結論テキスト
特許第7669987号の請求項1~8に係る特許を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025701025 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7669987号の請求項1~8に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年6月22日にした出願であって、令和7年4月21日に特許権の設定登録がされ、同年4月30日に特許掲載公報が発行された。その後、令和7年10月27日に、特許異議申立人藤央弁理士法人(以下「申立人」という。)は請求項1~8に係る特許に対して特許異議の申立てを行った。
本件特許の請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明8」という。)は、それぞれその特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
車両に対する前後方向への相対移動により、所定の手順に従って前記車両を洗車する洗車機本体と、
前記車両の前後方向に相対移動するとともに、前記車両の外形に関する情報を取得するセンサと、
前記洗車機本体の各部を制御する制御部と、
特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記洗車が開始されると、前記センサが取得した前記外形に関する情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を開始し、
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、前記車両が前記特定車種であるかを判別し、
前記車両が前記特定車種である場合、前記変更情報に基づいて変更された前記手順に従って洗車を実行する、洗車機。
【請求項2】
前記車両が前記特定車種であるかの判別は、前記車両の洗車中に行われる、請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記センサは、前記車両と前記洗車機本体の相対移動経路を横切る光軸を有する複数の光電スイッチを上下方向に配列して形成される車形検出センサである、請求項1に記載の洗車機。
【請求項4】
前記変更情報は、前記特定部位それぞれに対する、特定距離と、前記特定距離における前記洗車機本体の各部の制御の変更手順を示す変更情報とを含む、請求項1に記載の洗車機。
【請求項5】
前記変更手順は、前記洗車機本体が備えるブラシの回避制御に関する手順、当該ブラシによる洗浄強度の変更に関する手順、またはすすぎ量の変更に関する手順である、請求項4に記載の洗車機。
【請求項6】
洗車機と、前記洗車機と通信可能なサーバとを備える洗車システムであって、
前記洗車機は、
車両に対する前後方向への相対移動により、所定の手順に従って前記車両を洗車する洗車機本体と、
前記車両の前後方向に相対移動するとともに、前記車両の外形に関する情報を取得するセンサと、
前記洗車機の各部を制御する制御部と、を備え、
前記サーバは、
特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部を備えており、
前記制御部は、
前記洗車が開始されると、前記センサが取得した前記情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を開始し、
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、前記車両が前記特定車種であるかを判別し、
前記車両が前記特定車種である場合、前記変更情報に基づいて変更された前記手順に従って洗車を実行する、洗車システム。
【請求項7】
前記制御部は、所定の車種判別ポイントを過ぎると、前記車両が前記特定車種であるかを判別する、請求項1に記載の洗車機。
【請求項8】
前記特定車種外形データは、複数の特定車種の外形データを含む、請求項1に記載の洗車機。」
申立人は、以下の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」ともいう。)を提出して、以下の特許異議申立理由により本件発明1~8を取り消すべきである旨主張する。
甲1:特開2011-121546号公報
甲2:特開平4-292245号公報
甲3:特開平11-29010号公報
甲4:特開平10-1032号公報
甲5:特開2013-139217号公報
(1)特許法第29条第1項第3号についての申立理由(以下「申立理由1」という。)
ア 本件発明1~6は、甲1に記載された発明である。
(2)特許法第29条第2項についての申立理由(以下「申立理由2」という。)
ア 本件発明1~4、6、8は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明5は、甲1に記載された発明、甲3に記載された事項並びに甲4及び甲5にて例示される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明7は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(1)甲1について
ア 記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
「【0021】
上記目的を達成するために本発明は、制御部と洗車機本体を備え、制御部に設定される洗車プログラムに応じて各種の洗浄部材と乾燥部材を操作駆動して、洗車機本体と被洗浄車両とを前後方向に相対移動させながら洗車を行う洗車機の駆動システムであって、特定車種の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状を記憶するデータベースを備えるサーバを設け、該サーバと前記制御部とを通信可能に接続し、前記制御部に前記外形形状に応じた第一洗車プログラムと、前記洗車機本体に設ける車両外形認識手段により認識された被洗浄車両の車両外形に応じた第二洗車プログラムと、を設定可能とし、さらに、前記車両外形認識手段により認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾するか矛盾しないかを判定する判定手段を設け、前記判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾しないと判定されたときに前記第一洗車プログラムに応じた洗車を行う第一の洗車操作と、前記判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾すると判定されたときに前記第二洗車プログラムに応じた洗車を行う第二の洗車操作を実行可能としたことを特徴としている。」
「【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0029】
本実施形態に係る洗車機について図3および図4を用いて説明する。洗車機WAは、洗車機本体1と被洗浄車両CAとを前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両CAの洗車を行う洗車機WAである。また、図に示すように、車輪3を介してレール2上に沿って走行移動する門型の洗車機本体1に、被洗浄車両CAの上面を洗浄するトップブラシ4と、被洗浄車両CAの両側面と前後面を洗浄する左右一対のサイドブラシ5と、被洗浄車両CAの両側面下部の足回りを洗浄する左右一対のロッカーブラシ6を備え、乾燥のために、ブロワ20と該ブロワ20からの送風を吹き付ける昇降自在なトップ送風ノズル21と左右一対のサイド送風ノズル22を備えた構成とされている。
【0030】
8は、被洗浄車両CAの有無とボンネット高さを検知するボンネット高さ検知センサであって、光電式もしくは超音波式の反射型センサを用いることができる。
【0031】
また、透過式光電センサからなる車両外形認識手段17を用いて被洗浄車両CAの外形形状を認識する。この車両外形認識手段17は、例えば、洗車機本体1の一方の側部の上下方向に複数の投光器を備える透光部17Aを設け、この投光部17Aに対向する他方の側部の上下方向に複数の受光器を備える受光部17Bを設けて、洗浄位置にある被洗浄車両CAの車両外形さを認識する構成とされる。
【0032】
また、リモートパネル7Aを介して設定された洗車プログラムに応じて洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材を所定の操作手順で駆動し、洗車機本体1を往復走行移動するシステムである。そのために、リモートパネル7Aに設定される洗車プログラムは、被洗浄車両CAの車両外形や装備品の種類に適した洗車プログラムが望ましい。
【0033】
被洗浄車両CAの車両外形や装備品の種類に適した洗車プログラムとは、凹凸のある車体表面や車体表面から突出して設けられている各種装備品に対して、洗浄部材や乾燥部材を可能な限り近接して洗車を行い、車両を傷付けず、洗い残しを生じず、確実で安全な洗車を可能とする洗車プログラムである。
【0034】
特に、人気があり車両台数が多い特定車種に対して、その外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状を確実に認識することで、この特定車種に対して、洗浄部材や乾燥部材を可能な限り近接して洗車を行うことが可能となる。
【0035】
次に、リモートパネル7Aの一例について図2を用いて説明する。リモートパネル7Aは、洗車機WAの洗車モードを設定する装置であって、図4に示すように、洗車機WAへの進入経路上に設置されている。そのために、該リモートパネル7Aの正面に被洗浄車両CAを停車して、洗車機WAの洗車モードを設定することができる。
【0036】
リモートパネル7Aは、例えば、支柱70にパネル本体71が上下動自在に装着された構成であって、支柱70に昇降装置(不図示)を内蔵し、上昇ボタン85a、もしくは下降ボタン85bを押下して、それぞれ上昇、下降させることが可能とされている。また、パネル本体71の正面側には、返却レバー72、コイン投入口73、紙幣投入口74、カード投入口75が設けられている。78はつり銭の返却口もしくは領収書発行部となる払い出し部である。
【0037】
また、操作部81とタッチパネル部82を備えていて、所定の洗車モードや用いる液剤の選定を行うことができる。操作部81には、例えば、洗車モード設定ボタン81a、81b、81cが設けられている。また、本実施形態においては、後述する特定車種設定ボタン81dを設ける構成としている。
【0038】
各種の洗車モードに対応する設定ボタン81a、81b、81cとして、例えば、設定ボタン81aはシャンプーを設定するボタンであり、設定ボタン81bは、例えば、ワックス掛けを設定ボタンであり、設定ボタン81cは、例えば、撥水コートを設定するボタンである。この他にも、第二(高級)シャンプー、第二(高級)ワックス、第二(高級)撥水コート(例えば、DUコート(登録商標))や特殊なコート(例えば、Gプロテクト(登録商標))を行う選択ボタンを設ける構成としてもよい。
【0039】
また、タッチパネル部82には、選択された各種設定モードの詳細を表示して、指でタッチすることで所望の詳細モードを設定することができ、これらのタッチ操作を介して、所望の洗車モードを選択し、所望の液剤を選択した洗車プログラムを設定することができる。
【0040】
また、操作部81をタッチパネル部82に一体に組み込んで、各種の設定ボタンをタッチパネル式とすることもできる。いずれの構成であっても、設定ボタンと各種設定モードの中から所望の項目を選択するタッチ操作を行って所望の洗車プログラムに設定する。これらの設定ボタンと各種設定モードを有する設定部が洗車プログラム設定部となる。つまり、操作部81とタッチパネル部82を備える構成であれば、操作部81とタッチパネル部82が洗車プログラム設定部となり、操作部81をタッチパネル部82に一体に組み込んだ構成であれば、タッチパネル部82が洗車プログラム設定部となる。
【0041】
また、各種装備品を設定するボタンを設けてもよく、例えば、該当装備品なしボタン、フロントガードありボタン、フェンダーポールありボタン、ドアミラーありボタン、リヤワイパーありボタンなどを設けて、各種装備品を設定し、これらの装備品の存在を認識した状態で洗車を行うことが可能となる。
【0042】
上記の各設定操作を行った後で、被洗浄車両CAを洗車機WAに移動し、洗車機の左右一対のレール間の所定の洗車位置に停車して、洗車機に設ける車体検知センサもしくはスタートボタンを操作して、洗車操作を開始する。
【0043】
これらの洗車モードや洗車プログラムの設定は、運転者(ユーザー)自身でも、洗車機を所有する管理者側のスタッフによっても行うことができる。スタッフが行う場合には、各洗車モードの特徴をユーザーに説明しながら、被洗浄車両CAに適した洗車モードを推奨して、ユーザーが求める洗車効果を発揮する洗車プログラムを設定することができる。
【0044】
リモートパネル7Aには、報知手段として音声出力を行うスピーカ80が設けられており、洗車モードや洗車プログラムなどの設定操作の内容や手順を案内する音声ガイド、もしくは、注意事項などの音声ガイドを出力可能としている。また、音声ガイドの出力を停止する停止ボタン76と、音声ガイドの音量を調整するボリューム調整ボタン77が設けられている。
【0045】
79は車両検知センサであって、リモートパネル7A部に進入してくる被洗浄車両CAを検知する反射型光電センサからなる。また、リモートパネル7Aに、被洗浄車両CAの車体の色とその濃淡を検知するカラー検知手段86を設けて、車体に適した液剤や洗車モードをユーザーに報知可能な構成としてもよい。
【0046】
ここで、車体に適した液剤とは、車体の色を薄くしたり変色させたりしない液剤、および、表面の色合いを保持したまま、車体表面に撥水性を付与するためのDUコート(登録商標)や、ピカピカの鏡面仕上げを行うGプロテクト(登録商標)などに適した液剤である。また、車体に適した洗車モードとは、これらの液剤を用いて、適当なブラシと適当なブラシ回転数が選択される洗車モードである。
【0047】
上記したように、カラー検知手段86により検知された車体の色とその濃淡から適した液剤および洗車モードを選択する選択手段と、選択された液剤および洗車モードを報知する報知手段と、を備える構成であれば、ユーザー(運転者)が乗っている車の車体の色とその濃淡を自動的に検知して、良好な仕上がりを発揮するのに適した液剤や洗車モードを報知することができ、ユーザー自身がこれらの情報を参考にして、実際に採用する液剤や洗車モードをリモートパネルを介して設定することができる。
【0048】
また、前記リモートパネル7Aが備える制御装置90に、車体の色とその濃淡に適した液剤や洗車モードを予め記憶させておく記憶手段と前述した選択手段を設けて、新たな液剤および/または新たな洗車モードを設定可能としている。この構成であれば、新たな液剤が開発されると、直ちにその液剤を用いた洗車モードを洗車機に設定することが可能となり、新製品に敏感なユーザーにとって好ましい洗車機となる。
【0049】
また、特定車種の外形寸法や装備品類の取付位置や材質や車体の色などのデータから、洗車機が備える洗浄部材や乾燥部材を適切な駆動条件に規定する特定車種に応じた適当な洗車プログラムに設定することが好ましい。そのために、リモートパネル7Aが備える制御部90に、特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラムを記憶させておき、前述した特定車種設定ボタン81dを選択して、タッチパネル部82に表示される選択枝から該当する項目を選択して所定の洗車プログラムに設定可能にしておくことが好ましい。
【0050】
また、各種の特定車種の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状データを別に設けるサーバに記憶させておき、制御部90と通信可能に接続して、この制御部90に、特定車種の外形形状に応じた洗車プログラム(第一洗車プログラム)と、被洗浄車両の車両外形を認識する車両外形認識手段により認識された車両外形に応じた洗車プログラム(第二洗車プログラム)と、を設定可能にしておくことができる。
【0051】
例えば、図1に示すように、洗車機WAが設置された洗車場WSを有する店舗OSに特定車種の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状を記憶するデータベースを備えるサーバ30を設け、このサーバ30とリモートパネル7Aの制御部90とを通信可能に接続する。また、洗車場WSの進入口には開閉ゲート61が設置されており、リモートパネル7Aが設置された待機ステーションSTが設けられている。
【0052】
制御部90は、特定車種設定ボタン81dが選択されると、タッチパネル部82に各種の特定車両を表示し、選択された特定車両の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状をサーバ30から取得する。また、取得した外形形状に適した洗車プログラム(第一洗車プログラム)を設定する。
【0053】
この第一洗車プログラムは、特定車両の外形形状を基に、制御部90で設定してもよいが、サーバ30に予め、特定車種に応じた洗車プログラム(第一洗車プログラム)を記憶させておいてもよい。
【0054】
そのために、待機ステーションSTに設置されたリモートパネル7Aの前に新たな被洗浄車両CA1が停車して、所定の洗車プログラムを設定する際に、ユーザーもしくは洗車場の従業員が特定車種設定ボタン81dを選択し、所定の特定車種を設定すると、このリモートパネル7Aに、該当する特定車種に応じた第一洗車プログラムが設定される。
【0055】
この第一洗車プログラムは、装備品の位置データから予め設定される破損し易い装備品や突起物などの特異部位を避ける回避範囲を最小限に設定して行う洗車であって、各種の洗浄部材と乾燥部材の各特異部位に対する回避範囲をぎりぎりまで小さな回避範囲としている。そのために、この第一洗車プログラムによれば、被洗浄車両CAの車両外形や各種の装備品類に対応したきめ細かな洗車が可能となる。
【0056】
被洗浄車両CAの車両外形を認識する車両外形認識手段により認識された車両外形に応じて設定される第二洗車プログラムは、ドアミラーやリヤワーパーなどのように、認識され難い装備品の配置によっては、正確に検出することが困難な場合が生じるために、予め余裕を持った大きめの回避範囲が設定されている。また、このように、予め大きめの回避範囲を設定しておくことで、洗車の際に車体や装備品類を損傷しない安全策が施されている。
【0057】
そのために、第二洗車プログラムによる新たに認識される特異部位を避ける回避範囲は大きな回避範囲であり、第一洗車プログラムによる予め設定される特異部位を避ける回避範囲は、この第二洗車プログラムの回避範囲よりも小さな回避範囲に設定して、洗い残しを極力生じないように考慮されている。この第一洗車プログラムによれば、洗浄部材や乾燥部材の特異部位に対する回避範囲を最小限にとどめることで洗浄効果の向上を図ることができる。また、各種装備品を装着した特定車種の外形形状を基に各種の洗浄部材と乾燥部材を正確に回避させるので、回避範囲が小さくても、車両表面から突出している各種装備品に対して安全な洗車を実現することができる。
【0058】
この特定車種として、市場に多く受け入れられている人気車種を設定することで、車両台数の多い特定車種を、車体や装備品を損傷することなく安全で確実な洗車を可能とし、ユーザーが求める、高品質の洗車仕上がりを達成可能とする洗車機の駆動システムを構築することができる。
【0059】
また、車両外形認識手段17により認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾するか矛盾しないかを判定する判定手段を設け、この判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾しないと判定されたときに第一洗車プログラムに応じた洗車を行う第一の洗車操作と、前記判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾すると判定されたときに第二洗車プログラムに応じた洗車を行う第二の洗車操作を実行可能としている。
【0060】
車両外形認識手段17により認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾するとは、実際に認識される被洗浄車両CAの車両外形が、予め設定された外形形状と一致しないことを意味する。また、車両外形認識手段17により認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾しないとは、実際に認識される被洗浄車両CAの車両外形が、予め設定された外形形状と一致する、もしくは略一致することを意味する。つまり、車両外形認識手段17により認識し難い部位にある装備品であっても、その存在を完全にではなく、僅かでも検出した場合には、矛盾しないと判定される。
【0061】
洗車機本体1とリモートパネル7Aとは電気的に接続されているので、この判定手段は洗車機本体1側に設けてもリモートパネル7A側に設けてもよい。本実施形態では、リモートパネル7Aの制御部90に設ける構成としている。このように、判定手段を備える構成であれば、サーバに登録してある特定車種の外形形状データと新たに認識される車両外形とが矛盾しないと判定された場合には、その外形形状に合致したきめ細かい洗車を行い、十分安全で、且つ、洗い残しも極力生じず確実に洗車することが可能となる。また、予め設定される所定の外形形状に応じた洗車操作中に、異なる車両外形を認識したときには、直ちに、新たに認識された車両外形に応じた第二洗車プログラムに移行するので、洗車の際に車体を損傷しない安全な洗車を継続可能となって、洗車機の駆動システムとして好ましい。
【0062】
また、任意の車形データを設定可能な車形データ設定手段を備え、この車形データ設定手段を介して設定された車形データに応じた第三洗車プログラムを設定可能にしていることが好ましい。この構成であれば、ユーザーが任意に装着変更したオプション装備品のデータを洗車の前に予め設定することで、予め設定する外形形状と車両外形認識手段17により新たに認識される車両外形とが矛盾しないと判定されて、この外形形状に合致したきめ細かい洗車を行うことができ、十分安全で、且つ、洗い残しも極力生じずに確実な洗車が可能となって好ましい。この車形データ設定手段は、その操作部をリモートパネル7Aに配設することができ、設定される車形データに応じた洗車プログラム(第三洗車プログラム)が制御部90を介して設定される。
【0063】
これは、特定車種を設定するだけでは、オプション装備品を装着したユーザーの求めに十分応えることができず、不特定多数のユーザーの好みに応じた車両の安全で確実な洗車を可能にするためである。
【0064】
また、ユーザー自身が設定した第三洗車プログラムであっても、車両外形認識手段17により新たに認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾するか矛盾しないかを判定し、矛盾すると判定したときには、設定された洗車プログラムをキャンセルし、新たに認識された突起物を避ける回避範囲を大きくした第二洗車プログラムによる洗車に移行することで、ユーザーの人為的なミスを未然に防止することができる。
【0065】
上記したように、本実施形態に係る洗車機の駆動システムによれば、特定車種の外形形状に応じた第一洗車プログラムと、車両外形認識手段により認識された車両外形に応じた第二洗車プログラムとを備え、判定手段を介して、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾しないと判定されたときに第一洗車プログラムに応じた洗車を行い、判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾すると判定されたときに第二洗車プログラムに応じた洗車を行う洗車機の駆動システムとしたので、被洗浄車両の車両外形や各種の装備品類に対応したきめ細かな洗車を可能とし、標準装備とは異なるオプション装備品に対しても、十分安全で、且つ、洗い残しも極力生じずに確実な洗車が可能となる。
【0066】
また、洗浄部材と乾燥部材を、予め設定される、あるいは、新たに認識される突起物や装備品などの特異部位を所定範囲回避して洗車を行う際に、第一洗車プログラムによる回避範囲を、第二洗車プログラムによる回避範囲よりも小さくし、予め設定される特定車種に対しては、特異部位を回避する回避範囲を小さくする第一洗車プログラムにより洗車を行うことで、洗い残しも極力生じずに確実な洗車が可能な洗車機の駆動システムとなる。また、予め設定される所定の外形形状とは異なる車両外形を認識したときには、より大きな回避範囲を採用した洗車を行うことで、洗車の際に車体を損傷しない安全な洗車が可能な駆動システムとなる。
【0067】
このように、通常洗い残しの多いドアミラー周辺やフロントワイパー周辺部の洗浄性を従来に比べて向上させることでユーザーの満足を得ることができる。また、市場に多く受け入れられている人気車種を特定車種に設定することで、PR効果を発揮し、集客効果と収益向上を図ることができる。」
「【図1】
164
153
0001433126000001.jpg
」
「【図2】
195
109
0001433126000002.jpg
」
「【図3】
121
124
0001433126000003.jpg
」
「【図4】
103
153
0001433126000004.jpg
」
イ 認定事項1
(ア)段落【0029】の「洗車機WAは、洗車機本体1と被洗浄車両CAとを前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両CAの洗車を行う洗車機WAである。」との記載及び段落【0031】の「また、透過式光電センサからなる車両外形認識手段17を用いて被洗浄車両CAの外形形状を認識する。この車両外形認識手段17は、例えば、洗車機本体1の一方の側部の上下方向に複数の投光器を備える透光部17Aを設け、この投光部17Aに対向する他方の側部の上下方向に複数の受光器を備える受光部17Bを設けて、洗浄位置にある被洗浄車両CAの車両外形さを認識する構成とされる。」との記載によれば、透過式光電センサは被洗浄車両CAの前後方向に相対移動すると認められる。
(イ)段落【0031】の記載及び技術常識によれば、透過式光電センサが被洗浄車両CAの車両外形に関する情報を取得し、車両外形認識手段17は、透過式光電センサが取得した車両外形に関する情報に基づいて、被洗浄車両CAの車両外形を認識すると認められる。
(ウ)段落【0032】の「また、リモートパネル7Aを介して設定された洗車プログラムに応じて洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材を所定の操作手順で駆動し、洗車機本体1を往復走行移動するシステムである。」との記載、段落【0065】の「上記したように、本実施形態に係る洗車機の駆動システムによれば、特定車種の外形形状に応じた第一洗車プログラムと、車両外形認識手段により認識された車両外形に応じた第二洗車プログラムとを備え、判定手段を介して、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾しないと判定されたときに第一洗車プログラムに応じた洗車を行い、判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾すると判定されたときに第二洗車プログラムに応じた洗車を行う洗車機の駆動システムとしたので、被洗浄車両の車両外形や各種の装備品類に対応したきめ細かな洗車を可能とし、標準装備とは異なるオプション装備品に対しても、十分安全で、且つ、洗い残しも極力生じずに確実な洗車が可能となる。」との記載及び技術常識によれば、洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材を所定の操作手順で駆動する制御手段を備えると認められる。
ウ 甲1発明1
上記ア及びイを踏まえると、甲1(特に、段落【0028】~【0049】、【0054】~【0067】、図1~4を参照。)には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「洗車機本体1と被洗浄車両CAとを前後方向に相対移動させながら、第一洗車プログラム又は第二洗車プログラムに応じた洗車を行う洗車機本体1と、
被洗浄車両CAの前後方向に相対移動するとともに、被洗浄車両CAの車両外形に関する情報を取得する透過式光電センサと、
洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材を所定の操作手順で駆動する制御手段と、
特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラムを記憶する制御部90と、を備え、
ユーザーもしくは洗車場の従業員が所定の特定車種を設定すると、該当する特定車種に応じた第一洗車プログラムが設定され、
車両外形認識手段17は、透過式光電センサが取得した車両外形に関する情報に基づいて、車両外形を認識し、
制御部90に設けられた判定手段は、車両外形認識手段17により認識された車両外形が、ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した、制御部90が記憶する特定車種の外形形状と一致する、もしくは略一致するかどうかにより、矛盾しないかを判定し、
矛盾しないと判定されたときには、ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した所定の特定車種に応じた第一洗車プログラムに応じた洗車を行う、洗車機WA。」
エ 認定事項2
(ア)段落【0021】の「上記目的を達成するために本発明は、制御部と洗車機本体を備え、制御部に設定される洗車プログラムに応じて各種の洗浄部材と乾燥部材を操作駆動して、洗車機本体と被洗浄車両とを前後方向に相対移動させながら洗車を行う洗車機の駆動システムであって、特定車種の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状を記憶するデータベースを備えるサーバを設け、該サーバと前記制御部とを通信可能に接続し、前記制御部に前記外形形状に応じた第一洗車プログラムと、前記洗車機本体に設ける車両外形認識手段により認識された被洗浄車両の車両外形に応じた第二洗車プログラムと、を設定可能とし、さらに、前記車両外形認識手段により認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾するか矛盾しないかを判定する判定手段を設け、前記判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾しないと判定されたときに前記第一洗車プログラムに応じた洗車を行う第一の洗車操作と、前記判定手段により、認識された車両外形が予め設定された特定車種の外形形状と矛盾すると判定されたときに前記第二洗車プログラムに応じた洗車を行う第二の洗車操作を実行可能としたことを特徴としている。」との記載及び段落【0050】の「また、各種の特定車種の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状データを別に設けるサーバに記憶させておき、制御部90と通信可能に接続して、この制御部90に、特定車種の外形形状に応じた洗車プログラム(第一洗車プログラム)と、被洗浄車両の車両外形を認識する車両外形認識手段により認識された車両外形に応じた洗車プログラム(第二洗車プログラム)と、を設定可能にしておくことができる。」との記載によれば、洗車機の駆動システムは、洗車機WAと、制御部90と通信可能に接続するサーバ30とを備えると認められる。
(イ)段落【0050】の「また、各種の特定車種の外形寸法と装備品の位置データを含む外形形状データを別に設けるサーバに記憶させておき、制御部90と通信可能に接続して、この制御部90に、特定車種の外形形状に応じた洗車プログラム(第一洗車プログラム)と、被洗浄車両の車両外形を認識する車両外形認識手段により認識された車両外形に応じた洗車プログラム(第二洗車プログラム)と、を設定可能にしておくことができる。」との記載及び段落【0053】の「この第一洗車プログラムは、特定車両の外形形状を基に、制御部90で設定してもよいが、サーバ30に予め、特定車種に応じた洗車プログラム(第一洗車プログラム)を記憶させておいてもよい。」との記載によれば、サーバ30は、特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラムを記憶する記憶手段を備えていると認められる。
オ 甲1発明2
上記ア、イ及びエを踏まえると、甲1(特に、段落【0021】、【0028】~【0067】、図1~4を参照。)には、次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
「洗車機WAと、制御部90と通信可能に接続するサーバ30とを備える洗車機の駆動システムであって、
洗車機WAは、
洗車機本体1と被洗浄車両CAとを前後方向に相対移動させながら、第一洗車プログラム又は第二洗車プログラムに応じた洗車を行う洗車機本体1と、
被洗浄車両CAの前後方向に相対移動するとともに、被洗浄車両CAの車両外形に関する情報を取得する透過式光電センサと、
洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材を所定の操作手順で駆動する制御手段と、を備え、
サーバ30は、
特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラムを記憶する記憶手段を備えており、
ユーザーもしくは洗車場の従業員が所定の特定車種を設定すると、該当する特定車種に応じた第一洗車プログラムが設定され、
車両外形認識手段17は、透過式光電センサが取得した車両外形に関する情報に基づいて、車両外形を認識し、
制御部90に設けられた判定手段は、車両外形認識手段17により認識された車両外形が、ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した、制御部90が記憶する特定車種の外形形状と一致する、もしくは略一致するかどうかにより、矛盾しないかを判定し、
矛盾しないと判定されたときには、ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した所定の特定車種に応じた第一洗車プログラムに応じた洗車を行う、洗車機WAと、サーバ30とを備える洗車機の駆動システム。」
(2)甲2について
ア 甲2記載技術
甲2(特に、段落【0007】~【0021】、図1~10を参照。)には、次の発明(以下「甲2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「レール2・2上を往復走行し、所定の洗車動作を与える門型洗車機1と、
門型洗車機1に設けられ、自動車の上面レベルを連続的に検出できるビームセンサ10・11と、
処理装置3~6および走行用モータ7・7を制御する洗車制御部30と、を備え、
車種判定装置の制御部20は、
上面レベルHに基づき車体の前端a、ルーフ前端b、ルーフ後端c、および車体の後端dを基準点として認識し、
基準点a~cを基点とした比較ゾーンA~Cにおける上面レベル列を基準レベル列と比較することにより、車種を仮判別し、前端aから後端dまでの距離である車長データを加味して車種判定し、
車種に応じた洗車を行う技術。」
(3)甲3について
ア 甲3記載技術
甲3(特に、段落【0007】~【0013】、図1~5を参照。)には、次の技術(以下「甲3記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「車両Aのナンバー6を認識するナンバー認識装置5と、
洗浄ブラシ4等の動作を制御する手段を備える制御部15と、
個々の車両のナンバーと車種及び車形といった洗車情報8が予め登録されているデータベース7と、を備え、
制御部15は、
ナンバー認識装置5の画像処理部52から送られる文字情報をデータベース7へ照会し、文字情報と一致したナンバーの洗車情報8を読み込んで車種や洗車コース等を判断し、車形に応じた内容で一連の洗車工程順に駆動部16に制御信号を出力し、
個々の車両に応じた洗車を行う技術。」
(4)甲4について
ア 甲4記載技術
甲4(特に、段落【0018】~【0026】、図8~10を参照。)には、次の技術(以下「甲4記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「突起物の部分ではブラシ3の押付圧が軽減される技術。」
(5)甲5について
ア 甲5記載技術
甲5(特に、段落【0013】を参照。)には、次の技術(以下「甲5記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「全体の水量がLから7Lまでの7段階に調整でき、洗浄部位に応じて最適の水量に絞って洗浄する技術。」
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と甲1発明1とをその機能、構成及び技術的意義を考慮して対比すると、後者の「被洗浄車両CA」は前者の「車両」に相当し、以下同様に、
「前後方向」は「前後方向」に、
「相対移動」は「相対移動」に、
「第一洗車プログラム又は第二洗車プログラム」は「所定の手順」に、
「応じた」は「従って」に、
「洗車を行う」ことは「前記車両を洗車する」ことに、
「洗車機本体1」は「洗車機本体」に、
「洗車機本体1と被洗浄車両CAとを前後方向に相対移動させながら、第一洗車プログラム又は第二洗車プログラムに応じた洗車を行う洗車機本体1」は「車両に対する前後方向への相対移動により、所定の手順に従って前記車両を洗車する洗車機本体」に、
「被洗浄車両CAの前後方向に相対移動する」ことは「前記車両の前後方向に相対移動する」ことに、
「車両外形」は「外形」に、
「透過式光電センサ」は「センサ」に、
「被洗浄車両CAの前後方向に相対移動するとともに、被洗浄車両CAの車両外形に関する情報を取得する透過式光電センサ」は「前記車両の前後方向に相対移動するとともに、前記車両の外形に関する情報を取得するセンサ」に、
「洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材」は「前記洗車機本体の各部」に、
「所定の操作手順で駆動する」は「制御する」に、
「特定車種」は「特定車種」に、
「記憶する」は「記憶する」に、
「制御部90」は「記憶部」に、
「制御手段」、「車両外形認識手段17」及び「制御部90に設けられた判定手段」は「制御部」に、
「車両外形認識手段17により認識された車両外形」は「外形データ」に、
「特定車種の外形形状」は「特定車種外形データ」に、
「洗車を行う」ことは「洗車を実行する」ことに、
「洗車機WA」は「洗車機」に、それぞれ相当する。
(イ)上記(ア)を踏まえると、甲1発明1の「特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラムを記憶する」ことは、本件発明1の「特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する」ことと、「特定車種の洗車手順に関する情報を記憶する」ことという限りにおいて一致する。
(ウ)上記(ア)を踏まえると、甲1発明1の「透過式光電センサが取得した車両外形に関する情報に基づいて、車両外形を認識」することは、本件発明1の「前記洗車が開始されると、前記センサが取得した前記外形に関する情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を開始」することと、「前記センサが取得した前記外形に関する情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を行う」ことという限りにおいて一致する。
(エ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲1発明1の「ユーザーもしくは洗車場の従業員が所定の特定車種を設定すると、該当する特定車種に応じた第一洗車プログラムが設定され、」「車両外形認識手段17により認識された車両外形が、ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した、制御部90が記憶する特定車種の外形形状と一致する、もしくは略一致するかどうかにより、矛盾しないかを判定し、」「矛盾しないと判定されたときには、ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した所定の特定車種に応じた第一洗車プログラムに応じた洗車を行う」ことは、本件発明1の「前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、前記車両が前記特定車種であるかを判別し、」「前記車両が前記特定車種である場合、前記変更情報に基づいて変更された前記手順に従って洗車を実行する」ことと、「前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、所定の条件を満たすかを判断し、」「所定の条件を満たす場合、特定車両の洗車手順に従って洗車を実行する」ことという限りにおいて一致する。
そうすると、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1>
「車両に対する前後方向への相対移動により、所定の手順に従って前記車両を洗車する洗車機本体と、
前記車両の前後方向に相対移動するとともに、前記車両の外形に関する情報を取得するセンサと、
前記洗車機本体の各部を制御する制御部と、
特定車種の洗車手順に関する情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサが取得した前記外形に関する情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を行い、
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、所定の条件を満たすかを判断し、
所定の条件を満たす場合、特定車両の洗車手順に従って洗車を実行する、洗車機。」
<相違点1>
特定車種の洗車に関する情報を記憶する記憶部を備えることに関し、
本件発明1は、
「特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報に関するデータベース」を記憶する記憶部を備えるのに対して、
甲1発明1は、
「特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラム」を記憶する記憶部を備える点。
<相違点2>
前記センサが取得した前記外形に関する情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を行うことに関し、
本件発明1は、
「前記洗車が開始されると、」前記車両の外形データの作成「を開始」するのに対して、
甲1発明1は、
「前記洗車が開始されると、」前記車両の外形データの作成「を開始」するとの特定がない点。
<相違点3>
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、所定の条件を満たすかを判断し、
所定の条件を満たす場合、特定車両の洗車手順に従って洗車を実行することに関し、
本件発明1は、
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、「前記車両が前記特定車種であるかを判別し、」
「前記車両が前記特定車種である」場合、「前記変更情報に基づいて変更された前記手順」に従って洗車を実行するのに対して、
甲1発明1は、
「ユーザーもしくは洗車場の従業員が所定の特定車種を設定すると、該当する特定車種に応じた第一洗車プログラムが設定され、」
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、「矛盾しないかを判定し、」
「矛盾しないと判定された」場合、「ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した所定の特定車種に応じた第一洗車プログラム」に従って洗車を実行する点。
イ 申立理由1(新規性)についての判断
相違点1~3は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明1であるとはいえない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張
申立人は特許異議申立書(以下「申立書」という。)(14ページ)において、相違点1に関連して、以下のように主張する。
「サーバ30は、特定車種の外形寸法や外形形状を記憶するデータベースを備える。また、サーバ30には、第一洗車プログラム(特定車種に応じた洗車プログラム)を記憶させておいてもよいとされている。第一洗車プログラムは、例えば特定車種の特異部位において洗浄部材の回避範囲を通常の手順より少なくした洗車プログラムであり、本件特許発明1における変更情報に相当する。すなわち、サーバ30は、特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部を含む。」
(イ)申立人の主張についての判断
甲1発明1の第一洗車プログラムは、本件発明1の「所定の手順」に相当するとはいえるものの、「特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報」であるとはいえないから、申立人の主張は採用することができない。
申立人の「第一洗車プログラムは、例えば特定車種の特異部位において洗浄部材の回避範囲を通常の手順より少なくした洗車プログラムであ」るとの主張が、「第一洗車プログラムは、例えば特定車種の特異部位において洗浄部材の回避範囲を」第二洗車プログラムより「少なくした洗車プログラムであ」るとの主張であるとして検討しても、甲1発明1において、第一洗車プログラムと第二洗車プログラムとは別々のプログラムであると認められるから、第一洗車プログラムが第二洗車プログラムより「特定車種の特異部位において洗浄部材の回避範囲」が「少な」いとしても、そのことをもって、第一洗車プログラムは「特定車種の特定部位において」第二洗車プログラムを「変更するための変更情報」であるとはいえない。
したがって、申立人の相違点1に関連する主張は採用することができないから、相違点2、相違点3に関連する主張について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明1であるとはいえない。
エ 申立理由2(進歩性)についての判断
まず 相違点1について検討する。
甲2記載技術~甲5記載技術は、特定車種の特定部位において所定の手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部を備えるものではない。
また、特定車種の特定部位において所定の手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部を備えることが、技術常識や周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、甲1発明1に甲2記載技術、甲3記載技術、甲4記載技術又は甲5記載技術を適用したとしても、本件発明1の相違点1に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。
よって、相違点2、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1、甲2記載技術~甲5記載技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 小括
本件発明1は、甲1発明1ではない。
本件発明1は、甲1発明1、甲2記載技術~甲5記載技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~5、7、8について
本件発明2~5、7、8は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)イ及びウで説示したのと同様の理由により、甲1発明1ではない。
本件発明2~5、7、8は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)エで説示したのと同様の理由により、甲1発明1、甲2記載技術~甲5記載技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明6について
ア 対比
(ア)本件発明6と甲1発明2とをその機能、構成及び技術的意義を考慮して対比すると、上記(1)ア(ア)において対比したものに加え、後者の「制御部90と通信可能に接続する」ことは前者の「前記洗車機と通信可能」であることに相当し、以下同様に、
「サーバ30」は「サーバ」に、
「洗車機の駆動システム」は「洗車システム」に、
「洗車機WAが備える洗浄部材と乾燥部材」は「前記洗車機の各部」に、
「記憶手段」は「記憶部」に、それぞれ相当する。
(イ)上記(1)ア(イ)及び(エ)において対比したものに加え、甲1発明2の「透過式光電センサが取得した車両外形に関する情報に基づいて、車両外形を認識」することは、本件発明1の「前記洗車が開始されると、前記センサが取得した前記情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を開始」することと、「前記センサが取得した前記情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を行う」ことという限りにおいて一致する。
そうすると、本件発明6と甲1発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点2>
「洗車機と、前記洗車機と通信可能なサーバとを備える洗車システムであって、
前記洗車機は、
車両に対する前後方向への相対移動により、所定の手順に従って前記車両を洗車する洗車機本体と、
前記車両の前後方向に相対移動するとともに、前記車両の外形に関する情報を取得するセンサと、
前記洗車機の各部を制御する制御部と、を備え、
前記サーバは、
特定車種の洗車手順に関する情報を記憶する記憶部を備えており、
前記制御部は、
前記センサが取得した前記情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を行い、
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、所定の条件を満たすかを判断し、
所定の条件を満たす場合、特定車両の洗車手順に従って洗車を実行する、洗車システム。」
<相違点4>
特定車種の洗車に関する情報を記憶する記憶部を備えることに関し、
本件発明6は、
「特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報に関するデータベース」を記憶する記憶部を備えるのに対して、
甲1発明2は、
「特定車種の外形形状とこの外形形状に応じた洗車プログラム」を記憶する記憶部を備える点。
<相違点5>
前記センサが取得した前記情報に基づいて、前記車両の外形データの作成を行うことに関し、
本件発明6は、
「前記洗車が開始されると、」前記車両の外形データの作成「を開始」するのに対して、
甲1発明2は、
「前記洗車が開始されると、」前記車両の外形データの作成「を開始」するとの特定がない点。
<相違点6>
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、所定の条件を満たすかを判断し、
所定の条件を満たす場合、特定車両の洗車手順に従って洗車を実行することに関し、
本件発明6は、
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、「前記車両が前記特定車種であるかを判別し、」
「前記車両が前記特定車種である」場合、「前記変更情報に基づいて変更された前記手順」に従って洗車を実行するのに対して、
甲1発明2は、
「ユーザーもしくは洗車場の従業員が所定の特定車種を設定すると、該当する特定車種に応じた第一洗車プログラムが設定され、」
前記外形データと、前記記憶部が記憶する特定車種外形データとを比較することにより、「矛盾しないかを判定し、」
「矛盾しないと判定された」場合、「ユーザーもしくは洗車場の従業員が設定した所定の特定車種に応じた第一洗車プログラム」に従って洗車を実行する点。
イ 申立理由1(新規性)についての判断
相違点4~6は実質的な相違点であるから、本件発明6は甲1発明2ではない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張
申立人は申立書(20ページ)において、相違点4に関連して、以下のように主張する。
「甲1発明におけるサーバ30は、特定車種の外形寸法や外形形状を記憶するデータベースを備える。また、サーバ30には、第一洗車プログラム(特定車種に応じた洗車プログラム)を記憶させておいてもよいとされている。第一洗車プログラムは、例えば特定車種の特異部位において洗浄部材の回避範囲を通常の手順より少なくした洗車プログラムであり、本件特許発明1における変更情報に相当する。」
(イ)申立人の主張についての判断
上記(1)ウ(イ)において説示したのと同様の理由により、甲1発明2の第一洗車プログラムは、本件発明6の「所定の手順」に相当するとはいえるものの、「特定車種の特定部位において前記手順を変更するための変更情報」であるとはいえないから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、申立人の相違点4に関連する主張は採用することができないから、相違点5、相違点6に関連する主張について検討するまでもなく、本件発明6は甲1発明2であるとはいえない。
エ 申立理由2(進歩性)についての判断
まず相違点4について検討する。
上記(1)エで説示したように、甲2記載技術~甲5記載技術は、特定車種の特定部位において所定の手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部を備えるものではない。
また、特定車種の特定部位において所定の手順を変更するための変更情報に関するデータベースを記憶する記憶部を備えることが、技術常識や周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、甲1発明2に甲2記載技術、甲3記載技術、甲4記載技術又は甲5記載技術を適用したとしても、本件発明6の相違点4に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたということはできない。
よって、相違点5、相違点6について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明2、甲2記載技術~甲5記載技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 小括
本件発明6は、甲1発明2ではない。
本件発明6は、甲1発明2、甲2記載技術~甲5記載技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)小括
以上によれば、申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)は成り立たない。
以上によれば、特許異議の申立理由及び証拠によっては、本件発明1~8を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~8を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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