aを得た。積層フィルムの長さは100m、幅は500mm、厚みは115μmであった。」
(ウ)周知技術1
上記(ア)、(イ)より、「シーラント層にポリプロピレンを用いること」は周知の技術(以下「周知技術1」という。)といえる。
イ 甲17、甲18
(ア)甲17
甲17には、次の事項が記載されている。
「【0017】
外層20は、外部環境に直接接する層であり、樹脂材料から構成された基材層である。カップ容器1に収容された内容物を保護する観点から、
外層20は、比較的剛性の高い材料で形成されることが好ましい
。外
層20は、例えば、
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する。)、
二軸延伸ポリプロピレン(以下、OPPと称する。)
、二軸延伸ナイロン(以下、ONyと称する。)
などで形成されてもよい
が、これらに限らない。」
(イ)甲18
甲18には、次の事項が記載されている。
「【0042】
基材層101としては、
透明性、
剛性、
および耐熱性
に優れる観点から、ポリプロピレン
、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、およびポリイミドから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂
により構成された二軸延伸フィルムが好ましく
、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂により構成された二軸延伸フィルムがより好ましい。」
(ウ)周知技術2
上記(ア)、(イ)より、「剛性が高いものとして、ポリプロピレン樹脂フィルムに延伸処理をしたものが挙げられること」は周知の技術(以下「周知技術2」という。)といえる。
ウ 甲11、甲12、甲13
(ア)甲11
甲11には、次の事項が記載されている。
「【0019】
またさらに、蒸着層(3)上には必要に応じて蒸着層を保護する保護コート層(4)を形成することができる。
蒸着層はきわめて薄い膜であり、こすれなどの物理的刺激により比較的容易に傷つき易く、場合によっては基材から脱落するおそれがある。
従って、
蒸着層を形成した後、他の加工を施す前に保護コート層を形成することは有意義である
。
【0020】
保護コート層(4)について説明する。
保護コート層としては
、任意の樹脂をコーティングなどの方法により形成すればよく、
蒸着層を保護するものであれば
、アクリルポリオールやポリビニルアセタール、ポリエステルポリオールポリウレタンポリオール等のポリオール類とイソシアネート化合物との二液反応によって得られる有機高分子、またはポリイソシアネート化合物および水との反応によりウレア結合を有する有機化合物、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール、また有機変性コロイダルシリカのような無機シリカ、シランカップリング剤のような有機シリカなどの非水系保護層や、ポリビニルアルコール、でんぷん、セルロース、エマルジョンアクリル系高分子、SBRラテックス、ポリ酢酸ビニル、エチレン・ビニル共重合体、
シランカップリング剤や金属アルコキシドおよびその加水分解のようなシラン化合物などの水系保護層でもよい
。またこれらの材料を2種類以上組み合わせて使用してもよい。例えば水溶性高分子であるポリビニルアルコールと金属アルコキシドおよびその加水分解物の混合物は蒸着層との密着も良好でバリア性も良好である。本発明の
ガスバリア性被膜の保護コート層
(4)は、
Si(OR
1
)
4
およびR
2
Si(OR
3
)
3
(R
1
、R
2
はCH
3
、C
2
H
5
、C
2
H
4
OCH
3
等の加水分解性基、R
2
は有機官能基)、
で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子を混合した溶液を塗布し
加熱乾燥して形成したものが好ましい。」
(イ)甲12
甲12には、次の事項が記載されている。
「【0035】
保護層22としては、少なくとも一種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂と、エチレン・ビニルアルコール共重合体と、シランカップリング剤
またはシランモノマーと、
を含有し、前記アルコキシドのゾルゲル法によって重縮合して得られる組成物を塗布
、乾燥して設けられている。
保護層22は、無機酸化物の蒸着層と接着剤層とを馴染み易くし
、接着剤層の接着性を向上させことができ、強浸透性内容物を充填する際、シール部で、ガスバリア層とシーラント層間に剥離が起きて、液漏れが繋がる恐れがない容器を提供できる。」
(ウ)甲13
甲13には、次の事項が記載されている。
「【0003】
このガスバリア性フィルムを積層した食品用包装材料は、ガスバリア性、耐水性、耐湿性に優れ、ボイル耐性、レトルト耐性、環境対応性にも優れた包装材料として好適に使用されている
。なかでも金属酸化物薄膜を形成したものは、透明性により内容物が視認できる上、電子レンジ適性による利便性から広範に使用されている。」
「【0066】
本発明の積層フィルムはボイルレトルト用に高いバリア性能と耐久性を発揮する。この用途のために、
蒸着後に保護コートを行う事が有効である。その一例として、金属アルコキシドとポリビニルアルコールからなる液を塗布した後に加熱硬化させてなる保護膜は良好な特性を発揮する
。そして、その上にナイロンフィルムとポリプロピレンなどのヒートシール性フィルムを接着剤を用いてラミネートする事で、優れたボイルレトルト向け包装材として使用できる。」
(エ)周知技術3
上記(ア)~(ウ)より、「蒸着膜を保護するバリアコート層を設けること及び当該バリアコート層を水溶性高分子に金属アルコキシドやシランカップリング剤を含む塗布膜とすること」は周知の技術(以下「周知技術3」という。)といえる。
エ 甲16、当審引用例1
(ア)甲16
甲16には、次の事項が記載されている。
「「ソアノール」とは・・・・・・
「ソアノール」は日本合成化学工業が、多年の研究成果に基づき、独自の製造方法で開発したエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂です。・・・」(第2ページ左下部)
「
100
149
0001433044000003.jpg
」
(イ)当審引用例1
当審引用例1には、次の事項が記載されている。
「エチレン-ビニルアルコール共重合体
概要
略記号:EVOH」
「
53
116
0001433044000004.jpg
」
オ 甲7、甲8
(ア)甲7
甲7には、次の事項が記載されている。
「【0065】
<共押出多層フィルムの原料>
(共押出多層フィルムの原材料)
PETG:イーストマン・ケミカル社製PETG、極限粘度0.78dl/g、
APET:ポリエチレンテレフタレート樹脂、極限粘度0.82dl/g、
Ny:6-66ナイロン共重合体、ナイロン66比率15質量%、
EVOH:エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン32mol、けん化度95モル%以上、
PE:直鎖状低密度ポリエチレン、融点123°C、密度0.920、MFR2.1g/10分、
PP:ポリプロピレン-エチレンランダム共重合体、MFR2.5g/10分、
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、融点125°C
、密度0.920、MFR2.1g/10分、
AD:不飽和カルボン酸変性ポリエチレン系樹脂、
EP:直鎖状低密度ポリエチレン(60質量%)とポリブテン(40質量%)の混合」
(イ)甲8
甲8には、次の事項が記載されている。
「【0044】
・・・
<シール層(D)>
メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン
(密度:0.920g/cm
3
、
融点110°C
、MFR:5g/10分(190°C、21.18N)、分子量分布(Mw/Mn)2.5;・・・)100質量部」
事案に鑑み、本件発明13より検討する。
(1)対比
ア 本件発明13と甲3発明を対比する。
(ア)甲3発明の「パッケージングラミネート」は本件発明13の「積層体」に相当する。
(イ)甲3発明の「二軸配向ポリマーバリアフィルム10a」は本件発明13の「第1基材」に相当し、甲3発明の「ガスバリア層14」は、気相堆積被覆されることから、本件発明13の「蒸着膜」に相当し、甲3発明の「最内層24」と「最外層25」は、「ヒートシール可能ポリエチレンベース層」であるから、本件発明13の「シーラント層」に相当する。
そうすると、甲3発明のパッケージングラミネートが、「二軸配向ポリマーバリアフィルム10a」、「ガスバリア層14」、「最内層24」又は「最外層25」を備えることは、本件発明13の「少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え」ることと、「少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とを備え」ることで共通する。
また、甲3発明の「板紙層22」は本件発明13の「第2基材」に相当する。
(ウ)甲3発明の二軸配向ポリマーバリアフィルム10aにおける「ベース又はコア層11」は、ポリプロピレンホモポリマーであるから、本件発明13の「ポリプロピレン樹脂層」に相当し、甲3発明の「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」は、EVOH(エチレンビニルアルコール)が樹脂であることを踏まえると、本件発明13の「表面樹脂層」に相当し、甲3発明の「タイ層12」は、ベース又はコア層11とEVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13とを互いに結合し、無水マレイン酸-グラフトポリプロピレンポリマーであることを踏まえると、本件発明13の「接着性樹脂層」に相当する。また、甲3発明の「二軸配向ポリマーバリアフィルム10a」は、二軸配向されたポリマーフィルムということであるから、本件発明13の「二軸延伸樹脂フィルム」にも相当する。
甲3発明の「二軸配向ポリマーバリアフィルム10a」が、「ポリプロピレンホモポリマーであるベース又はコア層11が、ベース又はコア層11とEVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13とを互いに結合する無水マレイン酸-グラフトポリプロピレンポリマーのタイ層12を用いて、EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13にラミネートされ、」「層の間の接着は同時二軸配向プロセスの間も維持され」る構成は、本件発明13の「前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ」る構成に相当する。
(エ)甲3発明の「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13上にAlOx(酸化アルミニウムベースのコーティング)層であるガスバリア層14を気相堆積被覆」することは、本件発明13の「前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられて」いることに相当する。
(オ)甲3発明の「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」は、本件発明13の「前記表面樹脂層は、180°C以上の融点を有する樹脂材料を含」むことと、「前記表面樹脂層は、樹脂材料を含」む点で共通する。
他方、甲3発明の「EVOH」は、EVOH、すなわちエチレンビニルアルコールが、ビニル樹脂の一種であることを踏まえると、本件発明3の「前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであ」ることに相当する。
(カ)甲3発明の「AlOx」は、本件発明13の「無機酸化物」に相当し、甲3発明の「AlOx(酸化アルミニウムベースのコーティング)層であるガスバリア層14」は、本件発明13の「前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され」ることに相当する。
(キ)甲3発明の「最内層24」及び「最外層25」は「ヒートシール可能ポリエチレンベース層」であり、ポリオレフィンであるポリエチレンを含むから、本件発明13の「前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリオレフィンを含」むことと、「前記シーラント層が、ポリオレフィンを含」むことで共通する。
イ 以上を総合すると、本件発明13と甲3発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「積層体であって、
少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とを備え、
前記積層体は、第2基材をさらに備え、
前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであり、
前記接着性樹脂層が、前記ポリプロピレン樹脂層上に設けられ、
前記表面樹脂層が、前記接着性樹脂層上に設けられ、
前記蒸着膜が、前記第1基材の表面樹脂層上に設けられており、
前記表面樹脂層は、樹脂材料を含み、
前記樹脂材料が、ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであり、
前記蒸着膜は、無機酸化物から構成され、
前記シーラント層が、ポリオレフィンを含む、積層体。」
[相違点]
<相違点1>
第1基材と蒸着膜とシーラント層とを備えることについて、本件発明13は「少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え」ると特定されているのに対し、甲3発明は、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本件発明13は、「前記蒸着膜と前記シーラント層との間に、バリアコート層をさらに備え」、「前記バリアコート層が、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物のガスバリア性塗布膜であるか、または金属アルコキシドと水溶性高分子とシランカップリング剤との混合物のガスバリア性塗布膜である」のに対し、甲3発明は、そのような構成を有するとは特定されていない点。
<相違点3>
表面樹脂層の樹脂材料の融点について、本件発明13が「180°C以上の融点を有する」のに対し、甲3発明は、融点が特定されていない点。
<相違点4>
本件発明13の「前記第2基材が、ポリプロピレンを含」むのに対し、甲3発明の「板紙層22」は板紙である点。
<相違点5>
シーラント層のポリオレフィンについて、本件発明1は「110°C以上の融点を有する」ポリオレフィンであるのに対し、甲3発明は「ヒートシール可能ポリエチレンベース層」であるが、融点が特定されていない点。
(2)判断
ア 相違点1について
甲3発明のパッケージングラミネートは、「ヒートシール可能ポリエチレンベース層の最内層24は、バリア被覆二軸配向ポリマーバリアフィルム10bのラミネーション層15に積層され」るから、パッケージングラミネート全体の積層順は次のとおりである。
<甲3発明のパッケージングラミネートの積層順>
最外層25
/板紙層22
/ボンディング層23
/ガスバリア層14
/EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13
/タイ層12
/ベース又はコア層11
/ラミネーション層15
/最内層24
ここで、甲3発明の「最内層24」と「最外層25」は、いずれもヒートシール可能ポリエチレンベース層であり、シーラント層といえるものであるところ、上記<甲3発明のパッケージングラミネートの積層順>で、「最外層25」と「ベース又はコア層11」の間に「ガスバリア層14」が位置する配置順は、本件発明13の「少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え」る配置順であるから、相違点1は実質的なものではない。
イ 相違点2について
甲3発明の「ガスバリア層14」は、甲11(段落【0019】)に記載されるように、「蒸着層はきわめて薄い膜であり、こすれなどの物理的刺激により比較的容易に傷つき易く、場合によっては基材から脱落するおそれがある」ものであることから、甲3発明は、ガスバリア層14を保護するという課題を内在するものであると認められる。
この点、甲11の段落【0020】、甲12の段落【0035】、甲13の段落【0066】に示されるように、「蒸着膜を保護するバリアコート層を設けること及び当該バリアコート層を水溶性高分子に金属アルコキシドやシランカップリング剤を含む塗布膜とすること」は周知の技術(上記周知技術3)であるから、上記課題を解決するために、周知技術3を、甲3発明の「ガスバリア層14」に適用することは容易である。
この場合、「ガスバリア層14」を保護するバリアコート層は、「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」に気相堆積被覆した「ガスバリア層14」の上に形成するから、上記<甲3発明のパッケージングラミネートの積層順>において、このバリアコート層は、「最外層25」と「ガスバリア層14」の間に形成されることとなり、この配置順は、本件発明13の「前記蒸着膜と前記シーラント層との間に、バリアコート層をさらに備え」る配置順と一致する。
よって、甲3発明に周知技術3を適用することで、本件発明13の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
ウ 相違点3について
甲3発明のEVOHは「32モル%以下のエチレン含量を有」するものであるところ、甲16の5ページの表には、ソアノール(2ページの記載からエチレン-ビニルアルコール共重合体であると認められる)のエチレンコンテントが29mol%で融点188°Cであり、32mol%で融点183°Cであることが記載され、また、当審引用例1には、エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンのモル%が32%で融点が183°Cであることが記載されるように、エチレン含有量が32モル%以下のEVOHは、融点が180°C以上であると認められるから、相違点3は実質的なものではない。
仮に相違するとしても、甲16や当審引用例1を参照して、「32モル%以下のエチレン含量を有す」る「EVOH」として、当該融点180°C以上のものを用いることは、当業者が適宜なし得たことである。
エ 相違点4について
甲3技術事項のとおり、甲3には、「パッケージングラミネートの曲げ剛性に最大の寄与を提供するために提供される紙又は板紙バルク層に代えて、ポリプロピレンなどで作られたポリオレフィンバルク層とし、食物の透明パウチなどで使用される、透明パッケージングラミネートを提供すること。」が記載されていることからすれば、板紙層22に代えてポリプロピレンを用いることが示唆されていると認められるから、甲3において、甲3技術事項を参照して、本件発明13の相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
オ 相違点5について
甲3発明のヒートシール可能ポリエチレンベース層である「最外層25」は、「好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、又はいわゆるメタロセン触媒LLDPE’s(m-LLDPE)、つまり単一サイト触媒を用いて触媒されたLLDPEポリマーもまた含み得る鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である」ところ、甲7の段落【0065】に「LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、融点125°C」と、甲8の段落【0044】に「メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン・・・融点110°C」と記載されるように、メタロセン触媒LLDPE(m-LLDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の融点は110~125°C程度であると認められるから、「最外層25」のポリエチレンとして、融点110~125°C程度のものを用いることは、当業者が適宜なし得たことである。
カ 小括
以上より、本件発明13は、甲3発明、甲3技術事項及び周知技術3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明を対比すると、本件発明1と甲3発明とは、次の相違点6で少なくとも相違する。
<相違点6>
表面樹脂層の樹脂材料について、本件発明1は「180°C以上の融点を有する」樹脂材料であって、「ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステルであ」るのに対し、甲3発明はEVOHであり、融点が特定されていない点。
イ 相違点6について
(ア)甲3発明の二軸配向ポリマーバリアフィルム10aの「EVOHの外部高表面エネルギーフレキシブルバリア層13」は、「EVOHは32モル%以下のエチレン含量を有」するものとされるところ、これは、「36モル%を超えると、EVOH層のガスバリア特性の改善を得ることは難しくなる。一般的に、エチレン含量が低いと、高いバリア改善は層の同時配向を用いることで得られる。」(甲3の段落【0032】)ことから選択されたものであり、敢えてEVOHを含まないものとして、本件発明1の相違点6に係る構成である「ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステル」とすることは、甲3には記載も示唆も見いだせない。
(イ)この点、申立人は、甲3の段落【0011】に、EVOHに代えてポリアミドを用いることが示唆されている旨主張する(令和7年6月12日の意見書第4ページ1~9行)。
しかし、「ポリアミド」には、ナイロン6、ナイロン6,6やMXDナイロンの結晶性ポリアミドと、非晶性ポリアミドが含まれるところ、甲3には、そのうちのナイロン6、ナイロン6,6やMXDナイロンの結晶性ポリアミドについて、記載も示唆も見いだせない。そもそも、甲3の段落【0011】の記載は、背景技術に関するものであり、甲3発明の「EVOH」をポリアミドに置き換えることを示唆するものではない。
また、申立人は、参考資料1(特表2000-507518号公報)を提出するが、参考資料1の実施例4には、非晶質ナイロンとポリプロピレンとをタイ層を挟んで同時押出しして、2軸延伸した延伸フィルムが記載されており、ナイロン6、ナイロン6,6やMXDナイロンの結晶性ポリアミドについては記載されていない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(ウ)また、提出された他の証拠にも、甲3発明の「EVOH」を、「ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステル」に代えることについては、記載も示唆もされていない。
(エ)よって、甲3発明において、本件発明1の相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 小括
以上より、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~7、15~18について
本件発明2~7、15~18は、いずれも本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるところ、上記(1)で述べたように、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2~7、15~18も、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(1)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と甲3発明を対比すると、本件発明8と甲3発明とは、次の相違点7で少なくとも相違する。
<相違点7>
本件発明8の「前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリプロピレンで構成され、前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、80質量%以上である」のに対し、
甲3発明は、最内層24と最外層25はポリエチレンで構成され、板紙層22は板紙であり、積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量について特定されていない点。
イ 相違点7について
甲3技術事項のとおり、甲3には、「パッケージングラミネートの曲げ剛性に最大の寄与を提供するために提供される紙又は板紙バルク層に代えて、ポリプロピレンなどで作られたポリオレフィンバルク層とし、食物の透明パウチなどで使用される、透明パッケージングラミネートを提供すること。」が記載されており、甲2(段落【0021】、【0024】)、甲10(段落【0081】)に記載されるように、シーラント層にポリプロピレンを用いることが周知の技術(上記周知技術1)であるとしても、甲3発明のような積層体でポリプロピレンの割合を増やすことで、積層体全体でのポリプロピレンが80質量%以上のモノマテリアルにすることについては、甲3だけでなく、提出された他の証拠にも、記載も示唆も見いだせない。
よって、甲3発明において、周知技術1を適用することで、本件発明8の相違点7に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 小括
以上より、本件発明8は、甲3発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明9について
ア 対比
本件発明9は、本件発明8の「前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、80質量%以上である、」との特定が、「89質量%以上」とされるものである。
本件発明9と甲3発明とは、次の<相違点8>で少なくとも相違する。
<相違点8>
本件発明9が、「前記シーラント層が、110°C以上の融点を有するポリプロピレンで構成され、前記第2基材が、ポリプロピレンを含み、前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、89質量%以上である」のに対し、
甲3発明は、最内層24と最外層25はポリエチレンで構成され、板紙層22は板紙であり、積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量について特定されていない点。
イ 相違点8について
上記(1)で述べたように、甲3には、紙又は板紙バルク層をポリプロピレンに代えることが記載されているとしても、シーラント層である最内層24と最外層25をポリプロピレンで構成することは記載も示唆もされていないから、甲3発明において、周知技術1を適用することで、本件発明9の相違点8に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 小括
以上より、本件発明9は、甲3発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明11、12について
本件発明11、12は、いずれも本件発明8の発明特定事項を全て備えるものであるところ、上記(1)で述べたように、本件発明8は、甲3発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明11、12も、甲3発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(1)対比
本件発明10と甲3発明を対比すると、本件発明10と甲3発明とは、次の相違点9で少なくとも相違する。
<相違点9>
本件発明10が、「少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、」「前記第1基材および前記蒸着膜は、前記第2基材と、前記シーラント層との間に位置し、前記第2基材は、前記積層体の最外層に位置」するのに対し、
甲3発明は、そのように特定されていない点。
(2)相違点9について
上記相違点9について検討する。
甲3発明のパッケージングラミネートの積層順は、上記3(2)アで述べた<甲3発明のパッケージングラミネートの積層順>のとおりである。
この積層順において、甲3発明のパッケージングラミネートの最外層は、ヒートシール可能ポリエチレンベース層である「最外層25」であり、この「最外層25」を含まないものとして、「板紙層22」を最外層とすることは、甲3には記載も示唆も見いだせない。
仮に、「最外層25」を含まないものとして「板紙層22」を最外層にするとしても、本件発明10の「シーラント層」に相当するものは甲3発明の「最内層24」となり、上記<甲3発明のパッケージングラミネートの積層順>からみて、甲3発明の、「ガスバリア層14」、「ベース又はコア層11」、「最内層24」の積層順は、蒸着膜、第1基材、シーラント層の積層順となり、本件発明10の「第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、」の構成を満たさない。
また、提出された他の証拠にも、「少なくとも、第1基材と蒸着膜とシーラント層とをこの順に備え、」「前記第1基材および前記蒸着膜は、前記第2基材と、前記シーラント層との間に位置し、前記第2基材は、前記積層体の最外層に位置」する構成は、記載も示唆も見いだせない。
よって、甲3発明において、本件発明10の相違点9に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
以上より、本件発明10は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(1)甲1に基づく進歩性
本件発明1~12、15~18に対し
(2)甲2に基づく新規性、進歩性
ア 新規性:本件発明1~4、6、7、15に対し
イ 進歩性:本件発明1~12、15~18に対し
(3)甲3に基づく新規性
本件発明1~5、15に対し
(4)サポート要件
ア 表面樹脂層の融点、あるいは高融点樹脂材料の含有量等が特定されていない本件発明1~12、15~18の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。
イ 表面樹脂層を構成する樹脂としてビニル樹脂やポリエステルを含む本件発明1~12、15~18の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。
(1)甲1に基づく進歩性について
ア 甲1に記載された発明
甲1には、特に実施例9の積層フィルムに着目すると、次の「甲1発明」が記載されているといえる。
「25μmのOPPフィルムに、接着性樹脂としてポリウレタン系接着剤層を設けた後、ポリビニルアルコール系重合体を1.8μmになるように塗布したポリビニルアルコール系重合体の層を設けた積層フィルムAのポリビニルアルコール系重合体の層の上に、PVD法により酸化アルミニウムの無機質層を300Å設けて、さらに無機質層上に、LLDPEをドライラミネートしたヒートシール層を有する積層フィルムB。」
イ 本件発明1~7、15~18について
本件発明1と甲1発明を対比すると、本件発明1の表面樹脂層が「ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステル」の層であるのに対し、甲1発明はポリビニルアルコール系重合体の層である点で少なくとも相違する。
この点、甲1発明は、「透明性があり、食品、医薬品等の包装用フィルムとして必要なガスバリア性を有し、湿度依存性の小さく肉厚精度の良好なポリビニルアルコール系重合体積層体に関する」(甲1の段落【0001】)ものであり、敢えて「ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステル」に代える動機付けはない。
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。本件発明2~7、15~18も同様である。
ウ 本件発明8~12について
本件発明8と甲1発明を対比すると、本件発明8は「第2基材をさらに備え、」「前記第2基材が、ポリプロピレンを含」むのに対し、甲1発明は、他の基材を備えることは特定されていない点で少なくとも相違する。
甲1には、ポリプロピレンの第2基材をさらに備えることは記載も示唆もされていない。
よって、本件発明8は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。本件発明9~12も同様である。
(2)甲2に基づく新規性・進歩性について
ア 甲2に記載された発明
甲2には、特に実施例6のガスバリア性包装材料に着目すると、次の「甲2発明」が記載されているといえる。
「二軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)//ポリウレタン系接着剤(塗布量3g/m
2
、乾燥状態)//酸化アルミニウム蒸着ナイロンフィルム//ポリウレタン系接着剤(塗布量3g/m
2
、乾燥状態)//無延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)構成を、ドライラミネート機を用いて作成したガスバリア性包装材料。」
イ 本件発明1~12、15~18について
本件発明1と甲2発明を対比すると、本件発明1は「前記第1基材は、ポリプロピレン樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の面に設けられた表面樹脂層と、前記ポリプロピレン樹脂層及び前記表面樹脂層の間の接着性樹脂層と、を備える二軸延伸樹脂フィルムであ」るのに対し、甲2発明は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)と、ポリウレタン系接着剤(塗布量3g/m
2
、乾燥状態)と、酸化アルミニウム蒸着ナイロンフィルムをドライアミネートしたものである点(以下「甲2発明との相違点」という。)で少なくとも相違する。
甲2発明は、ポリプロピレンフィルムのみ二軸延伸されるのに対し、本件発明1は、ポリプロピレン樹脂層と接着性樹脂層と表面樹脂層を積層したものを二軸延伸しており、甲2発明の「二軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)//ポリウレタン系接着剤(塗布量3g/m
2
、乾燥状態)//酸化アルミニウム蒸着ナイロンフィルム」を、積層した上で二軸延伸することには動機付けがなく、むしろ、二軸延伸することで蒸着した酸化アルミニウム膜に不具合が生じる恐れがあり、阻害事由が存在する。
よって、上記甲2発明との相違点は実質的なものであり、本件発明1は甲2発明ではなく、本件発明2~4、6、7、15も同様である。
また、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもなく、本件発明2~12、15~18も同様である。
(3)甲3に基づく新規性について
上記「第4 4」で述べたように、上記相違点6は実質的なものであり、本件発明1~5、15は、甲3発明ではない。
(4)サポート要件について
ア 申立人は、特許異議申立書(50~51ページ)において、「表面樹脂層の融点、あるいは高融点樹脂材料の含有量等が特定されていない本件発明1~12、15~18の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない」旨主張する。
しかしながら、表面樹脂層の高融点樹脂材料である「ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロンまたはポリエステル」は、極性基であるビニル基、アミド基又はエステル基を含み、これらの極性基は、蒸着膜との密着性を向上できることが周知の事項である。表面樹脂層の高融点樹脂材料は、これらの極性基を少なくとも含み、含まないものよりも、本件発明1~12、15~18の解決しようとする課題である、「表面樹脂層上に蒸着膜を形成することにより、密着性が改善されると共に、ガスバリア性も向上する」(本件明細書の段落【0007】)という課題を、より解決し得ることは明らかである。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
イ 申立人は、特許異議申立書(51ページ)において、「表面樹脂層を構成する樹脂としてビニル樹脂やポリエステルを含む本件発明1~12、15~18の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない」旨主張する。
しかしながら、上述のように、ビニル樹脂とポリエステルは、それぞれ、極性基であるビニル基、エステル基を含み、これらの極性基は、蒸着膜との密着性を向上できることが周知の事項であるから、実施例に表面樹脂層の樹脂材料として、ビニル樹脂やポリエステルの具体例が存在しないとしても、当業者であれば、「表面樹脂層を構成する樹脂としてビニル樹脂やポリエステルを含む」本件発明1~12、15~18が、「表面樹脂層上に蒸着膜を形成することにより、密着性が改善されると共に、ガスバリア性も向上する」という課題を解決し得ると認識するものといえる。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
以上のとおり、本件発明13は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項13に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
本件特許の請求項1~12、15~18に係る特許については、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~12、15~18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件訂正により請求項14は削除されたため、請求項14に対して申立人がした特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであることから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって結論のとおり決定する。
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