結論テキスト
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025010739 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和6年(2024年)2月29日(パリ条約による優先権主張:2023年8月30日(US)アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和6年(2024年)8月23日付け :拒絶理由の通知
令和7年(2025年)1月28日 :意見書の提出
同年 4月 2日付け :拒絶査定
同年 7月 9日 :審判請求書の提出
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「マグカップ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
「本願意匠と引用意匠は、どちらも飲料用容器であるため、意匠に係る物品が共通します。
また、形態について本願の意匠登録を受けようとする部分と引用意匠を比較すると、中央よりやや下部に段差が設けられ、上部をほぼ垂直な円筒とし、下部を下方に向かって縮径させた点が共通します。また、取手について、側面視略縦長「コ」字状とし、上部円筒部に上下に渡るように設けた点が共通します。これら共通点は意匠全体の骨格を構成し、特に需要者の目を引く上記の段差と取手の態様が顕著に共通するため、類否判断に与える影響は大きいものと認められます。
一方で、取手の厚み、本体上端における別部材の有無といった差異が認められますが、下記参考意匠に見られるように取手を薄い板状としたものは本願出願前から公然知られています。また、別部材が本体上端に設けられていないものも、例を挙げるまでもなく本願出願前にごく一般的に見受けられるものです。よって、これら相違点は格別に特徴ある態様とはいえず、 類否判断に与える影響が大きいとは認められません。したがって、両意匠は類似するものと認められます。
引用意匠:
著者の氏名 STANLEY
表題 Amazon.co.jp: STANLEY Big Grip トラベルクエンチャークリーム 1個 : DIY・工具・ガーデン
掲載箇所 製品写真欄
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2022年4月27日
検索日 [2024年7月26日検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:
https://www.amazon.co.jp/dp/B09LRPT658
に掲載されたマグカップの意匠のうち本願意匠に対応する部分の意匠」
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、どちらも、「マグカップ」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
(2)本願部分及び引用意匠のうち、本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分及び引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、容器本体及び持ち手であるから一致し、意匠全体に占める両部分の位置、大きさ及び範囲は、マグカップの上蓋及びストロー並びに下端寄りの横の分割線及び容器内面を除いた部分であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は、一致する。
(3)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、引用意匠の図の向きは、本願意匠の図の向きに合わせて認定する。
ア 共通点
(共通点ア)基本的構成態様
両部分は、有底の略縦長円筒形状で、周側面の中央やや下寄り位置より下方を縮径した段差を形成し、段差より上側全体を略等幅の円筒形状とし(以下、段差より上側全体を「上側円筒部」という。)、段差より下側全体を僅かなテーパー状とし(以下、段差より下側全体を「下側テーパー部」という。)、左側面中央の上端寄りと段差近くに略縦長角丸「コ」字状に屈曲した略縦長棒状部材の両端を密着して持ち手としている点、
(共通点イ)容器本体全体の縦、横(径)の長さの比率
両部分は、約2.4:1である点、
において共通する。
イ 相違点
(相違点ア)上側円筒部と、下側テーパー部の縦方向の長さの比率
本願部分は、約1.6:1であるのに対し、引用部分は、約1.9:1である点、
(相違点イ)持ち手の態様
本願部分は、略板状で屈曲した持ち手を容器本体に垂直状に取り付けているのに対して、引用部分は、略丸棒状で略台形状に屈曲した持ち手を若干外傾斜状に取り付けている点、
(相違点ウ)模様の有無
引用部分は、背面中央の上端寄りに、動物を模したロゴマークと文字列(以下、ロゴマークと文字列を組み合わせた模様を「ワンポイント模様」という。)を施しているのに対し、本願部分は、模様を施していない点、
(相違点エ)リムの有無
引用部分は、本体容器上端に略円環状のリムを設けているのに対し、本願部分はリムを設けていない点、
(相違点オ)底面の態様
本願部分は、底面中央に略円形の浅い凹みを形成しているのに対し、引用部分は、底面の開示がないため、不明である点、
において相違する。
以上の共通点及び相違点が両部分の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両部分の類否を部分全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能は、容器本体及び持ち手であるから一致し、両部分の位置、大きさ及び範囲も一致するから、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は同一である。
(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
(共通点ア)
この種物品分野においては、有底の略縦長円筒形状で、周側面の中央やや下寄りにテーパー状の段差を形成し、段差より下側全体を若干縮径し、左側面中央の上端寄りと段差近くに略縦長角丸「コ」字状に屈曲した略縦長棒状部材の両端を密着して持ち手としている意匠は、例えば、本願の出願日より前から公知となっている下記参考意匠にも見られる態様であることから、基本的な構成態様の(共通点ア)が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点イ)
両部分においては容器本体全体の縦、横(径)の長さの比率について、約2.4:1で、概ね同程度の比率であるが、この共通点は容器本体の概括的な構成比率に係るものに過ぎず、(共通点イ)が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠(別紙第3参照)
アメリカ合衆国特許庁が2012年5月15日に発行した米国特許商標公報に記載の
飲料容器(登録番号US D659474S)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH24309008号)
イ 相違点の評価
(相違点ア)
上側円筒部と、下側テーパー部の縦方向の長さの比率について、本願部分は、約1.6:1であるのに対し、引用部分は、約1.9:1で、本願部分の方が重心は低く安定感のある印象を与えることから、(相違点ア)は両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点イ)
本願部分は、略板状で屈曲した持ち手を容器本体上部円筒箇所に垂直に接合して設けたのに対して、引用部分は、略丸棒状で略台形状に屈曲した持ち手を若干外傾斜状に取り付けている点において相違し、この相違点は本願部分の持ち手の態様がエッジの効いたシャープな印象を需要者に与えることから、両部分に別異な美感を起こさせるため、(相違点イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点ウ)
背面中央の上端寄りに施したワンポイント模様の有無に係る相違は、ワンポイント模様としてロゴマーク等の図形及び文字を付すことは、製品化するにあたってごく普通に行われるものであることから、(相違点ウ)が両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。
(相違点エ)
リムの有無に係る相違は、リムが容器本体の上端に設けてあることから需要者の目に付く箇所であるため、(相違点エ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点オ)
本願部分は底面にごく浅い窪みが形成されたものであって、ほとんど目に付かないから、引用部分の態様が不明であり、仮に本願部分と異なるものであったとしても、両部分全体の印象を左右するほどのものではないから、(相違点オ)の類否判断に与える影響は小さいものである。
(4)形状等の類否判断
両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、部分全体として総合的に観察し判断した場合、(共通点ア)及び(共通点イ)が両部分の類否判断に与える影響は小さい。これに対して、(相違点ウ)及び(相違点オ)が両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、(相違点ア)、(相違点イ)及び(相違点エ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、両部分の形状等は、類似しない。
(5)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は同一であるが、両部分の形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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