sokuhyo

Trademark Appeal Case

門柱意匠の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025016571
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和6年(2024年)4月25日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和7年(2025年) 2月28日付け :拒絶理由の通知

同年 4月10日 :意見書の提出

同年 7月15日付け :拒絶査定

同年 10月17日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「機能門柱」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。断面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

「引用意匠

特許庁発行の公開特許公報記載

特開2022-101104

図1~3の1及び関連する記載から導きだされる「門柱」の意匠のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠

意匠に係る物品については、本願意匠の意匠に係る物品「機能門柱」と引用意匠の意匠に係る物品「門柱」は、いずれも門柱に係るものであるから、用途・機能が類似しているものと認められます。

本願意匠と引用意匠は、正面視において同幅の左右の柱及び上枠を倒コ字状に縦長に配し、柱及び上枠の断面形状はいずれも奥行き方向に長い細長長方形状とし、正面において表れる柱と上枠の連結部分に内側の角部から外側の角部までの斜線が形成され、上枠の直下にインターホンの設けられた一段下がった横長長方形状の面を設けた態様が顕著に共通しており、この意匠全体にわたる形態の共通性は、両意匠の造形の基調を形成し、需要者に共通の視覚的印象を強く与えています。

一方、両意匠は、正面視における縦横の構成比率において相違しますが、この種物品における改変の範囲に収まる程度の軽微なものであって、類否判断に及ぼす影響は小さいため、両者共通の視覚的印象を変更しない範囲で施された部分的な改変にとどまるものと認められます。

よって、両意匠は、意匠全体として類似するものといわざるを得ません。」

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は「機能門柱」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「門柱」であって、表記は異なるが、どちらもインターホンと収納部を有する門柱であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と引用意匠の本願部分に相当する部分(以下、引用部分といい、本願部分と合わせて「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲

両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、いずれも、上側横枠及び支柱を含んだ支持枠部、インターホンを含む正背面側の板状部分であり、引用部分においては表札、収納部箇所の面材及び下桟を含むものの、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、概ね一致する。

(3)両部分の形状等

両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 共通点

(ア)基本的構成態様

両部分は、いずれも同幅の板状部材とした左右の支柱及び上側横枠を端部をそろえて接合し、正面視上部に略横長矩形状の板状部材を設け、右端寄りに略縦長矩形状のインターホンを配し、背面側においては、上部に略横長矩形状のパネル部材を設けた基本的構成態様において共通する。

各部の態様として

(イ)支柱及び上側横枠の態様

両部分は、正面視において、支柱と上側横枠の接合箇所に斜め状の部材切り替え線がある点において共通する。

イ 相違点

(ア)全体の大きさの比率

両部分の正面視における縦、横の長さの比率については、本願部分は、約1:0.25であり、地中に埋める支柱部分を有する長さ比率であるのに対し、引用部分は、約1:0.32であり、地上に設置する支柱から成る長さ比率であり、本願部分の方が縦長である点、

(イ)支柱及び上側横枠の前後の幅

両部分の横幅に対する、支柱及び上側横枠の前後の幅について、本願部分は、約1:0.23であるのに対して、引用部分は、約1:0.15で、本願部分の方が前後に幅広である点、

(ウ)インターホンの態様

本願部分のインターホンは、略縦長矩形状で、上寄りに略隅丸正方形及び略小円形に表れるレンズ部のみを設けているのに対し、引用部分は、レンズ部の左右と下側に線状模様も設けている点、

(エ)表札の有無

引用部分は、正面視上部板状部において、インターホンの左横に表札を設けているのに対し、本願部分は、表札を設けていない点、

(オ)収納部下方の面材の有無

引用部分は、正面視収納部の下側で左右支柱の間の箇所に略横長矩形状の面材を正面側及び背面側に設けているのに対し、本願部分は、同箇所に面材を設けていない点、

(カ)支持枠部の構成態様の相違

本願部分は、正面視、上側横枠及び左右支柱を含んだ倒コの字状の支持枠部であるのに対して、引用部分は上側横枠、左右支柱及び下桟を含んだロの字状の支持枠部である点、

において相違する。

2 類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価するとともに、評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品

両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲

両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は概ね一致するから、同一である。

(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価

ア 共通点の評価

(ア)両部分における、基本的構成態様に係る共通点であるが、支柱及び上側横枠を板状部材で形成し、正面視上部に略横長矩形状の板状部材を設け、右端寄りに略縦長矩形状のインターホンを配した共通点は、この種物品分野において、下記参考意匠のように、本願出願前にも既に見られる態様であって、両意匠のみに見られる特徴的な態様ではないことから、基本的構成態様に係る共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠(別紙第3参照)

意匠登録第1615638号(門柱)の意匠

(イ)支柱上部と上側横枠の接合箇所に斜め状の部材切り替え線がある態様は、接続に留め継ぎ加工を行った際に現れる斜め線であって、広く行われている加工法の態様であるから、需要者の注意を引かないものであり、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価

(ア)両部分の縦、横の長さの比率が相違する点は、本願部分が縦長な形状であって、地中に埋めて固定する箇所の形状も表してあることによるものであり、施工を行う施工業者や取引業者が高い関心を持って観察する部分であるから、相違点(ア)が、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

(イ)本願部分の支柱及び上側横枠が、引用部分よりも前後に幅広な態様である点は、重厚で安定した印象を与えており、住宅設備として長期間使用される物品であることを加味すれば、これを購入して使用する需要者が大きな関心を寄せるものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(ウ)インターホンの態様の相違については、この種の物品を需要者が購入する際に、インターホンについては、既製品の中から任意に選んだものを取り付けて購入することは普通に行われているところであるが、門柱における両部分全体で比較した場合には、インターホン意匠の特徴である相違点は、需要者に、両部分において異なる美感を起こさせるものであるから、相違点(ウ)が、両部分の類否判断に与える影響は一定程度ある。

(エ)表札の有無については、表札が本願部分には表れていないものの、引用部分にあるように、インターホンの左横に表札を設けることは、先にあげた参考意匠にある使用状態を示す参考正面図において、既に見られる態様であることから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(オ)面材の有無については、面材が本願部分には表れていないものの、引用部分にあるように、収納部の下側における左右支柱の間の箇所に、正面側及び背面側に面材を設けることは、需要者が正面側から後ろ側を見通せない構成態様であって、面材の印象を強く与えるものであることから、両部分の類否判断に与える影響は一定程度ある。

(カ)支持枠部の構成態様における相違点は、引用部分における上枠、左右支柱及び下桟によって表れるロの字状に形成された支持枠部が、周側面の枠体を強く印象付けており、需要者に、本願部分である倒コの字状とは異なる美感を起こさせるものであるから、相違点(カ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

(4)両部分の形状等の類否判断

両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、部分全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点(エ)が両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点(ア)、相違点(イ)、相違点(ウ)、相違点(オ)及び相違点(カ)が両部分の類否判断に与える影響は大きい、又は一定程度ある。

したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点(ア)及び共通点(イ)が相まって生じる効果を考慮したとしても、相違点(ア)、相違点(イ)、相違点(ウ)、相違点(オ)及び相違点(カ)が類否判断に与える影響を凌駕するには至らず、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。

(5)小括

そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は同一であるが、両部分の形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。