sokuhyo

Trademark Appeal Case

特許異議申立時の訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024700782
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7477309号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11、12について訂正することを認める。
特許第7477309号の請求項1、2、11、12に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7477309号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)11月30日(優先権主張 平成29年11月30日 日本国)を国際出願日とする特願2019-523894号の一部を令和 2年 1月22日に新たな特許出願としたものであって、令和 6年 4月22日にその特許権の設定登録がされ、同年 5月 1日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和 6年 8月19日 :特許異議申立人CYBERDYNE株式会

社(以下「申立人」という。)による請求

項1、2、11、12に係る特許に対す

る特許異議の申立て

令和 7年 2月27日付け:取消理由通知

同年 5月 7日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提

同年 同月27日 :特許権者による上申書の提出

同年 6月 5日付け:手続補正指令書(方式)

同年 同月24日 :手続補正書(方式)の提出

同年 7月 3日付け:訂正請求があった旨の通知書(特許法第1

20条の5第5項)

令和 7年 7月 3日付けで申立人に、令和 7年 5月 7日提出の特許権者の意見書及び訂正請求書並びに同年 6月24日提出の手続補正書(方式)の副本を送付し、意見書を提出する機会を与えたが、申立人から意見書は提出されなかった。

第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

令和 7年 6月24日提出の手続補正書(方式)により補正された令和 7年 5月 7日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10、請求項11、請求項12について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に

「生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段と、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段と、

前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段と

を備える、コンピュータ装置。」

と記載されているのを

「生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段と、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段と、

前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段と

を備え

、前記第2の決定手段は、

前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を行う、

コンピュータ装置。」

に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項8~10も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2に

「前記第2の決定手段は、

前記所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて前記複数の教示データごとに演算値を算出することと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を行う、請求項1に記載のコンピュータ装置。」

と記載されているのを

生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段と、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段と、

前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段と

を備え、

前記第2の決定手段は、

前記所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて前記複数の教示データごとに演算値を算出すること

であって、前記所定期間の終点は、前記記憶手段に前記出力ベクトルが記憶された最後の時刻であり、後続の新たな出力ベクトルが記憶されると、前記後続の新たな出力ベクトルが演算値を算出するために用いられ、前記後続の新たな出力ベクトルが記憶される前の前記所定期間の始点の前記出力ベクトルは前記演算値を算出するために用いられない、こと

と、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を行う、

ンピュータ装置。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3~10も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項11に

「生体信号が表す情報を識別するための方法であって、

生体信号を受信することと、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力することと、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定することと、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶することと、

記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む方法。」

と記載されているのを

「生体信号が表す情報を識別するための方法であって、

生体信号を受信することと、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力することと、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定することと、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶することと、

記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含

み、前記生体信号が表す情報を決定することは、

前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む、

方法。」に訂正する。

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項12に

「生体信号が表す情報を識別するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部とメモリ部とを備えるコンピュータ装置において実行され、前記プログラムは、

生体信号を受信することと、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力することと、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定することと、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に前記メモリ部に記憶することと、

前記メモリ部に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む処理を前記プロセッサ部に行わせる、プログラム。」

と記載されているのを

「生体信号が表す情報を識別するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部とメモリ部とを備えるコンピュータ装置において実行され、前記プログラムは、

生体信号を受信することと、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力することと、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定することと、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に前記メモリ部に記憶することと、

前記メモリ部に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む処理を前記プロセッサ部に行わせ

、前記生体信号が表す情報を決定することは、

前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む、

プログラム。」に訂正する。

2 一群の請求項について

訂正前の請求項1~12について、請求項2~10は、本件訂正により訂正される請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、請求項1~10は一群の請求項である。また、請求項11、12はそれぞれ一群の請求項である。したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されている。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

ア 訂正の目的

訂正事項1は、訂正前の請求項1記載の「第2の決定手段」について、「前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することとを行う」と限定することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

上記訂正事項1は、発明の詳細な説明の段落【0008】、【0044】、【0062】及び【0073】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと

上記訂正事項1は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。

(2)訂正事項2について

ア 訂正の目的

訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1を引用するものであるところ、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるとともに、「第2の決定手段」における「前記所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて前記複数の教示データごとに演算値を算出すること」について、「前記所定期間の終点は、前記記憶手段に前記出力ベクトルが記憶された最後の時刻であり、後続の新たな出力ベクトルが記憶されると、前記後続の新たな出力ベクトルが演算値を算出するために用いられ、前記後続の新たな出力ベクトルが記憶される前の前記所定期間の始点の前記出力ベクトルは前記演算値を算出するために用いられない」と限定することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び同項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

上記訂正事項2は、発明の詳細な説明の段落【0061】、【0073】及び【0078】の記載に基づくものであるから、本願明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと

上記訂正事項2は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。

(3)訂正事項3、4について

ア 訂正の目的

訂正事項3、4は、いずれも、訂正前の請求項11、12記載の「生体信号が表す情報を決定すること」について、「前記生体信号が表す情報を決定することは、前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することとを含む」と限定することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

上記訂正事項3、4は、いずれも、発明の詳細な説明の段落【0008】、【0044】、【0062】及び【0073】の記載に基づくものであるから、本願明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと

上記訂正事項3、4は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。

4 小括

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

また、同法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とする訂正事項1又は同項ただし書第1号及び第4号を目的とする訂正事項2により訂正される請求項3~10については、特許異議の申立てがされていない請求項であることから同条第9項で準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件が課されるが、訂正後の請求項3~10について、特許要件の適否について見直すべき新たな事項は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらない。

したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11、12について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記のとおり、本件訂正が認められたから、本件特許の請求項1、2、11、12に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、11、12に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】

生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段と、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段と、

前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段と

を備え、前記第2の決定手段は、

前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似道に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を行う、コンピュータ装置。

【請求項2】

生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段と、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段と、

前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段と

を備え、

前記第2の決定手段は、

前記所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて前記複数の教示データごとに演算値を算出することであって、前記所定期間の終点は、前記記憶手段に前記出力ベクトルが記憶された最後の時刻であり、後続の新たな出力ベクトルが記憶されると、前記後続の新たな出力ベクトルが演算値を算出するために用いられ、前記後続の新たな出力ベクトルが記憶される前の前記所定期間の始点の前記出力ベクトルは前記演算値を算出するために用いられない、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を行う、コンピュータ装置。

【請求項11】

生体信号が表す情報を識別するための方法であって、

生体信号を受信することと、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力することと、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定することと、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶することと、

記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含み、前記生体信号が表す情報を決定することは、

前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む、方法。

【請求項12】

生体信号が表す情報を識別するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部とメモリ部とを備えるコンピュータ装置において実行され、前記プログラムは、

生体信号を受信することと、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力することと、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定することと、

前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に前記メモリ部に記憶することと、

前記メモリ部に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む処理を前記プロセッサ部に行わせ、前記生体信号が表す情報を決定することは、

前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、

前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することと

を含む、プログラム。」

第4 当審の判断

1 取消理由の概要

当審が令和 7年 2月27日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)取消理由1(進歩性)

請求項1、2、11、12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1、2、11、12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)取消理由2(進歩性)

請求項1、11、12に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1、11、12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

[証拠方法]

甲第1号証:特表2017-532093号公報

甲第2号証:国際公開第2017/073770号

2 甲各号証の記載

(1)甲第1号証

甲第1号証(以下「甲1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付したものである。以下同様。)。

ア「【0072】

本明細書で使用される場合、

「事象関連脱同期化」および「ERD」という用語は、運動計画および実行の間に生じる、EEG信号(とりわけ)等の脳活動信号における電力の低下を指す。

EEG信号事象の場合、ERDは、典型的にアルファ(8~12Hz)およびベータ(13~30Hz)帯内で生じるが、ERD特徴は、他の周波数または他の周波数範囲でもまた生じ得る。「ERD信号」は、測定可能なERDを呈する信号を指す。

【0073】

本明細書で使用される場合、「合成ERD信号」という用語は、数学的な関数によって定義される、自然発生ERDを近似する波形を指す。

【0074】

図1は、EEGに基づくBCIを使用して、別個のスペクトル(周波数)、時間(temporal)(時間(time))、またはERD信号の他の特長を検出および分類するための、参照番号10で全体的に特定される、例示的なシステムの最上位構成要素アーキテクチャ図を示すが、ERD信号は、硬膜下および/または硬膜外電極で侵襲的に記録される脳皮質電位(ECoG)等の他の形態でもあり得る。図1~3を参照すると、この場合は

EEG信号の形態であるERD信号は、脳の活動を感知するように参加者の頭13上に位置付けられた、電極アレイ12を使用して、得られる。

参加者の手に着用されたセンサ手袋14は、神経筋事象の開始を検出するための抵抗センサを含み、この場合は手の運動を生じさせる。表示モニタ16は、参加者に視覚的キューを提示し、表示モニタ16上に目立たないように位置付けられた光センサが、視覚的キューを記録して、データ分析の間に実験の段階を特定する。電極アレイ12に加えて、センサ手袋14および光センサ18の両方からの信号は、米国、ノースカロライナ州、Neuroscanから入手可能な、SynAmps RT EEG増幅器等の、増幅器20を使用して記録され、米国、ノースカロライナ州、Neuroscanから入手可能な、CURRY7取得ソフトウェア等の、少なくとも1つのアプリケーションプログラムを用いる取得コンピュータ22への出力として、提供される。センサ手袋14および光センサ18からの信号は、取得コンピュータ22への入力としてもまた提供される。信号は、リード線を通して直接的に、または無線伝達信号を通して間接的に、取得コンピュータ22に提供され得る。

ERD信号は解釈され、少なくとも1つのアルゴリズムを使用してそこから特定の特長が抽出されて、意図された活動(IA)に関係する意図された神経筋事象に対応するERD表またはデータテンプレートを生成し、例えば腕、脚、手指、および足指等の、体の部分の運動のための筋肉および/または筋肉群の、意図された燃焼を含む。特長は、それらを、合成ERD信号を表す関数に対して相関させることによって、分類される。

ERDの主な特徴は、経時的に低下または低減することであり、これは、操作可能に適合する関数は、非直線正接関数等の、経時的に低下または低減するものを含むことを意味する。しかしながら、直線関数を含む他の関数もまた使用され得る。組み合わされたBCIおよびFESシステム30において、データテンプレートは、取得コンピュータ22によってクエリーされて、1つ以上の命令と共に信号出力をFESシステム34に発出する、テンプレートデータベース32内に格納される。(FESシステム34は、他の例示的な実施形態では、とりわけ、ロボットアーム、全肢プロテーゼ、部分肢プロテーゼ、矯正装置等の、動作を行うユーザ装置によって交換され得る。)FES治療の場合、命令は、参加者に、特定された、意図された神経筋事象またはIAに基づいて、具体的な動作または効果治療を行わせ得る。」

イ「【0077】

8つの電極を有する電極アレイ12が、図2に示されるように、以下のEEG部位:C1、C2、C3、C4、CZ、F3、F4、およびFZ(電極配置の国際10~20システムに従って)で、参加者の頭に配置された。

全電極部位、基準(連結された耳たぶ)、および下地(鎖骨)は、米国、コロラド州、オーロラ、Weaver and Companyから入手可能な、Ten20(登録商標)Conductive EEG Pasteでの電極配置の前に、70%のイソプロピルアルコール、および米国、コロラド州、オーロラ、Weaver and Companyから入手可能なNuprep(登録商標)Skin Prep Gelで調製された。各EEG部位でのインピーダンスが測定され、好ましくは、インピーダンスは10kΩ未満の値を有した。

8つのEEG電極アレイ12から検出された信号は、高域フィルタを通過し、その後で試料採取された。

一実施例では、0.15Hzの切断周波数および1kHzの試料採取周波数が選択された。信号分析方法はオフラインで適用され得るため、この試料採取周波数は、時間分解能を促進するように、およびデータ点の数を増加させるように選択された。」

ウ「【0099】

新しい脳活動信号は、工程100から108を適用することによって分類され得

、距離に基づく分類器については、分類するデータについての相関ヒストグラム(工程108)と、調査された挙動の1つずつについての相関マトリクスの1つずつとの間の距離(ユークリッドまたは任意の他の好適な定義)が測定され得る。例示的なアプローチは、下記により詳細に記載される。

【0100】

特定の運動(図12)と、異なる(特徴付けられていない)運動の個々の試行(図11)についての、「全部込みの」テンプレート間のユークリッド距離は、2つの運動の間の類似性の測定として使用され得る。

例えば、単一の電極部位および相関閾値からのデータを使用して、つまみ把握(把握1)の第1の試行と、非機能性1運動(把握2)の全試行の平均との間の距離は、以下の等式で計算され得る。

【数4】

12

134

0001433057000001.jpg

N

NF1

=非機能性1運動が実行された試行の数

(等式4.4)

【0101】

式中、

6

22

0001433057000002.jpg

は、つまみ把握の第1の試行の各要素G(i,j,1)

1

と、非機能性1運動の全ての試行の平均との間の距離の数値を含有するマトリクスである。等式4.4は次に、つまみ把握の第1の試行、ならびに虫様筋把握、指伸展、非機能性2運動、および手掌把握を含む、残りの4つの運動の、全ての「全部込みの」平均に、適用される。個々の試行を同じ運動のテンプレートと比較するときに、分類される個々の試行が、「1つ抜き」テンプレートを作成するために使用される平均に含まれないように、「1つ抜き」テンプレートが使用される。

【0102】

例えば、先に記載される実験プロトコルでは、つまみ把握の試行1と、この運動の試行の平均との間の距離を計算するときに、以下の等式が使用された。

【数5】

18

81

0001433057000003.jpg

N

つまみ

=つまみ把握が実行された試行の数

(等式4.5)

【0103】

式中、

6

20

0001433057000004.jpg

は、つまみ把握の第1の試行の各要素(G(i,j,1))と、試行1が除去されたその運動の全試行の平均(G(i,j,k)

1

)との間の距離の数値を含有するマトリクスである。

等式4.4および4.5の結果は、つまみ把握の試行1と全ての他の運動との間の数値的な距離を含有する、20×50×6テンソルにまとめられた。次に、このテンソルは、第2の次元(分析に含まれる周波数:1~50Hzを指す)に沿って合計され、20×6のマトリクスをもたらす。次いで各時間インスタンスでの最小非ゼロ値が特定され、1の値が与えられ、全ての他のエントリには0の値が与えられた。

例えば、表2は、運動の前の各時間間隔で、つまみ把握の試行1と各追加の把握の「全部込みの」テンプレート(表2の行3~7)との間、ならびにつまみ把握の試行1とつまみ把握の「1つ抜き」テンプレート(表2の行2)との間で計算された、距離の実際の値を例示する。表3は、データの二値版を表し、各列における最小距離を超える値には1の値が与えられ、全ての他の距離には0の値が与えられる。

【0104】

表3に示される表におけるゼロ値は、これらのインスタンスは、2つのゼロ値の削減を示すため、最小のエントリの計算から排除され、どちらのインスタンスも、設定された閾値を超える合成ERDとの相関の値をもたらさないことを意味する(等式4.3)。「つまみ」(強調)と標識した行における1のエントリは、つまみの試行1が、残りの把握の平均に対してつまみ把握についての平均からの最小距離を有したときの時間間隔を示す。

【0105】

この過程は、次につまみ把握の全ての試行に適用され、Nつまみ×20×6マトリクスをもたらした。次いで、つまみ把握からの最小距離を有すると特定された、全つまみ把握試行のパーセンテージが計算された。図14は、つまみ把握の最初の5つの試行について、表2および3によって記載される過程を例示し、白い面積は、各時間間隔でつまみ把握の試行1の間の最小距離を有した運動を表す。6つの運動の各々が最小距離を有すると特定された

、全つまみ試行のパーセンテージは、図14に示される。より明るい色の面積は、運動からの最小距離を有するつまみ試行の、より高いパーセンテージを指し、より暗い色の面積は、より低いパーセンテージを表す。

最後に、全時間間隔にわたって最大パーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択された。

図14によって例示される実施例では、最大パーセンテージは長円によって示され、運動の開始の1.56~0.88秒前の時間間隔の間に、最大値71%で、つまみ把握に指定される第1の行内に生じる。換言すると、本参加者については、つまみ把握は、この具体的な時間間隔の間、この特定の電極および相関閾値を使用して、試行の71%において、正確に分類される。

つまみ把握についての分類を完了するために、本節に記載される同じ手順が、全ての電極部位(C1、C2、C3、C4、CZ、F3、F4、およびFZ)ならびに相関閾値の全ての値(0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、および0.90)について反復され、56のマトリクス(8つの電極部位×7閾値)をもたらした。最終的に、56のマトリクスのうちのいずれかをわたって達成された分類の最高のパーセンテージが、運動を分類するために選択される。

残っている運動は、同じ手順を使用して分類された。」

エ「

91

122

0001433057000005.jpg

オ「

133

153

0001433057000006.jpg

カ「

49

85

0001433057000007.jpg

キ「

207

121

0001433057000008.jpg

ク「

246

111

0001433057000009.jpg

上記ア~ウの特に下線部の記載及びカ、キの図面の記載からすれば、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「脳活動信号を分類するための取得コンピュータ22であって、

ERD信号が、脳の活動を感知するように参加者の頭上13に位置付けられた、8つの電極を有する電極アレイ12を使用して得られた後に提供され、

単一の電極部位及び相関閾値からのデータを使用して、つまみ把握(把握1)の第1の試行と、非機能性1運動(把握2)の全試行の平均との間の距離である

【数4】

12

134

0001433057000010.jpg

N

NF1

=非機能性1運動が実行された試行の数

を計算し、

つまみ把握の試行1と、この運動の試行の平均との間の距離である

【数5】

18

81

0001433057000011.jpg

N

つまみ

=つまみ把握が実行された試行の数

を計算し、

【数4】及び【数5】の結果は、つまみ把握の試行1と全ての他の運動との間の数値的な距離を含有する、20×50×6テンソルにまとめられ、

次に、このテンソルは、周波数1~50Hzに沿って合計され、20×6のマトリクスをもたらし、

次いで、各時間インスタンスでの最小非ゼロ値が特定され、1の値が与えられ、全ての他のエントリには0の値が与えられ、

つまみ把握の全ての試行に適用され、Nつまみ×20×6マトリクスをもたらし、

次いで、つまみ把握からの最小距離を有すると特定された、全つまみ把握試行のパーセンテージが計算され、

最後に、全時間間隔にわたって最大パーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択され、

同じ手順が、全ての電極部位ならびに相関閾値の全ての値について反復され、56のマトリクス(8つの電極部位×7閾値)をもたらし、最終的に、56のマトリクスのうちのいずれかをわたって達成された分類の最高のパーセンテージが、運動を分類するために選択される、取得コンピュータ22。」

(2)甲第2号証

甲第2号証(以下「甲2」という。)には、次の事項が記載されている。

ア「[0001]

本発明は、筋電で制御される機器で用いられる筋電パターンの識別に関するものである。

イ「[0025]

本発明では、識別された筋電パターンの時系列をバッファに保存しておき、その時系列データを元に2段階目の識別を行うことにより識別率を向上させる。

1段階目の識別には、従来から用いられてきたBPニューラルネットワークによるアルゴリズムを用いる。

このアルゴリズムでは、まず筋電波形を計測しベクトルemgに保存する。ベクトルemgは3チャンネルの筋電計から計測された時系列データが格納されている。次に特徴抽出関数G

FE

によって、ベクトルemgからベクトルemgの周波数分布を示す特徴ベクトルXが抽出される。

[0026][数1]

7

60

0001433057000012.jpg

この特徴ベクトルXを特徴量としてBPニューラルネットワークの入力層に入力し、結果として異なる手の姿勢に対応した出力層のいずれかのノードが発火し、識別が行われる(図2参照)。

この筋電パターンの識別処理を行う機構を、本願の図1(a)(b)では筋電識別器として模式的に示している。

[0027]

ここで、BPニューラルネットの出力層における出力値をベクトルL、識別する筋電パターンの数をMとすると

[0028][数2]

7

77

0001433057000013.jpg

と表される。最終的なBPニューラルネットの出力をy、筋電パターンのIDをm

i

、IDがm

i

の筋電パターンが出力yとして識別される際のベクトルLの集合をo

i

とすると

[0029][数3]

39

78

0001433057000014.jpg

[0030][数4]

20

77

0001433057000015.jpg

と決定される。

識別不能の場合、yには-1が代入される。筋電パターンm

i

が義手のどのような姿勢に割り当てられるかはあらかじめ実験者によりプログラミングされる。一般的に筋電波形には移動平均などの平滑化処理が行われるが、ニューラルネットワークで識別された出力は離散的な姿勢となるため、単純な平滑処理は用いることができない。また、平滑化においては時間幅を多く取り過ぎると応答性が低下するため、平滑化の時間幅は最小限に留める必要がある。そこで着目したのが、対象とする筋電パターンのうち、同時に発現する可能性がある動作は限られることである。本実施例で取り扱う筋電パターンは、一例として、前腕の回内・回外、手首の掌屈・背屈、五指の握り・開き、母指の曲げ、第4指及び第5指の握り、安静状態の9パターンとする。例えば五指を握りながら手首の掌背屈を行うことはありうるが、手首を背屈させながら掌屈させることは手首を拮抗状態にしていることを意味し、現状の筋電義手は拮抗制御を行っていないため、識別する必要のない状態である。このことを踏まえ、複合動作としては前腕の回内または回外と、手首の掌屈または背屈と、指のパターンいずれか、という3つのパターンの同時識別が最大である。なお、本発明で取り扱い可能な筋電パターンは9パターンに限定されるものではなく、9パターン未満もしくは10パターン以上であっても良い。

[0031] 筋電パターンが9パターンの場合には同時に発現する可能性のある動作は3パターンであることを踏まえ、図3のようにアルゴリズムを構築した。

このアルゴリズムでは、リングバッファに保存した一定時間の筋電パターンの時系列データを参照し、時系列に含まれる筋電パターンの割合を元に出力を決定するものである。一定時間にバッファされる筋電パターンの数をNとすると、ある時tにおけるリングバッファbuff

t

[0032][数5]

7

85

0001433057000016.jpg

と表される。

buff

t

の構成要素であるy

i

には筋電パターンのIDが記憶されている。この後、次の制御周期で再び筋電計測が行われ、新たな筋電パターンyの識別が行われたt

1

秒後、リングバッファbuffは

[0033][数6]

17

86

0001433057000017.jpg

と更新される。リングバッファbuff

t+t1

中に含まれる筋電パターンm

i

の数S

i

[0034][数7]

36

84

0001433057000018.jpg

と表される。これより、リングバッファbuff中に含まれる筋電パターンm

i

の占める割合P

i

[0035][数8]

13

84

0001433057000019.jpg

となる。提案するアルゴリズムではまず、筋電パターンが単一であるか、複数の筋電パターンを含むかを判別する。

リングバッファbuffの半数以上が任意の筋電パターンM

p

であれば、単一であると判断し、筋電パターンM

p

に対応付けられた動作を義手に出力する。

[0036]

すなわち、まず提案するアルゴリズムが、リングバッファbuffに保存されたN個の筋電パターンを参照する。そして、半数以上が筋電パターンM

p

である場合には、制御部は筋電パターンM

p

に対応付けられた動作指令を出し、義手はその動作指令の通りの動作をする。

[0037] リングバッファbuffに複数の筋電パターンM

p1

、M

p2

・・・を含む場合、先に述べたように同時に発現する動作数を3としたため、少なくともリングバッファbuffの1/4以上を占めた筋電パターンM

p1

、M

p2

・・・をすべて出力する。ここで、一般化のために、最終的に出力される動作oを、同時に発現する動作数の最大値をnとして記述すると

[0038][数9]

32

115

0001433057000020.jpg

となる。ここで、出力する筋電パターンoが複数の場合、実際には同時に出力されず、y

i

からy

k

が順に出力されることとなる。

[0039] なお、同時に発現する動作数がnである場合には、同時発現の基準となるリングバッファbuffの閾占有率を1/(n+1)に設定し、リングバッファbuffに占める割合が1/(n+1)以上の筋電パターンの全てを同時に発現するのが望ましい。しかし、基準となる閾占有率は1/(n+1)に限られず、任意に設定することもできる。

[0040]

本研究で提案するフィルタアルゴリズムを、識別結果の時系列buffを引数としてフィルタ結果としての義手への出力oを出力する関数G

TS

として定義すると

[0041][数10]

7

71

0001433057000021.jpg

のように記述できる。

上記ア~イの特に下線部の記載からすれば、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。

「筋電パターンを識別する筋電義手であって、前記筋電義手は、

筋電パターンをベクトルemgとして保存するバッファと、

ベクトルemgからベクトルemgの周波数分布を示す特徴ベクトルXを抽出する特徴抽出関数G

FE

と、

特徴ベクトルXと複数の識別された筋電パターンの各々との識別処理を行った出力値であるベクトルLを出力するBPニューラルネットワークと、

筋電パターンのIDであるm

i

の出力yを一定時間バッファするリングバッファbuff

t

と、

識別結果の時系列buffを引数としてフィルタ結果としての義手への出力oを出力する関数G

TS

と、

を備える、筋電義手。」

3 取消理由についての判断

(1)取消理由1(進歩性)

ア 本件発明1

(ア)対比

本件発明1と甲1発明とを対比する。

a 甲1発明の「脳活動信号」は本件発明1の「生体信号」に相当し、同様に「分類する」ことは「識別する」ことに相当するから、甲1発明の「脳活動信号を分類するための取得コンピュータ22」は、本件発明1の「生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置」に相当する。

b 甲1発明の「ERD信号が」「提供され」る取得コンピュータ22側の手段は、本件発明1の「生体信号を受信する受信手段」に相当する。

c 甲1発明の「つまみ把握(把握1)の第1の試行」の各要素「G(i,j,1)

1

」は、ERD信号から相互相関計算の結果算出されるものであるから、本件発明1の「生体信号を解析し」た「特徴データ」に相当し、甲1発明の「つまみ把握(把握1)の第1の試行」の各要素「G(i,j,1)

1

」を出力する手段は、本件発明1の「前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段」に相当する。

してみれば、本件発明1と甲1発明は、次の一致点及び相違点を有する。

【一致点】

生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

を備える、コンピュータ装置。

【相違点1】

本件発明1は、「前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段」を備えるのに対し、

甲1発明は、「単一の電極部位および相関閾値からのデータを使用して、つまみ把握(把握1)の第1の試行と、非機能性1運動(把握2)の全試行の平均との間の距離である

【数4】

12

134

0001433057000022.jpg

N

NF1

=非機能性1運動が実行された試行の数

を計算し、

つまみ把握の試行1と、この運動の試行の平均との間の距離である

【数5】

18

81

0001433057000023.jpg

N

つまみ

=つまみ把握が実行された試行の数

を計算し、

【数4】及び【数5】の結果は、つまみ把握の試行1と全ての他の運動との間の数値的な距離を含有する、20×50×6テンソルにまとめられ、

次に、このテンソルは、周波数1~50Hzに沿って合計され、20×6のマトリクスをもたらし、

次いで、各時間インスタンスでの最小非ゼロ値が特定され、1の値が与えられ、全ての他のエントリには0の値が与えられ、

つまみ把握の全ての試行に適用され、Nつまみ×20×6マトリクスをもたらし、

次いで、つまみ把握からの最小距離を有すると特定された、全つまみ把握試行のパーセンテージが計算され、

最後に、全時間間隔にわたって最大パーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択され、

同じ手順が、全ての電極部位ならびに相関閾値の全ての値について反復され、56のマトリクス(8つの電極部位×7閾値)をもたらし、最終的に、56のマトリクスのうちのいずれかをわたって達成された分類の最高のパーセンテージが、運動を分類するために選択される」点。

【相違点2】

本件発明1は、「前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段」を備えるのに対し、甲1発明は、そのような記憶手段を備えるのか明らかでない点。

【相違点3】

本件発明1は、「前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段」「を備え、前記第2の決定手段は、前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似道に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することとを行う」のに対し、甲1発明は、そのような第2の決定手段を備えるのか明らかでない点。

(イ)判断

以下、事案に鑑み、相違点3から検討する。

甲1発明は、当該20×50×6テンソルから求められたマトリックス(図14参照。)に基づき、「次に、このテンソルは、周波数1~50に沿って合計され、20×6のマトリクスをもたらし、次いで、各時間インスタンスでの最小非ゼロ値が特定され、1の値が与えられ、全ての他のエントリには0の値が与えられ、つまみ把握の全ての試行に適用され、Nつまみ×20×6マトリクスをもたらし、次いで、つまみ把握からの最小距離を有すると特定された、全つまみ把握試行のパーセンテージが計算され、最後に、全時間間隔にわたって最大パーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択され、同じ手順が、全ての電極部位ならびに相関閾値の全ての値について反復され、56のマトリクス(8つの電極部位×7閾値)をもたらし、最終的に、56のマトリクスのうちのいずれかをわたって達成された分類の最高のパーセンテージが、運動を分類するために選択される」から、結果的に20の時間間隔を含む時系列の出力ベクトルにおける20の時間間隔を総合した期間内の複数の出力ベクトルに基いて、生体信号が表す情報を決定している。

しかし、甲1発明は、段落【0105】及び図14(上記1(1)ウ、ク参照。)に記載されているように、運動を分類(生体信号を表す情報を決定)するにあたって、20×6のマトリックスで、各時間間隔でつまみ把握の試行1の間が最小距離のものとそれ以外のものを0か1の二値にし、全つまみ試行において、最小距離を有すると特定されたパーセンテージ(すなわち、0のパーセンテージ、図14の白い面積のパーセンテージ)が最大のパーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択されるのであるから、運動を分類(生体信号を表す情報を決定)する演算値を算出するにあたって、類似度(最小距離)を間接的に利用しているにすぎず、類似度に対する演算を行っていない。

したがって、甲1発明は、本件発明1の「前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する」第2の決定手段を備えておらず、また、その様な第2の決定手段を甲第1号証の記載から当業者が容易に想到できるともいえない。

よって、上記相違点3に係る相違点は、甲1発明から当業者が容易に想到できたものではない。

したがって、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(ウ)小括

よって、本件発明1は、取消理由通知に記載した取消理由1によっては、取り消すことができない。

イ 本件発明2

(ア)対比

本件発明2と甲1発明を対比すると、上記アで検討した【一致点】を有し、次の相違点を有する。

【相違点1】

本件発明2は、「前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段」を備えるのに対し、

甲1発明は、「単一の電極部位および相関閾値からのデータを使用して、つまみ把握(把握1)の第1の試行と、非機能性1運動(把握2)の全試行の平均との間の距離である

【数4】

12

134

0001433057000024.jpg

N

NF1

=非機能性1運動が実行された試行の数

を計算し、

つまみ把握の試行1と、この運動の試行の平均との間の距離である

【数5】

18

81

0001433057000025.jpg

N

つまみ

=つまみ把握が実行された試行の数

を計算し、

【数4】及び【数5】の結果は、つまみ把握の試行1と全ての他の運動との間の数値的な距離を含有する、20×50×6テンソルにまとめられ、

次に、このテンソルは、周波数1~50Hzに沿って合計され、20×6のマトリクスをもたらし、

次いで、各時間インスタンスでの最小非ゼロ値が特定され、1の値が与えられ、全ての他のエントリには0の値が与えられ、

つまみ把握の全ての試行に適用され、Nつまみ×20×6マトリクスをもたらし、

次いで、つまみ把握からの最小距離を有すると特定された、全つまみ把握試行のパーセンテージが計算され、

最後に、全時間間隔にわたって最大パーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択され、

同じ手順が、全ての電極部位ならびに相関閾値の全ての値について反復され、56のマトリクス(8つの電極部位×7閾値)をもたらし、最終的に、56のマトリクスのうちのいずれかをわたって達成された分類の最高のパーセンテージが、運動を分類するために選択される」点。

【相違点2】

本件発明2は、「前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段」を備えるのに対し、甲1発明は、そのような記憶手段を備えるのか明らかでない点。

【相違点4】

本件発明2は、「前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段」「を備え、前記第2の決定手段は、前記所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて前記複数の教示データごとに演算値を算出することであって、前記所定期間の終点は、前記記憶手段に前記出力ベクトルが記憶された最後の時刻であり、後続の新たな出力ベクトルが記憶されると、前記後続の新たな出力ベクトルが演算値を算出するために用いられ、前記後続の新たな出力ベクトルが記憶される前の前記所定期間の始点の前記出力ベクトルは前記演算値を算出するために用いられない、ことと、前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することとを行う」のに対し、甲1発明は、そのような第2の決定手段を備えるのか明らかでない点。

(イ)判断

以下、事案に鑑み、相違点4から検討する。

甲1発明は当該20×50×6テンソルから求められたマトリックス(図14参照。)に基づき、「次に、このテンソルは、周波数1~50に沿って合計され、20×6のマトリクスをもたらし、次いで、各時間インスタンスでの最小非ゼロ値が特定され、1の値が与えられ、全ての他のエントリには0の値が与えられ、つまみ把握の全ての試行に適用され、Nつまみ×20×6マトリクスをもたらし、次いで、つまみ把握からの最小距離を有すると特定された、全つまみ把握試行のパーセンテージが計算され、最後に、全時間間隔にわたって最大パーセンテージを含有する運動が、運動を分類するために選択され、同じ手順が、全ての電極部位ならびに相関閾値の全ての値について反復され、56のマトリクス(8つの電極部位×7閾値)をもたらし、最終的に、56のマトリクスのうちのいずれかをわたって達成された分類の最高のパーセンテージが、運動を分類するために選択される」から、結果的に20の時間間隔を含む時系列の出力ベクトルにおける20の時間間隔を総合した期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、生体信号が表す情報を決定している。

しかし、甲1発明には、第2の決定手段が、所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて複数の教示データごとに演算値を算出するにあたって、「前記所定期間の終点は、前記記憶手段に前記出力ベクトルが記憶された最後の時刻であり、後続の新たな出力ベクトルが記憶されると,前記後続の新たな出力ベクトルが演算値を算出するために用いられ、前記後続の新たな出力ベクトルが記憶される前の前記所定期間の始点の前記出力ベクトルは前記演算値を算出するために用いられない」点(以下「特徴構成」という。)については記載がない。

そして、本件発明2は、当該特徴構成を備えることにより、所定期間内の複数の類似度に基づいて、生体信号が表す動作を決定するため、極めて高精度で生体信号が表す動作を識別できる(本願明細書の段落【0074】参照。)という特有の作用効果を奏するものであるから、当該特徴構成を甲1発明から当業者が容易に発明できたということはできない。

よって、上記相違点4に係る本件発明1の事項は、甲1発明から当業者が容易に想到できたものではない。

したがって、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(ウ)小括

よって、本件発明2は、取消理由通知に記載した取消理由1によっては、取り消すことができない。

ウ 本件発明11、12

本件発明11は、本件発明1のコンピュータ装置に係る方法の発明であり、また、本件発明12は、本件発明1のコンピュータ装置に係るプログラムの発明であって、いずれも本件発明1と実質的に同旨の発明特定事項を全て備えるから、上記アと同様の理由により、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

よって、本件発明11、12は、取消理由通知に記載した取消理由1によっては、取り消すことはできない。

エ 取消理由1についてのまとめ

よって、本件発明1、2、11、12は、取消理由通知に記載した取消理由1によっては、取り消すことはできない。

(2)取消理由2(進歩性)

ア 本件発明1

(ア)対比

本件発明1と甲2発明とを対比する。

a 甲2発明の「筋電パターンを識別する筋電義手」は、コンピュータ装置を用いることが明らかであるから、本件発明1の「生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置」に相当し、以下同様に、「筋電パターンをベクトルemgとして保存するバッファ」は「生体信号を受信する受信手段」に、「ベクトルemgからベクトルemgの周波数分布を示す特徴ベクトルXを抽出する特徴抽出関数G

FE

」は「前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段」に相当する。

b また、甲2発明の「特徴ベクトルXと複数の識別する筋電パターンの各々との識別処理を行った出力値である出力ベクトルLを出力するBPニューラルネットワーク」は、特徴ベクトルXと複数の識別する筋電パターンの各々との対比により識別処理を行い、出力ベクトルLを出力しているといえるから、本件発明1の「前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段」に相当する。

c そして、甲2発明の「筋電パターンのIDであるm

i

の出力yを一定時間バッファするリングバッファbuff

t

」と、本件発明1の「前記出力ベクトルを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段」は、データを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段である限りで一致する。

d また、甲2発明の「識別結果の時系列buffを引数としてフィルタ結果としての義手への出力oを出力する関数G

TS

」と、本件発明1の「前記記憶手段に記憶された時系列の出力ベクトルにおける所定期間内の複数の出力ベクトルに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段」は、記憶手段に記憶された時系列のデータにおける所定期間内の複数のデータに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段である限りで一致する。

してみれば、本件発明1と甲2発明は、次の一致点及び相違点を有する。

【一致点】

生体信号が表す情報を識別するためのコンピュータ装置であって、前記コンピュータ装置は、

生体信号を受信する受信手段と、

前記受信された生体信号を解析して特徴データを出力する解析手段と、

前記特徴データと、複数の教示データのうちの各々との類似度を示す出力ベクトルを決定する第1の決定手段と、

データを時刻ごとに時系列に記憶する記憶手段と、

前記記憶手段に記憶された時系列のデータにおける所定期間内の複数のデータに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段と

を備える、コンピュータ装置。

【相違点5】

記憶手段に記憶された時系列のデータにおける所定期間内の複数のデータに基づいて、前記生体信号が表す情報を決定する第2の決定手段について、当該データが、本件発明1は、「出力ベクトル」であるのに対し、甲2発明は、「筋電パターンのIDであるm

i

の出力y」である点。

【相違点6】

本件発明1は、「前記第2の決定手段は、前記複数の教示データごとに、前記所定期間内の複数の出力ベクトルの各々が示す類似度に対する演算を行うことにより、演算値を算出することであって、前記演算が行われる類似度の各々は、0~1の範囲の値を有する、ことと、前記演算値に基づいて、前記生体信号が表す情報を決定することとを行う」のに対し、甲2発明は、そのように特定されていない点。

(イ)判断

以下、事案に鑑み、相違点6について検討する。

前記2(2)イのとおり、甲2には、特徴ベクトルXをBPニューラルネットワークの入力層に入力し、出力層におけるベクトルLから識別される筋電パターンのIDであるm

i

を一定時間バッファして、一定時間の筋電パターンの時系列データから、義手へ出力することが記載されている。ここで、仮に、甲2に記載されたベクトルLが本件発明1の「出力ベクトル」に相当し、当該ベクトルLの各成分が本件発明1の「類似度」に相当するとしても、甲2発明は、「出力ベクトル」を記憶し、その「類似度」を更に演算するものでない。むしろ、甲2発明では、「出力ベクトル」から識別された筋電パターンのIDであるm

i

を記憶し、m

i

を演算に用いているにすぎない。すなわち、演算値を算出するにあたって、類似度(ベクトルLの各成分)を利用しているにすぎない。

そして、甲2には、生体信号が表す情報を決定する際に用いられる演算値を算出するために、0~1の範囲の値を有する指標に対する演算を行うことは、記載も示唆もされていない。

よって、上記相違点6に係る本件発明1の事項は、甲2発明から当業者が容易に想到できたものではない。

したがって、上記相違点5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(ウ)小括

よって、本件発明1は、取消理由通知に記載した取消理由2によっては、取り消すことができない。

イ 本件発明11、12

本件発明11は、本件発明1のコンピュータ装置に係る方法の発明であり、また、本件発明12は、本件発明1のコンピュータ装置に係るプログラムの発明であって、いずれも本件発明1と実質的に同旨の発明特定事項を全て備えるから、上記アと同様の理由により、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

よって、本件発明11、12は、取消理由通知に記載した取消理由2によっては、取り消すことはできない。

ウ 取消理由2についてのまとめ

よって、本件発明1、11、12は、取消理由通知に記載した取消理由2によっては、取り消すことはできない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明1、2、11、12に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件発明1、2、11、12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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